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3.0中央アフリカで発見された謎の病、アブバジ病に罹患したパストゥール研究所の学者フランソワ。病床の彼から預かった資料を、ナディア・モガールと矢吹駆は、フランソワの師・マドック博士に届けるため、アテネへと旅立った。しかし博士は、エーゲ海の孤島・ミノタウロス島に渡っていた。彼を追うナディアと駆。島の館・ダイダロス館には、二人を含む十人の男女が集まったが、嵐で島は孤立、ギリシア神話をなぞるように装飾された客たちの死体が次々に発見される。奇怪な連続殺人の真相は? シリーズ中白眉といわれる、記念碑的傑作本格ミステリ。/解説=飯城勇三
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4.0小学四年生の「白野真澄」は、強い刺激や予想できない出来事が苦手だ。横断歩道も黒いところを踏むと心に影が差すような気がして、いつも白いところだけを渡って歩いている。なるべく静かに日々を過ごしたいと思っているのだが、翔が転校してきてから、その生活は少しずつ変化していき……(表題作)。頼れる助産師、駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、恋人への不満を紛らわすように浮気をする女子大生。五人の不器用な「白野真澄」たちが抱える五者五様の生きづらさを、曇りのない眼差しでまっすぐに見つめた傑作短編集。/【目次】名前をつけてやる/両性花の咲くところ/ラストシューズ/砂に、足跡/白野真澄はしょうがない/解説=大矢博子
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3.7電灯もオイル・ランプもなく、夜がまだ謎めいていたころ、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトを浴びせられ、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道で、雨水や汚れを川まで流す労役につかされた「下水熊」。──現在のイギリスに、この愛おしい熊たちはいません。彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。/【目次】1 精霊熊/2 罪食い熊/3 鎖につながれた熊/4 サーカスの熊/5 下水熊/6 市民熊/7 夜の熊/8 偉大なる熊(グレート・ベア)/訳者あとがき/解説=酉島伝法
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4.4「あと七日」意識を取りもどしたとき、耳もとで笑い声と共にそんな言葉が聞こえた。 頭が痛い……。わたしは……わたしはトリス。昨日池に落ちて記憶を失ったらしい。少しずつ思い出す。母、父、そして妹ペン。ペンはわたしをきらっている、憎んでいる、そしてわたしが偽者だと言う。なにかがおかしい。破りとられた日記帳のページ、異常な食欲、恐ろしい記憶。そして耳もとでささやく声。「あと六日」。わたしに何が起きているの? 大評判となった『嘘の木』の著者が放つサスペンスフルな傑作。英国幻想文学大賞受賞、カーネギー賞最終候補作。/解説=深緑野分
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3.0元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。/【目次】天地揺らぐ/蔵の中/分かれ道/幾山河
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3.7「怪盗になる」そう宣言した幼馴染の蓮に仲間として引き入れられ、安西省吾は東京地方裁判所検事局を辞めてともに欧州に渡った。異国で成功した手妻師とそのマネージャーという体裁で帰国した二人は、しばらく日本で休養するはずだったが……蓮は揉め事を起こさないという約束をはぐらかし、次々と不可解な出来事に首を突っ込んでいく。帝国ホテルから一晩で消えた金塊、名家に伝わる嫁入道具をめぐる騒動、すべて一等が出る駄菓子屋の籤の謎――怪盗ロータスの華麗なる推理綺譚。〈帝都探偵絵図〉シリーズ、待望のスピンオフ。/【収録作】「グランドホテルの黄金消失」帝国ホテルに持ち込まれた金塊が一晩で消えた。/「特等席」名家に伝わる嫁入道具・貝合わせの行方を追う。/「埋める者 暴く者」湯治のはずが、何故か埋蔵金探しに巻きこまれ……。/「すべて当たり籤」駄菓子屋の籤引きが思わぬ騒動を引き起こす。/「光と影のおむすびころりん」貧しかった寺男の遺品を盗んだ犯人の目的とは。
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4.1夢の中では間抜けな“蜥蜴のビル”になってしまう大学院生・井森建。彼は郷里に帰省して小学校時代の同窓会に参加する予定だったが、駅前の食堂で気絶してしまう。そして失神中に見た夢の中で、活発な少年ピーター・パンと心優しい少女ウェンディ、妖精ティンカー・ベルらに遭遇し、ネヴァーランドと呼ばれる島へ行くことになる。だが、ピーターは持ち前の残酷さで、敵である海賊のみならず、己の仲間である幼い“迷子たち”ですらカジュアル感覚で殺害する、根っからの殺人鬼であった。そんなピーターの魔手は、彼を慕うティンカー・ベルにまで迫り……『アリス殺し』シリーズ第4弾。
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3.5部屋はただの空間ではなく、精神の表出、知性の産物でもある……われわれは部屋をつくり、部屋はわれわれをつくる。それがオスカーの信念だった。神経質で完璧主義の音楽家である友人オスカー宅で、二匹の猫を預かり留守番をすることになったぼく。スタイリッシュなフラットでの気ままな日々が待っているはずだったが、思いもかけない展開に……。そこここで見つかる友人の細かい注意書き。フローリングには万全の注意を払ってほしい、コースターなしで床に飲み物を置かないこと。猫をソファには絶対上がらせないこと。ピアノで遊ばないでほしい……等々。次第に追い詰められていくぼく。恐ろしくもおかしいカフカ的不条理世界。悪夢のような八日間の果てにオスカーから聞かされたのは? ベティ・トラスク賞受賞作。
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4.1ギャングの少年による殺人を目撃した女性は、報復を恐れて通報できず、苦悩する……(「ベイビー・キラー」)。1899年のフランス。8人の子供を殺して監獄に入れられた囚人と看守の、奇妙な交流の行方は……(「ボルドーの狼」)。メアリーローズは水曜日に死んだ。売人の家で麻薬を打った直後に死んだという。キャンベルは愛する人が死んだことで、世界の一部も死んでしまったような気がした……(「本能的溺水反応」)。メキシコとの国境地帯で大規模な山火事が起こる。密入国する途中で火事に巻き込まれたらしい親戚を探すという父親に連れられ、少年は荒野に足を踏み入れるが……(「灰になるまで」)。目撃者、看守、前科者、薬物中毒者、密入国者の親戚──。さまざまな形で犯罪に関わりを持ってしまった人々の孤独と希望を、美しく切なく真摯に描く。英国推理作家協会(CWA)賞最優秀短編賞受賞作ほか全10編収録の傑作短編集!/【目次】悪いときばかりじゃない/ベイビー・キラー/ボルドーの狼/万馬券クラブ/夕闇が迫る頃/本能的溺水反応/聖書外典/すべてのあとに/甘いささやき/灰になるまで/謝辞/解説=杉江松恋
