本屋さんでたまたま手に取って軽く読んで興味が湧いたので購入した『アーモンド』、読み始めたら止まらなくて2日間で読み終わった。
感情を感じることもできず他人の感情も読み取れないユンジェがゴニとの関わりの中で成長・変化していく様子がとても自然に描かれていて読みやすく、次々とページをめくってしまった。
...続きを読むゴニは不良少年だけど本当は弱くて優しくてかわいい男の子だということを、ユンジェの目を通して読者の私は感じることができた。
何も感じられなかったユンジェは、ゴニのことを知りたいと思ったのをきっかけに少しずつ変わり始めた。ゴニは、自分のことを決めつけないユンジェと友だちになりたいと思うようになった。感情が乏しいユンジェと激しい感情を持つゴニ、客観的に見るとユンジェが一方的にゴニから感情とは何かを学ぶ図のように見える。でも実際はそうではなくて、ゴニもユンジェから学んだり、ユンジェに救われたりしていた。
針金のところへ向かったユンジェは「友だちを助けるために恐怖に打ち勝って」その場へ来たわけではないけれど、「友だちだからゴニを探す」という自分だけで決めた固い意思と、「ゴニに申し訳ないと伝えなければいけない」という、"申し訳なく思う気持ち"を持ってきた。
ドラのことを好きと思う気持ちも、ゴニとの関わりがなければ生まれなかったのだろうな。印象に残る女の子だな、程度で終わってしまっていたのかもしれない。
嘘や忖度のない物言いだから信じられるということ、たしかにたくさんある。ゴニがユンジェに告白した本音のように、「何も感じなくなればいいのに」と思うことは生きていると結構ある。こんなこと言ったら嫌がられるかな、あの人の機嫌が悪いのは自分のせいかな、他人の感情を気にしすぎたり共感しすぎたりして疲弊することもある。淡々とこなしたい場面もたくさんある。でも感情がなかったら物事がただの結果でしかなくて、流れる景色のように次々と出来事だけが通り過ぎていって、自分の中には何も残らなくなってしまうのかもしれないな。
うまくまとめられない.....。
ユンジェのお母さんとおばあちゃんが通り魔に襲われた場面はすごくつらかったけど、だからこそお母さんが生きていてくれてよかったと心から思う。眠っていたユンジェの心が活動を始めたとき、お母さんがこの世界にいてくれてよかった。
ロボットだとかサイコパスだとか、「心がない」と言われてきたユンジェがゴニの心を動かした、こんなにすてきなこと無いなあ。
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