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神田の医者の娘として自由な家風で育ったお路(みち)が嫁いだのは、稀代の人気戯作者・曲亭(滝沢)馬琴の一人息子。横暴な舅の馬琴に、病持ち・癇癪持ちの夫と姑。過酷な環境の中、大きな苦労を背負ったお路だが、3人の子どもにも恵まれ、時には心折れることもありながらも夫亡き後には馬琴の執筆を助け力強く己の人生を切りひらいていく。“人間”と“人生”を優しく深く見つめ、作家の業と、人の心の機微を鮮やかに描く傑作長篇。
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Posted by ブクログ
親に何も言えない癇癪持ちで病がちの夫、人の気持ち等お構い無し、しかし戯作者としては後世に残る傑作を書く舅の馬琴、家事能力欠如の姑。とんでもない家族とは暮らせないと、一度は家を出た路。しかし、修羅の家に舞い戻り、度重なる難題に忍耐強く立ち向かいます。夫の死後は、視力を失い、時代の波に翻弄される、馬琴の...続きを読む戯作者としての執念に寄り添い、口述筆記を手伝い、里見八犬伝を完成させます。馬琴の死の床で、初めて感謝の言葉を聞いた時には、グッと来ました。女性が筆の力で一家を支えるという、時代の先駆けにもなり、お見事、路さんと、最後は拍手でした。
しんみりとした読後感。お路が生きた時代に想いを馳せ、家族、夫婦、親子とは、を考えさせられた。昔とはいえ、お路の辛抱強さに唯々感服。
西條さんの時代小説に登場する主人公の女性たちは皆、その時代の当たり前の女の幸せとは異なるものを求め、男たちに理不尽な仕打ちを受けても言い返せる強さがあって好きだ。 お路が舅姑と夫と、腹を立てながらもうまくやっていき、自分がいなければ回らないことは時に生き甲斐にもなっている。 代筆が行き詰まって舅に鬱...続きを読む憤をぶちまけた後飛び出して行った街なかで、著作を待ち焦がれる読者たちの声を耳にし覚醒する場面が清々しい。 『読物、絵画、詩歌、芝居、舞踊、音曲…… 衣食住に関わりないこれらを、何故、人は求めるのか?』 感染症対策において「不要不急」と自粛を求められる今の世にも通ずる問いのようで、強く心に残る場面だった。
江戸時代、町人文化の花開いた時代につづく、粛清の時代を経て、曲亭馬琴の里見八犬伝を通じての、馬琴の長男の嫁、お路の一生を描く作品。 西條奈加さんの本は、私にとってハズレはない。 今回の本の内容も、すばらしい。 蘭学粛清、華美厳禁で多数の文化人が手鎖、没収、板木の焼却など幕府からの圧力を与えられ...続きを読む、あるものは筆を折り、あるものは投獄され、あるものは自死。 そんな時代の中でも、時代考証を始め、細部にまでこだわりを貫く馬琴の強情でしつこい性格で、幕府の付け入る隙を与えなかった。 馬琴以外の妻や子は体が弱く、嫁入りしたお路が一家の運営することになる。 一度離縁を申し出家出するが、馬琴の病で、戻る。 生家のユーモアあふれ笑い声の絶えない家風と全く違う滝沢家。 その苦労は大変なものであった。 感激し通しで、涙無くして読み終えることはなかった。
読み進めているうち、北斎を扱った朝井さんの作品「眩」と重なる。歴史に名が残った陰には当然支えた人たちがいたこと、改めて思い知る。直木賞作品より読み応えあった。「それまでの世間の常識が、人為でくるりとひっくり返る。それが政治というものだった」「必要だけの会話は角が立つ。女はそれを本能で察し、笑いや愚痴...続きを読むや噂に紛らして互いの距離を縮める」「人の幸不幸は、おしなべて帳尻が合うようにできている。不幸が多ければ、幸いはより輝き、大過がなくば、己の幸運すら気づかずに過ぎる。西條さんの温かで慎ましやかな一方で、社会を刺す鋭い眼差しに感服。
曲亭馬琴とその息子の宗伯、そして息子の嫁さんの路の生涯、路の苦難の人生、なかなか含蓄のある物語、その他知った人物も出て読み易かった。最後に"人の幸不幸はおしなべて帳尻が合うようになっている"は名言だ。感動した!
