中公新書 - 切ない作品一覧

  • ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで
    4.1
    ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。 学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。 五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。 古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。 三〇〇〇年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。 ■目次 序 章 組み合わせから見る歴史 第1章 古代 王国とディアスポラ 1 ユダヤ教以前のユダヤ人?――メソポタミアとエジプトのあいだで 2 ユダヤ教の成立――バビロニアとペルシア帝国 3 ギリシアとローマ――キリスト教の成立まで 第2章 古代末期・中世――異教国家のなかの「法治民族」   1 ラビ・ユダヤ教の成立――西ローマとペルシア 2 イスラーム世界での繁栄 西アジアとイベリア半島 3 キリスト教世界での興亡――ドイツとスペイン 第3章 近世――スファラディームとアシュケナジーム 1 オランダとオスマン帝国――スファラディームの成立 2 ポーランド王国との邂逅――アシュケナジームの黄金時代 3 偽メシア騒動からの敬虔主義誕生――ユダヤ教の神秘主義 第4章 近代――改革・革命・暴力 1 ドイツとユダヤ啓蒙主義――同化主義なのか 2 ロシア帝国とユダヤ政治――自由主義・社会主義・ナショナリズム 3 ポグロムとホロコースト――東欧というもう一つのファクター 第5章 現代――新たな組み合わせを求めて 1 ソ連のなかの/ソ連を超えるユダヤ人――社会主義的近代化 2 パレスチナとイスラエル――「ネーション」への同化 3 アメリカと文化多元主義――エスニシティとは何か むすび あとがき 参考文献 ユダヤ人の歴史 関連年表
  • アーロン収容所 改版 西欧ヒューマニズムの限界
    4.6
    英軍は、なぜ日本軍捕虜に家畜同様の食物を与えて平然としていられるのか。女性兵士は、なぜ捕虜の面前で全裸のまま平然としていられるのか。ビルマ英軍収容所で強制労働の日々を送った歴史家の鋭利な筆はたえず読者を驚かせ、微苦笑させつつ西欧という怪物の正体を暴露してゆく。激しい怒りとユーモアの見事な結合がここにある。強烈な事実のもつ説得力の前に、私たちの西欧観は再出発を余儀なくされるだろう。
  • カラー版 キリスト教美術史 東方正教会とカトリックの二大潮流
    4.3
    ローマ帝国時代、信仰表明や葬礼を目的として成立したキリスト教美術。四世紀末に帝国は東西分裂し、やがて二つの大きな潮流が生まれる。一方は、一〇〇〇年にわたって不変の様式美を誇ったビザンティン美術。他方は、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックと変革を続けたローマ・カトリックの美術である。本書は、壮大なキリスト教美術の歴史を一望。一〇〇点以上のカラー図版と共に、その特徴と魅力を解説する。
  • 戦後日本政治史 占領期から「ネオ55年体制」まで
    3.8
    日本国憲法の枠組みの中にある戦後日本政治。自民党と社会党のイデオロギー対立は1960年の安保改定問題で頂点を迎える。以降、自民党は経済成長に専心し、一党支配を盤石にした。80年代末以降は「改革」が争点となるも、民主党政権を経て、第二次安倍政権以降は再び巨大与党と中小野党が防衛問題を主な争点として対峙している。本書は憲法をめぐる対立に着目して戦後政治をたどり、日本政治の現在地を見極める。
  • リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで
    3.9
    現代のリベラルは「すべての個人が自由に生き方を選択できるよう、国家が一定の再分配を行うべきだ」と考える。リベラルは17世紀ヨーロッパの自由主義から思想的刷新を重ね、第二次世界大戦後は先進諸国に共通する政治的立場となった。しかし20世紀後半の新自由主義や近年のポピュリズムなどの挑戦を受け、あり方の模索が続く。本書は理念の変遷と現実政治の展開を丁寧にたどり、日本でリベラルが確立しない要因にも迫る。
