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  • 長い別れ
    4.5
    酔っぱらい男、テリー・レノックスと友人になった私立探偵フィリップ・マーロウ。大富豪の娘との夫婦関係が破綻したテリーは、なんとか彼女と元の鞘に収まったようだったが、ある日、突然現われ、メキシコまで送ってほしいとマーロウに頼んできた。そして彼を送り届けて戻ったマーロウは勾留されてしまう。テリーには妻殺しの嫌疑がかっていたのだった。彼は自殺、マーロウには、ギムレットを飲んですべて忘れてほしい、という手紙が届く……。男の友情を描いたチャンドラー畢生の大作を、これ以上望むべくもない名手渾身の翻訳で贈る新訳決定版。/解説=杉江松恋
  • 騎士団長アルスルと翼の王
    4.4
    人間を滅ぼすほど危険な人外、六災の王討伐をかかげる鍵の騎士団。率いるのはかつてレディ・がっかりとよばれていた前皇帝の娘アルスルだ。新皇帝の要請を受けた騎士団は、六災の王の一体である隕星王の眷属、ワシ人外との戦いで疲弊した城郭都市アンゲロスの救援にむかう。一方、アルスルの護衛官となったルカは、アルスルへの恋心を抱きつつも、身分のちがいから想いを告げられずにいた。ところがアンゲロス公爵と対面した晩、ルカはとても奇妙な双子の夢を見たのだった。変わり者の少女の成長と戦いを描く、人気の『皇女アルスルと角の王』続編。/解説=乾石智子
  • 償いの雪が降る
    4.1
    母子家庭で育ったジョーは実家を出て念願の大学進学を果たす。授業で身近な年長者の伝記を書くことになり、祖父母も父親もいないため介護施設を訪れたところ、末期がん患者のカールを紹介される。カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、病気のため仮釈放され、施設で最後の時を過ごしていた。カールは臨終の供述をしたいとジョーのインタビューに応じる。話を聴き、裁判記録を読むうちにジョーは事件に疑問を抱くようになり、真相を探り始めるが……。バリー賞など三冠、エドガー賞最優秀新人賞最終候補となった衝撃のデビュー作!
  • 移動都市
    4.1
    【『モータル・エンジン/移動都市』映画原作】トムは移動都市ロンドンに住む、ギルド見習いの孤児。久々にロンドンが獲物を追って疾走中だというのに、博物館で陳列品のほこり払いだ。我慢できずに仕事を放りだし、けんか騒ぎまでおこした罰に、最下層での作業に追いやられてしまう。そこで出会ったあこがれの史学ギルド長は、親しく声をかけてくれたばかりか、捕獲した町の解体作業の監視に同行させてくれた。天にものぼる心地のトム。だが、ギルド長の命を狙う謎の少女ヘスターを助けたことで、彼の運命は一変する。大きな都市が小さな都市をむさぼり、大都市同士が共食いする奇怪な世界を舞台に、たくましく生きるトムとヘスターの冒険を描いた、傑作シリーズ第1弾。
  • 福家警部補の報告
    3.7
    天才的技倆を持った漫画家と彼女を潰しにかかる出版社の辣腕営業部長、もとは同人誌で合作していた二人が不幸な結末を迎える「禁断の筋書」、ヤクザが仲間割れのあげく相討ちしたように偽装された殺害現場に佇んでいた栗山比奈が目撃証言を拒む理由とは……「少女の沈黙」、車椅子の妻をいたわる夫、息子なきあと一見穏やかな日々を過ごしている老夫婦が悪党どもを爆弾で吹き飛ばし、官憲の捕縛を逃れて痛快なメッセージをよこす「女神の微笑」、以上3編を収録。『福家警部補の挨拶』『福家警部補の再訪』に続く、倒叙形式の本格ミステリ第3集。/解説=森谷明子
  • ワニの町へ来たスパイ
    4.0
    超凄腕CIA秘密工作員のわたしは、潜入任務でちょっぴり派手に暴れたせいで、狙われる身となり一時潜伏を命じられる。ルイジアナの田舎町シンフルで、“元ミスコン女王の司書で趣味は編みもの”という、自分とは正反対の女性になりすましつつ静かに暮らすつもりが、到着するなり保安官助手に目をつけられ、住む家の裏の川で人骨を発見してしまう。そのうえ町を仕切る老婦人たちに焚きつけられ、ともに人骨事件の真相を追うことに……。人口三百に満たない町でいったい何が起きている? アメリカ本国で大人気、型破りなミステリ・シリーズ第一弾。
  • アーサー王ここに眠る
    4.5
    ブリテン島、紀元五百年頃。ひとりの司令官に率いられた、荒々しい騎馬の男たちの集団が農場を襲い火を放った。燃えさかる屋敷から、命からがら逃れたみなしごの少女グウィナは、奇妙な風体の男に救われる。鷹のような風貌の男の名はミルディン。ブリテン島の統一を目指す司令官、アーサーに仕える吟遊詩人だった。言葉を巧みに操り、人々の心を手玉に取る不思議な男。グウィナはミルディンのもとで、彼の企みに手をかすことになる。カーネギー賞受賞。『移動都市』の著者がアーサー王伝説を新たな視点から語り直した傑作ファンタジイ。
  • ウィンブルドン
    3.9
    キングとツァラプキン。ふたりの若きテニス世界ランカーは、キングの地元オーストラリアの大会で初対戦した。プレースタイルも境遇も異なるふたりは、しかし試合を通じて意気投合する。その友情は、ツァラプキンの身をキングが一家総出で守ったことで揺るぎないものとなった。やがてふたりはともに、ウィンブルドン選手権への出場を果たす。だが、そのテニス世界最高峰の大会では、ある大胆な犯罪計画が実行されつつあった――。青年たちの友情を軸に、白熱する試合と犯罪の行方を描いて手に汗握らす、極上のスポーツ小説にして大傑作ミステリ!
  • 水使いの森
    4.0
    水使い、それはこの世の全ての力を統べる者――。水荒れ狂う森深くに棲む伝説の水蜘蛛族の女であるタータとラセルタは、砂漠で一人の愛らしい少女を拾う。少女は外見に似合わぬ居丈高な態度で、水を操る力を持っていた。それもそのはず、彼女は砂漠の統治者イシヌ王家に生まれた双子の片割れ、ミイア王女だった。跡継ぎである妹を差し置き、水の力を示したミイアは、自分が国の乱れの元になることを恐れ、独り城を出たのだ。そんな彼女に、水の覇権を狙う者たちが迫り……。第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞、驚異の異世界ファンタジイ。/第4回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
  • 騙し絵の檻
    -
    「……被告は良心の呵責もなく、情け容赦なく、いともたやすく人の命を奪った……」ビル・ホルトは冷酷な殺人犯として投獄された。不倫相手の女性を殺害し、さらにその二週間後、事件の手がかりをつかんだと思しき私立探偵をも、計画的に殺害したとして。状況証拠は完璧としか言いようがなかったが、彼は無実だった。十六年後、仮釈放を認められたホルトは、復讐を誓い、真犯人を捜し始める。自分を陥れたのは誰だったのか? 次々に浮かび上がる疑惑と目眩く推理。そして、最終章で明かされる驚愕の真相! 現代本格ミステリの旗手、衝撃の出世作。/解説=法月綸太郎
  • 忘却城 炎龍の宝玉
    4.7
    死者を蘇らせる術で発展した亀珈王国。儒艮が塾を開くために買ったのは札付きの幽霊屋敷。引っ越し初日から怪奇現象が多発し、同居する金魚小僧をおびえさせていた。そんな折、瀕死の炎龍が飛来。王都を大混乱に陥れる。神をもたない亀珈王国にとって、炎龍は至高の存在だ。龍語を解するのは蘇った死者と生きた人間の間に生まれた界人だけ。そこで急遽儒艮が通訳官に指名される。彼はいまや大切な家族となった金魚小僧のため、ある目的を胸に役目を引き受けるが……。独特の世界が読む人を引きつけて放さない〈忘却城シリーズ〉第3巻。/解説=井辻朱美
  • 幽霊城の魔導士
    4.3
    魔導士の訓練校ネレイス城は百年前に反乱を起こし処刑された王子たちの幽霊が出るという城。夜になると目撃される不気味な幻、どこからともなく聞こえる声、人が消えるという噂。だがこの城には、もっと恐ろしい秘密が隠されていた。孤児として育てられ、虐げられたせいで口がきけなくなってしまった少女ル・フェ、聡明で不正を見逃せず、妥協を許さないがゆえに孤立してしまったセレス、臆病で事なかれ主義の自分に嫌悪を抱いているギイ。ネレイス城で出会った三人が城の謎に挑む。『魔導の系譜』の著者が力強く生きる少年少女の姿を描く感動作。/【巻末付録】漫画=イヌヅカヒロ
  • まもなく電車が出現します
    3.7
    「壁男事件」が起きた現場である芸術棟が封鎖され、困った文化系のクラブや同好会が新たな棲処を探し始めたせいで、当然の如く各所で紛争が生じた。部員が実質一人の美術部に所属する僕は美術室に活動場所を移すことでことなきを得たのだが、これで落ち着いて作品に取り掛かれるかと思いきや、美術部の領地と思しき開かずの間をめぐる鉄研と映研の争いに否応なく巻き込まれてしまう。しかし翌日、その開かずの間に突如、異様な鉄道模型が出現!? 表題作を含む5編を収録の、山あり谷あり、波瀾万丈で事件に満ちたコミカルな学園ミステリ短編集。

