講談社文庫作品一覧

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  • 志ん生的、文楽的
    5.0
    ご用とお急ぎの方、だまされたと思ってページをめくってごらん。損はさせない。八代目文楽の語りの向こうに江戸の崩壊を見、五代目志ん生の噺の彼方に黄塵万丈の大陸風景を幻視する、平岡正明の落語論は、躍動(グルーヴ)し、疾走する。そのスピードにただ身を任せ、リズムに酔え! ――こんな本が読めるなんて、嬉しいねぇ。
  • 花櫓
    4.0
    江戸芝居町・中村座。8代目・中村勘三郎には、二人の娘があった。妾の子・お菊。正妻の子・お珊。気性も、抱く夢も違う二人の、娘から女への成長と葛藤。市川団十郎、松本幸四郎、尾上菊五郎ら、きら星のごとき名優たちの息づかいの中に描かれる、凛々しくも、真珠のように輝く、恋物語。櫓が上がり、柝(ひょうしぎ)が鳴る。恋の舞台の幕が開く。
  • 黒い巨塔 最高裁判所
    3.3
    いま初めて暴かれる最高裁の闇! 最高裁新任局付判事補・笹原の見た司法の聖域は、裁判官の思想統制のための牢獄(ラーゲリ)だった! 裁判官を左遷し判決の方向を差配する最高裁長官、絶大な権力を振かざす我が物顔の事務総局。司法の中枢最高裁判所内では醜悪な権力抗争が煮えたぎる。「法の支配」とは無縁の上命下服の思想統制に、司法エリートたちは次々と屈服していく。最高裁の中枢を知る元裁判官の城山三郎賞作家が、司法の真実を暴く権力小説。 解説:ノンフィクション作家 清水潔
  • 新装版 京まんだら(上)
    -
    1~2巻990~1,012円 (税込)
    京都の旅館に集まったのは、出版社社長・植田敏子と姪の律子、随筆家・菊池恭子、カメラマン・関なおみの女性4人。それを迎える祇園のお茶屋「竹乃家」の女将・雪村芙佐。『古都旅愁』という豪華本の打ち合わせを兼ね、京都でいっしょに年を越そうという目的だった。/敏子は7年前に夫と死別。その遺産で出版社を立ち上げ成功を収めるが、女性としてもやもやしたものを感じていた。/恭子は10年前にベテラン作家と不倫に走った、つらい思い出を抱えていた。/なおみは4年のブランクを乗り越えて、妻帯者だった男性との恋を実らせようとしていた。/そして芙佐。14歳でお茶屋に入り、20歳そこそこで独立して「竹乃家」を祇園で指折りの店に育て上げてきた。──彼女たちの恋情や、芸妓・舞妓の生き方を縦糸に、京都の四季の移ろいや名所の風情を横糸にして、曼荼羅のように華やかに織り込んだ名作。季節は、冬から春へ……。
  • 大江戸温泉殺人事件
    -
    志垣警部と和久井刑事が、東京ドームで巨人vs.阪神戦を楽しんだ夜、球場そばのスパリゾートを訪れた会社員が殺された。死体はユニフォーム姿で、下着は着けず、なぜか左腕に2個の腕時計をはめていた。さらに第二の殺人は大阪で起こる。転勤族の男たちが、家族を裏切って求めた新しい愛の裏に、驚愕の罠が仕掛けられていた! 阪神優勝の陰に大事件、奇怪な3連続殺人!
  • 全能兵器AiCO
    3.7
    サトリこと佐東理はプロ棋士を目指すも挫折、東大工学部航空研から航空自衛隊ファイターパイロットになるが、凄腕の名人達を目の当たりにし退職。いずれ戦闘機から人間を引きずり下ろすため、人工知能AiCO搭載無敵の無人ステルス戦闘機を開発した。だが、テストパイロットとして指名した名人郷谷良平が再び立ちはだかる! 緊迫する尖閣諸島上空、無人機と名人の凄絶な空中戦が始まる。
  • 戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇
    4.7
    1945年8月6日、広島で被爆した移動劇団「桜隊」。著者は、その演出家・八田元夫の膨大な遺品を、早稲田大学演劇博物館の倉庫から発掘する。そこには戦中の演出ノートやメモ、草稿、そして原爆投下による悲劇の記録が書き残されていた。 八田が残した記録やメモには、大正デモクラシーの下で花開いた新劇が、昭和に入り、治安維持法による思想弾圧で、いかに官憲に蹂躙されたか。自身や俳優たちの投獄、拷問など、苦難の歴史が記されていた。さらに、桜隊が広島で遭遇した悲劇の記録――。8月6日、八田は急病で倒れた看板役者・丸山定夫の代役を探すため、たまたま上京中だった。急ぎ広島に舞い戻り、10日から仲間の消息を追う。「桜隊」9名のうち、5名は爆心地に近い宿で即死。仲間の骨を拾った八田は、座長であり名優と謳われた丸山定夫や美人女優・園井惠子ら修羅場から逃れた4名の居場所を探し当てるが、日を経ずに全員死亡。放射線障害に苦しみながらの非業の死だった。八田自身も、戦後、放射線被爆に悩まされることになる。16日、避難先の宮島で臨終を迎えた丸山の最期に八田は立ち会った。前日、玉音放送を聴いて丸山は呟いたという。「もう10日、早く手をあげたらなあ……」10日前、8月5日に降伏していれば。本書は悲劇の記録である。と同時に、困難の中、芝居に情熱のすべてを傾けた演劇人たちの魂の記録でもある。
  • 長靴をはいた犬 神性探偵・佐伯神一郎
    3.0
    「犬男がやったんだ」劭疝犬神通り魔殺人事件で起訴された男は、法廷でそう呟いた。弁護人も無罪を主張。そして、その公判中に同じ手口の第2の殺人が……。太股の犬の噛み痕、長靴の足跡は、この街に澱む「犬神伝説」に関係があるのか? 『神曲法廷』で「地獄」をさ迷いホームレスとなった名探偵・佐伯が、再び神の声をきき、事件の謎に挑む!!
