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回想の太宰治
濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治――太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。淡々とした文にも人間太宰の赤裸な姿が躍如とする好著。 ◎「これは、凄い本に出会ったものであります。質も量も。明晰さも、たしかさも、怖ろしさも。科学者の随筆みたいな、美しい揺るぎのない日本語で、太宰治は凝視され、記憶され、保存される。この著者が、昭和の初期に、太宰の妻であり、ともに暮らし、子をなして、日々会話し、身の回りの世話をし、親戚や食卓や経済を共有していたかと思うと、トカトントン。そこらの男の何十倍も聡明だった女の記録であり、記録をよそおった文学であります。」<伊藤比呂美「解説」より> ※本書は、『回想の太宰治』(昭和58年6月 講談社文庫刊)を底本としましたが、「アヤの懐旧談」を削除し、『増補改訂版 回想の太宰治』(平成9年8月 人文書院刊)より、「蔵の前の渡り廊下」「南台寺」「父のこと、兄のこと」「『水中の友』」の4篇を収録しました。 -
デルタの羊
製作委員会、制作会社、ゲーム、配信、中国、テクノロジー、コロナ後…… これが日本のアニメの“リアル”! 「俺たちはあまりに善人だ」 「誰かが羊飼いにならなきゃ、日本アニメは地盤沈下していく」 アニメ製作プロデューサー・渡瀬智哉は、念願だったSF小説『アルカディアの翼』のテレビアニメ化に着手する。 しかし業界の抱える「課題」が次々と浮き彫りとなり、波乱の状況下、窮地に追い込まれる。 一方、フリーアニメーターの文月隼人は、ある理由から波紋を広げる “前代未聞のアニメ”への参加を決意するが……。 アニメに懸ける男たちの人生が交差するとき、【逆転のシナリオ】が始動する! -
笛吹川
生まれては殺される、その無慈悲な反復。 甲州武田家の盛衰と、農民一家の酸鼻な運命。 信玄の誕生から勝頼の死まで、武田家の盛衰とともに生きた、笛吹川沿いの農民一家六代にわたる物語。生まれては殺される、その無慈悲な反復を、説話と土俗的語りで鮮烈なイメージに昇華した文学史上の問題作。平野謙との<「笛吹川」論争>で、花田清輝をして「近代芸術を止揚する方法」と言わしめ、また後年、開高健をして「私のなかにある古い日本の血に点火しながらこの作品は現代そのもの」とも言わしめる。 町田康 一般の調節された言葉は、一族の多くの者がそのために殺害されたのにもかかわらず、それを、先祖代々お屋形様のおかげになって、と言い換えることができる。しかし、この小説の言葉は、そう言い換えてしまう人間の哀しみを描きつつ、それすらも無言の側に押し流してしまう。そして、その圧倒的で、どうしようもない事態は、始まりと終わりを持たず循環する。――<「解説」より> -
来世の記憶
「あたしの前世は、はっきり言って最悪だった。あたしは、おっさんだった」地球爆発後の近未来。おっさんだったという記憶を持つ「あたし」の親友は、私が前世で殴り殺した妻だった。前世の記憶があるのは私だけ。自分の容姿も、自分が生きてきて得たものすべてが気に入らなかった私は、親友が前世の記憶を思い出すことを恐れている。(「前世の記憶」)「ああもうだめ」私は笑って首を振っている。「うそ、もっとがんばれるでしょ?」「だめ、限界、眠くて」寝ている間に終わった戦争。愛も命も希望も努力も、眠っている間に何もかもが終わっていた。(「眠りの館」)ほか、本書のための書き下ろしを加えた全20篇。その只事でない世界観、圧倒的な美しい文章と表現力により読者を異界へいざない、現実の恐怖へ突き落とす。これぞ世界文学レベルの日本文学。 -
