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人間は残酷なサルか、それとも協力するサルか――。「なぜ攻撃的なのに、人類は滅ばなかったのか?」、「なぜヒトの選択は合理的ではないのか?」、「なぜよい行動に褒美を与えると逆効果なのか?」、「なぜ赤ちゃんは「正義の味方」を好むのか?」、「なぜあくびは友人や親族ほど伝染するのか?」、「なぜ過密状態だと、周りに気を使うのか?」……。最新知見が明かす驚きの真実!
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Posted by ブクログ
善か悪か。 私たち人間が行ってきた所業を考えるとき、しばしばこのような言葉が使われる。 光と闇。 罪と罰。 人の本性は何なのか。 本書ではこの難しい問いを考えるものである。 第2章ではマイケル・サンデル教授の問を引用し、私たちがどれほど合理的に生きて「いない」かを明らかにする。 「何となくよくない...続きを読む感じ」を頼りにしているからこそ「人間らしい」のであり、これが欠如していると他者に対する共感力が低いとみなされ、「人間らしさ」を感じないようだ。 私は合理的な人間だから、なんて言葉がどれほど合理的でないか、この矛盾が人間らしいのかもしれない。 闘争遺伝子というものがあるからこの人は暴力的なのだ、と単純な説明でヒトが語られることを著者は危惧している。 確かに単純な主張は人々に受け入れられやすい。 が、しかしそこには思考停止に陥り、そのことによって他者(そして自分自身も)を危険にさらすという側面があることを我々は忘れてはならない。 歴史を見ても、今の社会を見ても、それは大いに実感できる。 第5章の「身内」と「よそ者」では、過去に行われた(その特異性によって今では行ってはいけない)実験の記述が面白い。 代理母実験、スタンフォード監獄実験、ミルグラムの服従実験......。 それぞれ、愛着が社会性を育て、役割が人を形造り、排除されないために「集団」の意思に従う、という結果が得られたものだ。 このことにより、人が社会性を強く持つ生き物だということがよくわかる。 悪いことを見たり聞いたり、してもされても痛みを感じる、そういった面があることに私は着目した。 第6章では、他人を援助するヒトというタイトル通り、ヒトは優しく、共感しあう動物であることが示されている。 我が家の子供もおやつを半分にして、自分の取り分が減るのに嬉しそうにしているし、私が悲しめば抱きしめてくれる。 幼子がヒトの本来の姿なのかもしれない。 求めよ、が先ではない、与えよ、さらば求められんだ! (でも、私は雪見大福を半分あげてもいいと思えるのは大好きな人だけ) アインシュタインのいうように、ヒトの愚かさは無限大かもしれない。しかし、少しずつでも人はいい方に進化しているのだ。 他者の痛みに共感し、自分と同じようにしてを大事にしていけるのなら、平和な社会は案外すぐそこまで来ているのかもしれない。
意外と幅広い領域をカバーしている。ローレンツの拡大解釈の間違いを指摘しているのでこの本の貴重性は大きい。
面白かったし、最後綺麗にまとめられていた。人類自己家畜化って言う説が面白いと思った。攻撃的であったり反社会的な人を排除して、平和的なDNAを残している。正にその通りだと思った。
広く浅くで、前提となる知識が全くなくても分かりやすい本。 ヒトの懲罰性についても協力的な態度についてもフラットな姿勢で書かれていて、実験のデータも細かく示してくれたので、話が頭に入りやすかった。 個人的に印象深かったのが極度に攻撃的なヒトの脳の構造が一般人とは異なっていた点で、構造が異なっている時点...続きを読むで本人の責任じゃないような気もしてくるけれど、こういった人を罰して集団から排除していくことで、社会が穏やかになっていくのであれば、今も自己家畜化の途中なのかもしれないと思った。
心理学的な切り口から、幅広い視点で考察されている。スタンフォード監獄実験(ジンバルドーの実験)、ミルグラム服従実験も紹介されていた。男性の暴力性、女性の仲間はずれも興味深い。
