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我、鉄路を拓かん
海の上に、陸蒸気を走らせる! 明治の初めに、新政府の肝煎りで、日本初の鉄道が新橋~横浜間に敷かれることになった。そのうち芝~品川間は、なんと海上を走るというのだ。この「築堤」部分の難工事を請け負ったのが、本書の主人公である芝田町の土木請負人・平野屋弥市である。勝海舟から亜米利加で見た蒸気車の話を聞き、この国に蒸気車が走る日を夢見ていた弥市は、工事への参加をいち早く表明する。与えられた時間はたった二年余り。弥市は、土木工事を生業とする仕事仲間や、このプロジェクト・チームを事実上率いている官僚の井上勝、そしてイギリスからやってきた技師エドモンド・モレルとともに、前代未聞の難工事に立ち向かっていく。来たる2022年10月14日は、新橋~横浜間の鉄道開業150年にあたる記念すべき日。この日を前に刊行される本書は、至難のプロジェクトに挑んだ男たちの熱き物語であり、近代化に向けて第一歩を踏み出した頃の日本を、庶民の目で見た記録でもある。 -
旅書簡集 ゆきあってしあさって
「さっきまでいた国の事を書きます。国の中の小さな特別区である町のような自治区には、いわゆる“お金”がありません。貨幣の代わりに“踊り”を踊ります。」「メモを取っている最中に、ボールペンのインクが切れました。カウンターに売り物のボールペンがあったので、ひとつくださいと小銭を渡すと、『この町では文字は残らないよ』と言って手渡されました。」「窓の外に目をやると、周囲の海面にたくさんの黒っぽい動物が集まってきているのが見えました。ラッコです。そのうちの一匹が、手にもった石を飛行機の翼のうえに置きました。『彼らなりの手向けなのよ。この機の運命をさとってるのね』」三人の作家が架空の土地を旅してまわり、手紙や写真、スケッチを送りあう、幻想旅情リレー書簡集。/【目次】一通目の手紙 暗くて暑い国 高山羽根子/二通目の手紙 泥の町 酉島伝法/三通目の手紙 飛行機の街 倉田タカシ/四通目の手紙 城塞都市 高山羽根子/五通目の手紙 未だ泥の町 酉島伝法/六通目の手紙 ほふりの村 倉田タカシ/七通目の手紙 ショッピングモール 高山羽根子/八通目の手紙 墜落の町 酉島伝法/九通目の手紙 着水した飛行機 倉田タカシ/十通目の手紙 島々の話 高山羽根子/十一通目の手紙 高山地帯の村 酉島伝法/十二通目の手紙 川が分かつ街 倉田タカシ/十三通目の手紙 戦争の島 高山羽根子/十四通目の手紙 サンクトペテルブルク−ペトログラード横断鉄道 酉島伝法/十五通目の手紙 基地の中 高山羽根子/十六通目の手紙 暗闇の村 倉田タカシ/十七通目の絵葉書 神の仮面の町 酉島伝法/十八通目の手紙 ッポンの町 酉島伝法/十九通目の手紙 雨とカーフューの国 倉田タカシ/二十通目の手紙 書類申請を待つ間 高山羽根子/二十一通目の手紙 変な通貨の国 高山羽根子/二十二通目の絵葉書 鳥の村 酉島伝法/二十三通目の絵葉書 「出る」ホテル 倉田タカシ/二十四通目のスケッチの紙片 街角の顔出し 高山羽根子/最後の手紙 まちあわせ 倉田タカシ/最後の手紙 まちあわせ 酉島伝法/最後の手紙 まちあわせ 高山羽根子/巻末エッセイ 二〇一三年のゴー・ウエスト 宮内悠介 -
六つの村を越えて髭をなびかせる者
直木賞作家の新たな到達点! 江戸時代に九度蝦夷地に渡った実在の冒険家・最上徳内を描いた、壮大な歴史小説。本当のアイヌの姿を、世に知らしめたい――時は江戸中期、老中・田沼意次が実権を握り、改革を進めていた頃。幕府ではロシアの南下に対する備えや交易の促進などを目的に、蝦夷地開発が計画されていた。出羽国の貧しい農家に生まれながら、算学の才能に恵まれた最上徳内は、師の本多利明の計らいで蝦夷地見分隊に随行する。そこで徳内が目にしたのは厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中で逞しく生きるアイヌの姿だった。イタクニップ、少年フルウらとの出会いを通して、いつしか徳内の胸にはアイヌへの尊敬と友愛が生まれていく……。松前藩との確執、幕府の思惑、自然の脅威、様々な困難にぶつかりながら、それでも北の大地へと向かった男を描いた著者渾身の長編小説! -
人形姫
人も町も伝統も、変化しながら生きていく。今の時代の優しい近郊小説。――瀧井朝世(ライター) 未来を照らすのは受け継がれる心意気。温もり溢れた人生賛歌の物語! ――内田剛(ブックジャーナリスト) 後継者不足に悩む老舗人形店に、外国人の若い女性が弟子入り志願!? お人好しな若社長は、仕事に恋に大奮闘! 亡き父のあとを受け、森岡恭平が社長を務める森岡人形は、低迷する売上、高齢化した職人の後継ぎ不在と、問題が山積。さらに恭平自身の婚活問題も難航しており……。そんなある日、職人たちが足繁く通うパブで働くクリシアというフィリピン人女性が、社屋を訪ねてきた。職人の一人が、酔った勢いで「俺の弟子にしてやる」と、彼女に約束したと言うのだが……。笑って、泣いて。読みどころ満載のハートフル・ストーリー。 -
教授の恋 彼はいかにして運命の人を探し出したか?
