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  • 回想のぬいぐるみ警部
    4.0
    殺人現場に遺されていた、パンダの特大ぬいぐるみ入りの段ボール箱。被害者とは別人の名前で伝票も用意されており、集荷直前に何者かに襲われたらしい。音無美紀警部が、なぜぬいぐるみの購入店で直接配送を頼まなかったのか、をヒントに捜査を進めると、被害者の意外な人間関係と真相が明らかになる――。ますます冴える推理と美貌で周囲や事件関係者を驚かせる音無警部と、その部下たちの活躍を描く全5編。だが、少しずつぬいぐるみへの偏愛ぶりが周囲にも知られ始めて……。新たに強烈キャラクターも加わりパワーアップした、ユーモア本格推理〈ぬいぐるみ警部〉シリーズ第2弾。/解説=松尾由美
  • 魔導の福音
    4.2
    エルミーヌの王都リムリアの王立学院で学んでいたカレンスは、父危篤の知らせを受け、急ぎ故郷に帰った。五年前、妹リーンベルが魔物棲みだとわかり若い命を散らしたとき、守ってやることもできず、逃げるように都に行ったカレンスにとって、久しぶりの故郷。だが、死を前にした父に託されたのは、余りにも重い“秘密”だった。一方リムリアには隣国ラバルタの魔導士派遣団が滞在、魔導技術の受け入れを巡り、政治的対立が起こっていた。魔導が禁忌とされてきた国エルミーヌで、新たな道を切り開こうとする青年の戦いを描く『魔導の系譜』続編。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作シリーズ第2弾!/解説=大森望
  • ルート66 上
    4.0
    完璧な美貌の天才ハッカー、ニューヨーク市警刑事キャシー・マロリー。彼女の家の居間に女の死体が一体。それなのに部屋の主は行方不明。自殺ととれないことはないが、マロリーが殺していないとも言いきれない。マロリーはいったいどこに行ったのか? 相棒のライカーはクレジットカードの利用記録から、彼女のあとを追う。マロリーが改造したフォルクスワーゲンを飛ばしているのはルート66、別名マザー・ロードとも呼ばれる道だ。自分が生まれる前に書かれた古い手紙をたよりに辿る彼女の旅が、ルート66上で起きた奇怪な殺人事件と交差する。
  • 書店猫ハムレットの休日
    4.0
    ハムレットは、ダーラが経営するニューヨークの書店の気むずかしいマスコット猫。空手大会に出場したダーラの動きを真似る動画がネットで拡散し、ハムレットは空手キャットとして一躍人気猫に。全米キャット・ショーに特別ゲストとして招かれたのもそのためだ。凍えるニューヨークから、快適な気候のフロリダへ旅立ったダーラたち一行。意外にもショーの来場者から注目されるのにまんざらでもない様子のハムレットだったが、一大事件が勃発! 書店を飛び出した書店猫が大活躍のコージー・ミステリ第3弾。
  • 最良の嘘の最後のひと言
    3.7
    検索エンジンとSNSで世界的な成功を収めた企業・ハルウィンには、超能力研究の噂があった。それを受け、ハルウィンはジョーク企画として「4月1日に年収8000万で超能力者をひとり採用する」という告知を出す。そして審査を経て、自称超能力者の7名が3月31日の夜に街中で行われる最終試験に臨むことに。ある目的のために参加した大学生・市倉は、同じ参加者の日比野という少女と組み、1通しかない採用通知書を奪うため、策略を駆使して騙し合いに挑む。『いなくなれ、群青』、〈サクラダリセット〉の著者が贈る、ノンストップ・ミステリ。/解説=大森望
  • 青鉛筆の女
    3.7
    2014年カリフォルニアで解体予定の家の屋根裏から発見された貴重品箱。なかには三つのものが入っていた。1945年にウィリアム・ソーン名義で発表された低俗なパルプ・スリラー。編集者からの手紙。そして、第二次大戦中に軍が支給した便箋――ところどころ泥や血で汚れている――に書かれた、おなじ著者による未刊のハードボイルド。反日感情が高まる米国で、作家デビューを望んだ日系青年と、担当編集者のあいだに何が起きたのか? 書籍、手紙、原稿で構成される凝りに凝った物語。エドガー賞候補作。/解説=村上貴史
  • 秘密だらけの危険なトリック
    4.0
    ブレットキャッチ――それは、銃から撃たれた弾丸を口で受けとめるという究極のマジック。かつてそのパフォーマンス中に死亡したという著名なマジシャンの生涯を描く映画が撮影中だが、あまり売りがなくて、ヒットは見込めそうにない。ただし撮影中、現実のように死者が出れば話は別だけど……誰かが自分を殺そうとしているのではと怯える主演男優から、同窓生のよしみで助けを求められたマジシャンのイーライ。赴いた撮影現場はなるほど事件が起きそうな雰囲気で……。楽しく、お洒落なユーモア・ミステリ!
  • ようこそ授賞式の夕べに
    3.8
    書店員がその年一番売りたい本を選ぶ書店大賞。その授賞式の当日、成風堂書店に勤める杏子と多絵が会場に向かおうとした矢先、福岡の書店員・花乃が訪ねてくる。「書店の謎を解く名探偵」多絵に、書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてほしいという。同じ頃、出版社・明林書房の新人営業マンである智紀にも、同業の真柴を介して事務局長直々に同様の相談が持ち込まれる。華やかな一日に不穏な空気が立ちこめて……。授賞式まであと数時間。無事に幕は上がるのか?! 〈成風堂書店事件メモ〉×〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉両シリーズのキャラクター勢ぞろい。書店員の最も忙しい一日を描く、本格書店ミステリ。/解説=宇田川拓也
  • ニャン氏の事件簿
    3.4
    大学を休学し、家電配送のアルバイトなどをしながら、自分を見つめ直している佐多くん。夏の暑い最中、とあるお屋敷のシャンデリアのつけかえにいくと、休憩中に出くわしたのは、一匹の猫とそれに仕える秘書兼運転手だという男だった。アロイシャス・ニャン氏と紹介された品のいい猫は、その屋敷で起こった変死事件の謎を解き明かす?! って、猫がニャーニャーと鳴いているところを訳しているみたいだが本当なの? アルバイト先で、次々と不思議な出来事とニャン氏に出くわすことになった、佐多くんの右往左往の探偵譚を愛らしく描いた連作集。
  • 処刑の丘
    3.4
    深夜、かつて虐殺の舞台になったことで〈黒が丘(ムスタマキ)〉と呼ばれた場所で、男たちが“処刑”と称し一人の青年を銃殺した。死体発見の報を受けた警察は、禁止されている酒の取引に絡む殺人として処理したが、ケッキ巡査だけは納得していなかった。事件の陰に見え隠れする内戦の傷。敗北した側の人々が鬱屈を抱える町で、公正な捜査をおこなおうと苦悩するケッキ。はたして正義は果たされるのか? 推理の糸口賞受賞。フィンランドの語られざる闇を描く注目のミステリ。
  • 玉妖綺譚2 異界の庭
    4.0
    ずっと傍らにいた玉妖くろがねが妖力を失い眠りについて以来、ただでさえ半人前の驅妖師・彩音は、十分な仕事をこなせずにいた。そんなとき、難波コレクションの創り主難波俊之の甥彬良から、コレクションの玉妖で唯一まだ会ったことのなかった蒼秀に会える、との知らせを受ける。異界の知識をため込んでいる蒼秀ならば、くろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれない。彩音は期待を胸に、蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねるが……。心の傷を隠して玉妖がらみの事件に挑む少女驅妖師・彩音。彼女は過去を清算し相棒を取り戻すことができるのか。/解説=卯月鮎
  • ペナンブラ氏の24時間書店
    3.6
    失業中だったぼくが、ふとしたきっかけで働くことになった〈ミスター・ペナンブラの二十四時間書店〉は変わった店だった。まったく繁盛していないのに店名どおり24時間営業で、梯子つきの高い高い棚には、Google検索でもヒットしない謎の本がぎっしり詰まっているのだ。どうやら暗号で書かれているらしいそれらの本の解読に、ぼくは友人たちの力を借りてこっそり挑むが、それは五百年越しの謎を解き明かす旅の始まりだった──すべての本好き、読書好きに贈る冒険と友情、その他もろもろ盛りだくさんの物語。全米図書館協会アレックス賞受賞作。/解説=米光一成
  • 悪い夢さえ見なければ
    3.2
    いつものように悪夢を見た朝、相棒から電話があった。ハイスクールで、全身を切り刻まれたうえ左手首を持ち去られた女性教師の遺体が発見されたのだ。わたしは被害者とは面識がないはずなのに、なぜか見覚えがある気がした。捜査が進むが、動機を持つ者や有益な物証、目撃情報すらない。手がかりを得るには、自分の記憶と向き合わなくてはならないのか。悪夢の原因である辛い記憶も――。情に厚く、家族を失った痛みを抱えるダニーと格闘技に秀でた女性刑事ジェン。港湾都市ロングビーチを舞台に、支え合い真実を追う刑事コンビを描く警察小説。
  • バイバイ、エンジェル
    3.9
    ピレネーの旧家デュ・ラブナン家のイヴォンは、スペイン戦争の際レジスタンスに参加し、失踪する。同家の小作人、ジョゼフ・ラルースはイヴォンと行動を共にするが、単独で帰国後、イヴォンから山を贈与されたと主張し、そこに鉱脈が発見されたため裕福となった。二十年後、死んだはずのイヴォンから手紙が届き、裁きが行なわれるだろうと無気味な予告をしてくる。それが現実となって、ジョゼフの次女オデットの首を切り取られた惨殺死体が発見される……。司法警察のモガール警視の娘ナディアと不思議な日本人青年矢吹駆は真相究明を競い合う。日本の推理文壇に新しい一ページを書き加えた笠井潔の華麗なるデビュー長編。
  • エコープラクシア 反響動作 上
    4.0
    西暦2082年、突如として地球を包囲した65536個の異星探査機群。その調査に向かった宇宙船〈テーセウス〉が、太陽系外縁で謎の知的生命体と遭遇してから7年――消息を絶ったはずの同船から送られていた謎の通信メッセージを巡り、地球では集合精神を構築するカルト教団・両球派、研究所を脱走し軍用ゾンビを従えた人類の亜種・吸血鬼ら、現生人類を凌駕する超越知性たちの熾烈な戦いが始まろうとしていた。星雲賞など全世界7冠制覇『ブラインドサイト』の待望の続編にして、自由意志と神の本質に迫る、究極のハードSF!
