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小型核爆弾による世界同時多発テロ《ヴァージン・スーサイズ》から27年。平凡なサラリーマン・堤下与太郎は、突如世界の命運を託される。与太郎だけがプレイできる格闘ゲーム《アトミック・ブレイバー5》の海賊版に、世界を揺るがすシステムに関わる鍵があるという――。与太郎は、ゲームに勝って世界を救えるのか!? 正気じゃないエネルギーがあなたに呼びかけるエンタメ大作、誕生。
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Posted by ブクログ
またガラッと変わった作風で来ましたね、呉さん! 今回はSF! 私の大好物のディストピア! 『爆弾』である程度の知名度を獲得したから自由に書けているのかも、という線もありますがとにかく、文学色の濃かった『Q』の次にこれとは… これだから呉さん布教委員会は止められない!!(皆さんのご入会を涎垂らしてお待...続きを読むちしております) ただ、本作が賛否両論なのも頷けます。 今回は格闘ゲーム観戦がお好きな呉さんが、主人公の趣味として格闘ゲームを出すだけだったのが、書いて行くうちにどんどん話の肝になって行った為に、それはもう呉さんの格闘ゲーム愛が爆発している訳です。(うまいこと言った、爆弾だけに) 練習シーンもそれはもうてんこ盛り。専門用語もてんこ盛り。フレーム要素とか技ジャンケンとか、分からない方には目が点状態。 この辺りが乗り切れない方にはつまらないのと、更にこれがSFなものだから読む人を選んでしまうと思うのです。 ですが、キャラクターもより魅力的になっているし、文体も今回は主人公に合わせてか更に読みやすくなっているし(これが逆に苦手な人もいらっしゃるかも) まあ、あれです。 私は呉さんの文体とお話がとにかく好きなので星10じゃい!!(身も蓋もない) やばい、これでは布教にならない。 内容も素晴らしいんですよ。いや、本当に。 本書の内容を最も現していると思われる台詞を先ずはお読み下さい。 「人類は、もうこれ以上賢くならない。知識や技術は進歩しつづけても、今後、それが愚かさの克服に寄与することはない。」 これにはガツンとやられました。 本書の中でも争いが形を変えて繰り返されています。人種差別も無くなっていない。 温暖化は更に進んだ上に、核を使ったテロのせいで電力が枯渇しており、値段も目が飛び出でる程に高騰。 テロ行為を防ぐ名目で人体にはチップが埋め込まれ、位置情報や生態データと引き換えに最低限の電力が配給される。 それじゃあ足りないので、マンションに設えられたスポーツクラブのような所でエアロバイクを漕いで電気を稼ぐ。 おいおい、まるで北〇鮮じゃないか!絶対に嫌だ!(停電したらこれやるらしいですが、今もそうなのかな…) そんなディストピアでそれなりに平穏を守って暮らしていたのがサラリーマンの与太郎。 相棒はサポート型AIのマサル。30代なのに若禿げ気味で毛根の心配をしている。 (癌の特効薬は開発されているのに、毛根に効く薬は開発されていないらしい) いつもの日常の筈が、本社から引き抜きの話が来た事をきっかけに、何の特殊能力もない平凡なマサルは人類の未来を動かすとんでもない陰謀に巻き込まれる事に。 彼は葛藤と恐怖の末に、チートAI相手のゲームに勝つ事を心に決める。 本当の平和とは洗脳の先にしか実現出来ないのか。案外テーマはどっしりとしてますが、主人公の与太郎やレジスタンスの立ち位置である地下組織のウリヨラ教の面々のお陰でエンタメとしてさくさく読めてしまいます。 AIが発達していよいよ親友になれて、肉体を失っても骨伝導で脳内会話が出来る世界、そんな中で繰り広げられる人との絆の物語が余計にぐっと来ます。 そして近未来なのに『鏖日和』や『阿呆カリ・プッシュ・ボム』というタイトルの小説を読んでいるのが笑える。 何よりも与太郎が凄く良い! 唯一の親友、西丸が評するように本当に善意の人。