大学の研究室に泊まっていた経営学の湖南大郎教授は、午前2時、高熱にうなされて、あるビジョンと「迎えにきて」という女性の声を聞く。病がいえた彼は、なにかに突き動かされるように「運命の女性」との出逢いを求めて旅に出るが、山の頂上で命を落としてしまう。体を離れた魂は光たちから、ツインソウルを探すことと重要な使命を与えられてこの世に甦る……。本書は、トラベル・ミステリー、歴史小説の要素とともにスピリチュアルな概念がふんだんに盛り込まれており、テンポの良い奇想天外な場面転換、予測不能なストーリーで、ワクワクドキドキさせてくれる。2年前、著者は脳出血をおこし、その際の臨死体験を『ツインソウル』として発表したが、本書はそこで書けなかった真理を小説の形で述べている。「生きがいの創造」シリーズ160万部のベストセラー作家が、構想から完成まで2年、初めて世に問う「スピリチュアル・アドべンチャー・ノベル」。 -
春を待つ
愛する家族を喪った者たちの絶望が希望に変わる日。愛する息子を喪い、未来をなくした夫婦は悲しみの果てに離別。平和だった家族は崩壊した。それから数年を経た命日の前日、夫は過去を忘れるために、息子の骨壺を抱え、心が凍てつき暗い家に引き籠る妻を訪ねる。だがその途上、夫は実の両親を亡くした少年と出会い、妻の家に一緒に泊まることに。その日から心に仄かな灯が生まれた。3人の孤独な魂が寄り添う時間のなかで、それぞれの絶望が希望に変わり、夫婦は再生の路に立ち、少年は未来に向かって歩みはじめる。「人は少しずつよくなるしかない、少しずつ幸せになるしかないんだ……」第1回京都文学賞受賞作家であり、NHK『雲霧仁左衛門』など、映画やドラマで絶大な影響力を誇るベテラン脚本家が、人間の業、そしてどん底から這い上がる人の強さと家族の絆を感動的に描く。 -
転職の魔王様
この会社で、この仕事で、この生き方のままで――いいんだろうか。若手注目作家が未来の見えない大人たちに捧ぐ、渾身のお仕事小説! 大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、三年たたずに退職してしまった未谷千晴。働く自信と希望をすっかり無くしてしまった千晴だが、どうにか「普通の大人」に戻りたいと、叔母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。「仕事内容なんて何でもいいから、とにかく履歴書の空白期間を埋めたい。それが未谷さんのご希望ですか」面談初日から不躾な態度で接してくる来栖に、千晴は戸惑うが……。人気漫画家、おかざき真里氏、推薦! -
小説 秋月鶴山 上杉鷹山がもっとも尊敬した兄
「下意上達」の組織作り、世界初の児童手当、理想の藩校の創設……。何よりも「人」を大事にしたすごい名君がいた! ベストセラー『上杉鷹山』の著者が描く、鷹山の兄にして高鍋藩初代藩主・秋月鶴山(種茂)の生涯とは。宝暦10年(1760)、種茂は藩主になってすぐに、藩政改革に取り組む。改革に必要なものは人材であると、藩校明倫堂を創設し、武士以外にも門戸を開いた。この藩校からは、のちに大審院長を務めた三好退蔵や、ボーイスカウトを日本へ伝えた秋月左都夫、「児童福祉の父」と言われた石井十次などの人材を輩出した。上杉鷹山ものちに導入した児童手当を、日本で初めて支給するなど、児童福祉にも目を配り、財政再建を進めていった鶴山。鷹山をして、「私の知識と才覚は到底兄に及ぶものではない」と言わしめた名君の改革人生を、鷹山との絆も盛り込みつつ描く歴史小説。 -
伊達女
心に鬼を棲まわせた“独眼竜”伊達政宗の周囲には、かくも、たくましく、そしてたおやかな女性たちがいた――。我が子に毒を盛ったとされる母・義姫、影ながら政宗を支え続けた妻・愛姫、片倉小十郎の姉で政宗を育てた喜多、松平忠輝に嫁いだ娘・五郎八姫、そして真田信繁(幸村)の娘・阿梅……伊達の女性を主人公にした連作短編集。母・義姫――毒を盛ったのは母だと疑っておいでなのでしょう/妻・愛姫――濡れ衣を着せられたまま、殿が平気でおられるとは思いませなんだ/保姆・片倉喜多――本当のことを言ってはならぬ。言えば、政宗の心は折れる/娘・五郎八姫――私は優しくなどありませぬ。父・政宗を気に掛ける母を見て育ちましたゆえ/真田家・阿梅――黙っていたこと、ご容赦くださいませ。ですが、お知りにならぬほうがよかったのです 伊達政宗の言動等から生まれたとされる「伊達男」。伊達といえば、男ぶりばかりが注目されるが、実は女性こそが素晴らしかった! 各短編で描かれる五人の女性の生きざまを通して、伊達政宗の真の姿も浮かび上がってくる。『会津執権の栄誉』で直木賞にノミネートされた著者、新境地の最新刊。 -
五色の殺人者
高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希(めいじ みずき)はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった! ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、ミステリ好きの素人探偵として、彼の無実を証明しようと奮闘するが……。不可能犯罪の真相は、切れ味鋭いロジックで鮮やかに明かされる! 選考委員の満場一致で決定した、第30回鮎川哲也賞受賞作。/第30回鮎川哲也賞選考経過、選評=加納朋子 辻真先 東川篤哉 -
凪に溺れる
自分にも劇的な未来が待っている。そう信じられなくなったのは、いつからだろう――。16歳にして小説すばる新人賞史上最年少受賞を果たした鮮烈なデビュー作、『星に願いを、そして手を。』から三年。現役京大生となった若き才能が、“青春の難題”に立ち向かう! 読了後、静かな感動と勇気が押し寄せる、「救い」の物語。 【あらすじ】仕事も恋愛も惰性の日々を過ごしているOLの遥。ある日遥は、無名のアーティストの曲がYouTube上で「バズって」いるのを見つける。その曲にとてつもない引力を感じた遥だったが、数日後、そのアーティストの公式サイトで、「2018年10月23日、Vo.霧野十太逝去。27歳」の文字を目にする。なぜ1年も前に亡くなった無名のアーティストの曲が、今更注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのか――。一人の天才音楽青年と、彼が作った「ある曲」を軸に、夢と理想、そして現実とのはざまで藻掻く6人の人生を描き切った、著者渾身の青春小説。 -
天使のいる廃墟
住人たちが逃げ出し、二度と戻ってこなかったため廃墟になった村、パライソ・アルト。そこを訪れるのは、人生を諦め、命を絶とうと決めた人に限られる。逆立ちで現れた、うなじにコウモリのタトゥーがある少女。車に積んだ札束を燃やしたいと言う大物銀行家のような男。口を利かず、横笛の音色で受け答えする男。廃墟に住む「天使」は、彼らになぜパライソ・アルトにやってきたのか尋ね、生い立ちに耳を傾け、「向こう」への旅立ちを見送る。生と死、日常と非日常の狭間にたゆたう不思議な場所と、幻のような来訪者たち。詩人としても高く評価されているスペインの作家が贈る、美しく奇妙で、どこかあたたかな物語。 -
三兄弟の僕らは
両親の死と引き換えに、僕らは“家族”を手に入れた――。ベストセラー「東京バンドワゴン」シリーズの著者が贈る、感動の家族小説! 平凡で幸せな家庭に育ちながらも、突然の交通事故で、両親を一度に失ってしまった、稲野朗・昭・幸の三兄弟。そんな彼らを助けるべく、それまでほとんど面識のなかった母方の祖母が家にやってきた。その暮らしの中で兄弟たちは、祖母と母の不仲の理由や父の出生の秘密など、これまで気づかなかった家族の裏側を少しずつ知っていくのだが……。生前の父と母がそれぞれ隠していた、“秘密”とは。「普通の家族」とは何なのか。中・高・大学生の三兄弟の成長と、家族の絆を描いた、感涙必至のハートフルストーリー。 -
梅と水仙
