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Posted by ブクログ
清国の冊封体制と、薩摩による支配の両属にあった琉球から、日本の1つの県となる過程における琉球の激動を描いた良作。作者は沖縄人で、ながらく沖縄で働いているのに、これだけ客観的に描けるのはすばらしい。ともすれば、当時の祖先たちを馬鹿にしているようにも読めるが、おそらくそれは真実に近いのだろう。
琉球処分以前の沖縄の立場は、たしかに薩摩の圧政よりも冊封によって信頼関係を築いていた(と、少なくとも琉球側は信じていた)清国のほうが信頼しており、武器を持たないかわりに信頼と貢物による外交によって平和を維持していたわけで、そこを日本が琉球処分を行い、その50年後には太平洋戦争の舞台としたことは、今日の沖縄の反日感情を理解するためのよい材料となろう。単に、地上戦が行われた、というだけではない、過去の歴史から見た沖縄人の感覚を、これを読むことで理解が深まった気がする。世界の潮流に抗い、反発しながらも、徐々に侵食されていく沖縄がよく描かれている。
本文ではないが、宮古郡島分割論などは初めて聞く話でちょっと驚いた。琉球史もしっかりと勉強しなければ。
元になった松田処分感の「琉球処分」についても是非読んでみたい。
Posted by ブクログ
日本中国の二つの国に翻弄される琉球、その王国の命脈を保つ為に清の武力による介入を恃み、日本による併合を逃れようとする苦難の年月が描かれる。武器を保有しない王国の命運は、両国との微妙なバランスの調整で辛うじて保たれていたが、明治維新後に武力を拡大した日本の琉球併合の野望の前に儚く散る。遡れば1609年に薩摩藩が琉球へ出兵し琉球国王を捕えて服属させて以来260年間薩摩に支配され苛烈な収奪を受け続けた上に、中央集権国家になった明治になると王国は廃され沖縄県として日本国に組み入れられる等、地政学的リスクから逃れられない苦難の歴史を辿っている。
琉球処分官としての松田道之の葛藤や苦心も描かれているが、明治政府のやり方はロシアや中国の「力による一方的な現状変更」と相違はないなと思う一方、もし清の領土となっていたらウィグルのように琉球は漢族化されていただろうから逆に処分は良い判断だったかもなどと、色々と考えさせられる一冊でした。
沖縄問題の原点
今もずっと継続し、台湾危機とも相まってより課題.緊急性が大きくなっている「沖縄問題」の原点を詳細に記述してある作品である。小説 文学作品としては、平板な会話文や単調な記述など、決して上手いものとはいえない。退屈な部類に入ってしまう。しかし描かれている内容は、日清両国の間で巧みに泳いできた国の有り様を否定され、戸惑いうろたえる琉球の士身分の人々の言動を、大変丁寧に描いていて非常に勉強になる。
Posted by ブクログ
廃藩置県で琉球王国が廃された時点からストーリーがはじまる歴史小説。清との外交禁止、琉球における鎮台の設置、尚泰の上京という3つの難題を、琉球側がいかに解決するかというところまで物語が進んだ。
本書がどこまで史実に沿っているのかは不明だが、いかんせん、琉球の役人が保身にはしりすぎている印象を受けた。表面的なことばかり気を取られて、周りの変化に全く対応できていないのがもどかしい。
しかし、琉球役人の教養の高さにも驚いた。副島が無風流である下りは笑ってしまった。今の政治家とそう変わらない。
本書を読みながら、沖縄がよく日本に同化できたなと、その教育の素晴らしさに驚嘆せずにいれない。同時に、現在の沖縄の人々が、内地よりも愛国心が強い人が多いことにも、本書を踏まえると驚いてしまう。
また中国が、沖縄を自国領土と主張する所以も、分からなくないように思う。沖縄で分断が進んでいるのも、もとを正せば、琉球役人の蒙昧な態度に端を発しているのではないかと感じざるを得ない(薩摩侵略だけが要因でないように思う)。
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