  • 潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官
    4.1
    伊豆諸島の「神の出島」でミイラ化した女性の遺体が発見され、警視庁から岩楯警部補が派遣された。首吊りの痕跡から、解剖医は自殺と断定。死亡推定月日は3ヵ月以上前とされた。第一発見者によれば、島のハスキー犬がミイラを引きずってきたらしい。遅れて島に入った法医昆虫学者・赤堀涼子が、事前に解析した微物と、現場周辺を調べて出した結論は……。
  • 新装版 ウロボロスの偽書(上)
    -
    リアリティと非現実感が交錯する!竹本健治が連載を始めた本格推理に、いつのまにか埼玉で起こった女性連続殺人事件の、犯人を名乗る男の手記がまぎれこんでいた!現実と虚構の境界線はあいまいになり、事件は思わぬ展開に。私たちが暮らすこの世界もどこからどこまでが現実なのか、次第にあやふやになってくる、奇々怪々な超ミステリ。
  • 終わった人
    4.2
    大手銀行の出世コースから子会社に出向、転籍させられそのまま定年を迎えた田代壮介。仕事一筋だった彼は途方に暮れた。生き甲斐を求め、居場所を探して、惑い、あがき続ける男に再生の時は訪れるのか?シニア世代の今日的問題であり、現役世代にとっても将来避けられない普遍的テーマを描いた、大反響ベストセラー「定年」小説。
  • 天人 深代惇郎と新聞の時代
    5.0
    新聞史上最高のコラムニストと評される深代惇郎。「天声人語」の執筆者として輝きを放つも、担当したのはわずか2年9ヵ月、46歳で早世する。その文章は、ウイットとユーモアに満ち、視野広く、思考は柔軟でありながら、硬派を貫いた。なぜ彼のような書き手が生まれたのか。多くの証言から綴る、傑作評伝!
  • Killers(上)
    3.6
    2020年、東京五輪に向けて再開発が進む渋谷区のアパートで、老人の他殺体が発見された。捜査の結果、その被害者はかつて名家の人間だったことが判明する。この男は何者なのか――。渋谷で発見される、額に傷を付けられた死体。50年という時の中に潜み続ける殺人者とは――。警察小説の旗手・堂場瞬一が「人が人を殺す」というテーマに向き合い書き上げた、記念碑的文芸巨編。
  • 新装版 星降り山荘の殺人
    3.7
    雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ本作、読者は犯人を指摘する事が出来るか。
  • イコン 新装版
    4.0
    「十七歳ですよ。死んじゃいけない」連続少年殺人の深層に存在した壮絶な真実とは!?熱狂的人気を集めるも正体は明かされないアイドルのライブでの殺人事件。被害者を含め現場にいた複数の少年と少女一人は過去に同じ中学の生徒だった。警視庁少年課・宇津木と神南署・安積警部補は捜査の過程で社会と若者たちの変貌に直面しつつ、隠された驚愕の真相に到達する。『蓬莱』に続く長編警察小説。
  • 虚像の砦
    4.1
    中東で日本人が誘拐された。その情報をいち早く得た、民放PTBディレクター・風見は、他局に先んじて放送しようと動き出すが、予想外の抵抗を受ける。一方、バラエティ番組の敏腕プロデューサー・黒岩は、次第に視聴率に縛られ、自分を見失っていった。二人の苦悩と葛藤を通して、巨大メディアの内実を暴く。
  • かあちゃん
    4.5
    同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。いじめの傍観者だった日々の焦りと苦しみを、うまく伝えられない僕。精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。著者が初めて描く「母と子」の物語。
  • 遠い太鼓
    4.3
    ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。その音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ――。40歳になろうとしていた著者は、ある思いに駆られて日本を後にし、ギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書き上げ、作家としての転換期となった、三年間の異国生活のスケッチブック。
  • 法月綸太郎の冒険
    4.0
    名探偵・法月綸太郎に挑戦するかのように起こる数々の難事件。なぜ死刑執行当日に死刑囚は殺されたのか、図書館の蔵書の冒頭を切り裂く犯人、男が恋人の肉を食べた理由など異様な謎に立ち向かい綸太郎の推理が冴えわたる。〈ルーツ・オブ・法月綸太郎〉ともいえるミステリの醍醐味あふれる第1短篇集。
  • サウスバウンド
    4.1
    父は国家権力が大嫌い。どうやらその筋では有名な元過激派で、学校なんて行くなと言ったり、担任の先生にからんだり、とにかくムチャクチャだ。そんな父が突然、沖縄・西表島(いりおもてじま)に移住すると言い出し、その先でも大騒動に。父はやっぱり変人なのか? それとも勇者? 家族の絆、仲間の絆をユーモラスに描いた傑作長編。
  • シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官
    4.2
    東京・葛西のトランクルームから、女性の全裸腐乱死体が発見された。現場に蠅とウジが蝟集していたことから、捜査本部は法医昆虫学者・赤堀涼子の起用を決定する。「虫の知らせ」を頼りに調査を進める彼女は、珍しい植物の種が現場で発見されたことに着目する。赤堀涼子がたどり着いた驚愕の真相とは!?
  • 新装版 俄 浪華遊侠伝(上)
    4.1
    「この銭、貰うた」。逃げた父の代わりに金を稼がねばならなくなった万吉は、身体を張った"どつかれ屋"として身を起こす。やがて生来の勘とど根性と愛嬌を元手に、堂島の米相場破りを成功させ、度胸一の極道屋・明石屋万吉として知らぬ者のない存在となった。そんな万吉に大坂町奉行から密かな依頼がくる。
  • 新装版 間宮林蔵
    4.1
    19世紀初頭、世界地図の中で樺太は唯一謎の地域だった。樺太は島なのか、大陸の一部なのか。樺太調査に挑んだ間宮林蔵は、苛酷な探検行の末、樺太が島であることを確認する。その後、シーボルト事件に絡んで思いがけない悪評にさらされ、さらには幕府隠密として各地を巡った、知られざる栄光と不運の生涯を克明に描く。(講談社文庫)
  • 烏丸ルヴォワール
    3.6
    京都に伝わる稀覯本(きこうぼん)『黄母衣内記(きぼろないき)』。その所有者が謎の死を遂げた。事故か他殺か。そして継承を巡り兄弟争いが勃発。私的裁判・双龍会(そうりゅうえ)が開かれることに。その準備の中、瓶賀流(みかがみつる)は伝説の龍師「ささめきの山月(さんげつ)」から、一人の少女と行動を共にすることを依頼される。だがそれは仲間達との敵対を意味していた。(講談社文庫)
  • 占星術殺人事件 改訂完全版
    4.1
    密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!? 名探偵・御手洗潔を生んだ衝撃のデビュー作、完全版! 二〇一一年十一月刊行の週刊文春臨時増刊「東西ミステリーベスト一〇〇」では、日本部門第三位選出。
  • オルファクトグラム(上)
    4.1
    1~2巻990~1,100円 (税込)
    姉を殺害した犯人に、事件現場で襲撃された片桐稔は、その後遺症から通常の“匂い”を失い、イヌ並みの嗅覚をもつことに……。まったく違う世界に戸惑いながらも、失踪したバンド仲間を、嗅覚を頼りに捜し求めてゆく。新たな能力を駆使することで、姉の仇を討てるのか?新感覚の大長編異次元ミステリー。