冬枯れの中、真っ先に咲く花とならん――新5,000円札の肖像で話題! 津田塾大学の創設者・津田梅子と、その父・津田仙の波瀾の生涯を描いた感動作。佐倉藩士として生まれた津田仙は、幕府通詞として福沢諭吉らとともにアメリカへ派遣されるなど将来を目されていたが、幕府瓦解後は西洋野菜の栽培などを手掛けながら、日本の農業の改革を志していた。自身の夢を託すべく、男子の誕生を待ち望むも、生まれたのは女の子で、仙は子供の名前も付けないほど落胆する。やがて、仙は開拓使長官・黒田清隆に呼び出され、出仕することに。そこで女子留学生を渡米させる計画を聞いた仙は、聡明さの片鱗を見せていた、わずか6歳の娘・梅子を推薦する。日本初の女子留学生として、最年少で渡米し、17歳で帰国した津田梅子だったが、すでに日本語を忘れており、日米の文化の違いや周囲との軋轢、そして父との葛藤に悩むことになる。山川捨松や伊藤博文らと交流を結びながら、苦闘の末、女子教育の先駆けとなった津田梅子と、その父の人生を描いた感動の歴史小説。 -
本当の人生
家には四つ部屋があった。両親の部屋、私の部屋、弟ジルの部屋、そして死体の部屋……。それは狩猟が趣味の父親が戦利品をしまう剥製の部屋だった。暴力的な父親と、その顔色をうかがうだけのアメーバのような母親。そんな両親との暮らしだったが、十歳の少女は四歳年下の無邪気な弟と楽しい日々を送っていた。しかしある日、アイスクリーム売りを見舞った事故を目撃した時から、弟は変わってしまった。無邪気な笑みは消え、剥製の部屋にこもるようになり、虫や動物をいじめるように……。なんとかしてあの無邪気な笑顔を取り戻したい! 現実をリセットしたい! 利発な少女の試みは? Fnac小説大賞、高校生が選ぶルノードー賞、ELLE読者賞他14の文学賞を受賞。 -
風神雷神 Juppiter,Aeolus
美術(アート)という名のタイムカプセルが、いま、開かれる――。日本が誇る名画『風神雷神図屏風』を軸に、海を越え、時代を超えて紡がれる奇跡の物語! 20××年秋、京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、マカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンと名乗る男が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてその中に記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。織田信長への謁見、狩野永徳との出会い、宣教師ヴァリニャーノとの旅路……天才少年絵師・俵屋宗達が、イタリア・ルネサンスを体験する!? アートに満ちた壮大な冒険物語! -
灼熱
復讐のために、女は整形し、身分を変え、憎い男の妻となった……。人は復讐のために、どこまで非情になることができるのか? どれだけ身を焦がす日々に耐えることができるのか? 医者である英雄と一見、幸せな結婚生活を送る絵里。しかし彼女の本当の名前は咲花子といい、英雄が元夫を殺した証拠を探していた――。物語は一年半前に遡る。咲花子は刑事から当時の夫が転落死したこと、何件もの詐欺を働いていたことを知らされる。詐欺師の妻として彼女自身もマスコミに叩かれる中、夫殺しの容疑者だった英雄の不起訴が確定。希望を失った彼女は、自殺サイトで知り合った絵里という女性と自殺を試みるのだが……。『暗黒女子』『絶対正義』で話題の著者、慟哭の最新作を電子書籍化。 -
帝国ホテル建築物語
「かたちあるものは必ず滅す。しかし、かたちを成すために命をかけた人々の志は、本書によって神々しく蘇る」阿川佐和子氏推薦! 帝国ホテルライト館建築をめぐる熱き男たちの物語 世界的建築家、フランク・ロイド・ライトの飽くなきこだわり、経営陣の追及……それでも彼らは諦めなかった! そして関東大震災が――1923年(大正12年)に完成した帝国ホテル2代目本館、通称「ライト館」。「東洋の宝石」と称えられたこの建物を手掛けたのは、20世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトだった。明治末期、世界へと開かれた日本において相応しい迎賓館が必要だと気づいた大倉喜八郎と渋沢栄一が、ニューヨークで古美術商として働いていた林愛作を帝国ホテル支配人として招聘したことから、このプロジェクトは始まった。しかし、ライト館完成までの道のりは、想像を絶する困難なものだった――。ライト館の建築に懸けた男たちの熱い闘いを描いた、著者渾身の長編小説。 -
東京カウガール
きみは知らない/きみを知りたい 僕は動けなかった。恐怖心からではなく、男たちを叩きのめすその女性に見惚(みと)れてしまったんだ――。その夜、カメラマン志望の大学生・木下英志は夜景を撮っていた。人気(ひとけ)のない公園で鈍い音を聞きつけカメラを向けると、そこには一人の女性がいた。彼女は屈強な男たちを叩きのめすと、車椅子の老人を伴い車へと消えた……。後日、改めて画像を見た英志は気づく。「似ている。横顔が、あの子に」 〈カウガール〉と名付けた彼女の画像を頼りに、その正体に近づいていく英志だったが、やがて彼女自身にも心を寄せていく。そして辿り着いた真相と、彼女の家族が背負った哀しい過去とは? 累計150万部突破の「東京バンドワゴン」シリーズの著者が描く、もう一つの「東京」の物語。 -
吾輩はウツである
「おまえさん、ナニサマのつもりだ」(by猫)――『吾輩は猫である』が生まれた舞台裏には、こんなドラマがあった!?明治36年(1903)4月、小泉八雲が辞めさせられたことで学生たちの不満うずまく帝大に、夏目金之助(のちの漱石)が講師として赴任する。不穏な空気の中、学生たちの冷たい視線に晒される金之助は、毎日、不満と苛立ちを抱えながら教壇に立っていた。さらに、失恋で人生をはかなむ学生・藤村操が目の前に現れ、金之助の気持ちはますます不安定になっていく。そんなとき、一匹の小さな黒猫が夏目家に迷い込んだ。心を病み始めた金之助は、その黒猫と会話をし始める。しかし、その黒猫と会話ができるのは金之助だけだった。一方、病ゆえに突如として怒りを暴発させるようになった金之助に対し、妻・鏡子は一念発起。金之助の病を治すべく、ある行動を起こしたのだが……。夏目漱石を長年にわたって研究し続けてきた著者が、歴史的事実をモチーフに、不世出の文豪が誕生するまでをドラマチックに描く、異色の長編小説。 -
中国古典の名言に学ぶ 勝つためにリーダーは何をなすべきか
「孫子」「韓非子」「孟子」「老子」「史記」「十八史略」「三国志」――。中国古典には現代に十分通用する戦略・戦術のすべてがつまっている。本書は、リーダーが勝つための条件として、(1)先見力を磨く(2)戦略を立てる(3)決断を誤らない(4)逆境を乗り切る(5)志を全うする(6)過失を遠ざける、の6ポイントをあげ、著者ならではの名言・名句の読み下し、さらにはその現代語解釈を取り上げながら、その言葉の奥にあるリーダーのための帝王学を探り出し、読者にわかりやすく説く。不安な時代を生き抜くうえで、企業経営者は物事の本質がついつい見えなくなってしまう。走りつづけていないと死んでしまうのではないかという切迫感をもってしまう。しかしだからこそ、むやみに迷走するのではなく、一度踏みとどまって今何をなすべきなのかを考え、間違いない道をみつけていかなければならない。企業倫理が厳しく問われるなかで先人の残してくれた立派な伝統に学ぶものは多い。 -
銀色の絆
栄光を勝ち取るか、無残に打ちのめされるか、これはもう遊びではないのだ――。夫の浮気が原因で離婚、娘の小織とともに実家のある名古屋へと転居し、無気力な日々を送っていた藤里梨津子だったが、フィギュアスケートの名コーチに小織の才能を見出され、娘を支えることに生きがいを感じ始める。「藤里小織の最大の伸びしろは、あなたにあると思ってます」とのコーチの言葉に、娘のためにすべてを懸ける決意をする梨津子。スケートクラブ内の異様な慣習にとまどい、スケート費用の捻出に奔走し、さらには練習方針をめぐってコーチとの間で軋轢が生じるのも厭わず、娘のことだけを考えてクラブの移籍を強引に進める――そんな母の姿に葛藤を覚える小織ではあったが、試合での成績も次第に上がっていき、やがて……。母娘の挑戦は、実を結ぶのか?母と娘の絆をテーマにした、著者渾身の長編小説。『犯人に告ぐ』『クローズド・ノート』をしのぐ興奮と感動! -
