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西欧文化の輸入に頼り、「いかに知るか」ではなく、「何を知るか」だけが重んじられてきた日本では、問題解決のための論理はいつも背後に退けられてきた。本書は、「なぜ」という問いかけから始まり、仮説を経験的事実の裏づけで、いかに検証していくかの道筋を提示していく。情報洪水のなかで、知的創造はいかにしたら可能なのだろうか。著者みずからの体験をとおして語る画期的な理論構築法が誕生した。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
40数年ぶりに読んだ。表紙が変わっていた。読んだ当時は数量分析を行っていたのでよくわからなかったこともあったかもしれないが、現在では理解できる。 大学生が研究方法について考えるための本であり、卒論でどのような研究方法を行おうかと考えるためにはいい本である。しかし、自分で研究方法を採用できる院生こそ...続きを読むふさわしいのかもしれない。 1981年に逝去したということは、この本を出版してから2年後に死亡したということである。
一気に読みきり、自分でも意外なのだが、何度か読み返した。 とても約40年前の本とは思えない。 大切なのは、「何を知るか」ではなく、「いかに知るか」と訴えられている。 あとがきには、日常の生活や職場で出会う問題を自分で整理し、考えそして解くための手引き とある。まったく異論なし! もっと早く出会い...続きを読むたかった ^_^ 巷には、様々なハウツーや手法であふれているが、これらに振り回されそうなら、まずこの本を読んだ方がいい。知的生産のための基本的なルールのルーツオブルーツだ。 以下はあとがきの一部。。。現代もなんら変わりない。 われわれは、科学における知的生産のための基本的なルールを、常識として、手に入れる必要があるのではないか。そして大学教育においても既成の知識の獲得よりは、むしろ新しい知識を自ら生み出す方法の訓練に、重点を置かなくてはならないのではないか。
卒論を書いていた時に読んだ本。ゼミで指導教官が「独立変数」「従属変数」「操作変数」なんて言葉を使っていてちんぷんかんぷんだったけれど、この本を読んでから教官の言っていることを理解できるようになった。 量的・質的研究の両方に配慮されているほか、自殺論やプロ倫などの社会学の古典が拓いた方法論についても学...続きを読むぶことができるいい本。読むべし。
非常に読んでためになった一冊 本書は社会学の本に分類されるが、全ての研究者や大学生に読んで欲しい一冊 研究とは何か?問題とは何か?を深く掘り下げた名著だと思う
日本の模倣的な態度を排し、創造の力を重視する西洋の伝統を取り入れるべきだという主張から論理構築の方法論を展開します。頭の中をすっきりさせてくれる明快な論述に感銘を受けました。精読に値する本だと思います。
①仮説とは、「研究の課題を”結果”としてとらえるところから出発して、その現象を生み出す”原因”にさかのぼり、”原因”と”結果”の論理的な関係を設定すること」p44 そのためにまず問題(結果)を設定し、そのための「原因」を考えるのである。 仮説の概念から考え直し、研究の必要性に取り組もうと思った ...続きを読む②因果法則の確立には、(1)独立変数の先行、(2)独立変数と従属変数の共変、(3)他の変数の統制、他の重要な変数が変化しない、ことが条件。これは、比較する際にも重要になってくる。 ③「何を知るか」の日本と「いかにして知るか」のアメリカの大学。このような違いが、現在の日本の学部での方法論の軽視に表れているのかと思うと、全く教育は変化していないのだなと感じた。いかにして知るか、を追求するために、もう少し方法論については深く学ぼうと思う。