  • 凍りのくじら
    4.2
    藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。(講談社文庫)
  • 蛇棺葬
    3.5
    旧家に伝来する葬送儀礼と密室殺人! 幼いころ父に連れて行かれた百巳家。そこに無気味な空気を漂わす百蛇堂がある。私はそこで見たのだ。暗闇を這うそれを……。「作家三部作」第三編前編。(講談社文庫)
  • マレー鉄道の謎
    4.1
    旧友・大龍の招きでマレーの楽園、キャメロン・ハイランドを訪れた火村と有栖川。二人を迎えたのは、舞い飛ぶ蝶ならぬ「殺人の連鎖」だった。ドアや窓に内側から目張りをされた密室での犯行の嫌疑は大龍に。帰国までの数日で、火村は友人を救えるか。第56回日本推理作家協会賞に輝く、〈国名シリーズ〉第6弾。
  • 今はもうない SWITCH BACK
    4.2
    避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で一人ずつ死体となって発見された2つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が……。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ。
  • 夏のレプリカ REPLACEABLE SUMMER
    3.9
    T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは? 『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く。
  • 幻惑の死と使途 ILLUSION ACTS LIKE MAGIC
    4.2
    「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か? 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。
  • 政治家と回想録 読み直し語りつぐ戦後史
    3.0
    小泉さんにもぜひ書いてもらわなければ……。19人の弁明を採点する! 歴史の評価に耐えうる者はいったい誰なのか? 後世にむけての責任――政治家の最後の責任とは、なんだろうか? それは、回想録を残すことである、と著者は喝破する。彼らの決断は、後世の人々に対し、恥ずかしくないものだったのか。吉田茂、石橋湛山、佐藤栄作から村山富市まで、戦後の主要政治家19人の弁明を仔細に検討、それぞれが歴史に果たした役割を採点する、異色の戦後史。
  • 灰の男
    3.2
    昭和20年3月10日、10万人の命を奪った東京大空襲の裏に驚くべき謀略があった! なぜ下町が狙われたのか? なぜ空襲警報は遅れたのか? ともに大事な者を失った咄家の信吉と大学生の伊吹。2人が平成の世に再び邂逅した時、史実の闇に隠された衝撃の真相が明かされる。著者渾身の歴史ミステリー問題作。(講談社文庫)
  • 奪われぬもの
    -
    人はなぜ戦うのだろう? 戦い抜いた果てになにを見るのだろう? マラソンの有森裕子、競馬の福永洋一、ボクシングの高橋直人……。トップに立つ者の恍惚と不安。時は容赦なく彼らの夢を、力を、プライドを奪いさる。しかし、なお<奪われぬもの>の一条の光。それこそが、ファンの眼を射る。練達の筆が冴える、傑作スポーツ・ノンフィクション6篇。
  • 屈折率
    3.2
    ヤリ手の元商社マン・安積啓二郎(あづみけいじろう)は、経営状態の思わしくない実家のガラス工場の社長となった。工場売却を目論む彼だが、ガラス工芸作家・野見山透子(のみやまとうこ)との恋に落ち、ガラスの世界に魅せられていく。工場再建のために啓二郎が次々と打つ手とは? モノ作りに人生の再起を懸けた男の勇姿を描く長編企業小説。(講談社文庫)
  • ロズウェルなんか知らない
    4.1
    温泉もない、名所があるわけでもない、嫁のきてもない。観光客の途絶えた過疎の町、駒木野。青年クラブのメンバーたちは町を再生することで、自らの生き方にも活路を見出そうとするが。地方の現実に直面する人々の愚かしくも愛しい奮闘を描いた胸に迫る長篇。「日本の四次元地帯」として駒木野は再生するのか? (講談社文庫)
  • おかしな二人
    4.2
    2人が出会って多くの傑作ミステリーが生まれた。そして18年後、2人は別れた――。大人気作家・岡嶋二人がどのようにして誕生し、28冊の本を世に出していったのか。エピソードもふんだんに盛り込んで、徳さんと著者の喜びから苦悩までを丹念に描いた、渾身の自伝的エッセイ。ファン必携の1冊!(講談社文庫)
  • J-ROCKベスト123 1968~1996
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本のロック・ヒストリー。伝説のはっぴいえんどからミスチルまで一挙収録! これだけは聴いておきたい名盤ガイド! ――ロカビリー、GS時代を経て、日本のロックはいかに進化したのか? フォークルの誕生、伝説のバンド・はっぴいえんどからミスチルまで、これだけは聴いておきたい名盤1123アイテムを厳選収録! 細野晴臣インタビュー、サエキけんぞうの〈J-ROCKヒストリー集中講座〉など、日本のロックのすべてがわかる1冊。
  • 冬の伽藍
    3.9
    煉獄の中で、私は天上の果実を口に含んでいた……。夫を事故で失った高森悠子は、薬剤師として勤めることになった軽井沢の診療所で医師・兵藤義彦と出会う。彼もまた、妻の美冬を自殺で亡くしていた。義彦に恋心を抱きながら、好色なその義父・英二郎の誘いを拒みきれない悠子。エロス匂い立つ、長編恋愛小説。
  • スター・ウォーズ エピソード4:新たなる希望
    4.0
    遠い昔、ジェダイが滅びて久しい時代。平和だった銀河系は銀河帝国の圧政下におかれていた。ある時、反乱同盟軍のスパイが、帝国の宇宙要塞デス・スターの設計図を盗み出すことに成功する。奪還のため、ダース・ベイダー卿は同盟軍の指導者レイア姫の載った宇宙船を襲うが、レイアは設計図と救援メッセージを2体のドロイドに託し宇宙に放つ。やがてこのドロイド達、R2-S-D2とC-3POは青年ルークと出会い…。
  • ひねくれ一茶
    4.4
    江戸の荒奉公で苦労の末、好きな俳諧にうち込み、貧窮の行脚俳人として放浪した修業時代。辛酸の後に柏原に帰り、故郷の大地で独自の句境を確立した晩年。ひねくれと童心の屈折の中から生まれた、わかりやすく自由な、美しい俳句。小林一茶の人間像を、愛着をこめて描き出した傑作長編小説。田辺文学の金字塔。
  • 今出川ルヴォワール
    4.1
    いくら心がすれ違っても、この手だけは絶対に離さない。「ルヴォワール」シリーズ第3弾!京都・大怨寺の僧侶が転落死した。殺人容疑をかけられたのはその場に居合わせた御堂達也。嫌疑を晴らすため、彼の母校、越天学園に向かった瓶賀流。そこで出会ったのは達也の死んだ母親と瓜二つの女性だった。三十年前に起きた悲劇と私的裁判・双龍会が繋がるとき、過去の呪縛から解放されるのは、誰だ。
  • 畦と銃
    4.3
    “最強の農夫”、“樹上で叫ぶ少女”、“絆で結ばれた牧童たち”が、破壊された農地、山林、牧場を再生すべく蜂起する!!――地図から消えたところで、ミナギの魂は死にはしねえ。怪童・真藤順丈が呼び醒ます、あまりにも力強く、心強い消滅の物語。
