講談社文庫作品一覧

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  • 炎を薙ぐ
    -
    江戸の大川で、若い女性が両手両足を切断、惨殺される「達磨美女」事件が勃発。貧乏浪人の由比三四郎は、妻の依頼で暗殺された花火師の娘・おゆきの用心棒となる。その直後から、彼らの元に難敵が次々と現れる。三四郎は「秘剣・氷柱折り」で、究極の黒幕退治に挑むのだが──。人情と剣戟が交錯する連作長編小説。
  • ひねくれ一茶
    4.4
    江戸の荒奉公で苦労の末、好きな俳諧にうち込み、貧窮の行脚俳人として放浪した修業時代。辛酸の後に柏原に帰り、故郷の大地で独自の句境を確立した晩年。ひねくれと童心の屈折の中から生まれた、わかりやすく自由な、美しい俳句。小林一茶の人間像を、愛着をこめて描き出した傑作長編小説。田辺文学の金字塔。
  • 今出川ルヴォワール
    4.1
    いくら心がすれ違っても、この手だけは絶対に離さない。「ルヴォワール」シリーズ第3弾!京都・大怨寺の僧侶が転落死した。殺人容疑をかけられたのはその場に居合わせた御堂達也。嫌疑を晴らすため、彼の母校、越天学園に向かった瓶賀流。そこで出会ったのは達也の死んだ母親と瓜二つの女性だった。三十年前に起きた悲劇と私的裁判・双龍会が繋がるとき、過去の呪縛から解放されるのは、誰だ。
  • ミッドウェイ
    3.9
    戦争へと突き進む時局に押され、憧れの女性への思慕も個人の夢も捨て去り、戦闘機乗りに身を投じた日米の若者たち。爆撃を受け火だるまになる空母、次々と飛び立つ戦闘機。はからずも同じ女性の影を追っていたとも知らずに、降旗とロバート、それぞれの想いがミッドウェイの空に交錯する……。太平洋戦争の分岐点となった激戦ミッドウェイ海戦に正面から取り組んだ、著者渾身の戦記小説。
  • 畦と銃
    4.3
    “最強の農夫”、“樹上で叫ぶ少女”、“絆で結ばれた牧童たち”が、破壊された農地、山林、牧場を再生すべく蜂起する!!――地図から消えたところで、ミナギの魂は死にはしねえ。怪童・真藤順丈が呼び醒ます、あまりにも力強く、心強い消滅の物語。
  • 匣の中
    3.1
    本格の魔道に沈む驚愕の結末!! 探偵小説愛好家グループの中心人物・伍黄零無(ごおうれいむ)が謎の言葉を残して密室から消失。その後もグループの一員・仁行寺馬美(じんぎょうじまみ)が書くモデル小説どおりに密室殺人が連続する。衒学的(ペダンティック)な装飾と暗号。推理合戦の果てに明かされる、全世界を揺るがす真相とは!? 新本格の聖典『匣(はこ)の中の失楽』に捧げる華麗なるオマージュ。(講談社文庫)
  • 素数とバレーボール
    3.8
    41歳の誕生日。僕らは青春と再会する。 今年でいちばん癒やされ小説、誕生! 「性善説の小説家が探り当てた、ここが一つの到達点だーー吉田大助」 家庭も仕事もまだ諦めたわけじゃない。 それにしても40代。不惑は過ぎても迷いっぱなし。 ーー四十にして惑わずなんて、嘘じゃん。 高校卒業から20数年。 41歳の誕生日を迎えた朝、高校のバレーボール部の仲間「ガンプ君」からメッセージが届く。 「41」という数字の美しさを讃えたあとに「500万ドルのストックオプションをプレゼントする」と書かれた 謎のメッセージは他の部員たちの誕生日にも届いていたものだった。 真偽もガンプ君の消息も不明のまま「不惑」を迎えた元男子高校生たちは、再会を果たす。 仕事もひと段落。家庭も安泰。興奮するような新鮮な出来事なんて、もう簡単には起こらない。 ちょっと人生がつまらなくなってきた男たち。 「そろそろ隠居かな」と言いつつ……実はまだ「男として」人生を諦めきれていなかった。 不倫、やめる? 離婚、する? 恋、する? 出世、できる? 左遷、された? 様々な「不惑」の人生の岐路に立つとき、届いた旧友からのメッセージ。 彼らは何を選択するのか。 優しさには、力がある。
  • NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!
    3.8
    名探偵を自任する女子高生、美智駆(みちかる)アイは突如、推理のための頭が働かなくなる。 そこで助手の取手(とりで)ユウは、”面倒くさい小話をまじえた推理”なんていらなくない?と 推理なしで事件の解決をもくろむが……。日常の謎や旅情ミステリ、果てはエロミスまで! 推理の常道を突き進んだ女子高生探偵・アイと助手・ユウの目には何がうつるのか? 前代未聞の真相に驚愕するメフィスト賞受賞作がついに文庫化! 〈本格推理を極めんとして道を外れた者が堕ちる《魔境》ーー 女子高生探偵シリーズはその攻略に挑んだ前人未踏の裏本格レポートである。〉. (法月綸太郎) 〈ユーモアに隠されていた数々の手がかりを、シャープに解き明かす手際はさすがの一言に尽きる〉  坂嶋竜(文庫版解説より) ※かつてノベルス版として刊行時、本格ミステリ界に激震が起きた。 ・法月綸太郎、微笑―― 第『53』回受賞作はメフィスト賞の『ジョーカー』だよね? ・青柳碧人、感嘆! 歴代すべてのメフィスト賞受賞者と、今後すべてのメフィスト賞受賞者に   贈る傑作(僕、受賞してないけど)。 ・円居挽、憤然! やりたい放題やんけ! 不覚にも面白いと思ってしまったけど……オレもこれやりたかった! ・早坂吝、推薦! 昔のメフィスト賞では出し得なかった「最新」受賞作を見逃すな! ・白井智之、愕然! 196ページ(ノベルス版)を読むまでは舐めてました。本当にごめんなさい。 ※本書は2017年9月に刊行された『NO推理、NO探偵?』(講談社ノベルス)の文庫化に際し、サブタイトルを追加、本文に加筆・修正を加えたものです。
  • さよなら日和
    3.7
    「別れ」は止められないけれど、止まった「想い」は動かせる。 閉園をむかえる遊園地を訪れた人々。 彼らの「さよなら」が繋がったとき、心に染みる奇跡が起こる! 閉園が決まった遊園地・星が丘ハイランドパークの最後の一日。訪れるのは、淡い思いを秘める中学生に、離れて暮らす息子と遊びにきた父親、認知症の妻をかかえた老人と、ワケありな人ばかり。営業終了時間が迫る中、なんの縁もない彼らの人生が交錯するとき、小さな奇跡が巻き起こる! 心温まる傑作群像劇。(単行本『廃園日和』を改題。) ~~~ ようこそ、星が丘ハイランドへ! ~~~ ジェットコースター 少年は淡い思いを胸に、苦手なコースターへ。 ゴーカート 久しぶりに会った息子は大人びていて――。 コーヒーカップ 遠距離恋愛の彼氏は、アタシのことをどう思ってる? ヒーローショー 20年ぶりに1日限定で出演するはめになったけど……。 メリーゴーランド 認知症の妻は、この光景を覚えていてくれるのか。 観覧車 家族のいる人との恋。このままでいいわけない――。
  • ラットトラップ
    4.0
    1969年、ウッドストック・フェスティバル。 音楽の祝祭から、少女が消えた。 私立探偵ジョー・スナイダーは彼女を救えるのか。
  • ホシノカケラ
    4.0
    EXILE/三代目 J SOUL BROTHERSの岩田剛典さん、絶賛!「ただただ、共感」 ライブ動員数日本一を誇るバンド「デラノ」のボーカル・香田起伸は、初めてのソロライブを前にして孤独と葛藤を抱えていた。そんな香田を支えながら、次々に起こる問題を乗り越え、最高のステージを作り上げるために戦い続ける男たち。決して脚光を浴びることのない「裏方」たちの人生と熱い思いを描く。 ライブ空間を作り上げるのは、アーティストだけではない。現場で戦い続けるプロフェッショナルの仕事と、そこにかける思いとは?