2012夏学期 高等教育調査の方法と解析(1)の参考文献として読んだ。理解度は、まだまだ予習の域を出ないが、残り13回の授業の中で深めていきたい。 本書を一読し、教育社会学から分化した高等教育論は、社会科学・社会調査の手法を体得することが必須であることを痛感。これを知らないと修論執筆に着手できない...続きを読むのだ。M1向けには研究の方法論に関する科目の開講が多いのはそのためかもしれない。 本書では、著者のスタンフォード大留学時の経験が、かなり細かく紹介されている。例えば、18頁に「組織的読書」が触れているが、アメリカの学生の様子を紹介することで、日本の学生・読者への啓蒙の要素になっている。大学院での生活は、とにかく読まないと始まらないのだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・ <ノート> ・因果関係のモデル 4ますの正方形の図で表現 78頁 原因=独立変数 結果=従属変数 dependent variable 変数(variable)=数値を持った概念、変化する概念(to vary) ・多変量解析のモデル 110頁
社会学を研究する上で必要な方法論をまとめたもの。その方法論を踏まえて社会の様々な事象を自分で解き明かす創造性を発揮するための最低限知るべき手法という位置付け。因果関係モデルの概要説明。
最初一度よんだときは全然興味もてなかったし、内容も頭に入らなかったけど、ゼミで高根のこの本を輪読して、社会科学の方法論についての名著であることを実感。 精読するとすごくおもしろい。社会科学の考えたかたの基礎を教えてもらった。
本書は社会科学を学ぶ人(もしくはより広く文系の人間)が、科学の方法論を学ぶうえで非常に有用な一冊である。 読者によっては、「要点がまとまっておらず読むのが面倒だ」という印象を受けるようだ。たしかに一般的な方法論について述べるだけでなく、著者がどういった経緯で方法論の大切さを学んだかなどの個人的なエ...続きを読むピソードがふんだんに出てくるので、人によってはそれをまどろっこしく感じるのかもしれない。しかし、私はむしろこの本の魅力は、その筆者の個人的なエピソードにあると思う。読み進める中で筆者の苦しみや失敗、それを乗り越え前に進もうとする意志を感じとり、次第に筆者の人柄に惹かれていく…そのようなところにこの本の魅力はあるのではないだろうか。無味乾燥なビジネス本、ハウツー書とは違う。 また、本書は決して要点がまとまっていないわけではない。200ページ足らずの薄い新書の中に方法論のエッセンスが十分に詰まっている。これを一読しただけで理解できなかったからといって、文章の書き方が悪いと責めるのは筋違いである。もちろん文章を書く側に、読者にわかりやすく伝えることが求められて然るべきだと思うが、すぐに理解できないものは悪いものだと切り捨てて思考をストップさせてしまってはもったいない。この本は、私を含め数多くの学生が教授から勧められて読んでいる大変優れた良書である。初版が1979年と古いが、内容の多くは色褪せていない。 以下要約 1章 方法論への道―知的創造とは何か 著者がアメリカでの留学生活を送るなかで感じ、学んだ日本とアメリカにおける学問に対する取り組みの違いが述べられている。両国の間の違いは制度的側面からも指摘できるが、最も根本的な相違点は、アメリカにおいては、個々の学者がそれぞれ固有の意見を創造するという基本姿勢を持っていることである。そして、その自らが創造した固有の意見、知的生産の成果を表現するために方法論が必要である。 2章 問題をどうたてるか―原因を考え、問題を整理する 社会科学の研究者は当面解決しなければならない問題を「結果」としてとらえ、その結果を生み出す「原因」となる要素を探り出す。そしてある原因があってこういう結果が生じるという因果関係の二つの要素を論理的につなぐ関係のことを「仮説」と呼ぶ。また、ひとつの研究課題にたいして複数の仮説がたてられることがある。その複数の仮説を組み合わせたものを「モデル」と呼ぶ。 「記述」と「説明」は本質的に異なる。社会科学に取り組み、因果関係に対して少しでも確かな推論を行おうとする限り、記述ではなく説明をする必要がある。「記述」とは、現実の現象がいかなる状態にあるかを正確に観察し、それを客観的に記録することである。一方「説明」とは、「なぜ」という疑問を発して、「結果」として扱われる現象と、その「原因」となる現象とを論理的に関係させようとすることである。 3章 理論と経験とをつなぐ―具体的証拠を集める 科学的な研究を行うためには、仮説を「検証」しなければならない。「検証」とは、仮説を経験的事実に合わせてテストすることである。