【感想・ネタバレ】白い衝動のレビュー

あらすじ

小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。「悪はある。悪としか呼びようのないものが」殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

『爆弾』で著者を知り、気になっていたので読んでみました。

私にとって、文句なしの星5作品でした。

常日頃、それとなく考えているテーマがここまで言語化され、さらにはミステリーという物語に落とし込まれていることに感動します。

他作品もどんどん読むぞ!

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2025年11月26日

購入済み

いやーおもしろい

サスペンス、どんでん返し系好き知人に教えてもらい読みました。これは面白い、ねたばれになるので多くは言いませんが読むべき!

#ドキドキハラハラ

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2025年03月25日

Posted by ブクログ

心理学用語の独特な言い回しがあるので飲み込むまで時間のかかるページも多かった。

『人を殺したいもの』対『人を虐げたもの』だと思っていたら、そんな単純な話ではなかった。
誰の中にも存在する『悪』をどう扱い、向き合い、消化するか。
人は知らず知らずに行っているのにその衝動を止められないものがいるわけですね。
では、止められなくて犯罪をおかし、刑に服したものは『止められない』のだろうか。

そして加害者側の人権。
加害者自身ではないものが、加害者側というだけで『被害者』にはならない。
言われなくても分かっているが、それをまざまざと見せつけてくるようなストーリーでした。
少しずつ紐解かれ、繋がっていく飽きさせない作りは他の作品も期待させます

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2025年03月15日

Posted by ブクログ

どう感想を書くか…とても悩む。
新人というか研究者ベースの追求心がある、初期のカウンセラーに近いカウンセラーにベテランカウンセラーの対比。それは理想と現実の対比だと思う。
『異端』を理解できないのは、人として当然だろう。なぜならみな『異端』を持っていて、飼い慣らそうと必死だからだ。『異端』が無ければ、虐待も虐めも起きないのではないか、と個人的に思う。『異端』というか自分の中の『悪』に気づき、対話し続けている人がその『悪』をコントロールできている。それには『愛情を受けれる存在である』という実感も必要だと思う。だからこそ包摂は必要でありしかし難しい。そして『悪』のコントロールに困っている人は『自分は理解されない』と殻に閉じこもり、余計に『悪』を助長させる。自分だけの哲学を追求する。
困っている人に手を差し伸べるのはカウンセラーだけの仕事ではない。そして簡単なことではないが、必要なことだ。
自分の考えを押し付けてはいけないのは当たり前だが、大人はやりがちだ。かといって全てを受け入れることは本人の成長には繋がらないし、無責任だ。大人だからといって完璧じゃない。親はスーパーマンじゃない。だから、大人も自分の哲学だけですべてを決めつけないよう、誰かを頼れるといい。
本書はカウンセラーとしての本質について考えさせてくれる話だと思うと同時に、『向き合うこととは何か』を考えさせるものと思った。
『悪』側にはおそらくもっと背景があると思うが、私がそう思いたいだけなのかもしれない。

個人的に、カウンセラーが報道関係者をパートナーに選ぶのはしんどいと思った。

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

どうしようもないから「衝動」なんだな
静かな怒りが満ちたとでもいうか、衝動が爆発してしまう人と手前で踏みとどまる人は何が違うんだろう

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2023年11月20日

Posted by ブクログ

人間の割り切れない部分と矛盾しながらも両方を抱えることで葛藤するところがよく書かれていたと思う。

社会という人間が生きていく上で必要な環境や道徳にも必ずしも割り切れない部分がたくさんあり、折り合いや挫折を繰り返しながらもある形に収まり、また変化していくことを読後にふと考えた。

疾走感があって読みやすく、かなり残酷なシーンを思わせる文もあるが、読書の時間をかなり楽しめた本でした♪

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2023年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかった。でもやっぱり、実際に自分の住んでる地域に入壱のような犯罪を犯した人が住んでいたら追い出したくなるんだろうなと思う。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃおもしろかった。
この作家を今まで知らなくて損したと思うくらい。
他の作品も読んでみよう。