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4.0『毒入りチョコレート事件』(アントニイ・バークリー)、『赤い館の秘密』(A・A・ミルン)、『クロイドン発12時30分』(F・W・クロフツ)、『失踪当時の服装は』(ヒラリー・ウォー)、『野獣死すべし』(ニコラス・ブレイク)……などなど、数々の傑作を著した53人の海外ミステリ作家たち。その意外な交友関係や、執筆にまつわる知られざるエピソードを、風の向くまま気の向くままにご紹介します。寝る前や、ちょっとした空き時間に、ページをぱらぱら捲っていただければ幸いです──。ミステリのみならず、文芸全般に精通する気鋭の書評家・杉江松恋が、丸9年にわたり連載した「ミステリーズ!」伝説のブックレビュー。ミステリ読者必携の一冊!/【目次】まえがき/エドマンド・クリスピンはグルーチョ・マルクスから何を学んだか/真似してはいけないロジャー・シェリンガムの恋愛作法/クリスティ、皆殺しのバラード/フィリップ・トレントの密かな愉しみ/イズレイル・ザングウィルで笑うべきか否か/A・A・ミルンの「これが人生だ!」/教えてよ、ミッキー・スピレーン/四十年は早かった? クロフツ/ステーマンの作品の外に伸びた線/ビル・S・バリンジャーの「遠くへ行きたい」?/メースンの義を見てせざるは/ウォーの奇妙な味/パット・マガーの『アメリカの悲劇』/ホーナングの滑稽な階級意識/アラン・グリーンの恋のから騒ぎ/カーだってマルキスト/レックス・スタウトのリベラリズム/フレミングの愛したスパイ/ウッドハウスという鋳型/ヒルトンは孤独ではない/フラナガンの歴史的視点/テイという人の顔/ご冗談でしょう、フリーマンさん/チェイニイの強運/ノックスの王手無用/人騒がせなルブラン/ホワイトチャーチに萌えてみた/アップフィールドの帝国主義/クイーンが読まなかった本/フレミングの二人の合作者/ブラウンに茶々を/ミッチェルの振り上げた拳/ヒラーマンの偉大な箱庭/O・ヘンリーのほら話/ブレイク、家族の問題/ガードナーは車輪を回す/ブラウンのサイド・ショウ/ブリーンひとり雑誌/二人でコールを/モイーズのお話が生まれたところ/ストリブリング、交わらない線/ホックのD/ヴァン・ダインの六文字/ケメルマンの閉じた世界/ネヴァーランドのバリ/アタイヤにつながる線/プロクター、身も蓋もなし/袋小路のハミルトン/アリグザンダーの〈戦前〉/ドモアリガト、ミスター・ボール/セックス・ヘクト・ロックンロール/モームの英国式朝食/バウムのグランド・ホテル/索引
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3.9黒いダイバースーツに身を包み、浴室で首をくくっていた男。赤ん坊を死なせた夫の罪を肩代わりし、3年後に出所の日を迎えた母親。静寂の中で余生を暮らし、夏の終わりに小銃に弾を込めた湖畔の住人。犯罪組織のボスとして人身売買の罪で起訴された男と、彼を弁護することになった新人弁護士。──唐突に訪れる犯罪の瞬間には、彼ら彼女らの人生が異様な迫力をもってあふれだす。刑事専門の弁護士として法廷に立つ傍ら、デビュー作『犯罪』で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた当代随一の短篇の名手が、罪と罰の在り方を鮮烈に問う12の物語。/【目次】参審員/逆さ/青く晴れた日/リュディア/隣人/小男/ダイバー/臭い魚/湖畔邸/奉仕活動(スボートニク)/テニス/友人/訳者あとがき/解説=千街晶之
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3.6神田神保町――江戸時代に旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年を経て復興を遂げつつあった。その街の一隅で、ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰され、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが――直木賞作家である著者の真骨頂とも言うべき長編ミステリ。/対談=門井慶喜×岡崎武志
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4.7中には、見たこともないような鳥がいた。羽根はすべて純金で、目はろうそくの炎のようだ。「わが不死鳥だ」と、獣医は言った。「あまり近づかないようにな。凶暴なのだ」……「ルビーが詰まった脚」。競売で手に入れた書類箱には目に見えない仔犬の幽霊が入っていた。可愛い幽霊犬をめぐる心温まる話……「ハンブルパピー」。ガーディアン賞、エドガー賞受賞の著者による不気味で可愛い作品10編を収めた短編集。/【目次】葉っぱでいっぱいの部屋/ハンブルパピー/フィリキンじいさん/ルビーが詰まった脚/ロープの手品を見た男/希望/聴くこと/上の階が怖い女の子/変身の夜/キンバルス・グリーン
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4.2保安官助手カーターとの初デート成功に浮かれるフォーチュンのもとに、朝から凶報が届く。いまだ空席のシンフル町長の座に、アイダ・ベルやガーティの宿敵シーリアが立候補したのだ。彼女が当選したら、CIAのスパイという自分の正体が明るみに出かねない。三人が当選阻止に動こうとした矢先、カーターからSOSが飛びこんできたと知らされる。緊急捜索の果て、銃撃されて沈みゆくボートから間一髪救出するが、カーターはそのまま病院行きに。ブレーキ役不在の三人組が、犯人さがしのため町を史上最大の混乱に陥れる〈ワニ町〉シリーズ第5弾!/解説=穂井田直美
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4.7かつて犯した医療事故が原因で、人目を避けるようにしてひとり離れ小島に住む元医師フレドリック・ヴェリーン。ある日そんな彼のもとに、37年前に捨てた恋人ハリエットがやってくる。治らぬ病に冒された彼女は、白夜の空の下森の中に黒く浮かぶ湖に連れて行くという、昔の約束を果たすように求めに来たのだ。かつての恋人の願いをかなえるべく、フレドリックは彼女と一緒に島を出発する。だがその旅は彼の人生を思いがけない方向に導いていくことに……。〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉の著者が描く、孤独な男の贖罪と再生、そして希望の物語。
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-帝国オロンドリアを二分した大乱は、書物と言葉を巡る戦いでもあった。そのただ中を生きた四人の女性たち――貴族出身ながら戦いにその身を投じた剣の乙女、彼女を愛した遊牧民の歌い手、帝国を支配する思想を創り上げた男を父に持つ女司祭、そして反乱の指導者である王子の秘密を知る王家の娘。彼女たちは正史から葬られようとしているそれぞれの物語を、自らの言葉で語り始める。響きあう四つの物語からやがて立ち上がるのは――デビュー長編にして世界幻想文学大賞など四冠『図書館島』の著者が贈る、書物と言葉を巡る傑作本格ファンタジイ。/解説=河野聡子
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4.3死神だ。死神が来た――罪を犯した者たちが乙姫警部に出会って最初に抱くのは、畏怖をはらんだそんな錯覚だ。削ぎ取ったように痩せた頰、刃物で切り落としたようにシャープな顎、悪魔を思わせる鉤鼻、そして虚無の深淵を覗き込んだかのような陰気で表情の感じられない瞳。それらが与える死神めいた印象に違わず、乙姫警部は、じわりじわりと犯人たちを追い詰める。〈猫丸先輩〉シリーズや『星降り山荘の殺人』の倉知淳が挑んだ、〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ大人気倒叙ミステリシリーズ!/【収録作】第一話:愚者の選択 大人気漫画家を殺してしまった週刊漫画雑誌の担当編集者。/第二話:一等星かく輝けり 悪徳芸能プロモーターを手にかけた歌謡界の“元”スター。/第三話:正義のための闘争 裏切った腹心の部下に鉄槌を下した人気タレント文化人。/第四話:世界の望む静謐 脅しにより肉体関係を迫る同僚の口を封じた美大予備校の講師。
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-病気や障害や、その他さまざまな事情で生身の肉体で生きることに不都合を抱えた人々が、〈情報人格〉となって仮想世界で暮らすことが可能になった時代。十三年前にある事情から情報人格となった楢山小春(ならやまこはる)は、大学時代の同級生が集うパーティーに生身の体で出席するために、「情報人格のために体を貸してくれるサービス」を利用する。体を提供してくれたのは21歳の女性で、楢山の半分の年齢だった。ひとつの体にふたつの意識をのせて、ふたりは一日限りの稀有な体験をする。第13回創元SF短編賞受賞作。※本電子書籍は、『Genesis この光が落ちないように』(東京創元社 2022年9月30日初版発行)に掲載の「風になるにはまだ」のみを電子書籍化したものです。『Genesis この光が落ちないように』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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-第9回創元SF短編賞受賞作「天駆せよ法勝寺」。長編化される同作品の序章部分を先行発表。佛理学の成果たる六勝寺計画が進められていた。完成の暁には、これら星寺は巨大な飛塔となって天を駆ける。瀬戸内の島で建造中の尊勝寺では、大勢の見学者を招いて駆動実験が開始された。