森へ行きましょう
川上弘美さんの恋愛と結婚を描いた長編小説。一気読み必至の傑作です。 主人公は1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。このパラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。それは読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれませんし、留津とルツの恋人や夫も読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれません。 主人公の2人のように「いつかは通る道」を見失った世代の女性たちのゆくてには無数の岐路があり、選択がなされます。選ぶ。判断する。突き進む。後悔する。また選ぶ。進学、就職、仕事か結婚か、子供を生むか……そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、留津とルツの人生にもたらしたものとは、はたして―― 道は何本にも分かれて、つながっていて、いつの間にか迷って、帰れなくなって……だからこそ「人生という森は深く、愉悦に満ちている」。 -
遠い他国でひょんと死ぬるや
第三の“竹内ノート"を求めて、男はルソン島へ―― 戦没詩人、山下財宝、山岳民族、イスラム独立闘争……空っぽな日本人はそこで何を見たのか 注目の才能ミヤウチによる、展開予測不能の冒険小説! 第70回芸術選奨文部科学大臣賞新人賞受賞作・単行本バージョン ぼくは、ぼくの手で、戰爭を、ぼくの戰爭がかきたい――そう書き残し、激戦地ルソン島で戦死した詩人・竹内浩三。彼は何を見、何を描いたのか? テレビディレクターの職を捨て単身フィリピンに渡った須藤は、その足跡を辿りはじめた。だがその矢先、謎の西洋人男女に襲われ、山岳民族イフガオの娘ナイマに救われる。 かつて蹂躙された記憶を引き継ぎ日本人への反感を隠さないナイマだが、昔の恋人ハサンの実家を訪ねる道行きに、付添いとして須藤を伴うことに。 ミンダナオ島独立のために闘ったイスラム一族の家で一時の休息を得た須藤だったが、ハサンの家は秘密を抱えていた……。 -
東京クライシス 内閣府企画官・文月祐美
上流域での豪雨で荒川の決壊が懸念される真夏の金曜日、千葉と埼玉で竜巻が発生、変電所を襲った。結果、二十三区を含む広範な地域が停電、JRや地下鉄は運休を決め、帰宅困難者が街に溢れることに。止まない雨に刻一刻と洪水の危険性が高まる中、首相と政策顧問団は党の公約に拘り、準備していた防災計画を場当たり的に変更していく。やがて荒川が決壊、墨田区などが水没。顧問団は危機管理監らに責任を被せる形で更迭し保身に走り始める。そしてその悪魔の矛先はついに、たった一人残された内閣府の防災担当企画官・文月祐美に向かう! 命懸けで持ち場を死守する人々を守る、もう一つの闘いの行方は!? -
運転者 未来を変える過去からの使者
辛いことがあった時には、このお話を思い出そう。 累計100万部 喜多川泰、渾身の感動作! *** 中年にして歩合制の保険営業に転職し、三年目の修一。 しかし、なかなか思うように成果が上がらない日々を過ごしていた。 ある日、唐突な担当顧客の大量解約を受け、 いよいよ金銭的にも精神的にも窮地に追いやられてしまう。 妻が楽しみにしていた海外旅行計画はキャンセルするしかない。 娘は不登校に陥っているうえに、今後の学費の工面も難しくなるだろう。 さらに長い間帰れていない実家で一人暮らしをしている、母からの電話が心にのしかかる。 「……なんで俺ばっかりこんな目に合うんだよ」 思わず独り言を言ったそのとき、 ふと目の前に、タクシーが近づいてくるのに修一は気がつく。 