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人類最強のヴェネチア
一万年に一人の最強ヒロイン。 名探偵にして、人類最強の請負人・哀川潤(あいかわじゅん)。 美女二人と連続殺人犯を追う、ノンストップミステリー 「あたしの旅路を邪魔するな。ぶっ殺すぞ」 人類最強の請負人・哀川潤。 今回の任務は、十九歳にして心理学の権威・軸本みよりの現地調査への同行だ。 完璧すぎるメイド・班田玲も加わって楽しい旅行になるはずが、 目的地のヴェネチアでは、観光客カップル、有名女優らが 相次いで溺死させられる、残忍な殺人事件が発生していた。 “溺殺魔”と呼ばれる犯人の魔手は、彼女たちにも迫り――!? 『掟上今日子の備忘録』の西尾維新がおくる、とびきりハードで危険な探偵譚! -
小説 滑走路
いじめや非正規雇用など、自らの経験をテーマに短歌を発表し続けた萩原慎一郎。その初の作品集にして遺作となった歌集『滑走路』は、異例のヒットとなった。 同書を原作とする2020年秋公開の映画「滑走路」の小説版を、藤石波矢が執筆。 厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、陳情に来たNPO団体から、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ、自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始める――。 一方、30代後半に差し掛かり、夫との関係性や将来への不安を抱える切り絵作家の女性、幼なじみをかばったことでいじめの標的にされてしまった中学2年生の学級委員長の男子は、それぞれのフィールドで精いっぱい日々の生活を送っていた。 複数の人生が交差し、葛藤しながらも前に進む姿を描いた人生賛歌の物語。 映画の主演を務めるのは水川あさみ。切り絵作家・翠役を演じる。非正規雇用者の自殺問題に向き合う25歳の官僚・鷹野役に浅香航大、いじめの標的にされる中学2年生の学級委員長役に寄川歌太。脚本は『やめるときも、すこやかなるときも』の桑村さや香、監督は『マチネの終わりに』の監督助手を務めた大庭功睦。 -
今昔百鬼拾遺 月 【電子百鬼夜行】
昭和29年春から夏にかけて続く怪事件。 「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだという話でした」 昭和29年3月、駒沢野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪奇と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。(「鬼」) 複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。(「河童」) 是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い―。『稀譚月報』記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を省みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。(「天狗」) 解説 綿矢りさ -
槐多の歌へる 村山槐多詩文集