  • 匣の中
    3.1
    本格の魔道に沈む驚愕の結末!! 探偵小説愛好家グループの中心人物・伍黄零無(ごおうれいむ)が謎の言葉を残して密室から消失。その後もグループの一員・仁行寺馬美(じんぎょうじまみ)が書くモデル小説どおりに密室殺人が連続する。衒学的(ペダンティック)な装飾と暗号。推理合戦の果てに明かされる、全世界を揺るがす真相とは!? 新本格の聖典『匣(はこ)の中の失楽』に捧げる華麗なるオマージュ。(講談社文庫)
  • 素数とバレーボール
    3.8
    41歳の誕生日。僕らは青春と再会する。 今年でいちばん癒やされ小説、誕生! 「性善説の小説家が探り当てた、ここが一つの到達点だーー吉田大助」 家庭も仕事もまだ諦めたわけじゃない。 それにしても40代。不惑は過ぎても迷いっぱなし。 ーー四十にして惑わずなんて、嘘じゃん。 高校卒業から20数年。 41歳の誕生日を迎えた朝、高校のバレーボール部の仲間「ガンプ君」からメッセージが届く。 「41」という数字の美しさを讃えたあとに「500万ドルのストックオプションをプレゼントする」と書かれた 謎のメッセージは他の部員たちの誕生日にも届いていたものだった。 真偽もガンプ君の消息も不明のまま「不惑」を迎えた元男子高校生たちは、再会を果たす。 仕事もひと段落。家庭も安泰。興奮するような新鮮な出来事なんて、もう簡単には起こらない。 ちょっと人生がつまらなくなってきた男たち。 「そろそろ隠居かな」と言いつつ……実はまだ「男として」人生を諦めきれていなかった。 不倫、やめる? 離婚、する? 恋、する? 出世、できる? 左遷、された? 様々な「不惑」の人生の岐路に立つとき、届いた旧友からのメッセージ。 彼らは何を選択するのか。 優しさには、力がある。
  • NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!
    3.8
    名探偵を自任する女子高生、美智駆(みちかる)アイは突如、推理のための頭が働かなくなる。 そこで助手の取手(とりで)ユウは、”面倒くさい小話をまじえた推理”なんていらなくない?と 推理なしで事件の解決をもくろむが……。日常の謎や旅情ミステリ、果てはエロミスまで! 推理の常道を突き進んだ女子高生探偵・アイと助手・ユウの目には何がうつるのか? 前代未聞の真相に驚愕するメフィスト賞受賞作がついに文庫化! 〈本格推理を極めんとして道を外れた者が堕ちる《魔境》ーー 女子高生探偵シリーズはその攻略に挑んだ前人未踏の裏本格レポートである。〉. (法月綸太郎) 〈ユーモアに隠されていた数々の手がかりを、シャープに解き明かす手際はさすがの一言に尽きる〉  坂嶋竜(文庫版解説より) ※かつてノベルス版として刊行時、本格ミステリ界に激震が起きた。 ・法月綸太郎、微笑―― 第『53』回受賞作はメフィスト賞の『ジョーカー』だよね? ・青柳碧人、感嘆! 歴代すべてのメフィスト賞受賞者と、今後すべてのメフィスト賞受賞者に   贈る傑作(僕、受賞してないけど)。 ・円居挽、憤然! やりたい放題やんけ! 不覚にも面白いと思ってしまったけど……オレもこれやりたかった! ・早坂吝、推薦! 昔のメフィスト賞では出し得なかった「最新」受賞作を見逃すな! ・白井智之、愕然! 196ページ(ノベルス版)を読むまでは舐めてました。本当にごめんなさい。 ※本書は2017年9月に刊行された『NO推理、NO探偵?』(講談社ノベルス)の文庫化に際し、サブタイトルを追加、本文に加筆・修正を加えたものです。
  • さよなら日和
    3.6
    「別れ」は止められないけれど、止まった「想い」は動かせる。 閉園をむかえる遊園地を訪れた人々。 彼らの「さよなら」が繋がったとき、心に染みる奇跡が起こる! 閉園が決まった遊園地・星が丘ハイランドパークの最後の一日。訪れるのは、淡い思いを秘める中学生に、離れて暮らす息子と遊びにきた父親、認知症の妻をかかえた老人と、ワケありな人ばかり。営業終了時間が迫る中、なんの縁もない彼らの人生が交錯するとき、小さな奇跡が巻き起こる! 心温まる傑作群像劇。(単行本『廃園日和』を改題。) ~~~ ようこそ、星が丘ハイランドへ! ~~~ ジェットコースター 少年は淡い思いを胸に、苦手なコースターへ。 ゴーカート 久しぶりに会った息子は大人びていて――。 コーヒーカップ 遠距離恋愛の彼氏は、アタシのことをどう思ってる? ヒーローショー 20年ぶりに1日限定で出演するはめになったけど……。 メリーゴーランド 認知症の妻は、この光景を覚えていてくれるのか。 観覧車 家族のいる人との恋。このままでいいわけない――。
  • ラットトラップ
    4.0
    1969年、ウッドストック・フェスティバル。 音楽の祝祭から、少女が消えた。 私立探偵ジョー・スナイダーは彼女を救えるのか。
  • ホシノカケラ
    4.0
    EXILE/三代目 J SOUL BROTHERSの岩田剛典さん、絶賛!「ただただ、共感」 ライブ動員数日本一を誇るバンド「デラノ」のボーカル・香田起伸は、初めてのソロライブを前にして孤独と葛藤を抱えていた。そんな香田を支えながら、次々に起こる問題を乗り越え、最高のステージを作り上げるために戦い続ける男たち。決して脚光を浴びることのない「裏方」たちの人生と熱い思いを描く。 ライブ空間を作り上げるのは、アーティストだけではない。現場で戦い続けるプロフェッショナルの仕事と、そこにかける思いとは?
  • 時空犯
    3.7
    私立探偵、姫崎智弘の元に、報酬一千万円という破格の依頼が舞い込んだ。依頼主は情報工学の権威、北神伊織博士。なんと依頼日である今日、2018年6月1日は、すでに千回近くも巻き戻されているという。原因を突き止めるため、姫崎を含めたメンバーは、巻き戻しを認識することができるという薬剤を口にする。再び6月1日が訪れた直後、博士が他殺死体で発見された……。
  • わたしが消える
    3.9
    第66回江戸川乱歩賞受賞作! 綾辻行人氏(選考委員)、推薦。 「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」  元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。    途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。     これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。  刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。 残された時間で、自分に何ができるのか。 「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー! 文庫化にあたり、受賞作の前日譚にあたる短編「春の旅」も収録。
  • スイッチ 悪意の実験
    3.7
    夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。彼は「純粋な悪」を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。集まった大学生達のスマホには、自分達とはなんの関わりもなく幸せに暮らしている家族を破滅させるスイッチのアプリがインストールされる。スイッチ押しても押さなくても1ヵ月後に100万円が手に入り、押すメリットはない。「誰も押すわけがない」皆がそう思っていた。しかし……。 第63回メフィスト賞を受賞した思考実験ミステリが文庫化!
