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Posted by ブクログ
西條さんの時代小説に登場する主人公の女性たちは皆、その時代の当たり前の女の幸せとは異なるものを求め、男たちに理不尽な仕打ちを受けても言い返せる強さがあって好きだ。
お路が舅姑と夫と、腹を立てながらもうまくやっていき、自分がいなければ回らないことは時に生き甲斐にもなっている。
代筆が行き詰まって舅に鬱憤をぶちまけた後飛び出して行った街なかで、著作を待ち焦がれる読者たちの声を耳にし覚醒する場面が清々しい。
『読物、絵画、詩歌、芝居、舞踊、音曲…… 衣食住に関わりないこれらを、何故、人は求めるのか?』
感染症対策において「不要不急」と自粛を求められる今の世にも通ずる問いのようで、強く心に残る場面だった。
Posted by ブクログ
江戸時代、町人文化の花開いた時代につづく、粛清の時代を経て、曲亭馬琴の里見八犬伝を通じての、馬琴の長男の嫁、お路の一生を描く作品。
西條奈加さんの本は、私にとってハズレはない。
今回の本の内容も、すばらしい。
蘭学粛清、華美厳禁で多数の文化人が手鎖、没収、板木の焼却など幕府からの圧力を与えられ、あるものは筆を折り、あるものは投獄され、あるものは自死。
そんな時代の中でも、時代考証を始め、細部にまでこだわりを貫く馬琴の強情でしつこい性格で、幕府の付け入る隙を与えなかった。
馬琴以外の妻や子は体が弱く、嫁入りしたお路が一家の運営することになる。
一度離縁を申し出家出するが、馬琴の病で、戻る。
生家のユーモアあふれ笑い声の絶えない家風と全く違う滝沢家。
その苦労は大変なものであった。
感激し通しで、涙無くして読み終えることはなかった。
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「南総里見八犬伝」の著者・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路の半生を描いた物語。
昔、子供向けに優しく現代語訳にされた「南総里見八犬伝」を読ませてもらった私だけど、まさか著者がこんな偏屈&傲慢クソジジィだとは思わなかったな。そして、その作品の完成には息子の嫁であったお路の助けが必要不可欠であったことも知らなかった。滝沢家は嫁ぎ先の家としては最低最悪で、特に前半はどこに良いところがあるのか探すのが難しすぎるくらい。その中でも日々の小さな幸せを見つけ出すお路の逞しさと賢明さには恐れ入った。後世に残る超大作に携えたことは彼女の人生の大きな誇りになるかもしれないけれど、それはその時にはまだ分からなかったはず。一介の嫁で終わることなく、天才戯作者の右腕の役を全うしてくれたお路さんに現代から拍手を送りたい。
Posted by ブクログ
『南総里見八犬伝』の作者・滝沢(曲亭)馬琴の息子に嫁いだ路(みち)の物語。
なんともバラバラ、不仲な家族なのです。
「智に働けば角が立つ」を地で行き、家族を含め周囲の人間と衝突を繰り返す舅の馬琴、癇癪持ちで馬琴と路の不義を邪推する姑のお百、病弱で突如激昂するDV夫の宗伯。一方、路も「善き嫁」ではなく、それらに強く反発し、頭に血が登れば人を傷つける発言をします。もっとも、そんなみんなが頑なで不仲な修羅の家庭を、小さな喜びを日々に探しながら、何とか繋止めているのも路でなのです。路の頑張りが報われ、ごく稀に家族が寄り添うシーンも有ってホッとします。
並行して馬琴の創作に対する執念についても語られます。片眼の視力を失い医者から止められても創作を止めず、全盲になってなお不仲な嫁を叱咤し口述筆記(しかも矢鱈と難字を使う)で作品を完成させる。先日読んだ『渦』(大島真寿美)の近松半二もそうでしたが作家としての業(ごう)を感じさせます。
そういえば朝井まかてさんにも『阿蘭陀西鶴』(井原西鶴の盲目の娘・おあい)や『眩』(葛飾北斎の娘で女絵師・応為)の様に、江戸時代の芸術家の娘を主人公にした作品が有りました。北斎を支える応為の様に、最終的には路も馬琴の死後に弟子・琴童として八犬伝を仮名で書き直した『仮名読八犬伝』などを執筆するのですが、朝井さんとはまた別の味わいのある作品でした
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小説・文芸
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