嘘
これから少年に嘘をつく――。主人公は、かつて幼い息子を水難事故でなくした、絵本作家の里谷千紗子。彼女は父・孝蔵との間に確執があり、長いあいだ絶縁状態にあったが、独りで暮らす孝蔵が認知症になったため、田舎に戻ってしぶしぶ介護をはじめることになった。ところが、久しぶりに再会した旧友と町で飲んだ帰り道、旧友がひとりの少年を車ではねてしまう。幸い大きなケガはなかったものの、少年は記憶を失ってしまっていた。ただ彼の身体に虐待の跡を見つけた千紗子は、少年を自分の子供として育てることを決意するのだった……。ひとつの“嘘”によってはじまった少年と千紗子の母子、そして認知症が進行する父親の三人の生活は、豊かな自然のなかで、しだいに新しい家族のかたちを育んでいく。しかし、そのひとときの幸せな生活にも、やがて破局の足音が近づいてくるのだった――。新進気鋭のミステリ作家が紡ぎ出す、感動&衝撃のストーリー。 -
レクターガール・サイコ
「私は人間(ひと)であることを諦めない」 西彩子(にしさいこ)、連続殺人犯の娘。人呼んでレクターガール。 現代のエリザベート・バートリと言われた連続殺人鬼を母に持ち、 自身は肉体的に痛みを感じない特殊体質と常人とは異なる脳波を持つ天才サイコパス。 彼女は戦う。自由であるために。 彼女が彼女であるために。 妊婦ばかりを狙った連続殺人事件の重要参考人とされたのは16歳の少女、西彩子(ルビ:にしさいこ)。 4年前に同様の事件で逮捕され、拘留中に自死したシリアルキラー西玲子の遺児である。 彩子は6本の指を持つ手で美しいピアノを奏で、非常に高い知能を有する一方、痛覚の一切を持たぬサイコパスであった。 彩子を調べ始めた刑事の河口は、4年前の事件と今回の事件は同一犯であり、玲子でも彩子でもない真犯人がいると睨む。 同様に4年前から事件を追ってきた彩子は河口とタッグを組み、恐るべき事件の真相に立ち向かっていく……。 ピアノを愛する天涯孤独の刑事×サイコパスの少女。 音楽で結ばれた異色のコンビが希代のシリアルキラーを追うバディミステリー! ★読者の声 強くて、かっこいい。彩子のような生き方に憧れます(17歳・高校生) サイコパス同士の頭脳戦にシビれる。誰よりも強くて、でも抱きしめたくなるほど彼女は愛おしい(20代・会社員) -
石笛―西田純詩集
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 一つの壮大な物語が展開されつつ、人間みなが持っている感覚や悩みに問いかける――確かな回帰性があるドラマがここにはある。魂のふるさとへの郷愁を呼び起こす、現代詩の一つの到達点。 (※本書は1992/12/01に発売し、2022/5/26に電子化をいたしました) -
楽器のように―西田純詩集
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 自然の中に立っていると、自分の体が楽器のように鳴らされている。自分という楽器を、自分のまわりのものたちとできるだけ大きく深く共鳴し合いながら、歌わせたい。歌声が言葉となって降り注ぐ詩集。 (※本書は1999/03/01に発売し、2022/5/26に電子化をいたしました) -
B・D・Tシリーズ 合本版
不法滞在外国人問題が深刻化する近未来東京。爆発的に急増した身寄りのない混血児たちは「ホープレス・チャイルド」と呼ばれ、その多くが犯罪者となっていた。彼らが巣食う東新宿はスラムと化し、いつしか、街は「B・D・T」と呼ばれた。無法地帯となった最も危険な街で、私立探偵ヨヨギ・ケンが依頼された仕事は、失踪したホープレス出身の女性歌手の捜索だった――。女の足跡を追うケンを次々と襲うトラブル、そしてケンの目の前に、その巨大な組織が正体を現す! 圧倒的なスピード感で描く、傑作冒険アクション。――『B・D・T[掟の街]』 ムービーアイランドと称される人工島を拠点に映画産業が隆盛を誇り、一方で「ネットワーク」と呼ばれるテレビ産業が人々の生活を支配する近未来、新東京。報道を牛耳るネットワークで視聴率のために殺人予告が横行するなか、引退した私立探偵のヨヨギ・ケンはかつての友人の依頼を受け、新東京に舞いもどる。予告された殺人は仕組まれた陰謀なのか? 調査を進めるケンが行き着いたのは、人工島・ムービーアイランドだった――。パンドラの匣を開けたケンに容赦の無い運命が迫る。深まる謎、鮮烈なアクション。一気読み冒険エンターテインメント! 『B・D・T [掟の街] 』続編。――『影絵の騎士』 -
血泥の戦場 【上下合本版】
正義を名乗る者は多く、正義を為す者は少ない 難民に偽装したIS戦士を炙り出し、司令官から大規模テロの情報を絞り出せ! 戦闘服は血と汗と泥。報酬は裏切りと罵倒。 難民に偽装してイギリスに潜入しようとするISの兵士を捕えろという指令がダニーたちSAS部隊に下された。 豪雨の中で難民船を拿捕した彼らは、手際よく容疑者を炙り出す。 しかし、その任務のさなかに隊員のトニーがスパッドを撃ち殺そうとするなど、チーム内の雰囲気は最悪だった。 それでもダニーたちに休む暇は与えられない。 捕えたISの兵士を尋問し、クリスマスにウェストミンスター寺院でのテロを計画していることを訊き出したものの 詳しい情報を得られなかったため、チームはISの司令官を襲撃するためにイラクへと派遣される。 だが、そこではさらなる困難がSAS部隊を待ち受けていた――。 正義なき最新の世界情勢を冷徹な視点で描いた、傑作ミリタリーシリーズ最新刊! -
ブレインハッカー ~世界が闇なら君が光になればいい
「老人は死んでください。若者を守るために」 脳の中にある「記憶」をスマホやPCで再生する技術を開発した僕は、出資者にプレゼンするためフロリダを訪れる。そこで20年前にこの世を去った女性と一夜を過ごし次々と不思議な事件に巻き込まれていく・・・・。 あなたはいくつの伏線に気づけますか? どこで謎が解けますか? でも本当の謎には気づかないかもしれない 豊富な人生体験とどん底から這い上がった知恵やノウハウを詰め込んで、人々を勇気づける小説を書きたかった。どんなことがあっても日常生活を前向きに生きることの大切さを伝えたかった。 この物語を読んで泣いたり笑ったりワクワク感動して、あなたの人生がほんの少しでも彩り豊かになれば幸いです。 著者紹介 早稲田大学教育学部卒業、野村證券、クレディリヨネ銀行、プルデンシャルアセットマネジメントなど日米欧の金融機関で勤務。 20代で6億円の借金を抱えるも人生どん底から大逆転し40代でFIRE。50代で会社を起こし同時にボランティア活動で汗を流す。61歳でモデル兼俳優デビュー、64歳で小説家デビュー。サハラ砂漠マラソン人類最高齢での完走を目指し月間200kmランニング3年間継続中。 -
夜がまだ明けない
クールでビターな本格探偵ミステリ。 日本のハードボイルドの新たな夜明けはいつ来るのか? 効率化とフェイクの時代に「ほんとうの探偵物語」を模索する主人公から目が離せない。 ――法月綸太郎氏 パズルだけでは味気ない。感傷ばかりじゃ満たされない。 私立探偵小説でしか味わえないミステリの美しさが、ここにはある。 ――櫻田智也氏 「何者か」になりたい若者たちの熱量が心に刺さる。 不器用で愛おしい美学に心が震える、そんな素敵な“ストーリー”でした。 ――ヨビノリたくみ氏 「古着ってのはストーリーだから、あのデニムには価値が出たわけ」。私立探偵の苗場は古着屋の店主から、希少なヴィンテージデニムを持って失踪したアルバイトの捜索依頼を受ける。やがて苗場が到達した意外な真相は――(「ヴィンテージ」) 開業資金を持ち逃げした自称実業家の男。苗場は被害者から依頼を受け、男の隠れ家のビルを突き止める。しかし男は、乗り込んだはずのエレベーターから忽然と消失してしまい――(「溶けるように」) 若き私立探偵が遭遇した5つの事件。 クールでビターな、令和の本格探偵ミステリ。 -