  • 会津落城 戊辰戦争最大の悲劇
    3.7
    慶應四年春、幕府軍は鳥羽伏見の戦いで敗れて瓦解した。江戸城無血開城を経て戦場は東北に移る。長岡での激戦、白河の攻防、日光口での戦い……、会津藩をはじめ奥羽越列藩同盟軍は各地で戦いつづけるが、薩長軍はついに国境を破り会津若松に突入、一カ月に及ぶ籠城戦がはじまる。なぜこれほどまで戦わねばならなかったのか。会津藩の危機管理、軍事・外交、人材育成を検証しつつ、戊辰戦争最大の悲劇を浮き彫りにする。
  • iPS細胞 不可能を可能にした細胞
    4.0
    2007年、京都大学の山中伸弥教授が、ヒトの細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作りだすことに成功した。安全性や倫理上の多くの問題を回避できるiPS細胞は、医療・製薬の研究にめざましい進歩をもたらした。14年には、iPS細胞をヒトに移植する手術が行われ、また、既存の薬が別の疾患にも効くことが判明するなど、臨床研究でも大きな成果を出している。iPS細胞が変える医療の未来に迫る。
  • 悪と往生 親鸞を裏切る『歎異抄』
    3.0
    親鸞の教えと『歎異抄』の間には絶対的な距離がある。この距離の意味を考えない限り、日本における「根元悪」の問題も、「悪人」の救済という課題も解けはしない。中世以来、あまたの人々の心を捉え読み継がれてきた『歎異抄』は、弟子・唯円の手になる聞き書きであった。だがその唯円は、「裏切る弟子」=ユダではなかったか。本書は、『歎異抄』を解体しつつ、現代社会に濃い影を落とす〈悪〉という難題に対峙する。著者の親鸞理解の到達点。
  • 悪名の論理 田沼意次の生涯
    4.0
    ナポレオンはメッテルニヒを「世紀最大の嘘つき」と呼んだ。 一度はその愛人だったこともあるリーフェン公爵夫人さえも、「世にも稀れな偽善者」とののしった。 田沼意次の場合も嫌われかたがよく似ている。 徳川の為政者中、彼ほど世間から口汚く罵倒され、あげくは汚辱の淵に蹴落されて深く沈淪しているものはない。 東西をとわず悪名高い為政者には共通の政治的性格の特徴があるが、不評の条件とは何か。 意次の生涯をたどって追究する。
  • アジア経済とは何か 躍進のダイナミズムと日本の活路
    4.4
    戦後アジアをリードした日本経済。しかし20世紀の終わりから長期停滞に陥っている。一方、中国を筆頭にASEANなどのアジア諸国・地域は躍進し、21世紀は「アジアの世紀」とされる。日本の家電メーカーなどの凋落と、中国はじめアジア企業の急成長に象徴される激変の本質は何か。「グローバル・バリューチェーン」「インテグラル/モジュラー型」といった鍵となる概念をわかりやすく解説し、日本の活路を示す。
  • 飛鳥の木簡―古代史の新たな解明
    4.0
    かつて日本古代史は、『日本書紀』『古事記』や中国の史書に頼らざるを得なかった。だが一九九〇年代後半以降、三万点以上に及ぶ飛鳥時代の木簡の出土が相次ぎ、新たな解明が進み始める。本書は、大化改新、中国・朝鮮半島との関係、藤原京造営、そして律令制の成立時期など、日本最古の木簡から新たに浮かび上がった史実、「郡評論争」など文献史料をめぐる議論の決着など、木簡解読によって書き替えられた歴史を描く。第2回古代歴史文化賞大賞受賞作。
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    4.0
    『旧約聖書』に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遥かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。
  • アメリカ黒人の歴史 増補版 奴隷貿易からオバマ大統領、BLM運動まで
    4.0
    1巻1,078円 (税込)
    黒人たちはアメリカ社会の底辺にいるとされてきた。だが二〇世紀後半、徐々に社会的地位を高め、中産階級の仲間入りをする者も現れる。文化や芸能、スポーツなどの分野での活躍は目覚ましく、政財界に進出した例も少なくない。本書は、アメリカ独立以前から南北戦争、公民権運動を経て現代まで、差別に直面しながらも境遇改善の努力を積み重ねた彼らの歩みを辿る。二〇一〇年代に勃興したBLM運動を概観する新章を収録。
