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赤パンラプソディ
「クセつよ」家族の愛おしく波瀾万丈な日々。 長年の夢であった小説家デビューを果たしたものの、担当編集者から「ボツ」をくらい二作目を出せず鬱々とする古都子は、漫画家である娘たちから60歳の誕生日を祝われ、赤いパンツをプレゼントされるがまったく喜べない。運動不足が祟り「脂肪肝」と診断され落ち込む長女・杏菜と、頑固でコミュ障だが天才気質の次女・瑠花、家族中から世紀末的に嫌われている夫と、愛猫のカンちゃん……。個性の強い4人+1匹の暮らしは一筋縄にはいかない。あるとき次女が、夫が建てた家を自分たちで稼いだお金でリフォームすると言い出して!? 46歳で大学入学、61歳で小説家デビューした著者が、自身の波瀾万丈な人生をベースに書いた、たくさん笑ってたくさん泣ける痛快「クセつよ」還暦小説!! -
愚か者の石
生きることは、まだ許されている。 明治18年初夏、瀬戸内巽は国事犯として徒刑13年の判決を受け、北海道の樺戸集治監に収監された。同房の山本大二郎は、女の話や食い物の話など囚人の欲望を膨らませる、夢のような法螺ばかり吹く男だった。明治19年春、巽は硫黄採掘に従事するため相棒の大二郎とともに道東・標茶の釧路集治監へ移送されることになった。その道中で一行は四月の吹雪に遭遇する。生き延びたのは看守の中田、大二郎、巽の三人だけだった。無数の同胞を葬りながら続いた硫黄山での苦役は二年におよんだ。目を悪くしたこともあり、樺戸に戻ってきてから精彩を欠いていた大二郎は、明治22年1月末、収監されていた屏禁室の火事とともに、姿を消す。明治30年に仮放免となった巽は、大二郎の行方を、再会した看守の中田と探すことになる。山本大二郎は、かつて幼子二人を殺めていた。 「なあ兄さん。 石炭の山で泣いたら 黒い涙が出るのなら、 ここの硫黄の山で涙流したら、 黄色い涙が出るのかねえ」 -
アフガンの息子たち
難民児童と施設職員の交流を描くYA小説。 スウェーデンの小さな町にある灰色の建物。高校を出たばかりの「わたし」は、保護者のいない難民児童が暮らす収容施設で働いている。職員は規則と指示に従うことを求められ、帰宅したら仕事のことは考えるなと言われるけれど、アフガニスタンから逃げてきた少年たちと日々接していると、それはとても難しい。「わたし」は、家族と離れ一人で逃げてきた14歳のザーヘルや17歳のアフメド、ハーミドという3人の少年たちと心を通わせるうちに、タリバンへの恐怖やトラウマに苦しむ彼ら、18歳になり施設を出なければならないことを恐れる彼らに寄り添おうとする。 静かな筆致で難民児童の現実と職員の葛藤を描いた、2021年北欧理事会文学賞(YA&児童部門)受賞作。 -
遥かなる航跡(集英社インターナショナル)
1972年、18歳の夏。カメラ好きのフランス人である「ぼく」は、偶然日本にやってきた。繊細で礼儀正しい日本人と触れ合ううち、急速に日本に惹かれていく自分。そして日本人の青年に誘われて瀬戸内海の島を訪れた「ぼく」は、そこで一人の少女と恋に落ちる……。それから30数年、日本人女性と結婚し、日本の会社のトップに上り詰めた「ぼく」のもとにある女性からの手紙が届く。シャネル日本法人社長が、自らの体験をもとに書いた自伝的小説。 -
冬に子供が生まれる
著者七年ぶりの新作長編!直木賞受賞第一作! その年の七月、丸田君はスマホに奇妙なメッセージを受け取った。 現実に起こりうるはずのない言い掛かりのような予言で、彼にはまったく身におぼえがなかった。送信者名は不明、090から始まる電話番号だけが表示されている。 彼が目にしたのはこんな一文だった。 今年の冬、彼女はおまえの子供を産む これは未来の予言。 起こりうるはずのない未来の予言。 だがこれは、まったく身におぼえのない予言とは言い切れないかもしれない。 これまで三十八年の人生の、どの時代かの場面に、「彼女」と呼ぶにふさわしい人物がいるのかもしれない。 そもそも、だれが何の目的でこの予言めいたメッセージを送ってきたのか。 丸田君は、過去の記憶の断片がむこうから迫ってくるのを感じていた──。 三十年前にかわした密かな約束、 二十年前に山道で起きた事故、 不可解な最期を遂げた旧友…… 平凡な人生なんていったいどこにあるんだろう。 『月の満ち欠け』から七年、かつてない感情に心が打ち震える新たな代表作が誕生。読む者の人生までもさらけ出される、究極の直木賞受賞第一作! -
タスキ彼方
戦時下と現代の熱い駅伝魂を描く感涙小説。 ボストンマラソンの会場で、とある選手から古びたボロボロの日記を受け取った新米駅伝監督・成竹と学生ナンバーワンランナー神原。それは、戦時下に箱根駅伝開催に尽力したとある大学生の日記だった。その日記から過去を覗いた二人が思い知ったのは、美談でも爽やかな青春でもない、戦中戦後の彼らの壮絶な軌跡。そこには「どうしても、箱根駅伝を走ってから死にたい」という切実で一途な学生達の想いが溢れていた。 現代の「当たり前」は昔の人々が死ぬ気で勝ちとってきた想いの積み重ねと知った彼らは・・・・・・・。そして、戦時下の駅伝を調べ、追う彼らに起きた、信じられないような奇跡とは。 先人達の熱い想いが襷として繋がり、、2024年、第100回箱根駅伝は開催される。 熱涙間違いなしの青春スポーツ小説、最高傑作です。 (底本 2023年12月発売作品) -
トヨトミの世襲~小説・巨大自動車企業~
