無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。「悪はある。悪としか呼びようのないものが」殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。
...続きを読むPosted by ブクログ 2023年07月15日
人間の割り切れない部分と矛盾しながらも両方を抱えることで葛藤するところがよく書かれていたと思う。
社会という人間が生きていく上で必要な環境や道徳にも必ずしも割り切れない部分がたくさんあり、折り合いや挫折を繰り返しながらもある形に収まり、また変化していくことを読後にふと考えた。
疾走感があって読み...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月19日
理解できない、したくない、そんな他人をそれでも信じたいと思ってしまう。その純粋な衝動に立ち向かっていく話。
人は異物を排除する。何か揚げ足を取れるものがあれば躊躇なく実行する。それは自己を安全に保ちたいという当然の欲求ながらも少しでも客観視できればその醜さには気づける程度の衝動だ。
しかしながら、そ...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月05日
第20回大藪春彦賞受賞作。呉氏の作品に共通するテーマ「絶対悪」。その絶対悪側に立つ人間が持つ衝動と、側に立つ人間らの衝動。ほか作品とは一線を画し、何か重大事件が起こるのではない起こった事件に対し、相容れがたいモノを相容れようとする人間の心理が良く描かれている。「あるがままの君を、私は受け入れる」、こ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月27日
千早と寺兼先生のやり取りで、学生時代に受けた精神分析の授業を思い出した。
理解できないものはやっぱり恐怖でしかない。
受け入れたいと思っても、どうにもならないこともある。
そういう意味では、入壱や秋成の抱える衝動を受け入れるのは至難の業だろう。
だけど、もし自分がその立場だったら。
受け入れて欲しい...続きを読む
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。