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  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました
    3.7
    電灯もオイル・ランプもなく、夜がまだ謎めいていたころ、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトを浴びせられ、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道で、雨水や汚れを川まで流す労役につかされた「下水熊」。──現在のイギリスに、この愛おしい熊たちはいません。彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。/【目次】1 精霊熊/2 罪食い熊/3 鎖につながれた熊/4 サーカスの熊/5 下水熊/6 市民熊/7 夜の熊/8 偉大なる熊(グレート・ベア)/訳者あとがき/解説=酉島伝法
  • 11枚のとらんぷ
    4.0
    真敷市公民館で行われている奇術ショウの舞台で、仕掛けの中から飛び出すはずの水田志摩子が現れない。それどころか彼女は自分のマンションで殺されていた。しかも死体の周囲には、同じ奇術クラブの仲間、鹿川舜平が書いた「11枚のとらんぷ」に鏤められた11のトリックを構成する小道具類が毀されて置かれていた。秘密の儀式めいたトランプ奇術殺人は何を意味するのか。著者の鹿川舜平が辿りついた事件の真相とは。自らも数多くの奇術を生み出し、石田天海賞を受けているマジシャン泡坂妻夫が、小説家としてのスタートを飾った記念すべき第一長編。/解説=相沢沙呼
  • 福家警部補の追及
    3.8
    “善良な”犯人たちの完全犯罪に隠された綻びを、福家警部補はひとり具に拾いあげながら真相を手繰り寄せていく――。未踏峰への夢を息子に託す初老の登山家・狩義之は、後援の中止を提言してきた不動産会社の相談役を撲殺、登り慣れた山で偽装工作を図る(「未完の頂上」)。動物をこよなく愛するペットショップ経営者・佐々千尋は、悪徳ブリーダーとして名を馳せる血の繋がらない弟が許せず、遂には殺害を決意する(「幸福の代償」)。――ふたりの犯人を追い詰める、福家警部補の決めの一手は。「刑事コロンボ」の系譜に連なる倒叙形式の本格ミステリ、シリーズ初の中編二編からなる第四集。/解説=西上心太
  • 忘却城 鬼帝女の涙
    4.5
    死者を蘇らせる術で発展した亀珈王国。名付け師が居を構える霊昇山に、死者の代弁機関である夢無鵡予言院から使者が訪れる。剥州に封じられている二十四大鬼の一体・鬼帝女に不穏な動きがあり、退魔を要請したいというのだ。二十四大鬼といえば退魔不可能と言われた大幽鬼、名付け師といえど退魔はおろか、封じるだけでも命がけだ。そこへ名乗りをあげたのは百人の御子のひとり、才はあるが病弱な千魘神だった。魘神に同行するのは、牢から放たれ、霊昇山に身を寄せている王族殺しの大罪人・曇龍。果たして大鬼退治は成功するのか――?/解説=妹尾ゆふ子
  • ピーター卿の事件簿
    3.8
    ピーター・デス・ブリードン・ウィムジイ卿は十五代デンヴァー公爵の次男。クリケットの名手にしてワイン通、書物蒐集と音楽、そして犯罪の探究を趣味とする貴公子である。クリスティと並び称されるミステリの女王セイヤーズが創造したピーター卿は、従僕を連れた優雅な青年貴族として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間として大きく成長し、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はその貴族探偵の活躍する中短編から「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、代表的な秀作7編を選んだ作品集である。【収録作】「鏡の映像」/「ピーター・ウィムジイ卿の奇怪な失踪」/「盗まれた胃袋」/「完全アリバイ」/「銅の指を持つ男の悲惨な話」/「幽霊に憑かれた巡査」/「不和の種、小さな村のメロドラマ」/解説=戸川安宣
  • 忘却城
    4.2
    死者を蘇らせる術で発展した亀珈(かめのかみかざり)王国。都で家庭教師を営む青年儒艮は、ある晩何者かに攫われ、光が一切入らない、盲獄と呼ばれる牢で目を覚ます。そこに集められたのは、儒艮の他に子ども、青年、老人、壮年の男性、中年の婦人の五人。彼らを集めたのは死霊術士の長である、名付け師・縫だった。縫は一同に、儒艮に従い、言葉にされない名付け師の望みを叶えるように言い渡す。儒艮は名付け師の後継者問題が絡むと推理、死霊術の祭典、幽冥祭で事件が起きると予測する。顔を見せない縫の真の目的は。第3回創元ファンタジイ新人賞佳作入選作。/第3回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
  • 魔導の矜持
    4.6
    内乱以来、魔導士への迫害がさらに悪化したラバルタ。デュナンはミオ師の私塾で学ぶ魔導士の卵だが、落ちこぼれだ。ある日、私塾が魔導士を逆恨みする村人に襲われ、師や兄弟子たちが殺されてしまう。生き残った弟弟子と妹弟子を連れ、必死で逃げるデュナン。だが、所詮は子どもの足、魔導士狩りの人々に追われ、力尽きた彼女らを救ったのは、貴族の庶子ノエと元騎士のガンドだった。四人が魔導士とは気づかず助けてくれたのだ。デュナンは、自分たちは魔導士に追われていると嘘をつくが……。『魔導の系譜』『魔導の福音』に続く、シリーズ第3弾。
  • 魔導の福音
    4.2
    エルミーヌの王都リムリアの王立学院で学んでいたカレンスは、父危篤の知らせを受け、急ぎ故郷に帰った。五年前、妹リーンベルが魔物棲みだとわかり若い命を散らしたとき、守ってやることもできず、逃げるように都に行ったカレンスにとって、久しぶりの故郷。だが、死を前にした父に託されたのは、余りにも重い“秘密”だった。一方リムリアには隣国ラバルタの魔導士派遣団が滞在、魔導技術の受け入れを巡り、政治的対立が起こっていた。魔導が禁忌とされてきた国エルミーヌで、新たな道を切り開こうとする青年の戦いを描く『魔導の系譜』続編。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作シリーズ第2弾!/解説=大森望
  • 落下世界 上
    3.5
    目覚めると、世界は虚空に浮かぶ小島になっていた! しかも、みなが記憶を失っていて、なぜこうなったのかはもちろん、自分自身が何者かさえもわからない……。だが、断ち切られたような世界の縁から、見わたすかぎりつづく青空を眺めた“彼”は考える。この下のどこかには、別の島もあるに違いない。目覚めたときにポケットの中にあった手描きの地図にしたがって降りてゆけば、きっとこの世界の秘密がわかるはず――。かくして彼、フォーラーは、手製のパラシュートを背負って世界の謎を探る旅に出た。ヒューゴー賞作家が放つ傑作冒険SF!
  • 紅玉は終わりにして始まり
    3.9
    十六歳の「あたし」ことグウェンドリンが“めまい”に襲われたのは高校のカフェテリア。それがすべての始まりだった。そもそもタイムトラベラーとして期待され、準備万端ととのえていたのは、いとこのシャーロットだったのだ。ところが実際に過去に飛んだのは、何の準備もしていないあたし。相棒になったギデオンは気絶しそうにステキなんだけど、鼻持ちならない嫌なやつで、あたしのことなんかバカにしてる。あたしだって好きでタイムトラベルしてるんじゃないのに。ドイツで百万部突破。大人気のタイムトラベル・ファンタジー三部作、第一弾!
  • プレイバック
    -
    私立探偵マーロウはある弁護士から駅に着くひとりの女を尾行し、その宿泊先を報告せよと依頼される。目的は知らされぬまま……。彼は列車から降りたった女を尾行するが、彼女は男につきまとわれ、どうやら脅されているらしい。ホテルにチェックインした女は、そこでも男につきまとわれていた。マーロウは依頼主の意思とは無関係に女の秘密をさぐろうと接触する。すると彼女は夜中に、バルコニーに男の死体があると助けを求めてきたが、マーロウが行くと死体は消えていた。何が起きたのか? この女は何者なのか? チャンドラーの実質的遺作!/解説=堂場瞬一
  • アパートたまゆら
    3.7
    わたしはいわゆる潔癖症だ。除菌ジェルは必携。公共の乗り物に乗るときは、マスクと手袋が欠かせない。海やプール、温泉が苦手。そんなめんどくさい性質のわたしはある夜、鍵を忘れてアパートに帰ってきてしまった。部屋に入れず途方に暮れていると、隣人の男性から思いがけない提案――「よかったら、うち泊めますけど」。わたしは思い切って申し出を受けることに。これを機に始まった交流の中で、徐々に彼との距離は縮まるが――。わたしと彼を隔てるのはアパートの壁一枚……だけじゃない!? 距離は近くても道のりは険しい、王道の恋愛小説。※本書は、2021年にKADOKAWAより刊行された単行本版を改稿した文庫版です。
  • 犬はどこだ
    3.9
    何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで探偵事務所を開いた。この事務所〈紺屋S&R〉が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。……それなのに、開業するや否や舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかもこのふたつは、調査の過程でなぜか微妙にクロスして――いったいこの事件の全体像とは? 犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。青春ミステリの旗手が新境地に挑んで喝采を浴びた私立探偵小説!