真珠の耳飾りの少女[新版]
フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展、開催記念! 画家フェルメールに淡い思いを寄せ、名画のモデルになった少女フリートの運命は? 17世紀オランダ・デルフトを舞台に、神秘に包まれた巨匠の光と影に迫る。 -
蒐集家ジミーと難民少年トリスタン
切ない友情を描く珠玉のフランダース文学。 語れない過去を抱えた子どもと、守りたいと願った子ども。 この小さな友情は、 世界の残酷さを、 やさしく照らす。 ーーサヘル・ローズさん(表現者) 90年代後半のベルギー・フランダース地方。2歳年上のコソボ難民の転校生トリスタンのお世話係をしている10歳のジミー。家庭の愛に恵まれず孤独な思いをしながらも、フリッポ(スナック菓子のおまけのメンコ)の蒐集に情熱を燃やし、それ以外の時間はトリスタンが1日も早く地域に馴染めるように、彼と彼のきょうだいたちの世話を焼いている。トリスタンも、少しずつ過去の辛い思い出が薄れ、日に日に新しい生活に馴染むようになった。そんなある日、トリスタン一家に国外退去命令が下されてしまう。ベルギーに留まりたいトリスタンは、ジミーにある計画を持ちかけるが…。 オランダの2023年〈本の週間〉プレゼント本として刊行された、欧州の話題作。残酷な紛争を背景に、少年2人のちょっとずれていて切ない友情を描いた、珠玉のフランダース文学。 -
俺の恋バナを聞いてくれ
著者初!ポップでビターな恋愛エンタメ! 瓜生尊、29歳。必死に勉強して東京大学に入り外資系戦略コンサルに就職、最年少パートナーも目前で報酬設定は1時間4万円。いわゆる「ハイスぺ」だ。ある日、友人に無理やり参加させられた合コンに集まった女子は「量産型OL」で、尊は不機嫌になってしまう。後日、SNSに「久々に合コン行ってみたら、出てきたハイスぺ男が最悪だった話」というマンガがアップされた。どうやらあの時の尊がモデルらしいと知り、合コンで会った「黒髪ボブ女」ことミクにDMを送るが、返事は「別にあなたの話をしてませんけど」とけんもほろろ。マンガの続きが気になりSNSをチェックするようになった尊は、ミクの描いた1枚の絵にふと心を惹かれ――(「ハイスぺ」)。 シングルマザーの家に転がり込んだ游(「スカブラ」)、英国のカレッジで中国人の彼女と過ごす征爾(「スパダリ」)、妻に先立たれた医師・英樹(「イケオジ」)、彼女のアパートで朝を迎えた大学生の涼太(「ハングレ」)、パートナーと同棲中の人気漫画家・英二(「オレサマ」)。人生を豊かにする恋愛は、意外な形で現れる。不器用でどこか拗らせた男たちの、愚かで、でも心温まる珠玉の6作品を収録。 -
トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか
生誕150年、没後70年記念出版 トーマス・マンの作品は日本で繰り返し翻訳されている。大長編『魔の山』はこれまでに七人の翻訳家によって訳出され、代表作のひとつ、『トーニオ・クレーガー』にいたっては、この100年間で日本で17人の訳者によって翻訳され、刊行されているという事実が本国ドイツで驚きをもって伝えられた。なぜこれほどまでに日本で人気があるのか。 23歳で初の短編集を出版したノーベル文学賞作家の魅力はなんなのか。同じく23歳で芥川賞を受賞した日本のふたりの小説家が、ドイツの記念式典にも招待される世界的に著名な研究者とともに、文豪マンの作品について語り尽くす。 マンは1875年に北ドイツのリューベックに生まれ、1955年にスイスのチューリヒで死去。2025年は生誕150年を祝う式典が世界各地で行なわれ、ドイツでは四日間開催され、大統領も出席したという。なぜそれほどまで愛されるのか。 本書には、九州大学で行なわれた生誕150年記念講演およびその後の鼎談を収録するほか、マンが日本の知人に宛てた五つの書簡の翻訳も掲載。略年表やブックガイドも完備。トーマス・マンを味わい尽くす一冊。 [目次] トーマス・マンについて 小黒康正 トーマス・マン略年譜 小黒康正 日本の一愛読者 トーマス・マンと三島由紀夫 平野啓一郎 トーマス・マン生誕一五〇年記念講演会 新訳『トーニオ・クレーガー』への挑戦 小黒康正 ゲーテに倣いて トーマス・マンと『ゲーテはすべてを言った』 鈴木結生 芸術とその〝重み〞『 ファウストゥス博士』より 平野啓一郎 鼎談 講演を終えて 小黒康正×鈴木結生×平野啓一郎 私のゲーテ(西日本日独協会講演) 鈴木結生 トーマス・マンの日本人宛て五書簡 小黒康正訳 新訳『魔の山』への挑戦? 小黒康正 おわりに 小黒康正 コラム 小黒康正 日本におけるトーマス・マン受容 トーマス・マン研究と九州大学 『トーニオ・クレーガー』か『魔の山』か? トーマス・マン文学のための登山ガイド -
グレタ・ニンプ
綿矢ワールド全開のデビュー25周年記念作! 2001年『インストール』で文藝賞を受賞し作家デビューしてから25年。前作『激しく煌めく短い命』で女性同士の恋愛を描いた綿矢さんが新たに挑んだのは――綿矢作品史上最もファンキーな主人公が大暴れする“妊婦コメディ”小説! ◎本書より 「青春むだにするほど勉強したのに、働き盛りの繁殖期には全部中断して、産め産めって!そりゃねえだろ!クソッ」 「いくら金なくても、国のために子どもなんか産むか、ボッケエエエエエ!」 「あああ、もう声出さねえと、やってられねえ!痛い!めちゃくちゃ痛い!腹ん中で赤ん坊が暴れ回ってやがる!」 ◎内容紹介 俊貴は控えめで笑顔が可愛い由依と結婚する。不妊治療を4年続けた末、夫婦2人で生きていくと決めた矢先、俊貴が仕事から帰宅すると、由依が珍妙な格好で踊っていた。「ヨウセイダーーーーッ!」。妊娠した喜びで(!?)由依は内面、外見ともに豹変。髪型はデニス・ロッドマンのように、喋り方は『ドラゴンボール』の孫悟空のようになる。 驚きと笑いに満ちた夫婦の日々を描いた「グレタ・ニンプ」と、バレンタインに手作りチョコを!壮絶な一夜の奮闘を描いた「深夜のスパチュラ」の2編を収録。 (底本 2026年1月発売作品) -
くらやみ小学校
学校の怪談より怖い! 今も昔も、学校で、誰かが泣いている。 「先生」の衣をまとった怪物、「教育」の名を借りた差別、給食、プール、たてぶえ、あの因習が許されてしまった時代……。ほがらかな教室に、突如現れる不条理世界。なぜ? みんな忘れてしまったの? 生徒に「せっしょうすぎること」を強いる市立小学校の女性教師。「私、ぜったい許さへん」。少女たちが企てた復讐とは……。(「プールがいや」) 同級生の死を知らされた私は、いてもたってもいられず新幹線に飛び乗った。中学時代の先生に、抗議するために。(「数学のこわい先生」) チアフルでブライトな学年一の人気先生――彼女はなぜ豹変したのか。その深層心理を探る。(「ランドセルを持った女」) LINEトークで話した同級生は、かつてはもの静かで百合の花のようだったのだが……。(「うつろい」) 学校の怪談より怖い! 吐き気がするほど“ピュア”に描く、昭和・平成・令和の翳り。 -
蒼老たる浮雲
遥かな風の夜の悪夢にも似た不思議な小説 隣り合せの家に住む二組の夫婦の奇妙な物語 隣り合せの家に住む二組の夫婦の奇妙な生活。異様なイメージと出来事が奔流のように押し寄せる、現代中国文学の最前衛、残雪の衝撃作。 棟続きの家に住む二組の夫婦。戸口の梶の花のにおいに心乱された更善無(コンシャンウー)は、隣家の女、虚汝華(シュイルーホア)に怪しげな挙動を覗き見られて動揺する。虚汝華の夫の老况(ラオコアン)は生活能力のない男で、しじゅう空豆を食べている。女房の好物は酢漬けきゅうり。家の中では虫が次から次へと沸いて出て、虚汝華は殺虫剤をまくのに余念がない。ある夜、梶の花の残り香の中で、更善無と隣家の女は同じ夢を見た……。髪の毛が生える木、血のように赤い太陽、夥しい蛾や蚊、鼠。死んだ雀。腐った花の匂い。異様なイメージと夢の中のように支離滅裂な出来事の連鎖が衝撃を呼ぶ中篇『蒼老たる浮雲』に、初期短篇「山の上の小屋」「天窓」「わたしの、あの世界でのこと」を収録。アヴァンギャルドな文体によって既存の文学の枠組を打ち破り、現代中国の社会と精神の構図を深い闇の底から浮かび上がらせた残雪(ツァンシュエ)作品集。 [目次] 蒼老たる浮雲 山の上の小屋 天窓 わたしの、あの世界でのこと―友へ― 訳者あとがき [原題]蒼老的浮雲 -