  • 九年目の魔法
    4.3
    ため息をつき、本をベッドに伏せる。前に読んだはずだけど、こんな題名だったろうか? 壁にかかった写真の額を見上げる。これもこんな写真じゃなかったはず。この九年間で本当にあったことと、今おぼえていることが喰い違っている。まるで過去が変えられてしまったかのよう。大学生のポーリィは、十歳のころの思い出をたぐり寄せた。そうだ、近くの屋敷でお葬式が! そこで、あの人、リンさんと出会って、ずっと歳上の男の人なのに仲良しになって、それから……それから、とても恐ろしい何かが起こりはじめた……失われた時を求める少女の、愛と成長と闘いをつづる現代魔法譚!
  • 失踪者 上
    3.8
    イングランド南西部の田舎町に住むエレイン・ドーソンは幼馴染みのロザンナの結婚式に招待され、ジブラルタルに向かって出発したが、霧のためロンドンのヒースロー空港で足止めされ、親切な弁護士の家に一泊したのを最後に失踪する。何があったのか? 五年の時が流れ、雑誌の元記者だったロザンナはこの事件をはじめとする失踪事件について、調べることになる。当時疑われた弁護士は何か知っているのか? 障害のある兄の世話に疲れたエレインは自発的に姿を消したのか? ロザンナは友人の不可解な失踪事件の調査に次第に深入りしていく……。最後にあなたを待つ震えるほどの衝撃。作品すべてがベストセラーとなる、ドイツ一の人気作家による最高傑作!
  • 花魁さんと書道ガール
    3.0
    書道一筋の内気な大学生・多摩子は、祖母の部屋で古びた簪を見つけた夜、春風と名乗る花魁の幽霊に取り憑かれてしまう。「本物の恋を見ることができれば成仏するかもしれないよ」という幽霊の言葉を信じた多摩子は、春風に体を貸して恋に悩む人の相談にのり、花魁の巧みな手練手管で恋愛を成就させることに。かくして妖艶な花魁と地味な書道ガールによる「最強の恋愛アドバイザー」が誕生した。
  • 屋上の名探偵
    3.4
    汗が滲む真夏の昼休み、名探偵の誉れ高い少女は屋上にいた。授業中に学内で起こった、姉の水着の盗難事件に首を突っこんだおれ。残された上履きから割り出した唯一の容疑者には、完璧なアリバイがあった。行き詰まったおれは、友人から聞いた名探偵の評判を頼りに、彼女の知恵を借りることにした。東京からきた黒縁眼鏡におさげ髪の転校生、蜜柑花子という変わった名前のおとなしめの少女。普段は無口な蜜柑だが、鮮やかな推理で瞬く間に事件の犯人の名前を挙げる――。鮎川賞受賞作家が、さわやかな舞台設定で描いた連作ミステリ。
  • ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選
    3.5
    ナポレオン戦争直後、パリへの途上で謎めいた美貌の伯爵夫人と出会った英国人青年が奇怪な犯罪と冒険に巻き込まれていく過程が、息もつかせぬサスペンスの連続のうちに語られる中篇「ドラゴン・ヴォランの部屋」。悪魔と取引した男の凄惨な最期を迫真の筆で描く「ロバート・アーダ卿の運命」。森から現れた黒衣の男に見初められた村娘の運命は……民間伝承の妖精譚に取材した「ローラ・シルヴァー・ベル」ほか全5篇を収録。M・R・ジェイムズ、セイヤーズが絶賛する〈謎と恐怖の巨匠〉レ・ファニュの傑作選。
  • 深い穴に落ちてしまった
    3.7
    北には山脈が横たわり、海ほどもある湖をぐるりと囲んでいる森。そのまん中に穴がひとつ、口をあけている。ある日、大きな兄と小さな弟がその穴に落ちてしまった。深さおよそ7メートルの穴からどうしても出られず、何か月も木の根や虫を食べて極限状況を生きのびようとする。外界から遮断された世界で、弟は現実と怪奇と幻想が渾然一体となっためくるめく映像を見はじめる……。どうして兄弟の名前と年齢が明かされないのか。なぜ章番号が素数のみなのか。文章に織り交ぜられた不思議な暗号が示すものとは。著者によって綿密に構成され、さまざまな寓意に彩られた物語は、読後、驚愕とともに力強い感動をもたらす。暗黒時代を生きる大人のための寓話。
  • ブラウン神父の童心
    3.5
    奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモア、独特の逆説と警句で、ミステリ史上に燦然と輝くシリーズの第一集。小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔。とても頭が切れるとは思われない風貌のブラウン神父が事件の真相を口にするとき、世界の風景は一変する。レストランの塩と砂糖を入れ替えるなど、奇妙な痕跡を残していく二人連れの神父を追う名刑事ヴァランタン。その背景には何が? ブラウン神父初登場の「青い十字架」のほか、大胆なトリックが炸裂する「見えない男」、あまりに有名な警句で知られる「折れた剣」など12編を収める。【収録作】「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌」「アポロの眼」「折れた剣」「三つの兇器」/解説=戸川安宣
  • 石と星の夜
    4.5
    ギルデアの使節が暗殺されたことで、ギルデアとアトーリスの和平交渉は決裂。アトーリス王室の諜報員ステランは、仲間内に敵に通じている裏切り者がいるとの情報を得て、懸命に捜査を行う。一方、戦火を逃れて最果ての地フォーディル村に身を寄せていたリーヴたちは悲しみに包まれていた。故郷テス王国を守るべく戦っていた父が戦死したのだ。迫りくるギルデアの脅威に、立ち向かう連合国。フィーンの預言者が謳った英雄はどこにいるのか? アトーリス王国が極秘裏に開発を進める恐るべき兵器の正体は? 風雲急を告げる、好評シリーズ第2弾。
  • 魔物のためのニューヨーク案内
    3.0
    その求人広告は冴えない書店の掲示板に貼られていた。まさにゾーイが求めていた仕事。地方都市で雑誌の仕事をしていたが、既婚者の上司と恋愛関係になった挙句、ぼろぼろになってニューヨークに帰ってきた。大好きなこの街のガイドブックの仕事ができれば、願ったりだ。大喜びで応募したゾーイだったが、なぜか会社側はゾーイでは会社に馴染めないの一点張り。経歴も実力にも自信のあるのになぜ? 食い下がって面接にこぎつけたものの、そこで彼女が目にしたのは、とんでもない世界だった。おしゃれな街NYを舞台にしたポップなファンタジー。
  • 人形 デュ・モーリア傑作集
    3.5