それは乗客の「運」を「転」ずるという摩訶不思議なタクシーで――? *** 運が劇的に変わる時、場というのが、人生にはあります。あなたにも。 運はいいか悪いで表現するものじゃないんですよ。 使う・貯めるで表現するものなんです。 先に貯めるがあって、ある程度貯まったら使うができる。 運は後払いです。何もしていないのにいいことが起こったりしないんです。 周囲から運がいいと思われている人は、貯まったから使っただけです。―――本文より 【読者の皆様より感動の声、続々! 】 *** とても感動した。運は良い悪いではなく、貯めるか使うか。 (20代 男性) *** 報われない努力は実際あるけど絶対ない理由に感銘を受け、 苦しいことがあっても乗り越えていける自信がつきました。 今この時代にいる自分はどう生きていこうかがわかり、 書籍を読み終わったあとは心が温かく、笑みがこぼれていました。 不思議な運転者に私も会いたいような気がしましたが、 この本を読んで 間接的に運転者から大事なことを気づかせてもらったので 私も実践あるのみです。 自分がいかに恵まれているのかも納得しました。 (10代 女性) *** 途中から涙が止まりませんでした。 人の愛情。 ご縁。 私も同じ考え方ですが まだまだ行動が少ないので 微力でも、もっと次の日本、世界の為に頑張ろう、と思えました。 自分の生かされている意味が実感出来る人生をいきたいと思わしてくれる素敵な物語でした。 (60代、女性) *** -
帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男
日本最大の広告代理店「連広」の常務に就任した城田毅は、その存在感を示すべく、さまざまな事業の指揮をとる。各業界のトップ企業の広告独占、広告第二位「弘朋社」への圧力など、手段を選ばず強行した。一方、過労死した連広社員の妻だった真美は、「思いやり雇用」制度によって連広に入社し、城田の秘書となった。真美は「この会社に夫は殺されたのだ」と憎悪の心を持って、夫の死の真相解明に乗り出す。しかし城田の間近で働くうち、やがて彼の魅力にも惹かれていく。城田は「帝王」として君臨し、やがて社長に就任するが、後継者として育てた腹心の裏切りに直面する……。 -
中山可穂コレクション
<「全身全霊で恋をして、その体験を小説という形に昇華して綴る」という経験は、おそらく一人の小説家の人生のなかで一度しか達成できないことではないかと思う。なぜならそれほどの恋とは一生に一度しか経験できないものであり、それを書くに足る力を備え、肉体も精神も澄み切って野心に溢れ、まだ何者にもなっていない、何の評価も得ていない若いときにしかできないことだと思うからだ。(本書まえがきより)>長らく絶版状態だった、中山可穂の代表作とも言える恋愛小説の傑作長編2本が待望の電子化。ファン垂涎の電子オリジナルコレクション第1弾。本書は以下の作品を収録しています。/『感情教育』……産院に捨てられ、母を知らない那智。理不尽な大人達に振り回されて育った理緒。それぞれ懸命に少女期を生き延び、大人になった二人。那智は恋多き女になり、やがて結婚し母になった。理緒は同性愛者として自立した道を歩んでいた。しかし、内に秘めた深い孤独は埋めることはできない。そんな二つの純粋な魂が出会い、不器用にお互いを求めた時に、人生のすべてを賭けた運命の愛が燃え上がる。2000年講談社刊。/『マラケシュ心中』……「恋がいつか必ず終わるものなら、わたしたちは恋人同士になるのはやめましょう。何も契らず、何も約束せず、からだに触れ合わず、それゆえに嫉妬もない、いかなるときも自由で、平明で、対等な関係のまま、いつまでも離れずに、この世で最も美しい友になりましょう」(本文より)あえて男名前を使う、女性歌人の緒川絢彦が短歌結社の歌会で出会ったのは、師と仰ぐ大歌人の若く美しい新妻だった。近づいてはいけない相手、恋をするにはあまりに危険な存在。しかし、募る思いは止めることができずに、やがて。逃避行の果てに恋人たちを待っていた運命とは……。2002年講談社刊。 -
