フォローさせて頂いているなおなおさんからお勧め頂いて拝読。
韓国映画や韓国ドラマをかなり観ていた時期があったお陰で何かと舌を鳴らしたりする感じや文化や場所などは軽く知っていたのですんなり読む事が出来ました。
年上の好意を持っている男性に対してオッパと呼ぶのを久々に見て懐かしい!と軽く感動を覚えました
...続きを読むが、軽妙で読みやすい恋愛小説なのに内容が実は日本にも通じるフェミニスト問題。
韓国の小説は大分前に読んだ『ダーウィンヤング』しか知らないのですが、同じ社会問題をテーマにした作品なのに読みやすさが段違い。
就活が難航していた主人公のスンジュンが漸くアメリカでのインターンシップというチャンスを手にし、付き合っていた彼女との事で悩んだ挙句これが最後のチャンスだと結局泣いて止める彼女を置いて渡米します。
彼女はあまりの遠距離に耐えられないとメールのみで別れを告げ、そのまま4年が経ったのですがなんと彼女と再会。
しかも彼女は中絶を禁止する堕胎法に反対するデモに参加していたのです。
当時はスカートに薄いけれど流行りのメイクもきちんとして髪を伸ばしていた彼女ですが、フェミ彼女になっていた彼女は髪もバッサリ切ってノーメイクにパーカーとデニム姿。スンジュンいわく「ボーイッシュではなく、ボーイ」的な出て立ちに。
かなり豹変していた彼女ですが彼にとっては唯一無二の恋人だったようで、どうにかこうにかよりを戻し、毎週デモに出かける程の熱心なフェミニストから元の彼女に戻そうと奮闘するのですが気持ち良い位にぶれないので中々上手く行きません。
彼女の名前が一切出てこず、後書きで読者の事でもあると思って欲しい、と書かれてありましたが男性も読むべき作品ではないでしょうか。
スンジュンは家父長制度が根付いている環境で育ったので偏った考えではありますが、確かに男性が考える良い彼氏と女性の考える良い彼氏って違うのかも。
こんなに難しい事を考えながら恋愛した事がないので成程、と感心しておりましたが役に立つ機会は当分来なさそうなのが悲しい。
私のこの悲しいという台詞すら彼女が聞いたら怒るかも知れません。
「女は男の自己満足を満たす為の道具じゃないのよ!」
私はそんな風に思っていないというより、そこまで深く考えていないのですが、彼女はこう思わざるを得ない辛い目に遭っています。
日本でも『Me Too』運動が加熱した事件がありましたが(ちなみにターゲットになった映画監督は私が大好きな監督だったので絶望を感じたのですが)これは腹立っても仕方ないよなあ…と頭を抱えました。
しかしこのスンジュンですね、凄く一途な良い男ではあるんですよ。
だからこそ彼女もよりを戻したんでしょうけれど考え方の違いの壁のせいでスンジュンの愛が空回りしてしまうんです。
もどかしい!もどかしいわー!!
恋愛ってもっとこう、単にキャッキャウフフじゃダメなのかな。
テーマがここではないので仕方ないんですが、お似合いの二人だけにやきもきしてしまう!
基本的には楽しいノリでお話が展開して行くので、小難しい事は考えずに読めるのにきちんと問題提起が心に残る。
ラストも小気味よいので読後感は不思議と非常に爽やか!
とても良い本でした。なおなおさん、ありがとうございます!
ところで、主人公の両親が物凄い関西弁で喋るのに、何故に関西弁?!
と思ったら訳者あとがきにちゃんと理由が書いてありました。びっくりした。