性善説か性悪説か、ヒトは他人を助けようとするのか、それとも生存・保存のために他人を蹴落とすのか、といった「ヒトの本性」を、赤ちゃんやサルなどの動物の行動の観察や実験、脳の仕組みから読み解こうとしたもの。著者は科学者的な大学の先生で、理系の本、といった感じ。 何か教育学的な話でもなければ、もっと胡...続きを読む散臭いセラピスト的な人の話でもなければ、誰かの経験論に基づく実はエッセイ、のようなものではなかった点、とても良かったし、面白かった。心理学の入門みたいな本でよく出てくる有名な実験の話(「ハーロウの代理母親」の実験、「スタンフォード監獄実験」、「ミルグラム実験」など)も載っているので、勉強になる。 気になった部分をいくつか挙げておくと、まず「怒鳴られるのは、叩かれることに匹敵する」(p.29)というのが衝撃だった。自分で言うのもおかしいが、おれは結構怒鳴ってしまう人なので…。「一三歳のときに親から叱責された子どもは、翌年には同世代の子どもとのケンカや学校でのトラブル、親へのうそ、抑うつなどの兆候が顕著に高まる」(p.30)らしく、ということは怒鳴ってしまったら必ずそのフォローを忘れないようにしよう、というかそもそも怒鳴らなくてもよい方法で何とかならないのか、とか考えた。「人は尊敬し賞賛している人にいわれるほうが、自分の行動により強く責任を感じる」(p.31)というのもその通りだと思う。男女の攻撃性の差異について、「男女ともに攻撃性は『資源を護る』気持ちから生じており、男性と女性ではそのアプローチが異なる」(p.94)というのが面白い。オスは資源を護るために集団外への攻撃性を発揮し、メスは集団内にある資源を取り合うために集団のメンバーを攻撃する、という違いらしい。 あと「わたしたちはだれかから仲間はずれにされると、身体に痛みを与えられたときに活性化するのと同じ脳の領域(島皮質と前帯状皮質)が活性化する」(p.144)というのが興味深い。そこから、「仲間はずし」の実験とも言うべき実験が紹介され、「ほんの二、三分の仲間はずれの経験が、その後の脳の活動に大きな影響を与えた」(p.148)とか、「いじめの悪影響はかなり長く持続し、おとなになるまでつづくこともありうる」(同)というのは、最近NHKで見た特集と重なることもあって、印象的だ。いじめられた経験というのは、ずっと傷になって残ってしまう、という話で、逆にそこまで傷となるように、ヒトの脳はできているんだと思った。 それから、よくおれは教師として、他人のために働くことが、他人を幸せにすることが、結局自分も幸せになるんだ、みたいなことを言うけど、それはもうすでにそういう実験がある、というのを知った。要するに「与えることによる喜び」(p.182)というのは、本当にあるんだと思った。 あとこの本には、印象的な名言がいくつか載っているが、p.50の「悪の最も効果的な誘惑手段の一つは闘争への誘いだ」というカフカの言葉、p.168の「我々は得ることで生計を立て、与えることで生きがいを作る」というチャーチルの言葉、p.202のガンジーの言葉「『目には目を』を貫いてたら、世界中の人の目が見えなくなってしまう」は特に心に残った。(17/03/19)
一つ一つ私達ヒトという存在の崇高さと残虐性を振り返り、深く考えながら本書を読んだ。私もヒトの本性が善なるものだと信じたいと、この本から感じた。
私達には、言葉にする前に感じ行動する、本能というものがあります。 怒ると暴力を振るなどマイナスの本能も持っていますが、見返りなく人を助けるなどポジティブなものもたくさんあり、それを伸ばしていくことの大切さが理解できます
進化心理学の入門書。 人は協力をすることを本能的に持っており、それが主としての拡大につながったであろう。一方、ホッブス的な無政府状態で野放図な、関係しか結べないということはなく、社会を構築する事ができるのが人である。その一方仲間はずれを極端に嫌い(女性のほうが相対的度合いは強い)、される側もする側も...続きを読む大きなトラウマを残す。
