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Posted by ブクログ
3人の男が鍋を囲んでいる場面から物語は始まる。場所はロシア。グツグツ煮詰まる鍋の中にはトウシューズが煮えている。なんで?
こんな訳のわからない場面から始まる小説が面白くないわけがない。
サンクトペテルブルクと日本の高崎が交錯する物語です。
サンクトペテルブルクと高崎を組み合わせた坂崎さんのセンスの良さに唸ります。
サンクトペテルブルクのピョートル1世から高崎で高崎観音を建てた井上保三郎の話に移ったかと思えば、更にその話を聞いていた大学生の「わたし」が出てきて…と、話は入れ子構造的に込み入っています。
サンクトペテルブルクと高崎と現代の東京のとある大学を目まぐるしく往復する話なのですが、とにかく面白くて夢中で読みました。
Posted by ブクログ
今GOAT 特集悪を読んでいる。
そうしたら中にしっかりした量の小説が収載されていたのがこちら。
普通に本として売り出されていてビックリ。
考えたら当たり前だけど文芸誌を読みなれていないもので、雑誌から抜け出してハートカバーの本になってる!!という驚き、、、はさておき。
読者をディスったりして煽りタイプのオラオラから始まるし、ロシアのピョートル大帝とかサンクトペテルブルグとか出てくるのにムサイ日本の大学生の闇鍋??何が起こっている??
みたいなつかみから始まるので最初は結構戸惑うし、何の話なのかわからなくて3行位で寝るが数日続く。でも人って恐いね、そのお作法に慣れてくる。
お話は21世紀の日本と20世紀の高崎と19世紀のロシアの話が言ったり来たりのタイムリープ(と言っていいのか)。なんならひとつの文の中でも時空間が滑らかに変わったりする。がそこらへんまで読めてきてる私にはすぅっと入ってくるから不思議。何の違和感もなく読み進められる。
ロシアの話は、そんなダンサーいたのね、トゥシューズの産みの親みたいな?サンクトペテルブルクってそんな感じでできた都市なのね、へぇふうん、、、てな感じなんだけど21世紀舞台の話にうまく絡まって必然だったのだなと。まあ、変な闇鍋から始まるし、やっぱ必然。
高崎と大学生の話は小説の素敵要素が後半多くていい。それにハッとするエピソードが結構盛り込まれてる(丑の話とか、石を磨くとか、アラセゴンとか)急にそのシーンに自分が引きずり込まれる感覚があって何度かハッとした。ほの薄暗い舞台で光の指すところに舞う塵が見えるような感じか。私たった今そこに居る!!みたいな。
、、、って一通り読んでみて、この方芥川賞ノミネートされてる作家さんやったわ。そいや小説の中に自分も混じってたわ。本当に本って自由でいい。
Posted by ブクログ
およそ食材にするものではない物もひとつところに突っ込んだ鍋の沁み出た灰汁もそのままに濁った出汁へと箸を差し入れて具を摘み上げ、それを安い電球の白々しいひかりの中で首を傾げながら矯めつ眇めつし、結局何なのか何故ここにあるのか分からないまま口に運んで食べ合う闇鍋のような渾沌が渦巻いていました。語弊を恐れずに言えば分かりやすく面白い小説ではないと思います。けれど、美味しいんだか不味いんだかよく分からないものを食べる時間が時として最高に楽しい時間になるように、この小説の魅力は、混ぜ合わされた時代と場所と語りの饒舌硬質の答えが明確に見えてこないからこそぼんやりと、それこそ湯気のように掴みどころなく立ち上ってくるものなのだと思います。
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