【感想・ネタバレ】蝶の墓標のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年08月26日

異母姉の母から遺産相続を受けることになった里花に課せられた条件は、異母姉・夏野の死の真相を調べることだった。かつて高校生4人が心中した事件の裏には何があったのか。奇妙な美しさを持った少女・夏野を巡る事件を描いたミステリです。
いじめを受けた少年が自殺したとされる事件を発端として、その数年後に次々に起...続きを読むこる不穏な事件。その陰で夏野は何を企んでいたのか。長くは生きられないと知っていた夏野がその人生をかけてまでやりとげたかったこと、その矛先は誰に向けたものだったのか。復讐するにしても極端だし、あまりに残酷に思えたのですが。しかしその一方で要が死んでいた姿の謎や、心中現場の割れた窓の意味などが優しく、哀しいのが印象的でした。あまりに凄惨で、しかし繊細で美しい物語でもありました。

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Posted by ブクログ 2023年09月27日

塾講師をしているシングルマザーの八木里花のもとへ、弁護士から連絡が入った。
「相続のことでお話ししたい」と言う。
誰の相続人にもなりようもない、里花に、弁護士は、被相続人として、母親違いの姉・夏野の母親・藤田由子の名を告げた。

相続する上で、条件が二つ。
一つ目は、夏野の墓を守る事。
二つ目は、夏...続きを読む野の死の真相を探る事。

由子は、娘の死に疑問を抱いていた。

条件を飲む事にした里花は、由子が書いたノートを受け取り、真相を探る事にした。
ノートに書かれていた事とは・・。

夏野の死については、何をか言わんだけど、
最後は、幸せな気分にしてくれた。

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Posted by ブクログ 2023年09月10日

 心臓には致命的な疾患。左半身に広がる大きな赤い痣。それでも少女は矜持を守り毅然として散っていった。
 大型の蝶のような艶やかさと儚さを併せ持ち、高校2年で自ら命を断った鈴林夏野の生き様を描くサスペンスミステリー。全11章。
         ◇
 シングルマザーとして小学2年生の息子を育てる八木里...続きを読む花の携帯に、弁護士を通して多額の遺産相続の話がもたらされた。
 遺産は里花の亡き父の先妻だった女性のもので、他に相続人がいないことで里花に白羽の矢が立ったのだ。ただし遺言によると、遺産相続にはひとつ条件があった。
 それは、その女性の娘で、里花にとっては母親違いの姉にあたる夏野(かや)が関わった、高校生4人による集団自殺の真相を突き止めることだった。

     * * * * *

 中心人物は3人。
 1人めはプロローグ ( 第1章 ) とエピローグ ( 第11章 ) を受け持つ八木里花。
 2人めは本編の中心である鈴林夏野 ( 両親が離婚する前は八木夏野 )。
 3人めは本編で夏野と行動をともにするようになる同級生の新田瑞葉。

 突出した魅力を放っていたのはやはり高校生になった夏野です。
 華奢で透明感があり、清純な美しさを持つ夏野。そして時折り放つ妖しくミステリアスなオーラ。実に絵になる少女です。
 ちょうど吉田秋生『吉祥天女』の叶小夜子と恩田陸『六番目の小夜子』の津村沙世子の中間ぐらいといった感じでしょうか。
 そう言えば、3人とも転校生という設定が同じなのがなんかうれしい。 ( ついでながら、瑞葉のまじめで純で友だち思いのところも、小夜子の友人の由似子や沙世子の友人の雅子と共通しているのもいいですね。)

 でもオカルト要素を持たない本作では夏野は死ななければならなかったし、瑞葉も殺されなければいけなかった。
 その辺が小夜子たちの物語とは違うところで、必然性があるだけに読んでいて胸が痛みました。
 
 ストーリーについては、幾重にも伏線が張られ、それらが終盤になって巧みに回収されていくさまが、何と言っても心地よかった。

 また、本編では暴力的で不穏な展開が中心でしたが、エピローグに当たる第 11 章で、遺言とともに受け取ったメモに隠された暗号を解いた里花が、それを実行しようとうとする寸前で思いとどまったところ。そこもよかった。

 そして里花の未来に希望の光が射すラストシーン。ステキなデザートでした。

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Posted by ブクログ 2023年08月24日

シングルマザーの八木里香に藤田由子の遺産相続の話がきたところから物語は始まる。
里香とは母親違いの姉・夏野のお墓を守り、法要を営むことと夏野の死について調べ直してほしいことが遺産相続の条件だった。
夏野の過去を振り返っていくうちに見えてくる真相。
物語は緩やかなようにみえるのだが…
読んでいても苦し...続きを読むさを感じる。
想像を超えた酷さが子どもの頃に受けた傷になり、ずっと残るのかもしれないと思うと復讐劇とはいえかなりのものだった。