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2022年06月20日

Posted by ブクログ

理解できない、したくない、そんな他人をそれでも信じたいと思ってしまう。その純粋な衝動に立ち向かっていく話。
人は異物を排除する。何か揚げ足を取れるものがあれば躊躇なく実行する。それは自己を安全に保ちたいという当然の欲求ながらも少しでも客観視できればその醜さには気づける程度の衝動だ。
しかしながら、その衝動に突き動かされ続けるのもまた人間ということをじんわりと教えてくれる。正直まったく共感をできるような話の展開ではない。それでも没頭できたのはそこに不可解以外の真の人がいたのかもしれない。

熱中して読めた。人間の心理をえぐるだけではないミステリー要素もまた読み進める手が取らない理由の1つだったと思う

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2021年12月19日

Posted by ブクログ

殺意と殺人願望の違い、そしてただただ殺人願望を持つ人に対して社会ができることは、排除か隔離か包摂(受け入れる)こういう心理学的な内容を組み込みつつ、ストーリー展開もしっかりミステリー。これはなかなか骨太で面白い作品だった。

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2021年10月09日

Posted by ブクログ

普通と異常の区別
マイノリティの彼らをどのように社会は扱い歩み寄るのかを俯瞰しながら見ることが出来た

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2021年03月18日

Posted by ブクログ

自分のことを書かれてるみたいだった。
すごい。生理中とかに読むとすごく落ちる
どうやったら誰に受け入れられるかわかんないけど、うんなんかそんな話だった。
ぜんぶ無理だけど、仕方ないっていうか
すごい好きだったけどずっとしんどかった

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2020年11月15日

Posted by ブクログ

自分の家の隣に住む人が凶悪な殺人鬼だったら私たちは何を思いどうするのだろうか。
その殺人鬼はすでに服役し刑期を終えている。そいつを私たちは受け入れるべきか拒絶するべきか。
主人公の千早は前者の立場をとる。心理カウンセラーである彼女は、過去に凶悪な事件を犯した殺人鬼・入壱要を「受け入れるべきだ」と考える。すでに刑に服したのだから自分らと同じく対等に扱うべきだと。
要は何らの精神疾患を患っているわけではない。責任能力がある「健常者」である。しかし彼の中には常人には理解し難い欲求がある。つまり、「健常者」の中の「異常者」なのだ。
健常と異常を分つものが何であるかはわからない。その線引きは大変にグレーだ。だから私たちは精神疾患などわかりやすい性質に飛びつき、相手を見定める。
病気であれば仕方がないというある種の諦観が生まれ、そうして受け入れる準備もできよう。その反面、「健常者」であれば容赦なく爪弾きにされる。
相手を痛めつけたい、殺したい。そうした欲求は「悪」であるのか。「異常」であるのか。
要を恐れる地域住民は、彼を街から追い出そうとする。彼が精神疾患ではないと知ると喜ぶ。彼を保護する正当性はないのだと安堵する。
千早は恐れる。その考えは家族や友人、恋人、そして自分に向けられる可能性があることを。「普通」から逸脱した考えを「異常」とみなし社会から追い出すのであれば、刑期を終えた人間はどこへ行けば良いのかと。
マジョリティの考えはわからないでもない。自分の隣に殺人鬼がいれば恐怖し排斥するのが当然だ。罪を償ったとはいえ人の内面まではわからない。
これが対話の限界だ。千早の前に立ちはだかる決して超えられられない壁だ。
千早が抱く恐怖の矛先は野津秋成へと向かう。彼も抑え難い欲求を持っている。殺人欲という人には理解されない欲が。
でもまだ人を殺していない。以上とも呼べる欲求を除けば普通の学生だ。私たちはこの学生を怖いと拒絶するべきか。
千早は対話を通じて相手を受け入れようとする。だが、相手を「受容」するとは一体何を指すのか。それが相手の気持ちを理解することであれば、要や秋成を受け容れることは矛盾する。彼らが抱く気持ちがゆえに──
他者を理解することは実は難しい営みなのではないか。だから人は言葉を使い意思疎通を図ろうとするのではないか。傾聴し相手を受け入れ共に生活していくのではないか。他者理解という仮初の社会を維持しながら。
他者受容。それは思った以上に実現し難いことなのかもしれない。
砂上の楼閣のような社会を取り繕いながら、私たちは今日も生きて行かねばならない。

