雀野日名子の一覧
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ユーザーレビュー
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これは本当にもう、とてもとてもずるい小説だ。最後の最後に自分の醜さを実感させられる。人間て、なんて弱いの。ある一面で全て分かった気になって。自分勝手に善と悪と区別して。よく書いてあったもんね、「何も見えていないあなたに、見せてあげるって」それってもうまんま読者のことだったのね。つらいつらい。こんな辛
...続きを読むい小説初めて。でも読んでよかった。本当に大切なことに少しだけ近づけた気がする。これから手に取る方、冊子背面のあらすじだけで絶対に判断しないでね。あれは触りですらない。何も考えず無の境地で読むが吉。そして衝撃を。
Posted by ブクログ
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生活保護や高齢者問題等の社会問題を内包したミステリ。そりゃあ不正受給は許せないと思います。ある意味の「正義」に燃える人たちの思いも、分からないではありません。だけど……。
本当に。なぁんにも見えていませんでした。
当事者でなくては、いや、それどころか当事者であってすら、見えていないことって決して少な
...続きを読むくありません。先入観と偏見によって、見えるものはがらりと変わってしまいました。
スリリングな展開のあとで訪れたこのカタルシス。やりきれなさを感じつつも、読後感は穏やかでした。だけどそれが本当なのかな? というのもまた疑ってしまいそうで。いろんな意味で恐ろしい作品でした。
Posted by ブクログ
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ミステリーという帯を付けないほうがよかったのに……と惜しまれます。
出版社側が「ミステリー」を謳う帯をつけてしまうと、ミステリーファンしか手に取らなくなり、「小説として面白いか」ではなく「謎解きが優れているか」の基準で評価されるのです。
手練のミステリー読みが本作を「謎解きもの」として評価する場合、
...続きを読むちょっと厳しめの評価が出るように感じました。
では「小説」としてどうかと言うと、考えさせられるテーマ性もあり、ページをめくる手が止まりませんでした。
ただ、出版社側にとっては「一般小説」枠に入れるより「ミステリー」枠に押しこんだほうが、売上が見込めるということなのでしょう(ミステリー市場は大きいです)。
そうなると読者層のミスマッチが起きてしまう(届くべき読者には届かずに終わってしまう)わけで。
この本は、敢えてカテゴライズするなら「ミステリー」よりも「サスペンス」ではないかと思います。
Posted by ブクログ
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あらゆる感想を拒絶するかのような小説。「面白かった」とコメントすれば、弱者の実情を「娯楽の道具」として楽しんだのかと責められるかのようで。「つまらなかった」であれば、弱者の実情は「面白くない」ことなのかと責められるかのよう。いずれの感想を抱いても罪悪感。
ただ、妙な物悲しさが薄く後を引く。
Posted by ブクログ
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疎外されることがどんなに辛いか、「鬼女」(個人情報を調べあげてネット掲示板に晒す集団)がどれだけ怖いかを知っている、元いじめられっ子の主婦。
理不尽な格差社会のなか、底辺一歩手前の人生がいかに惨めかを知っている、若いフリーター。
わが子に虐待される老人の増加を案じ、自分も将来息子に虐待されるのではな
...続きを読むいかと憂う定年前の男。
弱者の痛みや虐げられる苦しみを知る、社会的弱者である彼らの心のなかに、するりと「鬼」は入りこむのだ。痛みや苦しみを知る彼らのなかに。
ジャンルはミステリーではあるが、どちらかというと「ミステリー風の集団劇」か。ラスト近くで「えっ?」という驚きがあるが、狙いはミステリー好きに膝を打たせることではなく、「自己本位で身勝手で不寛容な時代」に一石を投じることだと思われる。
現代に流れる、自己本位で身勝手で不寛容な空気は、年々濃くなっている。
他者への憶測力が膨張する一方で、他者への想像力は貧弱になっている。
「社会は私をこんなに苦しめている!」「周囲の人々は私をこんなに苦しめている!」と声高に訴える一方で、他者の苦しみには鈍感。他者が苦しみを叫べば「うざい」と眉をひそめるか、無視。
自分の価値基準でのみ照らし合わせ、合わない者は排除もしくは潰す。
そんな現代への皮肉をこめた話なのかもしれない。
貫井徳郎「乱反射」や奥田英朗「最悪」のような、複数のドラマが同時進行して思わぬ帰着を迎えるというテイストが好きな人にはお勧め。ただ、本のボリュームはこれらほどは大きくない。
Posted by ブクログ
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