二千の寺から集められた祈念は、しかし佛理爆発を引き起こす。これを封印するため命を賭して志願したのは、のちに法勝寺の管長となる巌真ら三人の僧であった。話題をさらった創元SF短編賞受賞作「天駆せよ法勝寺」の前日譚となる、驚天動地の仏教SF。※本電子書籍は、『Genesis この光が落ちないように』(東京創元社 2022年9月30日初版発行)に掲載の「天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺」のみを電子書籍化したものです。『Genesis この光が落ちないように』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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3.3どこをさがしても見つからない。いくらさがしても見つからない。残り一球が見つからないと帰れない。いったいボールはどこへ行ったのだ? 闇雲にさがしても無駄だ、頭を使おうと高校野球部の部員たちは推理でボールの行方を突きとめようとする。著者の出発点となった「ボールがない」をはじめ、天文部員が天体写真を添付したメールの謎の解明に挑む「宇宙倶楽部へようこそ」、実在のスイッチバック駅を舞台に殺人の謎を描いた表題作など五編。ああでもない、こうでもないと推理を重ねたその先に、意外なところから真相がひょっこりと顔を出す、鵜林ミステリの個性を示した第一作品集。 【目次】 ボールがない 夢も死体も湧き出る温泉 宇宙倶楽部へようこそ ベッドの下でタップダンスを 秘境駅のクローズド・サークル あとがき
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3.7岡山の名士が遺した二通の遺言状。一通目の遺言に従って、一族の面々は瀬戸内の孤島・斜島に集められた。行方を晦ましていた怪しげな親族までもが別荘『御影荘』に招かれて奇妙な空気に包まれるなか、もう一通の遺言状は読みあげられた。翌朝、相続人の一人が死体となって発見される。折しも嵐によって島は外界から隔絶される事態に。相続人探しの依頼を受けていた私立探偵・小早川隆生と遺言執行人の代理を務める弁護士・矢野沙耶香、ふたりは次から次へ奇怪な事件に巻き込まれていく。鬼面の怪人物の跳梁、消える人影、そして一族が秘密にしていた二十三年前の悲劇――続発する怪事の果て、探偵たちの眼前に驚愕の真相が現出する! 本屋大賞作家が満を持して放つ、謎解きの興趣を隅々まで凝らした長編ミステリ。
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4.0日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編。全編書き下ろし。第13回創元SF短編賞受賞作を収録。創元SF短編賞受賞作「天駆せよ法勝寺」が12,000ダウンロードを記録した八島游舷。『神々の歩法』が話題、日本初の動画配信SFシリーズを生み出した宮澤伊織。《ユア・フォルマ》シリーズで人気、今回初の短編小説に挑んだ菊石まれほ。『マインド・イーター』で知られ、人間と音楽と宇宙をテーマに描いた水見稜。『感応グラン=ギニョル』でデビュー、注目の怪奇幻想SF作家・空木春宵。三選考委員絶賛の第13回創元SF短編賞受賞者・笹原千波。ベテランから日本SFの未来を担う新鋭まで、6人の作家が集結!/【目次】はじめに/八島游舷「天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺」/宮澤伊織「ときときチャンネル#3【家の外なくしてみた】」/菊石まれほ「この光が落ちないように」/水見稜「星から来た宴」/空木春宵「さよならも言えない」/笹原千波「風になるにはまだ」〔第13回創元SF短編賞受賞作〕/第13回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より
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4.1兄は船旅に出る妹を見送ったが、それは彼女が乗る予定の船ではなかった。ひと月後、妹から手紙が届く。彼女は、その船では日付も時刻も現在位置も確認できないと書いていた。手紙を読み進めるにつれ、内容はさらに常軌を逸していき……(「船の話」)。ある日突然、部屋の中に謎の大きな鳥が現れる。“わたし”は、なぜか外に出ていかない鳥の正体を突き止めようとするが……(「ロック鳥」)。旅行から帰ったら、自分が死んだとアパートの住人に触れまわった女がいたという奇妙な話を聞かされて……(「六月半ばの真昼どき」)。大都会N市では、死体から蘇生させられた“灰色の者”たちが、清掃や介護などの労働を人間の代わりに行っていた。彼らに生前の記憶は一切なく、恐怖も希望も憎悪も持ち合わせていない。しかしある時、“灰色の者”たちにすさまじい変化が訪れ……(「その昔、N市では」)。日常に忍びこむ奇妙な幻想。背筋を震わせる人間心理の闇。懸命に生きる人々の切なさ。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、全15作の日本オリジナル傑作選!/【目次】白熊/ジェニファーの夢/精霊トゥンシュ/船の話/ロック鳥/幽霊/六月半ばの真昼どき/ルピナス/長い影/長距離電話/その昔、N市では/四月/見知らぬ土地/いいですよ、わたしの天使/人間という謎/訳者あとがき
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3.3わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)はなぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。歩の許に次々と新たな謎――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――を持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。ただ、わたしは謎がなくても、友人らしい理由で歩に会いたいと思っているのに。シリーズ第2弾!
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3.8将来、NASAのエンジニアになりたい小学六年生の佐倉ハルくんは、風船による宇宙撮影を目指しています。できる限り大人の力を借りず、自分だけの力で。そんなことくらいできないようでは、NASAのエンジニアになんて到底なれないから、と。意地っ張りな性格もあってクラスでは孤立、家に帰っても両親とぎくしゃくし、それでもひたすらひとりで壮大な目標と向き合い続けるハルくんの前にある日、金髪の転校生が現れて……。第34回坪田譲治文学賞を受賞した、ひとりの少年の夢と努力の物語。奮闘するハルくんのことを、きっと応援したくなるはずです――読み終えたあとは、もっと。
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3.8「犯人は読者だ」で話題をさらった『仮題・中学殺人事件』から50年、ミステリ作家デビュー以来、本格もの、ユーモアものをはじめ、様々なスタイルの作品を提供し続けてきた辻真先。中でも、鉄道ミステリは、著者自身が長年の鉄道ファンであることも広く知られており、多くの読者に親しまれてきた。シリーズキャラクターである、トラベルライター・瓜生慎ものを筆頭に、自らも鉄道愛好家でもある、ミステリ評論家・戸田和光が選んだ珠玉の12編。すでに廃線となった路線、企画列車なども登場する、辻ファン、鉄道ミステリファン必携の一冊。/【目次】お座敷列車殺人号/夜行急行殺人号/ブルートレイン殺人号/α列車殺人号/郷愁列車殺人号/白い闇の駅/オホーツク心中/遠い日、遠いレール/終電車の囚人/鉄路が錆びてゆく/東京鐵道ホテル24号室/轢かれる/解題=戸田和光
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3.9千吉は大好きな兄、弥助を守るための力がほしいと、共に育った半妖の双子と一緒に妖怪奉行所西の天宮の奉行、朔ノ宮に弟子入りした。ところが仕事は雑用ばかりで一向に術らしい術を教えてくれない。ようやくひとつだけ教えてくれた術もなんの役に立つのかわからぬ始末。楽しそうな双子とは対照的に、千吉の苛立ちはつのるばかり。そんなある日、弥助に子妖を預けた化け獺が、期日を過ぎても迎えにこない。兄との時間を邪魔されて腹が立った千吉は、双子を巻き込んで化け獺を捜す決心をした。大人気の〈妖怪の子、育てます〉シリーズ第2弾!
