小俣和一郎のレビュー一覧

  • 精神医学の近現代史 歴史の潮流を読み解く

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    旧優生保護法の問題を調べる中で、優生学と精神医学の関係を論じた著作は少なく、手にとった書物である。近代精神医学は主に欧州で発展してきたが、その背景に欧州の思想の流れが背景にあることを説明。それは古代ギリシア時代にも遡るが、それはさておきその思想的流れが精神医学の生物学的流れと心理学的流れに影響していることを説明されている。精神医学から哲学に転じた人もおり、哲学と精神医学の関係は多少なりとも知っていたが、大きな流れで思想と精神医学の流れを解説された点が特徴である。優生学との関係ではナチスへの精神医学の関わりが著述されているのが著者ならではのものと思う。反精神医学に関しても述べられることが少ない中

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    2021年05月31日
  • 異常とは何か

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    新書は難しい専門性の高い知見や話題を平明に広く還元することにその主眼があると思う。それを隠れ蓑に内容の薄い新書もあるがこれは違う。さにタイトル通りのことをいろいろと語っている。社会的な規範や慣習で決まってくる枠組みとその社会自体の移ろいにどういう分岐があったかそもそも今の認識はどうなのかといったようなことを丁寧に語っていると思う。情緒を排して冷静に問題点をえぐっている。文章は平明だが内容が重く、とても有意義な内容だった。

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    2017年12月18日
  • 異常とは何か

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    異常も正常も、その時々の時代で人間が作った概念でしかない。本当はどちらも、ただそこにあるだけ。読むと、世界に対する視野が広くなる本。

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    2013年04月16日
  • 異常とは何か

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    異常と正常の境目ってわかりにくい。
    正常を突き詰めることのある種の怖さは第4章の部分で理解できた。
    異常と正常はその時代によって、逆転することもある。
    異常と正常の普遍的な定義はない。
    合理主義を突き詰める事、効率化を突き詰めること、それ自体は人間が社会が豊かになるうえで必要な事なのだが、それが時と場合によって、異常に転ずることもあるのだとか。
    だとすると、時には節制、でも時には怠惰なことも、そうしたことを行ったり来たりしながら、永遠の微調整の如くバランスを取り続けることが大事なのかと思う。
    それが理解できる一冊。

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    2025年01月08日
  • 異常とは何か

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    ネタバレ

    発達障害当事者として、ずっと「自分は異常だ」という自覚があった。しかしうまく言語化できず、周囲と馴染めず衝突し、迷惑をかけまくって孤立した。周囲からは「個性的だが普通の人」として「普通たれ」というプレッシャーがあったし、病識のない頃は自分で自分にも「普通」を強い、40年適応できず二次障害的な精神疾患も発症していた。
    「異常」といわれるものは、時代や文化・見る方向などでいくらでも変化するというのは、経験から何となく知っていた。
    本書では、いくつも具体的な事実を専門家の客観的な視点で語られていたため、しっかり納得できた。
    何度も読み返したい。
    自分や他人、思想や嗜好に対して「異常」などと軽々しく口

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    2023年08月05日
  • 異常とは何か

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    「異常」の定義づけを試みた一冊。

    同時に「正常」についても定義づけをしていき、同一の対象が、ある時は正常である時は異常となる現象を中心にして、果たしてある客体が異常な状態とはどういう「状況」なのか、から異常性について紐解く。
    異常とは、正常ではない状態ではあるのだけど、そもそもその正常とは時代によって異なるのはなぜか? それはイデオロギーとの関係、正常を過剰に推し進めた状態での異常、メランコリー型の社会というネイションとの関係など、様々な角度から説明を試みる点が(姿勢が)とにかく素晴らしい。

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    2018年02月22日
  • 異常とは何か

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    ネタバレ

     「正常」と「異常」の境界線について現役の精神科医が論じた本。精神医学を「狂気を排除する」と主張したフーコーの説も批判的に検討されている。

     正常、健康であることが常にポジティヴ、異常、不健康であることが常にネガティヴであるというのは今も昔も同じだが、その物差しは時代ごとに変わります。現代語の「マニア」の語源である古代ギリシア語の「マニアー」は「躁病」、さらにたどれば「預言者」という意味であること、「大宝律」に記述のある「癲狂」は誇大妄想、パラノイアのことであり、彼らは犯罪を犯しても刑罰を軽減される存在であることなど、面白い記述が多くある。他にも、「狂」という字の「王」はシャーマニズムの儀式

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    2011年06月06日
  • 異常とは何か

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    さすがに『アイヒマン調書』を訳した方。期待を裏切らず、知識が幅広く、読みながら、様々な視点、角度より、この「奥深いテーマ」について、考えさせられた。「あとがき」に記されているように「十分に語りきれなかった」部分はもちろんあるだろうが(むしろ、あって然るべきだろうが)ぜひ、続編を期待したい。

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    2010年06月23日
  • 異常とは何か

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    まだ途中であるがなかなか読みがいがある。こういった本は買った時のモチベーションが続かないと積本になってしまうので中が必要である。正常と異常の境界はどこなんでしょうねぇ・・・?

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    2011年08月01日
  • 異常とは何か

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    医学の立場から広く社会を見ての「異常」論。基本的に数が少ないものを異常として排除する差別のメカニズムであることが前半で述べられる。またこの本の白眉は、正常を追求していくと異常になるとか、正常と異常の裏腹の関係について述べている部分だ。正常と異常を対立するものとする弊害を取り除くためにグラデーションで説明するモデル(たとえばセクシュアル・マイノリティについての説明などでは頻繁に用いられる)だと、結局ものごとに序列がついて排除の対象になるので、メビウスの輪のように片方の極からもう片方の極へいつのまにか行ってしまうようなモデルで考えよう、というところは、まだ説明としては煮詰まっていないけれども、そう

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    2010年05月15日
  • 異常とは何か

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    正常と異常、これも状況によりけりで判断されるのかな。何を正常と位置付けるかで全てが変わるし、それを位置づける人がどうやって正常と異常を判断するのか。

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    2018年01月03日
  • 異常とは何か

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    異常と正常は時代によって異なる。また、対極のものではなく、メビウスの帯のように繋がっている。正常が行きすぎると異常となる。

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    2012年01月13日
  • 異常とは何か

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    すごく興味深いタイトルだ!と思って買いました。
    異常だ異常だ!じゃぁ、正常ってどういう状態?という感じで人の感覚、価値観の奥底にあるものを解き明かすべく検証が淡々と進んでいく感じ。

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    2011年05月20日