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Posted by ブクログ
貫井作品の中で珍しく今作は全編、外国を舞台にした短編小説だ。
日本人作家が書く海外を舞台にした作品(しかも登場人物の殆どが外人)というのは、さながら外人作家が日本を舞台にした作品を書くことに等しく、そういったシチュエーションには個人的に僅かながらの不安感を覚えてしまうのだが、読み終わった今ではそれも杞憂に過ぎなかったと思う。
もちろん読後感の重さに定評のある貫井作品のスタンスは健在だ。
観光小説的なパートと話の核心を織り成すミステリーパートの陰影がしっかりしているので、海外に行った気になりつつミステリーにソワソワしながら結末に打ちのめされるという重層的な読書体験ができた。
完全に著者の術中にはまった読者である。
Posted by ブクログ
貫井さん、短編は初読み。表題作。舞台はスペインのミハス。老紳士の一人語りから始まるため、新月譚を思わせた。第三者(ジュアン)がいることで“アリーザとオルガス”の互いを想う心の描写の表現に感嘆した。最後のジュアンの敢えて言わない優しさ。二編目、ストックホルム。ビデオショップに勤めてる男と偉大な父を持つ男(彼もまた刑事)の二視点から綴られる物語。前者が殺した相手には驚愕したが、それ以上にストーリィがホント巧いわ。三編目、サンフランシスコ。三人目の夫も事故で亡くした女とそれを不審に思った保険調査員の物語。まさかの犯人に声を失う。彼は罪悪感すらなく、ただ魔法を使った?だけだと思っているよう。将来が大変心配である。四編目、ジャカルタ。連続娼婦事件の間に、娼婦ディタの元夫が絞殺されるー。前者の事件はこの土地でしか殺人の動機に説得力を持たない。トシもディタと似た犯行をし、高飛びしたようだ。五編目、カイロ。旅行客のナンシー(アメリカ人美女)に指名され、ガイドをすることになったマフムード。失踪した夫を探しに来たそうだ。最後は嗚呼・・なるほど。エジプトの男性社会も大変だなぁ、と思った次第。著者が自信作しか短編集として本にしたくないと言っていただけあってとても面白かった!その地を訪れたような感じもし、軽く旅行気分も味わえる・・かも?w
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