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世界を席巻する排外主義的思潮や強権的政治手法といかに向き合うべきか? ナチスによるユダヤ人大量虐殺の問題に取り組んだハンナ・アーレントの著作がヒントになる。トランプ政権下でベストセラーになった『全体主義の起原』、アーレント批判を巻き起こした問題の書『エルサレムのアイヒマン』を読み、疑似宗教的世界観に呑み込まれない思考法を解き明かす。
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Posted by ブクログ
コンパクトながら大変読み応えがあった。 全体主義やそれに対するアーレントの分析、批判。 悪は誰にでも宿りうるという、一部の人に受け入れ難い考察。 わかりやすさに溺れない、無思想性な服従に陥らない必要性。 知的に誠実であり続けることは容易ではない。ましてや社会全体でそれを維持し、全体主義に陥らない...続きを読むようにするにはなおさら。でも、勤め続けなければならないと改めて理解。 ーーーーー 全体主義 明確な定義があるわけではない ・大衆の願望を吸い上げる形で拡大していった政治運動、大勢 ・ファシズムや社会主義の共通性を強調するために使われた言葉 ・近代的自由主義を否定し、諸個人を共同体としての国家に完全に取り込み、共同体のために生きるよう教育することを当然視する体制 強烈な"共通の敵"の登場 →仲間意識が希薄だった人たちに連帯感がうまれる →一致団結、運動に発展 古代ローマ帝国 帝国という名前ではあるが多民族、多宗教からなる地域を、法を統治原理としていた。 民族的ナショナリズム 歴史やルーツ、血の同一性を同族意識の拠り所にする 国民国家とは異なる。国民国家は言語の同一性など目に見えるものがあるが、民族的ナショナリズムはあえて定義が曖昧。過去の事実に照らした実証もせず将来への団結の実現を呼びかける ナチスは民族的ナショナリズムの延長で発生したとアーレントは分析 全体主義群衆はピラミッドではなく台風の目。 不安定さこそが安定の鍵 強い不安や緊張感に晒されるようになった時、人は救済の物語を渇望する 明快な世界観、陰謀論的なもの 全体主義は"自分は分かっている"と思い込む人たちの集まり 戦後イスラエルで裁きを受けたアイヒマンはナチスの熱狂的信者でもなければ、上の命令に嫌々従う臆病者でもなく、極めて遵法意識の高い人間であった →アイヒマンが従った法自体が誤っていた?でもそれは現代から見る我々だから言えること。また、我々の今の法は正しいのか? →法の正しさを説くには"哲学"が必要 人が他人を心置きなく糾弾できるのは、自分が善で相手が悪だという二項対立がはっきりしている場面。 政治においては服従は支持と同じ ミルグラム実験 →人間は一定の条件下では権威者の命令に服従し、善悪の自己判断を超えた残虐性も示す →法に従い史上最大の罪に加担したアイヒマンの服従の姿勢は、彼特有のものではなく、誰にでもまとめられる陳腐なものだった "複数性"(多様性)の衰退、無思想性の顕在 "教養科目"、リベラルアーツとは元々ギリシア、ローマ的な意味での「人間」になるための科目が由来。知的エリート、いわば当時の"市民"として弁論化として他者を説得するために必要な能力。
アーレントの導入本として。NHKのムック本はもう手に入らない感じなのでこれを。 ハンナアーレントの主要な作品を彼女の人生と重ねながら解説する。必要な世界史の知識はときどき項目立てられていたり、注がついて読みやすい。主に全体主義の起源とエルサレムのアイヒマンが取り上げられている。 今回の読書経験を...続きを読む英語授業に無理やり紐付けるのであれば、批判的な思考を持ち続けることの大切さだろうか。これは複数性ということばで表現されている。英語教育が平和教育に関わるとしてもここが大切だろう。
アーレントは全体主義は大衆の願望を吸い上げる形で拡大していった政治運動と捉え、大衆自身が、個人主義的な世の中で生きていくことに疲れや不安を感じ、積極的に共同体と一体化していきたいと望んだからと考えた。 ナチスを反ユダヤ主義を例にして、アレントが全体主義を考察した解説本。 今、また世界は大衆として安易...続きを読むな解決に飛びつき、また、「敵」を排斥しようとしている。 他者意識を認識し、議論していき、思考していくことの大事さを学んだ。 色々身につまされる話。
サイドにおいて
ハンナアレントの著書にトライしているが不完全燃焼。勉強不足なので、とってもためになった。今こそ考えよう
#タメになる
今の日本も何となく全体主義化してるんじゃないかなぁ、と思い勉強のため購入。凄く丁寧で具体例により分かりやすく説明してくれるので助かった。 テレビでは政府への批判を聞く事もめっきり減り、政府も答えたくない質問には「回答を控える」で許される。フォアグラのガチョウの様にバラエティばかり朝から晩までこれでも...続きを読むかと見せられ愚民化政策が進み、「分かりやすさ」ばかりが求られる時代の危うさ。議論と言っても議論が深まる事もなく勝ち負けを決めるケンカのようなモノばかり。大衆化をヒシヒシと感じます。そんな世の中で解決策はと言えば「複数性に耐える」と言われてもムリ。実際しんどい。読み終わっても問題の大きさ深さに暗澹とする。
とても読みやすい本。全体主義思想、ホロ・コーストがなぜ起こったのか、大衆の心理についてハンナ・アーレントの思想を読み解く。 エルサレムのアイヒマン(数百万人のユダヤ人の虐殺を執行した人、「法」に従ったのみだと主張した)の話に至るまでの最低限必要な知識が順を追って書かれているため、世界史に詳しくない人...続きを読むにもオススメ。 不安が広がると単純でわかりやすい思想に流れがちというのは現代にも通じる話。二項対立で善悪を決めつけるのではなく「複数性」を持つことが大事だと解く。アンナ・ハーレントが世間からの批判を浴びる覚悟で当時持論を展開したことに尊敬の念を抱く。アンナ・ハーレントを英雄視することもまた単純な二元論に過ぎないと釘を刺すあたりも含めて、良い論点が提示されているように思う。オススメ。
