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石の来歴 浪漫的な行軍の記録
現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収――太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。 -
セルフ・デベロップメント・ゴールズ SDGs時代のしあわせコットン物語
サラリーマンがボトムアップで取り組むSDGsのケーススタディとなる1冊! 自分の関わる仕事の延長線上に、誰かが苦しんでいるという事実を知った時、そこから目を背けず、何かできることはないか。1人のサラリーマンが、そんな思いから、インドのオーガニックコットン栽培支援を開始、みんなが幸せになれる循環を生み出すために奔走した。SDGsへの取り組みが広く叫ばれるなか、本当の支援とは? 持続可能な社会とは?という命題に向き合う1冊。 サステナブルビジネスの本質に迫る 「会社人」から「社会人」になるためのバイブル インドでつむいだ「みんなを笑顔にするコットン」 オーガニックコットンであることに意味があるのではなく、農家や大地の未来のことを考える人たちがたくさん集まっていくことに意味があるのです。「有機的(オーガニック)」な「つながり」こそが、僕たちが求めていかなければならないことなのです。――――サラリーマンが所属を超えて挑む「永続的な発展」 -
たいせつな気づき
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 コロナウイルスの世界的大流行をきっかけとして発信されたのち、世界中で6千万回以上再生され20を超える言語に翻訳された、ポストコロナに希望を見出す励ましの物語。新たな暮らしに適応し、古い慣習を捨て、本当に大切なことは何なのかについて深く考えはじめた世界中の何百万もの人々の想いが、不思議な魅力をもって増幅されている。より公正で思いやりにあふれ、愛のある持続可能な世界を夢見る、あらゆる読者のための物語。 -
大都会の愛し方
彼を抱きしめると、俺はこの世のすべてを手に入れたような気がした。 光と影が渦巻く大都市ソウル。 最低賃金のバイトをしながら、くずみたいな文章を書きなぐって暮らす〈俺〉は、どれだけ派手に遊んでも、消せない孤独を抱えている。 そんな日々のなか、梨泰院(イテウォン)のクラブでバーテンダーとして働くギュホと出会い、愛を分かちあう。 しかし〈俺〉には、人に言えない〝秘密〟がある……。(「大都会の愛し方」) 喧騒と寂しさにあふれる大都会で繰り広げられる多様な愛の形。 さまざまに交差する出会いと別れを切なく軽快に描く。 韓国で新時代の文学として大きな話題を呼んだベストセラー連作小説。 【もくじ】 ・ジェヒ ・メバル一切れ宇宙の味 ・大都会の愛し方 ・遅い雨季のバカンス ・あとがき ・訳者あとがき -
君と、君がいる彼方
相原孝之は一級建築士で、妻の貴美子と中学1年生の娘・美加、小学2年生で料理好きの息子・康文の4人家族だ。ある日、息子が車にはねられ意識不明の重体に陥るが、時を同じくして、孝之の不倫や娘が学校でいじめられていることが発覚し、家族は瓦解寸前に。そんなとき、認知症の老人が相原家の前に何度も現れ、孝之の心にさざ波が立つ。孝之には幼い自分と母を捨て駆け落ちした父親がいたのだ。一方、康文の意識が戻らない中、老人とのふれあいを重ねるうちに、貴美子と美加の2人は驚くべき事実に気づくことに……。 不倫、いじめ、交通事故、そして認知症老人の作る手料理――崩壊寸前の家族に訪れた奇蹟の13日間。江戸川乱歩賞作家が満を持して贈る書き下ろし感動長編小説 -
利生の人 尊氏と正成
