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家族仲がしっくりいかず、生き方に迷う主婦。16歳になる直前まで自分が在日韓国人だと知らなかった姉妹。ゲイであることに葛藤する男子高生。血の繋がった子どもを持てなかった母親。卒業式の日にプロムを開催すべく奮闘するモーレツ女子高生たち――ままならない日常に悩み惑う人たちの踏み出す一歩が、あなたの背中をそっと押してくれる。『余命一年、男をかう』で大注目の著者が贈る、明日もがんばる元気をくれる連作短編集。
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Posted by ブクログ
中日新聞でコラム連載してるから名古屋人なのは知ってたけれど、ぶちかまされた感じ。私もこのまま名古屋でオバさんになっていくのかも知らないけれど……、一生青春してーよ!!!
友情というより互助会。納得! 40代でチアダンスを始めたママチームと、その子供たち、学校の先生の連作短編。 前向き元気パワーをもらえる1冊。 映画をたくさん知ってたらもっと楽しめたのかな。
親世代、子世代それぞれの生が同じ大きな物語の中でつむがれるのが、日本文化の年齢性を超越しようともがく意志を感じさせる。先生と生徒というのもそうかな。 でもよく考えてみると、子供向けの小説の中で、子どもの姿が大人にはどう見えているかを描いていた古田足日なんかもある意味同じなのかな。今思えば、ああした小...続きを読む説(『宿題ひきうけ株式会社』など)を読んで育ったことが社会学者としての僕の現在につながっている気がする。 でもこの小説で描かれる親世代、子世代それぞれの世界は子ども向けの小説とは違って、より対等なものになっていて、それは現実の私たちの世界における若い世代がより大人の世界とつながっている部分を映しているように思える。 そのような中で、プロム開催のために爆走する女子高生たちは、悟りすぎている若い世代への私たちの期待を反映しているようだし、子育てをはじめてから、若いころの夢を実現させようとしている主婦たちの姿は、年齢の壁を乗り越えたいという私たち自身の野望を映しだしているように思える。 コロナの流行はシンデレラの12時の鐘のようだったけど、それならその現実を乗り越える新たな魔法を私たちは欲しいと切実に思った。 また全体的に女性視点が強く反映されたストーリーで、男性がそこにどう関わっていいんだろうという課題を課されているようにも感じられた。
6編からなる連作短編集。 なつみは、若々しい美鈴ママにちょっとだけ嫉妬していた。 女王蜂(クイーンビー)の美鈴ママ。 でも、美しさは見た目だけではなかったのだ。 歳を重ね「おばさん」になるのは罪なのか? 初未は二つの名前を持つ。 佐藤初未とキム・スンエ。 15歳の平凡な女の子に知らされた在日韓国人...続きを読むという事実。 ままならない日常。 出自も性別も、自身ではどうしようもない。 映画の印象的なシーンに絡め、それぞれの登場人物が明るく力強く そして前向きに描かれている。 吉川トリコさんは名古屋在住作家さん。 地名など馴染みのある場所ばかりで、それも楽しかった。
女性を取り巻く、あれこれに、とても敏感な作家さん。 初めて読んだ「ベルサイユのゆり」は、ふざけているのかと思ったけれど、 ちゃんと「ゆり」の意味を込めていたんだよね、あれ以来、 気になる作家さん。 私から見たら、若手だけれど、世の中では中堅か。 本作は、連作短編集。 彼女の世代爆発、映画や海外ドラ...続きを読むマが次々登場し、 その上の世代の私にはよくわからないところも多々あり。 それでも、40代主婦がチアダンスチームを作り・・・ そこから仲間が広がり、今の世で、マイノリティゆえの何かを 抱えている人物が次々にスポットを浴びる。 こういった世の中の切り取りが、本当に、この人は上手。 ちゃんと物語の中で読ませてくれる。 そして、必ず、人と人とのつながりの暖かさを感じさせてくれる。 そこが好き。
チアダンスチームを作って周りに冷ややかに言われようとも日々練習に励む主婦。 15才のときに在日韓国人だと告げられて、戸惑いながらも韓国の文化に触れていく女性。 母子家庭で映画館が唯一の居場所だと感じていた男子高生が、同級生たちと好きな映画を通じて芽生えた気持ち。 手術することになり、子供を授か...続きを読むれなかったことや養子で迎えた高校生の息子のこと、お見舞いに来てくれたチア仲間と、自分が周囲にしてあげられること。 高校の卒業式でプロムをやりたいという女子高生たちの熱意に圧倒される教師。 自分が在日であることへの拒絶感と、青春を謳歌する女子高生たちを見て思うこと。 卒業式でアメリカ映画で観るようなプロムをやるために学校に働きかけた女子高生。 コロナというウイルスによってかなわなかった悔しさと、友達と先生と過ごした最後の高校生活の終わり。 自分の気持ちと周囲の反応への不安。 みんなつながっている登場人物たち。
モヤモヤを抱えた人たちが日々葛藤しながらも、ほんの少し前進する、前向きになれる連作短編集。 舞台が名古屋で、実在する地名や名古屋弁が出てきたり。学生時代に名古屋に住んでいたのでより物語に入り込めた。 後半よりも前半のお話の方が、自分的には想像して噛み砕きやすかったかなぁ。
柚木麻子さんの推薦文に惹かれて、吉川トリコさんの作品に初めて手を伸ばした。 前半は引き込まれてぐいぐい読み進めていたが、最終話のプロムに関する熱い気持ちがピンと来なくて、そこに至るまでの情熱の理由もあまり描かれておらず、結果としてオムニバスとしての面白さがかなり薄れてしまった。
一見「普通」に見える人たちでも、何らかの葛藤を抱えて生きている。 そんな人たちが、なにか大事なものをみつけて、それを掴もうと一生懸命になる物語り。 「時代のサイクルが日毎に速くなって、どこもかしこもものや情報であふれているのに、なにか大事なものをつかみそこねているような不安がつねにうっすら貼りつい...続きを読むている。[...] だから私もせっせと映画館に通っている。浜辺の砂からひとつぶの光る石を拾いあげるみたいに、虫取り網を天高く掲げて流れ星を追いかけるみたいに」。(197~198ページ)
各話主人公は違えど、同じコミュニティの中で登場人物は繋がっており、まとう空気に統一感があって、読みやすかった。 総じてみんな「前向き」! 元気をもらえる一冊でした♪
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吉川トリコ
早川世詩男
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