衝撃の巨大自動車企業小説、ついに完結! 「99%が真実」という噂で書店から本が消えた!? 気鋭の経済記者が「覆面作家」となって、初めて書くことができた「世界一の自動車メーカー」禁断の真実。あまりに詳しすぎる内部情報や関係者しか知らない極秘ネタを小説に偽装したノンフィクションではないか……そう噂され、発売と同時にベストセラーとなった超問題作『トヨトミの野望』と続編『トヨトミの逆襲』。その「完結作」がついに発売! 世界中を襲った未曾有のパンデミックのなか、巨大自動車会社トヨトミも待ったなしのEV(電気自動車)シフト転換を迫られていた。しかし、販売ディーラーの相次ぐ「不正事件」や持ち株比率たった2%の創業家の「世襲問題」など暗雲が垂れ込める。カギを握るのは“トヨトミの母”と呼ばれる元女優の謎の老女。彼女がひた隠す「豊臣家の秘密」とは──。 「本書の内容のどこまでが事実でどこまでがフィクションなのか。これについて、巨大自動車企業に極めて近い経営者は99%が事実と私に言い切った」(夏野剛氏、『トヨトミの野望』文庫版解説より)綿密な取材をもとに描き、経済界を震撼させてきたトヨトミシリーズ。 その“衝撃のラスト”を見逃すな! -
アリとダンテ、宇宙の秘密を発見する
米国発、LGBTQ+青春小説の金字塔! 1987年の夏、メキシコとの国境に近い町エルパソ。両親と暮らすメキシコ系の15歳の少年アリことアリストートルは、自分にも家族にもまわりの世界に対しても、正体のわからない違和感と苛立ちを覚えていた。そんなある日、苦手な水泳の練習のために訪れたプールで、同い年のメキシコ系の少年ダンテと出会い、泳ぎを教えてもらうことに。独特の感性も臆さず、屈託なく自分をストレートにぶつけてくるダンテと、お互いの愛情を素直に表現し合う彼の家族に驚きつつも、アリは彼らに惹かれ、友情を育んでいく。そしてさまざまな「事件」や「別れ」を通して、アリはダンテとともに「宇宙の秘密」ーーこの世の真実に気づいていく…。 ラムダ賞、ストーンウォール賞他数々の文学賞を受賞、タイム誌の選ぶオールタイムベスト100冊(YA部門)選出、2023年9月には全米映画公開。十代から親世代まで、すべての人に今だからこそ読んでほしい、限りなく美しく瑞々しいLGBTQ+青春小説の金字塔! (底本 2023年8月発売作品) -
百年の子
昭和~令和へ壮大なスケールで描く人間賛歌。 人類の歴史は百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。 舞台は、令和と昭和の、とある出版社。コロナ蔓延の社会で、世の中も閉塞感と暗いムードの中、意に沿わない異動でやる気をなくしている明日花(28歳)。そんな折、自分の会社文林館が出版する児童向けの学年誌100年の歴史を調べるうちに、今は認知症になっている祖母が、戦中、学年誌の編集に関わっていたことを知る。 世界に例を見ない学年別学年誌百年の歴史は、子ども文化史を映す鏡でもあった。 なぜ祖母は、これまでこのことを自分に話してくれなかったのか。その秘密を紐解くうちに、明日花は、子どもの人権、文化、心と真剣に対峙し格闘する、先人たちの姿を発見してゆくことになる。 子どもの人権を真剣に考える大人たちの軌跡を縦糸に、母親と子どもの絆を横糸に、物語は様々な思いを織り込んで、この先の未来への切なる願いを映し出す。 戦争、抗争、虐待……。繰り返される悪しき循環に風穴をあけるため、今、私たちになにができるのか。 いまの時代にこそ読むべき、壮大な人間賛歌です。 -
ミセス・マーチの果てしない猜疑心
人気作家の妻ミセス・マーチには妄想癖がある。夫は殺人犯だと信じ込む彼女は調査を始め……現実が妄想に侵されるサイコミステリ -
サミュエル・ジョンソンが怒っている
「小さな黒いノート」に記録された実生活の断片 『分解する』『ほとんど記憶のない女』につづく、「アメリカ文学の静かな巨人」の3作目の短編集。内容もジャンルも形式も長さも何もかもが多様なまま自在に紡がれることばたちは、軽やかに、鋭敏に「小説」の結構を越えていく。作家が触れた本から生まれたミニマルな表題作「サミュエル・ジョンソンが怒っている」をはじめ、肌身離さず作家が持ち歩くという「小さな黒いノート」から立ち現れたとおぼしき作品など、鋭くも愛おしい56篇を収録。 「それらはいわば、彼女という人の「自分観察日誌」だ。[…]結晶となった言葉は硬く乾いてひんやりとして、元の感情からは慎重に隔てられているように見えて、目を凝らしてみると、行間から血のしたたるような感情が、生の痕跡が、透けて見える」(「訳者あとがき」より)。強靭な知性に支えられた作家の本領を味わえる1冊。 -
話の終わり
書くことをめぐる無二の長編 「翻訳の仕事をしていると、たまに「自分が今までに訳したものの中で一冊だけ自分が書いたことにできるなら何か」と質問されることがある。そんなとき、私はいつだって「『話の終わり』!」と即答してきた。それくらい私にとっては愛着の深い作品だ」(本書「訳者あとがき」より) 語り手の〈私〉は12歳年下の恋人と別れて何年も経ってから、交際していた数か月間の出来事を記憶の中から掘り起こし、かつての恋愛の一部始終を再現しようと試みる。だが記憶はそこここでぼやけ、歪み、欠落し、捏造される。正確に記そうとすればするほど事実は指先からこぼれ落ち、物語に嵌めこまれるのを拒む――「アメリカ文学の静かな巨人」デイヴィスの、代表作との呼び声高い長編。 -
すべての罪は沼地に眠る
クロエが12歳の夏、父はルイジアナ州の湿地で6人の少女を殺した。20年後、同じ手口の連続殺人事件が起きる。模倣犯の目的とは? -
捜索者
アイルランドの村に移住してきた元警官は消えた青年を捜すが――緻密な描写で年間ベストミステリに多数入選した重厚なる犯罪小説 -
渚のリーチ!