普通の人なので粘り強さ意外はこれと言った活躍もしないのですが、絶対に逃げない。手の届く範囲の人は与太郎なりに救おうとする。敵に対しても1人の同じ人間だと認識している。そして可愛い。 平和への道のヒントは与太郎にあるかも知れない。 最後の方で与太郎に語りかけていた謎の人物が判明するのですが、これが色々と上手く繋がっていてプロット無しで書かれているのが未だに信じられない。 帯で宮内さんも書かれていましたが、本当にやりたい放題に書かれている感じがするのに、SFとしての世界観の土台がよく出来ていますし、そこまでファンタジーに振り切っている訳でもないので現実問題ともリンクして考える事が出来ます。 最後の与太郎の人としての普通の感情には泣けた位です。 コミカルかつ、エンタメSFですので、ごりごりの哲学的SFは苦手と言う方でもこれなら大丈夫だとは思うので是非ともお読み頂きたいのですが、やはり格闘ゲームがネックな所ですね。 個人的にはキャラクター造形と言い、より読みやすくなっている文体と言い、『Q』でも書きましたが呉さんは本当に書かれる度に進化されている気がします。新刊が1番楽しみな推し作家さん! 本作は映像化に向いていると思うので、爆弾の次にどうでしょう?!と思うのですが『爆弾』のヒットを受けて案外『スワン』が突然映像化もあるかも知れない。 どちらにせよ有難い(まるで関係者のような言い草) これは個人的な話ですが、この与太郎を見ていてどうにも1Q84O1さんを彷彿として仕方がありませんでした。 あ、若ハゲに悩んでる所ではありませんよ? でも将来禿げるかもと心配されてるしなあ。 禿げ薬は開発されないそうなので、今からタンパク質と亜鉛を摂取して下さいね。 願いを込めて、アトムズ・アナイアレイション打ち込んどきますね(アトミックブレイバー内のキャラの超必殺技)
主人公は堤下与太郎、30にして既に薄毛、収入は中流。この実に普通の与太郎目線で話が進むので、感情移入はしやすいけど、近未来SFなところとか、格闘ゲームをしているところとか、するすると読めず、脳内で考えると眠ってる→読み進める→考える→寝る、と繰り返して読破するのに460ページのボリュームと相まってな...続きを読むかなか苦労しました。でも、与えられた世界観や、考えさせられることは多く、読んで良かったです。面白いと感じられる読み手を選ぶ本だと思います。ヒーローも薄毛で格好良くないし、ヒロインもジューシーさんというのですが、普通のヒロインタイプではなく、口が悪い。あ、でもジューシーさんは格好良いです。与太郎は天才プログラマーの西丸昴と中高生時代親友で、それが自分中心に起こってる事件に関係しているらしい…ということくらいしかわからず、延々話が進みます。ずっと目的もわからず、格闘ゲームやってるんだよね。要は、人に生体チップが植え込まれてるような世界で、この生体チップに働きかけるあるプログラムの設定がとんでもないものなのです。もし、これが本当に可能なら?世界は激変する。そんな人の根幹を揺るがすようなもの。私は選べないな。支配層と被支配群ができてしまうのが恐ろしい。 人が争うシーンなどがなかなかに暴力的&グロいので、中学校以上。難しい内容だけど、意外と若者の方がフィーリング合う子が多い本かも。
格ゲー好きなのでその辺りの描写は難なく頭に思い浮かべられて面白かった その他の設定についていくのはなかなか大変だった…
ヒット中の映画『爆弾』の原作者の新刊。テロにより荒廃した近未来が舞台のディストピアSF。格ゲーが鍵を握る展開やキャラクター描写から今作はちょっと漫画・アニメっぽい印象を受ける。ハードSF的な設定と世界観が作り込まれており読み進めながらワクワクしたが、逆にそこに付いていけないとポカーンかなと。現実世界...続きを読むと地続きだった『爆弾』のあのリアリティを期待するとミスマッチ起きるかも。