  • 時空犯
    3.7
    私立探偵、姫崎智弘の元に、報酬一千万円という破格の依頼が舞い込んだ。依頼主は情報工学の権威、北神伊織博士。なんと依頼日である今日、2018年6月1日は、すでに千回近くも巻き戻されているという。原因を突き止めるため、姫崎を含めたメンバーは、巻き戻しを認識することができるという薬剤を口にする。再び6月1日が訪れた直後、博士が他殺死体で発見された……。
  • わたしが消える
    3.9
    第66回江戸川乱歩賞受賞作! 綾辻行人氏(選考委員)、推薦。 「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」  元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。    途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。     これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。  刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。 残された時間で、自分に何ができるのか。 「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー! 文庫化にあたり、受賞作の前日譚にあたる短編「春の旅」も収録。
  • スイッチ 悪意の実験
    3.7
    夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。彼は「純粋な悪」を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。集まった大学生達のスマホには、自分達とはなんの関わりもなく幸せに暮らしている家族を破滅させるスイッチのアプリがインストールされる。スイッチ押しても押さなくても1ヵ月後に100万円が手に入り、押すメリットはない。「誰も押すわけがない」皆がそう思っていた。しかし……。 第63回メフィスト賞を受賞した思考実験ミステリが文庫化!
  • 悪魔と呼ばれた男
    4.1
    1~2巻968~990円 (税込)
    累計700万部「心霊探偵八雲」完結後、 神永学が送る 新たなヒーローは、 この男だ――! 警視庁特殊犯罪捜査室所属・阿久津。 彼の掌は、悪を摘む。 ☆☆☆ 悪魔が刻む逆さ五芒星は、死の証――。 警視庁に新設された特殊犯罪捜査室。 配属された天海志津香は犯罪心理のスペシャリストとして、 捜査一課のエース・阿久津と、通称〈悪魔〉による連続殺人を追うことに。 続発する猟奇事件の裏側に国政をも揺り動かす巨大な陰謀が……。 一気読み必至の神永マジックに刮目せよ!
  • 草々不一
    4.3
    泣ける。笑える。心がほっこり温まる。 身分としきたりに縛られた暮らしにも、喜怒哀楽、切なくも可笑しい人生の諸相があった。江戸の武家の心を綴る、傑作時代小説短編集。 朝井節、ますますの名調子。 1冊に長編8作分の人生が。 「紛者(まがいもの)」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが武士だが。 「青雲」立身する者とできぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。 「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から3つの約束をさせられて。 「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。 「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。 「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。 「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行く末は。 「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。
  • ピットフォール
    4.1
    消えた女。 友の死。 華やかな成功の陰で、暗い《落とし穴》(ピットフォール)が口を開ける街、大都会ニューヨーク。 二つの謎を追う探偵を待ち受けるのは――。 一九五九年、ニューヨーク。 元刑事で探偵のジョーは、役者志望の女性の行方を捜してほしいと依頼を受ける。 その矢先、衝撃的な知らせが。 黒人の探偵仲間ウィリーが殺されたというのだ。 残忍な手口は、女性ばかりを狙う連続殺人事件と同じだった――。 ハードボイルドの美学が詰まった傑作!〈文庫オリジナル〉 解説 林家正蔵(落語家)
  • スメル男 新装版
    4.5
    岡山から上京して東京の大学に通うぼく・武井武留は、母親を亡くした喪失感のためか、無嗅覚症になっていた。東大で作物の研究をしている親友・六川が、ぼくのために「臭い」の研究もしてくれるが研究所で事故死する。悲嘆にくれていると六川の恋人だったというマリノレイコが現れ、六川からぼく宛の荷物だと言ってシャーレを持ってきてくれる。マリノレイコによるとチーズの匂いがするというシャーベット状の中身に触ったときからぼくの身に異変が起こり始める。最初は犬が騒ぎ出し、次にはぼくの臭いを嗅いだ人がみんな嘔吐。住んでいるマンションに警察が調べに来たり、ついには東京都内を巻き込む異臭騒ぎにまでなってしまう。解決の糸口が見つからないまま、こんどは謎の組織に狙われることになり、なぜか味方になってくれた天才少年たちやマリノレイコといっしょの逃亡劇に!