    島から一歩も出ることなく、判で押したような平穏な毎日を送る人々を突然襲った狂乱の嵐「東風」。海辺で発見された謎の手記に記された、異常な愛の物語「人形」。上流階級の人々が通う教会の牧師の徹底した俗物ぶりを描いた「いざ、父なる神に」「天使ら、大天使らとともに」。独善的で被害妄想の女の半生を独白形式で綴る「笠貝」など、短編14編を収録。平凡な人々の心に潜む狂気を白日の下にさらし、人間の秘めた暗部を情け容赦なく目の前に突きつける。『レベッカ』『鳥』で知られるサスペンスの名手、デュ・モーリアの幻の初期短編傑作集。
  • 聖エセルドレダ女学院の殺人
    4.0
    聖エセルドレダ女学院は、12歳以上の少女7人が在籍し、淑女にふさわしい教養を学ぶ小規模な寄宿学校。ところが、ある日夕食の席で校長先生とその弟が突然息絶えてしまう。それぞれの事情から家族のもとへ帰されるのを恐れた生徒たちは、死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする。翌日、科学の得意なルイーズの分析で、ふたりは毒殺されたと判明。なぜ、誰に殺されたのか? 気転、演技力、社交性、推理力。生徒たちは得意分野を活かして大人をあざむきながら犯人を探り始めるが……。個性豊かな少女たちが一致団結して謎に挑む!/解説=大矢博子
  • 監獄舎の殺人 ミステリーズ!新人賞受賞作品集
    3.3
    「ミステリーズ!新人賞」から、数多くの才能が登場してきた。さる旧家の美人姉妹の鞘当てから起きた悲劇を、圧倒的な筆力で描く美輪和音。胎児に憑依した“幽霊探偵”の謎解きを、緻密な構成で魅せる近田鳶迩。深夜の公園で起きた奇妙な事件を軽妙に描く、ユーモアミステリの新星・櫻田智也。脳外科の臨床講義を舞台にしたミステリを発表、医療ミステリの新たな書き手と期待される浅ノ宮遼。明治時代の監獄舎で囚人が殺害される謎を描く、時代ミステリの旗手・伊吹亜門。新鋭たちの輝かしい出発点となった受賞作五編を収録した作品集を贈る。/解説=福井健太*本電子書籍には、配信中の作品に収録されている次の短編が含まれます。『強欲な羊』(創元推理文庫版 2015年7月初版発行)収録の表題作。また、以下の収録作は、各短編ごとに単体の電子書籍で配信中です。「かんがえるひとになりかけ」「サーチライトと誘蛾灯」「消えた脳病変」「監獄舎の殺人」
  • 150歳の依頼人
    -
    ニュージャージーの海辺に、念願のゲストハウスをオープンさせたシングルマザーのアリソン。ゲストハウスの目玉は、本物の幽霊に頼んでやってもらうシークレット降霊会。この屋敷には、前の女性オーナーと元探偵の本物の幽霊が取り憑いている。探偵をしたくてしかたない幽霊を手伝う代わりに、心霊現象を起こしてもらうというわけだ。新たなスタートに張り切るアリソンだったけれど、とんでもない依頼人が現れたり、降霊会で思わぬ出来事が起きたりで、もう大変! ほのぼのとして楽しいコージーミステリ。/解説=上條ひろみ
  • 翻訳家の蔵書
    3.0
    ラヴクラフトの翻訳研究で知られる翻訳家が、浩瀚な蔵書により蓄積された知識と翻訳作法、半生における書物や人物との出会いを綴る希少な一冊。
  • 大佐
    3.0
    舞台は『ブラインドサイト』の7年後。現代随一のハードSF作家が、自由意志と神の本質に挑む。【新作長編『エコープラクシア』の序章となる短編】宇宙船〈テーセウス〉が太陽系外縁で異星の知性体と遭遇してから7年。地球では、集合精神を構築するカルト教団が不可解な動きを見せる。彼らの狙いを探る情報部のムーア大佐に、教団は予想外の情報を告げる――星雲賞ほか全世界7冠制覇の傑作長編ハードSF『ブラインドサイト』と続編『エコープラクシア』をつなぐ、予告編的短編。/カバーイラスト=加藤直之 *本書はピーター・ワッツ『エコープラクシア 反響動作』(創元SF文庫、2017年1月刊行)下巻の収録作を単体で電子書籍化・先行発売したものです。
  • ダブル・ミステリ
    3.0
    1巻1,934円 (税込)
    直球のフーダニットとトリッキーなサスペンス、二本の中編を収録。驚愕の結末は、巻末に──。数々の不可能犯罪を解決してきた弁護士・森江春策。彼は幻の映画の上映会に招かれ、潮が満ちると孤島と化す地・天眼峡に建つホテル《月琴亭》にやってきた。しかしそこに集った他の四人は、それぞれ異なる理由で呼び出されたことが判明する。クローズド・サークルで起きた殺人事件に名探偵が挑む直球のフーダニット!(「月琴亭の殺人」)磯島健太が死んだ。いい加減なのに憎めない、わたしの元恋人が――。頼りない恋人を見切ってシングルマザーという選択肢を選んだライターの“わたし”は、妊婦が電車内でトラブルに見舞われて急死した事件を取材中、奇妙な違和感を覚えた。被害者女性の周辺では事故死が相次いでいるのだ。この不気味な事実に着目したわたしだが……。(「ノンシリアル・キラー」)2つのミステリが重なるとき、世界は反転する──芦辺拓、一世一代の大仕掛け!※収録しております「ノンシリアル・キラー」「解決編」は、電子書籍版収録にあたり、紙書籍版と仕様が異なる部分がございます。
  • 妖たちの四季
    4.3
    太鼓長屋に住む弥助のもとには、今日も妖怪たちがやってきて大賑わい。妖怪に季節外れの花見に誘われた弥助と千弥だが、ふたりのあとをこっそりつけていた久蔵までもが紛れ込んでしまい……。(「春の巻」) 心配性の叔父、月夜公に屋敷に閉じ込められてしまった津弓。ふてくされた甥をなぐさめようと月夜公は弥助をさらってくるが……。(「夏の巻」) 小妖怪の身でなぜ玉雪は立派な栗林をもっているのか?(「秋の巻」) 千弥と月夜公の過去の物語。(「冬の巻」) 妖怪の子預かり屋の弥助と妖怪たちの心温まる四季の交流を描く、人気シリーズ第3弾。
  • 怪盗紳士モンモランシー
    3.8
    囚人493ことモンモランシー。警察から逃げる際に屋根から落ち、瀕死の重傷を負った男。運良く最新医療を駆使した外科医ファーセットの治療の被験者となり、一命をとりとめた。怪我も治り刑期を終え、娑婆に出たモンモランシーは、高級ホテルに滞在しながら、ロンドンの地下に張り巡らされた下水道を使い、服役中に得た様々な知識を駆使して、次々とお宝を頂戴していく。警察の捜査をかわし、昼間は紳士、夜は泥棒、ふたつの顔を自在に使い分けていたが、ある日暴れ馬を取り押さえたことから、彼の運命は大きく変わることに。痛快シリーズ第1弾!