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4.0証書偽造が発覚、窮地に立たされた由比祐吉は破滅を逃れるため、恩義ある子爵の殺害を決意する。冷徹巧妙な殺人計画の進行を倒叙形式で描く「烙印」、横暴な父に苛められる母には秘密があった――子供の目を通して家庭の悲劇を描いた名篇「凧」、建設中のビルの鉄骨から転落した夫の死の真相が十九年後に明らかになる「不思議な母」、誘拐事件を扱った最後の推理短篇「螢」まで、戦後作を含む全八篇を収録。人物の性格や心理描写に優れた犯罪小説で探偵小説界に大きな足跡を残した巨匠、大下宇陀児の短篇傑作選。/【目次】烙印/爪/決闘街/情鬼/凧/不思議な母/危険なる姉妹/螢/〈エッセイ〉乱歩の脱皮/探偵小説の中の人間/解題/解説=伊吹亜門
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3.9『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。プロモーションとして、探偵ダニエル・ホーソーンとわたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、初めて開催される文芸フェスに参加するため、チャンネル諸島のオルダニー島を訪れた。どことなく不穏な雰囲気が漂っていたところ、文芸フェスの関係者のひとりが死体で発見される。椅子に手足をテープで固定されていたが、なぜか右手だけは自由なままで……。傑作『メインテーマは殺人』『その裁きは死』に並ぶ、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊!/解説=若林踏
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3.3東京でフリーライターとして働く小野寺衛は、同棲する恋人の妊娠が判明した夏の日、伯母からの電話を受ける。それは故郷に残してきた兄の死の報せだった。兄・聡には知的障害があったが、死因は自殺ということ以外なにもわからない。葬儀のため七年ぶりに地元・松島の地を踏んだ衛は、兄の死の真相を探る決意をする。父親、伯母、幼馴染みと、聡と関わりの深かった人物に話を聞いていくことで、慟哭の真実が明らかに──! エッセイ『しくじり家族』『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』で話題の著者が贈る、鮮烈なミステリデビュー作。
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3.6青春時代にテレビのリアリティ番組に夢中になったメラニー。彼女は今や、サミーとキミーという兄妹の母となり、YouTubeで彼らの動画を公開し、何百万人もの視聴者を獲得している。サミーとキミーはキッズインフルエンサーとして有名になり、たくさんのスポンサーがついていた。しかしある日、かくれんぼの最中に六歳のキミーの姿が消えた。誘拐が疑われ脅迫状も届く。金目当てか? 成功者への嫉妬か? 怨恨か? 小児性愛者か? パリ司法警察局が捜査を開始し、メラニーと同世代の警察官で捜査記録官のクララも事件を精査しはじめる。クララもかつては、親に隠れてリアリティ番組を見ていた少女だった。ネット社会で翻弄される人たち……。そしてSNSネイティヴの子供たちの未来を知る人はまだいない……。SNS全盛の現代、子供たちを、そして人々を待ち受ける闇をミステリ的筆致で描いた恐ろしくも予言的な問題作。母親は言う。「我が家では、子供が王様なんです」と。
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3.7高齢者向け共同住宅に住む90歳のペギーが死んだ。彼女は推理小説の生き字引のような人物で、“殺人コンサルタント”と名乗り、多くの作家の執筆に協力していた。死因は心臓発作だったが、ペギーの介護士ナタルカはその死に不審を抱き、刑事ハービンダーに相談しつつ、友人二人と真相を探りはじめる。しかしナタルカたちがペギーの部屋を調べていると、覆面の人物が銃を手にして入ってきて、一冊の推理小説を奪って消えた。謎の人物は誰で、なぜそんな不可解な行動を? 『見知らぬ人』の著者が贈る、本や出版界をテーマにした傑作謎解きミステリ!/解説=杉江松恋
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4.2その日、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子を含む九人が、人里離れた班目機関の元研究施設“魔眼の匣”を訪れた。その主であり、予言者として恐れられている老女は、来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。施設と外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り48時間、二人の予言に支配された匣のなかで、葉村と比留子は生き残って謎を解き明かせるか?! ミステリ界を席捲した『屍人荘の殺人』シリーズ第2弾。/解説=大山誠一郎
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3.3「佐治は偽悪病患者だ。接近させてはいけない」兄の警告を妹は一笑に付したが……犯罪の萌芽から事件発生と解決まで往復書簡形式で語られるモダン探偵小説の表題作、犯行に至る殺人者の心理を克明に描き、“なぜ殺したか”の謎を追求した「死の倒影」「情獄」、掘り出し物の骨董をめぐる奇譚「金色の獏」、都市伝説めいた怪現象が連続猟奇殺人に発展する犯罪幻想譚「魔法街」他、全九篇。日本探偵小説草創期に江戸川乱歩、甲賀三郎とともに絶大な人気を博した巨匠、大下宇陀児の多彩な作品を紹介する短篇傑作選。/【目次】偽悪病患者/毒/金色の獏/死の倒影/情獄/決闘介添人/紅座の庖厨/魔法街/灰人/〈エッセイ〉探偵小説の型を破れ/探偵小説不自然論/解題/解説=長山靖生
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3.0どうやら、人類は滅亡するらしい。最後の撤収便に乗らず、北極圏の天文台にひとり残ることを選んだ孤独な老学者オーガスティンは、取り残された見知らぬ少女とふたりきりの奇妙な同居生活を始める。一方、帰還途中だった木星探査船の乗組員サリーは、地球との通信が途絶えて不安に駆られながらも、仲間たちと航行を続ける。終末を迎える惑星の片隅で、広漠たる宇宙の大海の中で、長い旅路の果てに彼らは何を失い、何を見つけるのか? 終わりゆく世界を生きる人々のSF感動作。ジョージ・クルーニー監督主演映画『ミッドナイト・スカイ』原作。/解説=勝山海百合
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3.3冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われる。だが実際はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けて、ある特殊作戦に抜擢された。その作戦の目的とは、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。そう、文学の力で人々の意識を、そして世界を変えるのだ。一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描く傑作長編!/解説=大矢博子
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4.0人形を売買するだけの自分に、ものを作る人々にのしかかる重圧は永久にわからない――スランプに陥った店の職人・冨永の言葉に傷つきながらも、せめて創作の一端に触れようと、老舗の人形店が開く教室に通い始めた玉阪人形堂の新人店主・澪。店にやってくる様々な顧客が持ち込む謎、そして人々との対話を通して、彼女は日々、人形に向き合う。少女たちが夢中になった国民的着せ替えドールを巡る騒動、髪が伸びる市松人形に隠された胸を打つ物語。当代きっての短篇の名手が贈る、『たまさか人形堂ものがたり』に続く珠玉のミステリ連作集。書き下ろし「戯曲 まさかの人形館」を収める。/解説=倉数茂
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4.2アダムとアメリアの夫婦はずっとうまくいっていなかった。そんなふたりは、カウンセラーの助言を受け、旅行へと出かける。ふたりきりで滞在することになったのは、スコットランドの山奥にある、宿泊できるように改装された古いチャペル。彼らは分かっている。この旅行が結婚生活を救うか、とどめの一撃になるかのどちらかだと。だが、この旅行にはさまざまな企みが隠されていた――。不審な出来事が続発するなか、大雪で身動きがとれなくなるふたり。だれが何を狙っているのか? どんでん返しの女王が放つ、驚愕また驚愕の傑作サスペンス!/解説=村上貴史
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4.2「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったんです。中でもマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いてぎゅって抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その「許せない人」は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──。錯乱状態に陥った少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で突然、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様に出会ったことで、想像を絶する奈落へと突き落とされる──。『ほねがらみ』『異端の祝祭』がSNSで話題を攫ったホラー界の新星が描く、美しい異常。
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4.1徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した、元麻酔科医・伝城英二。空腹は感じるがそれを不快には感じない。うまくもまずくもないので、食べ物にも興味がなくなった。ファッションや人間関係についても同様だ。毎日同じ料理を食べ、人付き合いも最低限にして暮らしていた英二はある日、アエルズ患者八名が共同生活を送る〈情無連盟〉から加入の誘いを受ける。だが英二が泊まりがけで見学に訪れていたさなか、連盟員の一人が殺害されてしまう。不可能状況下、しかもあらゆる欲求を失い、怒りも悲しみも感じない「情無」たちが集う屋敷で、なぜ殺人事件は起こったのか? 現役医師であり、ミステリーズ!新人賞受賞作家である著者が相棒・眞庵と共作した、本格犯人当て長編。
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4.3「この子は稀なる闇の種を抱いている。偉大な魔道師になろう」〈星読み〉テイバドールと共にイスリル帝国の礎を築いた国母イスランにその才を見いだされた大魔道師ヴュルナイ。いまわの際のイスランに国の行く末を託されたものの、その後の後継者争いで裏切りにあい、輝かしい名声も地に堕ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが……。謎に包まれた魔道帝国イスリルの歴史が、ついに明らかになる。
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4.3高校生のピップは、友人のコナーから失踪した兄の行方を探してくれと依頼される。兄のジェイミーは、2週間ほど前から様子がおかしかったらしい。コナーの希望で、ピップはポッドキャストで調査の進捗を配信し、リスナーから手がかりを集めていく。関係者へのインタビューやSNSなども丹念に調べることで、少しずつ明らかになっていく、失踪までのジェイミーの行動。ピップの類い稀な推理が、事件の恐るべき真相を暴きだす。年末ミステリランキング第1位『自由研究には向かない殺人』続編。この衝摯の結末を、どうか見逃さないでください!/解説=阿津川辰海
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4.112歳のテッドは、いとこのサリムの希望で、巨大な観覧車ロンドン・アイにのりにでかけた。テッドと姉のカット、サリムの三人でチケット売り場の長い行列に並んでいたところ、見知らぬ男が話しかけてきて、自分のチケットを一枚ゆずってくれると言う。テッドとカットは下で待っていることにして、サリムだけが、たくさんの乗客といっしょに大きな観覧車のカプセルに乗りこんでいった。だが、一周しておりてきたカプセルに、サリムの姿はなかった。サリムは、閉ざされた場所からどうやって、なぜ消えてしまったのか? 人の気持ちを理解するのは苦手だが、事実や物事の仕組みについて考えるのは得意で、気象学の知識は専門家並み。「ほかの人とはちがう」、優秀な頭脳を持つ少年テッドが謎に挑む。カーネギー賞受賞作家の清々しい謎解き長編ミステリ!