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Posted by ブクログ 2023年08月09日

少女が可憐な蝶に変化した時、美しくも冷酷な復讐劇が始まる… 透明感と儚さに包まれる物語 #蝶の墓標

■あらすじ
小学生時代、身体の痣が原因でいじめにあっていた少女、夏野。通っていた学校で、同級生の要が遺体となって発見される。時を経て高校生になった夏野は、友人とともに要が殺されてしまった原因を調べる...続きを読むのだった。

■きっと読みたくなるレビュー
美しい文章で綴られる物語。
しかし描かれている人物は、汚く非道な行動ばかりで、読んでいて腹立たしくなってくる。小さく弱弱しい生き物の生命の儚さを感じさせる作品です。

なにより本作の主人公、夏野の引力が強い。
人が生きていく上で守らなければならない大切なこと、周りの人への思いやりが心に浸透していく。そしてそれを守らない敵対人物には、自らを切り売ってでも虎視眈々と制裁を与えていくのだ。醜いさなぎから、美しい蝶に羽ばたいた時、復讐の鬼と変化していくのです… 怖っ

そして友人の瑞葉との関係性ですよ。透明感と儚さに包まれる感じで、胸が締め付けられてしまいます。

対して敵対する登場人物の同級生や先生たち。あまりにもクズ。クズっぷりがヒドイ。どうしてこんなにも自分勝手で、悪意に満ちた人生を歩めるのか問いたいですね。

また本作、話の構成としては実は複雑で人間関係も入り組んでいます。ミステリーとしても読みごたえがある作品です。

長いお話ではないのですが、芸術性が高く、人間性、心情描写が分厚い一冊。時間を取って丁寧に読みたいミステリーでした。

■きっと共感できる書評
美しすぎる復讐劇… これを読んでいると主人公の行い芸術的にすら思えてくる。ただどんな背景があろうとも、自分を傷つけてまで、罪を償わせる行為は正しいのか。もっと早く手を差し伸べてあげられたら、どんなによかったでしょう。

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Posted by ブクログ 2023年06月12日

ミステリー物に分類される作品だと思います。
私はまんまとミスリードの罠にひっかかりました。

全ての謎が解けたラストシーンは「おぉ、そう来るのか!?」と見事にやられました。

比喩も美しく読み易い文章で、グロテスクな描写もある作品ですが読み終わったら意外とスッキリしています。

ただ、主要な人物達の...続きを読む心理描写にちょっとムリがあったり、理解できない部分があったりで、感情移入して読める作品ではなかったです。


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Posted by ブクログ 2024年03月25日

腹違いの姉夏野の死の真相を調べることを条件に遺産相続の話が来た里花の話。4人の心中事件、回想される姉の過去、知ってしまった後の選択、場面が変わるにつれページを捲る手が重くなる。知りたい、けど知りたくない、このジレンマが心地よい。きっと私も夏野に魅入られた1人

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Posted by ブクログ 2023年09月05日

感想
いじめ。あまりにも残酷だが人間の本能に根差した行動。やめさせられないと悟った時に人は復讐に走る。それはあまりに悲しいが仕方ないこと。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年07月26日

復讐劇の話だった。
しかし、p39の、後ろの黒板に描かれた絵に対し、「何て手の込んだ悪意だろう。まるで童話の一場面みたいな、こんなメルヘン画に見立てて夏野の痣を揶揄するなんて。」という考えに違和感を感じた。繊細な画でたくさんの花達と蝶の翅を持つ妖精という点で、いくら痣らしきものが上腕部にあろうと、そ...続きを読むの絵を想像してみるにパッと悪意なんぞ感じられない。

"カーヤの翅"というストーリーは好き。
本著の終わり方は曖昧で微妙だった。

夏野はそこで何をするつもりなのか話してくれない。私を蚊帳の外に置こうとすることが淋しかった。それが私を「善意の第三者」的立場にしておく気遣いだとしても。p163
>洒落かな?笑

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Posted by ブクログ 2023年07月22日

 ドキッとする場面が、頭の中で想像→発展します❢

 身近な学校で起きた、いじめと殺人❢ 違和感の中にも、衝撃的❢

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