  • 汚名(上)
    4.2
    SFPD(サンフェルナンド市警)の予備刑事(reserve officer)として、自発的に未解決事件捜査にあたっているハリー・ボッシュのもとを、昔のパートナーだったロス市警本部強盗殺人課未解決事件班刑事のルシア・ソトが現在パートナーを組んでいるボブ・タプスコットとロス検事局のアレックス・ケネディ検事補とともに訪れ、ボッシュが三十年ほど前に逮捕し、現在も死刑囚として服役中の連続殺人犯プレストン・ボーダーズに関して、あらたな証拠が出たとして、再審がひらかれる見込みだと聞かされる。残された証拠を調べ直したところ、すでに死亡している別の死刑囚ルーカス・ジョン・オルマー(連続婦女暴行殺人犯)のDNAが被害者の着衣に精液の形で付着していたことが科学的に立証されたという。事件発生当時、DNAは、犯罪捜査の証拠として認められていなかった。証拠保管庫に収められた被害者の着衣の入っている当該事件の証拠保管箱をソトとタプスコットが開封する様子は、ビデオに録画されており、そこに問題はまるで無いように思えた。  ボーダーズの弁護士ランス・クローニンの主張は、被害者の着衣に別人のDNAが付着している以上、ボーダーズ逮捕の決定的な物証(ボーダーズの住居で見つかった被害者のペンダント)は、事件担当の捜査官(ボッシュと彼のパートナー)が仕込んだものだ、というものだった。ロス市警と喧嘩別れしたいきさつから、ロス市警と検事局のボッシュに対する心証はことのほか悪く、証拠を捏造した悪徳警官としてボッシュに責任をかぶせようという気が満々だった。おのれの信用が地に落とされる危機に際し、リンカーン弁護士ミッキー・ハラーにボッシュは相談し、ミッキーの導師であるリーガル・シーゲルの智慧を借りることになる。  一方、サンフェルナンド市警の管轄で、薬局を経営する父親と息子が薬局内で銃殺されるという事件が発生し、小規模共同体の警察としては、手が足りず、ボッシュも捜査に狩りだされる。捜査を進めるなかで、この事件が、薬局を舞台にしたオキシコドン(半合成麻薬)不正請求にまつわるものであることが判明する。すなわち、身内に引き込んだ医師に鎮痛剤でもあるオキシコドンの処方箋を書かせ、患者を装った出し子たちに薬局で大量に入手させ(料金は医療保険Medicareでカバーされる)、それを売りさばいて大金をせしめている犯罪者集団がいた。薬局の父親は、永年その片棒を担がされていたのだが、息子がその不正に気づき、手を引こうとして、犯罪者集団に処刑されたのだった。犯罪者集団のアジトを突き止め、親玉を逮捕する証拠を手に入れるため、ボッシュは、潜入捜査に赴く。
  • バイバイ・バディ
    3.8
    謎の男たちに追われる、大学生の三咲。 あやうく捕まりかけたところを、ミツルという名の変人に救われる。 三咲は、ミツルがたった一人の「友達」であった海斗と交わした約束を守るために、かつての同級生である成瀬を止めようとしていることを知るが――。 それぞれの切ないまでの“友情”が胸を打つ青春群像劇。
  • レイトショー(上)
    4.3
    主人公レネイ・バラードは、ハワイ出身(ポリネシアとコーカソイドの混血)の三十代のロス市警女性刑事、独身、ボクサー犬ミックスの大型雌犬をコンパニオン・アニマルにしているなど、従来のコナリー作品には登場してこなかったキャラクター。ただし、警察官としての有能さと使命感は、ボッシュ刑事と共通している。  レネイは、ロス市警のエリート部門である本部強盗殺人課の殺人事件特捜班で殺人事件担当刑事として五年余り勤めていたが、二年まえ、班長に着任したロバート・オリヴァスにセクハラをされ、それを告発したものの、セクハラ現場に居合わせたパートナーのケン・チャステイン(『エンジェルズ・フライト』の最後に暴徒に襲われて死亡したロス市警内務監査課刑事ジョン・チャステインの息子)が保身のため、レネイの告発を裏付ける証言をしなかったせいで、告発は不問に終わり、レネイはハリウッド分署に飛ばされ、分署長がオリヴァスと警察学校の同期だったことから、“深夜番組(レイトショー)”と呼ばれる夜勤担当にさせられた。以来二年、深夜番組をパートナーのジョン・ジェンキンズとともに粛々と勤めているが、事件の本格的捜査は、昼勤担当刑事がおこなうため、やりがいを覚えずにいた。
  • しんがり 山一證券最後の12人
    4.0
    負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。 四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。 その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・ 山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。 社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。 山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。 一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。
  • 訣別(上)
    4.3
    ある日、元ロス市警副本部長で、現在はセキュリティ会社トライデント・セキュリティの重役になっているクライトンに呼び出され、トライデント社の顧客の大企業のオーナーである富豪、ホイットニー・ヴァンス(八十五歳)が、ボッシュを名指しで依頼したいことがあると言っている、と告げられる。依頼内容は、クライトンも知らず、ボッシュにのみヴァンス本人から伝えるとのこと。ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になるかもしれず、そのため、会社側の利益(ひいては自分たちの利益)を優先させる行動に出る重役たちがいることが予想されるため、調査はくれぐれも極秘でおこなってほしい、と念を押される。また、この調査に関する報告は、かならずヴァンス自身にのみおこない、ヴァンス以外の人間から調査への問い合わせは一切しない旨、告げられる。
  • 贖罪の街(上)
    4.1
    ボッシュはDROP(定年延長選択制度)の任期半ばでのロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のミッキー・ハラーを代理人に立て、ロス市警への異議申立ての訴訟をおこなっているが、それ以外は、引退後の念願だった、古いバイクのレストアを老後の楽しみにしようとしていた。 ところがハラーから呼び出され、子飼いの調査員が怪我をして入院しているため、いま抱えている殺人事件弁護の調査員になってくれないか、と頼まれる。
  • 新装版 祇園女御 上
    4.3
    1~2巻968~990円 (税込)
    平安時代末期、後の白河上皇がまだ東宮だったころ、その妃として藤原道子は入内した。年上の道子は気後れするが、大人びた東宮に寵愛される。だが、ずっと年下の新しい妃・賢子が入内すると東宮の寵愛は賢子に移り、東宮が白河帝として即位したころには、道子は里帰りが増えていた。他方、美少女・たまきは殿上人になる野望を抱く平忠盛に引き合わせていた。たまきこそが、後に貴族社会に影響力を持った女人「祇園女御」なのだが。
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい
    3.8
    死刑存続論者の多くは、「死刑制度がある理由は被害者遺族のため」と言う。しかし、著者は問う。「自分の想像など被害者遺族の思いには絶対に及ばない。当事者でもないのに、なぜこれほど居丈高に、また当然のように死刑を求められるのか?」本書は、死刑制度だけでなく、領土問題、戦争責任、レイシズム、9・11以後、原発事故、等々、多岐にわたる事象を扱う。日本に蔓延する「正義」という名の共同幻想を撃つ!
  • 女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN
    3.7
    旅の途中で道に迷ったサエバ・ミチルとウォーカロンのロイディは、高い城壁に囲まれた街に辿りつく。高貴な美しさを持つ女王・デボウ・スホの統治の下、百年の間、完全に閉ざされていたその街で殺人が起きる。時は二一一三年、謎と秘密に満ちた壮大な密室を舞台に生と死の本質に迫る、伝説の百年シリーズ第一作。
  • 迷宮百年の睡魔 LABYRINTH IN ARM OF MORPHEUS
    4.0
    百年の間、外部に様子が伝えられたことのない宮殿より取材許可を得て、伝説の島を訪れたミチルとウォーカロンのロイディ。一夜にして海に囲まれたと言い伝えられる島には、座標システムも機能しない迷宮の街が広がり、かつて会った女性に酷似した女王がいた。あらゆる前提を覆す、至高の百年シリーズ第2作!