  • 悪魔と呼ばれた男
    4.1
    1~2巻968~990円 (税込)
    累計700万部「心霊探偵八雲」完結後、 神永学が送る 新たなヒーローは、 この男だ――! 警視庁特殊犯罪捜査室所属・阿久津。 彼の掌は、悪を摘む。 ☆☆☆ 悪魔が刻む逆さ五芒星は、死の証――。 警視庁に新設された特殊犯罪捜査室。 配属された天海志津香は犯罪心理のスペシャリストとして、 捜査一課のエース・阿久津と、通称〈悪魔〉による連続殺人を追うことに。 続発する猟奇事件の裏側に国政をも揺り動かす巨大な陰謀が……。 一気読み必至の神永マジックに刮目せよ!
  • 草々不一
    4.3
    泣ける。笑える。心がほっこり温まる。 身分としきたりに縛られた暮らしにも、喜怒哀楽、切なくも可笑しい人生の諸相があった。江戸の武家の心を綴る、傑作時代小説短編集。 朝井節、ますますの名調子。 1冊に長編8作分の人生が。 「紛者(まがいもの)」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが武士だが。 「青雲」立身する者とできぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。 「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から3つの約束をさせられて。 「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。 「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。 「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。 「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行く末は。 「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。
  • ピットフォール
    4.0
    消えた女。 友の死。 華やかな成功の陰で、暗い《落とし穴》(ピットフォール)が口を開ける街、大都会ニューヨーク。 二つの謎を追う探偵を待ち受けるのは――。 一九五九年、ニューヨーク。 元刑事で探偵のジョーは、役者志望の女性の行方を捜してほしいと依頼を受ける。 その矢先、衝撃的な知らせが。 黒人の探偵仲間ウィリーが殺されたというのだ。 残忍な手口は、女性ばかりを狙う連続殺人事件と同じだった――。 ハードボイルドの美学が詰まった傑作!〈文庫オリジナル〉 解説 林家正蔵(落語家)
  • スメル男 新装版
    4.2
    岡山から上京して東京の大学に通うぼく・武井武留は、母親を亡くした喪失感のためか、無嗅覚症になっていた。東大で作物の研究をしている親友・六川が、ぼくのために「臭い」の研究もしてくれるが研究所で事故死する。悲嘆にくれていると六川の恋人だったというマリノレイコが現れ、六川からぼく宛の荷物だと言ってシャーレを持ってきてくれる。マリノレイコによるとチーズの匂いがするというシャーベット状の中身に触ったときからぼくの身に異変が起こり始める。最初は犬が騒ぎ出し、次にはぼくの臭いを嗅いだ人がみんな嘔吐。住んでいるマンションに警察が調べに来たり、ついには東京都内を巻き込む異臭騒ぎにまでなってしまう。解決の糸口が見つからないまま、こんどは謎の組織に狙われることになり、なぜか味方になってくれた天才少年たちやマリノレイコといっしょの逃亡劇に!
  • 汚名(上)
    4.2
    SFPD(サンフェルナンド市警)の予備刑事(reserve officer)として、自発的に未解決事件捜査にあたっているハリー・ボッシュのもとを、昔のパートナーだったロス市警本部強盗殺人課未解決事件班刑事のルシア・ソトが現在パートナーを組んでいるボブ・タプスコットとロス検事局のアレックス・ケネディ検事補とともに訪れ、ボッシュが三十年ほど前に逮捕し、現在も死刑囚として服役中の連続殺人犯プレストン・ボーダーズに関して、あらたな証拠が出たとして、再審がひらかれる見込みだと聞かされる。残された証拠を調べ直したところ、すでに死亡している別の死刑囚ルーカス・ジョン・オルマー(連続婦女暴行殺人犯)のDNAが被害者の着衣に精液の形で付着していたことが科学的に立証されたという。事件発生当時、DNAは、犯罪捜査の証拠として認められていなかった。証拠保管庫に収められた被害者の着衣の入っている当該事件の証拠保管箱をソトとタプスコットが開封する様子は、ビデオに録画されており、そこに問題はまるで無いように思えた。  ボーダーズの弁護士ランス・クローニンの主張は、被害者の着衣に別人のDNAが付着している以上、ボーダーズ逮捕の決定的な物証(ボーダーズの住居で見つかった被害者のペンダント)は、事件担当の捜査官(ボッシュと彼のパートナー)が仕込んだものだ、というものだった。ロス市警と喧嘩別れしたいきさつから、ロス市警と検事局のボッシュに対する心証はことのほか悪く、証拠を捏造した悪徳警官としてボッシュに責任をかぶせようという気が満々だった。おのれの信用が地に落とされる危機に際し、リンカーン弁護士ミッキー・ハラーにボッシュは相談し、ミッキーの導師であるリーガル・シーゲルの智慧を借りることになる。  一方、サンフェルナンド市警の管轄で、薬局を経営する父親と息子が薬局内で銃殺されるという事件が発生し、小規模共同体の警察としては、手が足りず、ボッシュも捜査に狩りだされる。捜査を進めるなかで、この事件が、薬局を舞台にしたオキシコドン(半合成麻薬)不正請求にまつわるものであることが判明する。すなわち、身内に引き込んだ医師に鎮痛剤でもあるオキシコドンの処方箋を書かせ、患者を装った出し子たちに薬局で大量に入手させ(料金は医療保険Medicareでカバーされる)、それを売りさばいて大金をせしめている犯罪者集団がいた。薬局の父親は、永年その片棒を担がされていたのだが、息子がその不正に気づき、手を引こうとして、犯罪者集団に処刑されたのだった。犯罪者集団のアジトを突き止め、親玉を逮捕する証拠を手に入れるため、ボッシュは、潜入捜査に赴く。
  • バイバイ・バディ
    3.8
    謎の男たちに追われる、大学生の三咲。 あやうく捕まりかけたところを、ミツルという名の変人に救われる。 三咲は、ミツルがたった一人の「友達」であった海斗と交わした約束を守るために、かつての同級生である成瀬を止めようとしていることを知るが――。 それぞれの切ないまでの“友情”が胸を打つ青春群像劇。
  • レイトショー(上)
    4.3
    主人公レネイ・バラードは、ハワイ出身(ポリネシアとコーカソイドの混血)の三十代のロス市警女性刑事、独身、ボクサー犬ミックスの大型雌犬をコンパニオン・アニマルにしているなど、従来のコナリー作品には登場してこなかったキャラクター。ただし、警察官としての有能さと使命感は、ボッシュ刑事と共通している。  レネイは、ロス市警のエリート部門である本部強盗殺人課の殺人事件特捜班で殺人事件担当刑事として五年余り勤めていたが、二年まえ、班長に着任したロバート・オリヴァスにセクハラをされ、それを告発したものの、セクハラ現場に居合わせたパートナーのケン・チャステイン(『エンジェルズ・フライト』の最後に暴徒に襲われて死亡したロス市警内務監査課刑事ジョン・チャステインの息子)が保身のため、レネイの告発を裏付ける証言をしなかったせいで、告発は不問に終わり、レネイはハリウッド分署に飛ばされ、分署長がオリヴァスと警察学校の同期だったことから、“深夜番組(レイトショー)”と呼ばれる夜勤担当にさせられた。以来二年、深夜番組をパートナーのジョン・ジェンキンズとともに粛々と勤めているが、事件の本格的捜査は、昼勤担当刑事がおこなうため、やりがいを覚えずにいた。