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  • うつくしが丘の不幸の家
    4.1
    海を見下ろす住宅地『うつくしが丘』に建つ、築 21 年の三階建て一軒家を購入した美保理と譲。一階を念願の美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々が始まるはずだった。だが開店二日前、偶然通りがかった住民から「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われてしまい……。わたしが不幸かどうかを決めるのは、家でも他人でもない。わたしたち、この家で暮らして本当によかった──。「不幸の家」で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の物語。本屋大賞受賞作家による、心温まる傑作小説。/【目次】第一章 おわりの家――美容室開業に選んだ家を「不幸の家」と言われた女性。/第二章 ままごとの家――不仲の夫、家でした娘、反抗的な息子、迷える妻。/第三章 さなぎの家――男に騙された女性と、幼い娘を抱えたシングルマザー。/第四章 夢喰いの家――不妊治療がうまくいかず、離婚届を書いた年の差夫婦。/第五章 しあわせの家――恋人が置いていった子供と、かつて父に捨てられた私。/エピローグ/解説=瀧井朝世
  • 図書館の殺人
    4.1
    9月の朝、風ヶ丘図書館の開架エリアで死体が発見された。被害者は常連利用者の男子大学生。閉館中の館内に忍び込み、山田風太郎の『人間臨終図巻』で何者かに撲殺されたらしい。現場にはなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージが残されていた! 警察に呼び出された裏染天馬は独自の捜査を進め、一冊の本と一人の少女の存在に辿り着く。一方、風ヶ丘高校では期末テストにまつわる騒動が勃発。袴田柚乃たちは事件とテストの両方に振り回されることになり……。ロジカルな推理と、巧みなプロットで読者を魅了する〈裏染天馬シリーズ〉第4弾。/解説=佐々木敦
  • 仮想空間計画
    4.1
    病院のベッドで科学者ジョー・コリガンは記憶を失い目を覚ます。もはや以前の自分ではない。かつて、オズ計画と呼ばれた極秘プロジェクトの立案者として、現実世界に限りなく近いヴァーチャル・リアリティの開発に従事してきた。そのテスト段階で自ら被験者となり、仮想世界と神経接合する。記憶はそこで途絶えた。計画はずっと昔に放棄されたと聞かされ、妻は去り、ひとり馴染みのない環境に置かれている。そこへある女が現れて言う。二人とも、いまだシミュレーション内に取り残されたままだ、と。現実と境目のない虚構世界のなかで、罠に囚われた科学者に脱出の道は? リアルすぎる仮想空間を描く、本格ハードSF!
  • 殺人喜劇の13人
    3.2
    京都にあるD**大学の文芸サークル「オンザロック」の一員で、小説家を目指している十沼京一は、元医院を改装した洋館「泥濘荘」で、仲間とともに気ままに下宿暮らしをしていた。だが、年末が迫ったある日の朝、メンバーの一人が館の望楼から縊死体となって発見される。それをきっかけに、サークルの面々は何者かに殺害されていく。犯人は「泥濘荘」の中にいるのか?暗号や密室、時刻表トリックなど、本格ミステリへの愛がふんだんに盛りこまれた、名探偵・森江春策初登場作にして本格ミステリファン必読の書。第1回鮎川哲也賞受賞作。
  • 魔導の系譜
    3.9
    魔導士が差別され、虐げられている国ラバルタ。田舎で私塾を開いている三流魔導士レオンは、魔導士の最高機関〈鉄の砦〉からひとりの少年を託される。幼くして家族をラバルタの騎士に殺され、桁違いの魔導の潜在能力がありながら、学ぶことを拒む少年ゼクス。頑なだった少年は、レオンの辛抱強い指導の下で才能を開花させていく。やがてその力を認められ〈鉄の塔〉に召還されたゼクスだったが、貴族の魔導士アスターとの出会いが彼の、そして王国の運命を大きく変えていく。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の本格異世界ファンタジイ。/解説=三村美衣
  • 三惑星連合 レンズマン・シリーズ6
    -
    人類にレンズがもたらされ銀河パトロール隊が創設される以前、人類は地球を中心に三惑星連合を組織していた。その彼らを危機が襲う。エッドア人があやつる、かつてない超兵器をそなえた海賊艦の攻撃を受けたのだ。その戦いのさなか、人類はさらに、太陽系外の両棲生物ネヴィア人の宇宙艦と初めて遭遇する。三つどもえの戦いの行方は? さらに本巻では、宇宙を二分してきた善と悪の闘いが、はるかアトランティスの時代にまで遡って明かされる。そして、のちに人類を代表するレンズマンとなるキニスン家の歴史は、当時から連綿とつづいていたのだ! スペース・オペラの集大成、完全新訳版。

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  • シュレーディンガーの少女
    3.7
    BMIを理由に会社を解雇された主人公の元に、政府からダイエット企画の参加者に選ばれたという通知が届く。それは“敗者は死なねばならない”というルールのデスゲームだった(「太っていたらだめですか?」)。すべての人は例外なく、65歳の誕生日を迎える前後で死ぬ。64歳になった紫は、人生の目標をほぼ達成していたが、スリの子どもから被害に遭いかけ、追いかけていったすえにその子を手元に引き取ることに……(「六十五歳デス」)。さまざまなディストピア世界を生きのびる、パワフルで勇敢な女性たちの物語。あとがきに自作解説を含む。/【目次】六十五歳デス/太っていたらだめですか?/異世界数学/秋刀魚、苦いかしょっぱいか/ペンローズの乙女/シュレーディンガーの少女/著者あとがき
  • 有栖川有栖の密室大図鑑
    3.6
    本格ミステリの魅力的な要素のひとつ、密室トリック。犯行状況を思い浮かべたり、作品に挿入されている図版に心躍らせたりする読者の方も多いはず。本書は、1892年~1998年に発表された国内外の名短編、名長編、中でも魅惑的な密室が登場する作品を有栖川有栖がセレクトし、磯田和一の詳細なイラストとともに贈るブックガイドである。発表順に“世界最初の長編密室ミステリ”といわれるイズレイル・ザングウィル『ビッグ・ボウの殺人』をはじめとした海外20作、横溝正史『本陣殺人事件』など国内20作、さらに有栖川作品から磯田がセレクトした『スウェーデン館の謎』を加えた全41作を紹介する。密室ファン必携の書。/【目次】/はじめに/新潮文庫版まえがき/ビッグ・ボウの殺人/十三号独房の問題/黄色い部屋の謎/急行列車内の謎/八点鐘/犬のお告げ/密室の行者/エンジェル家の殺人/三つの棺/帽子から飛び出した死/チベットから来た男/妖魔の森の家/北イタリア物語/51番目の密室/帝王死す/はだかの太陽/ジェミニー・クリケット事件/そして死の鐘が鳴る/投票ブースの謎/見えないグリーン/D坂の殺人事件/蜘蛛/完全犯罪/燈台鬼/本陣殺人事件/刺青殺人事件/高天原の犯罪/赤罠/赤い密室/名探偵が多すぎる/花の棺/ホロボの神/求婚の密室/天外消失事件/人形はテントで推理する/緑の扉は危険/哲学者の密室/ローウェル城の密室/すべてがFになる/人狼城の恐怖/スウェーデン館の謎/あとがきに代えて……=磯田和一/参考文献/創元推理文庫のためのはしがき/創元推理文庫版解説=松浦正人
  • 星の航海者1 遠い旅人
    4.3
    人類が初めて開発に成功した、くじら座τ星の第五惑星ディープブルー。そこに暮らし、恒星間ネットワークの基幹会社、通称〈銀河ネット〉に勤める惑星記録員のミランダは、宇宙酔いを克服できず地上勤務を続けていた。ある日、冷凍睡眠を繰り返しながら宇宙を渡る恒星記録員のメイアが250年ぶりにディープブルーを訪れることになり、ミランダはそのアテンドを命じられる。宇宙生まれの第一世代であり、地球年齢で300歳を超えるメイアは、ある種伝説の存在だ。ミランダは案内の事前準備として、メイアの人生を辿り始める――〈星のパイロット〉と同じ宇宙を舞台に描く新シリーズ開幕。
  • 少女の鏡
    3.3
    「おまえ一昨日、旧校舎に行ったりしてないよな?」クラスメイトに言われて驚いた。美弥は旧校舎に足を踏み入れたことはない。学校の七不思議では旧校舎の鏡に姿を映すと、鏡の中の自分が抜け出て襲いに来るらしい。その後も覚えのない場所で彼女を見たという目撃者が続出、ついに美弥自身も出会ってしまった。そのとき、助けてくれたのは大きな犬と、その犬を兄と呼ぶ少年朱鷺だった。朱鷺は各地を旅して呪物を集めているらしい。半信半疑のまま美弥は自分に起きている奇妙な出来事を彼に打ち明けるが……。『魔導の系譜』の著者の新シリーズ開幕。
  • 風よ僕らの前髪を
    NEW
    -
    弁護士の立原恭吾が何者かに殺害された。犯人は未だ不明の中、妻の高子は密かに養子の志史を疑い、甥の若林悠紀に彼の身辺調査を依頼する。元探偵事務所員だったとはいえ、悠紀にとっては志史は従弟というだけでなく、家庭教師として教えた子供の一人でもあった。渋々調査する悠紀だったが、志史には伯父の死亡時刻に鉄壁のアリバイがあることがわかる。誰にも心を許そうとしなかった志史の過去を調べるうちに、悠紀は愛憎渦巻く異様な人間関係の深淵を覗き見ることになる。第三十回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。/解説=宇田川拓也
  • 福家警部補の再訪 福家警部補シリーズ2
    3.9
    しがない探偵から転身し上昇気流に乗った警備会社社長、一世一代の大芝居を自作自演する脚本家、天才肌の相棒と袂を分かち再出発を目論む漫才師、フィギュア造型力がもたらす禍福に翻弄される玩具企画会社社長――犯人側から語られる犯行の経緯と実際。対するは、善意の第三者をして「あんなんに狙われたら、犯人もたまらんで」と言わしめる福家警部補。百戦不殆のシリーズ第2集。著者が刑事コロンボに寄せる熱い想いに溢れた、4編を収録。