日本初、現役麻雀プロによる書き下ろし。 麻雀をもっと好きになりたいすべての人へ贈る、麻雀青春小説の誕生! 新人麻雀プロ大地渚、異名は"強気のヴィーナス" ITコンサルタントの仕事をしながら、大好きな麻雀に日々打ち込む渚は、もっと強くなりたいと願い麻雀のプロテストを受ける。プロ活動と会社員の両立、手痛い失敗や初めての挫折……プロ生活は試練だらけだったが、持ち前の強気と前向きなマイペースさを発揮し、一歩ずつ自分だけの雀風を確立していく渚。そんな彼女のもとにある日、大規模なナショナルリーグ設立の噂が舞い込んできて――。 「読むと心が奮い立つ」「勇気が湧いてくる」と感銘の声多数。麻雀の成績アップも――! ? 初代Mリーガー、日本プロ麻雀連盟A1リーガーとして躍動し続ける著者が 自身のプロ経験をリアルに反映させて描いた、新人プロ渚の挑戦の軌跡。 -
名前だけでもおぼえてください
孤独な老人と女芸人異色の漫才コンビ誕生! 売れないお笑い芸人、保美。芸を磨くべく日々精進するが、世間からは全く名前もおぼえてもらえないまま月日は残酷に過ぎてゆく。 事務所の先輩バンゲリング梶井がP1で優勝したとの報に触れ、焦り、もがき苦しむ保美。そんな保美に梶井は介護ヘルパーのアルバイトを引き継いで欲しいと賢造爺さんを紹介する。家族からも疎まれる頑固な賢造だったが、保美とは少しずつ心を通わせ打ち解けていく。そしてこれが保美の人生を変える運命の出会いとなる。 ある日、保美は漫才の営業先に賢造を連れていく。観客席にいる賢造は、勝手に舞台上の保美の漫才に合いの手を入れ、客席を爆笑の渦に。保美のマネージャー・関矢は、二人の見事な掛け合いに可能性を感じ、漫才コンビとして売り出すことに。 もくろみは見事に当たり、二人はお茶の間の人気者に。年齢差を超え生まれた笑いが、日本中に幸福をもたらし、押しも押されぬ売れっ子漫才コンビへとのし上がる。だが、数年後、高齢の賢造の認知能力に限界を来たし始め・・・・・人生百年時代、まだまだ続くと思われたコンビに危機が訪れる。最後に下した二人の決断が涙を誘う。 -
原罪 ~キツネ目は生きていた~
今年度最高密度のクライムミステリー登場。 「オレを捜せ」 昭和をもっとも震撼させた犯人から元・捜査員に手紙が来た。 1957(昭和32)年。カネがなく、集団就職列車に乗れなかった少年が津軽海峡を木舟で渡って襟裳岬の断崖をよじ登った。 27年後、少年は列島史上最大級の犯罪人となり、マスコミ、警察、拉致した社長宅に挑戦状、脅迫状を送り、キツネ目のモンタージュの顔を広く報じられる。 捜査員が行き着いたその男・キツネ目は、戸籍がない、係累がない、学籍簿がない、勤務証がない、結婚歴もない。半島を妹とさまよい歩いたほかに生きた痕跡は何もなかった。 犯行に至る男の相棒は、ひたすらの孤独と、ホルモンの串打ちと、美貌の女と、老婆。 時代の底を這いずった彼らの原風景と今を、いかなるノンフィクションも届かなかった圧倒的人間観察、圧倒的リアリティ、胸を搏つ衝撃のラストで揺さぶる、今年度最高のクライムミステリー。 (底本 2021年11月発行作品) -
ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ
バスク文学の新星による珠玉のデビュー作 著者と同名の語り手は、バスクの中心都市ビルバオから、講演する予定のニューヨークへ向けて飛行機で旅立つ。心に浮かんでは消えていく、さまざまな思い出や記憶……祖父の船の名前をめぐる謎。スペイン内戦に翻弄されたバスクの画家アウレリオ・アルテタと、ピカソの《ゲルニカ》にまつわる秘話。漁師として世界各地の海を渡り歩いた父や叔父たちのこと。移民や亡命者たちのささやかな人生。新たな家族への思い。そして今書いている小説のこと。無数に繰り返されていく連想の働きによって、それぞれのエピソードがまるで漁網の目のように編み合わされていく。 本書はスペイン国民小説賞を受賞、国際的にも注目され、これまでスペイン国内外の14の言語に翻訳された。失われゆく過去を見送りながら、新たな世界へと船出していく、バスク文学の旗手による珠玉の処女小説。 -
方丈平家物語
『平家物語』の作者は、鴨長明だった! 鴨長明の自伝と思しき古文書が見つかった。そこには彼の波乱に満ちた生涯と、『平家物語』が作者不詳に至った謎が詳細に綴られていた――映画「女囚さそり」シリーズ、「プライド 運命の瞬間」、「日本独立」監督による精緻で濃密な書き下ろし歴史小説。 短歌と、琵琶と、女人に生きた男の、我欲と失意と諦念。 京都日野にある某寺の、長年、開かずの扉と言われた土蔵から古文書、伝鴨長明作「方丈平家物語」が発見された。紐解いてみれば、どうやら鴨長明による自伝のようである。長明が、ツイていないが無常観だけでもない、日々の彩りの満ちた自らの人生と、平家一族の栄枯盛衰、源氏の台頭といった同時代を重ね合わせ、起こったこと、見たことをつぶさに記録している。まさに記録する男・鴨長明の面目躍如を果たしたこの書は、本物か、それとも偽書か。 -
グッバイ、コロンバス