人間のように同じ種で殺し合う動物は他にいない。しかし一方で、人間が殺人した記録として残っているのはたった40万年前。人類の歴史からすると最近。それまでは仲間を殺さずに生きていた。人間には共感し、他者を援助する性質がある。チンパンジーらも援助することはあるが、自分を犠牲にしてまで他者を助けるのは人間特...続きを読む有の性質だといえる。著者は、人間は本来善悪の両側面をもつが、進化と理性によって悪を抑制し善に価値を見出すよう発展し続けるとした。実験や学説の紹介も豊富で、希望がもてるような内容だった。ただ、紹介が多い分、著者の主張を主軸においているわけでは(おそらく)ないので、ところどころに数行登場する著者の説は結論のみに絞られており、やや飛躍している印象を受けた(自分がうまく理解できなかっただけかもしれないが)。 ・他者の暴力の影響 実験によると、攻撃的な行為が正の結果を生むのを学習した人は攻撃的になる。逆に、攻撃的な行為を否定的に扱うシーンを見れば、攻撃的にはならない。関連して、家庭内暴力(怒鳴りも含む)があった子供は、大人になったときに暴力的になりやすい。これは暴力により他人をコントロールできることを学習したから。何か罰を与えないといけないときには、暴力や暴言で子供をコントロールするのではなく、子供が好んでいるものに制限をかける等、負の罰を与えるといいらしい。 暴力的なゲーム(シューティングゲーム等)の影響は正直よく分からない。個別の実験だと、脳が暴力的行為に慣れてしまい感受性が低下、さらに難しいゲームをすることでフラストレーションが溜まり、結果的に攻撃的になってしまう説もあるが、全体的な傾向としては暴力的ゲームが売れた直後は犯罪件数が低くなる。この矛盾がなぜ生まれるのかは分からない。結局、ゲームはいい面でも悪い面でも人間に影響を与える。ゲームに限らずだと思うけど。 仲間外れにより辛くなるのは、実際に脳の痛みに関する部分が反応しているから。予想以上に深刻。 スタンフォード監獄実験の概要は知っていたが、悪名高いということや詳細な状況は知らなかったので、新しい知識を得られて良かった。もともとは囚人の心理を知るための実験だったのに、予想に反して看守役のサディスティックな行為が目立ち実験中止になった。悪の汎用を想起した。著者が賛同する説によると、集団の代表として正義を執行した、という。著者はその解釈をもう少し進めて先述の仲間外れと関連付け、集団からの排斥を避けようとする心理が根本にあったのではないかと考察する。自分は、それもあると思うけど、人間には学者が言うような性質の種が多かれ少なかれちょっとはあるのかなと思った。画家ゴッホの、弱者を助けられるのは自分しかいないと思い込みすぎるという気質と、目的は真逆だけど根幹にある性質は似ているのかなぁと何となく思った。 ・協力、他者援助 人間もチンパンジーも、他者と協力する。しかし、異なるのは自分に利益がない時でも他者を援助するということ。人間は赤ちゃんでも他人が困っているときに助けてあげる。しかも、ほうびを与えればむしろ他者援助の傾向が低下する。お金を自分のために使うか他人のために使うかという実験では、他人のために使った人のほうが幸福度が高くなった。また、ほかの動物と変わらず、人間においても、社会を維持するための 「互恵性」 は 重視される。そういった集団(他の人)の利益を高めて自分も高い利益を得ようとする傾向、そして同時にそうしなかった人(もっというとズルをする人)を排斥しようとする傾向の両側面が進化し、人間は超協力的性質を備える生き物となった。ながらく生物学の分野では人間は攻撃的で争いを好むとされていたが、近年それは誤りであると考えられている。人間には本来善悪の両側面があるが、上記が原動力となって、悪を抑制し善に価値を見出すということを学び、進化してきたのではないかと著者はいう。希望はもてるが、人類全体としてはそうであっても、必ずそこから漏れる人はこの先も現れると思う。そこをどうするか。
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