  • しんがり 山一證券最後の12人
    4.0
    負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。 四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。 その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・ 山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。 社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。 山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。 一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。
  • 訣別(上)
    4.3
    ある日、元ロス市警副本部長で、現在はセキュリティ会社トライデント・セキュリティの重役になっているクライトンに呼び出され、トライデント社の顧客の大企業のオーナーである富豪、ホイットニー・ヴァンス(八十五歳)が、ボッシュを名指しで依頼したいことがあると言っている、と告げられる。依頼内容は、クライトンも知らず、ボッシュにのみヴァンス本人から伝えるとのこと。ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になるかもしれず、そのため、会社側の利益(ひいては自分たちの利益)を優先させる行動に出る重役たちがいることが予想されるため、調査はくれぐれも極秘でおこなってほしい、と念を押される。また、この調査に関する報告は、かならずヴァンス自身にのみおこない、ヴァンス以外の人間から調査への問い合わせは一切しない旨、告げられる。
  • 贖罪の街(上)
    4.1
    ボッシュはDROP(定年延長選択制度)の任期半ばでのロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のミッキー・ハラーを代理人に立て、ロス市警への異議申立ての訴訟をおこなっているが、それ以外は、引退後の念願だった、古いバイクのレストアを老後の楽しみにしようとしていた。 ところがハラーから呼び出され、子飼いの調査員が怪我をして入院しているため、いま抱えている殺人事件弁護の調査員になってくれないか、と頼まれる。
  • 新装版 祇園女御 上
    4.3
    1~2巻968~990円 (税込)
    平安時代末期、後の白河上皇がまだ東宮だったころ、その妃として藤原道子は入内した。年上の道子は気後れするが、大人びた東宮に寵愛される。だが、ずっと年下の新しい妃・賢子が入内すると東宮の寵愛は賢子に移り、東宮が白河帝として即位したころには、道子は里帰りが増えていた。他方、美少女・たまきは殿上人になる野望を抱く平忠盛に引き合わせていた。たまきこそが、後に貴族社会に影響力を持った女人「祇園女御」なのだが。
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい
    3.8
    死刑存続論者の多くは、「死刑制度がある理由は被害者遺族のため」と言う。しかし、著者は問う。「自分の想像など被害者遺族の思いには絶対に及ばない。当事者でもないのに、なぜこれほど居丈高に、また当然のように死刑を求められるのか?」本書は、死刑制度だけでなく、領土問題、戦争責任、レイシズム、9・11以後、原発事故、等々、多岐にわたる事象を扱う。日本に蔓延する「正義」という名の共同幻想を撃つ!
  • 女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN
    3.7
    旅の途中で道に迷ったサエバ・ミチルとウォーカロンのロイディは、高い城壁に囲まれた街に辿りつく。高貴な美しさを持つ女王・デボウ・スホの統治の下、百年の間、完全に閉ざされていたその街で殺人が起きる。時は二一一三年、謎と秘密に満ちた壮大な密室を舞台に生と死の本質に迫る、伝説の百年シリーズ第一作。
  • 迷宮百年の睡魔 LABYRINTH IN ARM OF MORPHEUS
    4.0
    百年の間、外部に様子が伝えられたことのない宮殿より取材許可を得て、伝説の島を訪れたミチルとウォーカロンのロイディ。一夜にして海に囲まれたと言い伝えられる島には、座標システムも機能しない迷宮の街が広がり、かつて会った女性に酷似した女王がいた。あらゆる前提を覆す、至高の百年シリーズ第2作!
  • 燃える部屋(上)
    3.9
    ボッシュはあらたな相棒として、若き新米女性刑事ルシア・ソト(28歳)と組むことになった。ソトはメキシコ系アメリカ人で、四人の武装強盗と対峙して二人を撃ち倒した事件で有名になり(その際、相棒は殉職した)、刑事に昇進し、未解決事件班に配属されたのだった。今回、ふたりが担当するのは、十年まえに銃撃され、体に残った銃弾による後遺症で亡くなったばかりの元マリアッチ・ギタリスト、オルランド・メルセドの事件。
  • ウロボロスの基礎論 上
    5.0
    実在のミステリ作家らを襲う奇妙奇天烈な"うんこ事件"。竹本健治の連載ミステリに混入する眩暈と戦慄の物語。綾辻行人、小野不由美、笠井潔、新保博久、法月綸太郎、麻耶雄嵩、山口雅也が推理合戦を展開、小説ジャックまで強行される。物語中に有名作家が突如原稿を混入し、謎は深まる一方。世界は擾乱され朦朧胡乱の淵に転落した。
  • 罪責の神々 リンカーン弁護士(上)
    4.1
    依頼人アンドレ・ラコースは殺害容疑で逮捕されていた。女性を絞殺し、証拠隠滅をはかって火を放ったのだという。かつての依頼人デイトンが名前を変え、ロスに戻り、娼婦に復帰し、殺されていたとは意外だった。ハラーは、ラコースの弁護を引き受けることにした。事件を独自に調査した結果、ラコースは本人の言うように無実であり、何者かにはめられたのだとハラーは確信する。
  • スピンクの壺
    -
    生きていればそれだけでいいじゃないか。生後四ヵ月で保護されたプードルのスピンクが綴った日記。作家である主人・ポチとの楽しく幸福な時間。大人気シリーズ第3弾!
  • 新装版 天使に見捨てられた夜
    3.8
    AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。女性依頼人が殺害され、自身に危険が及ぶ中、ようやくつかんだリナ出生の秘密が、事件を急展開させる。乱歩賞受賞直後に刊行された圧巻の社会派ミステリー。「ミロシリーズ」第2弾!