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2025年11月30日

匿名

購入済み

難しかった。殺人衝動を持っているが、まだ人を殺してはない少年、過去に残虐な事件を起こして服役した男。少年の方はまだ救いがある気はするが、できるならやはり近寄りたくない人物。男の方は、今や今後どれだけ更生して反省しようと、事件が残酷すぎて許せない。今も苦しんで被害者や家族を思ってしまう、そんな男に救いの手を差し伸べる人間にも、軽蔑の目を向けてしまいそう。自分は未熟です。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

殺人の衝動を抱えている少年と、無惨な事件を引き起こした男。理想と現実の間で揺れ動く心を抱えながら、彼らと対峙するスクールカウンセラー。
彼らが幾層にも重なり合い、それぞれの思いや痛みを超えて柔らかく形を変えていく。『絶対悪はあるのか』を掘り下げ、内包する人間と社会は向き合うべきかと問題提起をする作品

異常犯罪者が刑期を終えて、自分の街で過ごしていると知って受け入れる事ができるか。私はきっと恐怖に震え、受け入れる事は難しいと思う。
では排除・隔離・包摂、どの手段が適切なのか。とても難しい問題で、『どこまで他人を許容出来るのか』の答えは無いのかも知れない。

最後の一行で驚きの事実が明らかになり、冒頭とラストが綺麗に結びつく。社会が抱える悪を問うだけでなく、謎解きミステリーとしても秀逸な作品です。

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2024年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かなり面白かった。
確かに難しい部分もあったが、登場人物たちの心情が表れている部分も多く、なるほどと思わされる点も多かった。
心理学の部分は専門用語も多く分かりづらかった。
秋成・千早・入壱がどこで繋がるのか内心ドキドキしながら読むことができた。

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2024年04月17日

Posted by ブクログ

面白かった、そして難しかった。
どんな人にも人権があり、過ちを起こした人でも人権がある。それを包摂する社会の難しさ
いや、諦めてもいいんじゃないか。諦めて孤独に耐える方がお互い幸せなのかもしれない

他人を受け入れるってどういうことなのか
なんか、時代に沿ってるな〜て気もした

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

第20回大藪春彦賞受賞作。呉氏の作品に共通するテーマ「絶対悪」。その絶対悪側に立つ人間が持つ衝動と、側に立つ人間らの衝動。ほか作品とは一線を画し、何か重大事件が起こるのではない起こった事件に対し、相容れがたいモノを相容れようとする人間の心理が良く描かれている。「あるがままの君を、私は受け入れる」、この言葉がとても印象的。

自分の近所にこんなにわらわら絶対悪が居たら嫌だが、異なる形の「白い衝動」を持った者らを描くことで物語に重層的な厚みが生まれている。

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

千早と寺兼先生のやり取りで、学生時代に受けた精神分析の授業を思い出した。
理解できないものはやっぱり恐怖でしかない。
受け入れたいと思っても、どうにもならないこともある。
そういう意味では、入壱や秋成の抱える衝動を受け入れるのは至難の業だろう。
だけど、もし自分がその立場だったら。
受け入れて欲しいと思うのか、仕方ないと諦めるのか。
なんだかいろいろと考えてしまった。
共生って意外と簡単じゃないんだよな。

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2023年12月27日

購入済み

爆弾以来

著者の作品を読み漁っています
他にも同様の方は大勢いらっしゃると
想像するのは容易ですが。。。

今作はこれまで拝読した警察モノではなく
一瞬著者名を再確認しました、
が、思いもよらぬ伏線回収の羊遣いの答えは
当に著者の作品でした。

いつもの手の込んだミステリーに加えて、
社会性テーマも練り込まれた読み応え大の良作。

最後の解説で別作のレビュー点あまり良くないので
敬遠していた作品が挙がっていたので、やっぱり読むことにします。

#シュール

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2023年09月09日

Posted by ブクログ

呉さんの著書はまだ3作品目ですが、スタイルは違えど共通して社会コミュニティの問題を取り扱われているのかなと。

他作品も読ませて頂く予定なので変わるかもしれませんが、『爆弾』『道徳の時間』『白い衝動』に限っては一般人と呼ばれる人間と、そこからはみ出したと言われてしまう人間との格差問題に対する提議を感じました。

