時は1890年のイングランド。舞台はケンブリッジシャー州の小さな町イーリーにある小さなフィニッシング・スクール(中上流階層の家庭の女の子が一人前のレディとしてのあらゆる教養やマナー、振る舞いを学ぶ全寮制の学校)の聖エセルドレダ女学院。
ある日曜日、校長のミセス・プラケットは、夕食を食べている途中に
...続きを読む、突然息絶えてしまいます。同席していた彼女の弟ミスター・ゴッディングも続けざまに…
その様子を目の当たりにした7人の女生徒(気転のキティ、奔放すぎるメリー・ジェーン、愛すべきロバータ、ぼんやりマーサ、たくましいアリス、陰気なエリナ、あばたのルイーズ)たちは、それぞれ家庭の事情から家には戻されたくないこと、姉妹のように仲の良い友達と離れ離れになりたくないことから、死んだ2人を学校の庭に埋め、周囲に気づかれないよう自分たちだけで生活していくとともに、2人が毒殺されたと判明したことから、その犯人を見つけ出そうと計画します。
かなり無茶で無理な決断に思えますが、7人が力を合わせて危うくも乗り切っていく様子に、ハラハラし、クスッと笑い、ええーっと仰け反り、おおっと驚かされます。
緊迫したシチュエーションにドキドキさせられながらも、彼女たちのどこか子供らしい可愛らしさや無邪気さが時々垣間見えるさじ加減はとても絶妙で、子供の読者にとっては親近感が湧き、大人が読めばわが子の頑張りを見ているようで、思わず彼女たちを応援したくなるのではないでしょうか。
1890年といえば、女性の振る舞いや生き方に関して、世間は何かと型にはめようとし実際にそうであった時代だそうです。聖エセルドレダ女学院の存在理由も、そんな時代背景があればこそ。
それでも、姉妹のように仲が良く、それぞれに魅力的な彼女たちが、この物語の後、彼女たちの持ち味を生かしつつ、楽しい人生を送ってくれたらいいな…
そんなことを祈りながらページを閉じました。