夭折の天才画家の迸(ほとばし)る詩魂 個性主義芸術の時代あるいは生命主義芸術の時代と呼ばれた一九一〇年代に、彗星のごとく画壇にデビューし、二十二歳で早世した天才画家・村山槐多。彼は生得の詩的才能にも恵まれていた。人生と社会の矛盾に打ち拉(ひし)がれながらも、野生の生命力の回復を希求する詩魂は、鮮烈な色彩感覚と結びつき独自の世界を構築した。放浪、デカダンスのうちに肺患により短い生を駆け抜けた槐多の詩、散文詩、短歌、小説、日記を精選収録。 酒井忠康 時代の一隅を、嵐のなかで哮(たけ)り狂ったように、その野性的ともおぼしき詩魂の光を放って、彼は疾走した。そして燃え尽きたのである。――〈「解説」より〉 -
空想クラブ
吉見駿は空想好きな中学生。祖父から受け継いだ「能力」によって、見たい風景を「見る」ことができる。小学生のときの親友・真夜の葬儀の帰り道、駿は河川敷で幽霊となった彼女に再会する。川で溺死した真夜は、死の瞬間の謎のために河川敷の、半径二十メートルの範囲に捕らわれてしまったという。塾からの帰宅途中、河川敷を自転車で走っていた真夜は川の方から「助けて!」という叫び声を耳にした。少女が溺れていることに気付いた彼女が川に入ったそのとき、木の枝を踏んだような音と共に意識を失ったという。「能力」のためか、自分だけが真夜の姿を見ることができると知った駿は、仲間と共に彼女の死の真相を探っていく。溺れていた少女を捜していくなかで、町の不良・郷原の関わりが見えてくるが……。 -
償いの流儀
正義の鉄槌? なんて柄じゃないけど オレオレ詐欺に遭った「角のおばちゃん」の仇を取ろうと 証拠をつかんだ詐欺集団を匿名で警察に通報したつもりが、 逆に逮捕を逃れた残党に居場所を知られ、復讐の標的に。 背後の組織をつかみ切れない奈美が選んだ窮余の策とは? 企業のトラブル請負という仕事をめぐって最愛の恋人・雪江と師を続けて亡くした西澤奈美は心の整理がつかず空虚な日々を送っていた。そんな彼女が親しみを寄せるタバコ屋の上井久子がオレオレ詐欺に遭う。 久子を慰める術を持たない奈美だったが、自分が入居する雑居ビルのオーナーから隣のビルに入った怪しげな会社が詐欺集団ではないかという見立てを聞き、密かに証拠をつかみ匿名で警察に通報する。しかしその後、逮捕を逃れた残党の影がちらつき、たびたび襲撃を受けるように。 奈美は、彼女が育った児童養護施設の後輩で雪江を慕っていたという松井の協力を得て久子を騙した犯人を突き止め、ついには自ら拉致されて敵地に辿り着くという無謀な賭けに出る……。 満身創痍の西澤奈美、絶体絶命! -
黄金の十三
1949年、エラリー・クイーンはミステリに詳しい作家、評論家など12人に委嘱し、それぞれにミステリの歴代傑作12編を推薦させた。著名な評論家ハワード・ヘイクラフトはそのうちの一人である。エラリー・クイーンは「ヘイクラフトに探偵小説界の指導的歴史家の名を冠しても異議をさしはさむ者はないであろう」と述べている。ヘイクラフトは要望に応え、時代順に13編を選んで提出した。これが本書「黄金の十三」である。 (収録作) 「盗まれた手紙」エドガー・アラン・ポー 「赤毛組合」コナン・ドイル 「13号独房の問題」ジャック・フットレル 「オスカー・ブロズキー事件」オースティン・フリーマン 「犬のお告げ」G・K・チェスタートン 「奇跡の時代」M・D・ポースト 「ほんものの陣羽織」E・C・ベントリー 「黄色いなめくじ」H・C・ベイリーン 「玄関の鍵」フレデリック・I・アンダースン 「争いの元」ドロシー・セイヤーズ 「神の燈火」エラリー・クイーン 「フウジス小僧」ダシール・ハメット 「踊り子探偵」ウィリアム・アイリッシュ -
わたしに無害なひと