殺人衝動に悩む少年と、殺人未遂を犯して出所してきた男。自身も過去に悩みながら彼らを救おうとする心理学者のお話です。
なので、心理学用語と治療法がばんばん出てきて苦手な方は疲れてしまうかも知れません。

ですが、素人でも分かりやすく、性善説と性悪説の曖昧さに確かに難しいよな…と考えさせられ、では犯罪者を社会コミュニティに戻すにはどうすれば良いのかと、夢中になって主人公が出すであろう答えを求めて一緒に走った感覚です。

「精神科医は『言葉が通じぬ者のための言葉』を求める」
「私を受け入れないあなたを、私は受け入れる」
印象に残った台詞ですが、精神疾患というものの世間からの誤解が見事に描かれた作品でした。

呉さんの作品の感想を書く度に言ってるのでそろそろお金貰ってステマしてんのかと思われそうですが、(そもそもそんなコネクションなんて無い人間なんですが)デビュー作からの進化に読む度に驚かされます。どこまで行くんだろう…

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2023年08月28日

Posted by ブクログ

日本版「羊たちの沈黙」か?足を骨折している弟が絶対に犯人だと踏んでいたが見事に違っていて、いま地団駄を踏んでいる笑

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2020年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

パイセン本。スクールカウンセラーの奥貫千早、「人を殺してみたい」という強烈かつ純粋な衝動を抱える野津秋成、凶悪犯罪で15年の服役を終えた入壱要、「包摂は洗脳になる得る」と説く千早の恩師寺兼、この四人を中心に物語が展開される。終始重苦しい展開だが、目を話すことができない。「排除せずに理解するほうが正しい」という言葉だけでは済まされない。リスクや責任も背負った上で、包摂は本当に可能か?と社会が他者をどう扱うべきかをずっと問いかけられる。入壱に関しては私は受け入れられないけど、他の問題は自分でもわからないなぁ。

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2025年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カウンセラーと殺人衝動が湧き上がってしまう少年と連続強姦魔と。 「一度罪を犯した人間は許されるべきではない?」みたいなテーマで全体が構成されていて、ミステリーの括りに入るけど、別にその要素はいらなかったのでは?と思わせる重い話。重い割には読ませる文章だったので疲れた。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

殺人願望のある男子学生から「殺したい人はいないか」と打ち明けられるスクールカウンセラー。そんな中、強姦魔の男が出所した事が明らかになり…
加害者を受け入れる事が本当に自分達のためになるのか、なかなか答えは出ない問題。

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2025年05月21日

Posted by ブクログ

設定が面白そうだったので読んでみる。
設定から想像するほど大きな事件発生せず、肩透かしを食らったような気分...
過去に犯した犯罪と犯罪者とどう向き合うのかという命題に対しての深いやりとりはあったのだが「爆弾」的な展開を期待してだけにちょっと想像と違った

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

難しい内容だった
心理学がそもそも難しいと感じた。数値として表れない曖昧な部分があるんだなと・・
犯罪を犯した人間が再び社会に出て生きていく難しさ、周囲が理解しようとするにも限界があるのは事実だと思う。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

難しい…
なんというか、正直よく分からない…。オチもモヤモヤ。
最後の最後は驚いたけど
集団ヒステリーの様子はかなりリアルだし、生徒や入壱と対面した時の描写はかなり【手に汗握る】ものがあった
絶対悪、あるやろ!って大抵の人は思うだろうけど、千早はそうじゃない、と信じてたんだね〜