ハンナ・アーレントの本を読みたかったけれど、難しそうだったので解説書から読むことにした。 アーレントの人生史や時代背景の説明をしながら、アーレントの考えについて解説されていたので、歴史に詳しくない私としてはとても読みやすかった。 全体主義の危険性を終始説いていたが、第二次世界大戦のドイツがなぜその...続きを読むような思想に陥ったのか、そして現代の我々においても全体主義のリスクがかなり潜んでいることに気付かされた。 複数性に耐え、わかりやすさの罠にはまってはならないとと言われていたけれど、このマインドを維持するのは、本当に忍耐のいる作業だなと感じた。 成長は自分を傷つけることだという考えにも似ていて、常に自分の違う人の意見に耳を傾けて、特に論理的にも正しそうな意見に対して向き合っていくことが大事なのだろう。
アーレントの思想を知る際に、最初に読むべき本。現代の文脈も挟まれており、分かりやすくて挫折しない。 現代社会にも見られる「排外主義」は非常に恐ろしいイデオロギーで、そのことはまさにナチスの歴史を見ればよく分かる。陰謀に惑わされ、思考をやめてしまうことがどれほど危険なことなのか、アーレントによる全体...続きを読む主義の考察を読めば痛感させられる。
第二次世界大戦中にドイツからアメリカへ亡命したドイツ系ユダヤ人哲学者ハンナ・アーレント。彼女が執筆した『全体主義の起原』をはじめとした著書を通して、ナチズムやホロコーストを推し進める背景にあった社会の流れや大衆心理を説いていく。 『蠅の王』(ウィリアム・ゴールディング)や『一九八四年』(ジョージ・...続きを読むオーウェル)を読んだときに感じた背筋がヒヤリとする感覚は、本書を通してかなり補完されました。 ヒトラーが大衆心理を熟知し巧みに操り、自身の「法」に従うよう扇動していたのはその通りです。アーレントはさらに歴史的惨事が起こった時代背景として、政治や社会が混沌とし敵味方の見通しがつきにくい、将来が不安定、蔓延した閉塞感などを挙げています。そのような不穏な世の中にいると大衆は求心力のある「分かりやすい」対象・イデオロギーを求めるメンタリズムが働くと説きます。当時ドイツは近隣国から今まで経験のない圧を受け、国はそれに一丸となって対抗する必要がありました。連帯感・仲間意識を維持強化するための安易な近道は「敵」をつくること。つまり当時のドイツ政府は早急に国民の統制を取らねばと考え、その格好の対象となったのが国内の社会コミュニティのなかで異分子でもあったユダヤ人でした。彼らを大衆の憎悪の対象に仕立て上げ“排除”しようとすることで国民の足並みを揃えようとし、未曾有の殺戮へと繋がります。 分かりやすくレッテルを貼り自分達の存在や立場を正当化する、善良性を証明しようとする行為は大小さまざまな規模で起こっています(子供のケンカから戦争レベルまで)。おそらく自分が自分らしくあるために人間に備えられた安全装置なのだと思います。無くなることはないでしょう。 至って平凡に生まれ平凡に育ってきたと自覚している自分でさえ、大衆の渦に飲まれたときに冷静でいられるかと問われると自信がありません。 本書を読む前は「歴史」に触れるつもりで手に取りました。しかし読み進めるほど本書で書かれていることは歴史ではあるけれど過去ではない、そして他人事ではないと痛感します。むしろ国内外問わず社会情勢としては当時の状況下とかなり共通点が多いのでは……と邪推するのは考えすぎでしょうか。 memo:ハンナ・アーレント『全体主義の起原』『エルサレムのアイヒマン』など
本日第3章「大衆は「世界観」を欲望する」に読み架かりました。 白眉は大衆を定義した箇所。 政治的に中立の態度をとり、投票に参加せず政党に加入しない生活で満足している 投票を棄権する人(大衆)は、平素はとりたてて不満がなく 「ま、ひどいことにはならないだろう。」 と楽観し、実際に(多少ズルをする...続きを読む人がいるかも知れないが)気楽に生きていく程度には不自由がないのだろうと思います。 しかし、彼ら(大衆)が、世の中に不満を持ったとき、全体主義の再来が懸念される と言うことなのでしょう。 日本では選挙のたびに、低い投票率が嘆かれますが、 無理に投票に行かせると、極端な主張をしている左派か、右派のどちらかに投票することになることが、前回の参議院議員選挙であきらかになったと思います。 いざ選挙になってから「投票に行け」と言うのはまずいと思いました。 不満があるときに、誰かの陰謀論にすがりつきたい気持ちは僕にもあるし、それが人気になるのもわかります。 でも、実際の所、不満を解消するには、自分なりの工夫や、ある程度の努力が必用。 例えばカネが欲しければ、自分が働くことが、最も確実な方法です。 それ以外の方法で金を生み出そうと知恵をひねると、いろいろな陰謀とターゲットを決めて搾取することになります。 むろん、そんなことをしても根本的には解決しません。 少し考えれば、そう思い至ります。 そんなことを考えながら、読み進んでいます。
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悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える
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仲正昌樹
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