イーサン・フロム
『無垢の時代』の作家の別の顔、待望の新訳 「ものいわぬ白い雪原のように寡黙なイーサン・フロム。その“雪”の下には、『嵐が丘』のヒースクリフを思わせる孤独な魂の死闘の物語があった」――小川公代氏(英文学者) マサチューセッツ州スタークフィールドで冬を過ごすことになった語り手の「私」は、足をひきずった寡黙な男をたびたび見かけていた。聞くに、イーサン・フロムなるこの土地の男で、かつてひどい「激突」を起こして以来、足が不自由になったのだという。思いがけず「私」はフロムに馬橇で駅まで毎日送迎してもらうことになるが、ある晩、ふたりは帰り道に吹雪に巻き込まれ、フロムは途上にある自宅に「私」を招き入れる。そこで「私」が目にしたものとは――。寒村の孤独、親の介護、挫かれた学業、妻の病……厳冬に生を閉ざされた主人公フロムを襲う苦難、そんな日々に射し込んだささやかな幸福、その果てに待ち受ける悲劇を精緻な技巧で描くアメリカ文学の古典。 -
ほくほくおいも党
お父さんに家族との対話を要求します! 高校三年生の千秋は、父と兄との三人暮らし。左翼政党員の父は、勝てない選挙に出続けて六年。兄は父の出馬をきっかけにいじめられ、引きこもりになった。母は同じころ家を出た。政治と政党に没頭し話の噛み合わない父だが、千秋は対話をしたいと願う。 すれ違う三人の家族を中心に、左翼政党員を親にもち風変わりな名前の自助サークルに集う「活動家二世」たち、震災のボランティアをきっかけに政治活動に出合う青年、高校の生徒会長選挙のドキュメンタリーを撮ることで新たな視点を得る高校生──それぞれの姿を家族の物語とともに描く全六話。 わたし選挙権の話なんてしてないじゃん。話聞いてよ──「千秋と選挙」 母の言葉とわたしの言葉はちがうのに、わたしは母の言葉を借りてしまう──「佐和子とうそつき」 どっちもそのひとで、どっちも親子の本当じゃん──「和樹とファインダー」 ボランティアって素晴らしいと思ってん──「康太郎と雨」 親父は結局、子どものことなんて考えてないんです──「健二とインターネット」 話すことを諦めたら、わたしはお父さんを憎んで、憎んで憎んで、死んでほしいと思っちゃうかもしれない──「千秋と投票日」 -
盗んで食べて吐いても
どうかあなたに、希望の光がさしますように。 「太ったら、食べちゃダメなの」。幼いころに聞いた母の言葉をずっと忘れられないでいる早織。 早織は小学校6年生ごろから体重が増えはじめ、体型を何よりも重視する母は彼女の食事量を厳しく制限した。お菓子はダメ、お代わりはダメ。でも、もっと食べたい、もっと痩せたい。 早織は食べて吐くを繰り返すようになり、吐くための食料を手に入れるため、食べ物を万引きするようになってしまう。結婚をして夫と娘と仲良く暮らしながらも、彼女は万引きをやめられないでいた。 そんなある日、早織は妹からの電話を受ける。それはずっと避けていた母の命が、もう長くないと告げるものだった――。 母の呪縛。痩せたいという願い。間違いだとは分かっているのに、今日も彼女は正解を選べない。 既刊続々実写ドラマ化、『殺した夫が帰ってきました』『塀の中の美容室』で大注目の著者が描く新境地の傑作小説。 -
運命の終い
運命もロマンも信じない今の大人の恋愛とは。 花屋でパート勤務をしている主人公の彩香は、30代で未亡人となった。高校生の頃恋焦がれた20歳以上年の離れた数学教師との出会いを運命と信じ、想い続け、卒業後に2人は結ばれた。 娘も授かり幸せな生活を送っていたが、その最愛の夫はガンで他界。当時の彩香にとってすべてだった夫。 喪失感を抱え「もう運命なんて信じない。ロマンも要らない」とすべてを諦めて暮らしていたが、ある日、自分が失ってきたものの大きさに気づく。そして、焦燥感にも近い熱い衝動から偶然出逢った男性・今井と「雑な大人の恋愛」をすることに。 ほどよい距離感と大人のルールを決めて始まった二人の恋。だが、徐々にその関係性は歪に綻び始める。お互いを、「運命の果てに立ち尽くしていた者同士」と実感していたはずだったが、徐々に彩香の心には違和感が生じる。そして今井にも、打ち明けられずにいた「真実」があった・・・・・・。 不倫、泥沼、女性が悩み泣き濡れる恋愛・・・・・・。そんな「昭和・平成までの大人の恋愛」とは一線を画す、現代<いま>の大人の恋愛に「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」受賞の著者が真っ向から取り組んだ渾身の一作。 -
秋田にラスベガスを創る
「あいつらは本気だ!本気で秋田にラスベガスを創ろうとしている…」 IR法より20年早く、お台場カジノ構想より3年早く、カジノを核とする街づくりに挑んだ若者たちがいた。 「ラスベガスは何もない砂漠の上に創られ、世界中から観光客を集めている。だったら、秋田にだって世界中から人々を集める“本質的な魅力”を持った街を創ることができるはずだ」 若者たちは衰退に向かう地域の現実を直視し、誰も考えなかった方法でその流れに抗った。 彼らは自治体の事業を使ってラスベガスへの視察旅行を敢行。ラスベガスを手本に街づくりを行う“イーストベガス構想”を町長にプレゼンした。その提言に動かされた町長は次の選挙公約で「イーストベガス構想を研究する」ことを掲げた。また彼らは、秋田を面白くするために、数百人の“刑事”が秋田市街をフィールドに謎解きをしながら犯人を追いつめるリアル・ロールプレイングゲーム「大捜査線」を実行。さらに極寒の中、東京から街づくりの専門家を招き、彼らの構想を地域社会に問うフォーラムを開催した。 日本全体にとって人口減少が取り組むべき緊急の課題となっている今こそ、彼らの物語は意味を持つ。その戦いはとてつもなくユニークで爽快だ。 -
風の向こうへ駆け抜けろ3 灼熱のメイダン
人気シリーズ最終章!戦いの舞台は世界へ! 女性ジョッキーとして、かねてからの大きな願いを叶えた芦原瑞穂。 それは、夢だった中央競馬の最高格付けG1レース・チャンピオンズカップを制したこと。宿願を果たした瑞穂だったが、馬を、居場所を、厩舎を護るため、勝利に浸っている時間はなかった。日々はめまぐるしく過ぎ、次の大きな挑戦が目前に迫ってくる。それは、「ドバイワールドカップ」。メイダン競馬場で熱狂の中行われるレースから、昨年チャンピオンズカップを勝った名馬フィッシュアイズが招待されたのだ。「次世代を担う人になれ」・・・・・・。かつて瑞穂が、調教師の光司に言われた言葉。その言葉を胸に、渾身の熱意を込めていざレースに挑む瑞穂を始め、馬主や調教師、牧場主や厩務員などのスタッフたち。ライバルでもあり、同志でもある日本からの参戦者たち。そして、日本からそれぞれの想いを込めてレースを見守る人々。 多くの人の熱い心をのせて、華々しく火蓋を切ったレースの結果は。 そしてフィッシュアイズはレース後にどのような運命を歩むことになるのか。 一丸となった愛すべき緑川厩舎の面々の挑戦は、まだまだ続く。 己との闘いは、どこまでもどこまでも。 -
月とアマリリス