2018年〈小説家50人が選ぶ“今年の小説”〉に選出、第51回韓国日報文学賞受賞作! 十六の夏に出会ったイギョンとスイ。 はじまりは小さなアクシデントからだった。 ふたりで過ごす時間のすべてが幸せだった。 でも、そう言葉にすると上辺だけ取り繕った噓のように……。 (「あの夏」) 二度と会えなくなった友人、傷つき傷つけた恋人との別れ、 弱きものにむけられた暴力……。 誰も傷つけたりしないと信じていた。 苦痛を与える人になりたくなかった。 ……だけど、あの頃の私は、まだ何も分かっていなかった。 あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。 もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。 韓国文学の〈新しい魅力〉チェ・ウニョン、待望の最新短編集。 第8回若い作家賞受賞作「あの夏」を含む、珠玉の7作品を収録。 【目次】 ・日本の読者のみなさんへ ・あの夏 ・六〇一、六〇二 ・過ぎゆく夜 ・砂の家 ・告白 ・差しのべる手 ・アーチディにて ・あとがき ・訳者あとがき -
彼女たちの部屋
現代、パリ。大きな挫折のあと、弁護士のソレーヌはある保護施設で代書人のボランティアをはじめた。「女性会館」というその施設には、暴力や貧困、差別のせいで住居を追われた人々が暮らしている。自分とはまるで異なる境遇にいる居住者たちの思いがけない依頼に、ソレーヌは戸惑った。それでも、一人ひとりと話して、手紙を綴るなかで、ソレーヌと居住者たちの人生は交わっていく。ここで自分の役割を見つけたと思った矢先、事件は起きた。約100年前、パリ。救世軍のブランシュは街中の貧困と闘っていた。路頭に迷うすべての女性と子供が身を寄せられる施設をつくる――彼女の計画は、ついに政治家・財界人も動かしつつあったが……。実在する保護施設と創設者を題材に、時代を超える女性たちの連帯を描く、『三つ編み』の著者による長篇小説。 -
ハンナのいない10月は
大学の万年講師・森川譲は猫のハンナと研究室で暮らす変わり者。ある日学長から、大学に潜むスパイを探せと命じられ、次々起きる大学存亡の危機に立ち向かうことに――感動の青春ミステリ! 猫部屋と化した研究室には、今日も厄介な客が訪れる。 狙われた大学公印、頻発する謎の停電、潜り込んだスパイ、学生自治会長選挙の不正疑惑、大学御用達の定食屋の後継者問題、女子学生の洋服盗難、学生への不公平な単位付与問題—―続発する大学存亡の危機に立ち向かうはめになった万年講師・森川と愛猫のハンナ。彼らがたどり着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは? 切ない真相に不意打ちされる、優しい涙が溢れる傑作! -
太陽通り ゾンネンアレー
まだ東西ドイツがあった頃のお話。15歳の男の子ミヒャエル・クッピシュは太陽通り(ゾンネンアレー)の「ベルリンの壁」近くに住んでいる。ゾンネンアレーは、西ベルリンから長く続く道で、最後の六十メートルだけが東ベルリンにある。あとちょっとで西側に住めたのに、とミヒャは思う。ローリング・ストーンズは「禁止」、外国に行くことも「禁止」、初めてもらったラブレターだって、国境地帯に飛んでいって、拾うことさえできやしない!ミヒャと、彼をとりまくおかしな人々による「ベルリンの壁コメディー」。 サブカルチャーの視点からユーモアとともに描く作風で、東ドイツ出身のもっとも人気のある作家のひとりトーマス・ブルスィヒの代表作。 マックス・ダウテンダイ・フェーダー・東京ドイツ文化センター賞2003年受賞 -
よこどり 小説メガバンク人事抗争
