【あらすじ】
内海草子(うつみそうこ)は本を読むのが好きで好きでたまらない中学生。いつも本を読んでいて、本の中の世界にひたっている。内気で、他人と打ち解けるのが苦手な草子にとって、古書・青永遠屋(おとわや)の店主は良き理解者。読んだ本の感想を描いた草子の「ブックガイド」が、店主を喜ばせ、さらには周囲
...続きを読むの人々に本を読むことの素晴らしさを伝える。濃密な絵柄で、読書の魅力を最大限に表現する。
東京の小さな古書店・青永遠屋(おとわや)に、楽園を見つけた少女・内海草子。どこにも居場所がなかった草子が、青永遠屋を通じて出会った本を、ひたむきに読み解くことで、徐々に人々や世の中と結びついていきます。この作品の最大の魅力は、読んだ本のポイントを繊細にすくいあげ、イメージ豊かに語り尽くす草子独自の「ブックガイド」。毎回草子が本の中に登場するキャラクターになりきって、鮮やかな「読み」を披露します。
【感想】
草子は本好きの孤独な子どもだったけれど、古本屋のおじさんのおかげで孤独な子どもではなくなった。古本屋のおじさんが草子の書くブックガイドを気に入ってくれたから、草子の本の世界は、いや草子の生きる世界は広がった。草子は居場所のないことを気に病み、ずっと本の世界で生きていたが、古本屋と出会ってからは、そこにも居場所ができた。学校でも司書教諭の先生と仲良くなり、そこから学校での自分の居場所探しにも奮闘する。どれもみな、草子のブックガイドがきっかけで、起きた出来事やできたことだった。草子が本当に本が好きだったからこそできたことだ。草子は今はきっと、貧乏なままながらも少し幸せになれなのではないかと思う。