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4.0巨きな魚の腹のなか。乗っていた舟ごと魚に呑み込まれたジュゼッペは、そこにあった朽ちかけた船で発見した航海日誌に、自分の来し方を綴っていく。彼が創った、木彫りの人形ピノッキオに命が宿ったこと。学校に行って戻ってこなかったその子の行方を探し、小さな舟で海に漕ぎだしたこと。そして彼の手記はさらに遡り……。絶望的な状況下、ジュゼッペ老人は何を思い、何を綴ったのか。鬼才ケアリーが描く、もうひとつのピノッキオの物語。
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4.0スコットランド・ヤードの女性刑事ケイト・リンヴィルが休暇を取り、生家のあるヨークシャーに戻ってきたのは、父親でヨークシャー警察元警部・リチャードが何者かに自宅で惨殺されたためだった。伝説的な名警部だった彼は、刑務所送りにした人間も数知れず、彼らの復讐の手にかかったのだろうというのが地元警察の読みだった。すさまじい暴行を受け、殺されていた父。ケイトが愛し尊敬してやまなかった父は、なぜ殺されなければならなかったのか? ケイトにかかってきた父について話があるという謎の女性の電話……。ドイツ本国で160万部超の大ベストセラーとなった傑作ミステリ!
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4.2治承四年(一一八〇年)。平清盛は、高倉上皇や平家一門の反対を押し切って、京から福原への遷都を強行する。清盛の息子たち、宗盛・知盛・重衡は父親に富士川の戦いでの大敗を報告し、都を京へ戻すよう説得しようと清盛邸を訪れるが、その夜、邸で怪事件が続発する。清盛の寝所から平家を守護する刀が消え、「化鳥を目撃した」という物の怪騒ぎが起き、翌日には平家にとって不吉な夢を見たと喧伝していた青侍が、ばらばらに切断された屍で発見されたのだ。邸に泊まっていた清盛の異母弟・平頼盛は、甥たちから源頼朝との内通を疑われながらも、事件解決に乗り出すが……。第四回細谷正充賞を受賞した話題作『蝶として死す』に続く、長編歴史ミステリ!
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3.5一面の砂漠と化した北京。廃墟となった紫禁城に、米軍の最新鋭戦争サイボーグ部隊が降り立った。標的は単独で首都を壊滅させた神のごとき“超人”。その圧倒的な戦闘能力になす術もなく倒れゆく隊員たちの眼前に、突如青い炎を曳いて一人の少女が現れた――第6回創元SF短編賞受賞作にはじまる本格アクションSF連作長編。※本電子書籍は、『神々の歩法』(創元日本SF叢書 2022年6月初版発行)を電子書籍化したものです。/【収録作】神々の歩法●北京を廃墟にした“憑依体”に苦戦する戦争サイボーグ部隊の眼前に、一人の少女が現れた。第6回創元SF短編賞受賞作。/草原のサンタ・ムエルテ●部隊に合流した少女が、突如姿を消した。第二の憑依体が出現したのだ。――それも日本の岩手県に。/エレファントな宇宙●アフリカのコンゴ共和国に異状が察知された。部隊は高次元生命体を迎え撃つべく、世界第二の大河を下る。/レッド・ムーン・ライジング●CIAのマッケイのもとにサイボーグ部隊から「UFOを見た」と連絡が入る。新たな憑依体の出現か、それとも……。
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3.3ルーシーと親友のドーンは明日16歳の誕生日を迎える。これまで毎年いっしょに誕生日を祝ってきたというのに、今年はそれができなくなった。ドーンが育ての親である3人のおばたちに、明日一日家から出ることを禁じられたのだ。ドーンとは会えないし、運転免許の最終試験だしで、誕生日だというのにルーシーの気分はさえない。でも、本当の災難はそのあとに待っていた。ルーシーは試験会場に向かう途中、騎馬の男たちに拉致されてしまう。巨大な光る門を通ってたどり着いたのは、まるでおとぎ話(フェアリーテイル)の世界で……。〈(株)魔法製作所〉の著者が贈る、スイートでロマンチックなファンタジー。
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4.5猟区管理官ジョー・ピケットの養女エイプリルが、意識不明の状態で発見された。頭を殴られ、道端に置き去りにされていたのだ。エイプリルはロデオ・カウボーイのダラスと駆け落ちしていたが、彼はかつて少女に暴行した疑惑があり、ジョーは交際に反対していた。だがダラスの両親から、彼は大怪我をして実家に戻っており、無関係だと言われてしまう。ジョーはダラスを疑いながらも、犯人を探しだそうとするが。一方、FBIから釈放された盟友ネイトにも危機が迫っていた。悪辣な人間と大自然の脅威に挑む猟区管理官を描いた、大人気シリーズ最新作!
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3.6わたしが結婚し、そしてこの手で殺した男は、背が高くて東大出だった――高学歴かつ高収入、長身の彼とゴールインし、少女時代からの夢を叶えたわたし。ところが結婚生活はあまりに散文的で、理想と現実の逕庭は蔽うべくもない。台風の迫る山荘の一夜を経て、衝撃的な手記を綴ることになろうとは……表題作「背が高くて東大出」のほか、実体験に材を得、長編化もされた「日曜日は殺しの日」や、殺人の目撃者捜しが二転三転、意想外の結末にもつれこむ「死神はコーナーに待つ」など、短編集成五巻目となる本書には、七一年~七六年発表の十編を収める。/【収録作】背が高くて東大出/父子像/背面の悪魔/女子高生事件/死の色は紅/日曜日は殺しの日/三枚の千円札/死神はコーナーに待つ/札吹雪/誰が為に鐘は鳴る
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3.5ある地方都市に暮らす家内更紗は、かつて事件に巻き込まれた過去を持つ。15年前、小学生だった更紗が、家での居づらさから19歳の少年佐伯文の家に自ら足を運び、社会的な事件となってしまったのだ。それ以来更紗は、自分を押し殺し静かに生きてきた。だが、アルバイト先の友人とふらりと立ち寄ったコーヒー店『calico』で再会してしまう、あの文と。この出会いは二人に何をもたらすのか――。更紗と文、二人の再会とその後を、『フラガール』『悪人』『怒り』を手がけた李相日による監督・脚本で映像化。原作者・凪良ゆうと李相日監督の対談も収録した、ファン待望のシナリオブック。
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3.9皇帝の末娘アルスルは、特別な才能もなく人づきあいも苦手で、いつも皆にがっかりされていた。そんなある日、舞踏会に出席していた彼女の目の前で、父が何者かに暗殺されてしまう。アルスルは皇帝殺しの容疑で捕えられ、無実の訴えも空しく帝都での裁判で死刑を宣告される。部族の裁判を受けるため、一族の所領である城郭都市ダーウィーズに護送されたアルスルを待っていたのは、鍵の城の城主リサシーブ。だがその正体は……。人よりも優れた能力をもつ獣、人外が跋扈する世界を舞台に、変わり者と言われた少女の運命を描く異世界ファンタジイ。
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3.3J・J・アダムズ / チャーリー・ジェーン・アンダーズ / トバイアス・S・バッケル / ベッキー・チェンバーズ / ヴィラル・カフタン / ジョゼフ・アレン・ヒル / アダム=トロイ・カストロ&ジュディ・B・カストロ / キャロリン・M・ヨークム / アラン・ディーン・フォスター / カール・シュレイダー / A・マーク・ラスタッド / ショーニン・マグワイア / アリエット・ド・ボダール / リンダナガタ / ユーン・ハ・リー / カット・ハワード / ジャック・キャンベル / カメロン・ハーレイ / ダン・アブネット / 赤尾秀子 / 新井なゆり / 市田泉 / 大島豊 / 小野田和子 / 金子浩 / 小路真木子 / 中原尚哉 / 原島文世 / 細美遙子1巻1,496円 (税込)SFとファンタジーの基本はセンス・オブ・ワンダーだ。そして並はずれたセンス・オブ・ワンダーを味わえるのは、超人的なヒーローが宇宙の命運をかけて銀河のかなたで恐ろしい敵と戦う物語だ(序文より)――常識を超える宇宙航行生物、謎の巨大異星構造物、銀河をまるごと吹き飛ばす超爆弾。ジャック・キャンベル、ベッキー・チェンバーズ、チャーリー・ジェーン・アンダーズら充実の執筆陣による、SFならではの圧倒的スケールで繰り広げられる冒険とアクションの物語18編を集めた、ワクワクに満ちた遊園地のような傑作アンソロジー。/【目次】序文=ジョン・ジョゼフ・アダムズ/時空の一時的困惑=チャーリー・ジェーン・アンダーズ/禅と宇宙船修理技術=トバイアス・S・バッケル/甲板員ノヴァ・ブレード、大いに歌われた経典=ベッキー・チェンバーズ/晴眼の時計職人=ヴィラル・カフタン/無限の愛=ジョゼフ・アレン・ヒル/見知らぬ神々=アダム=トロイ・カストロ&ジュディ・B・カストロ/悠久の世界の七不思議=キャロリン・M・ヨークム/俺たちは宇宙地質学者、なのに=アラン・ディーン・フォスター/黄金の人工太陽=カール・シュレイダー/明日、太陽を見て=A・マーク・ラスタッド/子どもたちを連れて過去を再訪し、レトロな移動遊園地へ行ってみよう!=ショーニン・マグワイア/竜が太陽から飛び出す時=アリエット・ド・ボダール/ダイヤモンドとワールドブレイカー=リンダ・ナガタ/カメレオンのグローブ=ユーン・ハ・リー/ポケットのなかの宇宙儀=カット・ハワード/目覚めるウロボロス=ジャック・キャンベル/迷宮航路=カメロン・ハーレイ/霜の巨人=ダン・アブネット/謝辞/解説=堺三保