自分を見失った男たちへのレクイエム 組織は、あなたからどこまで奪うのか! メガバンクを舞台に「失われた30年の真因」を問う、緊迫のエンタテインメント。 「細部の圧倒的なリアルさ。銀行小説の新たな金字塔だ」――楡周平 【プロローグより】 「まず、君の手柄は、すべて私の手柄にする。いいな」 「はっ」 「それから、私の失敗は、すべて君のせいにする」 竜崎はおおきな執務机の前に寺田を立たせたまま、椅子の背に悠然と身体を預けていた。 「ただ、心配する必要はない。 君も、君の部下に同じようにやればいい。 それが銀行だ」 (引用ここまで) 舞台はメガバンク、主人公は広報部長―― 裏切り者は、中(なか)にいる! 元共同通信日銀キャップが書く 巨大銀行の仁義なき権力闘争 息をのむ裏切りの連続 最後に立っているのは、誰か―― 【ストーリー】 AG住永フィナンシャルグループの広報部長、寺田俊介は記者とのインタビュー中に 社長の竜崎太一郎が漏らした一言から、自らの出世の可能性を嗅ぎ取る。 吸い寄せられるように竜崎に服従する寺田は、経営難に転落した大手不動産をめぐる情報戦や大手証券との再編、バランスシートの膿、竜崎と相談役の人事抗争…と次々に訪れる難題に直面。掟破りの手段へと手を染め、メガバンクを覆う深い闇へと足を踏み入れていく。 -
東京普請日和
「一気に街が更新されるチャンスなんて、そうそうないんだよ」 建築に携わるぼくを焚きつける芸術家の兄。 五輪を間近に控えた首都のざわめきの中で、ぼくは自分の仕事に対する確信を持った。 第11回日経小説大賞受賞! (選考委員:辻原登・髙樹のぶ子・伊集院静) TOKYO2020、と書かれたまっしろな紙を目にして、かあっと頭に血がのぼった人と、そうでない人がいる。ぼくはともかく、業界的にぼくの勤めている会社は圧倒的に前者でできている。関東大震災からほぼ100年、表皮の入れ替わり続ける街でぼくは何をすべきなのか―― 第11回日経小説大賞を受賞した本作は、五輪を目前に控えて新たな施設の建設・再開発ラッシュに湧く東京で、地道に建築設計に携わる若者が、陶芸作品が現代アートとして海外で高く評価されている破天荒な芸術家の兄に振り回されながら、自身のアイデンティティを見いだしていくタイムリーなお仕事小説。 「日本はまだ普請中」。兄の創作活動に欠かせないパートナーの女性との奇妙な関係もあいまって、登場人物のスリリングな会話が読む者の胸にグサグサ刺さってきます。テンポ良く、しかしどこに転がっていくのかわからない会話の端々には、現在の東京、日本へのかわいたまなざしが、最新トレンドと現代風俗を絶妙にからませながら顔をのぞかせます。五輪を目前にした今こそ読んで欲しい、知的エンターテイメント小説です。 -
栗本薫・中島梓傑作電子全集
栗本薫が生んだ名探偵・伊集院大介。その明晰な推理と活躍を描く人気シリーズの初期6作品を一挙に収録。 伊集院大介のデビュー作にして吉川英治文学新人賞受賞作『絃の聖域』は、長唄の家元一家を襲った連続殺人事件を描く、本格推理小説の傑作。自らも長唄の名取であった栗本の、三味線の音のように冴えわたる格調高い文体に圧倒される。ほかに『優しい密室』、『鬼面の研究』、『伊集院大介の冒険』など、宿敵シリウス登場以前の大介の活躍をまとめ読みできる。 付録として、現在閉鎖されている自身のウェブサイトに書き下ろした連載エッセイ『日本には邦楽があるのだ』や、『鬼面の研究』などを漫画化した、まんだ林檎氏と大介の魅力を語り尽くした熱烈対談、夫として、担当編集者として、最も近くで栗本を支えた今岡清氏が初めて綴るエッセイ(連載)など。さらに実母・山田良子氏の日記から栗本の誕生~大学卒業までを記した、『栗本薫の育児日記』(連載)を初めて公開! その他、『絃の聖域』の生原稿や伊集院大介シリーズの創作ノート、吉川英治文学新人賞授賞式の写真などなど、お宝付録が満載! ※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
わたしは誰も看たくない