愛国奴
「ちょっと右寄りでオタク青年」という出自をもつ主人公、南部照一。ネットで知り合った友人の手引きで「保守ムラ」の狭い論壇に出入りするようになる。当初は右も左もわからぬ照一であったが、某警備会社が主催する懸賞論文での入選を機に、CS放送局を運営する「保守ムラ」のドン・杉坂義男にスカウトされてキャリアを形成していくうち、いつしか照一自身も保守業界の病弊に蝕まれていくのであった。そのような中、保守論壇をリードする波多野譲と土井賢治の二人の若手言論人が、出演する保守系CS放送の番組放送枠をめぐり対立を始める。その結果、血で血を洗う骨肉の「保守内戦」が勃発……。そこから物語は急展開を見せていくことになる。保守ムラの住人たちはどうなっていくのか。愛国を掲げてカネ、利権、憎悪、嫉妬、報復、狂気が蠢く世界を描いた、著者初めての渾身の長編書下ろし小説500枚。 -
鵺
「鵺王」。陸軍少将でありながら「ホトトギス」の俳人であった亡父の俳号だ。 自らも年老い、父に思いを馳せる演出家・充彦のもとに、四十歳年下の女から一本の電話が入る。いい加減、子どもを認知してほしい――。作家としても一線で活躍を続ける充彦だが、私生活は修羅の連続だった。最初の結婚が破談になった折、女優・弥勒黒美とのありもしない醜聞で放送局を退職に追い込まれた。愛人を同い年の演出家に奪われ、その娘しぐれを奪い返し、彼女との間に子を為した。心休まる時のない人生だったが、因縁の女優・黒美と句会で再会したことで、充彦の晩年に思わぬ変化が訪れる。女や父、芝居に小説を語り合い、和解したかに思ったのも束の間、黒美から充彦に宛て軍用トランクが送られてくる。中にあったのは父の字で〈尼港事件〉と書かれた封筒だった――。戦時下の外地で、父は高浜虚子の師事を仰いでいたのだろうか。時空を超え、忌まわしき過去の扉が開いてゆく。久世光彦を髣髴とさせる官能と怪奇、幻想。醜聞の果てに男が見た真実とは。 -
火曜ドラマ 監獄のお姫さま
2017年秋のTBS系火曜22時枠「監獄のお姫さま」宮藤官九郎の書き下ろしシナリオ集。全10話分を完全収録。監獄で出あった5人前科アリ女性と罪を許せぬ刑務官、6人の復讐の行方は。 女たちの過去、今起こっている誘拐事件のメリハリ、スピーディな展開、ピリっとしたセリフの応酬に、監獄ゆるキャラや劇中歌などの脱力アイテムもちりばめられる、宮藤官九郎作の秀逸な“犯罪エンターテイメント”。 主演は16年ぶりのTBS主演となった小泉今日子はじめ、菅野美穂、満島ひかり、森下愛子、坂井真紀、夏帆の6人の女優陣と、その6人に相対するイケメン社長は民放連ドラ初出演の伊勢谷友介。 シナリオ完全オリジナル版をフルで収録し、今ドラマへの思いをつづる宮藤官九郎の寄稿、出演者のアンケート調査などを収録。 ・まえがき 宮藤官九郎 ・第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、最終話シナリオ完全オリジナル版 ・出演者アンケート ・劇中歌 ・キャストリスト、スタッフリスト -
幸せのプチ ――町の名は琥珀
高度成長期の昭和から平成までの都電が走る町を舞台に紡がれる「追憶のカスタネット通り」「幸せのプチ」「タマゴ小町とコロッケ・ジェーン」「オリオン座の怪人」「酔所独来夜話」「夜に旅立つ」の6つの物語。1970&80年代の思い出とともに、あなたを追憶の彼方へ誘います。 直木賞作家・朱川湊人さんの25万部を超えたベストセラー『かたみ歌』。東京・下町の商店街を舞台にしたノスタルジックでちょっと不思議なことが起こる連作はシリーズとなり、当時は最先端だった団地に舞台を移し(『なごり歌』)、今作もそのラインに連なるといってもいい。 -