  • 福家警部補の報告
    3.7
    天才的技倆を持った漫画家と彼女を潰しにかかる出版社の辣腕営業部長、もとは同人誌で合作していた二人が不幸な結末を迎える「禁断の筋書」、ヤクザが仲間割れのあげく相討ちしたように偽装された殺害現場に佇んでいた栗山比奈が目撃証言を拒む理由とは……「少女の沈黙」、車椅子の妻をいたわる夫、息子なきあと一見穏やかな日々を過ごしている老夫婦が悪党どもを爆弾で吹き飛ばし、官憲の捕縛を逃れて痛快なメッセージをよこす「女神の微笑」、以上3編を収録。『福家警部補の挨拶』『福家警部補の再訪』に続く、倒叙形式の本格ミステリ第3集。/解説=森谷明子
  • 天空の標的1 サイボーグ戦士の復活
    -
    異星種族〈やつら〉との戦争に隠された真相を、全人類に向けて暴くことに成功した帰還兵ジェイコブたち。さらにシリウス系の〈やつら〉の根拠地に潜入した彼らは、激戦のすえなんとかファーストコンタクトに成功し、星間戦争を終結させた。だが平和が訪れると思われたのもつかのまだった。秘密結社(カバル)のメンバーは、〈やつら〉の先進バイオナノテクノロジーを吸収し、また最新鋭のフリゲート艦隊を奪取してコロニー星系に逃亡したのだ。人類間に新たな大戦が始まろうとしていた……。『帰還兵の戦場』の新鋭が放つ、傑作ミリタリーSF新シリーズ!/解説=岡部いさく
  • 節約は災いのもと
    4.0
    三月のテムズ川に浮かんだ射殺死体は、アメリカ人の採掘会社経営者のものだった。彼の鉱山開発計画に詐欺疑惑が生まれた矢先の死である。またもや望まぬ事件を押しつけられた風邪ひきのウィザースプーン警部補は、動機を持つ会社の大株主を中心に捜査を進める。もちろん、その裏では家政婦のジェフリーズ夫人たち探偵団一同も、こっそり行動を始めていた。今回の目的はふたつ。殺人事件の解決と、ささいな投資の失敗におびえた警部補が導入した、極端な“家計費節約計画”の撤回である! 謎解き成分大幅増で贈る、使用人探偵団シリーズ第4弾。
  • 領主館の花嫁たち
    3.5
    1840年、当主の妻を若くして失ったその領主館は、悲しみに沈んでいた。そして、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として館を訪れたテティことテターマンもまた、癒しがたい傷を負う身であった。屈託なく懐いてくる、瓜二つの双子の姉妹に、徐々に生きる希望を取り戻していくテティ。しかし、館に頻発する怪異が、テティと双子の姉妹の運命を容赦なく翻弄していく……。一族の恐ろしくも美しい秘密とは? 巨匠ブランドが持てる技巧のすべてをつぎ込んで紡ぎあげた、予測不能、美麗にして凄絶なるゴシック小説!/解説=戸川安宣
  • ゴーストフォビア
    3.1
    いつもの憂鬱な朝、急に「サイキック探偵になる」と言い出した姉・芙二子に振り回される三紅。行方不明の女性の調査をすることになった二人は、事故物件を扱う不動産屋の神凪怜と出会う。三紅の心酔する霊能者に似たクールな印象の男性だが、どこか胡散臭い。しかし、偶然に三紅が神凪に触れた瞬間、聴力を失ったはずの右耳から、不思議な声が聞こえてくる。その一方、神凪も見えないはずのモノが見えているらしい――。デビュー作『強欲な羊』で度肝を抜いた新鋭が、様々な恐怖症をテーマにした四つの不可思議な事件で、貴方の心をえぐります。
  • 処刑人
    3.5
    ナタリーが大学に入学するまで三週間ほどを残して迎えた初秋の日曜日の午後。鼻持ちならない文筆家の父と、夫への軽蔑を隠さない母が催したホームパーティでの“悪夢”を経て、初めての寮生活を迎えた17才のナタリーは、大きく変わった生活環境に戸惑いを隠せないでいた。同年代の少女への優越感と劣等感の狭間で揺れ動く中、風変わりな女生徒トニーとの出会いによって真の安寧を手にしたかに見えたが……思春期の少女の危うい精神の揺らぎを、残酷さと一掬の愛情を交えて描く。『ずっとお城で暮らしてる』の著者の初期を代表する傑作長編小説。/解説=深緑野分
  • 砂漠を走る船の道 ミステリーズ!新人賞受賞作品集
    3.3
    「ミステリーズ!新人賞」から、これまで数多くの才能が登場してきた。ここに収められた五編のミステリは、それぞれ新鋭たちの輝かしい出発点となった作品である。居酒屋の片隅で、駆け出しのシナリオライターと映画監督が交わす歴史推理談義。無実の罪で父を囚われた少女と不思議な力を持つ老人が、毒死事件の真相を追う中華探偵行。のどかな田舎で起きた本ワサビ盗難事件と、それを捜査する刑事の趣味が迎える顛末。道に迷い無人駅で一泊をすることになった大学生ふたりを待つ、奇妙な一夜の出来事。そして、砂漠を行くキャラバンを襲った異様な連続殺人――。期待を集める五人の作家の、記念すべき“はじまりの物語”。/解説=福井健太*本電子書籍には、配信中の作品に収録されている次の短編が含まれます。『漂流巌流島』(創元推理文庫版 2010年8月初版発行)収録の表題作・『もろこし銀侠伝』(創元推理文庫版 2010年9月初版発行)収録の「殺三狼」・『田舎の刑事の趣味とお仕事』(創元推理文庫版 2009年9月初版発行)収録の表題作・『夜の床屋』(創元推理文庫版 2014年6月初版発行)収録の表題作・『叫びと祈り』(創元推理文庫版 2013年11月初版発行)収録の「砂漠を走る船の道」
  • 詩人と狂人たち
    3.0
    ある時は、心理学者の下宿する家で発見された開かれた窓と金魚鉢から恐るべき事態を推察し、高名な化石研究者の“消失”の背景に隠された異様な真相を看破する。またある時は不吉なシンボルで飾り立てられた家の宴の13人目の客となってしまい……平穏な風景のなかに覗く微かな異和感から奇妙な謎を見出し、逆説と諧謔に満ちた探偵術で解き明かす、画家にして詩人であるガブリエル・ゲイルの活躍を描く8編の探偵譚を収録する。チェスタトンの真骨頂ともいうべき幻想ミステリの傑作を、新訳決定版にて贈る。/解説=鳥飼否宇
  • 深夜の市長
    3.0
    昼とは全く別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人事件をきっかけに、彼の存在を知った僕。果たして深夜の市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。祖父とも思う資産家の老人が亡くなった後、少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮をグラフにした“興奮曲線”によって、殺人犯を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など珠玉の11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想で彩る作品を描いた著者の真髄を示す、傑作ミステリ短編集。
  • 紐結びの魔道師
    4.4
    紐結び(テイクオク)の魔道師リクエンシス。紐を蝶結び、漁師結び、釘結びとさまざまに結ぶことで、幸福をからめとり、喜びを呼びこむかと思えば、巧みに罠をしかけ、迷わせもする。あるときは腹に一物ある貴石占術師を煙に巻き、魔道師を目の敵にする銀戦士と戦い、あるときは炎と大地の化け物退治に加勢する羽目になり、またあるときはわがままな相棒の命を救わんと奮闘し、果ては写本の国パドゥキア目指して危険な砂漠を横断する。コンスル帝国衰退の時代、招福の魔道師とも呼ばれるリクエンシスの活躍を描く、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第6弾。/解説=池澤春菜
  • うどん キツネつきの
    3.6
    パチンコ店の屋上で拾った奇妙な犬を飼育する三姉妹の人生を繊細かつユーモラスに描いて第1回創元SF短編賞佳作となった表題作をはじめ、郊外のぼろアパートで暮らす多言語の住人たちの可笑しな日々「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建つ孤島をある日見舞った異常事態「母のいる島」、謎めいた子供たちの日記で幕を開ける不可思議な冒険「おやすみラジオ」、ねぶたの街・青森を舞台に時を超えて紡がれる美麗な幻想譚「巨きなものの還る場所」の全5編を収録。新時代の感性が描く、シュールで愛しい物語。第36回日本SF大賞候補作。/解説=大野万紀
  • ハリー・クバート事件 上
    4.0
    【驚異のメガヒット! 徹夜の覚悟なしに読み始めないで下さい!!】デビュー作の大ヒットで一躍ベストセラー作家となったマーカス・ゴールドマンは、第二作の執筆に行き詰まり、大学の恩師で国民的作家、ハリー・クバートに悩みを打ち明け助言を求めていた。しかし、そのハリー・クバートが、33年前に失踪した美少女ノラ殺害の容疑で逮捕されてしまう。彼の家の庭に埋められていたノラの白骨死体が発見されたのだ! 師の無実を信じるマーカスは、事件について独自に調べはじめ、それを師に教えられた小説作法に従って、一冊の本にまとめあげることにしたのだったが……。驚異の新人による傑作!
  • 夜の庭師
    4.1
    モリーは14歳、思いのままに物語を紡ぐことのできる天性の語り手だ。弟のキップとふたり、故郷のアイルランドから海を渡って命からがらイングランドに辿り着いた。大変な苦労の末にようやく雇ってくれるところをみつけたものの、そこで彼らを待っていたのは、巨木に取り込まれたかのような奇妙な屋敷と、青白い顔をした主人一家、そして夜中に屋敷を歩き回る不気味な男……夜の庭師だった。だが、それだけではなく、この屋敷には恐ろしい秘密が隠されていたのだ。カナダ図書館協会児童図書賞受賞。ディズニー映画化決定の傑作ゴーストストーリー。
  • ファーストレディの秘密のゲスト
    3.6
    日本軍による真珠湾攻撃から約半月後。表向きはチャーチル英国首相付きのタイピストとして、実際は特別作戦執行部の工作員として、わたし、マギー・ホープは4年ぶりにアメリカへ帰ってきた。首相とルーズヴェルト米国大統領の会談が成功するいっぽう、大統領夫人の秘書が変死を遂げる。現場に残された証拠は、大統領夫人にとって大スキャンダルとなるもので、外部にもれれば大統領の立場が、ひいては英米の同盟関係も危うくなる――。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー入りの人気シリーズ。マギーの捜査が、今度は戦争の命運を左右する?! ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー入りの大人気シリーズ、第5弾。/解説=古山裕樹
  • ハリー・クバート事件(上下合本版)
    -
    【驚異のメガヒット! 徹夜の覚悟なしに読み始めないで下さい!!】デビュー作の大ヒットで一躍ベストセラー作家となったマーカス・ゴールドマンは、第二作の執筆に行き詰まり、大学の恩師で国民的作家、ハリー・クバートに悩みを打ち明け助言を求めていた。しかし、そのハリー・クバートが、33年前に失踪した美少女ノラ殺害の容疑で逮捕されてしまう。彼の家の庭に埋められていたノラの白骨死体が発見されたのだ! 師の無実を信じるマーカスは、事件について独自に調べはじめ、それを師に教えられた小説作法に従って、一冊の本にまとめあげることにしたのだったが……。次々に判明する新事実、どんでん返しに次ぐどんでん返し、世界40か国以上で刊行され、眠れぬ夜を過ごす人々を続出させたスイス発のメガヒット・ミステリ。アカデミー・フランセーズ賞、高校生が選ぶゴンクール賞同時受賞の傑作。/解説=川出正樹※本電子書籍は『ハリー・クバート事件 上・下』を1冊にまとめた合本版です。
  • 狂乱廿四孝/双蝶闇草子
    4.0
    三世澤村田之助、江戸末期から明治初期にかけて一世を風靡した歌舞伎の名女形。舞台の最中の怪我から脱疽となり結果として四肢を切断せざるを得なかった悲劇の名優である。明治3年、異彩の画家・河鍋狂斎の描いた幽霊画を発端とした連続殺人事件が、猿若町を震撼させる。幽霊画には歌舞伎界を揺るがす秘密が隠されているらしい――。滅び行く江戸の風情とともに、その事件の顛末を戯作者見習いのお峯の目を通して丁寧に活写した、第6回鮎川哲也賞受賞作『狂乱廿四孝』に、その後のお峯たちの姿を描いた未完の長編ミステリ『双蝶闇草子』を付す。/解説=浅野里沙子
  • 死体は笑みを招く
    3.6
    ドイツ、2006年6月。オペル動物園で左腕と左足が切断された死体が発見される。首席警部オリヴァーと相棒のピア、そして捜査課のメンバーたちが乗り出し、死んでいたのは高校教師で環境保護活動家のパウリーだと判明する。彼はたくさんの生徒たちから慕われていたが、同時に動物園付近の道路建設による環境破壊や動物園の動物虐待を批判し、さまざまな人間に憎まれていた。捜査が進めば進むほど、パウリーを殺す動機を持つ者が浮上する。さらにピアに危険が迫り……。謎また謎の展開と緻密極まる見事な伏線。リーダビリティに溢れた傑作警察小説!