埼玉でサラリーマンの夫、大学生の一人息子と暮らしている神崎穂乃果は、群馬の温泉街が故郷であり、実家は両親と妹が切り盛りしている小さな温泉宿だった。ある日、大動脈弁狭窄症で倒れた父はそのまま人工呼吸器をつけて意識不明の寝たきりとなる。パートで働いている穂乃果は父の介護を母と妹に任せるが、入院の期限で父を自宅に引き取るか施設に入れるよう病院から迫られた妹は、経管栄養を止めて父を餓死させる決断をする。妹の暴挙を止めるため実家へ帰った穂乃果だったが、姉妹の間には過去のある出来事に起因する深い確執があった。さらに、穂乃果の夫の母の自宅がゴミだらけの汚部屋になっていることが分かり、それぞれの家族はどのような決断を下すのか。現役ナースが現代の家族の問題に鋭く切り込む、書き下ろし長篇小説。 -
ドラフト最下位
ある年に、最後に名前を呼ばれた男たちを追って――。 球界の片隅にあった驚き、苦悩、思いがけない栄光を描く。 公式戦登板なしでプロ入りした男 高橋顕法/再生された男 田畑一也/最下位から千葉の誇りになった男 福浦和也/最下位を拒否した男 高瀬逸夫/球団幹部に出世した男 大木勝年/日米野球でやってきた男 鈴木弘/隠しダマの男 清水清人/9並びの男 吉川勝成/ゼロ契約の男 橋本泰由/勘違いしない男 松下圭太/2年連続最下位指名を受けた男 由田慎太郎/ありえなかった男 三輪正義/ポテンシャルが眠る男 鈴木駿也/怪物だった男 伊藤拓郎/1と99の男 今野龍太/育成の星になった男 長谷川潤 -
赤塚不二夫 伝 天才バカボンと三人の母
【内容紹介】 強い、弱い、きれい、汚い……、 すべての存在をあるがままに 命がけで肯定した天才と その天才を生み育てた「母」の物語 3人の「かあちゃん」が大好きだった 赤塚不二夫のすべて 天才・赤塚不二夫。赤塚は、無防備な幼児だった。 3人の『母』がそれを理解し、補い、支え、天才を育てた。 実母、りよは、十歳の長男(赤塚)を筆頭に4人の子どもを連れ、満州から1人、引き揚げてきた。 漫画と接する機会を与え、漫画家を志した赤塚を応援した。 最初の妻、登茂子は、アシスタントとして、妻として、出世作『おそ松くん』を共に描き、 プロとしての漫画家・赤塚不二夫を育てた。 そして二番目の妻・真知子は、アルコール依存症になり、がんも患うなど、 どん底に落ちた赤塚を世話女房として復活させ、その命をつないだ。 3人の「母」を通して描く、知られざる赤塚不二夫の物語。 -
月光・暮坂 小島信夫後期作品集
かつての作品の引用から、実在する家族や郷里の友人らとの関係のなかから、ひとつの物語が別の物語を生み出し、常に物語が増殖しつづける<開かれた>小説の世界。<思考の生理>によって形造られる作品は、自由闊達に動きながらも、完結することを拒み、いつしか混沌へと反転していく。メタ・フィクションともいえる実験的試み9篇を、『別れる理由』以降の作品を中心に自選した作品集。物語のあらゆるコードから逸脱し続ける作品世界!〇小島信夫 私は、彼女がいなくなると、何か安心したように、いっきょに、たいへんな速さで娘時代から幼い頃へとさかのぼり、そのあたりのところに、自分が停滞するというか、そんな状態に見舞われた。その時代から、ゆっくりと先へ進みはじめ、不意に彼女がカチンと音を立てる。我に返ると、それがほかならぬこの私であった。――<「月光」より> -
アーモンド
【2020年本屋大賞翻訳小説部門第一位受賞作!】“感情”がわからない少年・ユンジェ。ばあちゃんは、僕を「かわいい怪物」と呼んだ――韓国で30万部突破!「書店員が選ぶ今年の本」(2017)に選ばれた感動のベストセラー小説、ついに上陸! 扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳のユンジェは、目の前で家族が通り魔に襲われたときも、無表情で見つめているだけだった。そんな彼の前に、もう一人の“怪物”が現れて……。「わが子が期待とは全く違う姿に成長したとしても、変わることなく愛情を注げるか」――出産時に芽生えた著者自身の問いをもとに誕生した、喪失と再生、そして成長の物語。 -