恋シタイヨウ系
私たちの住む太陽系と似ているけれど、ちょっと違う「タイヨウ系」では、惑星間をさまざまな宇宙船が飛び交っている。人類は地球から他の星々へ自由に移住し、小さな町を作ったり、地元の住人と交流したり――。月、水星、金星、火星、太陽、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。十の星で生きる人びとのさまざまな恋愛模様を、小説と短歌でファンタジックに綴る。ポップで、あたたかな、雪舟えまワールドへようこそ! 穂村弘氏、タカノ綾氏推薦。 目次 月 ナチュラルシティー 水星 あたらしい先生 金星 流星と見まごう船で 火星・太陽 僕らは愛の気流のなか 木星 おやすみ猫たち 土星 友好銀河にあこがれて 天王星 あなたが見えます 海王星 生まれ変わる僕ら 冥王星 王妃の愛 (全9話) 247ページ -
きみが来た場所
命のバトンをつないで、あなたは今、ここにいる。 家族に会いたくなる、奇跡の物語。 ベストセラー作家、喜多川泰の隠れた名作! 書き下ろし新作短編を収録 <あらすじ> もうすぐ二児の父になる秀平は、経営する塾がうまくいかず、不安な毎日を過ごしていた。 そんなある日、口にすると「自分の先祖の体験」が夢にあらわれる不思議なキャンディを手に入れて……? 秀平は祖父たちの生きざま、決意、つないできた命の奇跡を知るなかで、これから自分の子として生まれる新しい命と、塾の子どもたちに伝えなければならない大切なことに気づいていく。 <読者から感動の声、続々!> ・本屋さんで数ページ立ち読みし、引き寄せられるように購入しました。命の重みやつながりを考えさせられました。(20代、女性) *** ・読み終えたとき、とても心地良い気持ちになると同時に、心の底からグツグツと力が湧いてきました。(30代、男性) *** ・当たり前に思っていた家族の存在を、改めて深く考えさせられました。(30代、男性) *** ・家族のルーツ、祖先の生き方に触れる作品で心が熱くなります。(30代、男性) *** ・何度読んでもおもしろい。新しい発見もありつつ、やはり同じところで「グッ」ときます。(40代、男性) *本作は、『母さんのコロッケ 懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語』(2011,大和書房)に書き下ろしの短編を加えた新装版です。 -
蓮の数式
35歳のそろばん塾講師・千穂は不妊治療を始めて10年。夫と義母からの度重なる嫌味に耐え続けてきた。ある日、夫の運転する車がひとりの男と接触してしまう。「金で解決しろ」と事故の処理を押し付けられた千穂は、男の不可解な行動を見て算数障害なのではないかと気づく。男の苦悩を理解し手をさしのべようとする千穂だったが、その行動を訝しみ嫉妬する夫は、異常な行動に出て千穂を追い詰める。これまで抑えてきた感情を一気に爆発させた千穂は、ある事件を引き起こしてしまうのだった――。愛を知らない男と愛を忘れてしまった女の逃避行がはじまる! 文芸評論家たちから絶賛の気鋭が放つ最新長篇。 -
完全版 甲子園の詩 敗れざる君たちへ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 1979年から2006年、夏の高校野球大会の全試合を、作詞家・阿久 悠が観戦し、一日一試合を、詩に詠む、「スポニチ」紙の名物連載27年分を、全収録し、試合のスコア表と各大会のトーナメント表をつけた完全版。球児たちの美しさとはかなさを讃えた感動の記録。底本付録の阿久悠の短編小説「ガラスの小びん」は電子書籍版では割愛しています。また、甲子園球場での試合の写真も電子書籍版には収録されていません。 -
