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恐怖の帝王、デビュー50周年記念刊行の第4弾は、日本オリジナル中篇集。
日本初登場の「浮かびゆく男」に、幻の中篇2作をカップリングする豪華仕様!
「浮かびゆく男」
舞台はあのキャッスルロック。ITデザイナーのバツイチ独身40男スコットは190cm、120キロはあろうかという大男だ。ところが、外見はまったく変わらないのに、体重だけが減りつづけるという不思議な現象に悩まされていた……。
ホラーストーリーにもなりそうな設定から、まさかのハートウォーミング展開という、意表を突く一篇だ。
「コロラド・キッド」
メイン州の小さな島の新聞社にインターンでやってきたステファニーが、ふたりの老記者ヴィンスとデイヴから聞かされる奇妙な物語――。
今をさること20年前のある朝、島の海岸でごみ箱に寄りかかってこと切れていた身元不明の男の遺体が見つかる。ヴィンスとデイヴは「コロラド・キッド」と呼ばれるようになった男が、なぜ縁もゆかりもない島にやってきて命を失うことになったのかを執拗に追ったが……。
かつて『ダークタワー』シリーズのノベルティとして抽選で配布された非売品、という幻の作品が、18年の時を経て一般発売。
「ライディング・ザ・ブレット」
メイン州立大学に通うぼくに、ある夜電話がかかってきた。母ひとり子ひとりでぼくを育ててくれた母が倒れたというのだ。ぼくはヒッチハイクで夜を徹して病院に向かうことを決意する。ところが乗り継いだ車の運転手の様子がどうもおかしい――。
2000年に単行本で刊行されてから、長く幻の一冊になっていたホラー中篇が復刻。
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Posted by ブクログ
日本のキングファンにとって幻の作品とも言える二作がついに一般に流通!
これだけでも嬉しいのに新作も一篇入っていて控えめに言って特別な一冊でしょう。
ちょうど本なんて読む余裕がなかった時期で、限定的な出版であったことを後から知って本当にショックだった。その後何年もふとした時に思い出しては悲しい思いをしてたけど、ついに読むことができて感無量。内容や出来とかもう関係ないレベル。
そんな思い入れをなんとか排除しての感想は、キング作の中ではまあまあってところかな。
キング中編はハイレベルのものが多いことを考えるとやや物足りない。
浮かびゆく男
この作品で一番のポイントはキャッスルロックが舞台であること。
よく知った地名や人名が登場するばかりか、なんと観光気分も味わえてしまう。久しぶりに里帰りした気分になれる。全力でファン向けサービスでしょう。
内容自体は綺麗にまとまっていて読後感も素晴らしい。パノラマ島綺譚を想起させる場面があった。
コロラド・キッド
実際の理由は知らないけど邦訳本に入らなかったのもわかるような気がする内容だった。
これは好き嫌いが別れる。序盤こそ面食らったものの、こういうものなんだと飲み込めればあとはキングの運転で連れて行ってもらうだけ。
本作だけ本人のあとがきが付いてるのが笑える。ちょっと言い訳がましいよね。優しいんだよね。もっと突き放してくれてもいいんだけどな。
ライディング・ザ・ブレット
三作の中で一番好き。これぞキング。
王道ホラーの要素てんこ盛りでどこを取っても不気味さが漂う。はっきりと見えてくるような気がする見事なホラー的風景描写。
これを限られた人がダウンロードでしか読めなかったというのが悔しい。嫉妬。
もっとゲス路線に振ってるほうが好みだけど、これはこれで哲学的で深みがあって満足度が高い。
Posted by ブクログ
「浮かびゆく男」2018年、「コロラド・キッド」2005年、「ライディング・ザ・ブレット」2000年。
キングの中編小説3本を収めた作品集で、一番長い「コロラド・キッド」は邦訳で200ページもあり、日本では普通に長編小説で通る長さ。一番短い「ライディング・ザ・ブレット」でさえ80ページほどある。
この3編を私が5段階で評価するとしたら、順に5点満点、3点、4点。
とにかく巻頭の「浮かびゆく男」が素晴らしい。
見た目や体積が変わらないのに体重がどんどん減ってゆく男性の、不条理なホラーSFで、合計20キログラムのダンベルを持って体重計に乗っても体重の数値は変わらず、人を抱きかかえてみるとその人は宇宙の無重力空間にかるかのように髪を逆立ててふわりと浮いてしまうというから、恐らく、反重力的な現象なのだろう。
しかし、この作品はなんにも怖くないのである。それは、渦中の男スコットは将来に待ち構えているに違いない死を全然おそれていないからだ。楽観視しているのではなく、死ぬなら死ぬでしかたがない、と静かな諦観の境地にあるのだ。
むしろこの作品は主人公の死へと向かいながらも明るく、ヒューマニスティックなファンタジーを描き出し、極めて感動的な作品となっている。
舞台はキングお気に入りの架空の田舎街、キャッスルロックなのだが、そこの住民はどうやら古びた保守主義者で共和党支持者が大半であるらしい。
