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20世紀を代表する政治哲学者が、なぜいま再評価されるのか。人間の本性や社会の公共性を探った彼女の難解な思考の軌跡を辿り直し、私たちがいま生きる社会を見つめ直す試み。
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Posted by ブクログ
とても面白かったです。 ハンナアーレントという人、その思想に関する本を初めて読みましたが、共感できるところが多かったです。 本文中で、ギリシャの都市国家ポリスの市民たちは、自分の私的な利害を除いて、全体のための善を討論していた、そこに複数性があること、人間性を見出している旨の話が出てきます。 そ...続きを読むれが本当にポリスの時代に実現できていたかは置いておいて、私達の生きる現代において、それは国家的な政治においても、もっと小規模な、普段の生活に密着した集団においても、アーレントの理想とするような思考、つまり私的利害を超えて討論し、複数性を持った方策を導くということは、できていない場面がほとんどじゃないのだろうかと思えます。ポジショントークになりがち。 私的利害を完全に排除するのは人間という生き物である以上難しくとも、そこに近づくことは可能だと思いますし、そういう人間として育ちたいとも思います。それは偽善であってもよいと。むしろ私的利害を全面に押し出すことしかできない人は、全体のための方策を討論していく素養がない人かと思います。 アーレントの原著も今度読んでみたいですが、アーレントの提示するものは、具体的の政治的主張するものでは全くなく、社会としての、または個人としての思考のスタンスを提示するように感じました。 全体主義に向かっていかないための。 現実的には、自分の立場のバイアスがかかりすぎないように配慮しながら、知見を深め、教養を身につけ、他者の話に耳を傾けながら、よりよい方策をコミュニケーションを取りながら作っては、直し続けていくということでしょうか。 それはつまり、ポリス的な市民としての要件と重なるのだと思います。 1つの視点による世界観を押しつけたり、依存したり、考えるところや対話することを放棄することは、全体主義に通じることであると。
今まで哲学にさほど興味もなかったワタシがハンナ・アーレントを読みたいと思ったのは仲正先生の話が本当に面白いと思ったから。この本は仲正先生がハンナ・アーレントをどういう風に捉えていて、それをワタシみたいな特別勉強をしたわけでもない普通の読者が読んでみて面白いと思えるようになっていて、そろそろ、ハンナ・...続きを読むアーレントの本にとりかかってみようかなと背中を押してもらった気がする。考えることが大切だから。
彼女に関する本は何冊か読んでるし、他の本でも名前を見るし、何だったらTwitterのTLでも名前が流れていきます。でも、彼女の著作を読んだことはない。そろそろ読んでもいいかなまだいいかなみたいに、彼女の思想と僕は微妙な距離感があります。
アーレントの著作である『全体性の起源』『人間の条件』「カント政治哲学講義」の議論を順に取り上げながら、彼女が説いた「人間」や「活動」という概念の持つ意味を、読者ができるだけ誤解しないよう、丁寧に説明してくれている。
アーレントって誰かというと、師のハイデッカーと不倫関係に陥るも、全体主義を批判した本を書いて一躍有名になった人。 この人の政治というのは、どうも私が思っていたのよりギリシア哲学的なものが含まれている気がする。 しかも、その問われる場面が日常にありうるものだからなおのこと。 分かりやすく書かれてい...続きを読むる本。 ただ、私はもう1度読んだほうがいいかも。
この本を読む前は、アーレントについて、ナチスの全体主義を糾弾した人、ということしか知らなかった。なので、バリバリの個人主義の人かと思ってたら全く逆だった。 物事を単純化し、画一的な思考に陥ることを嫌い、言論活動を重視した共和主義者。他者と意見を交わすことでヒトは「人間性」を身に付けていくという。...続きを読む 著者はアーレントの言説を援用しつつ、近年メディアやインターネットに蔓延する、複雑な事象の単純解釈や、短絡的で画一的な思考様式や、「傍観者」が自由に意見を言いにくい風潮に警鐘を鳴らす。 「複雑な物事を複雑なまま捉える」……なかなか難しいことではあるが、とかく物事を単純化して理解したがる自分への戒めとしたい。 多角的に思考できる冷静な「傍観者」でありたい。
アーレントの哲学は、両端に偏らないが、かといってどっちつかずでもなく、複数性というものを主張しており、他を排除しようとする風潮を批判するもので、今の世の中では、ほとんど実現できていないが、今学ぶに値する哲学である。
