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電灯もオイル・ランプもなく、夜がまだ謎めいていたころ、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトを浴びせられ、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道で、雨水や汚れを川まで流す労役につかされた「下水熊」。──現在のイギリスに、この愛おしい熊たちはいません。彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。/【目次】1 精霊熊/2 罪食い熊/3 鎖につながれた熊/4 サーカスの熊/5 下水熊/6 市民熊/7 夜の熊/8 偉大なる熊(グレート・ベア)/訳者あとがき/解説=酉島伝法
...続きを読むPosted by ブクログ 2023年02月12日
二子玉川の蔦屋書店で出会い購入。
熊にまつわる短編寓話。今読みたい雰囲気に合っていてすごく良かった。
イギリスでは熊が絶滅していたとは知らなかった。
(サーカスなどの見世物の対象や、毛皮としての利用など。)
人間に支配されながらも、決して腹の底では屈しない姿。弱肉強食のこの世界で人間が頂点に君臨して...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月18日
「10の奇妙な話」を読んでからこの本が読みたくて読みたくてしょうがなかったので、文庫化により再度発売されたことがとても嬉しかったです。
読み終えて、期待していたものがここにあった感動がすごくてさらに嬉しかったです。
あとがきと解説もとても良くて、この美しくて寂しくて、ユーモラスで残酷なお話をより...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月29日
1 精霊熊
2 罪食い熊
3 鎖につながれた熊
4 サーカスの熊
5 下水熊
6 市民熊
7 夜の熊
8 偉大なる熊
「先に読むことをお勧めする」というあとがきにある通り、8つの短編(真珠)が糸で繋がって首飾りになってるような。訳者は「中編小説」と評していたがまさにそんな感じ。それぞれに異なる...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月21日
短編集だけど順番に繋がってはいる。熊たちの漫画のような行動はさておき、一部ノンフィクションのような気もする。タイトルから連想されるようなおとぎ話というよりかは、どちらかと言えば神話めいている。「イギリスの熊神話」的な。ひょっとしたら世界中の神話も、こうやってフィクションとノンフィクションをミックスし...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月19日
まだ電灯もオイル・ランプもなかったころ、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。スポットライトの下、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道に閉じ込められ、汚れを川まで流す労役につかされた「下水熊」。――現在のイギリスに、この愛おしい熊たちはいません。彼らはなぜ、どのよう...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月04日
片手で癒される文庫本、大人の絵本。
イギリスと熊の関係、熊は絶滅していたとは・・・。
イラストの熊も日本のイメージとはかなり違う。
お話とイラストがシンクロして、おとぎ話のようでもあり、イギリス社会の風刺でもあり、明治期日本文学の幻想物にも近い。
挿絵のミック・ジャクソンの作品にとれも惹かれた...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年11月21日
哀愁を感じる熊たちの物語だった。
数世紀前の動物に対する残酷な扱いが物語の背景にあって皮肉めいた寓話。
デイビッド・ロバーツの挿絵が世界観にピッタリ。
解説を読んでイギリスには実際に熊がいないことを知った。最後の話はタイトルに繋がっていて、子どもの頃にこの物語を聞かされたら本当のことと信じてしまう...続きを読む
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