第12回日経小説大賞(選考委員:辻原登氏・髙樹のぶ子氏・伊集院静氏)受賞! 鎌倉幕府滅亡から建武の新政へ。人が生きる甲斐のある世をつくる――後醍醐帝と志を同じくする楠木正成と足利尊氏。三人はその志をかなえるためにともに戦い、志をゆがめぬために敵味方に分かれた。やがて南北朝の動乱を経て、室町幕府による武家政権に移る混沌とした世の人間ドラマを、最新の研究成果も取り込みながら描き、まったく新しい足利尊氏、楠木正成、そして後醍醐帝を造形。選考会では確かな歴史考察と文章の安定感、潔いまっすぐな作柄が評価された、歴史小説期待の新鋭の登場だ。 「利生」とは「《「利益衆生」の意》仏語。仏・菩薩が衆生に利益を与えること。また、その利益」(大辞苑)。本作では「上下の別なく、民が国を想う志を持ち寄って各々の本分を為せば、きっと日本は悟りの国になれる」と後醍醐帝と尊氏、正成は理想の世にかかげる。 <あらすじ> 時は鎌倉末期。討幕の動きが発覚し後醍醐天皇は隠岐に流されるが、幕政への不満から、治世の主体を朝廷に取り返すという近臣たちの討幕運動は幕府内にも広がっていく。幕府の重職にあった足利高氏(尊氏)が、帝方の楠木正成に呼応するように寝返り、鎌倉幕府は滅亡。後醍醐帝が京に戻り、建武の新政がはじまる。 しかし、武家も公家も私利私欲がうごめく腐敗した政治は変わらず、帝の志を実現しようと心をひとつにする尊氏と正成の運命は、陰謀に翻弄され、引き裂かれていく。 -
イノセント・ツーリング
緊急事態宣言が明けて2020年も夏を越え、大学時代の親友の夫とその息子と、紀伊半島のツーリングに出かけることになった。若くして命を落とした親友との約束を果たすため、そして、ひとり親で育った息子が母を新たに知るため。就職氷河期世代が親になっての心情もそこはかとなく漂うハートウォーミングなロードムービー風の小説が本書。日常の景色だけでなく生活スタイルも変わってしまった。変わらざるをえなかった。リセットするにしても、調子を取り戻すためにも、記憶の底に押し込めてしまった大切なものをもう一度見つけ出して、新たに前に進もう。コロナ禍でぽっかり出現したつかの間の人生の空白期間。みーんな元気の在庫がなくなった。でも、だから……3人それぞれが生きるために必要なささやかなものを見つけた、数日間の旅の物語。 -
古民家再生物語 古材を生かす、未来を建てる
仕事人として円熟するにつれ、「住宅の真価」が見えてきた 百年かけて、木材がその強度を増すように―― 体にやさしい建材を使った環境に負荷の少ない住まい。 木材の地産地消と、木組みの技術の継承。 住み手が愛着の持てる家づくりを目指して、住宅建築の現場で奮闘を続ける九人が 古い民家に未来を見出すまで。実話にもとづく物語 古い家を解体した際に出た古材を、早速新築やリフォームの現場で使ってみた。 するとどうだろう。家全体に生気が宿ったように感じられる。直線的な材木ばかり の空間に、ごつごつとした木肌や、うねりのある古材を入れることで、それまでな かった動きが生まれる。こんなに面白いものを使わない手はない。(本文より) -
夏の流れ 丸山健二初期作品集
平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。 ◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より> -
もう一度かあさんの聲が聴きたい
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 母という存在をなくして、心は声なき言葉を語りだす。 第21回日本自費出版文化賞「詩歌部門賞」受賞 いまだから、いまになってから、思い出すあの眼差し、あの温もり いまだから、いまになってから、叶わないことだけど、ただ願う―― 母という存在をなくして、心は声なき言葉を語りだす。 失ってから、ふたたび得る。ひとすじの救済への過程。 「かあさん、ありがとう」 オールカラーでお届けする魂の響き、日本画作品40余点 -
見えない星に耳を澄ませて
音大のピアノ科に通う曽我真尋は、たまたま参加した大学の授業で人の心を薬のように癒す音楽もあることを知り、三上先生の診療所で音楽療法士の実習を受けることにした。大人の声に耳を閉ざす少女、キラキラと飾った虚構の自分しか愛せないパーソナルスタイリスト、探し求めた愛情を見付けられず無気力に生きる中年男性……様々なクライエントと音を通じて向き合ううちに、真尋自身も自分が抱えた秘密と向き合うことになり――。 私たちはこんなにも弱くて、脆い。それでも生きることから、逃げられない。美しい旋律と共に、生き抜く強さを与えてくれる感動の一冊。 -