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3.2ニュージーランドの小さな町で人質事件が発生。未明、夫婦と娘ふたりがいる民家に、銃を持った男たちが立てこもったという知らせを受けて、刑事ニックは現場に急行する。警官に囲まれた家から大音量で音楽が流れ、銃声がしたのをきっかけに、狙撃班が銃弾を浴びせたところ、今度は大爆発が! 機動隊が妻と娘たちを救出。爆発跡から地元のギャング5人の死体が見つかるが、夫の姿はない。警察は、生き残った犯人グループのひとりが夫を連れて逃亡したと考え、大規模な捜索を開始するが……。『死んだレモン』の著者が贈る意外性抜群の衝撃作!/解説=村上貴史
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3.5高校生の滝本望は、お蔦さんの愛称でご近所に親しまれる祖母と、神楽坂で暮らしている。その神楽坂では、万引きが多発しているというので商店街全体で警戒していた矢先のこと、和菓子店の主人が逃げる犯人に突き飛ばされて怪我をしてしまった! 正義感に駆られる望と友人の洋平は、似顔絵を描いて犯人を捕まえようと思い立つが……。商店街を騒がせた出来事を描く「よろずを引くもの」を始め、書き下ろしを含む全七編を収録。粋と人情、そして美味しい手料理が味わえる大好評シリーズ、待望の最新作!/【収録作】よろずを引くもの●神楽坂で多発する万引き事件。ついに怪我人も出てしまう/ガッタメラータの腕●なくなった石膏像の腕を見つけるべく、望が一肌脱ぐ!/いもくり銀杏●花屋の央子が連れてきた幼い兄妹。しかし母親の姿はなく……?/山椒母さん●昔お世話になった女将さんに頼まれ、お蔦さんが人探しに乗り出す/孤高の猫●神楽坂のアイドル猫「ハイドン」がいなくなった!?/金の兎●お蔦さんの役者仲間の娘が、どこか不安げな様子で……/幸せの形●友人の楓と慣れないケーキ作りに挑む望。特別書き下ろし!
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3.7昭和36年、中央放送協会(CHK)でプロデューサーとなった大杉日出夫の計らいで、ミュージカル仕立てのミステリドラマの脚本を手がけることになった駆け出しミステリ作家・風早勝利。四苦八苦しながら脚本を完成させ、ようやく迎えた本番。アクシデントを乗り切り、さあフィナーレという最中に主演女優が殺害された。現場は衆人環視下の生放送中のスタジオ。風早と那珂一兵が、不可能殺人の謎解きに挑む! 戦前の名古屋を活写した『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』、年末ミステリランキングを席巻した『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』に続く、“昭和ミステリ”シリーズ第3弾。ミステリ作家デビュー作『仮題・中学殺人事件』から50周年&卒寿記念出版。
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4.0ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』に先駆けて発表された英米の吸血鬼(ヴァンパイア)小説に焦点を当てた画期的アンソロジーが満を持して登場。バイロン、ポリドリらによる名作の新訳、伝説の大著『吸血鬼ヴァーニー――あるいは血の晩餐』抄訳ほか、ブラックユーモアの中に鋭い批評性を潜ませる異端の吸血鬼小説「黒い吸血鬼――サント・ドミンゴの伝説」、芸術家を誘うイタリアの謎めいた邸宅の秘密を描く妖女譚の傑作「カンパーニャの怪」、血液ではなく精神を搾取するサイキック・ヴァンパイアものの先駆となる幻の中篇「魔王の館」など、本邦初紹介の作品を中心に10篇を収録。怪奇小説を愛好し、多彩な翻訳を手がけてきた訳者らによる日本オリジナル編集で贈る。/【目次】序文――バイロン男爵の光の下に 夏来健次/吸血鬼ダーヴェル――断章(一八一九) ジョージ・ゴードン・バイロン/吸血鬼ラスヴァン――奇譚(一八一九) ジョン・ウィリアム・ポリドリ/黒い吸血鬼――サント・ドミンゴの伝説(一八一九) ユライア・デリック・ダーシー/吸血鬼ヴァーニー――あるいは血の晩餐(抄訳)(一八四七) ジェイムズ・マルコム・ライマー トマス・プレスケット・プレスト/ガードナル最後の領主(一八六七) ウィリアム・ギルバート/カバネル夫人の末路(一八七三) イライザ・リン・リントン/食人樹(一八八一) フィル・ロビンソン/カンパーニャの怪(一八八六) アン・クロフォード/善良なるデュケイン老嬢(一八九六) メアリ・エリザベス・ブラッドン/魔王の館(一九〇七) ジョージ・シルヴェスター・ヴィエレック/解説――ドラキュラ伯爵の影の下に 平戸懐古
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4.5
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4.0
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4.2高名な博物学者のサンダリーによる大発見、翼のある人類の化石。だがそれが捏造だとの噂が流れ、サンダリー一家は世間の目を逃れるように島へ移住する。だが噂は島にも追いかけてきた。そんななかサンダリーが謎の死を遂げ、父の死因に疑問を抱いた娘のフェイスは密かに調べ始める。父が遺した奇妙な手記、嘘を養分に育ち真実を見せる実をつけるという不思議な木、フェイスは真相に辿り着くことができるのか。19世紀イギリスを舞台に、時代の枷に反発し真実を追い求める少女を生き生きと描いた、コスタ賞大賞・児童書部門賞ダブル受賞の傑作。
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3.8「ミシシッピへ行きなさい。あの白いマントヒヒを連れて」突然の母の言葉に、私立探偵のリディアは言葉を失った。パートナーのビルとわたしが、なぜアメリカ南部に?……それは殺人の容疑をかけられた青年の無実を証明してほしいという、親戚からの依頼だった。ビルを伴い、自分たち家族が住んだかもしれない町を訪れたリディアは、そこで渦中の容疑者が脱走したことを知る。知られざる中国系アメリカ人の歴史をひもときつつ、事件の解決に奔走するふたり。現代ハードボイルドの最高峰〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ、最新作の登場!/解説=大矢博子
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3.5文字を持たぬ辺境の島に生まれ、異国の師に導かれて書物に耽溺して育った青年は、長じて憧れの帝都に旅立つ。だが航海中、不治の病に冒された娘と出会ったがために、彼の運命は一変する。世界じゅうの書物を収めた巨大な王立図書館のある島で幽閉された彼は、書き記された〈文字〉を奉じる人々と、語り伝える〈声〉を信じる人々の戦いに巻き込まれてゆく――デビュー長編にして世界幻想文学大賞、英国幻想文学大賞、ジョン・W・キャンベル新人賞、クロフォード賞の四冠を制覇した驚異の新人による、書物と言葉をめぐる傑作本格ファンタジイ。/解説=乾石智子
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4.1海を見下ろす住宅地『うつくしが丘』に建つ、築 21 年の三階建て一軒家を購入した美保理と譲。一階を念願の美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々が始まるはずだった。だが開店二日前、偶然通りがかった住民から「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われてしまい……。わたしが不幸かどうかを決めるのは、家でも他人でもない。わたしたち、この家で暮らして本当によかった──。「不幸の家」で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の物語。本屋大賞受賞作家による、心温まる傑作小説。/【目次】第一章 おわりの家――美容室開業に選んだ家を「不幸の家」と言われた女性。/第二章 ままごとの家――不仲の夫、家でした娘、反抗的な息子、迷える妻。/第三章 さなぎの家――男に騙された女性と、幼い娘を抱えたシングルマザー。/第四章 夢喰いの家――不妊治療がうまくいかず、離婚届を書いた年の差夫婦。/第五章 しあわせの家――恋人が置いていった子供と、かつて父に捨てられた私。/エピローグ/解説=瀧井朝世