デビュー作で全米図書賞受賞! アメリカを代表する作家、フィリップ・ロスの伝説の青春小説が待望の新訳で瑞々しく甦る。 真夏のプールで運命的な出会いを果たしたニールとブレンダ。二人はたちまち引かれ合い、結婚を意識し始める。若い男女の恋には危うさがつきまとい、季節の移ろいとともに、輝かしい日々は過ぎ去っていく。はかなくほろ苦い青春期の恋を瑞々しい文体で描いた永遠の名作。 「今から60年以上も前、1958年にフィリップ・ロスが発表し、1965年に佐伯彰一さんの名訳で日本に紹介された「さようなら コロンバス」をぼくが読んだのは、1969年、はたちになったばかりの時だった。その時に激しく心を揺さぶられ、この小説は一生忘れることのできない、ぼくにとって最もお気に入りのアメリカ文学の一つとなった。 その作品を新たに翻訳するという素晴らしい機会を与えられ、作業を進めながら、改めて強く思ったのは、本作がまったく過去のものにはなっていないということだった。主人公二人の不安や苦悩、葛藤、そして失敗は、具体的な状況やかたちこそ違え、今の若者たちにリアルに伝わるはずだ。「グッバイ、コロンバス」は1950年代後半のアメリカ社会のノスタルジックな青春小説、恋愛小説にとどまることなく、完璧に描かれた若者たちのみずみずしさとおろかさ、純粋と放縦、優しさとわがままゆえ、2020年代の今をも照らす永遠の輝きを放っている。」――訳者より -
ナポレオンじいちゃんとぼくと永遠のバラクーダ
小泉今日子さん推薦!心温まる家族の物語。 人生の旅を豊かにするのは、大切な記憶。 人生の旅を愉快にするのは、大切な仲間。 旅はいつか終わっても仲間が記憶を繋いでくれる。 心が温かくなる一冊です。 ―小泉今日子 10歳の「僕」の親友は、元ボクサーで85歳の祖父、ナポレオン。ふたりは「皇帝」と「副官」としていつも行動を共にする。スーパー高齢者の祖父はボウリングでストライクを連発し、失礼なチンピラを殴り倒し、エスペラント語で会話し、ディスコミュージックに合わせノリノリで踊る。だがこの頃様子がおかしい。長年連れ添った妻ジョゼフィーヌとの離婚を一方的に決めたり、ボクサー時代のライバルのことで隠し事もあるようだ。もともと折り合いの悪い息子(「僕」の父親)への態度も、どんどん悪くなっている。やがて、そんなナポレオンに「最後の戦い」の時がやってくる……。 破天荒な最強祖父と家族の秘密、老いを、相棒である10歳の孫目線で綴る、笑って泣けるフランス発家族小説。 -
現代のファーブルが語る自伝エッセイ 蝶の唆え
大人のための児童文学。 終戦直後の大阪郊外。製粉工場を買い取り事業を始める父、そこで雇われたインテリの経理、シベリア帰りで共産思想の叔父さん、子連れで食べ物を乞う深夜の訪問者、進駐軍の横流し物資を持ってくる伊達者などなど、敗戦直後の個性的な大人に囲まれ、少年はトンボや鯉をつかまえ、全身で自然を満喫して育ちます。 しかし好事魔多し、当時は死病とされる結核菌に襲われます。ストレプトマイシンが効を奏し、一命はとりとめたものの、学校は長期休暇、毎日寝て過ごさなくてはなりません。 病床の楽しみはラジオや新聞の絵物語。とくに山川惣治や樺島勝一の絵に魅了されます。そんなある日、従兄弟のお兄さんが持って来たのが昆虫標本でした。少年は「木組みがほぞ穴にはまる」ような快い衝撃を受けます。病床であるが故につのる昆虫採集への憧れ。戦前の図鑑を見ながら、遠く台湾への想いを深くする日々。 ひと昔前の日本人と社会風俗、そして少年の心象風景とあいまって、のちに虫好きフランス文学者の少年期が鮮やかに描かれます。ギンヤンマ、絵物語、カウボーイ、進駐軍、ラジオ……、懐かしいものがいっぱい詰まった「大人のための児童文学」です。 -
合本・人情刑事道原伝吉『雪山と執念』全3冊
短編集2冊、中編集1冊を合本にした読み応え版。 『白銀の暗黒』 読み応え十分の5つの中編ミステリーからなっている。 表題となった「白銀の暗黒」は、北アルプスの屏風岩で転落死した登山者のテントに別の登山者の凍死体が発見された事件が発端となった。 「潜伏」では、自分のミスから若い女性を死なせたこという思いから責任をとり辞職した元刑事が、数十年後、死の予感の中で、迷宮入りとなったその事件に、鋭い推理を働かせる。 『仮面の雪山』 手掛かりがなく、迷宮入りやむなしという、手掛かりのない3つの難事件に、豊科署の道原伝吉刑事が足を使い知力と執念で挑む。 表題となっている「仮面の雪山」。正月の北アルプスで遭難した大学後輩の救助に向かった中丸伊左男は、猛吹雪の中、捜索隊からはぐれ行方不明になってしまう。 二重遭難となったが、4日後、奇跡の生還を果たす。 しかし、そこには何かが隠されていた……。 「月の女神」は、大糸線穂高駅のホームで女性が倒れていたことが事件の発端。 おびただしい出血があり救急搬送されるが、病院に到着する前に亡くなった。検死の結果、銃弾による失血による死亡とされた。 数人しかいなかったホームでの銃撃だったが、銃声を耳にした者はいなかった……。 「絶頂の餓鬼」は、冬の北アルプスを山行していた4人パーティに悲劇が襲いかかった。 ストーブに使うホワイトガソリンが、水にすり替えられていた! 1人は生き残るが、3人が死亡。誰が何のためにそんなことをしたのか。 事件に潜む宿怨を、道原伝吉刑事が炙りだしていく。 『血の雪崩』 北アルプスの岳沢で、息子が雪崩に巻き込まれたとの報せを受け、冬山登山経験の豊富な父の中尾英助はただち救助に参加した。 夜になり、捜索はいったん打ち切りとなり、テントを張った。 翌朝、再開のはずだったが、中尾英助はテントの中で刺殺されていた。 捜索に参加した全員がシロとの判断が下される中、豊科署道原伝吉刑事は被害者のずさんな女関係に、事件の真相があるのではないのかと睨んだ……。 表題となっているこの「血の雪崩」のほか5つの短編からなる。 道原伝吉の、真実を見つけるための不断の努力、事件にひたむきに向き合う彼の姿に共感を覚えることだろう。 -
