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高校最後の文化祭当日、菜月は屋上でクラスメイトの拓未に告白された直後、人生3度目のタイムリープに巻き込まれた。この状態になった菜月は同じ1時間を5回繰り返し、最後の出来事が確定事項となるのだ。その1回目、菜月が告白されるより前に拓未は転落死してしまう。同じことが操り返されるはずだったのに、いったい何が起きたのか? 菜月は残り4回のタイムリープのなかで、拓未が死なない方法を探して奔走するが……。他人に心を開けない女子高生がクラスメイトを救うために校舎を駆けめぐる、鮮やかな学園タイムリープ・ミステリ登場。/【目次】プロローグ/第一章 繰り返しの時間/第二章 文化祭の幕開け/第三章 起こるはずのない事件/第四章 深まる謎/第五章 彼女の時間/解説=村上貴史
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Posted by ブクログ
心理表現や人間関係の描き方が瑞々しく、一方でミステリとしても鮮烈な印象を残す、青春タイムリープミステリ。
彩坂美月さんは最近注目を集めつつある作家さんのイメージでしたが、ミステリの書き手としても、青春小説の書き手としても、その実力がいかんなく現れた秀作だったと思います。
これまでの人生で2回、同じ1時間を5回繰り返すタイムリープを体験した高校生の菜月。文化祭当日、菜月はクラスメートの拓未から告白された直後、再びタイムリープに巻き込まれ、時間を1時間さかのぼってしまう。そしてその1時間後、拓未は菜月に告白する前に転落死してしまい……
拓未を突き落としたのは誰か? というのがメインの謎としてあるのはもちろんのこと、もう一方見落とせないのが、なぜ最初の1時間と違う未来が訪れてしまったのか、という謎。菜月が行動を変えたことに原因があるのか。それならば菜月が行動を変えたことによって、何が変化したのか。
犯人の謎。
未来が変わってしまった謎。
この二つが大きな謎の両軸として機能し続けて、とても面白かった。そして5回という回数制限があることもサスペンスを盛り上げる。タイムリープが回数を重ねるごとに、謎は混沌として先が読めなくなる。追い込まれた菜月が最後に取った手段とは……
そうしたミステリー、サスペンスの面白さもさることながら、菜月の心理描写や人間関係の描き方も非常に上手い。友人関係の悩み、告白されて心躍る菜月の描写はもちろんのこと、話が本編である文化祭の章に入る前に、菜月の幼少時代のタイムリープの経験が描かれるのですが、これが単なる設定の説明で終わらないのがすごい。
このリープの経験が、菜月の人格形成に大きく影響を及ぼしたことが分かるエピソードとして描かれているので、単なる特殊ミステリの設定説明で終わらず、菜月の内面の変化、成長をめぐる物語の出発点としても機能している。
だからこそこの『金木星と彼女の時間』は、タイムリープを扱った特殊設定ミステリとしてだけでなく、青春小説としてもとても良くできているのです。
何年か前に本格ミステリ大賞にノミネートされた『夏の王国で目覚めない』を読んで、「これは実力のある作家さんだ」と思ったのを覚えています。
近作の『向日葵を手折る』の評判の良さ。そしてこの『金木星と彼女の時間』の完成度の高さに触れ、改めて彩坂美月さんの実力の高さを身をもって感じました。
Posted by ブクログ
上原菜月は七歳の時にタイムリープを経験して、自分がリプレイヤーだということを知っています。
同じ一時間を五回繰り返すのです。
そんな菜月が高校生になり文化祭の十月五日に人生三度目のタイムリープが始ります。
その日はクラスメイトの天野拓未に告白をされた直後でした。本当は菜月は拓未に五回告白されるはずが、一回目に屋上に向かおうとした菜月の目の前で拓未は墜落死してしまいます。
なぜタイムスリープ中の出来事が変更されてしまったのか…。
あと四回タイムスリープを繰り返すと拓未は本当に死んでしまいます。
菜月は拓未の死を食い止めようと拓未を屋上から落とした犯人を一人で学校中探し回ります。
怪しい人物が何人もいてミステリー部分は楽しめました。あとは拓未の性格がいいと思いました。あんなストレートな告白をされたり周りに対する気遣い。なんでこんな性格のいい男の子が殺されるのか全くわかりませんでした。
そしてちょっとネタバレになってしまいますが、友情の大切さですね。菜月は初め親友だと思っていた千佳と愛美から仲間外れにされたと思い込んでいますが、思い切ってタイムスリープのことを打ち明けたら応援してもらえるとは…。タイムスリープなんて、ただでさえ信じがたいことを受け入れて、協力してくれる友だちがいて、菜月は本当に良かった。
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