  • 流砂
    4.7
    これが私の生きる条件を変えた十日間の真実である。流砂は地獄への穴だが、私はなんとかそれに嵌らなくて済んだ。――がんの告知を受けた北欧ミステリの帝王マンケルは何を思い、押し寄せる絶望といかに闘ったのか。遙かな昔に人類が生まれてから今日まで、我々は何を受け継ぎ、そして遠い未来の人々に何を残すのか。〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉の著者の最後の作品。闘病記であり、遺言でもある、魂の一冊。
  • 星群艦隊
    4.7
    かろうじて非常事態を切り抜けたアソエクの星系(システム)。だが内乱の戦火はついにこの地にも及ぶ。無人のはずの隣接星系に潜む謎の艦、圧倒的異質にして人類を凌駕する力をもつ異星種族プレスジャー、そしてブレクの宿敵であるラドチの絶対的支配者アナーンダ――数多の難題を前に、ブレクは思いを胸に秘め、戦いつづける。デビュー長編シリーズにしてヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞など、驚異の全世界12冠制覇。『叛逆航路』『亡霊星域』につづく本格宇宙SFのニュー・スタンダード三部作、ここに完結! ファン必読、前日譚のスピンオフ短編も特別収録。
  • わたしが幽霊だった時
    4.1
    季節は夏。昼下がりの林道は家に続いている。歩きながら(事故だわ!)ふいにそう思った。なにかが変。事故に遭ったって思うんだけど、頭がぼやけてて何も思い出せない。気がついたら、ここ歩いてるんだもの。あたしいま何着てるんだろう。わからないから下を見た。体がない! あたしは生垣を通り抜け、ドアを通り抜けて家のなかに入った。宙に浮きながら。部屋じゃ、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのけんか。誰もあたしのこと気づきゃしない。あたし、幽霊になっちゃったんだ……でも、なぜ? 現代英国を代表する著者が贈る、おかしくてほろ苦くも暖かい時空を超えた物語。
  • 修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集
    3.6
    法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を痛快に解き明かす傑作短編集。巡礼として訪れたローマの教会で、聖餐杯のワインを飲んだ若者が急死。居あわせたフィデルマが急遽謎を解く「聖餐式の毒杯」、殺人の疑いをかけられ窮地に陥った幼なじみを救うべく奔走する「ホロフェルネスの幕舎」、偶然立ち寄った宿の幽霊騒動に巻きこまれる「旅籠の幽霊」、アイルランドの大王(ハイ・キング)の王位継承をめぐる事件に挑む「大王の剣」、アイルランド代々の大王の廟所で起きた不可解な殺人を解決する「大王廟の悲鳴」という、バラエティ豊かな5編を収録。/解説=村上貴史
  • 満潮 上
    3.7
    1987年ノードコステル島。女性は頭だけ出して、生きたまま砂浜に埋められていた。その夜は大潮、波が容赦なく身動きのできない女性を襲う……。警察大学三年生のオリヴィアは、夏休みの課題で二十数年前のノードコステル島でおきた女性殺害事件を調べていた。刑事だった彼女の亡き父が、捜査に関わっていたのだ。殺されたのは若い妊婦、犯人は見つからず、容疑者すら挙がっていない。オリヴィアは話を聞こうと父親の同僚だった男を探すが……。〈マルティン・ベック〉シリーズのシナリオを手がけた人気脚本家コンビが放つ、衝撃のミステリ。
  • 殺人者の空
    5.0
    学部自治会での内ゲバの結果、私はM派の内通者Kを殺害した。死体は仲間たちによって埋められ、事件の痕跡は完全に消去された。その後、私は警察から任意出頭を求められ大学も独自に調査を開始する。しかしその結果明らかになったのは、被害者とされるKなる学生が存在しないという奇妙な事実であった……非在の男がもたらす不安が、〈殺人者〉を異様な結末へと導く表題作の他、単行本初収録となる「内宇宙の銀河」をはじめ、「開放時間」「森の人々」「φ(ファイ)」など貴重な作品を集成。日本におけるニュー・ウェーヴSF運動を牽引した著者の真骨頂ともいえる9編を収録する。
  • 鳥はいまどこを飛ぶか
    3.8
    この小説は、最初の二節と最終の二節以外のaからlの配列を任意に変更して読んで下さって結構です――各章の間を自由に飛翔する鳥を異なる角度から追うことによって無数の物語展開を体験できる、実験精神に満ちた表題作の他、三島由紀夫・安部公房らに高く評価された異色作「X電車で行こう」、夜行列車で殺人を目撃した男の奇妙な一晩を描く「赤い貨物列車」、生きた首を拾った男が辿る数奇な運命「首狩り」など全10篇を収録。「季刊NW-SF」創刊、サンリオSF文庫創刊に際し先鋭的なSFや前衛文学の紹介に尽力、創作・評論両面で輝かしい軌跡を残す巨人による幻の傑作が甦る。/解説=高橋良平
  • 堆塵館
    4.4
    19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。幾重にも重なる屑山の中心に「堆塵館」という巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、一生涯肌身離さず持っていなければならない。15歳のクロッドは、聞こえるはずのない物の声を聞くことができる変わった少年だった。ある夜彼は屋敷の外から来た召使いの少女と出会う。それが一族の運命を大きく変えることに……。『望楼館追想』から13年、著者が満を持して贈る超大作。
  • 蠅男
    3.5
    名探偵帆村荘六、再び帰還! 科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描いた、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が生み出した名探偵が活躍する推理譚から、傑作集第二弾を精選して贈る。密室を自由に出入りし残虐な殺人を繰り返す、稀代の怪人・蠅男との対決を描く、代表作「蠅男」。行方不明者を捜すために訪れた、奇妙な形の洋館。在原業平の句にちなんだ館に秘められた、恐るべき秘密を暴く「千早館の迷路」。三十年後の近未来を舞台に、謎の男につきまとわれる婦人の依頼から、ある犯罪を突き止める「断層顔」など、5編を収録する。
  • 松谷警部と向島の血
    3.0
    これが現職最後の担当事件か──松谷警部が駆けつけた現場は両国国技館から歩いて行ける距離にあった。被害者は五稜郭光夫、渡島部屋の十両力士だという。胸部を刺されており、傍らに「コノ者、相撲道ニ悖ル」と印刷された紙片が。やがて先輩格の鴎島、葛灘が相次いで殺害され、同じメッセージが残っていた。狭い社会だけに関係者は限られるが、三件全部にアリバイがない者はおらず、動機やメッセージの真意も定かではない。苦心惨憺の末、白石巡査部長が真相に至ったのは、実に警部の退職二日前だった!/解説=神命明
  • 晴れた日の森に死す
    3.8
    ノルウェーの森の奥で、独り暮らしの老女が殺害された。被害者は玄関先の階段で血まみれになり、左目に鍬が突き刺さっていた。第一発見者の少年が、忌まわしい存在として知られる、精神病院に入院中の青年エリケを現場で目撃していた。捜査陣を率いるセイエル警部は、エリケを容疑者だと決めつける者たちの偏見の言葉に左右されず、冷静に証言や手がかりを集めていく。しかし信じがたい事実が判明する。エリケは近くの街の銀行強盗事件に巻きこまれ、銃を持って逃走する犯人の人質となっていた……。ガラスの鍵賞受賞作家が贈る衝撃のミステリ!/解説=ヘレンハルメ美穂
  • ミステリなふたり ア・ラ・カルト
    4.0
    愛知県警捜査一課に君臨する京堂景子警部補は、絶対零度の視線と容赦ない舌鋒の鋭さで“氷の女王”と恐れられている。そんな彼女が気を許せるのは、わが家で帰りを待つ夫の新太郎ただひとり。日々難事件を追ってくたくたになって帰ってくる彼女を、主夫として家事もこなす彼が料理とお酒でもてなしてくれる。そうして夕食を終えて一日の疲れもすっかり癒された頃、景子が事件の悩みを話すと、新太郎が鮮やかに解き明かしていき――。旦那さまお手製の美味しい料理と名推理が、今夜も京堂家の食卓を彩る。デザートまで取り揃えた安楽椅子探偵譚9編。/解説=大矢博子
  • ミハスの落日
    3.6
    スペインはミハスに住まう大富豪に突如呼び寄せられた青年、ジュアン。面識もない老紳士が語るのはジュアンの亡き母との苦い記憶だった。三十年の月日を隔てて密室殺人の謎が明かされる表題作の他、青年と警察の視点で綴るストックホルムの悲劇的な殺人、疑惑の未亡人を探るサンフランシスコの保険調査員、ジャカルタで発生した連続娼婦殺人事件、カイロを訪れたアメリカ人美女の秘密など、ストーリーテリングの名手が異国を舞台にその土地で生きる人々の悲痛な叫びをすくい取る。あまねく襲う衝撃の結末が深い余韻を残す、至高のミステリ全5編。/解説=村上貴史