花を見るように君を見る
★韓国で大ベストセラー50万部突破! 世界的人気アイドルグループBTS(防弾少年団)RM、BLACKPINK・ジスの愛読書として話題の本、待望の日本語訳! ★韓国の人気ドラマ『ボーイフレンド』(ソン・ヘギョ、パク・ボゴム主演)劇中の重要シーンで使用され、発売から再び大ブームを巻き起こし、老若男女問わず共感を集め大反響。 本書は「詩人の代表作は読者が決めるもの」という著者の理念から、ブログやツイッターなどでよく取り上げられた作品を選んで115編を収録。著者の代表作であり、集大成といえます。子どもが話しているように純粋で、温かい日だまりのような至福の詩と、繊細なタッチの花々の挿し絵が、静かに心に染み入る一冊。 -
わたしの好きな季語
96の季語から広がる、懐かしくて不思議で、ときに切ない俳句的日常。 俳人でもある著者による初めての「季語」にまつわるエッセー集。散歩道で出会った椿事、庭木に集う鳥や虫の生態、旬の食材でやる晩酌の楽しみ、ほろ苦い人づきあいの思い出、ちょっとホラーな幻想的体験など、色彩豊かな川上弘美ワールドを満喫しながら、季語の奥深さを体感できる96篇。名句の紹介も。 「蛙の目借時」「小鳥網」「牛祭」「木の葉髪」「東コート」。それまで見たことも聞いたこともなかった奇妙な言葉が歳時記には載っていて、まるで宝箱を掘り出したトレジャーハンターの気分になったものでした。(中略)それまで、ガラスケースの中のアンティークのように眺めてきたいくつもの季語を、自分の俳句にはじめて使ってみた時の気持ちは、今でもよく覚えています。百年も二百年も前につくられた繊細な細工の首飾りを、そっと自分の首にかけてみたような、どきどきする心地でした(本文より)。 ●春 日永/海苔/北窓開く/絵踏/田螺/雪間/春の風邪/ものの芽/わかめ/針供養/すかんぽ/目刺/朝寝/木蓮/飯蛸/馬刀/躑躅/落とし角/春菊/入学/花/春愁 ●夏 薄暑/鯉幟/そらまめ/豆飯/競馬/アカシアの花/新茶/てんとう虫/更衣/鯖/黴/こうもり/ががんぼ/蚯蚓/業平忌/木耳/李/半夏生/団扇/雷鳥/夏館/漆掻/雷/青鬼灯 ●秋 天の川/西瓜/枝豆/水引の花/生姜/残暑/つくつくぼうし/燈籠/墓参/瓢/月/良夜/朝顔の種/新米/案山子/鈴虫/夜長妻/濁酒/柿/秋の空/蟷螂/小鳥/きのこ狩/文化の日/花野 ●冬 時雨/神の留守/落葉/大根/切干/たくわん/銀杏落葉/冬鷗/河豚/枯枝/ストーブ/炬燵/冬羽織/おでん/鳰/蠟梅/つらら/探梅/春隣 ●新年 飾/去年今年/歌留多/福寿草/初鴉/七草 -
ディディの傘
死と破壊、そして革命。 人々は今日をどのように記憶するのか。 「セウォル号沈没事故」「キャンドル革命」という韓国で起きた社会的激変を背景に、人が人として生きることの意味を問う最新作。 多くの人命を奪った「セウォル号沈没事故」、現職大統領を罷免に追い込んだ「キャンドル革命」という社会的激変を背景にした連作小説。 孤立し、閉塞感が強まる日常の中で、人はいかに連帯し、突破していくのか? 行く先に真の〈革命〉はもたらされるのか? 私たちが望む未来とは? ——人は誰もが唯一無二の存在という事実をあらためて突きつけていく。 デビューから15年。たくさんの読者を獲得すると同時に、文壇の確固たる支持を受け、名実ともに韓国を代表する作家となったファン・ジョンウンが放つ、衝撃の最新作。「d」と「何も言う必要がない」の2作品を収録。 2019年〈小説家50人が選ぶ“今年の小説”〉第1位に選出。 5・18文学賞、第34回萬海文学賞受賞作。 【目次】 ・d ・何も言う必要がない ・あとがき ・日本の読者のみなさんへ ・訳者解説 -
句集 秋灯