僕という容れ物
浅野忠信、菊地成孔絶賛! インディーズでカルト的人気を誇るミュージシャン、衝撃の小説デビュー。 荒涼とした精神の砂漠を徘徊する日々、どこまでが幻覚か現実か。ようやく、僕たちの時代の「文学」が生まれた。 カバーのコラージュは、国内外で幅広く活躍するコラージュ・アーティスト、Q-TAが担当。 これは苦しんでいる人の話だ。 文句なしに面白かった! 浅野忠信(俳優) ラッパーが書いた純文学にベットできるか? 本当か? 菊地成孔(音楽家/文筆家/著者のマイメン) 【著者プロフィール】 檀 廬影(だん いえかげ) 平成元年、横浜生まれ。日本人と黒人のハーフ。二十歳よりDyyPRIDE名義でラップを始める。2011年 音楽レーベルSUMMITより1st ソロアルバム「In The Dyyp Shadow」 グループSIMI LAB 1st アルバム「Page 1 : ANATOMY OF INSANE」 2013年 2nd ソロアルバム「Ride So Dyyp」 2014年2nd グループアルバム「Page 2 : Mind Over Matter」をリリース。2017年にSIMI LABを脱退。 -
よたんぼう
孤独な青春時代、唯一の気晴らしは落語だった。中学卒業を機に、風月亭鏡生に師事することを決め、和歌山の漁港の町から単身、上京した瞬。 鏡介という芸名を得、鏡生の内弟子として住み込みで前座修業に励み、青春をただひたすら、落語に捧げる。 修業のきびしさに堪えられず去って行く兄弟子、師匠のお嬢さんへのほのかな恋心、きびしい規律をもとめられる保守的な芸の世界への反発や、自身の才能の壁との葛藤……。 やがてテレビ業界から声がかかって浮わついた鏡介に、師匠は非情にも破門を言い渡す。 すさんだ心のまま、海外を彷徨うものの最後に辿りつく心のよりどころは、やはりいつでも落語だった――。 芸事の厳しさと、いつの世も変わらぬ人間の情。さすらいの噺家の“業”を描ききった型破りな青春落語小説! -
激越!! プロ野球県聞録
そこが道かと思えば道ではない。ただならぬ事態にようやく気がつく。どこで道を踏み外したのだったか、路上は路上でも鉄道線路上なのだ。東京都内某所、高架線。しかも自分はあるプロ野球チームのユニフォームを着てそこにいる。もちろん追われる身なのである。だから逃げる、だから走る。そう簡単にアウトにされてたまるものか――。(本文第3章より)。純文学×プロ野球×都道府県!? かつてそこにあった危機「球界再編問題」の、数々の名場面と派生的諸問題及び周辺的事件の裏に潜む真実とは――。激越せよ、激越せよと呼ぶ声あり。それはいつ果てるともない、終わりなき旅の記録なのだ。 -
狂歌
◆第10回 日経小説大賞受賞作! 第10回日経小説大賞(選考委員:辻原登・高樹のぶ子・伊集院静)を受賞したのは、古典的とも見える血をめぐる復讐劇を、仮想通貨交換会社というある意味で現在を象徴する場所を舞台に選び、人間が欲望にとりつかれ正気を失っていく様を描き出した本作。人間誰しも自制心で抑えている欲望が何かのきっかけで堰を切ってあふれだした時、必ず犯してはならない禁忌にふれる。そして、禁忌ゆえの抗いようのない魅力にとりつかれ人は墜ちていく。不正な会計操作、結ばれてはならない男女がおぼれていく恋とセックス、余計者を闇に葬る排他的なムラ社会……。 選考会で評価されたのは、作品、そして文章そのものが持つ強烈な身体感覚だった。“肉食系女子”という言葉があるが、ねっとりと濃密な文章は“肉食系”そのもの。「文学から身体感覚が失われて久しいが、その意味でも受賞者は希有な存在だ」(高樹のぶ子氏選評より)九州・福岡の土着性もうまく取り入れ、暗く陰鬱になりそうな題材であるにもかかわらず、カラフルなパッションが加味された力強い作品に仕上がっている。 物語の前半は、ある意味“よくある”女がほれた男のために身を落とす話が展開されていく。タイトルの「狂歌」は「戯れ歌、こっけいな歌、ひわいな歌」という意味。この“よくある”話にふさわしいが、それが初めから仕組まれたものだったとしたら――後半はまさに人間が欲望にとりつかれ「狂」う話に変貌する。 -
