読み易く、巻末に述べられている様に「多くの人に読んでほしい」書物だと思った。
そして近い将来、「絶滅収容所を知る人々がいなくなる時間」が訪れる・・だからこそ、若い世代を通じて語り繋げていく架け橋がいかに大切かと痛感させられた。
語り部となっている2人の姉妹、収容された当時は6歳と4歳。双子とまちぐ
...続きを読むぁれた可能性もあっての「生き延びた奇跡の証言者」
数多くの書物を務めて読んでいるつもりだが、「絶滅収容所6か所」は全てポーランドに在ったことすら知らなかった。
そしてドイツ、ナチスのユダヤ人撲滅計画は当然ながら学んできたつもりだったが、イタリアの動きと実態は初めて知った。
姉妹が生まれ育った現クロアチア領リエカ。姉妹の祖先が迫害を逃れるべく、ソ連からハンガリーを経て移住したこの土地でも人種法が有ったものの、一応の姓名保証はあった・・がムッソリーニ失脚後ドイツと結託したイタリアのユダヤ狩りが始まった。
個人的見解ながら~イタリアと言えば、サッカー、ワイン。そして古代遺跡の宝庫、有名な観光地、明るい国民性気質。こういった大きな影を持っていたとは。
欧州の随所でイタリア人お断りの場もあるとか。
そう言えば映画「ひまわり」で登場するイタリア兵と参戦したソ連の戦場。
御持っち条に欧州の持つ深い傷跡、それを拭っての今日の姿等学ぶことが多かった。
NHKの「旅するイタリア語」に登場した地 トリエステ。イタリアと東欧のはざまで揺れ続け、現在生きている高齢者たちに記憶にどう残っているのか、感じさせない明るい光の中に浮かんでいた。
当作品で感銘を受けたのは収容所当時の姉妹の言動を子供の目線、行動で綴られている事。
国際紛争が絶える事のない今、そして将来に「魂を曇らせることなく生きて生き続ける姿」をイメージさせる力になってくれる素晴らしいメッセージとなっていた。