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  • 龍の耳を君に
    4.2
    手話通訳士の荒井尚人は、ろう者の親から生まれた聴こえる子――コーダで、ろう者の日常生活のためのコミュニティ通訳のほか、法廷や警察で事件の被疑者となったろう者の通訳などを行っている。そんなある日、荒井が手話を教えている場面緘黙症の少年が、殺人事件を目撃したと伝えてきた。NPO職員が殺害された事件の現場が、少年の自宅から目と鼻の先だったのだ。話せない少年の手話は、果たして証言として認められるのか!? ろう者と聴者の間で葛藤しながらも、架け橋になろうとする手話通訳士の奮闘を描いた、『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』に連なる感涙のシリーズ第2弾。/解説=頭木弘樹
  • 007/ロシアから愛をこめて【井上一夫訳】
    3.0
    ソ連情報部は、このところの失策続きを、なんとか挽回しようとしていた。そこで槍玉に挙げられたのが、英国秘密情報部。なかでも腕利きのスパイとして知られる、007ことジェームズ・ボンドだった。こうしてソ連の公式殺人機関スメルシュの、ジェームズ・ボンドに対する死刑執行計画が動き始める。舞台はイスタンブール。ヨーロッパとアジアが交わる混沌とした街。ボンドに恋するソ連情報部の美女との、豪華なオリエント急行での逃避行。二重三重に仕かけられた巧妙な罠に、さしものジェームズ・ボンドも、次第に搦めとられていく。シリーズ最高峰の傑作。/解説=戸川安宣
  • 裏切りの塔 G・K・チェスタトン作品集
    3.8
    コーンウォールの海岸に聳える風変わりな葉色の三股の樹。通称を〈孔雀の樹〉といい、聖者の祈りによって歩き回る力を手に入れ、獣や人をむさぼり食う災いの樹の伝承に連なる存在だった。大地主ヴェインはこの怪樹に登る賭けをして森に入るが、以降忽然と姿を消してしまう。怪奇趣味に満ちた傑作中篇「高慢の樹」ほか、謎を読み解くことに長けたスティーヴン神父が不可能犯罪に挑む表題作、夢想家の姪と実際家の甥の先行きを案じた公爵が取った奇策が思わぬ喜劇へと発展する、本邦初訳の戯曲「魔術」など、五篇の中短篇を新訳で贈る。巨匠の多彩な魅力が凝縮された日本オリジナル作品集。/【収録作】高慢の樹/煙の庭/剣の五/裏切りの塔/魔術――幻想的喜劇/訳者あとがき/解説=垂野創一郎
  • 九度目の十八歳を迎えた君と
    3.8
    通勤途中の駅で見かけた二和美咲は、あのころの、僕が恋をした18歳の姿のまま佇んでいた。それはまぼろしでも他人の空似でもなく、僕が高校を卒業したあとも、彼女は当時の姿のままでずっと高校に通い続けているという。周囲の人々は不思議に感じないようだが、僕だけはいつまでたっても違和感がなくならない。なぜ彼女は高校生の18歳のままの姿なのか。その原因は最初の高校3年生のころにあるはずだと、当時の級友や恩師のもとを訪ね、彼女の身に何が起こっているのか調べ始める。気鋭の作家が描く、心締めつけられる青春と追想のミステリ。/解説=若林踏
  • 夜の写本師
    4.2
    右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジストに、目の前で育ての親を惨殺されたことで、彼の人生は一変する。月の乙女、闇の魔女、海の女魔道師、アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。宿敵を滅ぼすべく、カリュドウは魔法ならざる魔法を操る〈夜の写本師〉としての修業をつむが……。日本ファンタジーの歴史を塗り替え、読書界にセンセーションを巻き起こした著者のデビュー作。