  • 燃える部屋(上)
    3.9
    ボッシュはあらたな相棒として、若き新米女性刑事ルシア・ソト(28歳)と組むことになった。ソトはメキシコ系アメリカ人で、四人の武装強盗と対峙して二人を撃ち倒した事件で有名になり(その際、相棒は殉職した)、刑事に昇進し、未解決事件班に配属されたのだった。今回、ふたりが担当するのは、十年まえに銃撃され、体に残った銃弾による後遺症で亡くなったばかりの元マリアッチ・ギタリスト、オルランド・メルセドの事件。
  • ウロボロスの基礎論 上
    5.0
    実在のミステリ作家らを襲う奇妙奇天烈な"うんこ事件"。竹本健治の連載ミステリに混入する眩暈と戦慄の物語。綾辻行人、小野不由美、笠井潔、新保博久、法月綸太郎、麻耶雄嵩、山口雅也が推理合戦を展開、小説ジャックまで強行される。物語中に有名作家が突如原稿を混入し、謎は深まる一方。世界は擾乱され朦朧胡乱の淵に転落した。
  • 罪責の神々 リンカーン弁護士(上)
    4.1
    依頼人アンドレ・ラコースは殺害容疑で逮捕されていた。女性を絞殺し、証拠隠滅をはかって火を放ったのだという。かつての依頼人デイトンが名前を変え、ロスに戻り、娼婦に復帰し、殺されていたとは意外だった。ハラーは、ラコースの弁護を引き受けることにした。事件を独自に調査した結果、ラコースは本人の言うように無実であり、何者かにはめられたのだとハラーは確信する。
  • スピンクの壺
    -
    生きていればそれだけでいいじゃないか。生後四ヵ月で保護されたプードルのスピンクが綴った日記。作家である主人・ポチとの楽しく幸福な時間。大人気シリーズ第3弾!
  • 新装版 天使に見捨てられた夜
    3.8
    AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。女性依頼人が殺害され、自身に危険が及ぶ中、ようやくつかんだリナ出生の秘密が、事件を急展開させる。乱歩賞受賞直後に刊行された圧巻の社会派ミステリー。「ミロシリーズ」第2弾!
  • 流

    4.3
    一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾 に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。選考委員満場一致、「二十年に一度の傑作」(選考委員の北方謙三氏)に言わしめた直木賞受賞作。<解説:ロバート・ハリス>
  • シューメーカーの足音
    4.2
    独特の色気を湛えた商品で人気を博し、ロンドンに店を構える靴職人・斎藤良一。強引に事業拡大を進める彼の元に、不気味な修理依頼が舞い込む。それは幽霊の靴なのか? 十三年前の父の死に不審を抱く若き靴職人の知略が、斎藤のどす黒い野心の前に立ちはだかる。人間の深淵を描く異色ダークミステリー!
  • 誉れ高き勇敢なブルーよ
    4.0
    惨敗したW杯から三年。苦戦する日本代表を立て直すため、新たな監督探しを託された望月は、かつてマスコミのリークで契約に失敗した過去を持つ。サッカー協会、記者、代理人、選手――複雑な思惑が渦巻くなか、タフな交渉を続ける望月だが、妨害の裏には驚くべき黒幕がいた。迫真のスポーツサスペンス! 「W杯の勝敗の裏に、これだけの熾烈な闘いがある。そのドラマにすっかり魅せられた」――セルジオ越後<サッカー解説者>
  • 水底の棘 法医昆虫学捜査官
    4.1
    水死体からも「虫の声」は聞こえるのか!?第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾の荒川河口で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。絞殺後に川に捨てられたものと、解剖医と鑑識は推定。が、赤堀はまったく別の見解を打ち出した。岩楯警部補はじめ、捜査本部は被害者の所持品から、赤堀はウジと微物から、それぞれの捜査が開始された!
  • レジェンド歴史時代小説 列藩騒動録(上)
    -
    江戸時代の初期から、各藩で発生したさまざまな「お家騒動」。原因となったのは、金銭をめぐる対立や父子の不和、家臣による派閥争いなど、現代に通じるものばかりだった。島津、伊達、黒田、加賀、秋田、越前といった各騒動の真相を、説得力あふれる筆致で描き出す。武士の本質に迫る、海音寺史伝文学の真骨頂。
  • 赤ヘル1975
    4.2
    一九七五年――昭和五十年。広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
  • 謀略航路
    4.0
    激化するシリア内戦に対して派遣された多国籍和解仲介団。だが、彼らの乗った旅客機は謀略により強制着陸させられ、乗員乗客全員が拘束されてしまう。戦火が迫る中、人質救出に送り込まれた元航空自衛隊員たちは、空前絶後の作戦を決行する――。航空軍事サスペンスの旗手が描く、ありうべき世界の危機。
  • 渡邉恒雄 メディアと権力
    4.5
    人よんでナベツネ。いったいどんな男だ? 「1千万部」の力を背景に首相をも動かし、世論を操ろうとする読売王国の総帥、渡邉恒雄。屈折した少年期、主体性論をひっさげた東大共産党時代、そして粛清を重ねて新聞社社長の座に登りつめるまで。稀代のマキャベリストのすべてを白日の下に曝す決定版評伝の文庫化に際し、玉木正之氏との白熱対談を収録。
  • 星籠の海(上)
    3.8
    瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵は古から栄えた港町・鞆(とも)にあることを見抜く。その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた――。伝説の名探偵が複雑に絡み合った難事件に挑む! 二〇一六年六月四日公開、玉木宏主演映画『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』原作
  • レジェンド歴史時代小説 琉球の風 上
    3.0
    中国・明からの使節を迎え沸き立つ17世紀初頭の沖縄・琉球王国。だが、この国の平和は幕府を後ろ盾にした薩摩によって侵されつつあった。侵攻に膝を屈するか? 独立をかけて抵抗するか? そして宗主国・明は助けてくれるのか? 生き残りを賭けて琉球の闘いが始まる。
  • ハードラック
    3.9
    二五歳にもなって日雇い仕事すら失い、「大きなことをするため」闇の掲示板で四人の仲間を募った仁は、軽井沢で起きた放火殺人の汚名を着せられてしまう。なぜ俺を嵌めた? 信じられるのは誰なんだ? 手探りで真犯人を探す仁、闇世界の住人たち、追う刑事。物語は二転三転し、慟哭の真相へと向かっていく。
  • 密室の如き籠るもの
    3.9
    旧家の猪丸(いまり)家に現れた記憶のない謎の女・葦子(よしこ)は、開かずの間だった蔵座敷(くらざしき)で“狐狗狸(こっくり)さん”を始める。だが、そこは当主・岩男(いわお)の前妻たちが死んだ場所だった。刀城言耶(とうじょうげんや)が訪れた日も“狐狗狸さん”が行なわれるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる。表題作他、全4編を収録した“刀城言耶”シリーズ第1短編集。(講談社文庫)
  • ハサミ男
    3.8