  • 流

    4.3
    一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾 に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。選考委員満場一致、「二十年に一度の傑作」(選考委員の北方謙三氏)に言わしめた直木賞受賞作。<解説:ロバート・ハリス>
  • シューメーカーの足音
    4.2
    独特の色気を湛えた商品で人気を博し、ロンドンに店を構える靴職人・斎藤良一。強引に事業拡大を進める彼の元に、不気味な修理依頼が舞い込む。それは幽霊の靴なのか? 十三年前の父の死に不審を抱く若き靴職人の知略が、斎藤のどす黒い野心の前に立ちはだかる。人間の深淵を描く異色ダークミステリー!
  • 誉れ高き勇敢なブルーよ
    4.0
    惨敗したW杯から三年。苦戦する日本代表を立て直すため、新たな監督探しを託された望月は、かつてマスコミのリークで契約に失敗した過去を持つ。サッカー協会、記者、代理人、選手――複雑な思惑が渦巻くなか、タフな交渉を続ける望月だが、妨害の裏には驚くべき黒幕がいた。迫真のスポーツサスペンス! 「W杯の勝敗の裏に、これだけの熾烈な闘いがある。そのドラマにすっかり魅せられた」――セルジオ越後<サッカー解説者>
  • 水底の棘 法医昆虫学捜査官
    4.1
    水死体からも「虫の声」は聞こえるのか!?第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾の荒川河口で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。絞殺後に川に捨てられたものと、解剖医と鑑識は推定。が、赤堀はまったく別の見解を打ち出した。岩楯警部補はじめ、捜査本部は被害者の所持品から、赤堀はウジと微物から、それぞれの捜査が開始された!
  • 赤ヘル1975
    4.3
    一九七五年――昭和五十年。広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
  • 謀略航路
    4.0
    激化するシリア内戦に対して派遣された多国籍和解仲介団。だが、彼らの乗った旅客機は謀略により強制着陸させられ、乗員乗客全員が拘束されてしまう。戦火が迫る中、人質救出に送り込まれた元航空自衛隊員たちは、空前絶後の作戦を決行する――。航空軍事サスペンスの旗手が描く、ありうべき世界の危機。
  • 渡邉恒雄 メディアと権力
    4.5
    人よんでナベツネ。いったいどんな男だ? 「1千万部」の力を背景に首相をも動かし、世論を操ろうとする読売王国の総帥、渡邉恒雄。屈折した少年期、主体性論をひっさげた東大共産党時代、そして粛清を重ねて新聞社社長の座に登りつめるまで。稀代のマキャベリストのすべてを白日の下に曝す決定版評伝の文庫化に際し、玉木正之氏との白熱対談を収録。
  • 星籠の海(上)
    3.8
    瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵は古から栄えた港町・鞆(とも)にあることを見抜く。その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた――。伝説の名探偵が複雑に絡み合った難事件に挑む! 二〇一六年六月四日公開、玉木宏主演映画『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』原作
  • ハードラック
    3.9
    二五歳にもなって日雇い仕事すら失い、「大きなことをするため」闇の掲示板で四人の仲間を募った仁は、軽井沢で起きた放火殺人の汚名を着せられてしまう。なぜ俺を嵌めた? 信じられるのは誰なんだ? 手探りで真犯人を探す仁、闇世界の住人たち、追う刑事。物語は二転三転し、慟哭の真相へと向かっていく。
  • 密室の如き籠るもの
    3.9
    旧家の猪丸(いまり)家に現れた記憶のない謎の女・葦子(よしこ)は、開かずの間だった蔵座敷(くらざしき)で“狐狗狸(こっくり)さん”を始める。だが、そこは当主・岩男(いわお)の前妻たちが死んだ場所だった。刀城言耶(とうじょうげんや)が訪れた日も“狐狗狸さん”が行なわれるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる。表題作他、全4編を収録した“刀城言耶”シリーズ第1短編集。(講談社文庫)
  • ハサミ男
    3.9
    美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作! 【2005年公開映画「ハサミ男」原作】(講談社文庫)
  • 新装版 一絃の琴
    4.1
    直木賞受賞作。土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える(講談社文庫)。
  • 樓岸夢一定 蜂須賀小六
    3.3
    戦国屈指の脇役武将が見た理想と野望――織田信長の能力と残忍性をいち早く見抜き、桶狭間で戦功を上げながらも、臣下として仕えることを拒み続けた蜂須賀小六。やがて、足軽組頭に過ぎぬ秀吉を主人と定め、調略・外交一切を引き受け、ことごとく成功させ、秀吉躍進の最大の功労者となる。嘘偽りなき、まっすぐな生き様を全うした、史上稀なる武将を描く、感動の歴史長編。
  • 足利事件(冤罪を証明した一冊のこの本)
    -
    15年前から冤罪を訴え続けた著者! どうして菅家さんは逮捕され、起訴され、刑務所に入らなければならなかったのか? 克明な取材ですべてが明らかに――2009年6月、日本中が注目するなか、足利事件で無期懲役刑の判決を受けた菅家氏が、17年ぶりに千葉刑務所から釈放された。著者は1994年から「月刊現代」誌上で氏の無実を訴え続け、この本によってすでにそれを証明していた。なぜ足利事件のような悲劇が起きたのか……。綿密な取材で、その裏に潜むものを解き明かし、釈放のきっかけとなった著作。 ◎「足利冤罪事件の本質は、おそらくは自白の強要やDNA鑑定の危うさにあるのではない。問題はむしろ、それらの錯誤を産み出した、ぼくたちひとりひとりが抱える予断や偏見の視線にあるのだ」<東浩紀>
  • ファミリーポートレイト
    3.9
    最初の記憶は五歳のとき。公営住宅の庭を眺めていたあたしにママが言った。「逃げるわよ」。母の名前はマコ、娘の名前はコマコ。老人ばかりが暮らす城塞都市や奇妙な風習の残る温泉街。逃亡生活の中でコマコは言葉を覚え、物語を知った。そして二人はいつまでも一緒だと信じていた。母娘の逃避行、その結末は。(講談社文庫)
  • マン・マシンの昭和伝説(上) 航空機から自動車へ
    -
    1~2巻961円 (税込)
    航空技術者たちが心に期した、技術大国への道。戦前、世界に立ち後れた日本の産業の中で、航空産業は数少ないハイテク産業として、アメリカに対抗していた。その技術者たちが、奇蹟のエンジン誉の開発、高高度戦闘機キ94の設計に明け暮れた苦闘の日々を、当時の関係者に取材してまとめた、傑作ノンフィクション。<上下巻>
  • 誰かがこの町で
    4.5
    江戸川乱歩賞作家が「地域の同調圧力」をテーマに描いた衝撃作。 ゾクゾクが止まらない、読む前には戻れないミステリー! 高級住宅街の恐ろしい秘密。住民たちが隠し続けてきた驚愕の真実とは? 人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。 やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。 外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。 いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追うサスペンス!