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  • 今だけのあの子
    4.0
    結婚おめでとう、メッセージカードを書く手が震える。大学時代、新婦とは一番の親友だった。けれど恵には招待状が届いていない。たった6人しかいない同じグループの女子の中で、どうして私だけ線引きされたのか。呼ばれてもいない結婚式に出席しようとする恵の運命、そして新婦の真意とは(「届かない招待状」)。進学、就職、結婚、出産、女性はライフステージが変わることでつき合う相手も変わる。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積み重なり友情は不信感へと形を変えた。めんどうで愛すべき女の友情に潜む秘密が明かされたとき、驚くべき真相と人間の素顔が浮かび上がる傑作ミステリ短篇集全5篇。/解説=大矢博子
  • 方形の円 偽説・都市生成論
    3.5
    数万の暗い部屋を持つアーチ状の7層のフロアからなる、ミツバチの巣のような外観をしたバビロンならぬヴァヴィロン(格差市)。あらゆる信仰とあらゆる都市を見知った人々が理想都市にふさわしい地を求めてさまよう中、一瞬だけ地平線に見出したアラパバード(憧憬市)。天上と地下に永遠に続いていく超巨大建築都市ヴァーティシティ(垂直市)……。カルヴィーノ『見えない都市』と同時期に構想され、SFとファンタジイの女王アーシュラ・K・ル=グインが愛し自ら英訳を手がけた、ルーマニアの鬼才が描く空想上の都市と建築についての36編。/【目次】日本の読者へ/ヴァヴィロン――格差市/アラパバード――憧憬市/ヴィルジニア――処女市/トロパエウム――凱歌市/セネティア――老成市/プロトポリス――原型市/イソポリス――同位市/カストルム――城砦市/・・・・・/ザアルゼック――太陽市/グノッソス――迷宮市/ヴァーティシティ――垂直市/ポセイドニア――海中市/ムセーウム――学芸市/ホモジェニア――等質市/クリーグブルグ――戦争市/モエビア、禁断の都/モートピア――モーター市/アルカ――方舟/コスモヴィア――宇宙市/サフ・ハラフ――貨幣石市/シヌルビア――憂愁市/ステレオポリス――立体市/プルートニア――冥王市/ノクタピオラ――夜遊市/ユートピア/オールドキャッスル――古城市/ゲオポリス――地球市/ダヴァ――山塞市/オリュンピア/ハットゥシャシュ――世界遺産市/セレニア――月の都/アンタール――南極市/アトランティス/クアンタ・カー――K量子市/アルカヌム――秘儀市/私の幻想都市/フランス語版あとがき/スペイン語版まえがき/πへの道――アーシュラ・K・ル=グイン:英語版序文/訳者あとがき/解説=酉島伝法
  • 殺人者の空
    5.0
    学部自治会での内ゲバの結果、私はM派の内通者Kを殺害した。死体は仲間たちによって埋められ、事件の痕跡は完全に消去された。その後、私は警察から任意出頭を求められ大学も独自に調査を開始する。しかしその結果明らかになったのは、被害者とされるKなる学生が存在しないという奇妙な事実であった……非在の男がもたらす不安が、〈殺人者〉を異様な結末へと導く表題作の他、単行本初収録となる「内宇宙の銀河」をはじめ、「開放時間」「森の人々」「φ(ファイ)」など貴重な作品を集成。日本におけるニュー・ウェーヴSF運動を牽引した著者の真骨頂ともいえる9編を収録する。
  • デフ・ヴォイス
    4.3
    埼玉県警の元事務職員だった荒井尚人は再就職先が決まらず、アルバイトで深夜帯の警備員をする日々を送っていた。実は子供の頃からろうの家族と聴者との間で通訳を担ってきた荒井は、やむをえずその特技を活かして資格を取り、手話通訳士の仕事を始めることにする。荒井にとって手話とは、苦い思い出がつきまとうものだったのだが。そんなある日、警察時代に起きた殺人事件の被害者の息子が殺害される。かつて荒井が手話通訳をした犯人のろう者が、再び被疑者として浮かび上がってくるが……。手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第一弾を改訂版で贈る。/解説=中江有里
  • 慟哭は聴こえない
    4.4
    旧知のNPO法人「フェロウシップ」から、民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が荒井尚人に舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤務先を「雇用差別」で訴えているという。かつて勤めていた警察で似た立場を経験した荒井の脳裏に苦い記憶が蘇る「法廷のさざめき」。何森刑事と共に、急死したろう者の男性の素性を探る旅路を描く、シリーズ随一の名編と名高い「静かな男」など、コーダである手話通訳士・荒井が関わる四つの事件。社会的弱者や、ろう者の置かれた厳しい現実を丁寧な筆致であぶり出した〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第3弾。/解説=池上冬樹
  • はじまりの青 シンデュアリティ:ルーツ
    3.0
    西暦2099年。9歳のエリロスとアイが暮らす超高層都市を、突如として真っ青な雨が襲う。強毒性の雨は洪水となって、接触した人々の命を次々と奪っていった。からくも崩壊を生き延びた幼馴染ふたりは歩行型の移動機械を駆り、変わり果てた世界に新しいかたちの文明を築こうと試みるが──四世代に及ぶ女性バディの活躍を通じ、TVアニメとゲームで展開される『SYNDUALITY』シリーズの、知られざる「はじまり」に迫る公式小説。
  • ブルー・プラネット
    4.5
    航空宇宙会社スペース・プランニングのマリオは、老朽化で運用が終了したハッブル宇宙望遠鏡の回収作業を行っていた。そこへ惑星間生物学者のスウが、所属先のカリフォルニア工科大学では扱えないというデータを持ち込んでくる。彼女が入手したのは、地球型惑星の発見を目指し、国防総省が秘密裏に打ち上げた探査衛星のコマンドソースだった。二人はコマンドを送って入手したデータを解析しようとするが、国家機密に触れる行動は即座に発覚してしまう。周囲を巻き込む大騒動となったマリオとスウの冒険の行方は――星雲賞受賞作シリーズ第4弾!
  • 星のパイロット
    4.3
    宇宙への輸送を民間企業が担うようになった近未来――新人宇宙飛行士の羽山美紀は、難関で知られるスペース・スペシャリスト資格を持ちながらも、なかなかフライトの機会に恵まれずにいた。そんなとき、年齢経験性別不問という求人を出していたアメリカの零細航空宇宙会社スペース・プランニングに採用されることに。一癖ある個性豊かな仲間たちに迎え入れられ、美紀は静止軌道上の放送衛星スターバードの点検ミッションに挑む準備を進める。だが、彼女は誰にも言えない秘密を抱えていて……。著者の真骨頂たる傑作航空宇宙SFシリーズ開幕!
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー
    3.4
    人生の節目で催される行事を総じて冠婚葬祭という言葉があります。冠は成年として認められる成人式を、婚は婚姻の誓約を結ぶ結婚式を、葬は死者の霊を弔う葬式を、祭は先祖の霊を祀る祭事を指します。四つの行事は、人生の始まりから終わりへ、そして当人が死してなおその先まで縁を繋いでいきます。故に冠婚葬祭は多くの物語で描かれてきましたが、連綿と変わりなく続いているように見えながら、私たちの社会や文化と同じように絶えず変化が生まれているはずです。現在の、そしてこれからの私たちと冠婚葬祭をテーマに書かれた六つの短編小説からなる文庫オリジナル・アンソロジー。/【目次】もうすぐ十八歳=飛鳥井千砂/ありふれた特別=寺地はるな/二人という旅=雪舟えま/漂泊の道=嶋津輝/祀りの生きもの=高山羽根子/六年目の弔い=町田そのこ
  • 大きな森の小さな密室
    3.2
    会社の書類を届けにきただけなのに……。森の奥深くの別荘で幸子が巻き込まれたのは密室殺人だった! 閉ざされた扉の奥で無惨に殺された別荘の主人、そしてそれぞれ被害者とトラブルを抱えた、一癖も二癖もある6人の客。犯人はこの中にいる──。犯人当ての「大きな森の小さな密室」。遺跡の発掘現場で発見されたのは、絞殺された若い女性の遺体。死亡推定時期は150万年前!? 抱腹絶倒の「更新世の殺人」。ミステリでお馴染みの7つの「お題」を天才殺人者やマッドサイエンティストなど一筋縄ではいかない探偵たちが解く。精密な論理が黒い笑いを構築する全7篇のミステリ連作集。

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  • 十五少年漂流記
    4.3
    夏休みを、ニュージーランドの港で帆船に乗って遊んでいた少年たち。だが、舫綱がほどけ、船は外洋へと流れ出してしまった。嵐に遭いながらも、南太平洋を漂流した一行は、やがて見知らぬ島に流れ着く。十五人の少年たちを待ちかまえるさまざまな冒険の数々。勇気と情熱への熱い想いを若者たちに伝えるメッセージとして描いた、巨匠ヴェルヌ不朽の名作。完訳決定版。

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  • ブラウン神父の童心
    3.5
    奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモア、独特の逆説と警句で、ミステリ史上に燦然と輝くシリーズの第一集。小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔。とても頭が切れるとは思われない風貌のブラウン神父が事件の真相を口にするとき、世界の風景は一変する。レストランの塩と砂糖を入れ替えるなど、奇妙な痕跡を残していく二人連れの神父を追う名刑事ヴァランタン。その背景には何が? ブラウン神父初登場の「青い十字架」のほか、大胆なトリックが炸裂する「見えない男」、あまりに有名な警句で知られる「折れた剣」など12編を収める。【収録作】「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌」「アポロの眼」「折れた剣」「三つの兇器」/解説=戸川安宣
  • 闇の虹水晶
    4.7
    その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう。それが創石師ナイトゥルにかけられた呪い。人の感情から石を創るたぐい稀な才をもつがゆえに、故国を滅ぼし家族や許婚を殺した憎い敵に、ひとり仕えることになったナイトゥル。憎しみすら失い、生きる気力もなくしていた彼は、言われるまま自らの命を削る創石師の仕事をしていた。そんなある日、怪我人の傷から取り出した黒い水晶が、彼に不思議な幻を見せる。見知らぬ国の見知らぬ人々、そこには有翼獅子(グリフォリス)が……。〈オーリエラントの魔道師〉シリーズで人気の著者が描く、壮大なファンタジー。/解説=卯月鮎
  • 仮題・中学殺人事件
    4.0
    推理小説の歴史をひもとけば、『黄色い部屋の謎』や『アクロイド殺害事件』のように、犯人の意外性で売り出した名作があまた存在する。ところがこれまで、どんな物語にも不可欠な人物であるのに、かつてこれを犯人に仕立てた推理小説というのは、ただの一編もなかった。読者=犯人である。そのことに気づいた、推理作家たらんと志すかけだしのぼくは、犯人を読者に求めようとしたのだ。そう、この推理小説中に伏在する真犯人は、きみなんです!――推理小説の仕掛け人・辻真先の出発点となった名作登場。/解説=桂真佐喜
  • 模倣の殺意
    3.6
    七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版!

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  • 風ヶ丘五十円玉祭りの謎
    4.0
    夏祭りにやって来た、裏染天馬と柚乃たち風ヶ丘高校の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物してもお釣りに五十円玉が含まれるのはなぜ? 名作『競作 五十円玉二十枚の謎』をモチーフに挑んだ表題作ほか、“若き平成のエラリー・クイーン”が日常の謎に挑戦。学食のすぐ外に放置されていたどんぶりの謎を鮮やかに解く「もう一色選べる丼」、吹奏楽部内でのトラブルを描く「針宮理恵子のサードインパクト」、さらに天馬の妹・鏡華の華麗な謎解きを加えた全5編。『体育館の殺人』『水族館の殺人』に続くシリーズ第3弾は、痛快推理連作集。/解説=村上貴史
  • 幽霊塔
    5.0
    因果な来歴から幽霊塔と呼ばれるその塔で、北川光雄は宿命的な出逢いをする。鄙にはまれな麗人、野末秋子の凄絶とさえ映る美相に心は乱れて、文目も分かぬ恋路の闇を惑い歩く。数奇な境涯にあるらしき懸想人に妻問を拒まれるも愛染断ちがたく、私情を捨てた献身を誓うのだったが――。全編に彩る計り知れない謎、金銀財宝を秘めた西洋館を舞台に展開する波瀾万丈の翻案大ロマン。

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  • 雨に殺せば
    3.5
    1巻605円 (税込)
    《黒川博行警察小説コレクション》 大阪湾にかかる港大橋の上で現金輸送車が襲われ、銀行員二人が射殺された。その翌日、事情聴取を受けた行員が自殺する。さらに、捜査線上に浮び上った容疑者の死体が発見され、事件は複雑さを増していく……。大阪府警捜査一課の二人の刑事“黒マメコンビ”が、軽妙な会話を交わしつつ、日本画壇の内幕に迫り、金融システムの裏側に仕組まれた奸智に満ちた連続殺人事件に挑む! ※本作品は東京創元社、KADOKAWA / 角川書店で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。