  • 星の羅針盤
    4.0
    人の住む六つの王国と神秘に包まれた種族フィーンの王国は、長いこと平和のうちに栄えていた。だがフィーンのもとから大いなるダイヤモンドが奪われると、暗い影が世界を覆いはじめる。ギルデア王国が隣国に侵攻、戦火はいくつもの国を巻きこんでいった。戦火の迫る故国を脱し、母と兄とともに母の故郷の村に身を寄せたリーヴは、村はずれの深い森で、紫の瞳をもつ不思議な少女に出会う。永遠の友情、初恋、遙かな国の伝説、そして陰謀……。戦の影に怯えながらも、平和を願い、ひたむきに生きる少女の姿を描く〈サラファーンの星〉4部作開幕。
  • 技師は数字を愛しすぎた
    3.0
    パリ郊外にある原子力関連施設で、突然銃声が鳴り響いた。人々が駆けつけると、技師長のソルビエが撃ち殺され、金庫からは重さ二十キロほどの核燃料チューブが消えていた。そのチューブは、パリ市民を核爆発、放射能汚染の恐怖にさらす危険物だった。司法警察の捜査が開始されたが、なんと犯行現場は完全な密室状況にあったことが判明する。その部屋には、誰も入っていかなかったし、そこから誰も出てはこなかったのだ! 更に重なる不可能状況での事件……。フランス・ミステリ界を代表するコンビ作家による、密室テーマの傑作本格ミステリ。/解説=戸川安宣
  • 犯罪は老人のたしなみ
    3.3
    オーナーが替わって以来、ダイヤモンドホームはすっかり変わってしまった。コーヒーは自動販売機、食事は冷凍食品ばかりで、外出も厳しく制限される。刑務所の囚人のほうが、まだしも人間らしい暮らしをしている。こんな老後を過ごすはずではなかった。ならば自分たちの手で、変えてみせるとばかり、79歳のメッタは4人のコーラス仲間とともに、老人だけの犯罪組織を結成。誰も傷つけず大金を手に入れようというのだ。老人という立場を隠れ蓑に、犯罪者にあるまじきスローペースとアナログな手段を駆使する老人たち。果たして、その結末は?
  • 星読島に星は流れた
    3.6
    天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。それほど天文に興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎年驚くべき倍率になるのには、ある理由があった。孤島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ――奇蹟の島で起きた殺人事件を描く、俊英会心の長編推理!
  • 少女地獄 夢野久作傑作集
    4.0
    書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、唯一無二の怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門書にふさわしい四編を収録した傑作集を贈る。ロシア革命直後に語られる数奇な話「死後の恋」。南の島に流された幼い兄妹の悲劇を綴る「瓶詰の地獄」。満州を舞台に、日本兵と異国の少女の逃避行を描く「氷の涯」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にしたオムニバス「少女地獄」。『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並ぶ、不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示すベスト・オブ・ベスト。/解説=戸川安宣
  • 破壊者
    3.9
    女は裸で波間にただよっていた。脳裏をよぎるのは、陵辱されたことではなく、手指の骨を折られたことだった。――そして小石の浜に打ち上げられた遺体が発見される。被害者は長時間泳いだ末に力尽き、溺死していた。一方、死体発見現場から二十キロ以上離れた港町では幼女が保護される。彼女は被害者の三歳になる娘だった。なぜ犯人は母親を殺したのに娘を無傷で解放したのか? 海を恐れ船に乗らなかった女性がなぜ溺死したのか? 凄惨きわまりない事件は、被害者をめぐる複雑な人間関係を暴き出す。現代英国ミステリの女王が放つ稀代の雄篇。/解説=杉江松恋
  • 泉

    -
    イギリス全土で3年にわたって異常な干魃が続いているにもかかわらず、“わたし”がいる農場〈泉〉にだけは雨が降り、草木が青々と茂っている。“わたし”はここで自宅監禁生活を送ることになった。〈無個性〉〈3〉〈ボーイ〉と名付けた男たちに常に監視され、行動を厳しく制限されながら孤独に暮らす“わたし”を、殺人事件の記憶が苦しめる。なぜ家族も友人も失うことになったのか? 自分は何をしてしまったのか? “わたし”は精神のバランスを崩すほど思い悩みながら〈泉〉での生活をふりかえり、殺人犯をつきとめようとする――。異様な状況下で傷ついた女性の、追憶と再生の物語。/解説=川出正樹
  • うそつきの娘
    3.8
    うぶめに気に入られ、正式に妖怪の子預かり屋となった弥助。妖怪除けの札に悩まされるあかなめの親子や、母を捜す健気な子猫の妖怪りん、千弥を婿にと望む華蛇族のわがままな姫君初音など……。養い親である千弥の助けも借り、弥助は次々とやってくる妖怪達の問題を解決していく。そんなとき、妖怪の子供達が行方不明になるという事件が発生。仲良しの梅の子妖怪梅吉に頼まれ、行方不明の友達を捜しに浅草に行った弥助は、そこで一人の娘に出会った……。妖怪達と少年の交流を描いた、ちょっと怖くて心温まる、お江戸妖怪ファンタジー第2弾。
  • いつもが消えた日
    4.2
    中学三年生の滝本望は祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前でお蔦さんと呼ばれる祖母は、気が強く面倒くさがりだけれど、ご近所衆から頼られる人気者だ。ある日、望の幼なじみの洋平と同級生の彰彦、後輩の有斗が滝本家を訪れていた。夕飯をお腹いっぱい食べ、サッカー談議に花を咲かせたにぎやかな夜。しかしその夜、息子ひとりを残して有斗の家族は姿を消した。神楽坂一家三人行方不明事件は大きく報道され、一家が抱える秘密が明らかに――。神楽坂で起きた事件にお蔦さんが立ち上がる! 粋と人情、望が作る美味しい料理がたっぷり堪能できるシリーズ第2弾。/解説=宇田川拓也
  • 霧に橋を架ける
    4.0
    人間を寄せつけない“霧”の大河に初めての橋を架けようとする人々の苦闘と絆を描き、ヒューゴー賞とネビュラ賞をダブル受賞した表題作。宇宙で遭難した女性と、圧倒的に異質な相手の邂逅を描く、ネビュラ賞受賞の衝撃作「スパー」。消失と再出現を繰り返す猿たちのサーカスとともに旅する女性が出合う奇跡を描いた、世界幻想文学大賞受賞中編「26モンキーズ、そして時の裂け目」。現代SF界きっての短編の名手が、孤独を抱えたものたちの不可思議な出会いとふれあい、そして別れを鮮やかに描く。数々の賞に輝く傑作11編を収めた幻想SF短編集。/解説=橋本輝幸
  • 北京から来た男 上
    4.4
    凍てつくような寒さの未明、スウェーデンの小さな谷間の村に足を踏み入れた写真家は、信じられない光景を目にする。ほぼすべての村人が惨殺されていたのだ。ほとんどが老人ばかりの過疎の村が、なぜ。休暇中のヘルシングボリの女性裁判官ビルギッタは、亡くなった母親が事件の村の出身であったことを知り、一人現場に向かう。事件現場に落ちていた赤いリボン、防犯ビデオに映っていた謎の人影……。事件はビルギッタを世界の反対側、そして過去へ導く。刑事ヴァランダー・シリーズで人気の北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルの集大成的大作。
  • 躯体上の翼
    3.3
    航空上の脅威となる、強大な“人狗(ヒトイヌ)”の襲撃から〈共和国〉の緑化政策船団を護る生体兵器として生まれた少女・員(エン)。百年に一度、たった半年の任務のために存在している員は、ある日情報が枯れきった互聯網(ネツト)で、cyと名乗る人物に呼びかけられる。「会えて嬉しい。僕は常に一人だから」――ぎこちない会話を交わすうちに、員は彼に直接会いたいと願うようになる。だが、共和国による細菌兵器散布の脅威がcyに迫っていた。彼女は彼を救うため、二百二十一隻の船に戦いを挑む決意を固める。絶望的な戦力差を超えて、員はcyの元に辿り着くことができるのか。鮮烈な印象を残す本格SF。
  • 裏山の宇宙船 上
    4.5
