【感想・ネタバレ】愛という名の切り札のレビュー

あらすじ

あたりまえのようにした結婚、心変わりを理由に迫られる離婚、メリットなしと決めた非婚、形にとらわれない事実婚。文藝賞受賞の実力派作家が、それぞれの胸の内をビビッドに描き、さめた愛でもなく、お金だけでもない関係を問いかける「結婚」本格小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

普段色々考えさせられてしまうことの多いことが、これでもか!と全部盛り。

地球上にある、わたしがまだ見たことのない美しいもの 景色、自然、人間が作ったもの、人間の営み、そこにいる人々を見たい、交流したいという好奇心が生きてる意味かも。
仕事でも旅でも、本や美術館でも満たされる。
ごくたまに、アウトプットして自分も美しいものを表現したくなる。

大切な家族を守るためだと、家事も頑張れる。頑張りたくないなーと思ったということは、実は結婚したくないのかもしれない 笑。欲しけりゃ結婚も子供も機会あった時にやってるのよ、たぶん。もう一度、生きづらい子供時代の伴走、気が遠くなりそうだなぁと足がすくむんだよな。
万一の時は妹のこと養いつつ、美味しいもの美しいもの我慢しないで済む生活したい。なんと、親の分も気になるように^^;

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2022年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かなり面白かった。
というより刺さった。

小説終盤の理比人さんの言葉は、私の好きなエーリヒ・フロムの言葉とほぼ一緒。
愛するということはナルシズムを克服し、孤独に対峙し、能動的に愛するということ。
マイノリティだからこそ到達した答えなのかもしれない。

登場人物全員の心情に共感することができた。
個人的には百合子さんの考え方がリアリストで好きだ。非常に冷静に感情の出どころを分析しつつ、それでも人生はチャレンジの連続だと、結婚生活を添い遂げる習練と覚悟を持った人にしか分からない境地だと思った。

いずれにせよ、愛するということは一筋縄ではいかないが、課題はシンプルだと思った。梓さんの場合は、一輝に憧れから入った。
しかし、それを当人が愛していることだと錯誤してしまった。
これは、私にも経験がある勘違いで、歳月が経って振り返るとその区別は簡単にできる。
しかし、当事者になると何が問題なのか向き合いたくないし、そんな浅はかな考えで結婚した自分を認めたくない自分がいるのも分かる。
結局、問題へのアプローチを誤り、当事者同士の関係は良い方向に進むのは難しいが、必ずいつかは出てくる問題だと思う。それが、影山家の場合は別離に繋がった。
ボタンの掛け違いはひょんなことから起き、注意深く相手を愛してたつもりが、自分のことばかり押し付けて、目の前の相手と真剣に向き合うことができないというのは、日常的に起きる問題だ。

感想を纏めると、愛するということに関してそれを実践する厳しさが淡々と書かれている。しかし小説のラストは、それでも課題に向き合い、他者と関係性を創り、協力して生きていくことの大切さで締め括られ、読後としてはとてもホッとしました。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

結婚について考えさせられる。梓に同情しながらも、自分らしく生きていけない不自由さについて考えさせられた。
梓も百合子も最後は自分らしく生きていくことができていて良かった。結婚したからこそ不自由で、結婚し続けても離婚しても自由になれる。

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2023年05月13日

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結婚をする道を選んでもしない道を選んでも得るものはたくさんある。失うものもある。どちらを選んでもそれがその人の人生。


私は、もう叶わないけど、あの人と結婚したかったな。

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2023年05月02日

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ネタバレ

【あらすじ】
結婚、離婚、非婚、事実婚を問いかける本格長編小説。
多くの恋愛小説が書かないその先を見つめる‥‥

離婚に踏み切れない作曲家の妻・梓の微妙な気持ちの揺れと、結婚のメリットを探しながら生活を淡々と営む専業主婦・百合子のたくましさが、絡み合いながらビビッドに描かれていく。ストーリー展開は静かながら、そのリアルさゆえに読み手を飽きさせない。誰がどこで「愛という名の切り札」を使うのか、果たして愛は切り札になるのか、がこの小説の読みどころの一つである。
非婚を選ぶ娘・香奈と、事実婚で進む若い作曲家・理比人の生き方にも説得力があり、結婚の形がこの先どう変わっていくのか、余韻を残すエンディングも魅力。

◯ 愛という名の切り札 目次

1 おかあさんさあ、結婚してなにかいいことあった?