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「日本で初めて俳句という語を用いた、「ホトトギス」の主宰者、正岡子規は主観を省略したスケッチ、つまり写生の用法を生み出した。 主観は読者がそれぞれに感じとって欲しいということだろう。その流れを汲む飯島俊子の句集もしかりである。 飯島俊子の俳句は、事実を自分の目で見、耳で聴き、肌で感じ、生きていく上での中で体感し、その中で生まれたのである。 部屋に閉じこもり、机に向かい、頭の中だけで作りあげた作品ではこうはいかない。 日本は世界の数多くある言語の中でも、特に美しい言葉を持っていると言われている。例えば四季がはっきりしている日本の季節、「秋」を表現するにしても、露・白露・露結ぶ・釣瓶落し・白秋・花野・山粧う・小春日和など数えきれない程の表現方法がある。つまり同じ秋でもいち日ごと、また朝夕によって表現が変化するのである。それを十七文字で表現するにはなまじの語彙力では不可能である。それを見事に生かしているのがこの『秋灯』である。そこには現代人が忘れている、日本の美が、心が我々の琴線に触れて来るのである。」 (吉田 司氏 『秋灯に寄せて』より) -
人類最強のヴェネチア
一万年に一人の最強ヒロイン。 名探偵にして、人類最強の請負人・哀川潤(あいかわじゅん)。 美女二人と連続殺人犯を追う、ノンストップミステリー 「あたしの旅路を邪魔するな。ぶっ殺すぞ」 人類最強の請負人・哀川潤。 今回の任務は、十九歳にして心理学の権威・軸本みよりの現地調査への同行だ。 完璧すぎるメイド・班田玲も加わって楽しい旅行になるはずが、 目的地のヴェネチアでは、観光客カップル、有名女優らが 相次いで溺死させられる、残忍な殺人事件が発生していた。 “溺殺魔”と呼ばれる犯人の魔手は、彼女たちにも迫り――!? 『掟上今日子の備忘録』の西尾維新がおくる、とびきりハードで危険な探偵譚! -
小説 滑走路
いじめや非正規雇用など、自らの経験をテーマに短歌を発表し続けた萩原慎一郎。その初の作品集にして遺作となった歌集『滑走路』は、異例のヒットとなった。 同書を原作とする2020年秋公開の映画「滑走路」の小説版を、藤石波矢が執筆。 厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、陳情に来たNPO団体から、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ、自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始める――。 一方、30代後半に差し掛かり、夫との関係性や将来への不安を抱える切り絵作家の女性、幼なじみをかばったことでいじめの標的にされてしまった中学2年生の学級委員長の男子は、それぞれのフィールドで精いっぱい日々の生活を送っていた。 複数の人生が交差し、葛藤しながらも前に進む姿を描いた人生賛歌の物語。 映画の主演を務めるのは水川あさみ。切り絵作家・翠役を演じる。非正規雇用者の自殺問題に向き合う25歳の官僚・鷹野役に浅香航大、いじめの標的にされる中学2年生の学級委員長役に寄川歌太。脚本は『やめるときも、すこやかなるときも』の桑村さや香、監督は『マチネの終わりに』の監督助手を務めた大庭功睦。 -
今昔百鬼拾遺 月 【電子百鬼夜行】
昭和29年春から夏にかけて続く怪事件。 「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだという話でした」 昭和29年3月、駒沢野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪奇と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。(「鬼」) 複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。(「河童」) 是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い―。『稀譚月報』記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を省みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。(「天狗」) 解説 綿矢りさ -
