ピラール・キンタナの作品一覧

「ピラール・キンタナ」の「深淵のかなた」「雌犬」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 深淵のかなた
    -
    1巻1,683円 (税込)
    母は生きながらにして、日々死の淵を見下ろしていた……。8歳のクラウディアは、何不自由のない裕福な暮らしのなか、どこか満たされずにいた。そこには、憂いを秘めた母の存在があったのだった。コロンビアの女性たちの、女として生まれたことの悲しみ、日常に潜む乾いた死の影が、少女の目を通して描かれた秀作。コロンビアの人気作家による静かな筆致が、読む者の心を逆撫でる。
  • 雌犬
    3.9
    1巻2,534円 (税込)
    これはわたしの犬《むすめ》。 もし何かしたら、殺してやる。 この世から忘れ去られた海辺の寒村。子どもをあきらめたひとりの女が、もらい受けた一匹の雌犬を娘の代わりに溺愛することから、奇妙で濃密な愛憎劇《トロピカル・ゴシック》が幕を開ける…… 人間と自然の愛と暴力を無駄のない文体で容赦なく描き切り、世界15か国以上で翻訳され物議をかもしたスペイン語圏屈指の実力派作家による問題作が、ついに邦訳!!

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ユーザーレビュー

  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    面白いとか心震えるとかじゃない、「私がいる」と思った。
    女であること以外に共通点のないダマリスが抱えるものを私は知っている。
    根源的な母性の暴力性と濃密な南米の自然の描写はあまりにも似ていて、自分が子供の頃から振りまわされ持て余し恐れていた「これ」はまさしくこのジャングルであり母性。

    0
    2022年11月12日
  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    動物好きな人はご用心かも。
    重たすぎる愛は憎しみに変わるとき、暴力を伴う。

    ダマリスはずっと子どもが欲しかったから夫のロヘリオと努力したけどとうとう子どもは出来なかった。
    ロヘリオも若い頃は協力的で薬草を一緒に摘んで薬を作ったり、怪しい民間療法をうけたりしていたけれど今はもうそんなことは遠い話になってしまっている。
    もう、40歳になってしまいロヘリオとは生活は共にしているが愛情はあるのかないのかよくわからない。
    家族になりきれなかったように、きっとふたりとも考えていそうと思った。
    海岸で死んでいたエロディアさんの犬の子を衝動的にもらい受ける。雌犬だ。
    雌犬に女の子が産まれたらつけようと思って

    0
    2022年07月20日
  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    コロンビアの海辺の村で邸宅の管理人をしているダマリスは、近所からもらった雌の子犬を飼い始める。ダマリスは不妊治療の末に子どもを諦めた過去をもち、子犬の成長に慰めを感じて溺愛するが、いつしか思い通りにならない犬への愛が歪んでいく。トラウマを持つ中年女性と雌犬の愛憎関係を乾いた筆致で描く。


    なんだか雌犬づいている。女性と雌犬の奇妙な依存関係が印象的な物語を読むのは今年に入って3作目。レベッカ・ブラウンの『犬たち』、ホセ・ドノソの「散歩」、そしてこの『雌犬』だ。もちろん本書は最初からタイトルに引力を感じて手に取った。
    『犬たち』は幻想の雌犬が増殖し、深い孤独を抱えた主人公の心を苛む話。「散歩」は

    0
    2024年04月08日
  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    特段心揺さぶられることなく読み進めていたが、最後ガツンと頭を殴られたかのような衝撃があった。

    読み終わってじわじわくる雌の怖さ。自然と人間の生々しい部分が詰まった作品だった。

    可愛がっていた犬を邪険に扱うようになるなんてひどい!と思いつつ、相手が思い通りに動いてくれない時に起きる苛立ちは私の中にも存在するし、子供を産めない自分が、望まずとも子供を身籠る犬を憎らしく思うというのも、想像のつく感情だと思った。

    生き物を殺める行為は何時も非難の対象だけれど、それは全て悪なのか、その背景やその後の影響にも問いを投げかけられていたように思った。(それとも単に自己を正当化しようとする心理がダマリスに

    0
    2023年05月28日
  • 雌犬

    Posted by ブクログ

    シンプルな話である。飼っている犬を最初は溺愛していたが、次第に憎しみがつのり、殺してしまうという話。コロンビアの女性作家。舞台は交通の便などで近代化されていなく、ほぼジャングルのような場所のよう。こういうテーマは時代、場所、人間の立場、心情など関係なく、誰もが共感できるテーマであり、故に作者の技量が真に試される作品だと思う。愛と憎しみは同じものであって、その日の天気のように表情を帰るだけだと自分は思っている。対動物では人に対して使用する「考え方の違い」などが通用しないのでシビアだ。

    0
    2022年08月06日

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