    美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作! 【2005年公開映画「ハサミ男」原作】(講談社文庫)
  • 新装版 一絃の琴
    4.1
    直木賞受賞作。土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える(講談社文庫)。
  • 樓岸夢一定 蜂須賀小六
    3.3
    戦国屈指の脇役武将が見た理想と野望――織田信長の能力と残忍性をいち早く見抜き、桶狭間で戦功を上げながらも、臣下として仕えることを拒み続けた蜂須賀小六。やがて、足軽組頭に過ぎぬ秀吉を主人と定め、調略・外交一切を引き受け、ことごとく成功させ、秀吉躍進の最大の功労者となる。嘘偽りなき、まっすぐな生き様を全うした、史上稀なる武将を描く、感動の歴史長編。
  • 足利事件(冤罪を証明した一冊のこの本)
    -
    15年前から冤罪を訴え続けた著者! どうして菅家さんは逮捕され、起訴され、刑務所に入らなければならなかったのか? 克明な取材ですべてが明らかに――2009年6月、日本中が注目するなか、足利事件で無期懲役刑の判決を受けた菅家氏が、17年ぶりに千葉刑務所から釈放された。著者は1994年から「月刊現代」誌上で氏の無実を訴え続け、この本によってすでにそれを証明していた。なぜ足利事件のような悲劇が起きたのか……。綿密な取材で、その裏に潜むものを解き明かし、釈放のきっかけとなった著作。 ◎「足利冤罪事件の本質は、おそらくは自白の強要やDNA鑑定の危うさにあるのではない。問題はむしろ、それらの錯誤を産み出した、ぼくたちひとりひとりが抱える予断や偏見の視線にあるのだ」<東浩紀>
  • ファミリーポートレイト
    3.9
    最初の記憶は五歳のとき。公営住宅の庭を眺めていたあたしにママが言った。「逃げるわよ」。母の名前はマコ、娘の名前はコマコ。老人ばかりが暮らす城塞都市や奇妙な風習の残る温泉街。逃亡生活の中でコマコは言葉を覚え、物語を知った。そして二人はいつまでも一緒だと信じていた。母娘の逃避行、その結末は。(講談社文庫)
  • 亡国のイージス【上下合本版】
    値引きあり
    5.0
    在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀に巻き込まれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞、大藪春彦賞、日本冒険小説協会賞の三賞を受賞し福井晴敏の名を世に知らしめたベストセラー大作。
  • 古典落語(選)
    値引きあり
    3.0
    学術文庫の好評ロングセラー『古典落語』正編、続編に続く第三巻。大衆に支えられ、名人たちによって磨きぬかれてきた落語。古典といわれる噺の数々は、人情の機微、人生のひとこまを笑いの中にとらえ、庶民の姿を描き出す、言葉の文化遺産といえるだろう。明治・大正・昭和期の速記本をもとに、20篇を完全再現収録。(講談社学術文庫)
  • 誰かがこの町で
    NEW
    5.0
    江戸川乱歩賞作家が「地域の同調圧力」をテーマに描いた衝撃作。 ゾクゾクが止まらない、読む前には戻れないミステリー! 高級住宅街の恐ろしい秘密。住民たちが隠し続けてきた驚愕の真実とは? 人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。 やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。 外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。 いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追うサスペンス!
  • サンセット・サンライズ
    3.5
    菅田将暉宮藤官九郎で2025年1月、映画化決定!  東北の楽園の神物件で”試し移住”。たくさん笑って、ホロリと泣ける、地方創生爽快エンターテインメント! 3LDK、家賃8万円、家具家電付きの神物件に一目惚れ! 東京の大企業に勤める晋作は、コロナ禍を機に田舎への移住を考える。三陸で見つけたのが、広い、安い、おまけに家具家電付きの神物件。 早速”お試し移住”を始め、大好きな釣り三昧の日々を過ごすが、地元の人々は東京から来たよそ者の登場に気が気でない。 一癖も二癖もある地元民との交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作。そんな中、ある新事業を思いつき……。
  • 滅茶苦茶
    4.0
    いい気味だ…… 予測不能の展開、予想外の読後感。絶叫系転落ミステリー! 映画化決定の話題作『悪い夏』『正体』を超える切迫感! 終わりの見えない転落人生。こんな目にはあいたくない……。 不穏な恋愛にのめり込む、30代キャリアウーマン。不良に堕ちた元クラスメイトに再会した、エリート進学校の高校生。ラブホテルの経営不振に喘ぐ、3人の子持ちの中年男性。 刹那な現代をサバイブしながらも、孤独を胸底に抱える者たちの欲望に駆られた出会いは、彼らをまっさかさまに谷底に突き落とす。 「いい気味」か「かわいそう」か?  彼ら自身が招いた命からがらの転落劇。滅茶苦茶なんだけど最悪じゃない! ―吉田大助(書評家) 予想外の読後感! 転落人生の奇蹟の交錯が閉塞感に風穴を開ける、これぞ染井マジックというべき快作。 ―宇田川拓也(ときわ書房本店)
  • 本が紡いだ五つの奇跡
    4.5
    仕事に行きづまった編集者の津山は、本当に作りたい本を作るため、かつて自分が救われた小説の著者、涼元マサミに新作を依頼する。 そうして生まれた作品が、娘と縁が切れそうだった涼元から、余命宣告された装丁家、心に傷を抱えた書店員、そして自分の時間が止まっていた読者まで、みんなの人生を動かす。 本を愛するすべての人に! 本が生まれて、読者へとつながる「本に関わった五人の奇跡」を描く、感動の物語。
  • ゴースト・ポリス・ストーリー
    4.0
    妹への叶わぬ恋心を抱いたまま、俺はどうやら死んでしまったらしい。 「お兄の仇、私、絶対とるから!」 妹は刑事になり、死んだ俺は内通者の疑いをかけられ、そして「幽霊のセブンルール」に戸惑っていた。 渋谷署の刑事・長島日樹は、同じく警察官の妹・聖奈と二人暮らし。 実は血の繋がらない妹に切ない感情を抱く日樹だったが、その思いを断ち切るべく捜査に明け暮れていた。 ある日、帰宅中の夜道で何者かに襲われた直後、ある人物と出会う。 「あのね、幽霊にもルールがあるの。だいたい7つくらい。『幽霊のセブンルール』ね」 その1、無念が晴れたら成仏する その2、昼間はけっこう疲れる その3、幽霊に生理現象はない その4、好きな場所に移動できる その5、寺と鏡には近づくな(焼肉店も追加予定)。 その6、人間界にも影響を与えることができる(ティッシュペーパーを揺らす程度)。 その7、…………
  • 破戒者たち 小説・新銀行崩壊
    4.0
    弱い者いじめに苦しむ中小企業にとって新銀行は救世主になるはずだった。"必殺仕掛人"の金融コンサルティング会社社長の野心に警戒しながら、設立に身を捧げる男たち。だが金融庁対策、資本金調達で困難に見舞われ、当初の理念は地に堕ちていく。経営陣の逮捕まで招いた「許されざる者」たちの罪業を描き切る傑作!