槐多の歌へる 村山槐多詩文集
夭折の天才画家の迸(ほとばし)る詩魂 個性主義芸術の時代あるいは生命主義芸術の時代と呼ばれた一九一〇年代に、彗星のごとく画壇にデビューし、二十二歳で早世した天才画家・村山槐多。彼は生得の詩的才能にも恵まれていた。人生と社会の矛盾に打ち拉(ひし)がれながらも、野生の生命力の回復を希求する詩魂は、鮮烈な色彩感覚と結びつき独自の世界を構築した。放浪、デカダンスのうちに肺患により短い生を駆け抜けた槐多の詩、散文詩、短歌、小説、日記を精選収録。 酒井忠康 時代の一隅を、嵐のなかで哮(たけ)り狂ったように、その野性的ともおぼしき詩魂の光を放って、彼は疾走した。そして燃え尽きたのである。――〈「解説」より〉 -
空想クラブ
吉見駿は空想好きな中学生。祖父から受け継いだ「能力」によって、見たい風景を「見る」ことができる。小学生のときの親友・真夜の葬儀の帰り道、駿は河川敷で幽霊となった彼女に再会する。川で溺死した真夜は、死の瞬間の謎のために河川敷の、半径二十メートルの範囲に捕らわれてしまったという。塾からの帰宅途中、河川敷を自転車で走っていた真夜は川の方から「助けて!」という叫び声を耳にした。少女が溺れていることに気付いた彼女が川に入ったそのとき、木の枝を踏んだような音と共に意識を失ったという。「能力」のためか、自分だけが真夜の姿を見ることができると知った駿は、仲間と共に彼女の死の真相を探っていく。溺れていた少女を捜していくなかで、町の不良・郷原の関わりが見えてくるが……。 -
償いの流儀
正義の鉄槌? なんて柄じゃないけど オレオレ詐欺に遭った「角のおばちゃん」の仇を取ろうと 証拠をつかんだ詐欺集団を匿名で警察に通報したつもりが、 逆に逮捕を逃れた残党に居場所を知られ、復讐の標的に。 背後の組織をつかみ切れない奈美が選んだ窮余の策とは? 企業のトラブル請負という仕事をめぐって最愛の恋人・雪江と師を続けて亡くした西澤奈美は心の整理がつかず空虚な日々を送っていた。そんな彼女が親しみを寄せるタバコ屋の上井久子がオレオレ詐欺に遭う。 久子を慰める術を持たない奈美だったが、自分が入居する雑居ビルのオーナーから隣のビルに入った怪しげな会社が詐欺集団ではないかという見立てを聞き、密かに証拠をつかみ匿名で警察に通報する。しかしその後、逮捕を逃れた残党の影がちらつき、たびたび襲撃を受けるように。 奈美は、彼女が育った児童養護施設の後輩で雪江を慕っていたという松井の協力を得て久子を騙した犯人を突き止め、ついには自ら拉致されて敵地に辿り着くという無謀な賭けに出る……。 満身創痍の西澤奈美、絶体絶命! -
黄金の十三
1949年、エラリー・クイーンはミステリに詳しい作家、評論家など12人に委嘱し、それぞれにミステリの歴代傑作12編を推薦させた。著名な評論家ハワード・ヘイクラフトはそのうちの一人である。エラリー・クイーンは「ヘイクラフトに探偵小説界の指導的歴史家の名を冠しても異議をさしはさむ者はないであろう」と述べている。ヘイクラフトは要望に応え、時代順に13編を選んで提出した。これが本書「黄金の十三」である。 (収録作) 「盗まれた手紙」エドガー・アラン・ポー 「赤毛組合」コナン・ドイル 「13号独房の問題」ジャック・フットレル 「オスカー・ブロズキー事件」オースティン・フリーマン 「犬のお告げ」G・K・チェスタートン 「奇跡の時代」M・D・ポースト 「ほんものの陣羽織」E・C・ベントリー 「黄色いなめくじ」H・C・ベイリーン 「玄関の鍵」フレデリック・I・アンダースン 「争いの元」ドロシー・セイヤーズ 「神の燈火」エラリー・クイーン 「フウジス小僧」ダシール・ハメット 「踊り子探偵」ウィリアム・アイリッシュ -
わたしに無害なひと
