夏の流れ 丸山健二初期作品集

夏の流れ 丸山健二初期作品集

1,210円 (税込)

6pt

平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。
◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より>

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夏の流れ 丸山健二初期作品集 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2017年07月05日

    日本文学史上の最高傑作の一つだと思う。
    無駄の無い削ぎ落とされた文章。看守の息遣いが聞こえてきそうな臨場感。

    ただただ、圧倒されるばかり。

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    Posted by ブクログ 2013年07月21日

     徹底的に無駄を排除し、最低限の言葉で世の中を俯瞰し、適切なテンポの会話で、最後には読者に「どう思う?」と投げかけられているように感じる。
     これほどまでにシンプルなのに、なぜ複雑な思いを抱かされるのか、これこそ、この作品の持つ大きな力なのだろう。

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    Posted by ブクログ 2011年01月03日

    中学生の時に読んだ本。 間違いなくお勧め。

    もちろん題名になっている「夏の流れ」は面白い。刑務官という職を見事に描いている。死刑制度の論争などをする際には一度読んでみると視点を変えて問題に取り組めるかもしれない。

    他の短編も面白い。ぜひ読んでください。

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    Posted by ブクログ 2017年08月21日

    自分が思い描く理想があったとして、それは現実と地続きな平面の先にあるはずだ。しかし、道は曲がりくねり一方通行となり行き止まりとなる。引き返し、振り返れば、最初の理想はすでに形を変え、遠い追憶の彼方だ。形を変えた理想は今の現実に干渉し、奇形の理想を最初の理想と同一視する錯覚に陥らせる。折り合いをつけら...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2016年08月02日

    著者の長編をいくつか読んでから、初めて目を通した初期の短編集。

    なんとも平凡な感想だけど、すごい。すごい!

    圧倒的な語彙の多さで、難しくゴテゴテに鎧われているのが今の丸山健二で、それはそれでやっぱり「すごい!」なのだけど、その人はかつて、こんなにも端正でシャープな(文章を書く)若者であったのかと...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2015年03月22日

    日本中の生命が最も盛んに燃ゆる夏。しかし囚人は死刑となる。一つの生命が人の手によって断ち切られる。執行日の夏の大雨が死刑囚の絞首台での死を流していく。翌日は看守たちは特別休暇。海辺で遊ぶ看守の穏やかな家族の日常も変わらず流れていく。生も死も夏の流れとなって海へを静かにそそぐのだ。直接の感情の表現は最...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年05月21日


    丸山健二 最初の作品 「 夏の流れ 」 ほか初期作品の短編集。著者の初期作品は 淡々とした人間描写。硬派な文体でないことに驚く。

    読後感は悪いが、長編のような単調感がないので、こちらの方が読みやすい。


    最初の三作品は、死刑囚と刑務官、中絶する夫婦、死んだおっさんの金を分ける2人 が主人公。...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年06月13日

    自然のなかでのできごとや、釣りや猟など自然と対する内容の作品が多いのに、海や川に瓶やモノを投げ捨てる描写が頻出するのが気にかかった。猫だってあっけなく殺してしまうし。
    例えばヘミングウェイの鱒釣りに関する小説のような、自然に対するあたたかい眼差しのようなものは見当たらない。

    まあ、だいたいが主人公...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2009年10月12日

    芥川賞シリーズ ④
    死刑執行という仕事人の心を扱った作品。彼の家庭生活がうまく書けていて、主人公を応援したくなってしまう作品でした。
    それにしても13階の階段をのぼる死刑囚とそこに向かわせる死刑執行人とのバトルは今もあるのでしょうね。

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2021年03月15日

    先週読んだ山口果林著「安部公房とわたし」に、
    他人の作品を滅多に褒めない安部が珍しく感動し、
    わざわざ出版社から著者自宅の電話番号を聞いて
    賞賛の電話をしたところ、
    丸山健二から「誰ですか、あなた?」と言われて気分を害した、
    と書いてあったので、“孤高の作家”丸山健二を読んでみることに。

    丸山健二...続きを読む

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