  • 境界 横浜中華街・潜伏捜査
    3.0
    一九八一年、横浜中華街。日本に生まれ中国文化の中で育ち、屈折を抱えながら獅子舞の練習に没頭する三人の少年。日中の軋轢は崩れず、中華街でも中国系と台湾系が争い、外事警察は大物華僑を狙っていた。そして三人はある日失踪する。三一年後、横浜。失踪した少年の一人が刺殺体で発見される。犯人は誰か。あとの二人は。県警捜査一課の若き刑事は、所轄のベテランとコンビを組む。捜査線上に浮かんだのはあの大物華僑だった。
  • 恋愛小説
    3.5
    23歳の美緒には、大好きな彼の健太郎がいる。かっこよくて、優しくて、結婚するんだろうな、と思っている彼が。――しかし、ついサスケと寝てしまった。健太郎と一緒にいるのが絶対に幸せだし、なにより健太郎のことを美緒は好きなのだ。それでも、サスケのことも好き――そんな身勝手な美緒とサスケの恋は、次第に様相が変わる。あるひとりの女の、身勝手で未熟で生々しくも鮮やかな、恋愛大河叙事小説。
  • ウエストサイドソウル 西方之魂
    -
    父子家庭に育った十七歳のピカイチは登校拒否中。ある日、古本屋で同級生の日向淑子と出会ったことから、彼の人生は大きくうねりだしていく。ほとばしる音楽への熱情、日向淑子から始まり年上の女性とも交わす性体験、そして実母との邂逅――。屈折した少年が大人へ成長する姿を描ききった傑作青春小説!
  • 鉄の骨
    4.4
    中堅ゼネコン一松組の若手、富島平太が異動した先は、「談合課」と揶揄される、大口公共事業の受注部署だった。今度の地下鉄工事を取らないと、ウチが傾くぞ――たしかな技術力を武器に、真正面から入札に挑もうとする一松組の前に、「談合」の壁が立ちはだかる。組織に殉じるか、正義を信じるか。吉川英治新人賞に輝いた白熱の人間ドラマ!(講談社文庫)
  • カシオペアの丘で 上下合本版
    値引きあり
    -
    丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった--。肺の悪性腫瘍を告知された三十九歳の秋、俊介は二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再会と贖罪の物語が、静かに始まる。苦しみ、傷つき、やがて輝く星になる。壮大な命の物語。上下合本版。
  • 深紅
    3.7
    父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが――。 高橋克彦氏激賞! これは奇跡的傑作である。犯罪被害者の深き闇を描く衝撃のミステリー。吉川英治文学新人賞受賞作。
  • 金庫番の娘
    3.3
    わたしがあなたを総理にしてあげる! 国のため、社会のため、企業のため、個人が人知れず犠牲を強いられるなんて絶対に許せない! 永田町のドン、総裁選、司法取引―― 私物化された権力の横暴を前に、新米女性政治家秘書が風穴を開ける! 一気読み必至! 元新聞記者がこの「どうしようもない」現実に全力で投げ込む、骨太政治エンターテインメント! ベテラン衆議院議員・久富隆一の秘書を父に持つ藤木花織は、十年近く働いた一流商社を辞め、久富事務所に転職。慣れない業務に慌ただしい毎日を送る中、突然久富から呼び出され、父と一緒に財務秘書――<金庫番>になるよう打診される。 実は政治が好きでもなければ、興味もなかった花織。なぜ彼女がこの世界に飛び込んだのか。そこには誰にも明かせぬ「秘密」があった――。
  • 空貝 村上水軍の神姫
    4.0
    伝説的女武将・鶴姫は、巫女であり総司令官であった。村上水軍を率いて西国最強の水軍を迎え撃つ──数奇な運命を描く長編歴史小説! 1541年6月、西の大国・大内氏の水軍が大三島(おおみしま)に大挙襲来する。迎え撃つ三島(さんとう)村上水軍の奇襲作戦は失敗し、総司令官である陣代の大祝(おおほうり)安房が戦死。実はそれは、安房の若き軍師・越智(おち)安成による大祝家への復讐の始まりだった。大祝鶴姫は平和な今治で巫女として神事に専念していたが、最愛の兄・安房戦死の報に接し、「大内を打倒し仇を討つまでは女を捨て、男として生きる」と宣言する。陣代となった鶴姫は安成と激しく衝突しながらもその献策を採用。鶴姫の天賦の軍才と安成の奇策によって勝利を収める。安成はなおも鶴姫謀殺と三島水軍の壊滅を企むが、鶴姫から危地に陥った己の命を逆に救われるのだった……。
  • 希望のステージ
    3.4
    ある医療事故をきっかけに都心の大病院を飛び出した女医・菜々子は、兄が経営する東京近郊の個人病院で働き始める。それから間もなく、中学時代の同級生に誘われ地元の市民会館で、ステージに立つ出演者たちの医療サポートを請け負うことになってしまう……。 ――命を削ってでも市民会館の舞台に立とうとする患者たちは、末期癌であったり、白血病であったり、歩行困難者であったりとさまざま。現役の医者が身近な設定で、現代の超高齢社会と高度医療のありようを直視する連作短編集。
  • すぐ死ぬんだから
    4.1
    終活なんて一切しない。それより今を楽しまなきゃ。 78歳の忍ハナは、60代まではまったく身の回りをかまわなかった。だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、問題は息子の嫁である。自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。それだけが不満の幸せな老後だ。ところが夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる――。 「定年」小説『終わった人』に続いて30万部超の大ベストセラーとなった人生100年時代の痛快「終活」小説! <読者からの声> 2年前に手術を受け、以後は家の中での生活です。何事にも意欲が失せ『すぐ死ぬんだから』状態でしたが、この本に出会って100歳までの人生を考えています。(70代・男性) 『終わった人』も面白かったですが、こちらも一気に読んでしまいました。毒舌が心地よかったです。(50代・女性) 1ページ目から痛快で息も継げませんでした。(70代・女性) もうすぐ定年ですが、新しい人生への希望と勇気をいただきました。(60代・男性) つい最近80代になりもう物欲はなしにしようと思っていましたが、本書でますます元気になり明日もショッピングに行こうと考えています。(80代・女性) ものの見方に光がさしたように感じます。くすんでいる私のはげみになりました。(50代・女性) 重ねた歳は戻せない。でも見た目は変えられる。今日から自分磨きをしよう。(60代・女性) こんなに楽しい本は久し振りです。(70代・女性) 身につまされるが文句なく面白い!(70代・男性)
  • あめつちのうた
    4.2
    土と向き合う。雨を信じる。 そうして、日本最高のグラウンドが生まれる。 甲子園の神整備、「阪神園芸」が小説に! 絶望的な運動神経の持ち主・雨宮大地は、自分とは正反対の弟や頑なな父への鬱屈を抱え、甲子園のグラウンド整備を請け負う阪神園芸へと入社する。ところが、持ち前のセンスのなさから、仕事は失敗続き。広いグラウンドのなかで、たったひとりうろたえる自分は、本当に一人前のグラウンドキーパーになれるのか?同性愛者であることを周囲に隠す親友・一志や、重い病気を患いながら歌手を目指すビールの売り子・真夏、ケガでプロへの道を断念した、同僚の長谷。大地は同じく「選べなかった」運命に思い悩む仲間たちと関わり合いながら、自らの弱い心を掘り起こすように土へ向き合っていく。 タイガースファン、高校野球ファンのみならず、 すべてのスポーツファンに捧げる、唯一無二のグラウンド整備お仕事小説!  今日も彼らは、地味に地道に、あのグラウンドを守り続けている。
  • いのちがけ 加賀百万石の礎
    4.2
    前田利家の忠臣・村井長頼が命を懸けて貫いた武士の本分。 加賀藩の祖・前田利家が流浪した若きころから大名になった後まで付き従った、股肱の臣・村井長頼。桶狭間、長篠、賤ヶ岳、……名だたる戦場を駆け抜け、利家の危難を幾度も救う。主君の肩越しに見た、信長、秀吉、家康ら天下人の姿。命懸けでで忠義を貫き通し、百万石の礎を築いた男を端正な文体で魅せる傑作。 『高瀬庄左衛門御留書』で話題の著者、鮮烈デビュー作!