合本・人情刑事 道原伝吉 「山脈」全3冊
長野県警の人情刑事・道原伝吉の山岳ミステリーの中から、「山脈」というタイトルを三作品集めた面白い企画の合本。 伝吉の執念の捜査手腕は、三作品いずれも嘆息するほど見事。 「地下山脈」 北アルプス・常念岳に登るといって出かけた豊科町に住む家具販売会社社長が行方不明になった。 翌日、稜線から大きくはずれた森林帯で、会社社長は遺体となって発見された。 凍死と思われたが、現場には複数の人間がいたことを示す足跡があり、遺体には殴られた跡なども見つかったことで、殺人事件となった。 捜査は難航したが、刑事・道原伝吉は、かつて銀座のクラブで働いていた実可子という女性の存在に辿り着く。絡み合った男と女の情念を、伝吉は丁寧にほぐしながら、捜査を進展させていく。 「崩壊山脈」 北アルプスから下山した岩佐は、都内の愛人宅に部屋のドアを開けたところで殺害された。 凶器は、ピッケルと思われ、登山経験者が疑われたが、手掛かりに乏しく、捜査は手詰まりになったあたりで、また登山用具を凶器とする殺人が起きた。 地道な捜査がつづけられたが、犯人どころか、犯人像さえ浮かばなかった……。 はたして、執念の捜査が実を結ぶのか。長野県警豊科署の道原伝吉刑事が、金と色の欲にまみれた犯行を暴く! 「死神山脈」 安曇野のホテルの一室で女性の遺体が発見された。 当然、部屋を予約し、チェックアウトして姿をくらませた日比野が容疑者とされた。 だが、刑事・道原伝吉は地道な捜査により、日比野をかたった真犯人がいることを突き止める。しかし、目的はわからなかった。 捜査がゆきづまりを見せはじめた頃、第二の事件が起きてしまう。 その事件も、日比野をかたった凶行だった。 捜査をすすめる道原は、穂高、安曇野、そして東京が、欲と保身によってつながっていることに気づいた。 -
アップルと月の光とテイラーの選択
「心に神様がいる」少女が紡ぐ壮大な物語! 父親を交通事故で亡くした15歳の少女テイラー。その死はスキャンダラスに報じられ、母親は精神バランスを崩してしまう。心に壁を作ったテイラーは母と二人で孤独に暮らしていたが、ある日強盗に襲われ危篤状態に。病室に現れた精霊ジョイに導かれ、彼女は二つの人生を生きどちらかを選択することを迫られる。ひとつは意識を戻し後遺症を抱えて生きる人生。もうひとつは別人に転生し地球最後の日を見届ける人生。それぞれの人生で様々な出会いと学びを得たテイラーの選択とは?そして父の死の真実とは? 生命と宇宙、神と人間、愛と孤独……審査員に「心に神様のいる人」と言わしめた、「12歳の文学賞」大賞受賞者。恐るべき16歳が紡ぐ、「文学」の枠を遙かに超え、読む者の魂を激しく揺さぶる壮大な物語。 -
「神代教授の日常と謎」シリーズ【全3冊 合本版】 『風信子の家』『桜の園』『黄昏に佇む君は』
大人気シリーズ「建築探偵」でおなじみの、W大学文学部教授・神代宗が、その日常で出会った奇妙な事件の数々を綴る『風信子の家 神代教授の日常と謎』と『桜の園 神代教授の日常と謎』と、青年時代の彼が遭遇した事件『黄昏に佇む君は』の3冊合本版! 精緻なトリックと叙情豊かな物語が交錯するファン必見の作品集。 【3冊合本版特典】 ●著者直筆サイン ●神代邸の建築(現東京都文京区西片二丁目)について(*間取り図)は、合本版だけのオリジナル特典。京介、深春、蒼によるにぎやかな解説付き! ※本電子書籍は『風信子の家 神代教授の日常と謎』『桜の園 神代教授の日常と謎』『黄昏に佇む君は』を1冊にまとめた合本版です。 -
長い腕【全3冊 合本版】
東京近郊のゲーム制作会社で起こった転落死亡事故と、四国の田舎町で発生した女子中学生による猟銃射殺事件。「かごめ唄」に乗せて、動き出す新たな罠。愛媛県で町の有力者の娘が殺された事件――。ゲーム制作会社に勤務していたが辞職し、現在は、故郷である愛媛県の早瀬町に戻ってフリーデザイナーをしている島汐路。彼女の身の回りで起こる不可解な事件は、明治の名棟梁である近江敬次郎が仕掛けた恨みの罠だった……。全ての怨念はここに繋がり呪いは今成就されん。大いなる物語を一冊で読める、豪華合本版! ※本電子書籍は『長い腕』『呪い唄 長い腕II』『弔い花 長い腕III』を1冊にまとめた合本版です。 -
天国への階段 完結上中下巻セット【電子版限定】
