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Posted by ブクログ
「噓つき姫」で一躍有名となった坂崎かおるの最新刊。文學界2月号掲載の作品がもう出版されることから期待が大きいことが伺える。本には赤い帯が付いていて、芥川賞候補作と書かれている。御本人のnoteを見たけど、この様な地味な作品が候補作にノミネートされたのを意外だと感じているようだ、謙遜かもしれないけど。地味、確かに奇抜な文体でもなく、社会に切り込むといった意欲作という訳でもない、もう至って落ち着いた作品。登場人物が激昂する場面もなく、最後まで単調に穏やかに常に距離感を保つ人の結びつきが心地良い。最近の映画界ではこの様なテイストの作品がいろいろな所で話題となっている。例えば役所広司で言えば、「perfect days」とか「すばらしき世界」の様な落ち着いた世界観(ライバルの尾崎世界観ではない)が脚光を浴び、それが芸術として評価される。こういった流れの本流にこの「海岸通り」が存在感を持って光っているものと思う。ただ逆に、「海岸通り」を映画化する際には、意外なキャスト、意外な脚色、追加エピソードが必要となるかもしれない。一応、映画の場合、興行性が求められるので。
なんとか結果発表前に読み終えることができた。最近、話題に走りがちな芥川賞の傾向とは距離が離れているのかもしれないが、本日(2024/7/11)の結果発表にはとても期待している。
Posted by ブクログ
短めの小説だったので、あっという間に読み終わってしまった。
でも、とても静かで心地の良い文体、坂崎さんのリズムで紡がれる文章は、読むほどに心に馴染んでいく
何が正しくて、何が正しくないのか。何が普通で、何が普通でないのかを、問いかける作品
老人ホームの清掃員クズミ、同僚のマリア、そこに住むサトウ。他の人たちにも、それぞれに正しさがあり、普通がある。
正解はなくて、でも自分が正しいと思ったことをやり抜いてみる。穏やかな文章の中に、静かな熱い感情をしっかりと感じられた。
「海岸通りのバス停」という言葉がピッタリ素敵にハマっている。
この老人ホームや街並みが、緑の匂いと海の潮の香りとともに頭の中に鮮やかに浮かんでくる。繊細な表現が本当に美しくて心地よい。
坂崎さんの文章は、いつ読んでも大好きだなぁ、
Posted by ブクログ
私もみんなもきっと正しくはなれない、一生。
だから正しくなくてもいい。
正しくない自分を抱えたまま海を眺めよう。と思えた。
100%クリーンな人もいないし、何でもできたり何でも一所懸命やったりすることが普通じゃない。
人に助けられた時に感謝することだって、当たり前じゃない。
それでも大切な人を大切にしたいと思ったっていい。
全然正しくないことを自覚している全然正しくない主人公が、なぜだかいとおしかった。
清廉潔白じゃない上で輝く「大切にしたいと思う気持ち」がリアルで好きだ。
静かにせつない。
キラキラ綺麗なわけじゃないけど、でも海岸の波音が聞こえてくるような、まさに「海岸通り」なお話。
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小説・文芸
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