ここで注意しなければならないのは、人間の認識は、完全に現実的世界を写し出しているのではなく、自らの抱く「概念」に導かれて、絶えず変化する経験的世界の一部を辛うじてつかまえるに過ぎないということだ。「概念」とは、人間の経験が凝縮したものだと言える。概念を修正したり、新しい概念を創出したりすることこそが、人間の知的創造にとってきわめて重要な働きである。また、社会科学が経験的事実に基づいた科学であるためには、研究者は経験と抽象との間を、往復しなければならない。 4章 科学的説明とは何か―イメージから理論へ 因果法則を満足させる条件として次の三つがある。 1.独立変数の先行 2.独立変数と従属変数の共変 3.他の変数の統制である。これらを満たすためには、実験的方法を用いることがひとつの手段だが、社会科学においては倫理面や、研究対象が社会全体の大きな流れであることが理由で不向きである。 5数量的研究の方法 ― コンピュータを使う ポール・ラザースフェルドが完成させた「サーヴェイ・リサーチ」の方法について紹介している。ソーターの話をもとに、単変量解析、説明的二変量解析、そして多変量解析について説明を進め、とりわけ精密モデルについて詳しく説明を行っている。精密モデルには4つの型があり、すなわちそれは、反復型(テスト合格)、説明型(テストに落第)、解釈型(もとの関係を詳しく解釈)、特定型(もとの関係が強められたり、弱められたりする条件を特定)である。 サーヴェイ・リサーチの方法(数量的方法)は、情況の統制ではなく、集められたデータのコンピュータによる解析を通じて、第三の変数群を統制しようとする方法であり、概念的、あるいは数学的操作によって第三の変数群を統制して、因果関係の推論を行おうとする方法である。 6章 全体像をどうつかむか ― 質的方法を求めて 因果関係の推論の原理を質的方法の分野で実現するための方法として、「組織的比較例証法」を取り上げている。そしてその方法について、ヴェーバーやトクヴィルの研究を例に取りあげながら説明している。 組織的比較例証法においても、実験的方法や統計的方法と同様に因果法則を満足させる3つの条件(1.独立変数の先行2.独立変数と従属変数の共変3.他の変数の統制)を追求する。しかし、実験的方法とは異なり、研究者の意思によって状況を変化させることはできないので、研究者は概念的に変数を操作して、因果関係についての推論を行い、歴史的資料によって、その推論を実証しようと試みる。また、「例証」法であるので、統計的方法のようにサンプルに用いたデータを証拠にするのではなく、あくまで仮説を効果的に読者に説得するために選び出された実例を用いて議論する。 7章 現場の体験の生かし方 ― 体験から知的創造へ サーヴェイ・リサーチなどの厳密な方法が適用できない流動的な、場合によっては反社会的な集団を観察する方法として「参加観察」、「事例研究法」、「実地調査」などと呼ばれる方法を紹介している。 この方法には、外からではなかなか観察できない現実をできるだけ自然な状態で詳しく調べることができるという利点がある。しかし、厳密性の観点からは初歩的な方法であるので、この方法を用いるのは未知の現象、特殊なケースの概要を知りたいときだけに限られるべきである。 8章 ジャーナリズムに学ぶ ― 現実をどう理解するか ジャーナリズムと社会科学では、立場も役割もお互い異なる面があるが、ともに経験的世界の住人であり、根本的な方法論においては違いがないと述べられている。そして、社会科学の研究者は、日々の世界の動きに神経をとがらせているジャーナリストの現実感覚を学ぶべきである。 9章 方法論の一般理論へ ― 創造にむかって 本書で紹介されている4つの方法、実験的方法、統計的方法、比較例証法、逸脱事例分析法は、それぞれ長所、短所を持ち特徴があるが、結局は同じ因果関係の論理を使用した同じ科学の方法に他ならない。このような認識から、今日の方法論において、数量的方法と質的方法を統合しようという傾向がある。 そして最後に、方法論は書き写しではない自分の文章を書くための、必要最低限のルールであると述べ結んでいる。
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