    廃部の危機に瀕した民俗伝承研究会の部員たちは、会の存続をかけ、文化祭で町内に古くから伝わる「河奈見天人伝説」の研究発表を行うことになった。期末テスト最終日の朝、犬の散歩のため自宅の裏山に向かった会長の文は、土砂崩れの現場に何やら黒く光る怪し気な物体が埋まっているのを発見する。これは例の天人伝説で天女が乗っていたとされる岩舟に違いないと主張する文。半信半疑の部員たちだったが、会長命令で謎の物体の発掘作業が開始され……。田舎の高校生たちが繰り広げる、ひと夏の冒険の物語。
  • 水族館の殺人
    4.0
    夏休みの最中の8月4日、向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は、取材で横浜市内の穴場スポットである、丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると、B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。な、なんとサメが飼育員と思われる男性に食らいついている! 駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと、容疑者は11人にもおよぶことに。しかも、それぞれに強固なアリバイが……。袴田刑事は、しかたなく妹の柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン”が、今度はアリバイ崩しに挑戦。/解説=飯城勇三
  • 病める狐 上
    4.0
    ドーセットにあるさびれた小村、シェンステッドでは、不穏の種がひそかに植えつけられていた。何者かによる動物の虐殺、数ヵ月前に起きた村の老婦人の不審死に対してささやかれる噂、村の一角にある〈雑木林〉を占拠した移動生活者(トラヴェラー)の一団。それらの背後には、フォックス・イーヴルと名乗る謎の男の影があった。人々の緊張は静かに高まりつづけ、そしてついにクリスマスの翌日、ひとりの訪問者が村を訪れたときに、事態は予想外の形で大きく動きだす……。現代英国ミステリの女王ウォルターズが、圧倒的な筆力で書きあげた、CWA最優秀長編賞受賞作。
  • 悪徳小説家
    3.7
    世界的ベストセラー作家のヘンリー。妻のマルタとは愛し合っていたものの、編集者ベティと愛人関係にあった。しかし彼には、それ以外にも決して明かすことのできない重大な秘密があった。新作が残り20ページまで書き上がったとき、ベティから妊娠したことを告げられる。彼女との待ち合わせ場所に車で赴いたヘンリーは、魔がさしてアクセルを踏み、相手の車を崖から海に突き落としてしまう。しかし、帰宅したヘンリーを驚愕の事実が待ち受けていた……。真実と嘘がちりばめられた、巧緻きわまる長編ミステリ。
  • パリの骨
    -
    1929年パリ。私立探偵スタイヴサントは失踪した22歳のアメリカ人女性を捜索していた。ピカソら名だたる芸術家と交流があり、人気絶頂の写真家マン・レイのモデルをつとめていた彼女は、何らかの事件に巻き込まれたのか。パリ警視庁のドゥーセ警部は、犯罪的行為を繰り広げる奇抜な前衛芸術家の“芸術的表現としての殺人”を疑っていた。スタイヴサントは、“嘘を見抜く力”を持ち世捨て人のように暮らす友人ベネットの力を借り、死の帝国たるパリの闇へと踏み込んでいく。MWA賞受賞作家が贈る雄編。
  • 崇徳院を追いかけて
    3.7
    崇徳院は保元の乱に敗れ、配流の地で憤死して怨霊になったという。星城大学の研究者早乙女静香は、ひょんなことから宮田六郎と京都へ旅することになり、かねて興味を抱いていた崇徳院について調べようとする。その矢先、宮田の知人である京都在住のジャーナリストが失踪、静香を敵視していた歴史学者が遺体となって崇徳院ゆかりの白峯神宮で見つかるなど、二人と接点を持った人物が奇禍に遭う。そして知り合ったばかりの社長令嬢も……。警察に疑惑の目を向けられながら事件を解明すべく奔走する宮田と静香。歴史上の謎に通じるその真相とは?/解説=新保博久
  • 帰還兵の戦場1 コロニー星系の悪夢
    4.0
    元特殊部隊員のジェイコブは、人類とはまったく異質な異星生命体〈やつら〉との過酷な戦いから帰還して以来、荒廃した地球ですさんだ生活を送っていた。そんな彼に元上官のロールストン少佐から連絡が入る。〈やつら〉の一体が地球に侵入したので始末しろというのだ。全身の強化処置の封印を解除され、複雑な感情を抱きつつも兵士として復活した彼は、瀕死の異星生命体を保護していた少女モラグと出会う。どうやら相手は攻撃ではなく、人類との和平のためにやってきたらしい……かくて星間大戦を終わらせるため、帰還兵と少女の旅がはじまった!/解説=岡部いさく
  • 魔導の系譜
    3.9
    魔導士が差別され、虐げられている国ラバルタ。田舎で私塾を開いている三流魔導士レオンは、魔導士の最高機関〈鉄の砦〉からひとりの少年を託される。幼くして家族をラバルタの騎士に殺され、桁違いの魔導の潜在能力がありながら、学ぶことを拒む少年ゼクス。頑なだった少年は、レオンの辛抱強い指導の下で才能を開花させていく。やがてその力を認められ〈鉄の塔〉に召還されたゼクスだったが、貴族の魔導士アスターとの出会いが彼の、そして王国の運命を大きく変えていく。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の本格異世界ファンタジイ。/解説=三村美衣
  • ハイ・ライズ
    3.5
    【映画化原作】ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす、新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校までを備えたこの一個の世界は事実上、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の最上部に階層化されていた。その全室が入居済みとなり、ある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。3カ月にわたる異常状況を、中層部の医師、下層部のテレビ・プロデューサー、最上層の40階に住むこのマンションの設計者が交互に語る。バラード中期の傑作。/解説=渡邊利道
  • 緑衣の女
    4.2
    男の子が住宅建設地で拾ったのは、人間の肋骨の一部だった。レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは、通報を受けて現場に駆けつける。だが、その骨はどう見ても最近埋められたものではなさそうだった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞をダブル受賞。世界中が戦慄し涙した、究極の北欧ミステリ登場。
  • 伝説の都
    -
    絨毯乗りターリク、太守の娘サバテアは、バグダッドの宮廷魔導師、ビザンチンの狩人らとともに、第三の願いが見つかるという、伝説の都スカラバプールをめざす。一方ターリクの弟ジュニスは、兄との再会も束の間、マリヤムの最後の頼みを果たし、嵐の王の許からさらわれた童子を取り戻さんと、魔人の巣窟に向かう。そして魔人も、第三の願いの力を得ようとしていた。困難な道のりの末、スカラバプールに辿りついたターリクらを待つものは。謎の童子ジブリルの正体は。魔人に支配された世界の秘密が明らかに。ドイツ・ファンタジー3部作完結。
  • 人生の真実
    4.0
    この子はあたしたちみんなで育てる。よそにはやらないよ――千里眼を持つ女家長マーサの決断により、赤ん坊はヴァイン家の8人の女たちに育てられることになった。フランクと名づけられた男の子は、大戦の残した傷跡から立ち上がろうとする町で、風変わりな一族に囲まれて大きくなってゆく。彼だけの秘密の話し相手、〈ガラスの中の男〉とも一緒に……。現代英国幻想小説界の巨匠が鮮やかに描き上げた、生と死のさまざまなかたちを見つめる家族の物語。世界幻想文学大賞受賞作。
  • テロ
    4.1
    2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカースタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊急発進した空軍少佐が独断で旅客機を撃墜する。乗客164人を殺して7万人を救った彼は英雄か? 犯罪者か? 結論は一般人が審議に参加する参審裁判所に委ねられた。検察官の論告、弁護人の最終弁論ののちに、有罪と無罪、ふたとおりの判決が用意された衝撃の法廷劇。どちらの判決を下すかは、読んだあなたの決断次第。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』のシーラッハが放つ、世紀の問題作!
