作品一覧
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3.6ピーター・デス・ブリードン・ウィムジイ卿は十五代デンヴァー公爵の次男。クリケットの名手にしてワイン通、書物蒐集と音楽、そして犯罪の探究を趣味とする貴公子である。クリスティと並び称されるミステリの女王セイヤーズが創造したピーター卿は、従僕を連れた優雅な青年貴族として世に出たのち、作家ハリエット・ヴェインとの大恋愛を経て人間として大きく成長し、古今の名探偵の中でも屈指の魅力的な人物となった。本書はその貴族探偵の活躍する中短編から「不和の種、小さな村のメロドラマ」等、代表的な秀作7編を選んだ作品集である。【収録作】「鏡の映像」/「ピーター・ウィムジイ卿の奇怪な失踪」/「盗まれた胃袋」/「完全アリバイ」/「銅の指を持つ男の悲惨な話」/「幽霊に憑かれた巡査」/「不和の種、小さな村のメロドラマ」/解説=戸川安宣
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Posted by ブクログ
ドロシー・L・セイヤーズ著、宇野利泰訳『ピーター卿の事件簿【新版】』(創元推理文庫、2017年)はイギリス貴族ピーター卿が探偵となって事件を解決する推理小説である。第一次世界大戦後を舞台とする。本書は7編の中短編を収録する。怪奇的な話が多いものの、超自然的な現象は出て来ず、科学で説明できるものである。
最初の物語「鏡の映像」ではピーター卿は冤罪に陥りそうな人を救う弁護士的な役回りをする。駆けつけた警察官に対して人権侵害的な尋問を戒める。他の英国推理小説でも感じるが、英国では警察の取り調べに対する被疑者の人権尊重の意識が高い。
英米のミステリーを読んで感じることは、警察の人権侵害を抑制する意識の