太陽を抱く月
キム・スヒョン(『ドリームハイ』)、ハン・ガイン(『赤と黒』)、チョン・イル(『私の期限は49 日』)らスターたちを主演に、韓国にてドラマ化され最高視聴率46.1%を獲得したファンタジー宮廷ロマンス時代劇、ドラマ『太陽を抱く月』の原作小説!! 若き皇太子フォンは、ヨヌと出会い恋におちる。朝鮮王朝の権力闘争の中でフォンは、ようやくヨヌを皇太子妃に迎えることになる。だが喜びもつかの間、直前にヨヌがこの世を去ってしまう。憔悴し、何年もヨヌを忘れられないフォンは、やがて謎の巫女に出会う……。宮廷を巻き込んだ一世一代のラヴ・ロマンスが、芳醇なミステリの中で香しく立ちのぼる!! -
ヌルラン
この世はもうあの世。悩めるインスタグラマーのレミと、その守護霊でゲイのイルカ、ヌルランによる抱腹絶倒、唯一無比の物語。著者畢生の書き下ろし! 非常に真面目、どこまで本気か分からない、それが滅茶苦茶おもしろい! 辛酸ワールドは小説になってさらに濃厚です。 都会のお洒落な闇へ飲み込まれていきそうなレミを救う、守護霊イルカ、ヌルランのクレバーなこと!「首から上で考えてばかりだから顔にしわができるんだよ。意識がいつも顔にあるから」、名言です。新しい商品が次から次へと生まれて消費されていくこの世界で、このイルカはちょうど彼の泳ぎ方のようにスマートなサバイバル・スキルを教えてくれます。自然に語られる死生観、死後の世界の美しさもすっと心に入ってきます。とても面白かった!(綿矢りさ) ☆公式Twitterで「ヌルラン」とコミュニケーションができます! @NururanJp -
緑の花と赤い芝生
津村記久子さん大絶賛!「自分で選んだ人生を生きようともがく、対照的な二人の二十七歳。正確で精細に描かれた彼女たちの痛みと選択は、同じ壁の前でうつむく女の人たちの手を取るはずだ」 あたし、あんたみたいな女って大っ嫌い。だから、化けの皮を剥いでやりたかった。でも、こんなものが見たいんだったか……? 専業主婦の母に育てられた、リケジョでバリキャリの志穂子。 厳しい教師の母に育てられた、家庭に重点を置く杏梨。 女としてのスタンスが異なる二人が、志穂子の兄と杏梨の結婚で突然交わった時、彼女たちは何を思い、動くのか? 宰賞受賞作家・伊藤朱里の新作は、女性のリアルをえぐり出す。 -
潜在殺
元マル暴特捜刑事絶賛! 「この小説を読むと、刑事時代の苦しみややり場のない怒り、そして途切れる事のない緊張感が懐かしさとともに甦る。ここには刑事の〈迫真〉が詰まっている!」 超王道・警察小説の誕生!! <静岡市内で勃発した暴力団同士の抗争事件。緊張感が高まる中、ついに発砲事件が発生した。県警中部署・刑事二課(マル暴)の沖田警部補と相棒の反町巡査部長を中心に大規模な捜査に乗り出すのだが、発砲に使われていた銃が警察の正式拳銃・ニューナンブである可能性が浮上した。 警察は箝口令を敷きつつ、一刻も早い事件解決を目指す。しかし秘密裏に行われていた組事務所へのガサ入れは不発に終わり、さらに拳銃密造で内偵していた容疑者が死体となり発見される。 警察内部に内通者がいるのでは……そこで浮上した男は、薬銃のエースにして沖田の同期・五十嵐亮介警部補であった。> -
花まみれの淑女たち
