作品一覧

  • 風よ僕らの前髪を
    3.6
    1巻850円 (税込)
    弁護士の立原恭吾が何者かに殺害された。犯人は未だ不明の中、妻の高子は密かに養子の志史を疑い、甥の若林悠紀に彼の身辺調査を依頼する。元探偵事務所員だったとはいえ、悠紀にとっては志史は従弟というだけでなく、家庭教師として教えた子供の一人でもあった。渋々調査する悠紀だったが、志史には伯父の死亡時刻に鉄壁のアリバイがあることがわかる。誰にも心を許そうとしなかった志史の過去を調べるうちに、悠紀は愛憎渦巻く異様な人間関係の深淵を覗き見ることになる。第三十回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。/解説=宇田川拓也
  • 蝶の墓標
    3.6
    1巻1,799円 (税込)
    半身を覆う蘇芳色の痣と虚弱な心臓を持ちながら、同級生からの揶揄に対して苛烈なまでの矜持を示した少女・夏野(かや)。小学校時代、ほんの一瞬だけ彼女と交流を持った瑞葉(みずは)は、高校生となって再会したとき、さなぎから蝶に羽化したような夏野に魅了された。数年前に奇妙な自殺を遂げたかつての同級生の死を調査するなかで、二人は距離を縮めていく。自殺した少年・要(かなめ)は夏野の痣の絵を描いたという理由でいじめを受け、それを苦に死を選んだと思われていた。彼を罰するかのように、要の死体は肌の半分を赤い絵の具で痣のように汚されていた――。

ユーザーレビュー

  • 風よ僕らの前髪を

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    おーいい本を読んだ。
    なんかすごい透明で静謐というか、独特な世界観だった。
    志史に対する祖父母や母親の態度ひどすぎる。
    本当に暴力だけが虐待ではないのだなと悲しくなった。
    悠紀の詮索も高子からもう調べなくて良いと言われてるのに、自分の気持ちだけでどんどんと暴いていく過程もこのボンボンが!と良い気分ではなかったし、何もしないでほしいと願ってしまった。
    志史と理都の辛い境遇を理解したのなら、どうかこのまま何もせずにと思ってしまった。
    これで2人が自首とか自殺とかしたら最悪だなと思っていたら、ラスト物語は予想外の方向へ。
    そして完全に逆恨でびっくりした。
    理都の生死がわからないまま物語は終わってしま

    0
    2024年06月19日
  • 蝶の墓標

    Posted by ブクログ

    異母姉の母から遺産相続を受けることになった里花に課せられた条件は、異母姉・夏野の死の真相を調べることだった。かつて高校生4人が心中した事件の裏には何があったのか。奇妙な美しさを持った少女・夏野を巡る事件を描いたミステリです。
    いじめを受けた少年が自殺したとされる事件を発端として、その数年後に次々に起こる不穏な事件。その陰で夏野は何を企んでいたのか。長くは生きられないと知っていた夏野がその人生をかけてまでやりとげたかったこと、その矛先は誰に向けたものだったのか。復讐するにしても極端だし、あまりに残酷に思えたのですが。しかしその一方で要が死んでいた姿の謎や、心中現場の割れた窓の意味などが優しく、哀

    0
    2023年08月26日
  • 風よ僕らの前髪を

    Posted by ブクログ

    一人の有能な弁護士が殺されたところから物語はスタート。殺された理由は恨みによる犯行か、他の理由か。 叔母の依頼を受け調べ始めた悠紀は養子の志史とその親友の理都が関係してくる複雑な家庭環境と大人による様々な虐待へとつながる深い闇が。二人の少年たちの壮絶な人生は読んでいても苦しかった。しやりきれなさ大人の身勝手さが憎たらしい。

    0
    2024年09月21日
  • 蝶の墓標

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    塾講師をしているシングルマザーの八木里花のもとへ、弁護士から連絡が入った。
    「相続のことでお話ししたい」と言う。
    誰の相続人にもなりようもない、里花に、弁護士は、被相続人として、母親違いの姉・夏野の母親・藤田由子の名を告げた。

    相続する上で、条件が二つ。
    一つ目は、夏野の墓を守る事。
    二つ目は、夏野の死の真相を探る事。

    由子は、娘の死に疑問を抱いていた。

    条件を飲む事にした里花は、由子が書いたノートを受け取り、真相を探る事にした。
    ノートに書かれていた事とは・・。

    夏野の死については、何をか言わんだけど、
    最後は、幸せな気分にしてくれた。

    0
    2023年09月27日
  • 蝶の墓標

    Posted by ブクログ

     心臓には致命的な疾患。左半身に広がる大きな赤い痣。それでも少女は矜持を守り毅然として散っていった。
     大型の蝶のような艶やかさと儚さを併せ持ち、高校2年で自ら命を断った鈴林夏野の生き様を描くサスペンスミステリー。全11章。
              ◇
     シングルマザーとして小学2年生の息子を育てる八木里花の携帯に、弁護士を通して多額の遺産相続の話がもたらされた。

     遺産は里花の亡き父の先妻だった女性のもので、他に相続人がいないことで里花に白羽の矢が立ったのだ。ただし遺言によると、遺産相続にはひとつ条件があった。

     それは、その女性の娘で里花にとっては母親違いの姉にあたる夏野 (かや) が

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    2023年09月10日

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