馬琴の息子に嫁いだ路の半生の物語。 曲亭馬琴と言えば「南総里見八犬伝」ですね。 子供のころNHKの「新八犬伝」を食い入るように見ていましたし、朝日新聞に連載していた山田風太郎の「八犬伝」(馬琴の世界と八犬伝の世界をリンクさせた名作)を毎日読んでいましたので、久しぶりの馬琴物で嬉しかったです。 馬琴...続きを読むの日記があるので、それをベースに嫁の視点からの馬琴及びその一族を描かれていて、時代小説としても良い出来になっていました。
「南総里見八犬伝」の著者・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路の半生を描いた物語。 昔、子供向けに優しく現代語訳にされた「南総里見八犬伝」を読ませてもらった私だけど、まさか著者がこんな偏屈&傲慢クソジジィだとは思わなかったな。そして、その作品の完成には息子の嫁であったお路の助けが必要不可欠であったこ...続きを読むとも知らなかった。滝沢家は嫁ぎ先の家としては最低最悪で、特に前半はどこに良いところがあるのか探すのが難しすぎるくらい。その中でも日々の小さな幸せを見つけ出すお路の逞しさと賢明さには恐れ入った。後世に残る超大作に携えたことは彼女の人生の大きな誇りになるかもしれないけれど、それはその時にはまだ分からなかったはず。一介の嫁で終わることなく、天才戯作者の右腕の役を全うしてくれたお路さんに現代から拍手を送りたい。
『南総里見八犬伝』の作者・滝沢(曲亭)馬琴の息子に嫁いだ路(みち)の物語。 なんともバラバラ、不仲な家族なのです。 「智に働けば角が立つ」を地で行き、家族を含め周囲の人間と衝突を繰り返す舅の馬琴、癇癪持ちで馬琴と路の不義を邪推する姑のお百、病弱で突如激昂するDV夫の宗伯。一方、路も「善き嫁」ではなく...続きを読む、それらに強く反発し、頭に血が登れば人を傷つける発言をします。もっとも、そんなみんなが頑なで不仲な修羅の家庭を、小さな喜びを日々に探しながら、何とか繋止めているのも路でなのです。路の頑張りが報われ、ごく稀に家族が寄り添うシーンも有ってホッとします。 並行して馬琴の創作に対する執念についても語られます。片眼の視力を失い医者から止められても創作を止めず、全盲になってなお不仲な嫁を叱咤し口述筆記(しかも矢鱈と難字を使う)で作品を完成させる。先日読んだ『渦』(大島真寿美)の近松半二もそうでしたが作家としての業(ごう)を感じさせます。 そういえば朝井まかてさんにも『阿蘭陀西鶴』(井原西鶴の盲目の娘・おあい)や『眩』(葛飾北斎の娘で女絵師・応為)の様に、江戸時代の芸術家の娘を主人公にした作品が有りました。北斎を支える応為の様に、最終的には路も馬琴の死後に弟子・琴童として八犬伝を仮名で書き直した『仮名読八犬伝』などを執筆するのですが、朝井さんとはまた別の味わいのある作品でした
『南総里見八犬伝』を著した滝沢馬琴の息子に嫁いだ、お路のお話。『八犬伝』と言えばその昔、薬師丸ひろ子主演の映画で見たり、日本史や国語の年表で見たくらいですが…いやはや、中途失明からの口述筆記という物語があったとは知りませんでいた。ただでさえ扱いづらい夫や姑がいて、子育てや家事全般をこなすのも大変だろ...続きを読むうに、しょっちゅう変わる女中の仕込みやら、引越しひとつとっても考えるだけでゲンナリです…。それでもへこたれずに凛と生きる女性を描くのが西條さんは実に上手いですね。
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