  • 一緒にお墓に入ろう
    3.7
    「一緒にお墓に入ろう」 そう誓って二人は結婚したはずなのに――? 「終活」をめぐって繰り広げられる、夫・妻・愛人の人間ドラマ!
  • 白い衝動
    4.0
    小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。「悪はある。悪としか呼びようのないものが」殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。
  • 起業の星
    4.0
    大手不動産会社で専務に命じられ五十人の首を切ったあげく、自らも解雇された田中辰夫。四十九歳の失業者に再就職の道は厳しい。息子の雅人は就職したシステム会社にさっさと見切りをつけ、同級生の相棒とネットで起業をめざしていた。遊んでいるようにしか見えなかった息子も、世間の荒波と格闘していたのか。それを知った父も、大手にはできない新たな不動産サービスを見いだそうとしていた。父と子の再建物語。TBS日曜劇場「集団左遷!!」原作で話題の江波戸哲夫のリストラ再建小説!(『起業の砦』改題)
  • 化け札
    3.0
    騙して、化けて、また、騙す。戦国の「化け札」=ジョーカー、真田昌幸。武田家滅亡後、織田、北条、上杉という大大名に囲まれながら、策謀をめぐらし、裏切りを繰り返して、天下をうかがう。昌幸の前に立ちはだかるのは、名将徳川家康と大軍勢。あまりに巨大な敵に、どう立ち向かうのか。生き残ることはできるのか。『誉れの赤』で新風を吹き込み、『決戦!関ヶ原』で名を上げた作者が、戦国随一の策士を描く書き下ろし長編。
  • 米朝ばなし 上方落語地図
    4.0
    親しまれ続けた落語の主人公ゆかりの場所100箇所あまりを、上方諸地に訪ね、その数々を名文で語った、笑いの巡礼記ーー。古典落語の世界は、庶民がその人生の哀歓を生きた社会である。横町のきいやんや大家の娘(とう)さんの姿を、「三十石船」のくだった淀川、「野崎参り」の道筋からすくい出し、彼らの息吹きをよみがえらせる。軽妙な語り口で紡がれ、かえらぬ上方のいにしえが見事に活写される、「もうひとつの落語」がここにある。稀代の名人・桂米朝の昔語りがたっぷり。落語が好きでたまらない人にも、探訪記やエッセイを愛する人にも、かけがえのない一冊!
  • 恋と禁忌の述語論理
    3.8
    雪山の洋館での殺人。犯人は双子のどちらか。なのにいずれが犯人でも矛盾。この不可解な事件を奇蹟の実在を信じる探偵・上苙丞(うえおろじょう)が見事解決ーーと思いきや、癒やし系天才美人学者の硯(すずり)さんは、その推理を「数理論理学」による検証でひっくり返す!! 他にも個性豊かな名探偵たちが続々登場。名探偵を脅かす推理の検証者、誕生! 大ヒットミステリー『その可能性はすでに考えた』はここから始まった!?
  • 涙香迷宮
    3.6
    明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰! いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。
  • 蓬莱 新装版
    3.9
    面白い。文句なく、面白い。大沢在昌氏絶賛!今野敏警察小説の見事な源流!この中に「日本」が封印されている。ゲーム「蓬莱(ほうらい)」の発売中止を迫る不可解な恫喝。なぜ圧力がかかるのか、ゲームに何らかの秘密が隠されているのか!? 混乱の中、製作スタッフが変死する。だが事件に関わる人々と安積警部補は謎と苦闘し続ける。今野敏警察小説の原型となった不朽の傑作、新装版。
  • 明日の色
    -
    きっといいことあるんだよ、絶対に。スカイツリーの町で生まれ育った吾郎。低額宿泊所の所長だったが、社長と喧嘩してクビ。バツイチで、可愛い息子にはほとんど会えず、元妻は再婚するという……。多難な毎日だけど元ホームレスの青年・魁多に絵の才能を感じて、ギャラリストになろうと決意した。めげない男の奮闘が痛快・爽快な下町人情物語!
  • 信長の二十四時間
    3.5
    すべての人間が信長を恐れ,同様に信長を討つ機会をうかがっていた。いままで想像し得なかった「本能寺の変」を克明に描く問題作。天下統一を間近に織田信長は、平定後の未来図を描いていた。それは絶対的な専制君主となることで、そのためには、功臣たちを誅するのではと恐れられていた。疑心暗鬼になる明智光秀、豊臣秀吉ら武将たちや信長に虐殺され復讐の念を抱く伊賀者の残党。誰もが信長を亡き者にせんとする動機があった。
  • 天皇への道
    4.3
    現在でも精力的にご公務を続けられる天皇陛下。即位までの道のりは日本の激動の歴史でもあった。第二次大戦下、疎開先で過ごした学習院初等科時代。戦後、米国人教師から英語教育を受けた中等科時代。欧米諸国を訪問し民間出身の女性と結婚された青年時代。その成長の軌跡を皇室報道の第一人者が明らかにする一冊。
  • 新装版 顔に降りかかる雨
    3.8
    これぞ桐野夏生の原点。江戸川乱歩賞受賞作!親友の耀子が、曰く付きの大金を持って失踪した。夫の自殺後、新宿の片隅で無為に暮らしていた村野ミロは、共謀を疑われ、彼女の行方を追う。女の脆さとしなやかさを描かせたら比肩なき著者のデビュー作。江戸川乱歩賞受賞!
  • ラン迷宮 二階堂蘭子探偵集
    -
    探偵活動を再開した二階堂蘭子の下に、洋蘭の栽培家・賀来慎児が脅迫されている、との相談が。彼の父・レオナは著名な西洋画家だったが、12年前に不審死をとげ、母も服毒自殺していた。慎児が住む「蘭の家」に乗り込む蘭子。そこに待っていたのは、レオナの3人の元愛人たちだった。トリック満載の傑作中編集!
  • 新装版 修羅の終わり(上)
    3.5
    記憶をなくした僕を戦慄させた奇妙な一言、「あなたは前世で私の恋人だったの」。謎の少女・小織の一言を手がかりに、失った記憶を探し始める。自分は一体何者だ?姉はなぜ死んだ?レイプを繰り返す警官・鷲尾、秘密結社"夜叉の爪"を追う公安刑事・久我、記憶喪失の〈僕〉が、錯綜しながら驚愕のクライマックスへと登りつめる。現在最も注目集める作家貫井徳郎の傑作本格ミステリー。<解説入り>
  • 転落の街(上)
    3.6
    絞殺体に残った血痕。DNA再調査で浮上した容疑者は当時8歳の少年だった。ロス市警未解決事件班のボッシュは有名ホテルでの要人転落事件と並行して捜査を進めていくが、事態は思った以上にタフな展開を見せる。2つの難事件の深まる謎と闇!許されざる者をとことん追い詰めていく緊迫のミステリー!