本屋大賞作家の新境地となるサスペンス巨編! 声なき声が届くなら、今度こそ記者を諦めない。 『52ヘルツのクジラたち』で2021年本屋大賞を受賞後、『星を掬う』『宙ごはん』で同賞に3年連続ノミネート。人間ドラマを中心に執筆してきた町田そのこさん、初のサスペンス巨編! 北九州市の高蔵山で一部が白骨化した遺体が発見された。地元のタウン誌でライターとして働く飯塚みちるは、元上司で週刊誌編集者の堂本宗次郎の連絡でそのニュースを知る。 遺体と一緒に花束らしきものが埋めれられており、死因は不明だが大きな外傷はなかった。警察は、遺体を埋葬するお金のない者が埋めたのではないかと考えているという。 遺体の着衣のポケットの中には、メモが入っていた。部分的に読めるその紙には『ありがとう、ごめんね。みちる』と書かれていた。 遺体の背景を追って記事にできないかという宗次郎の依頼を、みちるは断る。みちるには、ある事件の記事を書いたことがきっかけで、週刊誌の記者を辞めた過去があった。 自分と同じ「みちる」という名前、中学生のころから憧れ、頑張り続けた記者の仕事。すべてから逃げたままの自分でいいのか。みちるは、この事件を追うことを決めた──。 -
オリオンは静かに詠う
私は勝つ。聴こえない世界で、戦い抜く。 宇都宮のろう学校に通う高校1年生の咲季。重度の難聴である咲季は、他者とのコミュニケーションを避けがちだ。ある日行われた交流会で、聴者だが手話を使いこなす女子高生に出会う。しかし彼女が発したある言葉に、咲季はショックを受ける。落ち込んだままの帰り道、見つけたのは「おひとりさま専用」と書かれたカフェ。店に入った咲季を迎えたのは百人一首の歌を冠したパフェメニューだった。 競技かるたの読手でもあるカフェのオーナー・陽子に誘われるまま競技かるたを体験した咲季は、持ち前の負けん気と抜群の記憶力を発揮。そこに現れたのは交流会で出合った女子高生、カナだった。なぜか咲季に対抗心を燃やすカナも競技かるたに挑み、やがて二人はライバルに。 咲季が大会で戦うためには、読手が読む句を手話通訳してもらう必要がある。ろう学校の担任で手話通訳士の資格も持つ映美の通訳は、正確でタイミングも完璧。しかし映美は初めての大会直後、通訳を降りると言い出した。それにはある過去が起因していて……。 四人が抱える葛藤は計り知れない。しかし、かるたを通じ心を繋ぐことでそれを乗り越えていく。緻密な取材をもとに描き出した、著者渾身の青春小説。 -
逃亡犯とゆびきり
親友が、シリアルキラーになった。 フリーライターの世良未散のもとに「女子中学生墜落死事件」の執筆依頼が入った。エロやお笑い記事を書きながら、いずれは社会派のルポをと願っていた未散には願ってもない仕事だ。 転落死した15歳の少女・清水萌香は、死亡時スマートフォンを所持しておらず、「あたしは一一七人に殺された」という遺書を残していた。周囲の人間の、萌香に対する評価もさまざまだ。深まる謎に翻弄されつつ書いた記事の「前編」が雑誌に掲載された日、未散のスマホに着信が入る。それは、高校時代、未散にフリーライターとしての基礎をもたらした、親友・古沢福子からだった。「記事、読んだぞ」「2-Aの神崎を思い出したよ」とだけ告げて電話は切れる。しかしその言葉は、萌香の抱えていた闇を明らかにするものだった。 事件の真相に迫る「後編」の記事は評判を呼び、未散はライターとしての知名度を上げる。しかしそれを福子に伝えることは叶わない。なぜなら、福子は4人の男女を殺害した容疑で指名手配中の身だからだ。どこにいるかも、連絡先もわからない。次第に、未散は福子からの電話を心待ちにするようになる。それが、前代未聞の事件の端緒になるとも知らずに……。 -
サンナムジャ ~ヤンキー男子がK-POPに出会って人生が変わった件~
笑えて泣けてかっこいい青春学園ストーリー! 「借金、100万円!?」 ある日突然、馴染みの焼き肉店「サンナムジャ」から“出世払い”で飲み食いしてきたツケを支払うように迫られたヤンキー高校生の春井戸貫太。 そんな貫太にいいアイデアを思いついたと伝えたのは同じく「サンナムジャ」の常連・殿上七海だった。貫太の高校で韓国語部の顧問を務める七海は、実は元K-POPアイドル。 七海はそんな自身の経験をいかし、貫太と韓国語部のメンバーでアイドルグループを組み、テレビ番組のコンテストで優勝し賞金を獲得しようと持ちかける。 しかし、貫太を含め韓国語部のメンバーは皆ひと癖もふた癖もある生徒ばかり。七海に巻き込まれ渋々歌とダンスの特訓を開始するが、もめないはずもなく……。 夢破れた大人と個性的な生徒たちの逆転劇、笑えて泣けてかっこいい青春学園ストーリー! -
だめになった僕
著者23年ぶりの書き下ろし長篇恋愛小説。 綾「私は初めて会った16年前から涼さんを愛し続けている」。涼「僕にかかわった者は、みんな死んでしまう。女も男も。僕が綾を愛しすぎているせいで」―― 音村綾(旧姓・上里)は30代半ば。現在は信州でペンション経営兼漫画家として活躍。夫・子ども・母と4人で暮している。 祥川涼。画家。40代後半。妻を失い、その後同棲していた女性とも別れ、現在は酒浸りの日々を送っている。 冒頭の「現在」では、綾のコミック発売記念サイン会のシーンの衝撃的事件から始まり、「1年前」「4年前」「8年前」「10年前」「12年前」「14年前」、そして二人が出会った「16年前」へと時をさかのぼり「現在」に戻る。謎とサスペンス、そしてストーカー小説の雰囲気も交えた〈究極の恋愛小説〉である。 この作品は、2001年に刊行された『もう切るわ』以来、23年ぶりの「書き下ろし」長篇! (底本 2024年10月発行作品) -
僕たちがゲームに人生を賭ける理由
舞台はゲームの甲子園。熱い夏が始まる! 「ゲームで日本一を目指しているって本気で言える場所がやっと見つかったんだ」──。 きっかけは味気のない告知投稿だった。会場である逗子・葉山の温泉旅館「乙や」に集まったのは、レトロゲームのプレイ動画配信をする高校二年生の神谷かんなと、就活中の大学生・永倉水芭蕉の二人だけ。大会はグダグダに終わったが、主催者である瀧口一路にはある強い想いがあった。 思わぬ形で出会った三人の力が、全国高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0」を前にかちりとはまる。親が与えてくれたものと、自分たちがこれから新たに創り出すもの。大人になる一歩手前の高校生たちが、自分たちの力だけで全国制覇を目指す。 いま目撃しなければ、きっと後悔する。令和のウェブ世界で生き方を探る、Z世代とその親たちのまったく新しい青春小説! -
鳥と港
“これから”の働きかたの物語。 大学院を卒業後、新卒で入社した会社を春指みなとは九ヶ月で辞めた。所属していた総務二課は、社員の意識向上と企業風土の改善を標榜していたが、朝礼で発表された社員の「気づき」を文字に起こし、社員の意識調査のアンケートを「正の字」で集計するという日々の仕事は、不要で無意味に感じられた。部署の飲み会、上司への気遣い、上辺だけの人間関係──あらゆることに限界が来たとき、職場のトイレから出られなくなったのだ。 退職からひと月経っても次の仕事を探せないでいる中、みなとは立ち寄った公園の草むらに埋もれた郵便箱を見つける。中には、手紙が一通入っていた。 「この手紙を手に取った人へ」──その手紙に返事を書いたことがきっかけで、みなとと高校2年生の森本飛鳥の「郵便箱」を介した文通が始まった。 無職のみなとと不登校の飛鳥。それぞれの事情を話しながら「文通」を「仕事」にすることを考えついたふたりは、クラウドファンディングに挑戦する。 『ブラザーズ・ブラジャー』『人間みたいに生きている』の新鋭が描く“これから”の働きかたの物語! -
アルプス席の母
まったく新しい高校野球小説が、開幕する。 秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。湘南のシニアリーグで活躍する航太郎には関東一円からスカウトが来ていたが、選び取ったのはとある大阪の新興校だった。声のかからなかった甲子園常連校を倒すことを夢見て。息子とともに、菜々子もまた大阪に拠点を移すことを決意する。不慣れな土地での暮らし、厳しい父母会の掟、激痩せしていく息子。果たしてふたりの夢は叶うのか!? 補欠球児の青春を描いたデビュー作『ひゃくはち』から15年。主人公は選手から母親に変わっても、描かれるのは生きることの屈託と大いなる人生賛歌! かつて誰も読んだことのない著者渾身の高校野球小説が開幕する。 -
あすは起業日!