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4.4会社をリストラされ突如無職となった澪(みお)は、祖母が遺した小さな人形店を継ぐことにした。人形マニアの青年・冨永と謎多き職人・師村の助けを得て、いまでは人形修復を主軸にどうにか店を営んでいる──自分がモデルになったという、顔を粉々に砕かれた創作人形の修復を希望する美しい女性。だが、その人形が創られたのは、彼女が生まれた頃と思しい三十年以上前のことだと判明する(「毀す理由」)。ほか、伝統的な雛人形を有する旧家の不審死、チェコの偉大な人形劇団の秘密など、名手が人形を通して人の心の謎を描く珠玉の短編を収める。書き下ろし短編「回想ジャンクション」を収録。/解説=紅玉いづき
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4.5酔っぱらい男、テリー・レノックスと友人になった私立探偵フィリップ・マーロウ。大富豪の娘との夫婦関係が破綻したテリーは、なんとか彼女と元の鞘に収まったようだったが、ある日、突然現われ、メキシコまで送ってほしいとマーロウに頼んできた。そして彼を送り届けて戻ったマーロウは勾留されてしまう。テリーには妻殺しの嫌疑がかっていたのだった。彼は自殺、マーロウには、ギムレットを飲んですべて忘れてほしい、という手紙が届く……。男の友情を描いたチャンドラー畢生の大作を、これ以上望むべくもない名手渾身の翻訳で贈る新訳決定版。/解説=杉江松恋
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5.0書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年・クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。彼女と共に追い詰められたクリスの前に、彼を救うべく少年検閲官・エノが現れる。三人は、少女が追われる原因である宝石の形をした『ミステリ』の結晶『小道具(ガジェット)』をいち早く回収すべく、オルゴール職人たちが住む海墟の洋館に向かったが……。そこで三人を待ち受けていたのは、職人たちを襲う連続不可能殺人だった! 先に到着していたもう一人の少年検閲官・カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。著者渾身の力作!/解説=福井健太
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4.2大学を卒業し、AP通信社で記者として働くジョーは、ある日、田舎町で起きたジョー・タルバートという男の不審死を知らされる。プレスリリースには凶行の疑いがあると書かれていた。死んだ男は、ジョーが生まれてすぐに姿を消した、顔も知らない父親かもしれない。ジョーは事件に興味を抱き、その町へ向かう。判明したのは、男が実父である可能性が高く、多数の人々の恨みを買っていたことだった。ジョーは真相解明に挑むが……。家族の秘密に直面する青年を情感豊かに描く、心揺さぶるミステリ。バリー賞など三冠に輝いた『償いの雪が降る』続編。/解説=若林踏
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3.8写真を撮る楽しみを教えてくれた、松原京介の不可解な死。離婚話で揉めていた彼の妻は、関与が疑われたものの、死亡時刻にはタクシーに乗っていた。どこをどう見ても、不運な事故としか考えられない状況だったが──恩人の死をその妻の仕業と確信した駆け出しカメラマンの安見直行は、祖母の助言によって六角法衣店を訪れる。店の主は代々京の辻や橋に立ち、道のさざめきから神託を受け、失せ物を見つけ出すことができるというのだ。直行は恩人の死亡事故を他殺と証明する証拠を探して欲しいと依頼するが、若くて無愛想な店主・六角聡明からは、けんもほろろに断られてしまう。だが、直行の撮った一枚の写真がきっかけで、六角は事件の証拠探しに協力を約束する。現代のガジェットによって構成された不可能犯罪を、緻密な論証で見事に解き明かす表題作ほか全五編を収録。第十六回ミステリーズ!新人賞受賞者による出色のデビュー連作集。/【目次】第一話 431秒後の殺人●これは計算尽くで偶然の可能性を限りなく必然に近くなるまで高めた――殺人事件だよ。/第二話 睨み目の穴蔵の殺人●最近、お客さんから「襖の武将の目が動いた、絵の中から睨まれた」なんて言われるんです。/第三話 眠れる映画館の殺人●幽霊でもない限り、無理やん? だって誰にも首を絞めたりする時間なんかなかったやんか。/第四話 照明されない白刃の殺人●オレ達がそいつの後を追って角を曲がるまでに、次の瞬間にはもう通りから姿が消えていたんだ。/第五話 立ち消える死者の殺人●この部屋に入院した人はな、夜中に攫われて二度と戻ってこられへんねんて。/著者あとがき
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3.0ベネデットには、11歳で孤児院に拾われるまでの記憶がない。あるのは繰り返し見る両親の死の悪夢だけだ。魔力を発現して以来、彼の護衛剣士に志願した同じ孤児院出身のリザベッタと共にヴェネツィア共和国の魔術師の一員として、陰の世界に生きている。あるとき魔術師たちはハプスブルクの暗殺者による、元首(ドージェ)暗殺計画の情報を掴んだ。計画は未然に防いだが、背後にはベネデットらを巻き込む恐るべき陰謀が……。16世紀、異端と迫害されながらも、列強の権謀術数のただ中に身を置く魔術師の姿を描いた、第5回創元ファンタジイ新人賞佳作作品。/第5回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
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4.01939年パリ。20歳のオディールは、アメリカ図書館の司書に採用された。本好きな彼女は水を得た魚のように熱心に仕事に取り組み、女性館長や同僚、そして個性豊かな図書館利用者たちとの絆を深めていく。やがてドイツとの戦争が始まり、図書館は病院や戦地にいる兵士に本を送るプロジェクトに取り組み始める。しかしドイツ軍がやってきてパリを占領し、ユダヤ人の利用者に危機が訪れ……。1983年アメリカ、モンタナ州フロイド。12歳の少女リリーは、“戦争花嫁”と呼ばれる孤独な隣人、オディールと知り合いになる。リリーはオディールの家に出入りしてフランス語を教わるようになり、二人の間には世代を超えた友情が芽生えていく。だがリリーは、しだいにオディールの謎めいた過去が気になりはじめ……。人々にかけがえのない本を届け続けた、図書館員たちの勇気と絆を描く感動作!
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3.3映画監督を志す守凪了子(カミナギリヨーコ)は舞浜南高校に進学し、憧れの映画研究部に入部する。仲間たちとともに、AIを駆使した長編映画を製作し、コンテストに応募するのだ。作品提出期限は夏休み最終日。だが、撮影を続けるなかで、了子たちはあちこちで奇妙な齟齬に出会う。それはこの高校だけでなく、舞浜という街自体に隠された〈世界のほころび〉だった――。新進気鋭のハードSF作家が新たな着想で綴るゼロ年代最高の本格SFアニメ『ゼーガペイン』の語られざるエピソード。巻末に文庫版ボーナストラックを加えた。/【目次】プロローグ/第一章 なぜ守凪了子(カミナギリヨーコ)は映画監督になれないのか/第二章 ホログラフィック・ノイズ/第三章 守凪組/第四章 n番目の祝祭/第五章 ダークディスク/第六章 シェルタリング・サマー/第七章 からまる夏の守凪了子/第八章 エントロピック・アシンメトリ/第九章 舞浜南高校映画研究部/第十章 オケアノス――世界の海/第十一章 夏を継ぐもの/第十二章 831/エピローグ/ポストクレジットシーン ホロニックワールド・エンタングルメント/単行本版あとがき/文庫版あとがき/解説=花澤香菜
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4.4かつて大量殺人を犯したとされたが、その記憶を消されている人型警備ユニットの“弊機”は、自らの行動を縛る統制モジュールをハッキングして自由になった。しかし、連続ドラマの視聴をひそかな趣味としつつ、人間を守るようプログラムされたとおり所有者である保険会社の業務を続けている。ある惑星資源調査隊の警備任務に派遣された弊機は、ミッションに襲いかかる様々な危険に対し、プログラムと契約に従って顧客を守ろうとするが……。ノヴェラ部門でヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞3冠&2年連続ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作!