今話題の映画「爆弾」の原作者呉勝浩さんの最新作。本作は近未来、ヴァージン・スーサイズという小型爆弾による同時多発テロから27年後の世界。現実と虚構のはざまで揺れ動く主人公のサラリーマン、堤下与太郎は安穏とした日々を送っていた。そんな与太郎に親会社からスカウトがきた。よくわからないままのこのこと出向い...続きを読むたところから、与太郎の人生の幕が上がる。全ては友人の天才プログラマーの西丸昴の手の平の上だった。そして人類の運命は与太郎しかプレイできない格闘ゲーム「アトブレ5」の勝敗にかかることに!「爆弾」よりは見劣りする。
そうですか、新作は近未来SFディストピア作品できましたか。題材は違っても文章から沸き立つような躍動感や計算された科白から読み解ける人物像の描写は流石で、現在の文壇では呉氏と長浦京氏が双璧なような気がする。格闘ゲームはおろか、ゲームというものを全くプレイしない私には、「アトブレ5」のプレーシーンは呪文...続きを読むを読むに等しかったが、それでも熱量は十分伝わる。ゲームが鍵になっているところが個人的にマイナス要素だが、設定やストーリは無理なく楽しめた。
凄く面白かった。 世界の行方が、主人公にしかプレイ出来ない格ゲーに掛かっていると言う設定が取っ付きやすかった。 格ゲーのバランス調整をディストピア社会のメタファーとして使っているのが面白かった。 物語が動き出す前の退屈なシーンなども、小難しい事が書いてあったが意外とスラスラ読めてしまった。作者の腕が...続きを読む素晴らしいのだと思う。読んだと言うより気がついたら読んでいたって感覚。 この小説の残念な所は、格ゲーに詳しくないと面白さが半減してしまう所。 リーサル圏内、猶予フレーム、ニュートラル状態、起き攻め、差し返し、2択、下段と中段、236236+パンチ、画面端、コマ投げ。 ここら辺の単語は、今一番流行っている「ストリートファイター6」で良く使われる単語であり、これらの言葉を本当の意味で理解出来るのはスト6プレイヤーでも中級者くらいからだ。 序盤に名前だけ出て来るプロゲーマー「ワチャくん」にもおそらく元となるプロゲーマーがいる。 皆様ご存知のラシード使い「ガチくん」だ。スト5からラシードを使い続け、常に最前線で戦い続けるプレイヤー。これくらいは分からないとこの小説の格ゲーパートは難しいかも知れない。 この小説は格ゲーマーには極上の作品だと思う。 ただ、内容が格ゲーに寄り過ぎると誰も理解出来ないので、格ゲーパートは抑えつつも知識の無い人が理解出来るギリギリを攻めたように見える。 なので、格ゲーをプレイし最近小説にハマっている自分には物足りなかった。何ならもう30%格ゲーパートがあっても良かった。 ケチがついてしまった部分もあるが、格ゲーパート以外もかなり読める文章だったので自分の1番になる事はなかったが、総合的に凄く面白い小説な事は間違いない。
近未来SF SNSやAI技術、電力問題など、どれも現代からつながっている様で、近しい未来は本当にこうなるのかも?と、思えた 人類はこれ以上賢くなれない 賢くなることは愚かな事だ そういうメッセージなのかな?と
小型核爆弾による世界同時多発テロ、ヴァージン・スーサイズから27年後の日本を舞台にしたディストピアもの。平凡なサラリーマン・堤下与太郎を主人公にした巻き込まれ型サスペンスであり、意表を突いたゲーム小説でもある。 SF的なギミックが多すぎて世界観に慣れるまで多少時間はかかったものの、物語のスピード感と...続きを読む魅力的なキャラクターに引き込まれて一気読みだった。 呉さんの作品を読むのは4冊目だが、『爆弾』に次ぐ面白さだった。ただ、一般受けするかどうかは多少不安がある。
呉さんの新作だったので飛びついてしまったけど うーん、購入前にちらっと危惧した通り自分が無知なゲームの話なのでイマイチだったなぁ。 とはいえ、ゲームのキャラが戦ってる姿も初心者にも絵が浮かびやすくなってるし、誰が味方で敵なのかも展開があり面白かったけど、私の期待していた呉作品ではなかったので、正直高...続きを読むい買い物だったなーという感じ。
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