人とお金と人生について学べるビジネス小説! コスメ業界で働く加藤スミレは、リモートでゆるく働く毎日にどこか物足りなさを感じていた。そんなスミレにあるとき、上司から突然の「クビ」宣告が。絶望するスミレだったが、ハローワークや周囲の人の話を聞くうちに、かつて「起業したい」と感じていたことを思い出す。昔から本が大好きだったスミレ。これはもしかして「好きなことで生きていく」に挑戦できるラストチャンスでは? 転職先も決まらず背水の陣となったスミレは、意を決して起業家の知り合いを訪ねてみるが……。 スキルも人脈もお金もないスミレは、本への熱い「想い」だけで起業できるか!? 貧困、孤独、どん底から這い上がり夢を実現させた女社長の唯一無二のスタートアップ奮闘記! キャリアや恋愛に悩みながらも、資金調達や仲間集めといった困難のひとつひとつに体当たりで立ち向かっていくパワフルな主人公の姿をリアルに描く。 電通での激務を経てオンライン書店「Chapters(チャプターズ)」を起業した著者が、これから起業を考える全ての日本人に贈るビジネス小説。 -
日本ホラー小説大賞《短編賞》集成【全2巻合本版】
日本ホラー小説大賞、角川ホラー文庫の歴史を彩る名作たちが、まとめて読める! 小林泰三の色褪せないデビュー作「玩具修理者」。「十年に一人の才能」と選考委員から絶賛された沙藤一樹が描く、ごみにあふれた橋で少年の死体と一緒に発見された、一本のテープを巡る物語「D-ブリッジ・テープ」。町会館で見つけた古本を手にしたら……。異色の怪談、朱雀門出の「寅淡語怪録」など、計11編を収録。《大賞》では測れない、規格外の怖さ。奇想天外な《短編賞》の世界を味わってみませんか? <収録作品> 小林泰三「玩具修理者」 沙藤一樹「D‐ブリッジ・テープ」 朱川湊人「白い部屋で月の歌を」 森山東「お見世出し」 あせごのまん「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」 吉岡暁「サンマイ崩れ」 曽根圭介「鼻」 雀野日名子「トンコ」 田辺青蛙「生き屏風」 朱雀門出「寅淡語怪録」(「今昔奇怪録」の原題) 国広正人「穴らしきものに入る」 *日本ホラー小説大賞《短編賞》受賞作から11編を収録しました。 ※本書は2023年11月刊行の『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成1』と『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2』を合本したものです。 -
ハルムスの世界
出来事=偶然の超短篇 「ある日のこと、オルロフはえんどう豆のピュレをいやというほど食べて死んだ。クルィロフはそのことを知って、やはり死んだ。スピリドノフは勝手に死んだ」 (「出来事(ケース)」より) 長くソ連では当局に禁止されていたものの、いまやロシアはもとより、欧米諸国でカルト的な人気を集めているダニイル・ハルムス。ロシア・アヴァンギャルドの終焉に燦然と輝くハルムスは、そのミニマルな文体、意味と無意味の戯れ、ユーモアと不条理で、「ロシア文学」のイメージを颯爽と覆す。 代表作である生前未刊行の短篇集『出来事(ケース)』と、訳者がセレクトした短篇38篇からなる旧版に、新たに訳出した10篇〈アンコール・ハルムス〉を加えた増補版として待望の復刊。岸本佐知子氏推薦! -
教室のゴルディロックスゾーン
自分だけの孤独を大切にしてください。 中学校のクラスに馴染めず、現実から妄想の世界に逃げがちな依子。彼女が頼れるのは 父と、幼い頃から一緒に育ってきた愛犬のトト、そしてたった一人の友人・さきだけだった。しかしクラス替えからしばらくして、さきは依子を避けるようになる。 どうして? なんで? 今までのようにさきと仲良くしたい依子だったが、新しい友達と一緒にいるさきは、話し掛けてもすぐに離れていってしまう。 いっぽう、クラスメイトの伊藤さんは、クラスでいちばん目立つグループに所属しながらも、誰にでも分け隔てなく接してくれる女の子。優等生タイプの子にも、オタクっぽい子にも、そして依子にも話し掛けてくれる。 そんな彼女を好ましく思う依子だったが、伊藤さんと同じグループのリーダー・濱中さんに苦手意識を抱いているため、自分から話し掛けることはできなかった。 その後、事態は伊藤さんのけがを契機に思わぬ展開を見せる。 -
分解する
言葉と自在に戯れる、小説の可能性 「アメリカ文学の静かな巨人」のデビュー短編集。言葉と自在に戯れるデイヴィスの作風はすでに顕在。小説、伝記、詩、寓話、回想録、エッセイ……長さもスタイルも雰囲気も多様、つねに意識的で批評的な全34編。 ある女との短命に終わった情事を、男が費用対効果という観点から総括しようとする表題作「分解する」。救いのない不動産に全財産をつぎ込んだ男が、理想の家屋の設計の幻想を若い猟師と共有していくさまを描いて不思議に美しい「設計図」。語学講座のテキストの裏で不穏な自体が進行していく「フランス語講座その1――Le Meutre」。人生で何ひとつ成しえない男のオブローモフ的生活を描く「ワシーリィの生涯のためのスケッチ」。〈夫〉の喉にひっかかった小骨をめぐるどこかほのぼのとした「骨」や、長編『話の終わり』の原型とおぼしきファン必読の短編も。 -
カンヴァスの恋人たち
私は、幸せになるために芸術をやるんです。 碧波市の美術館に勤める学芸員の貴山史絵は、80歳の女性画家、ヨシダカヲルの展覧会を担当することになる。ヨシダは美術業界から一線を退いたあと、山奥のアトリエでひとり絵を書き続けていた。担当になった史絵は、東京で働く恋人との将来や、職場での人間関係、学芸員としてのキャリアに悩んでいた。今ではほとんど無名と言っても良いヨシダの展覧会開催に疑問を抱く史絵だったが、ヨシダとの交流を重ねるうちに、その不思議な魅力と、ひとり筆をにぎりつづける生き方に魅了され、自身も次第に変わり始める。 展覧会の準備に奮闘する一方で、史絵はヨシダの過去が気掛かりだった。一時は戦後の女性画家として名を上げていたにもかかわらず、なぜ表舞台から消えてしまったのか。ふたたび絵を描き始めるまでの空白の10年間に何があったのか。ふたりが心を通わせたとき、ヨシダが語るのは、秘められた愛についてだった――。 -
ピアノマン 『BLUE GIANT』雪祈の物語
『BLUE GIANT』もうひとつの物語。 沢辺雪祈は、言葉を覚えるより先に音を覚えた――。 幼い頃、音が「色」に見えた少年は、やがてジャズの魅力に取り憑かれ、運命の仲間たちと出逢う。目指すは日本一のジャズクラブ「ソーブルー」での10代トリオ単独公演! ただ真っ直ぐに、ただただ真摯にピアノと向き合い続ける青年は、夢の舞台で磨き上げたソロを響かせ、喝采を博すことができるのか!? 大人気コミックのストーリーディレクターが魂を込めて書き下ろすフルボリューム音楽小説!! 漫画でも映画でも描かれなかった『BLUE GIANT』もうひとつの物語。
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