ドロシー・L・セイヤーズの作品一覧
「ドロシー・L・セイヤーズ」の「大忙しの蜜月旅行」「ピーター卿の事件簿」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ドロシー・L・セイヤーズ」の「大忙しの蜜月旅行」「ピーター卿の事件簿」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
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Posted by ブクログ
十五代デンヴァー公爵の次男坊であるピーター・ウィムジイは、ワインとコーヒーそして一流の謎が好きな貴族探偵。そんなウィムジイの魅力がたっぷり詰まった短編集。7篇収録。
「盗まれた胃袋」が一番好き!
ウィムジイがいいキャラなんだよねー。飄々としていて雰囲気イケメン(容姿は普通)カッコつけすぎず、でもスマートで、ザ・英国紳士。夫婦喧嘩したら黙って皿洗い始めちゃうあたりでもうダメ、めちゃくちゃ好き。
周りも良キャラ揃いで読んでいて楽しい。
謎自体はバカミス味もあるし、本格派には
ウケなさそうな気はするけど(クリスティの方が日本で売れているのがおそらくそれ)バカミス&キャラ小説好きな私にはたまらんぐらいハマりました。これからシリーズ読むの楽しみ!(東京創元社さんの名著復刊で常連だから安心感ある)
「盗まれた胃袋」で胃袋のこと「大叔父」って呼び合っているのがたまらなく好き。
Posted by ブクログ
ミステリ評論家の森英俊さんがバークリーの「服用禁止」の解説の中で、英国黄金時代を代表する女性作家として挙げていたのが、本書のドロシー・L・セイヤーズであり、前回アンソロジーに収録されていた「疑惑」が、とても刺激的な作品だったので期待して読んでみたのだが、果たして?
本書は青年貴族「ピーター・ウィムジイ卿」が探偵役として事件を解決していく短編集であったのだが、まずはミステリ的にあっと驚くようなトリックや、どんでん返しといった分かりやすい爽快感のあるタイプではなく、所々怪奇要素が多いのが特徴的だったと書くと、江戸川乱歩や横溝正史を想像される方もいるのかもしれないけれど、彼らと雰囲気が異なるのは英国生まれの乾いたユーモアを潜ませたミステリでありながら、それを上回るようなピーター卿自身の魅力が更に加わっているからなのだと思う。
人一倍好奇心が強く『いうなれば、人間性の研究者』であると、自ら語るピーター卿はバークリーの探偵像とも似通った印象を与えそうだけれども、彼の場合はそれに加えて、自らの足を使ってできることは全て行わないと納得しない、『正確さを尊重する性格』である点には、犯罪学者である以前に人としての良心や優しさを感じさせる好感度の高さが印象深い上に、時には探偵の仕事よりも書物莵集を優先する彼の個性や、彼自身のプライベートが進展する時間軸のある世界観というのが(我が子の生まれた場面がある探偵ものというのも珍しい)、なんとも新鮮で、その辺りはセイヤーズ自身の嗜好が垣間見えそうな、微笑ましさすら感じられたのだ。
また、それとは対照的に人間の内面に眠る嫌な部分も描いていることで、本書がただの夢物語ではないことを痛感できた上に、セイヤーズの博識ぶりもあってか、物語の導入部の巧さにより、これからいったい何が起こるのだろうといった期待感も高めてくれるし、更には動機や真相に対する描き方も細やかで丁寧と、バークリーやクリスティと異なる魅力を何度も実感しながら、何よりも印象に残ったのは「不和の種、小さな村のメロドラマ」のような、人間同士の醜い争いをとことん見せながらも結末は意外な形となったことに、ピーター卿の人柄を何よりも優先させたかった、彼女自身の温情が垣間見えたことである。
Posted by ブクログ
シリーズ第十一弾。
ついに結婚へと至ったピーター卿とハリエット。
従僕のバンターと三人でハネムーン先として買い取ってあった〈トールボーイズ〉と呼ばれる田舎の農家へ向かいますが、到着してみると家は施錠されていて、待っているはずの前所有者も見当たらない状態。
何とか入れてもらった室内も整っておらず、“話が違う”感満載でとりあえず滞在していたら、地下室から前所有者の死体が発見されて・・。
まず序章での社交界を飛び交う手紙のやりとりが、「ピーター卿ついに結婚!!」というニュースのセンセーショナルな様子が伝わってきます。
個人的にはここで、"手紙といえばこの人!"の(?)、クリンプスン嬢のお手紙も載せて欲しかったところですけどw
そして、ピーター卿の母上・デンヴァー先代公妃の日記も、彼女のチャーミングな人柄が表れていますね。
そんなブライダルニュースに湧く面々をよそに、まったりとハネムーンを過ごす予定だったのに、滞在先の家は閉まっているわ、室内は整っていないわ、前所有者の債権者は押しかけてくるわ、挙句死体はみつかるわ・・等々で、
「こんなハネムーンは嫌だ。どんなハネムーン?」
という大喜利のお題の解答にもなりそうな、ドタバタ顛末になってしまい、なんともお気の毒なピーター卿&ハリエット夫妻ですが、いうても二人はラブラブですし、例によって調査に乗りだす"謎解きがお好き"な御前様。
何気に一番災難だったのはバンターで、新婚夫婦の衣食住を整える為にもう大忙しでございます(まさに大活躍)。
そんな孤軍奮闘している彼の地雷を踏みまくるラドル夫人に、さすがのバンターもブチギレる一幕も。
以前『ナイン・テイラーズ』のレビューで"キレるバンターが超レア"と書かせて頂きましたが、今回はその時以上に"バンター、おかんむり"でした(;'∀')
あと、このシリーズで引用が多いのはいつものことなのですが(カーク警視が"受けて立つ"からまた・・汗)、それに加えて今回はミュージカルばりにいきなり歌いだす場面が多めだな・・と思っていたところ、本作は元々舞台劇だったようで、確かに全体的に演劇チックだったな~・・と納得です。
そんな訳で、「大忙しの・・」というより「"大騒ぎ"の蜜月旅行」を、私も〈トールボーイズ〉に一緒に滞在しているような気分で、恋愛&ミステリを堪能させて頂きました。
オマケの短編「〈トールボーイズ〉余話」では後日譚として、三人の子どもに恵まれた、ウィムジイ家の様子が楽しく描かれていて、微笑ましいエピソードでしたね。
ということで、本作がシリーズ最後の長編となってしまい、寂しい気持ちでいっぱいです。
セイヤーズの書きかけの原稿を『イモージェン・クワイ』シリーズでお馴染みの、ジル・ペイトン・ウォルシュさんが引き継いだ長編作品があるようなのですが、こちらはまだ翻訳されていないのですかね?
とりあえずは、短編集『ピーター卿の事件簿』を読むことで心の隙間を埋めたいと思います~。