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Posted by ブクログ
予備知識なく手に取った連作短編集。
1話目はママがチアをする!っていう話で、エンタメ小説として「あぁこういう感じね知ってる知ってる」って思いながら読んだ。
そこから2話目、3話目とつながっていくんだけど、在日外国人だったり養子だったり、そういうエンタメにはおさめきれない社会問題が出てきて、かといって深刻になりすぎず、エンタメとしての面白さが十分にあって、なんていったらいいんだろう…私の生活の一部として読めた感じ。
そして最後『プロムへようこそ』のラストシーンでは思わず涙が…。楽しいだけじゃない、私が高校時代に置き忘れてきたものもくみ取って昇華させてくれる感じ。
おもしろかった。
Posted by ブクログ
親世代、子世代それぞれの生が同じ大きな物語の中でつむがれるのが、日本文化の年齢性を超越しようともがく意志を感じさせる。先生と生徒というのもそうかな。
でもよく考えてみると、子供向けの小説の中で、子どもの姿が大人にはどう見えているかを描いていた古田足日なんかもある意味同じなのかな。今思えば、ああした小説(『宿題ひきうけ株式会社』など)を読んで育ったことが社会学者としての僕の現在につながっている気がする。
でもこの小説で描かれる親世代、子世代それぞれの世界は子ども向けの小説とは違って、より対等なものになっていて、それは現実の私たちの世界における若い世代がより大人の世界とつながっている部分を映しているように思える。
そのような中で、プロム開催のために爆走する女子高生たちは、悟りすぎている若い世代への私たちの期待を反映しているようだし、子育てをはじめてから、若いころの夢を実現させようとしている主婦たちの姿は、年齢の壁を乗り越えたいという私たち自身の野望を映しだしているように思える。
コロナの流行はシンデレラの12時の鐘のようだったけど、それならその現実を乗り越える新たな魔法を私たちは欲しいと切実に思った。
また全体的に女性視点が強く反映されたストーリーで、男性がそこにどう関わっていいんだろうという課題を課されているようにも感じられた。
Posted by ブクログ
6編からなる連作短編集。
なつみは、若々しい美鈴ママにちょっとだけ嫉妬していた。
女王蜂(クイーンビー)の美鈴ママ。
でも、美しさは見た目だけではなかったのだ。
歳を重ね「おばさん」になるのは罪なのか?
初未は二つの名前を持つ。
佐藤初未とキム・スンエ。
15歳の平凡な女の子に知らされた在日韓国人という事実。
ままならない日常。
出自も性別も、自身ではどうしようもない。
映画の印象的なシーンに絡め、それぞれの登場人物が明るく力強く
そして前向きに描かれている。
吉川トリコさんは名古屋在住作家さん。
地名など馴染みのある場所ばかりで、それも楽しかった。
Posted by ブクログ
女性を取り巻く、あれこれに、とても敏感な作家さん。
初めて読んだ「ベルサイユのゆり」は、ふざけているのかと思ったけれど、
ちゃんと「ゆり」の意味を込めていたんだよね、あれ以来、
気になる作家さん。
私から見たら、若手だけれど、世の中では中堅か。
本作は、連作短編集。
彼女の世代爆発、映画や海外ドラマが次々登場し、
その上の世代の私にはよくわからないところも多々あり。
それでも、40代主婦がチアダンスチームを作り・・・
そこから仲間が広がり、今の世で、マイノリティゆえの何かを
抱えている人物が次々にスポットを浴びる。
こういった世の中の切り取りが、本当に、この人は上手。
ちゃんと物語の中で読ませてくれる。
そして、必ず、人と人とのつながりの暖かさを感じさせてくれる。
そこが好き。
Posted by ブクログ
チアダンスチームを作って周りに冷ややかに言われようとも日々練習に励む主婦。
15才のときに在日韓国人だと告げられて、戸惑いながらも韓国の文化に触れていく女性。
母子家庭で映画館が唯一の居場所だと感じていた男子高生が、同級生たちと好きな映画を通じて芽生えた気持ち。
手術することになり、子供を授かれなかったことや養子で迎えた高校生の息子のこと、お見舞いに来てくれたチア仲間と、自分が周囲にしてあげられること。
高校の卒業式でプロムをやりたいという女子高生たちの熱意に圧倒される教師。
自分が在日であることへの拒絶感と、青春を謳歌する女子高生たちを見て思うこと。
卒業式でアメリカ映画で観るようなプロムをやるために学校に働きかけた女子高生。
コロナというウイルスによってかなわなかった悔しさと、友達と先生と過ごした最後の高校生活の終わり。
自分の気持ちと周囲の反応への不安。
みんなつながっている登場人物たち。
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