海嶺 全3冊合本版
天保3(1832)年、熱田から、千石船宝順丸が14人の乗組員を乗せ江戸に向かって出航した。しかし遠州灘で激しい嵐に遭い、船は遭難してしまう。1年2か月後、乗組員の中で生き残った、豪胆な岩松、明朗快活な久吉、心優しい音吉の3人は、奇跡的に北アメリカに漂着した。彼らを待ち受けていたのは、想像を超える数奇な運命だった――。現地の先住民に捕らえられるも、イギリス商社の厚意で軍艦イーグル号に乗り込み、幾多の困難を乗り越えロンドンの地へ。彼らが祖国の地を再び踏む日はやってくるのか? 運命に翻弄され、逆境の中、諦めることなく、希望を持って生き抜く男たちを描いた感動の時代巨編! 本書は上・中・下の3冊を合わせた合本版です。 -
温かい手を持ってる【完】
愛しさ、切なさ、辛さ、苦しさ――全てを詰め込んだ超話題作をラストまで完全書籍化! 憧れて、穢されて、あなたに触れ、愛を知った。街で評判の不良・コータを慕う高校1年生のマキ。遠くから見つめるだけの毎日だったが、ある日コータに声をかけた事から、マキの運命は大きく変わっていく。コータの生きる暴力の世界に思いもよらない形で巻き込まれたマキは、消えない傷を背負う。心も体も傷ついたマキは、拒絶されながらもコータの世界に自ら飛び込む事を決意した。ゆっくりと進んでいくふたりの関係。しかし前の彼女の死を知り荒れるコータを見たマキの心には、大きな不安が広がっていく――。 -
ライフトラベラー 人生の旅人
小さな旅の中に、人生のすべてが詰まっている。 あなたの人生を変える、約束された出会いが待っている。 <あらすじ> 「人生を変える旅がしたい」という大学生の知哉。親友の夏輝が提案したのは、決まった交通手段もない、ガイドもない、余分な荷物もない「ほとんどすべてが〈自由〉な〈不自由な旅〉」だった。それは、いったいどんな旅になるのか?何を知哉にもたらしてくれるのか? 豊富な美しい写真とともにおくる短いストーリーの中に、その秘密が込められている。 <読者から感動の声、続々!> ・モヤモヤして様々なことに悩んでいる時期に読み、たくさんのことを学びました。全体を通して伝えようとしているメッセージが自分にあてはまりすぎていて…本当に感謝です!(20代、男性) *** ・新卒社会人です。職場で毎日分からないことだらけで不安があり、自分の存在価値に疑問を持ってしまっていました。「ライフトラベラー」を読んだことで、今までの気持ちが180度変わりました!人生を楽しむためのエネルギーをいただきました。(20代、女性) *** ・何度も読みかえしたくなるような読後感の素敵な本で大好きになりました!(20代、女性) *** ・これから自分がどう生きていくべきか、今の自分から新たな自分になるための課題が分かった気がしました。(30代、女性) *** ・人生という旅の楽しみ方、生き方のヒントを得ました。(40代、男性) *** ・喜多川さんの作品は裏切らないです。人生の教科書。今回の作品は、旅のガイドブック、人生のガイドブックです。(20代、男性) *** ・人生が素敵に思える本で、読む前と後で世界が変わって見えました。(20代、男性) -
随時見学可