  • ブラックボックス(上)
    3.8
    当代最高のハードボイルド作品と言われるハリー・ボッシュ・シリーズ!すべての事件には解決につながる「ブラックボックス」があるという、ハリー・ボッシュの信念を象徴しているかのような記念碑的作品。1992年のロドニー・キング殴打事件にはじまったロサンジェルス暴動。ロス市警ハリウッド署殺人課のボッシュ刑事は、相棒のエドガーとともに、市内警邏の応援に駆りだされていた…。因縁の未解決事件に再び迫る。
  • 僕の光輝く世界
    4.1
    人気ミステリー作家絶賛! 視覚を失った男子と仮想美少女が織りなす、青春恋愛「本格」ミステリー。気弱なオタク男子、光輝は進学先の高校でもいじめられ、あげくに橋から突き落とされる。搬送先の病院で絶世の美少女と運命の出会いを遂げた、と思いきや、実は既に失明してしまっていた。美少女は果たして妄想なのか実在なのか……視覚を失った少年が、想像力を駆使して奇妙な謎と格闘する!
  • 殉愛 原節子と小津安二郎
    -
    世界に誇る名監督、小津安二郎。日本映画の巨匠の名作に多数出演し、圧倒的美しさと存在感で多くの人々を魅了しながら、突如42歳で銀幕を去った"伝説の女優"原節子。映画史に永遠に輝く二人の、知られざる"殉愛"とは? 小津作品の中でも頂点とされる紀子三部作、『晩春』『麥秋』『東京物語』をはじめ、数々の名作ゆかりの地を訪ね歩き、多くの関係者にインタビューして綴られた名作誕生秘話と"伝説の愛"。評伝の決定版。
  • 嗤うエース
    4.0
    球界のスター・浪岡龍一の八百長疑惑を追う刑事の半澤は、かつて甲子園の決勝で目にした投球への違和感を、今も燻らせていた。一方、執拗な取材を続ける記者・四之宮は、遂に浪岡を追い詰めるのだが。貧しい漁村からのし上がった不世出の投手は、黒か白か? 衝撃のラストに息をのむ、圧巻のミステリー!
  • 誉れの赤
    4.4
    「真田赤備えのルーツはここにあり!いま1番おすすめしたい時代小説です」(歴ドル・小日向えり)/戦場で最も目立つ朱色の具足。武田信玄配下の戦国最強部隊「赤備え」。赤備え山縣隊の一員であった甲斐地侍の勘五郎と幼馴染みの藤太は、長篠の戦いの大敗により、徳川へ主家替えを余儀なくされる。新しい主は赤鬼と呼ばれる井伊直政。戦国の終焉と最後の「赤の遺伝子」を受け継ぐ二人の武士の生き様とは。
  • コリアン世界の旅
    4.3
    「世界が違って見えてくる」驚きと発見の名著! 日本に住む韓国・朝鮮系の人々が、なぜ日本人の目に「見えない」存在になってしまったのか。この謎に果敢に挑む著者の旅は、日本、アメリカ、ベトナム、韓国に広がり、再び日本に戻る。私たちのすぐ隣にある「コリアン世界」を真摯に描いた、大宅壮一ノンフィクション賞・講談社ノンフィクション賞ダブル受賞作品。
  • 迷路館の殺人〈新装改訂版〉
    4.3
    奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた4人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった! 周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第3作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作!(講談社文庫)
  • 『アリス・ミラー城』殺人事件
    3.4
    鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込む――『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。誰が、なぜ、どうやって? 全てが信じられなくなる恐怖を超えられるのは……。古典名作に挑むミステリ。(講談社文庫)
  • 不当買収
    3.0
    「俺がやりたかったのは本当にこの仕事なのか」。2つの銀行が合併したメガバンク、WFB銀行に勤める松下遼。旧態依然とした体質、派閥同士のいがみ合いが蔓延する行内。ある事件をきっかけに、遼は買収ファンドへの転職を決意する。ところが最初の仕事は、婚約者の父が経営する会社へのTOB(買収劇)だった――。(講談社文庫)
  • 透明な遺書
    4.3
    「警察は自殺だと言ってます。でも、私は自殺だなんて信じてません」福島県喜多方で排ガス自殺と断定された父の死因を承服できない清野翠。翠の父の友人であった「歴史と旅」藤田編集長の依頼をうけて浅見光彦は、彼女とともに残された“透明な遺書”をよりどころに、正々堂々、喜多方にむかうのだが。(講談社文庫)
  • 十角館の殺人〈新装改訂版〉
    4.5
    十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! 1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。(講談社文庫)
  • メタル・トレーダー
    4.0
    マーケットの熾烈な戦い。成功と背中合わせの恐怖。現実に起きた事件をモチーフにした力作長編! ――大手商社・住倉物産の部長が、簿外取引で巨額損失! 「ミスター・ファイブ・パーセント」の異名で国際銅市場に君臨した上杉健二の転落は、世界を震撼させた。2年後、この事件を調べ始めたグローブ通信社の記者・根本誠一は、さまざまな思惑が渦巻くマーケットの暗部を目の当たりに……。<『スクウィーズ』改題作品>
  • 聖アウスラ修道院の惨劇
    3.5
    「黙示録」連続殺人事件。暴かれる禁断の真実! 密室、不可解な暗号文、そして首なし死体――野尻湖畔にある修道院の塔で起こった、2つの密室殺人。満開の桜の枝に、裸で逆さに吊るされた神父の首なし死体。ヨハネ黙示録に見たてた連続殺人。そして、不可解な暗号文も発見されたのだ。神秘の領域で惨劇が繰り返される。名探偵・二階堂蘭子の推理がついに暴き出した、地下文書庫に隠された驚愕の真実!
  • のんびり各駅停車
    4.0
    わけもなくぶらりと乗る!! ――速く楽にという時代、だからこそ、各駅停車で旅を深く楽しむ。奥羽本線、上越線、北陸本線、関西本線、高徳線、鹿児島本線……。車窓から眺めただけでは見ることのできない駅周辺の風景や、街の歴史や人情が、すべての駅に降りることで見えてくる。JR完乗の著者が、厳選した路線を、写真と文で綴る贅沢な旅。
  • 風の鍵
    -
    ハマの伝説がいま甦る! ジャズ界から姿を消した女神のピアノ。父の遺志を継いだ娘の祈りは叶うのか? 乱歩賞作家が描く長編小説――天才ピアニストの呼び声が高かった風谷理砂は、新たにユニットに加わった火之倉紅子との確執の末、心身に深傷を負い、ジャズ界から姿を消した。紅子と別れた郡山誠志郎から理砂の音楽を聴かされて育った娘の愛理は、ヴァイオリニストとして成長を遂げ、亡き父の遺志を継いで理砂の復活を願う。

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