老マダムたちが教えてくれた 不安だらけの世を生きる 希望の灯 あのおばあさんたちを見ていたら、生きていけそうな気がしてきた。 30代にして職を失い、無為な日々をすごす由佳が出会ったのは、北新宿【花まみれビル】に集まって暮らすお年寄りたち。 見た目は、ほのぼのとしたシニアグループ、その実態は……日本中にネットワークを張り巡らせる植物学の元教授に、七色の声を持つカリスマ歌手、ハイテク機器を駆使して暗躍する探偵チーム(メンバーはおばあさんのみ!)など、型やぶりのマダムたちだった。 ――わたしも、あのおばあさんたちみたいになりたい。目立たず、しぶとくて、しあわせで、美しい。だれからも注目されなくても毎年、花をつける草木のように……。 -
スキャンダル除染請負人――疑似体験ノベル危機管理
【内容紹介】 企業の危機管理コンサルティングで有名なリスク・ヘッジ社長が初めてのビジネス小説を書いた。すべて実際に使われている手法や実存したリアクションが記述されており、エピソードのリアルさが強烈で、生生しいものばかりである。 「文春砲」さながらの経営者の不倫スキャンダル、企業と原発問題、ストーカー、クレーマー、怪文書、顧客データ流出などなど。 女性危機コンサルタントの魅力も充分に描かれて、楽しみながら学べる内容になっている。【著者紹介】 [著]田中優介(たなか・ゆうすけ) 1987年東京都生まれ。明治大学法学部法律学科を卒業。2010年セイコーウオッチ株式会社入社、お客様相談室、広報部などの危機管理にまつわる部署にて従事した後、2014年退社。 同年株式会社リスク・ヘッジ入社、解説部長、教育事業本部長を経て、現在は代表取締役専務として同社の経営の中枢を担っている [監修]田中辰巳(たなか・たつみ) 1953年愛知県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1977年アイシン精機(株)入社後、1983年(株)リクルートに転じ、秘書課長、広報課長、総務部次長、業務部長を経て、1994年同社を退社。翌年(株)ノエビア入社、宣伝部長、社長室長を経て1997年同社を退社。 同年(株)リスク・ヘッジを設立。危機管理のコンサルタントとして企業の支援をする傍ら、中央省庁の管理職向けに研修を行う。著書に『企業危機管理実戦論』(文春新書)や『そんな謝罪では会社が危ない』(文春文庫)がある。 【目次】 第一章 不倫未遂の罪 第二章 走る放射能カー 第三章 ストーカーにストーキング 第四章 クレーム対応の自動ブレーキ 第五章 亡霊による危機管理 第六章 企業内ウイルス 第七章 漏れた顧客のリスク 第八章 調書の短所と捜査の操作 -
生き残り
北ビルマでの米支軍との戦いは、退路を断たれ、苦戦を余儀なくされた。 独歩患者は中隊から切り離され、経験のとぼしい見習士官を付けられて分進隊として転進する羽目に陥る。 イラワジ河をにわかづくりの筏で下る際、敵機に襲われ、すさまじい火力で河面が叩かれる。 各自中州までようよう泳ぎ着くが、そのさなか、伍長が胸の一突きで殺される。 あの極限状態のさなかで、いったい誰が? 大河の両岸には百姓ゲリラが控え、中州からの脱出もままならない。 籠城はできても3日。日本兵たちはやがて、一人、またひとりと命を落とす――。 中州を脱出してひとり安全圏の渡河点にたどりついた兵隊から転進の行程を聞いた下士官は、話に違和感を覚え、兵隊に銃をつきつける。 「お前、足手まといになった連れをひとり残らず殺して転進して来ただろう」――転進の道で鬼とならざるを得なかった人間の弱さ、優しさ、哀しさ。 人間存在のままならなさを静かに深く掘り下げた、サスペンスフルな戦争小説!
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