白川道のミステリー巨編『天国への階段』上中下巻が電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『天国への階段(上)』『天国への階段(中)』『天国への階段(下)』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 ■『天国への階段(上)』 家業の牧場を騙し取られ、非業の死を遂げた父。将来を誓い合った最愛の女性・亜希子にも裏切られ、孤独と絶望だけを抱え十九歳の夏、上京した柏木圭一は、二十六年の歳月を経て、政財界注目の若き実業家に成り上がった。罪を犯して手に入れた金から財を成した柏木が描く復讐のシナリオとは?大ベストセラーとなったミステリー巨編。 ■『天国への階段(中)』 柏木の復讐のシナリオは着実に進んでいた。そんな中、元強盗殺人犯・及川広美が刺殺される。彼の更生を固く信じていた定年間近の刑事・桑田規夫は、弔いを誓い志願して捜査を開始する。その直後に発生した第二の殺人事件の意味とは?一方、柏木の背後には音もなく忍び寄る不気味な影が現れる。多くの思惑が交錯し、事態は急展開を始める……。 ■『天国への階段(下)』 復讐のため全てを耐え財を成した男。ただ一度の選択を生涯悔いた女。二人の人生が二十六年ぶりに交差した時、想像を絶する運命の歯車が廻り始める。次々起こる殺人事件。音もなく忍び寄る不気味な影。老刑事の執念の捜査。生者と死者。親と子。追う者と追われる者。孤独と絶望を生きればこそ、愛を信じた者たちの奇蹟を紡ぐ慟哭のミステリー。 -
憂鬱な恋の忘れ方
朝陽が昇る前に、あの人は部屋を出る。 彼女を知りたい。 でも、全部を知ったら、この恋は── 『明け方の若者たち』の著者が描く、 〝一生モノ〟の失恋小説。 就職活動が終わり、時間を持て余していた大学四年生の橘ユウスケは、インターン先で働く青羽ユウコに声を掛けられる。「ユウコとユウスケで二人ともユウだから、きみのこと、ユウくんって呼んでいい?」余裕の笑みから始まった人生最大の片想いは、失恋の形で幕を下ろす。社会人になり、仕事や新たな恋に邁進する橘だったが、新宿の紀伊國屋書店前で当時の上司と再会し、ユウコのSNSアカウントを知る――。 もう一度。いや、何度だって、あの人と。 -
ヒポクラテスの涙
命を救う現場に、闇は潜んでいた。 病に向き合うとは何か。医師であるとは何か。 救急再建に挑む幸田正太郎の前に立ちはだかるのは、 先進医療の名のもとに隠された病院の歪んだ実態だった。 患者を救うはずの医療が、いつしか別の論理に絡め取られていく―― 理想と現実を鋭く抉る、社会派医療小説 延命治療をめぐる騒動を機に前職を去った救急医・幸田正太郎は、 旧友に請われて関東臨海病院の副院長に就任する。 託されたのは、立ち遅れていた救急部門の再建。 地域医療の立て直しに奔走するなか、彼は腫瘍内科で相次ぐ患者の急変と、 先進医療を推し進める院内の不可解な動きに気づく。 新天地で託された使命の先に、正太郎を待っていたものとは―― -
海の底に雨は降らない
逆境のなかでは、人生を物語ることが救いになる? 介護していた母への自殺幇助容疑で捕まった光莉。 奪われた青春を取り戻す、彼女の再生の物語。 悲劇的に描かれがちなヤングケアラーの作品に反旗を翻した 『救われてんじゃねえよ』でデビューした著者、初の長編! 幼少期から十年間、学校にもほとんど通わず、北九州市の自宅で難病の母親をほぼ一人で介護してきた光莉。彼女は母の首吊り自殺を幇助した疑いで逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けてしまう。拘置所を出たあとは、叔母に引き取られて上京。二十歳の彼女は介護施設で働きながら中学の勉強をやり直すなど、青春を取り戻そうともがくなか、作家の日比谷と出会う。そして、自身の体験を小説にするよう勧められるのだが……。 -
飛距離の長い青春
今の輝きが、すべてじゃない。 過酷な医学部受験、その先にあるものとは――。 注目の作家が描く、ほろ苦い青春。 開業医の息子で、絶対に医者にならなければならない千浩。 真面目で努力家、あこがれの医者をまっすぐ目指す睦。 なんとなく周りに流されて医学部を目指している耕平。 タイプも様々な三人が出会ったのは、医学部受験専門の鳳緑予備校飯田橋校舎。浪人生として“人生のエアポケット”を過ごす彼らは、予備校の近くで行き会った救命救護をきっかけに距離を縮める。上がらない成績、親からのプレッシャー、大学生になった友人たち、挫折、葛藤、焦燥、諦念……。それでも前を向く三人の、よるべのない浪人生時代とその先を描いた傑作青春譚。 -
日本買収 団塊世代の天命
セブン&アイ買収未遂が意味するものとは何か? 太平洋戦争での敗北、バブル経済の崩壊と失われた30年。そして今、新たな悲劇が日本を襲おうとしている……。 企業法務のオーソリティである現役弁護士にして作家の著者が描く「日本復活への道」、逆襲の人間ドラマ!!︎ 誰もが「会社」という協同組合の聖なる祭壇への生贄だった。 70代半ばを過ぎた男女の恋と人生を通して浮き彫りになる、今の日本を創り上げた団塊の世代の記憶と悔恨、戦後日本の企業史の真実、日本的上場株式会社の終焉。彼らが最後に見出した「日本新生のシナリオ」とはいったい……? Japan for Sale! -