2018年〈小説家50人が選ぶ“今年の小説”〉に選出、第51回韓国日報文学賞受賞作! 十六の夏に出会ったイギョンとスイ。 はじまりは小さなアクシデントからだった。 ふたりで過ごす時間のすべてが幸せだった。 でも、そう言葉にすると上辺だけ取り繕った噓のように……。 (「あの夏」) 二度と会えなくなった友人、傷つき傷つけた恋人との別れ、 弱きものにむけられた暴力……。 誰も傷つけたりしないと信じていた。 苦痛を与える人になりたくなかった。 ……だけど、あの頃の私は、まだ何も分かっていなかった。 あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。 もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。 韓国文学の〈新しい魅力〉チェ・ウニョン、待望の最新短編集。 第8回若い作家賞受賞作「あの夏」を含む、珠玉の7作品を収録。 【目次】 ・日本の読者のみなさんへ ・あの夏 ・六〇一、六〇二 ・過ぎゆく夜 ・砂の家 ・告白 ・差しのべる手 ・アーチディにて ・あとがき ・訳者あとがき -
彼女たちの部屋
現代、パリ。大きな挫折のあと、弁護士のソレーヌはある保護施設で代書人のボランティアをはじめた。「女性会館」というその施設には、暴力や貧困、差別のせいで住居を追われた人々が暮らしている。自分とはまるで異なる境遇にいる居住者たちの思いがけない依頼に、ソレーヌは戸惑った。それでも、一人ひとりと話して、手紙を綴るなかで、ソレーヌと居住者たちの人生は交わっていく。ここで自分の役割を見つけたと思った矢先、事件は起きた。約100年前、パリ。救世軍のブランシュは街中の貧困と闘っていた。路頭に迷うすべての女性と子供が身を寄せられる施設をつくる――彼女の計画は、ついに政治家・財界人も動かしつつあったが……。実在する保護施設と創設者を題材に、時代を超える女性たちの連帯を描く、『三つ編み』の著者による長篇小説。 -
ハンナのいない10月は
大学の万年講師・森川譲は猫のハンナと研究室で暮らす変わり者。ある日学長から、大学に潜むスパイを探せと命じられ、次々起きる大学存亡の危機に立ち向かうことに――感動の青春ミステリ! 猫部屋と化した研究室には、今日も厄介な客が訪れる。 狙われた大学公印、頻発する謎の停電、潜り込んだスパイ、学生自治会長選挙の不正疑惑、大学御用達の定食屋の後継者問題、女子学生の洋服盗難、学生への不公平な単位付与問題—―続発する大学存亡の危機に立ち向かうはめになった万年講師・森川と愛猫のハンナ。彼らがたどり着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは? 切ない真相に不意打ちされる、優しい涙が溢れる傑作! -
太陽通り ゾンネンアレー
まだ東西ドイツがあった頃のお話。15歳の男の子ミヒャエル・クッピシュは太陽通り(ゾンネンアレー)の「ベルリンの壁」近くに住んでいる。ゾンネンアレーは、西ベルリンから長く続く道で、最後の六十メートルだけが東ベルリンにある。あとちょっとで西側に住めたのに、とミヒャは思う。ローリング・ストーンズは「禁止」、外国に行くことも「禁止」、初めてもらったラブレターだって、国境地帯に飛んでいって、拾うことさえできやしない!ミヒャと、彼をとりまくおかしな人々による「ベルリンの壁コメディー」。 サブカルチャーの視点からユーモアとともに描く作風で、東ドイツ出身のもっとも人気のある作家のひとりトーマス・ブルスィヒの代表作。 マックス・ダウテンダイ・フェーダー・東京ドイツ文化センター賞2003年受賞 -
よこどり 小説メガバンク人事抗争
自分を見失った男たちへのレクイエム 組織は、あなたからどこまで奪うのか! メガバンクを舞台に「失われた30年の真因」を問う、緊迫のエンタテインメント。 「細部の圧倒的なリアルさ。銀行小説の新たな金字塔だ」――楡周平 【プロローグより】 「まず、君の手柄は、すべて私の手柄にする。いいな」 「はっ」 「それから、私の失敗は、すべて君のせいにする」 竜崎はおおきな執務机の前に寺田を立たせたまま、椅子の背に悠然と身体を預けていた。 「ただ、心配する必要はない。 君も、君の部下に同じようにやればいい。 それが銀行だ」 (引用ここまで) 舞台はメガバンク、主人公は広報部長―― 裏切り者は、中(なか)にいる! 元共同通信日銀キャップが書く 巨大銀行の仁義なき権力闘争 息をのむ裏切りの連続 最後に立っているのは、誰か―― 【ストーリー】 AG住永フィナンシャルグループの広報部長、寺田俊介は記者とのインタビュー中に 社長の竜崎太一郎が漏らした一言から、自らの出世の可能性を嗅ぎ取る。 吸い寄せられるように竜崎に服従する寺田は、経営難に転落した大手不動産をめぐる情報戦や大手証券との再編、バランスシートの膿、竜崎と相談役の人事抗争…と次々に訪れる難題に直面。掟破りの手段へと手を染め、メガバンクを覆う深い闇へと足を踏み入れていく。 -