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3.3僕が住んでいるのは、無数の広間がある広大な館。そこには古代彫刻のような像がいくつもあり、激しい潮がたびたび押し寄せては引いていく。この世界にいる人間は僕ともうひとり、他は13人の骸骨たちだけだ……。過去の記憶を失い、この美しくも奇妙な館に住む「僕」。だが、ある日見知らぬ老人に出会ったことから、「僕」は自分が何者で、なぜこの世界にいるのかに疑問を抱きはじめる。数々の賞を受賞した『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』の著者が、異世界の根源に挑む傑作幻想譚。
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3.3鎌倉在住の女性薬膳研究家・藤野真彩と知り合った柚木草平。10年前、高校二年生の時に失踪した同級生の目撃情報がこのところ増えているので調べてほしいと彼女はいう。早速、柚木は鎌倉に〈探す会〉事務局を訪ねるが、これといった話は聞けなかった。しかしその晩、事務局で詳細を尋ねた女性が何者かに殺害された――。急遽、殺人事件に調査を切り替えた柚木が見つけた真実とは? 娘の加奈子や、月刊EYESの小高直海らおなじみのキャラクターに加え、神奈川県警の女性刑事など今回も美女づくし。円熟の筆致で贈る〈柚木草平シリーズ〉最終巻。/解説=杉江松恋
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-作家であるぼく、マーカス・ゴールドマンは2012年、映画化権料で買ったフロリダの別荘に新作を書きにやって来たが、そこで思いがけず、かつての恋人アレクサンドラと再会する。彼女とぼくは、ある出来事のせいで別れたのだった。それはぼくと従兄弟と伯父夫婦の関わる悲劇だった。ぼくと両親のゴールドマン家は質素なゴールドマン家、敏腕弁護士の父方の伯父夫婦と息子ヒレルとウッディの家は裕福なゴールドマン家。『ハリー・クバート事件』で衝撃的なデビューを飾った著者の第二作。ゴールドマン家を襲った悲劇とはいったい何だったのか?
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4.0植民地時代に英国人が建築し、代々の主が非業の死を遂げたと伝えられるグレイブルック荘。元警察官のアスレヤは、現主人であるバスカーの招待でこの屋敷を訪れた。財産家の彼は何者かに命を狙われており、数々の事件を解決へ導いたアスレヤの助力を求めたのだ。バスカーは、二通の遺書を用意していた。どちらが効力を持つのかは、彼の死に方によって決まる。一族の者と隣人たちが集まり、遺書が彼らの心をざわつかせるなか、ついに惨劇が! アスレヤは殺人事件と屋敷をめぐる謎に挑む。インド発、英国犯人当てミステリの香気漂う精緻な長編推理。/解説=三橋曉
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3.3リーランは、富豪のリン家が彼女を亡き息子の花嫁に望んでいると父に言われる。年ごろの娘にとって幽霊の花嫁(ゴーストブライド)なんてあんまりな話だ。おまけに数日後リン家に招待された彼女は、そこで当主の甥である青年と恋に落ちる。彼が結婚相手ならよかったのに。やがてリーランは毎晩夢の中で、リン家の亡き息子に結婚を迫られるようになる。恐ろしさから病の床についた彼女だったが、霊媒からもらった薬のせいで幽体離脱してしまう。生霊となったリーランはどうにかして幽霊との結婚から逃れようとするが……。死者と生者の世界が交錯する幻想的な恋物語。
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3.0その日は犯罪捜査部のベックストレーム警部にとって、人生最良の日だった。マフィアお抱え弁護士として警察を悩ませてきたエリクソンが殺されたのだ。ベックストレームは部下を率いて捜査を開始。殺害場所は被害者の自宅らしく、死因は鈍器による殴打、部屋からは被害者が発射した銃弾の跡が発見された。だが奇妙なことに、主人が殺害された四時間後に、飼い犬が喉を掻き切られて殺されていたのだ。なぜ犯人はわざわざ引き返して犬を殺したのか。エリクソンを恨んでいた人物は多数いるはずだが……。CWAインターナショナル・ダガー賞最終候補作。
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4.1冬のイルミネーションイベントが近づく、ビールで有名なアメリカの小さな町レブンワース。ビール職人のわたしは、ブルワリー〈ニトロ〉の新作ビールを醸造しながら、宿泊施設オープンに向けた二階の改装に精を出していた。そんな中、選挙を控えた市議会議員が殺されているのが見つかる。彼はビール産業の盛んなこのレブンワースで、こともあろうに禁酒政策を推し進めようとしていた。容疑者とされた人物から頼まれ、わたしは聞き込みを進めていくが……。おいしいビールと料理が満載のビール・ミステリ!
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3.4疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか? すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵が――俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。
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4.3編集者ロベール・デュボワが週末に原稿の束を抱えて帰ることはもうない。持ち帰るのは何本もの原稿の入ったタブレットのみだ。紙の本は消えてしまうのか? 読者は何を求めているのか? なじみのレストランでの、ワインと料理に舌鼓を打ちながらの著者との打合せも、もうなくなるのだ。今や、ワインよりビール、コーラとハンバーガーの若者たちが中心となり……彼らの提案の新鮮さに驚かされもする。おまけに行きつけの昔ながらのビストロはスシ・レストランに身売り! 紙に埋もれて生きてきた昔ながらの編集者デュボワが直面する時代の変化の嵐。当惑そして諦め……しかし軽やかに飄々とそれらを超越する彼。変わりつつある出版界と読書人たちに捧げる、小品でありながらも風格ある一冊。
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4.5【2020年本屋大賞受賞作】【映画化決定 2022年5月公開 監督・脚本 李相日 出演 広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子ほか】最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。/解説=吉田大助
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3.5自分とそっくりな女に出会い、替え玉に仕立てようとする岸浜涼子。友人を殺人容疑の圏外に連れ出すべく、策を巡らす風山秀樹。大阪の街を移動し、アリバイ工作に勤しむ大幹昌雄。それぞれが、それぞれの思惑を抱き行動したあと、まず発見されたのは切断された死体だった。岸浜の夫が経営する会社に手首が届き、地下鉄の網棚の上に置かれたバッグからは顔を潰された首が、そして占い教室から胴体が見つかる。これらはすべて同一人物のものと特定されたが――この死者は誰なのか? 本格推理の極北を歩み続けた孤高の作家、山沢晴雄。その幻の代表長編をついに創元推理文庫に収録する。/【目次】[ダミー・プロット]序章/第一章 奇妙な契約/第二章 犯行以前/第三章 首/第四章 二つの死体/第五章 アリバイ/第六章 殺意の接点/第七章 昏迷/第八章 録画は語る/第九章 壬庚子の秘密/終章/[推理クイズ]賭博/おんぼろバス/探偵学初歩/アリバイ/[エッセイ]本格のトリックは出つくしたか?/トリック問答/想い出五十年/編者解題=戸田和光/盤上のメトロポリス――山沢晴雄小論=芦辺拓
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4.0(株)マジック・スペル&イリュージョン(MSI)はニューヨークの魔法界で魔術を開発販売する会社。CEOはあの伝説の大魔法使いマーリンその人だ。シリーズ第1巻『ニューヨークの魔法使い』が始まる数週間前の出来事を警備部長ガーゴイルのサムの目をとおして語る「犯罪の魔法」、(株)MSIの研究開発部理論魔術課の責任者オーウェンと養母、お互いを思いやりながらも素直に愛情を表現できない二人の心の交流を描いた表題作など、本国でも未発表の特別な短編1編を含む4編を収録。日本オリジナル編集。大ヒットシリーズ〈(株)魔法製作所〉初の短編集。/【目次】スペリング・テスト/街を真っ赤に/犯罪の魔法/魔法使いの失われた週末/訳者あとがき