2 どうして結婚するとしあわせになれると信じていたのだろう、なんの根拠もなく

3 いちばんきれいだったとき、なにをしていましたか?

4 もう一度生き直したいんだ、と彼は言った

5 多く愛した方が負ける。それが結婚というゲームのルールです

6 一人で生きる。それもいい。二人で生きる。それもいい。
その二つをかなえるのが新しい結婚になるはずだ

【個人的な感想】
目次を見て面白そうだと思い読んだが、私の期待していた話の内容とは少し違った。
音楽の話がメインで、詳しくない私には想像しかできずあまり理解できなかった。
結婚のメリットを考えても仕方ないと思いつつ、子供が欲しいと思っていない働く女性にとっての結婚のメリットをやっぱり考えてしまう。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

何かを得るというわけではないけど、共感する部分があった。

「それに音楽は体験だから、どういう心境でどういう状況でどういう場所で聴くかによって、受け取るものはちがってくるし、またそこが音楽のおもしろいところでもある。言葉で説明するわけじゃないから、受け取る側の自由度が大きいんだ」
「だって愛ってほんとはなんだか誰にもわからないのに、言葉だけはでんとこの世界に居座ってるから、オレたちはうかうかしてると愛に見放されるんじゃないかっていつもびくびくしてる」
「自分で見つけるしかないんだよ、正しい愛し方は。愛を持ち続けるためには孤独にも耐える自分自身を確立してなきゃだめなんだ。愛にすがって生きていくのはつらいし哀れだもの」
「愛を失っても生きていけるなにかがなければ、その人の愛は強くなれないのさ。オレには音楽がある」
「愛というのもまた、極めるべき一つの道として開かれてきたものなのだ、と。」

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2024年02月13日

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目次を見ると6章それぞれのタイトルが面白い。

無名だった作曲家の影山一輝の才能を信じ、彼を一流にすることを自分の役目と思っていた妻梓。好きな人が出来たから離婚して欲しいと言われ、嫌と答えた彼女。まだ好きだから?それとも妻の意地?離婚後の生活への不安?

列車の衝突事故が起きた時に連絡すべき相手がいないんだ…と気付いた時の梓の寂しさが痛々しい。こういう時にふと寂しさを感じる物なのですね。みんなお互いこの人しかいない!そう思って結婚するのにね~。ずっとその時の気持ちのままでいられたら良いけれどそうは行かないのがほとんど。

だから定年退職後に何もしない夫に不満を募らす主婦やそんな夫婦の元に生まれた娘は結婚はしたくない宣言。

梓が離婚を受け入れるのかその心の動きがリアル。でもまさか年下の作曲家からの提案に心が揺れてしまうとは…。結婚してもしなくても生きていくのは大変なことに変わりはないんですけどね。

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2023年10月05日

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谷川さんの作品を読むのはこれが三作目。

今回のテーマはズバリ『結婚』。
谷川作品に共通して感じる「大人の本音」は本作でもリアルに表現されている。

当たり前のように結婚した百合子、心変わりを理由に作曲家の夫に離婚を迫られる梓、結婚にメリットなしと非婚を選ぶ百合子の娘・香奈、事実婚で愛を貫く理比人、様々な愛の形が描かれる。

私も百合子の様にメリット・デメリットなど何も考えず当たり前の様に結婚してしまったので、今ならあの時の自分に良く考えるように伝えたい。

正解がないから難しい。

結婚制度について今一度考えさせられる作品。

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2023年02月18日

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離婚を切り出されてからの梓の一樹への想いは愛なのか執着なのか、それとも損得なのか。お金ではないといいながらブランドの服や銀のアクセサリを買えなくなることへの恐れもあり、なんだかくどくどと愛を語っているけど半分意地のような気もするし、あまり寄り添えなかったな〜。

結婚しないという香奈、それはそれでいいけど、いい歳なんだからまずは家を出ろと言いたい。いつまでも実家に住んで経済的にも生活的にも自立しないで楽ちんだからこのままでいいなんて、舐め腐ってる。親が娘を手放したくなくて甘やかすからいつまでも大人になれないんだと思う。