英では契約や慣習法の基本原理を確認する形で新たな制度が構築されていったが、日本では政権が交代するたびに大宝律令・御成敗式目・武家諸法度などが生まれ、基本となる考えがどのように継承されてきたのか曖昧。日本で制度論的な保守主義を考えるのは困難。天皇制以外に守るべき制度がないため、日本の保守思想は、制度よ...続きを読むりも精神論や文化論に力を入れてきた(例:西部邁・佐伯啓思)。ただし、細部を見れば、日本の法・政治にも慣習は見られる。日本の憲法には、政党の役割に関する規定はなく、政党が何のために存在するのかについて規定がないにもかかわらず、立法府は政党の協議によって運営されてきた。p.214『精神論ぬきの保守主義』★4 個人と共同体の境目。宗教・習俗・風習は生まれた時点で他者から与えられるもので、自分の意志だけで選択できるわけではない。徹底したリバタリアンでも、自分で選択したわけではない共同体の文脈の中で、共同体の中の他者と互いに制約し合いながら生きていかざるを得ない。p.181『不自由論』★4 現代思想が日本で急速に人気がなくなったわけ。構造主義・ポスト構造主義をけん引していた思想家が亡くなった後、仏でスターが現れなかった。日本の大学で第二外国語の比重が低下し、仏・独語を読める・読もうとする研究者が激減した。学生の間でフランスやドイツの文化に対する憧れが弱まった。哲学の業界で、英語圏の影響力が高まり、仏・独の影響力が低下した。p.284『現代思想の名著30』★3 ************ 『悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える』★4 『いまを生きるための思想キーワード』★3
ハンナ・アーレントの思想を、彼女の著作を軸に、現代にひきつけた問いから整理した書。少ない文章量の中で鋭くまとまっていて、読み応えがあった。 今回とくに面白かったのが、第二章「『人間本性』は、本当にすばらしいのか?」。 「アーレントは、そうした冷厳な現実を踏まえて、『人間性のすばらしさ』あるいは『...続きを読むヒユーマニズム』を無邪気に信じ、それを信じることによっていつかユートピアが実現できると思っている"良心的"な知識人たちに警告を発しているのである。無邪気な『人間性』信仰は、その理想に合わない者を排除する全体主義に繋がりかねない、と。」 私自身、思想や哲学の本も、新聞やテレビのニュースも、今の現状を見通す物語を期待して読んでいるふしがある。現実はそんなに単純ではない、冷静であれ、と釘を差された気がします。
やはり最後まで一気に読んでみて感じたことはただ一つ、解りづらいの一言である。それは本書がわかりづらいのではなく、ハンナ・アーレント自体の考え方が非常に中庸的というか、世の中のわかりやすい議論が白が黒か左か右かといった風潮の中で、極論はなくあくまで白と黒左と右の中間地点にいるからではないだろうか。これ...続きを読むはよく考えれば当たり前のことで、日本の政治を見ていれば感じることが多い。政党全体でまともな頭の人たちがあれだけ集まっていて、与党と野党の意見がすっぱり割れるなんて事はあり得ない。ましてや100人を超えるような組織の構成員が全員右か左かなんてあり得ないし、どっちつかず、よく言えば双方の良いところどりになって当たり前だからだ。アーレントは著書「全体主義の期限」において全体主義の成立を説明するが、確かにマルクスの様に労働階級が資本家の搾取から解放されるための闘争とするのに対して、大衆が深く考えずに明確な意見に迎合していく危うさを説いている。これくらいならまだまだ基本的なアーレント読者にはわかりやすいのだが、極端な状態を極力否定していくイメージが私の中では強い。 私生活においても恋愛などから多くの学びと影響を受けていたと思われるが、そうした背景には本書は触れずに、あくまでアーレントになり切った筆者が、彼女の主張を代弁していく形をとっており面白い。またその解説も「分かりにくい」「掴みどころがない」事を大前提に書いてくれているおかげで、アーレントの今まですっ飛ばして読んでいた世界から、立ち止まって考える時間をくれるものとなっている。 世の中そんなに、左も右もはっきりしておらず、自分の意思を示さずに、ただ大きな力に流されがちな我々一般市民に対して、責任持った発言と行動を強く呼びかけ、自分主義から公共の利益に考え方をシフトする。そんな本来社会ができて当たり前の事ができていない現代社会。改めてアーレントが再注目されている背景には、そうした政治や考える事を避ける国民に対して大きな警鐘を鳴らしてくれる。 ちなみに本書の構成はアーレントの人物性に先ずは若干触れ、その後「悪」とは何か、「人間の本性」人が如何にして自由になれるなか、そして実践・参加することの意義と意味という流れで、アーレントの著書である「イェルサレムのアイヒマン」や「全体主義の起源」「人間の条件」を引きながら筆者自身の解釈を展開していく流れになっている。新書のページ枚数に纏めるのはその選択も大変だったであろうが、我々読者がアーレントに触れやすい内容だと思う。
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仲正昌樹
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