  • サンセット・サンライズ
    3.7
    菅田将暉宮藤官九郎で2025年1月、映画化決定!  東北の楽園の神物件で”試し移住”。たくさん笑って、ホロリと泣ける、地方創生爽快エンターテインメント! 3LDK、家賃8万円、家具家電付きの神物件に一目惚れ! 東京の大企業に勤める晋作は、コロナ禍を機に田舎への移住を考える。三陸で見つけたのが、広い、安い、おまけに家具家電付きの神物件。 早速”お試し移住”を始め、大好きな釣り三昧の日々を過ごすが、地元の人々は東京から来たよそ者の登場に気が気でない。 一癖も二癖もある地元民との交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作。そんな中、ある新事業を思いつき……。
  • 滅茶苦茶
    3.9
    いい気味だ…… 予測不能の展開、予想外の読後感。絶叫系転落ミステリー! 映画化決定の話題作『悪い夏』『正体』を超える切迫感! 終わりの見えない転落人生。こんな目にはあいたくない……。 不穏な恋愛にのめり込む、30代キャリアウーマン。不良に堕ちた元クラスメイトに再会した、エリート進学校の高校生。ラブホテルの経営不振に喘ぐ、3人の子持ちの中年男性。 刹那な現代をサバイブしながらも、孤独を胸底に抱える者たちの欲望に駆られた出会いは、彼らをまっさかさまに谷底に突き落とす。 「いい気味」か「かわいそう」か?  彼ら自身が招いた命からがらの転落劇。滅茶苦茶なんだけど最悪じゃない! ―吉田大助(書評家) 予想外の読後感! 転落人生の奇蹟の交錯が閉塞感に風穴を開ける、これぞ染井マジックというべき快作。 ―宇田川拓也(ときわ書房本店)
  • 本が紡いだ五つの奇跡
    4.5
    仕事に行きづまった編集者の津山は、本当に作りたい本を作るため、かつて自分が救われた小説の著者、涼元マサミに新作を依頼する。 そうして生まれた作品が、娘と縁が切れそうだった涼元から、余命宣告された装丁家、心に傷を抱えた書店員、そして自分の時間が止まっていた読者まで、みんなの人生を動かす。 本を愛するすべての人に! 本が生まれて、読者へとつながる「本に関わった五人の奇跡」を描く、感動の物語。
  • ゴースト・ポリス・ストーリー
    4.0
    妹への叶わぬ恋心を抱いたまま、俺はどうやら死んでしまったらしい。 「お兄の仇、私、絶対とるから!」 妹は刑事になり、死んだ俺は内通者の疑いをかけられ、そして「幽霊のセブンルール」に戸惑っていた。 渋谷署の刑事・長島日樹は、同じく警察官の妹・聖奈と二人暮らし。 実は血の繋がらない妹に切ない感情を抱く日樹だったが、その思いを断ち切るべく捜査に明け暮れていた。 ある日、帰宅中の夜道で何者かに襲われた直後、ある人物と出会う。 「あのね、幽霊にもルールがあるの。だいたい7つくらい。『幽霊のセブンルール』ね」 その1、無念が晴れたら成仏する その2、昼間はけっこう疲れる その3、幽霊に生理現象はない その4、好きな場所に移動できる その5、寺と鏡には近づくな(焼肉店も追加予定)。 その6、人間界にも影響を与えることができる(ティッシュペーパーを揺らす程度)。 その7、…………
  • ミッドウェー戦記(上)
    5.0
    当時、日本海軍機動部隊は世界最強の実力を誇っていた。太平洋戦線における稼働隻数、戦闘機の性能、搭乗員の伎倆と多くの点で米軍を凌ぎ、米国側も「勝ち目なし」と悲壮な覚悟を固めていたほどだった。にもかかわらず、なぜ日本は敗れたのか? 今となっては貴重な、将兵たちへの直接取材をもとに著す傑作戦記。
  • 破戒者たち 小説・新銀行崩壊
    4.0
    弱い者いじめに苦しむ中小企業にとって新銀行は救世主になるはずだった。"必殺仕掛人"の金融コンサルティング会社社長の野心に警戒しながら、設立に身を捧げる男たち。だが金融庁対策、資本金調達で困難に見舞われ、当初の理念は地に堕ちていく。経営陣の逮捕まで招いた「許されざる者」たちの罪業を描き切る傑作!
  • 境界 横浜中華街・潜伏捜査
    3.0
    一九八一年、横浜中華街。日本に生まれ中国文化の中で育ち、屈折を抱えながら獅子舞の練習に没頭する三人の少年。日中の軋轢は崩れず、中華街でも中国系と台湾系が争い、外事警察は大物華僑を狙っていた。そして三人はある日失踪する。三一年後、横浜。失踪した少年の一人が刺殺体で発見される。犯人は誰か。あとの二人は。県警捜査一課の若き刑事は、所轄のベテランとコンビを組む。捜査線上に浮かんだのはあの大物華僑だった。
  • 美しき一日の終わり
    4.0
    母親を亡くした8歳の秋雨が美妙の家に引き取られたのは、彼女が15歳の時だった。辛くあたる母から秋雨を庇ううちに姉弟という間柄を超えていくようであったが、その思いをずっと胸に秘めたまま、出会いから五十五年となるその日、美妙は娘夫婦と孫娘が起き出す前に、取り壊しが決まった家へと向かう――。
  • 長宗我部 最後の戦い(上)
    3.5
    一時は四国一円を平定し、全国に武威を轟かせた土佐の戦国大名・長宗我部氏。その強豪が歴史の渦に巻き込まれ消滅した史実を、最後の当主・盛親の生涯から辿る大河小説。一族の骨肉相食む争い、非情な粛清、そして滅亡。歴史小説家・近衛龍春が膨大な史料をもとに奏でる長宗我部氏の鎮魂歌。文庫書下ろし
  • 京都花暦 直参松前八兵衛
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    京都町奉行となった松前八兵衛を待ち受けていたのは、与力による懐柔の罠だった。事なかれの怠惰な役人の背後には幕府の威信を失墜させる陰謀が。不可解な金公事と心中事件を探索するうちに見えてきた真相とは? 北条方の間者を率いて、八兵衛は古都に巣くう深い闇をあぶりだして行く。〈文庫書下ろし〉
  • 修徳記 直参松前八兵衛
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    「雷小僧」綱吉に仕える御側用人の牧野成貞と、江戸町奉行の北条氏平を叔父に持つ旗本の松前八兵衛嘉広は、御目付に抜擢されて、無軌道なご政道と陰湿な策謀を目の当たりに。豪商が幅を利かせる一方で困窮する御家人を憂う八兵衛は、幕政を担う武士たる者として泥沼に飛び込む覚悟をつける。

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