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あたりまえのようにした結婚、心変わりを理由に迫られる離婚、メリットなしと決めた非婚、形にとらわれない事実婚。文藝賞受賞の実力派作家が、それぞれの胸の内をビビッドに描き、さめた愛でもなく、お金だけでもない関係を問いかける「結婚」本格小説。
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Posted by ブクログ
結婚について考えさせられる。梓に同情しながらも、自分らしく生きていけない不自由さについて考えさせられた。 梓も百合子も最後は自分らしく生きていくことができていて良かった。結婚したからこそ不自由で、結婚し続けても離婚しても自由になれる。
結婚をする道を選んでもしない道を選んでも得るものはたくさんある。失うものもある。どちらを選んでもそれがその人の人生。 私は、もう叶わないけど、あの人と結婚したかったな。
何かを得るというわけではないけど、共感する部分があった。 「それに音楽は体験だから、どういう心境でどういう状況でどういう場所で聴くかによって、受け取るものはちがってくるし、またそこが音楽のおもしろいところでもある。言葉で説明するわけじゃないから、受け取る側の自由度が大きいんだ」 「だって愛ってほん...続きを読むとはなんだか誰にもわからないのに、言葉だけはでんとこの世界に居座ってるから、オレたちはうかうかしてると愛に見放されるんじゃないかっていつもびくびくしてる」 「自分で見つけるしかないんだよ、正しい愛し方は。愛を持ち続けるためには孤独にも耐える自分自身を確立してなきゃだめなんだ。愛にすがって生きていくのはつらいし哀れだもの」 「愛を失っても生きていけるなにかがなければ、その人の愛は強くなれないのさ。オレには音楽がある」 「愛というのもまた、極めるべき一つの道として開かれてきたものなのだ、と。」
目次を見ると6章それぞれのタイトルが面白い。 無名だった作曲家の影山一輝の才能を信じ、彼を一流にすることを自分の役目と思っていた妻梓。好きな人が出来たから離婚して欲しいと言われ、嫌と答えた彼女。まだ好きだから?それとも妻の意地?離婚後の生活への不安? 列車の衝突事故が起きた時に連絡すべき相手がい...続きを読むないんだ…と気付いた時の梓の寂しさが痛々しい。こういう時にふと寂しさを感じる物なのですね。みんなお互いこの人しかいない!そう思って結婚するのにね~。ずっとその時の気持ちのままでいられたら良いけれどそうは行かないのがほとんど。 だから定年退職後に何もしない夫に不満を募らす主婦やそんな夫婦の元に生まれた娘は結婚はしたくない宣言。 梓が離婚を受け入れるのかその心の動きがリアル。でもまさか年下の作曲家からの提案に心が揺れてしまうとは…。結婚してもしなくても生きていくのは大変なことに変わりはないんですけどね。
谷川さんの作品を読むのはこれが三作目。 今回のテーマはズバリ『結婚』。 谷川作品に共通して感じる「大人の本音」は本作でもリアルに表現されている。 当たり前のように結婚した百合子、心変わりを理由に作曲家の夫に離婚を迫られる梓、結婚にメリットなしと非婚を選ぶ百合子の娘・香奈、事実婚で愛を貫く理比人、...続きを読む様々な愛の形が描かれる。 私も百合子の様にメリット・デメリットなど何も考えず当たり前の様に結婚してしまったので、今ならあの時の自分に良く考えるように伝えたい。 正解がないから難しい。 結婚制度について今一度考えさせられる作品。
離婚を切り出されてからの梓の一樹への想いは愛なのか執着なのか、それとも損得なのか。お金ではないといいながらブランドの服や銀のアクセサリを買えなくなることへの恐れもあり、なんだかくどくどと愛を語っているけど半分意地のような気もするし、あまり寄り添えなかったな〜。 結婚しないという香奈、それはそれでい...続きを読むいけど、いい歳なんだからまずは家を出ろと言いたい。いつまでも実家に住んで経済的にも生活的にも自立しないで楽ちんだからこのままでいいなんて、舐め腐ってる。親が娘を手放したくなくて甘やかすからいつまでも大人になれないんだと思う。 登場人物で唯一肯定的に読めたのは、理比人でした。
愛と結婚について、こんなにいちいち深く考えないから、ちょっと鬱陶しく感じながら読んだ。 梓は離婚を迫られたことで、これまでの結婚生活について振り返る。百合子は、結婚しないという娘を通して、結婚のメリットについて考え始める。 梓と一輝が結婚後、お互い本気でぶつかることなく、微妙にすれ違ったまま、遠い存...続きを読む在になっていく様子が手に取るように理解できた。梓は、一輝に対しては、愛という切り札を効果的には使えなかった。使うチャンスを逃し続けたように見える。でも、離婚しないと突っぱねながら、一度、とことん自分と向き合った結果、別の形の愛を見つけることができたんじゃないか。 百合子は、丁寧に淡々と毎日の生活を整えていくことで、夫秀人にとって知らず知らずのうちにかけがえのない存在になっていく。浮気がきっかけでその愛に気づいたと言うなんて、ふざけていると私は思うけれど、それこそが秀人が使うところの、愛という名の切り札だったのかも。 一人で生きる。それもいい。二人で生きる。それもいい。その二つをかなえるのが新しい結婚になるはずだ。まさに。
主婦の百合子とライターの梓の結婚後が、静かにリアルに描かれていました。百合子は平凡に逞しく、梓は揺れながら正直に、「結婚」や「愛」に真っ直ぐ向き合う姿がありました。読後ため息が出ました。
引き込まれて読んだ。 読んだけど、結局わからない、愛とは結婚とは。 いろんな形があるけれど そこにしがみつくのはなぜなんだろう。 答えを見つけたいようで、見ないようにしているんだろうな。 永遠に変わらないものはないけど 変わらないでいて欲しいと願ってしまう。 ゲームは私の生きがいで、別にいっくんは生...続きを読むきがいじゃない。 大事なのはそれだ。
結婚とは何か?を問いかける。 それは、愛があってのものなのか…持続しないと成立しないものなのか。 作曲家と結婚したが、心変わりを理由に離婚を迫られる梓。 時代の波の中、それがあたりまえだと結婚して主婦になった百合子。 百合子の娘・香奈は、30歳だが彼氏はいるのに結婚はしないという。 百合子の姪であ...続きを読むる夏芽は、梓の夫・一輝と付き合っている。 ひたすら夫にしがみつき決して離婚はしない梓と惰性で結婚生活を続けてたぶんこれからもいっしょにいるのだろうと思っている百合子。 音を聴いて物語を作り、業界で梓のことをオカルトレビューと噂されているくらいに世界観を自ら生み出して愛というものを信じてやまない彼女の執念に凄みすら感じる。 百合子は、現実的であり多くいる女性だろうと思う。 どちらが幸せかを考えることもない、いろんなかたちがある。 幸せの度合いも人それぞれ。 目に見えずかたちもない。 自分がこれが良いと思える環境の中でいることが、ベストな選択だろう。 結婚は良いものであり、するべきだとは言いきれない。 それは自分で決めればいい。 人からとやかく言うものでも言われてするものでもない。 愛にしても答えはない。 だが永遠は、ないと思う…
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愛という名の切り札
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谷川直子
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