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  • 湖底のまつり
    3.6
    傷心を癒す旅に出た若い女性香島紀子は、東北地方の山間の村で、急に水量が増した川の岩場に取り残される。岸に戻ろうと水に入った紀子は流れに呑まれそうになるが、ロープが投げられ辛うじて救出された。助けてくれたのは、土地の若者埴田晃二で、その夜晃二の家に泊まった紀子は彼に抱かれる。翌朝目覚めると晃二の姿はなかった。村祭で賑わう神社に行き、村人に尋ねると晃二はひと月前に毒殺されたと告げられた。では彼女を助け、晃二と名乗った人物は誰なのか? 文学的な香気漂う描写の陰から、著者が仕掛けた謎が妖しく浮かび上がる……?!/解説=綾辻行人
  • 慟哭
    4.0
    1巻660円 (税込)
    痛ましい幼女誘拐事件の続発。難航する捜査。その責めを負って冷徹な捜査一課長も窮地に立たされた。若手キャリアの課長をめぐる警察内部の不協和音,マスコミによる私生活追及。この緊迫した状況下で,新しい展開は始まった! サイドストーリイに,黒魔術を狂信する新興宗教の生態や現代の家族愛を鮮烈に描きつつ,人間内奥の悲痛な叫びを抽出したこの野心作は,北村薫氏をして,書き振りは《練達》,読み終えてみれば《仰天》,と驚嘆させた,巧緻この上ない本格推理。

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  • 綺譚集
    4.1
    散策の途上で出合った少女が美しく解剖されるまでを素描する「天使解体」、白痴の姉とその弟が企てる祖父殺し「サイレン」、陵辱された書家の女弟子の屍体が語る「玄い森の底から」等、妖美と戦慄が彩る幻想小説や、兎派と犬派に分かれた住民たちの仁義なき闘争を綴る「聖戦の記録」の黒い笑い、失われた女の片脚を巡る「脛骨」の郷愁、ゴッホの絵画を再現した園に溺れゆく男たちの物語「ドービニィの庭で」の技巧等々。文体を極限まで磨き上げた十五の精華を収める。孤高の鬼才による短篇小説の精髄。※紙書籍版とはカバー画像が異なります。/【収録作】「天使解体」/「サイレン」/「夜のジャミラ」/「赤假面傳」/「玄い森の底から」/「アクアポリス」/「脛骨」/「聖戦の記録」/「黄昏抜歯」/「約束」/「安珠の水」/「アルバトロス」/「古傷と太陽」/「ドービニィの庭で」/「隣のマキノさん」/解説=石堂 藍
  • ルピナス探偵団の憂愁
    4.0
    高校時代「ルピナス探偵団」を称し様々な事件に遭遇してきた彩子、キリエ、摩耶、そして博学の少年・祀島。卒業から数年後、四人のうち、一人が不治の病で世を去った。久々に顔を合わせた三人に残されたのは、彼女が死を前にして百合樹の林に造らせた、奇妙な小路の謎だった。探偵団“最後の事件”を描く第1話「百合の木陰」から順に時を遡り、高校卒業式を目前に殺人が起きたルピナス学園で、彼らが授かった“祝福”を描く第4話「慈悲の花園」まで、物語は戻らぬ時間への郷愁を紡ぎ上げる。奇蹟のような輝きに満ちた少女探偵の“その後”を描く、〈ルピナス探偵団〉のシリーズ第2作。

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  • いわゆる天使の文化祭
    3.6
    夏休みも終盤。休み中でも、目前に控えた文化祭に向けて、市立の生徒たちは奔走する。ところがある日、登校した葉山君の目に飛び込んできたのは、そこかしこに貼られた目つきの悪いピンクのペンギンとも天使ともつかないものが描かれた、異様な貼り紙だった。それぞれの部活にちなんだ図柄の〈天使〉を不思議に思いつつも、手の込んだ悪戯かと気を抜いていると、化学準備室で工作する犯人と思しき人影を見かける。文化祭のホームページも改竄され、事態は深刻さを増して――。波瀾万丈で事件に満ちた、コミカルな学園ミステリ・シリーズ。

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  • 孤島パズル
    4.0
    英都大学推理小説研究会に新風を吹き込んだ彼女(マリア)が「伯父の別荘へ行かない?」と誘った孤島の夏。メインテーマは宝捜し(パズル)。みごと解ければ推理研の面目躍如、波涛を越えて時価数億円のダイヤが眠る嘉敷島へやってきた江神二郎とアリスは、楽しむ間もなく起こった事件に巻き込まれてしまう。毎年同じころ島に会する人々に密やかな翳りが根ざしているのか、南国の陽光と青い海、降るような星空を背景に幕間のない悲劇が進行していく。――ここにパズルがある。どうかあなたの手でこの小宇宙に秩序をもたらしていただきたい――〈読者への挑戦〉が興を添え、青き春を謳うロマンティシズムが錦上に花を敷く、極上の本格ミステリ。

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  • 時間泥棒
    3.9
    ニューヨークで、ある日突如として時間の流れがおかしくなりはじめた。時計がどんどん遅れていくのだ。しかも場所ごとに少しずつ遅れかたが違う。その結果、周波数も影響をうけ、通信もままならない。著名な物理学者が言うには、「この世界と交差する他次元のエイリアンが、われわれの時間を少しずつ盗みとっているのです」!?エイリアンだか何だか知らないが、とにかく時間がたりなくなっていくのは本当だ。でも、いったいどんな手が打てるというのだ?議論は果てしなくつづく。だがやがて時間のみならず物質にまで異常事態が生じはじめ……。巨匠が贈る時間SFの新機軸!
  • 樽

    3.9
    埠頭で荷揚げ中に落下事故が起こり、珍しい形状の異様に重い樽が破損した。樽はパリ発ロンドン行き、中身は「彫像」とある。こぼれたおが屑に交じって金貨が数枚見つかったので割れ目を広げたところ、とんでもないものが入っていた。荷の受取人と海運会社間の駆け引きを経て樽はスコットランドヤードの手に渡り、中から若い女性の絞殺死体が……。次々に判明する事実は謎に満ち、事件はめまぐるしい展開を見せつつ混迷の度を増していく。真相究明の担い手もまた英仏警察官から弁護士、私立探偵に移り緊迫の終局へ向かう。クロフツ渾身の処女作にして探偵小説史にその名を刻んだ大傑作。

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  • 完全・犯罪
    3.3
    「本来、これはわたしが貰うべき賞だったのだ!」ライバル、水海月博士に研究発表で先を越された時空博士。憤慨した博士は、自ら開発したタイムマシーンを活用して過去の水海月博士を殺害しようと決心した。念のため、自分に鉄壁のアリバイがある日時を犯行時刻に設定したのだが──(「完全・犯罪」)。真帆と嘉穂は、服も、玩具も、名前まで共有する一卵性双生児。自分は本当に「真帆」なのか。成長するに従い、真帆は次第にアイデンティティーを失っていく。思春期を迎え、恋を覚えた姉妹の運命は──(「双生児」)。驚きと恐怖、黒い笑いが詰め込まれた、全5篇のミステリ短篇集。

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  • 本バスめぐりん。
    3.4
    種川市の移動図書館、「本バスめぐりん」に乗り込むのは、六十五歳の新人運転手テルさんと図書館司書ウメちゃん、年の差四十のでこぼこコンビだ。返却本に挟まれた忘れ物や秘密を抱えた常連の利用者……。巡回先でめぐりん号とふたりを待ち受けるのはいくつもの不思議な謎?! 3000冊の本でつながる思いを載せて、移動図書館は今日も走る。書店員、編集者、記者などを主人公に「本の現場」を描く著者の新たな舞台は、本を届ける図書館バス! ハートフル・ミステリ全5編。/解説=森谷明子
  • 愚行録
    3.5
    1巻605円 (税込)
    ええ、はい。あの事件のことでしょ? えっ? どうしてわかるのかって? そりゃあ、わかりますよ。だってあの事件が起きてからの一年間、訪ねてくる人来る人みんな同じことを訊くんですから。――幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。池袋からほんの数駅の、閑静な住宅街にあるその家に忍び込んだ何者かによって、深夜一家が惨殺された。数多のエピソードを通して浮かび上がる、人間たちの愚行のカタログ。『慟哭』の作者が放つ、新たなる傑作!