登場人物で唯一肯定的に読めたのは、理比人でした。

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2023年02月08日

Posted by ブクログ

愛と結婚について、こんなにいちいち深く考えないから、ちょっと鬱陶しく感じながら読んだ。
梓は離婚を迫られたことで、これまでの結婚生活について振り返る。百合子は、結婚しないという娘を通して、結婚のメリットについて考え始める。
梓と一輝が結婚後、お互い本気でぶつかることなく、微妙にすれ違ったまま、遠い存在になっていく様子が手に取るように理解できた。梓は、一輝に対しては、愛という切り札を効果的には使えなかった。使うチャンスを逃し続けたように見える。でも、離婚しないと突っぱねながら、一度、とことん自分と向き合った結果、別の形の愛を見つけることができたんじゃないか。
百合子は、丁寧に淡々と毎日の生活を整えていくことで、夫秀人にとって知らず知らずのうちにかけがえのない存在になっていく。浮気がきっかけでその愛に気づいたと言うなんて、ふざけていると私は思うけれど、それこそが秀人が使うところの、愛という名の切り札だったのかも。
一人で生きる。それもいい。二人で生きる。それもいい。その二つをかなえるのが新しい結婚になるはずだ。まさに。

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2022年12月30日

Posted by ブクログ

主婦の百合子とライターの梓の結婚後が、静かにリアルに描かれていました。百合子は平凡に逞しく、梓は揺れながら正直に、「結婚」や「愛」に真っ直ぐ向き合う姿がありました。読後ため息が出ました。

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2022年11月24日

Posted by ブクログ

引き込まれて読んだ。
読んだけど、結局わからない、愛とは結婚とは。
いろんな形があるけれど
そこにしがみつくのはなぜなんだろう。
答えを見つけたいようで、見ないようにしているんだろうな。
永遠に変わらないものはないけど
変わらないでいて欲しいと願ってしまう。
ゲームは私の生きがいで、別にいっくんは生きがいじゃない。
大事なのはそれだ。

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2022年10月09日

Posted by ブクログ

結婚とは何か?を問いかける。
それは、愛があってのものなのか…持続しないと成立しないものなのか。

作曲家と結婚したが、心変わりを理由に離婚を迫られる梓。
時代の波の中、それがあたりまえだと結婚して主婦になった百合子。
百合子の娘・香奈は、30歳だが彼氏はいるのに結婚はしないという。
百合子の姪である夏芽は、梓の夫・一輝と付き合っている。

ひたすら夫にしがみつき決して離婚はしない梓と惰性で結婚生活を続けてたぶんこれからもいっしょにいるのだろうと思っている百合子。

音を聴いて物語を作り、業界で梓のことをオカルトレビューと噂されているくらいに世界観を自ら生み出して愛というものを信じてやまない彼女の執念に凄みすら感じる。
百合子は、現実的であり多くいる女性だろうと思う。

どちらが幸せかを考えることもない、いろんなかたちがある。
幸せの度合いも人それぞれ。
目に見えずかたちもない。
自分がこれが良いと思える環境の中でいることが、ベストな選択だろう。

結婚は良いものであり、するべきだとは言いきれない。
それは自分で決めればいい。
人からとやかく言うものでも言われてするものでもない。
愛にしても答えはない。
だが永遠は、ないと思う…

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2022年09月09日

Posted by ブクログ

様々な形の結婚が描かれる長篇小説。
主人公の1人である影山梓は、気に入った音楽は一度聴いただけで覚えてしまい脳内で映像化できる驚異の能力を持っている。彼女の夫である一輝は作曲家で、そんな彼女の能力に魅了され結婚したが……。
もう1人の主人公飯田百合子は、60歳の定年を機に退職し家でブラブラしている夫の扱いに苛立っている。そして娘は結婚もしないし、子供もいらないと平然と言い切る。
もはや結婚という制度が破綻しており、愛が切り札にならないこともよくわかった。女性だけが妊娠・出産する仕組みを変えるしか解決法はないのかもしれない。

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2022年08月26日

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