サチコ
褒められもせず、苦にもされず――。 そういう人で55年生きてきたサチコ。 「食堂キング」でアルバイトを始めて、 その人生にささやかだけど鮮やかな変化が訪れた。 両親が残してくれた1DKのマンションで一人暮らし。内向きで、控えめで、読書さえしてれば幸せ。「褒められもせず、苦にもされず」が生きるモットー。そんなサチコが55歳で長年勤めた職場を早期退職し、自宅から徒歩3分の「食堂キング」でアルバイトを始めた。初めての接客が不安なサチコだったが、気のいい店主夫婦やユニークなお客さんたちに囲まれ、遅ればせながら人生の色々を学んでいく。けれど、店主の腰痛が長引いて、キング閉店の危機が……!? ときにじんわり、ときにほろ苦く、どこか滑稽で――。ささやかな人生の豊かさを味わえる長編小説。 -
彼女の真実
ラスト1行に、あなたは絶望する! 地下アイドルと読モ。クラブカルチャーと援助交際。港区女子とギャラ飲み── 若さが消費される東京の光と闇を描いた群像劇サスペンス。 時代と街を超えて交錯する“彼女”の行方。紐解かれる衝撃の真実とは? 三つの時代、三つの街、三人の〝彼女〟 2009年・渋谷。ある日突然、姿を消した地下アイドルの友美。 1992年・池袋。援交の斡旋に関わる女子高生のなっつん。 2019年・西麻布。“ギャラ飲み”の胴元の正体を探る、港区女子の麻里奈。 華やかな表舞台の裏側には、腐敗した人脈と欲望が渦巻いていた。 そして、彼女はなぜ消えたのか? 時代を超えて交錯する物語は、衝撃の結末へとたどり着く。 -
耳なし芳一のカセットテープ
なんで誰も、この話(怪談)を知らないんだ? これは、実話を元にしたホラー……。 1980年代、人気ラジオ番組を録音していた男子高校生のラジカセから突然流れてきた、「耳なし芳一」の琵琶語り。その後このカセットテープを聞いた人には、次々と不幸が訪れた――。【耳なし芳一のカセットテープ】は、テレビでも取り上げられたほど有名な実話怪談のはずだった。なのに、誰も知らない。不思議に思い調べ始めた怪談師・馬代融が出会うのは、奇妙な偶然、とある冥婚の風習、そして強烈な悪意。果たして、この物語の行きつく先とは? 現実と物語が交差する、最恐の読書体験。 -
7人の7年の恋とガチャ
裏切り者を、探せ。 孤島に集められたのは、16歳から22歳の男女7人。 好感度の〝牢獄〟、背負わされた〝物語〟。 この番組(ゲーム)の行く末は? どうして7年ぶりにまた「恋ガチャ」をすることになったんでしょう。 声優志望の引っ込み思案な高校生、まつり。 容姿端麗、高校生クイズ王の虎太郎。 中三のデビュー以来メディアに引っ張りだこの小説家、琴葉。 チャラくて思い込みの激しい高校生、田中。 売れないシンガーソングライターの柚子。 元高校球児で、常に不機嫌な大夢。 役者の卵で、恋がわからないアキト。 一気読み必至の、恋愛リアリティショー×ミステリー! -
絵馬と脅迫状
医者、患者、病気、医学部、医学研究、医療。 生まれてから死ぬまで、人は病院と医者から離れられない。 「医」と「病」をめぐる6篇の傑作短編小説集。 学生時代に自殺した親友と瓜二つの男が、新人医師として自分が勤務する病院で働きだした。以後、不可解な事件が頻発する。彼は誰なのか?(「「爪の伸びた遺体」」)著書はベストセラー、新聞の人生相談も好評、患者からの信頼も厚い女性精神科医のもとに「二度と人前に出られなくしてやる」と差出人不明の脅迫状が届いた(「悪いのはわたしか」 )。信心がまったくない医学信奉者の内科医が、病院の近所にある神社で同僚外科医の絵馬「手術が無事に終わりますように」を誤って割ってしまった。以降、降りかかる悲劇 (「絵馬」 )。突如として髪が増え始め、若返った元教員・泉宗一(68)の数奇な体験 (「リアル若返りの泉」)など全6篇。 -
しずかなパレード
私はあの人と付き合うとるとよ。 あの人を好いとると。 そう言い残して、一人の女が姿を消した。 失踪したのか、死亡したのか――。 圧倒的な「不在」がもたらす感情を炙り出す、 不穏でミステリアスな物語。 誰にでも自分だけの神様がいるのかもしれない。 だとすれば、その神様は私の味方であるはずだ。 東京から佐世保の和菓子店に嫁ぎ、娘を育てながら若女将として生きる、晶。誕生祝いの夜、夫から贈られたエルメスのバングルを手首に巻きながら、好きな人がいる、その人のところへ行くと告げ、いなくなった。残された夫・伸吾の怒りと嘆き、愛人・武藤の不審と自嘲、捨てられたと感じながら成長する娘・結生……。「不在」の12年間を、さまざまな視点から綴る長編小説。 -
桜が散っても
時を隔ててわかる、愛するということ、家族であること “森沢文学”の真髄!心が静かに癒される、珠玉の家族小説 趣味の釣りをきっかけに、週末を桑畑村で過ごすようになった忠彦。現地でできた親友の浩之をはじめ、温かな人々や美しい自然に囲まれた桑畑村は、彼にとって「第二の故郷」と呼べるほどの場所だった。しかし、数年後、自身が勤める建設会社が桑畑村でリゾート開発を進めていることを知る。その事実を知った忠彦は浩之に会いに桑畑村へ向かうが、そこで人生を揺るがす出来事に遭遇してしまう。その日を境に、忠彦と家族の運命は大きく変わり出していき……。 不器用ながらも自分の信念を貫いた男と、その家族の絆を描いた感動の物語。 -