  • 吉田同名-Sogen SF Short Story Prize Edition-
    3.5
    「20XX年○月△日19時頃、夏の宵闇垂れ込めるS市K町4丁目の通りで多数の住民が暗色の奔流を目撃した」――3年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏(30代、妻と男子ひとり)は、降りた駅から自宅玄関までのあいだで一瞬にして19329人となった。全員が寸分違わぬ吉田大輔氏その人である。瞬く間に報道され様々な考察がなされるが、もちろん原因は分からず対処のしようもない。200~600人ずつに分けて吉田大輔氏が収容された先は計6県の人里離れた廃病院、廃旅館など。隔離された環境下で果たして吉田大輔氏たちは……。応募総数464作から大森望、日下三蔵、山本弘ら3選考委員全員が絶賛し選出した、稀代のスラップスティック思弁SF。第7回創元SF短編賞受賞作。/イラスト=藤原遼
  • 執着
    4.0
    マドリッドの出版社に勤める編集者マリア。独身の彼女が、毎朝カフェで見かける理想のカップルと思える夫婦がいた。彼女は二人を見ては、幸せな気分で出勤するのだった。裕福そうな夫とカジュアルな装いが似合う妻は、子供を学校に送り出してから二人で朝のひとときを過ごしているらしい。しかし、ある日、出張から帰ったマリアが久しぶりにカフェに行くと、二人の姿はなかった。そして、恐ろしい事件があったことを彼女は知る。あの夫がホームレスに突然殺されたのだ! しばらくして、未亡人ルイサと知り合ったマリアはルイサと親しい、亡くなった夫の親友だった男に恋をする。しかし、彼の気持ちはルイサにしか向いていなかった。そしてある日、マリアは、彼の驚くべき秘密を知ることになる。あの事件は通り魔殺人ではなかったのか? 三角関係の清算だったのか? それとも……? 現代スペインを代表する作家で、ノーベル賞候補と目される著者による愛と死と罪をめぐる哲学小説。
  • オーリエラントの魔道師たち
    4.3
    人はいかにして魔道師になるのか……。注文を受けて粘土をこね、ろくろを回して魔法を込めた焼き物に焼く。はたして魔道師は職人か否か……「陶工魔道師」、女たちの密かな魔法組織を描く「闇を抱く」、死体を用いる姿なきプアダンの魔道師の復讐譚「黒蓮華」、そして魔道ならざる魔道を操る者、もう一人の〈夜の写本師〉の物語「魔道写本師」。異なる四つの魔法を操る魔道師たちの物語四篇を収録。『夜の写本師』で一躍脚光を浴び、日本ファンタジーの歴史を塗り替え続ける著者の人気シリーズ〈オーリエラントの魔道師たち〉初の短篇集。/解説=三村美衣
  • ドミノ倒し
    3.3
    地方都市・月影市で探偵業を営む十村は、亡くなった元恋人の妹から「殺人事件の容疑者となっている男の無実を証明して欲しい」と依頼される。久しぶりの依頼に、十村は旧友の警察署長も巻き込んで、癖のある月影市の住人たちを相手に早速調査に着手する。しかし調査を進めていくうちに、過去に月影市で起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、さらに別の殺人事件との繋がりも浮かび上がる。ドミノ倒しのように真実を追えば追うほど異様に広がっていく事件。その真相に探偵が迫るとき、恐るべき結末が待ち受ける――。人間の歪みと捩れを浮き彫りにする、衝撃の長編ミステリ。/解説=三島政幸
  • 古書贋作師
    3.0
    ニューヨーク州東端の町で、アダムという男が後頭部を殴打され、両手首を切断された状態で発見される。周囲には稀覯本や貴重な原稿が散乱していた。彼は、コナン・ドイルなど著名作家の直筆を偽造する贋作師だった。アダムの妹ミーガンと交際しているわたしも、かつて名を馳せた贋作師。だが逮捕されたことを契機に足を洗い、今は古書オークションハウスで働いている。ディケンズやドイルなどの文豪の筆跡で書かれた、正体を暴いてやるとの脅迫状に怯えながら。稀覯本の世界へ読者を誘う、異色のミステリ。/解説=三橋曉
  • ボレアの妖月
    3.5
    風の巫女アルマンドラと婚姻し、ボレアの台地の将軍となった、精神感応能力者シルバーハット。台地民の尊敬を集め、よく地を制していたが、探索の途中で、地平線の彼方に墜ちゆく物体を目撃する。それこそは、アンリ‐ローラン・ド・マリニーの乗った時空往還機であった! だが、墜落の際、時空往還機がイタカ軍の手に落ちてしまう。これなくしては、ボレアからの脱出も、邪教集団との闘いも困難を極める。シルバーハットは、ド・マリニーと共に奪還を決意するが、風の邪神イタカの魔手が、ボレアに、そして愛するアルマンドラに迫りつつあった。邪神と人類の闘争を描きクトゥルー神話体系に新風を巻き起こした伝奇ホラー、長編第5弾。/解説=鵺沼滑奴
  • 探偵は孤高の道を
    4.5
    2011年1月。サンフランシスコの私立探偵クレア・デウィットは、ギタリストのポールが殺されたのを知る。彼はかつてクレアの恋人だったが、別の女性と結婚していた。ポールは自宅の居間で銃殺されており、膨大なギターのコレクションのうち、5本がなくなっていた。犯人は貴重なギターを狙って盗みに入ったのだろうか。クレアは自力で犯人を明らかにすべく調査を開始する。想いを残したまま別れた相手が殺害され、懸命に真実を追うクレア。謎を解くことで、誰かを救えるのか。『探偵は壊れた街で』で鮮烈な印象を残した女探偵の新たな苦闘!/解説=久美沙織
  • 邂逅
    1.0
    シドニーのあるマリーナで、海底からスチール製の収納ボックスが発見される。1メートル四方の箱には、傷だらけの少女の遺体が収められており、周囲から同じような遺体の入ったボックスが20も見つかった。シドニー州都警察殺人捜査課に異動してきた刑事フランクは、新たに相棒になった署内一の敏腕女性刑事エデンと共に未曾有の大量死体遺棄事件を追う。だが、以前の相棒が犯罪者に撃たれ殉職したばかりだというエデンは、何か秘密を抱えているようで――。オーストラリア推理作家協会賞を2年連続で受賞した、鮮烈な警察小説シリーズ開幕!
  • やつがしら
    5.0
    芥川龍之介賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞受賞作家による、すぐそこにあるかもしれない未来を描いた、書下ろしショートショート。電子書籍オリジナル。
  • ゴースト≠ノイズ(リダクション)
    3.9
    ぼくが1年A組の幽霊になって、一月が経過した――高校に入学したばかりのころの失敗によってクラス内で孤立し、いまでは幽霊扱いされている一居士架(いちこじかける)。惨めな日常を過ごしながらも限界を感じていた架は、十月の席替えで前の席になった玖波高町(くばたかまち)に突然話しかけられる。それは彼の苦しみに満ちた毎日に変化をもたらす、小さくも確かな予兆だった。時を同じくして、校舎の周辺では蝶結びのメッセージを残した動物の死骸が相次いで発見され、休みがちになった高町は何かに思い悩むような様子を見せはじめる……。圧倒的な筆力と繊細な技巧が紡ぎ出す、静謐な感動に満ちた青春ミステリ。/解説=大森望
  • 幽霊はお見通し
    4.0
    裕福なホッジズ夫人が殺害されたのは、近頃評判の霊能者ポープジョイ夫人の交霊会から帰宅した直後のことだった。強盗の仕業か、顔見知りの犯行か。新年早々難事件を抱える羽目になるウィザースプーン警部補。そんな主人を陰で助けてきたジェフリーズ夫人はじめ使用人一同だが、このところメイドのベッツィと馭者スミスの仲が険悪で、捜査に支障が出かねない。不仲の原因というのが、彼女が少し前に知り合った男性と交霊会に出かけるからで……単純そうで手ごわい殺人事件に使用人探偵団が挑む、評判のヴィクトリア朝ミステリ・シリーズ第3弾。
  • 旋舞の千年都市 上
    3.0
    ナノテク革命と低炭素経済がもたらす活況に沸く巨大都市。突如起こった、犠牲者ゼロの奇妙な自爆テロの真相とは? ボットを操り、テロ現場にいた謎のドローンを追う探偵志望の少年、AIが飛び交う国際金融市場に一大詐欺をしかけるトレーダー、革命的ナノテク技術の研究者と出会った新米マーケッター、伝説の「蜜人」を探す美術商……東洋と西洋、過去と未来、科学と神秘が混じりあう千年都市を舞台に描かれる、緻密にして壮大な未来世界のリアルなヴィジョン。キャンベル記念賞と英国SF協会賞をダブル受賞した、至近未来SFの傑作登場!

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