いずれすべては海の中に

いずれすべては海の中に

1,760円 (税込)

8pt

最新の義手が道路と繫がった男の話(「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」)、世代間宇宙船の中で受け継がれる記憶と歴史と音楽(「風はさまよう」)、クジラを運転して旅をするという奇妙な仕事の終わりに待つ予想外の結末(「イッカク」)、並行世界のサラ・ピンスカーたちが集まるサラコンで起きた殺人事件をサラ・ピンスカーのひとりが解決するSFミステリ(「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」)など。
奇想の海に呑まれ、たゆたい、息を継ぎ、泳ぎ続ける。その果てに待つものは――。静かな筆致で描かれる、不思議で愛おしいフィリップ・K・ディック賞を受賞した異色短篇集。

アーシュラ・K・ル=グウィンや、ケリー・リンクの作風を受け継ぎながら、彼女自身の不屈の声が全面に響いている。
――〈カーカス・レビュー〉

幻想的な要素を含みながら、同時に、現実にある身近な喪失と痛みに根ざしたほろ苦い物語だ。この物語には、美しい繊細さがある。思索的(スペキュレイティヴ)な要素で読者の頭を殴ることはなく、物語の多くの側面を行間に残している。ピンスカーはサブテキストを非常に巧みに扱い、ページ上ではひとつの物語しか描かれていないが、読者にはふたつの完全な物語が提示されている。
――A・C・ワイズ(作家)

【短篇集として】
2020年度フィリップ・K・ディック賞受賞作
2020年度ローカス賞短篇集部門候補作
2020年度世界幻想文学大賞候補作

【収録作品一覧】
「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」(2015年度ネビュラ賞短篇部門候補作)
「そしてわれらは暗闇の中」
「記憶が戻る日(リメンバリー・デイ)」
「いずれすべては海の中に」(2017年度ネビュラ賞短篇部門候補作)
「彼女の低いハム音」
「死者との対話」
「時間流民のためのシュウェル・ホーム」
「深淵をあとに歓喜して」(2014年度シオドア・スタージョン賞短篇部門受賞作、ネビュラ賞中篇部門候補作)
「孤独な船乗りはだれ一人」
「風はさまよう」(2018年度ヒューゴー賞中篇部門候補作、ローカス賞中篇部門候補作、ネビュラ賞中篇部門候補作)
「オープン・ロードの聖母様」(2016年度ネビュラ賞中篇部門受賞作、ヒューゴー賞中篇部門候補作、シオドア・スタージョン短篇部門候補作)
「イッカク」(2020年度ローカス賞中篇部門候補作)
「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」(2016年度ヒューゴー賞ノヴェラ部門候補作、シオドア・スタージョン短篇部門候補作、ローカス賞ノヴェラ部門受賞作)

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いずれすべては海の中に のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    思うに短編小説というものは、何を語るか、と同じくらい、何を語らないのか、が大事なのだ。背理法を用いた美しい証明のように、不在の薄闇を重ねて輪郭を描く、その技術が。
    この作者はその何を語らないのか、を熟知している。

    0
    2025年08月26日

    Posted by ブクログ

    なんて言うか、もう、10冊分くらい読んだようなエネルギーを使いましたし、そのくらいの満足感に満ち満ちた読書でありました。

    13篇収録。

    話それぞれにみんな違ってみんな良い、想像力をフル稼働させないとあっという間に置いてけぼりにされそうな、とにかくひとつひとつの話にギュムッと想像の海が押し固められ

    0
    2024年10月24日

    Posted by ブクログ

    朝焼けを迎える宙なのか、それとも夕暮れに向かう海なのか、淡い彩色の装丁に包まれた物語の世界に浸ると空気の組成が少し変わり始める。忍び込んだ異質な空気が肺を満たすとき、追憶の中の未来- 辿り着くことのない、いつかどこか ーがゆらゆらと立ちのぼってくる。
    それは旅先で目にした知らないはずの風景に感じる懐

    0
    2023年06月11日

    Posted by ブクログ

    良質なSF!
    流れる空気感や、話ごとに徐々に明らかになる世界観への気付きが面白くてたまらない。
    収録されている話の順番も絶妙だと思う。
    「どういうこと?」「こういうこと?」「なるほど!」とどんどんサラ・スピンカーの世界観に引き摺り込まれていった。
    最後に"そして(Nマイナス)人しかいなくな

    0
    2023年01月27日

    Posted by ブクログ

    サラ・ピンスカーの短編・中編、全13編。これはジャケ買いしました〜
    寝る前に少しずつ読んでいたのですが、起きると「…はて?…」となってほぼ毎回読み返してました。
    全体的に淡々としていて、すごく突飛な事もあるんだけどそれも含めてやっぱり静かに進んでいくというか。どれもゆっくり旅をしてるみたいな…その世

    0
    2025年10月24日

    Posted by ブクログ

    フィリップ・K・ディック賞受賞作。SFは作者によって設定や世界観が似かよってくるように思うのだけれど、サラ・ピンスカーはとにかく引き出しが多い!一篇一篇の設定がフレッシュで、また一篇の世界観が浮かび上がってくるのに時間をかけるのがすごい。

    表題作は「いずれすべては海の中に沈むことについて、けれどい

    0
    2025年10月06日

    Posted by ブクログ

    ★3.8
    主に女性が主人公
    やさしい雰囲気のSF短編集
    というか SFなんだけどもSF的な要素はあくまでもギミックというかスパイスというかエッセンスというかでそれをベースにした物語なんだけども書きたいのはやはり「人」なんだなと

    池澤春菜の紹介で知ったけれど 彼女の初短編集を先に読んでたせいか かな

    0
    2025年05月19日

    Posted by ブクログ

    繊細で不思議な物語。

    本屋で表紙の美しさに目を惹かれて購入。13編の中短編が収めらています。
    ひとつひとつの話はおもしろいですが、新たな話に移るたびに、時代背景や状況を理解するのにちょっと苦労します。

    SF的なギミックやアイデアよりも、登場人物たちの心の機微の描き方がとても良くてそこに感動します

    0
    2025年03月22日

    Posted by ブクログ

    パケ買いしました。
    普段SFを読まないので、頭の中の使っていない部分を刺激されるような感じがして面白かったです。
    短編集なので星新一を想定していましたが、美しいどんでん返しを食らうというより、ここではないどこかへと誘われて暮らすような感覚になりました。

    0
    2025年01月24日

    Posted by ブクログ

    宇宙に旅立ち、持っていった人類の文明のデータが消えた後の世界、船内で音楽を演奏するグループに参加している女性の話が特に良かった。
    過去の名曲を再現しようとしても過去の作品全ては拾えない。
    今同じ時間に存在しているものにも思いを馳せたり、これから新たに作り出すことに勇気をもらえる話だった。

    「風はさ

    0
    2023年06月17日

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