金融破綻列島
金融庁に潜り込んだ理由はただ一つ。 父の告発を握りつぶした犯人を見つけ出し、必ず復讐する。 日本国債の暴落を図る中国の脅威が増す中、 支援途上の大田原自工に降って湧いた買収計画ーー。 金融庁職員の彩は買収を目論む中国系企業を探りながら、 父の死の真相に迫っていく。 緊張感溢れる ノンストップ 経済ミステリ 金融庁・金融危機対応室に勤める香月彩は、業績悪化の一途を辿る地銀と中小企業のテコ入れを図る一方、父親の死の真相を探っている。 20年前、父は経営していた運送会社の粉飾決算に手を染めていた。良心の呵責に耐えかね告発を試みた父だが、告発文は握りつぶされ自死してしまったのだ。 もみ消した人間は証券取引等監視委員会の中にいる。絶対見つけ出し復讐するーー。 必死に勉強し金融庁に潜り込んだ彩の悲願は、果たして叶うのか。 -
報復の密室
島田荘司選 第13回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作! 「できるなら過去に遡り君を守ってやりたい」 最愛の娘が大学のキャンバス内で自殺をした。薬学部教授の大日方敏夫(おびなた としお)は、娘の千佳(ちか)が死を選ぶはずがないと真相を探る。千佳は生前、母である優子に、付き合っている人がいると打ち明けていた。しかし、相手の詳細は知らされておらず、ミステリーの文学賞に応募していることだけを伝えていた。敏夫は付き合っていた相手が殺人犯だったのではないかと疑いを持ち、自身の遺伝薬理学の知識を使って犯人を特定することを思いつく――。 密室殺人、理由不明の空き巣事件、犯人捜しの罠、ハウダニット的密室殺人、数珠つなぎに起きる事件にページをめくる手は止まらず、読み終えた後には家族の愛の物語に心を打たれる。 -
それはそれはよく燃えた
『黒猫を飼い始めた』『嘘をついたのは、初めてだった』『これが最後の仕事になる』『だから捨ててと言ったのに』『新しい法律ができた』に続く、会員制読書倶楽部:Mephisto Readers Club(MRC)で配信(公開)された大人気ショートショート集第六弾。 著者一覧(掲載順) 高田崇史 高田大介 歌野晶午 宮西真冬 風森章羽 丸木文華 米澤穂信 須藤古都離 篠原美季 島田荘司 神林長平 潮谷 験 古泉迦十 多崎 礼 市塔 承 黒澤いづみ 我孫子武丸 秋吉理香子 河村拓哉 矢樹 純 三津田信三 五十嵐律人 似鳥 鶏 恒川光太郎 皆川博子 -
ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅
「SFが読みたい! 2024年版」国内篇第1位著者が描く 本好きの、本好きによる、本好きのための本 消えてゆく本 書けなくなった詩人 「本の魔窟」に暮らす青年 本であふれた世界に、希望はあるか? 本を、小説を、書くことを愛しすぎている人たち<ビブリオフォリア>の紡ぎ出す、どこか切ない未来 作家は、小説は、本は、どういう未来に向かっているのかーー 読書に関する特殊な法律が課された世界の作家 「ハンノキのある島で」 正確に訳すことが限りなく不可能なマイナー言語の日本で一人の翻訳者 「バベルより遠く離れて」 あらゆる小説を斬りまくる文芸評論家が出会った、絶対に書評できない本 「木曜日のルリユール」 書けなくなった元「天才美人女子大生」詩人のたったひとつの願い 「詩人になれますように」 「本の魔窟」に暮らす蔵書家が訪れた不思議な古本屋 「本の泉 泉の本」 いろいろな書き手のもとを巡っていくダブルクリップの旅と、本にまつわる5つの物語 -
猫狩り族の長
今まで虚構を描いてきた。 初めて本当に思っていることを書きました――麻枝准 *** 『CLANNAD』『Angel Beats!』『神様になった日』―― 話題作を作り出し続けるカリスマの内心が初めて明かされる処女小説、緊急刊行 *** 海辺で出会った彼女は、美しく饒舌で世界で誰よりも――死にたかった。 猫が戯れるのを眺めていた女子大生・時椿は、断崖絶壁に立つ女性に声をかける。 飛び降りようとする黒髪の美女・十郎丸は、多くのヒット曲を手がける作曲家だった。 彼女は予想に反して、雄弁で自信に満ちた口調で死にたい理由を語ってのける。 人生で初めて出会った才能豊かな人間が、堂々と死のうとしている事実に混乱する時椿。 なんとかその日は十郎丸を翻意させ、下宿に連れて帰ることとなる。 なぜか猫に嫌われる死にたい天才作曲家と、何も持たない大学生。 分かりあえない二人の、分かりあえなくもあたたかい6日間が、始まった。 麻枝 准の生きている世界はこんなにも苦しくて、理不尽なものだった――。 「泣ける」ことだけにこだわり創作してきた彼が純粋に書きたいものを初めて書いた処女文芸作品。
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