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  • 昨日まで不思議の校舎
    3.8
    にわか高校生探偵団、市立最大の謎に挑む! 超自然現象研究会の会誌〈エリア51〉臨時増刊号が特集した「市立七不思議」が何者かに影響を与えたのだろうか? 突如休み時間に流された、七不思議の一つ「カシマレイコ」を呼び出す放送。そんな女子生徒は、もちろん存在しない。さらにその日の放課後に、四ヶ所で発見された「口裂け女」を模した悪戯、さらにさらに翌日には「一階トイレの花子さん」まで用務員室に出現。なぜ七不思議のうち、この三つが現われたのだろう? かつては七不思議ではなく、「市立三怪」だったということを突き止めた葉山君、そして伊神さんは、その背後にある悪意に気づくが……。コミカルな学園ミステリ・シリーズ長編。

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  • 黒百合
    3.5
    昭和27年の夏休み。14歳だった「私」こと進と一彦は、六甲山にあるヒョウタン池のほとりで、不思議な雰囲気を纏った同い年の少女と出会う。池の精を名乗ったその香という少女は、近隣の事業家・倉沢家の娘だった。三人は出会った翌日からピクニックや山登りを通して親交を深めてゆく。自然の中で育まれる少年少女の淡い恋模様を軸に、昭和10年のベルリン、昭和15年の阪神間を経由して、物語は徐々にその相貌を明らかにしてゆく。そして、最後のピースが嵌るとき、あらゆる読者の想像を超える驚愕の真相が描かれる。数々の佳品をものした才人による、工芸品のように繊細な傑作ミステリ。/解説=戸川安宣
  • 家庭用事件
    3.7
    市立高校に入学した頃は、こんなにも不可思議な事件に巻き込まれ、波瀾万丈な学校生活を送ることになるとは、僕は想像だにしていなかった――。『理由あって冬に出る』の出来事以前に、映研とパソ研との間で起こった柳瀬さん取りあい騒動を描く「不正指令電磁的なんとか」。葉山君の自宅マンションで起こった怪事件「家庭用事件」。葉山君の妹・亜理紗の学校の友人が遭遇した不可解な引ったくり事件から、葉山家の秘密が垣間見られる「優しくないし健気でもない」など、全五編。事件に満ちた葉山君の学校生活を描く、〈市立高校シリーズ〉短編集。
  • 少女には向かない職業
    3.6
    1巻440円 (税込)
    中学二年生の一年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した。夏休みにひとり。それと、冬休みにもうひとり。……あたしはもうだめ。こわくて、どうしたらいいかわからなくて、いまにもからだが勝手に生命活動を停止してしまいそう。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけ。宮乃下静香だけだったから――。これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。直木賞受賞作家が『私の男』に先駆け、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いた慟哭の傑作!

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  • プリズム
    3.5
    1巻550円 (税込)
    小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓の鍵、睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが……『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んだ衝撃の問題作。

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  • 凍える島
    3.2
    1巻495円 (税込)
    友人と喫茶店を切り盛りする北斎屋店長野坂あやめは、得意客込みの慰安旅行を持ちかけられる。行先は瀬戸内海に浮かぶ無人島。話は纏まり、総勢八名が島へ降りたつことになる。ところが、退屈を覚える暇もなく起こった事件がバカンス気分を吹き飛ばす。硝子扉越しの室内は無惨絵さながら、朱に染まった死体が発見され、島を陰鬱な空気が覆う。道中の遊戯が呼び水になったかのような惨事は、終わらない。――連絡と交通の手段を絶たれた島に、いったい何が起こったか? 由緒正しい主題に今様の演出を加え新境地を拓いた、第四回鮎川哲也賞受賞作。

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  • 遠きに目ありて
    4.0
    1巻550円 (税込)
    成城署の捜査主任真名部警部は、とある縁である少年と知り合うことになった。岩井信一、年齢からいうと高校受験期ぐらいの少年である。彼は重度の脳性マヒだった。だが、親しくなるにつれて、この少年の予想外の聡明さに驚嘆するようになる。ある時、約束していた映画鑑賞を突発事件のためすっぽかしてしまったお詫びにと、その事件の経緯を話して聞かせたところ……!~ 安楽椅子探偵の歴史に新たな一ページを書き加えた連作推理短編の傑作であり、不可能犯罪や奇抜なアリバイ・トリック等を満載した、著者の本格推理分野での代表作と言えよう。

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  • 理由あって冬に出る
    3.4
    某市立高校の芸術棟にはフルートを吹く幽霊が出るらしい――。吹奏楽部は来る送別演奏会のための練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。かくなる上は幽霊など出ないことを立証するため、部長は部員の秋野麻衣とともに夜の芸術棟を見張ることを決意。しかし自分たちだけでは信憑性に欠ける、正しいことを証明するには第三者の立ち合いが必要だ。……かくして第三者として白羽の矢を立てられた葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた! にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは? 第16回鮎川哲也賞に佳作入選したコミカルなミステリ。

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  • ねむりねずみ
    3.7
    1巻495円 (税込)
    ことばが、頭から消えていくんだ――役者生命を奪いかねない症状を訴える若手歌舞伎役者中村銀弥。後ろめたさを忍びながら夫を気遣う若妻。第一幕に描出される危うい夫婦像から一転、第二幕では上演中の劇場内で起こった怪死事件にスポットが当てられる。二か月前、銀弥の亭主役を務める小川半四郎と婚約中の河島栄が、不可解な最期を遂げた。大部屋役者瀬川小菊とその友人今泉文吾は、衆人環視下の謎めいた事件を手繰り始める。梨園という特有の世界を巻き込んだ三幕の悲劇に際会した名探偵は、白昼の怪事件と銀弥/優の昏冥を如何に解くのか?

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  • 黄金仮面
    4.3
    ある年の春、どこからともなく金製の仮面をつけた怪人物の風評が起こり、東京市民の間で大評判になってしまった。金色燦爛たる怪人は上野公園で開かれていた大博覧会の会場から大真珠を、はたまた日光の鷲尾侯爵邸から国宝級の如来像をまんまと盗み出してしまう。その怪盗にあろうことか娘の不二子が恋情を寄せてしまい、困りはてた富豪大鳥氏は明智小五郎に出馬を要請する。貴重な美術品ばかりを狙う謎の怪盗黄金仮面、その美しくも不気味な仮面に隠された素顔を、名探偵は暴くことができるだろうか? 真に驚嘆すべき傑作に、発表時の雰囲気を伝える吉邨二郎の挿絵を再録した。

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  • 陽気な容疑者たち
    3.5
    1巻440円 (税込)
    伯父の経理事務所に勤める私は、顧客の鉄工所経営者が会社解散を決意し、組合側と対立する真っ只中に飛び込んでしまった。その上、経営者がトーチカのような堅牢強固な蔵の中で急死するという事件に遭遇する・・・・・・!?「推理小説には持ちこみ難いユーモアや機智を、それとは目立たぬ程度に配分しつつ、綿密な密室事件を作り上げている」と、大下宇陀児が激賞した著者の長編第一作。

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  • 恐怖の谷【阿部知二訳】
    4.0
    シャーロック・ホームズ最後の長編は、彼の最大の敵、悪の天才モリアーティ教授との死闘である。ある日ホームズのもとにとどいた暗号文は、殺人の警告であったが、時すでにおそく、被害者は惨殺されてしまった。平和なイングランドの小村に起こる殺人は、アメリカ開拓時代の昔にさかのぼって、悪の集団の恐るべき正体を暴露する!ディクスン・カーがドイル長編中のベストとして推す傑作で、第二部は、それだけ独立させても充分な謎と意外性を秘めている。

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  • タイム・マシン
    4.0
    推理小説におけるコナン・ドイルと並んで、二十世紀前半に活躍したウェルズはサイエンス・フィクションの巨人である。現代SFのテーマとアイディアの基本的なパターンは、大部分が彼の創意になるものといえよう。本書はスペース・トラベル、タイム・トラベル、侵略テーマ、異次元テーマ等、多彩をきわめる全作品の中から、特に必読の傑作中短編を選んで全二巻に編集した待望の作品集である。

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  • 晴れた日は謎を追って がまくら市事件
    3.6
    不可能犯罪ばかりが起こる街、蝦蟇倉(がまくら)市。商店街や高校があり、市内電車も走っているこの街は、どこにでもありそうで、どこかおかしい。自殺の名所といわくつきの崖では殺人事件が起き、ふらりと街を訪れた青年は怪しい相談屋の仕事を手伝う羽目に。蝦蟇倉警察署捜査一課に存在する不可能犯罪係、何の変哲もない置物を要求する脅迫者、10トンの銅像に圧し潰された彫刻家。この街に住む人々の日常は、いつも謎に彩られている。第一線で活躍する作家たちが贈る、不思議な街の道案内。〈がまくら市事件〉その1。
  • 土曜はカフェ・チボリで
    3.5
    児童書の出版社で働く香衣は、とあるきっかけで“カフェ・チボリ”を訪れる。そこは土曜日しか営業せず、おまけに店主は高校生という不思議な店だった! 美味しいデンマーク料理とあたたかいもてなしにすっかりくつろぎながら、馴染みの客たちが語る、身の回りで起こった謎に耳を傾ける。それらは『マッチ売りの少女』や『みにくいあひるの子』など、アンデルセン童話を連想させる出来事ばかりで――。風変わりな店主・レンが優雅な仕種でマッチを擦ると、謎はたちまち解かれていく。忙しない日常にひと時の安らぎをもたらす、安楽椅子探偵譚。
  • 【東京創元社無料読本】青崎有吾の挨拶
    無料あり
    3.4
    2015年3月、東京創元社は、第22回鮎川哲也賞受賞作にして、“平成のエラリー・クイーン”こと青崎有吾、衝撃のデビュー作『体育館の殺人』の文庫版を配信開始いたしました。作家・青崎有吾の魅力を、多くの皆様に楽しんでいただくため、『体育館の殺人』(文庫版)立読みを通常より増量したもの、短篇集『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』より一篇「もう一色選べる丼」、そしてデビュー当時から現在までを語った著者ロングインタビューをお届けいたします。
  • 亜愛一郎の狼狽
    3.8
    雲や虫など奇妙な写真を専門に撮影する青年カメラマン亜愛一郎は、長身で端麗な顔立ちにもかかわらず、運動神経はまるでなく、グズでドジなブラウン神父型のキャラクターである。ところがいったん事件に遭遇すると、独特の論理を展開して並外れた推理力を発揮する。空中密室ともいうべきテーマを扱った「右腕山上空」や、暗号トリックものの「掘り出された童話」など、どれをとってもトリッキーな味わいの逸品ぞろい。第一回〈幻影城〉新人賞佳作入選作であり、作家・泡坂妻夫のデビュー作である「DL2号機事件」など全8話を収録した。