「まもなくしてY字路に出た。いま来た道と分かれて住宅街に入っていく道が先に延びていて、二股のあいだには切り分けたケーキのような形のマンションが建っていた。オリーブグリーンというちょっと変わった色で、〈入居者募集 随時見学可〉という看板が掛かっている。築30年はたっていそうなほど古いのに、外しそこなったのだろうか、それとも下ろす間もないくらい出入りが激しいのだろうか」表題作のほか、「本棚の奥の放浪者」「ハウスシッター」「水のゆくえ」「タイ式マッサージ」「狐塚公園」「ミステリー・ファン」「キリ番ゲット」「木造モルタル」「ごみ入れや浴室マット」を収録。『図鑑少年』刊行から10年、待望の著者2作目の小説集である。街やインテリアのたしかなディテールに支えられつつ、一人称単数を削ぎ落とした文体から、変容する都市風景と人間関係、溶けていく「わたし」の身体感覚、日常のなかの「エピファニー」があざやかに描き出された全10篇。 -
水の女王
令和の公害が闇に葬られている。 水質汚染を探る行政職員が殺された。 浮かび上がる巨大飲料企業。 そして企業に食い込む謎の女――。 社会派エンターテインメントの名手が 現実社会の暗部に切り込む警察ミステリー。 東京・多摩地区の公園で市役所職員の刺殺体が見つかった。被害者は生前、保育園の入園選定をめぐって、ある市民と激しく対立しており、警察は怨恨による犯行とみて捜査。だが同僚と群れることを嫌い、裏社会に張り巡らせた人脈を頼りに生き残ってきた警視庁捜査一課の松浦は別の線を疑う。独自に掴んだ情報によれば、被害者は死の直前まで地域の水質を密かに調べていたのだ。水から検出されたのは人体への影響が懸念される有機フッ素化合物、PFAS(ピーファス)。しかも被害者は、その汚染源として近隣にある大手飲料メーカーの工場に目を向けていた。 -
みちひらきのおかげ犬
一匹の犬のお伊勢参りが、かたい心をほどく。 「この子は『おかげ犬』で、名前はシラタマです。人の言葉がわかるかしこい子です。どうか、お伊勢参りを手伝ってやってください。貴方にも御利益があると信じております」 飼い主の手紙を携えて、たった一匹で、お伊勢参りの旅を続ける白い犬、シラタマ。江戸時代、飼い主に代わってお伊勢参りをした「おかげ犬」という犬たちがいた。シラタマは、現代によみがえったおかげ犬なのだ。 恋人に置き去りにされた女性、死を覚悟した老夫婦、母を失った少女、行方不明の息子を捜す母親、そして――。 旅の途中でシラタマが出会うのは、それぞれに行き場のない思いを抱えた人たち。人なつこいこの白い犬とふれあううちに、固く閉ざした心が少しずつほどけ、誰もが「これが真実だ」と信じていたことの奥に、思いがけないもうひとつの真実が見えてくる。 飼い主とは、何者なのか。なぜ、この子をたった一匹で旅立たせたのか。 謎がほどける。心がほどける。涙こぼれる連作小説。 ――前に進んだ分、未来も変わる。 -
片見里足立アフェクション
小さき人生を送る全ての人に、乾杯! 生き方がバカで男運がない姉・洋。 何でもそつないエリートな弟・央。 マチアプと合コンで、それぞれ恋人ができたはいいけれど――。 不器用な二人の“不穏な”恋の行方は? 大切な人を想い合う無骨な情緒が沁みる、長編小説。 ファミレスで、夜景の見えるバーで、八重洲の居酒屋で、結婚式場で…… それぞれの乾杯にそれぞれの人生。 惚れっぽく男性に貢ぎがちな姉・洋を、何かと心配するエリート銀行員の弟・央。商社マンの新恋人に浮かれる洋を心配する央も、合コンで出会った女性となんとなく付き合い始める。「もしかして、騙されてる?」――お互いの恋路を気にする姉弟と、生ぐさ坊主、探偵、公務員……故郷・片見里の面々が織りなす優しい世界。 -
ブルー、ヘヴンリー・ブルー