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2023年11月14日

購入済み

共感ゼロ

簡単に言うと、目を背けたくなるような犯罪を犯した人にもその後の生活があるから守らなきゃねってことなのだけど、多くの人々はその真逆の結論にカタルシスを感じるはずです。
私個人は責任能力があろうがなかろうが、やったことに対する罰は受けるべきと思っていますので、(元)加害者を守ろうとする態度には不快感しかありませんでした。
とは言え、この作者の作品は初めて拝読しましたが、筆力は相当のものです。
何作か読ませていただきたいと思います。

#笑える #シュール

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2023年10月01日

Posted by ブクログ

それぞれが独立しているものの、凶悪事件と精神世界は切り離すことのできない事柄なんだろう。

被害者家族(親族)の痛みは、そうでないものには想像もつかないぐらいに傷つき痛みつけられ苦痛と哀しみにに溺れそうになるのだろう。

ーーということは、私たちにも容易に想像がつく。

だがしかし、世間を震撼させる事件を起こした加害者家族(親族)に真っ先に思いを寄せる人は少ないのではないだろうか。

そういう事件を見聞きしたり大きく報道された時

『可哀想に。まずは被害に遭われた方が回復されること、残念ながら亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。』

よく聞くコメントはこんなところだろうか。

当たり前なのだが、被害者同様、大抵の加害者にも天涯孤独でもない限り家族はいる。

事件の外のものは、加害者側の立場にどれだけ寄り添えるか。
加害者の精神によるものが、判断力を上回ってしまった場合、
罪を償った事実で、社会がその人を受け容れなければならないのは頭では分かっているが。

そして『自分に対して自分が思う違和感』がある人は
辛いだろうな。

という平凡なことしか思い描けない自分の凡庸さが身に沁みた。

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2023年08月01日

Posted by ブクログ

苦しかった
ひたすらに苦しかった
殺人衝動が抑えきれなくなりそう、という男子中学生と服役を終えた残虐な強姦魔
社会的包摂は可能なのか
彼らを救う為には必要とわかってはいても自分にはとても受け入れられそうにない
すごく考えさせられる本だった

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2023年07月09日

Posted by ブクログ

最初の設定が非常に惹かれて途中までは純粋に面白かった。ただなんというか哲学的で読んでいて疲れるというか、重たい。
何をもって正常で、何をもって異常なのか。結局みんな受け入れてほしいだけ。

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2021年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語としてはそれほどではなかったが
読後、いや読中?から自問自答が止まらない作品ではあった

主人公はスクールカウンセラーの千早
ある日やってきた少年から殺人願望を聞かされる…

かつて関わったことのある
強姦犯が同じ街に暮らし始めたこと
被害者の親族との関わり
裏切られ相容れなかった自分の師

初からずっと
主人公の逡巡とともに
読み手は試されている気がする

あなたは犯罪者を赦せますか
怖れることなく共存できると思いますか

コロナ禍の今
感染者すらを許せないこの社会で
犯罪者は決して赦されることはないだろう
でもそれを非難もできないのだ

しかし作者が主人公の口を通して問うているように感じた
それはいつか自分がそうなったときに
ブーメランとなって帰ってくるんだと

赦したい気持ちと許せない気持ちのせめぎあい
どちらも100%になれない

隔離は最善のようで最悪の選択にも思える
どうするのがいいのだろう
ずっと考えるしかない

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2020年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スクールカウンセラー・千早の前に現れるのは、人を殺してみたい男子生徒と、かつて人を殺しかけた強姦魔。

正義感と責任感に溢れる千早は、生徒を心配するだけではなく、強姦魔の心配までします。強姦魔の転入を知って騒ぎ立てる住民のことを情けなく思っているようなふしすら感じられ、だったらあなたが彼と暮らしてくださいと私は思ってしまう。

学校で飼われていた山羊が何者かによって殺された事件の真相は意外で、私もまんまと騙されました。その点は面白かった。

450頁超の長編だから、個人的にはもう少しダダーッと読ませる疾走感がほしい。感情移入できるような魅力的な人物もいなくて、一連の出来事を外野から眺めていた印象があります。

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2019年08月29日

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