東京普請日和
「一気に街が更新されるチャンスなんて、そうそうないんだよ」 建築に携わるぼくを焚きつける芸術家の兄。 五輪を間近に控えた首都のざわめきの中で、ぼくは自分の仕事に対する確信を持った。 第11回日経小説大賞受賞! (選考委員:辻原登・髙樹のぶ子・伊集院静) TOKYO2020、と書かれたまっしろな紙を目にして、かあっと頭に血がのぼった人と、そうでない人がいる。ぼくはともかく、業界的にぼくの勤めている会社は圧倒的に前者でできている。関東大震災からほぼ100年、表皮の入れ替わり続ける街でぼくは何をすべきなのか―― 第11回日経小説大賞を受賞した本作は、五輪を目前に控えて新たな施設の建設・再開発ラッシュに湧く東京で、地道に建築設計に携わる若者が、陶芸作品が現代アートとして海外で高く評価されている破天荒な芸術家の兄に振り回されながら、自身のアイデンティティを見いだしていくタイムリーなお仕事小説。 「日本はまだ普請中」。兄の創作活動に欠かせないパートナーの女性との奇妙な関係もあいまって、登場人物のスリリングな会話が読む者の胸にグサグサ刺さってきます。テンポ良く、しかしどこに転がっていくのかわからない会話の端々には、現在の東京、日本へのかわいたまなざしが、最新トレンドと現代風俗を絶妙にからませながら顔をのぞかせます。五輪を目前にした今こそ読んで欲しい、知的エンターテイメント小説です。 -
栗本薫・中島梓傑作電子全集
栗本薫が生んだ名探偵・伊集院大介。その明晰な推理と活躍を描く人気シリーズの初期6作品を一挙に収録。 伊集院大介のデビュー作にして吉川英治文学新人賞受賞作『絃の聖域』は、長唄の家元一家を襲った連続殺人事件を描く、本格推理小説の傑作。自らも長唄の名取であった栗本の、三味線の音のように冴えわたる格調高い文体に圧倒される。ほかに『優しい密室』、『鬼面の研究』、『伊集院大介の冒険』など、宿敵シリウス登場以前の大介の活躍をまとめ読みできる。 付録として、現在閉鎖されている自身のウェブサイトに書き下ろした連載エッセイ『日本には邦楽があるのだ』や、『鬼面の研究』などを漫画化した、まんだ林檎氏と大介の魅力を語り尽くした熱烈対談、夫として、担当編集者として、最も近くで栗本を支えた今岡清氏が初めて綴るエッセイ(連載)など。さらに実母・山田良子氏の日記から栗本の誕生~大学卒業までを記した、『栗本薫の育児日記』(連載)を初めて公開! その他、『絃の聖域』の生原稿や伊集院大介シリーズの創作ノート、吉川英治文学新人賞授賞式の写真などなど、お宝付録が満載! ※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
わたしは誰も看たくない
埼玉でサラリーマンの夫、大学生の一人息子と暮らしている神崎穂乃果は、群馬の温泉街が故郷であり、実家は両親と妹が切り盛りしている小さな温泉宿だった。ある日、大動脈弁狭窄症で倒れた父はそのまま人工呼吸器をつけて意識不明の寝たきりとなる。パートで働いている穂乃果は父の介護を母と妹に任せるが、入院の期限で父を自宅に引き取るか施設に入れるよう病院から迫られた妹は、経管栄養を止めて父を餓死させる決断をする。妹の暴挙を止めるため実家へ帰った穂乃果だったが、姉妹の間には過去のある出来事に起因する深い確執があった。さらに、穂乃果の夫の母の自宅がゴミだらけの汚部屋になっていることが分かり、それぞれの家族はどのような決断を下すのか。現役ナースが現代の家族の問題に鋭く切り込む、書き下ろし長篇小説。
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