いかなる環境にあっても、人の心に光を灯すものがある。 ブルー、ヘヴンリー・ブルーが照らす、喪失と再生の軌跡 独立後も混乱と貧困が続くジンバブエ。 理不尽な解雇で職を失い、絶望に直面した青年は、 日本大使公邸での出会いを通して、真の誠の意味を知っていく。 アフリカの地で咲いた、人間と人間のつながりの物語。 ジンバブエの日本大使公邸でハウスボーイとして働いていたミカは、濡れ衣を着せられ職を失う。 家族を養う術もなく失意の底にいた彼を支えたのは、かつての上司・天海大使への思いだった。 国際会議開催の知らせを聞いたミカは、ハラレからブラワヨへと旅立つ。 荒野を越える三日間の道のり、公邸で交わした日々の記憶、そして大使との再会が意味するものとは。 -
犯罪前夜
破格の社会派エンターテインメント! 犯罪へのアプローチ、犯罪からのアプローチ。なるほど、そこを攻めるか! ―――今野敏氏 物語が進むごとに心拍数は上がり、予想外の展開に拳を強く握り締め、そして胸が熱くなる。これぞエンターテインメント! ―――薬丸岳氏 本当に面白くて一気読みでした! あらゆる人物の吐息が伝わる傑出した迫真力。混沌とする社会に打ちひしがれまいと戦う全ての人々のためのドラマだ。 ―――冲方丁氏 大阪市内で起きた強盗殺人事件。闇バイトによる犯行と思われるが、大阪府警本部捜査一課の高城が犯人グループを追って大阪港へ到達すると、観光帆船のシージャック事件へと発展してしまう。制圧のために海上保安庁特殊警備隊(SST)の岸本らが突入するが、船では思いもよらない事態が待ち受けていた――。 悲劇的な幕切れを迎えたシージャック事件には、多くの謎が残される。犯人たちはなぜ犯罪に手を染めることになったのか。シージャックされた船の中で、本当は何が起きていたのか。やがて高城と岸本が辿り着く衝撃の真相とは? 警察小説の名手が時代を切り取る、破格の社会派エンターテインメント! -
生命科学者、定年後に畑にハマる 実践・知的菜産の技術
美味い! 楽しい! 体にいい! 頭にも効く! 家庭菜園は最高の生きがいだ。 矢野顕子さん(ミュージシャン)推薦! 野菜は地球の力と人間の工夫とで作るものだと、この本から学びました。 しかも美味しいときてる。 成毛眞さん(元日本マイクロソフト社長)推薦! なにわ男のユーモア×学者の知的好奇心。いままでにない面白すぎるエッセイだ。このおっちゃん天才だわ! 野菜嫌いの学者が、定年後、荒れた庭を舞台に”家庭菜園”という実験に挑む! ”荒れ放題、ミニジャングルと化していた畑を開墾” ”家庭菜園で野菜を作るのは果たしてお得なんやろか?” ”ChatGPT様は家庭菜園の救世主になるのか” ”生来の野菜嫌いを野菜好きに変えた、驚きのいいことずくめ” 種まきや収穫の喜びから、55種類の野菜の雑学まで。 野菜作りをしている人はもちろん、野菜づくりをしたことのない人も楽しめる、汗と涙?とユーモアの痛快エッセイ。 -
少年とハリス
開国前夜。 肉親の愛に飢えた少年、日本の行く末を案じるアメリカ人総領事。 幕末動乱期に下田という港町で出会った二人の絆が、この国の運命を大きく変えてゆく…… 江戸時代末期の安政年間――捕鯨の補給基地確保と清国との交易を目指すアメリカは、その圧倒的な軍事力を背景に、強固な鎖国政策を敷く幕府と「日米和親条約」を締結。さらに4年後には「日米修好通商条約」を結んだ。しかし、この条約は天皇の勅許を得ない幕府独断での調印だったため、国論を攘夷強行派と穏健派に二分し、やがて安政の大獄、桜田門外の変へとつながってゆく。まさに幕末動乱の引き金となった条約だったが、果たしてそれは日本にとって真に不幸な出来事だったのか……? 日本の植民地化を狙うイギリス、プロイセン、ロシアといった列強諸国に対抗するため 下田へやってきたアメリカ全権、タウンゼント・ハリス。 その家僕として暮らしを支えた少年・滝蔵。 「日米修好通商条約」締結の裏に隠された異国人と少年の熱き友情の物語。 時代小説の俊英が幕末史に新たな光を当てる感動の歴史ロマン!!
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