中学二年生の一年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した。夏休みにひとり。それと、冬休みにもうひとり。……あたしはもうだめ。こわくて、どうしたらいいかわからなくて、いまにもからだが勝手に生命活動を停止してしまいそう。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけ。宮乃下静香だけだったから――。これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。直木賞受賞作家が『私の男』に先駆け、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いた慟哭の傑作!
Posted by ブクログ 2013年07月14日
少女が主人公なのに初めから漂うあきらめにも似た雰囲気が生々しい。
DV気質の義父、遺産を独り占めするために殺そうとする男。
2人とも本当に「死んじゃえばいいのに」と思ってしまう。
最後は罪の重さに耐えきれず、自首する主人公2人だけどホッとしてしまった。
自首するような良心さえなければ2人は本当に化け...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年02月03日
戦う少女達のお話。
境遇は違うとはいえ、元・少女としてはリンクする部分多数。
あの嵐のような感情を、どうしてこの人はこんなにも鮮明に描けるんだろう。
少女時代にこの本があったら、私のバイブルになってたと思う。
ずっと夢の中のようだったのに、ラストでグッと現実に引き戻された感じ。
あのラスト ハ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月15日
一気に読み終えてしまった。
そして、自分の魂がこの離島の夏の海と山の間にある通学路あたりにまだ浮遊してる気分。(終わりは冬ですが)
中学2年の少女。
大西葵は学校ではおちゃらけたりして、友だちに囲まれてる。幼馴染の田中颯太とは、ゲーム仲間。
でも家に帰ると、ママが飼ってるペット・・心臓と足が悪くて...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年04月11日
冒頭からいきなり、好奇心を掻き立てられる物騒な文章で始まる。ぐいぐい惹きこまれていく文章技術は、桜庭一樹さんならでは。
中学2年生のクラスの人気者の明るい女性徒・大西葵が、殺人者となる。
荒涼たる主人公の心象風景をそのまま置き換えたような、四季折々の情景の描写、それがあまりにもリアルで切なくて孤独感...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年02月09日
主人公の大西葵(13歳)は2人の人間を殺してしまう。
夏休みに1人(義理の父親)。
まぁ、コレは故意のような過失のような感じなんやけど、、、。
その時、葵のそばにいたのは宮乃下静香。
その静香に頼まれて(?)、冬休みに、もぉ1人。
静香の従兄弟の浩一郎さん。
こっちは、故意。
しかも、浩一郎さんも静...続きを読む