レズビアンで同性婚をしたと公言してはばからない女性2人が街にやって来てレストランを構えると、古い頭の住民たちは彼女らを嫌って迫害する。アメリカはジェンダー問題に関してすこぶる進取的というイメージがあったが、田舎町なんかではやはりこうした雰囲気なのかもしれない。この部分、ちょうど第2次トランプ政権がいきなり「多様性」排除の大統領令を発し始めた現在と見比べて、ははあ、アメリカでもこの手の人たちが血気盛んに粋がってきているんだなあ、と感慨深い。ちなみに本作発表年は第1次トランプ政権の時代。
体重の減る男スコットが彼女らを一生懸命救ってやり、そのことで彼女らもようやく心を開き、街の人びとも彼女らの存在を認めるようになる。素晴らしいメルヘンではないか。
仲間たちの温かな支えに囲まれながら、スコットは体重1キロを切って死んでゆくのだが、スコット自身の静かな境地と友人たちの温かい友情のおかげで、むしろハッピーエンドであるかのような輝きを伴いながら、物語は終わる。
敢行時すでに71歳に至ったキングは、「恐怖の大王」から豊かさを増して、このように温かいファンタジーを書いてのけた。私はこの作品を最高に素晴らしいものと感じたし、この1作のためだけにも、これはいい本だよと人に勧めたくなる。
が、次の表題作「コロラド・キッド」はホラーならぬミステリーで、しかもあまり面白くない。キングはある時期からミステリも書くようになったのだが、私は実は今まであまり興味がなくて読んでいなかった。近いうちにキングのミステリーも読んでおきたいとは思っているが、本作はどうも好きになれなかった。はぐらかされたような感じが強すぎた。
最後の「ライディング・ザ・ブレット」は正統派の、アイディア自体は結構「ふつう」なホラー。本書の中では唯一「怖さ」のある作品。出来はまあまあといったところか。
Posted by ブクログ
エモすぎて心臓を掴まれまくり!スティーヴン・キングの中編短編3作を収めた作品集 #コロラド・キッド
■はじめに
スティーヴン・キングの中編2編と短編、計3作を収めた作品集。巨匠キングのパワーを感じられる内容で、ドエンタメをベースしながらホラーや超自然的現象もある。短いお話ながらどれもエモさも抜群で、心臓をぎゅと掴まれること請け合い。
本作に収められている作品は、これまで手に入りづらかったとのことですが、どれもキングらしくて面白い! どれも気軽に楽しめ作品ばかりなので、未経験の方にもオススメですね。
■各作品のレビュー
●浮かびゆく男
なぜか体重が徐々に少なくなって初老男性。体調変化に憂慮しつつも、隣人たちとの関係性改善を願う物語。
超自然的でありながらも、描いているのは素朴な人間同志の繋がり。土曜の深夜に観たくなる映画のように、感受性を高めてじっくりと味わいたい作品です。
主人公スコットが優しいんよ、この包容力こそ男子たるものですよ。中盤ディアドラからクドクド言われる場面なんか、私ならその時点で完全にブチ切れですよ。いやー心が広い。
マジ泣けるのは、なんつってもミシーからの電子メール 。人間生きてると色んな不遇があって、その結果と対策から人柄が形成されていく。それでも人の思いやりがさえあれば、より良く変わっていけるんすよね~ 一見あたりまえのように聞こえるんだけど、これが難しくてね、ほんとに。
あまりにいい話でしたわー、そしてなんとなく夜空を見上げたくなったのです。
●コロラド・キッド
90代と60代の超ベテラン記者二人と、女性の大学院インターン生がジャーナリズムについて語り合う物語。過去におこった奇妙な事件「コロラド・キッド」について考察を深めていき…
★5 おもろい!何これ!
序盤おじい二人と頭の良さそうなねーちゃんの会話がずーーーーっと続いて、何なのこれって感じなんですが、中盤から一気に事件の謎が押し寄せる。もう止まらない。
事件の言い回しや情報の出し方や、会話があっちゃこっちゃ派生する感じが粘着質たっぷりで大好き。これぞアメリカンエンタメ小説ですよ。セリフを眺めてるだけで目と脳が悦ぶ感じなんです。
終わり方もいいなぁ~ ぜひ最後まで作品を味わって作者からの「あとがき」までしっかり読んで欲しい。自分が本作を読みながらなんとなく感じてたことが書かれてました。そうそう、丸ごとふくめて楽しむのが人生っすよ。
●ライディング・ザ・ブレッド
大学生の寮で暮らしているアランは、母が脳卒中で倒れたと連絡を受ける。急いで帰りたいと思いつつも経済的に苦しい彼は、ヒッチハイクで実家に向かうことにした。途中ヒッチハイクがうまくいかず途方に暮れいると、ふと墓地が見えてきて…
ホラーとエモさの融合っぷりが半端ない短編。親としての気持ちも、子どもの気持ちも、痛いほどよくわかる。私は既に母を病気で亡くしてまして、特に物語の後半は胸に詰まるものがありました。
腎臓が悪かった母に、自分がドナーになれないかと提案した時は、めちゃくちゃ怒られましたね。親になってみるとその気持ちは当たり前なんですが、ガキだった私には今一つ理解できなかったなぁ。ただもっと一緒に時間を過ごすべきだったと後悔もしてまして… これからは存命中の父や今の家族の時間をもっと大切にしたいと思います。
■おわりに
スティーヴン・キングはデビュー50周年なんですね。まだまだ新作があるということで、もはやバケモンすね、マジ凄い。まだ名作と言われている作品がいくつも読めてないので、しっかり時間をとって楽しみたいです~
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