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  • 藍色時刻の君たちは
    4.3
    1巻1,899円 (税込)
    2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽(こはね)は、統合失調症を患う母を抱え、介護と家事に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を見る凜子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。しかし、町にある親族の家に身を寄せていた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人が前向きな日常を過ごせるようになっていった矢先、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある時、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去や、青葉が抱えていた秘密と向き合うことになる……。宮城県出身の現役看護師による、魂が震える傑作!
  • アイリス
    3.0
    1巻1,699円 (税込)
    映画『アイリス』に子役として出演し、脚光を浴びた瞳介は、その後俳優として成功できずに高校卒業前に芸能界をやめた。だが、映画で妹役を演じ、現在も俳優として人気を集めている浮遊子との関係は断てずにいる。『アイリス』の栄光が、彼を過去へと縛りつけていた。そしてそれは、監督の漆谷も同じだった。二十八歳で撮った『アイリス』は数々の賞を受賞したが、彼自身はそれ以降どれだけ評価を得ても、この作品を超えられないという葛藤を抱えていた。ひとつの映画が変えた俳優と監督の未来。人生の絶頂の、そのむこうの物語。
  • 青鉛筆の女
    3.7
    2014年カリフォルニアで解体予定の家の屋根裏から発見された貴重品箱。なかには三つのものが入っていた。1945年にウィリアム・ソーン名義で発表された低俗なパルプ・スリラー。編集者からの手紙。そして、第二次大戦中に軍が支給した便箋――ところどころ泥や血で汚れている――に書かれた、おなじ著者による未刊のハードボイルド。反日感情が高まる米国で、作家デビューを望んだ日系青年と、担当編集者のあいだに何が起きたのか? 書籍、手紙、原稿で構成される凝りに凝った物語。エドガー賞候補作。/解説=村上貴史
  • 蒼志馬博士の不可思議な犯罪
    3.5
    私は殿島直紀、弁護士である。今にして思えば、私の事務所の隣に住む綾子が姿を消したことが事件の発端だった。いっしょに暮らしていた孤児たち四人を残して消えた綾子。私が密かに思いを寄せていた彼女は、姿を消す前に米軍接収地でトラブルに巻き込まれていた――。同時期、米軍宛に蒼志馬博士を名乗る人物から脅迫状が届く。「粗暴な米軍は即刻去るべし。さもなくば私の開発した殺人兵器で死にゆく運命にある」と。綾子の失踪に蒼志馬博士なる人物は関係しているのか?キザで眉目秀麗な荒城、学ランの義手探偵・真野原の活躍を洒脱に描く、本格ミステリ連作集。シリーズ第三弾。

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  • 青空の卵 ひきこもり探偵シリーズ1
    4.1
    1巻550円 (税込)
    僕、外資系の保険会社に勤める坂木司には一風変わった友人がいる。それは自称「ひきこもり」のコンピュータープログラマー、鳥井真一。複雑な生い立ちのせいで心を閉ざしがちな彼を、外出させようと僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓に僕が持ち込む、身近に起こった様々な謎。彼の鋭い観察眼は、一体そこにどんな風景を描き出すのか――。大人の視点で推理し、子供の純粋さで真実を語る鳥井。そしてそんな鳥井を支える坂木。謎を解き、人と出会うことによって次第に成長していく二人の姿を描いた感動の著者デビュー作。《ひきこもり探偵》シリーズ第一弾。

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  • 青の王
    4.2
    砂漠に咲く奇跡の都ナルマーン。王宮の上空では翼をもつ魔族が飛び交い、豊かな水をたたえた池の中には魚や竜の姿をした魔族が泳ぐ。ナルマーンの王は神に選ばれ、魔族を操る力を授けられたのだ……。そんなナルマーンに住む孤児の少年ハルーンが出会ったのは、不思議な塔に閉じ込められたひとりの少女だった。ハルーンは、自分の名前も知らないというその謎めいた少女を助けて塔を脱出する。だが彼らのあとを、魔族が、そしてナルマーン軍が追いかけてきたのだ! 〈妖怪の子預かります〉シリーズで大人気、気鋭の著者が贈る傑作異世界ファンタジー。
  • 蒼の上海-Sogen SF Short Story Prize Edition-
    -
    地球が蒼類と呼ばれる異生命体に支配され、ほとんどの生き物が死滅した未来。一部の人類は海底都市へと逃げ込み、人造人間〈イレニアム〉たちを使役して海中に潜んで暮らすようになっていた。荒廃した中国・上海に、六つのポッドが着底した。海底から送り込まれたイレニアムの作戦部隊だ。彼らの任務は蒼類の活動を抑制する酵素を持つ陸生サンゴ・アマノリスの採取することだった。隊員のアニカは生まれて初めて大地を踏みしめ、訓練の記憶を頼りに街を駆け抜ける。しかし、作戦遂行のために脳内に埋め込まれた装置が解除されたことで、その視界に色彩あふれる幻の上海の姿が現れ……自らの使命と向き合う主人公の心の機微を、現実と幻が交錯する都市の姿に重ねて描く、第11回創元SF短編賞受賞作。※本電子書籍は、『Genesis されど星は流れる』(東京創元社 2020年8月28日初版発行)に収録の「蒼の上海」のみを電子書籍化したものです。『Genesis されど星は流れる』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
  • 赤い糸の呻き
    3.6
    白昼に新聞紙を鷲掴みにして死んでいた男性に何が起こったのか――。音無美紀警部のめくるめく、ぬいぐるみへの妄想と、事件の対比が秀逸な、犯人当てミステリ「お弁当ぐるぐる」。停電時のエレベータ内で起こった殺人事件。もっとも怪しいのは、手や服を血で汚した指名手配の男だが。不可能犯罪を劇的に描く「赤い糸の呻き」。都筑道夫の〈物部太郎シリーズ〉の傑作パスティーシュ「墓標の庭」など、バラエティー豊かな5編を収録。“西澤ワールド”全開ともいえる、著者入魂の傑作短編集。

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  • 赤い靴の誘惑
    4.4
    ケイティ・チャンドラー26歳。ニューヨークに出てきて1年余り。やっと自分の能力をいかせる職場と巡り合い、どうやら彼氏のいない生活からも卒業の気配。一見順風満帆のようだが、やはり人生そううまくはいかないもの。スパイ事件が発生し、社内の雰囲気は最悪に。魔法に免疫のあるケイティがスパイ事件の調査を任され、ただでさえ目が回るほどの忙しさのなか、なんとテキサスからパパとママがやってくるという。つき合いはじめたばかりの、会社の顧問弁護士で免疫者(イミユーン)仲間イーサンの協力で、なんとか無事乗りきれると思った矢先、ママが変なものが見えると言い出した。危うし、ケイティ! 好評〈(株)魔法製作所〉第2弾。
  • 赤い竪琴
    4.5
    その頃の私はいつも、どこか疲れていたし注意力散漫だった。蓄積していた疲れは私を無気力にした――漠然とした不安のなかで日常を過ごす三十代のグラフィックデザイナー・入栄暁子は、祖母の遺品から発見された、夭折の詩人・寒川玄児の日記帳を手渡すため、その孫である古楽器職人に会いに行く。この、無愛想な男との出会いは、沈んでいた暁子の心を強く揺り動かした。彼は日記の礼にと、暁子に自作の竪琴を託すが。二人とその祖父母を繋いだ“絆”と“謎”を鮮やかな筆致で描いた、静謐な恋愛小説。/解説=日下三蔵
  • 赤い館の秘密
    4.0
    長閑な夏の昼下がり、田舎の名士の屋敷、赤い館で一発の銃声が轟いた。死んだのは、オーストラリアから15年ぶりに館の主マークを訪ねてきた兄ロバート。死体を発見したのは館の管理を任されているマークの従弟ケイリーと、館に滞在中の友人を訪ねてきた青年ギリンガムだった。発見時の状況から一緒にいたはずのマークに疑いがかかるが、肝心のマークの行方は杳として知れない。興味を惹かれたギリンガムは、友人ベヴァリーをワトスン役に、事件を調べ始める。『クマのプーさん』で有名な英国の劇作家ミルンが書いた長編探偵小説、新訳決定版。/解説=加納朋子

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