  • ある明治人の記録 改版 会津人柴五郎の遺書
    4.5
    明治維新に際し、朝敵の汚名を着せられた会津藩。降伏後、藩士は下北半島の辺地に移封され、寒さと飢えの生活を強いられた。明治三十三年の義和団事件で、その沈着な行動により世界の賞讃を得た柴五郎は、会津藩士の子であり、会津落城に自刃した祖母、母、姉妹を偲びながら、維新の裏面史ともいうべき苦難の少年時代の思い出を遺した。『城下の人』で知られる編著者が、その記録を整理編集し、人とその時代を概観する。
  • 安楽死・尊厳死の現在 最終段階の医療と自己決定
    4.3
    21世紀初頭、世界で初めてオランダで合法化された安楽死。同国では年間6000人を超え、増加の一途である。容認の流れは、自己決定意識の拡大と超高齢化社会の進行のなか、ベルギー、スイス、カナダ、米国へと拡散。他方で精神疾患や認知症の人々への適用をめぐり問題も噴出している。本書は、〝先進〟各国の実態から、尊厳死と称する日本での問題、人類の自死をめぐる思想史を繙き、「死の医療化」と言われるその実態を描く。
  • イタリア現代史 第二次世界大戦からベルルスコーニ後まで
    4.0
    19世紀半ばに建国したイタリア王国は、ファシズムの台頭と第2次世界大戦の敗戦を経て、1946年に共和国へと生まれ変わる。デ・ガスペリらが主導する戦後復興を経て、50年代に高度経済成長を実現したものの、その後の歩みは平坦ではなかった。モーロ元首相の誘拐・暗殺事件に代表される左右のテロや横行する汚職、そして繰り返される改革の試みと挫折……。70年の戦後の歴史をたどり、この国の相貌を描き出す。
  • 伊藤博文 知の政治家
    4.1
    幕末維新期、若くして英国に留学、西洋文明の洗礼を受けた伊藤博文。明治維新後は、憲法を制定し、議会を開設、初代総理大臣として近代日本の骨格を創り上げた。だがその評価は、哲学なき政略家、思想なき現実主義者、また韓国併合の推進者とされ、極めて低い。しかし事実は違う。本書は、「文明」「立憲国家」「国民政治」の三つの視角から、丹念に生涯を辿り、伊藤の隠された思想・国家構想を明らかにする。
  • 歌う国民 唱歌、校歌、うたごえ
    3.8
    日本人の心の原風景として語られることの多い唱歌だが、納税や郵便貯金、梅雨時の衛生などの唱歌がさかんに作られた時期がある。これらは、ただひたすらに近代化をめざす政府から押しつけられた音楽でもあった。だが、それさえも換骨奪胎してしまう日本人から、歌が聞こえなくなることはなかったのである。唱歌の時代から「うたごえ」そして現代までをたどる、推理小説を読むような興奮あふれる、もう一つの近代史。
  • エジプト革命 軍とムスリム同胞団、そして若者たち
    4.3
    ムバーラクの三〇年にわたる独裁は、二〇一一年、民衆による「一月二五日革命」で幕を閉じた。しかし、その後の民主化プロセスの中で、軍とムスリム同胞団が熾烈な権力闘争を展開し、革命の立役者である若者たちは疎外されていく――。エジプトの民主主義は、どこで道を誤ったのか。アラブの盟主エジプトが迷走した、二年半におよぶ歴史上の劃期を、軍・宗教勢力・革命を起こした青年たちの三者の視点から追う。
  • 江戸の災害史 徳川日本の経験に学ぶ
    5.0
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 江戸時代は大災害が集中した、日本史上でも稀な時期である。 江戸を焼き尽くした明暦の大火、富士山の大噴火、日本史上最大級の宝永地震、度重なる飢饉などの記憶は今も語り継がれている。 一方、幕府や藩、地域社会、家の各レベルで人々が防災に取り組んだのも江戸時代に入ってからだった。 いのちを守るシステムはいかに形成され、いかに機能しなくなったのか。 災害と防災から見えてくる新たな江戸三百年史の試み。
  • 江戸文化評判記 雅俗融和の世界
    3.0
    江戸には江戸の文化を成熟させた先人がいた。その果実は、現代と全く異なる味わいがあるからこそおもしろい。著者は、江戸の文物を部品に一人乗りのタイム・マシーンを組み立てて江戸観光を企てる。着いた時代は伝統の「雅」と新興の「俗」の両文化が見事に融和した壮年期の江戸。中央はもとより地方にも足を延ばし、一癖も二癖もある多彩な人々を訪れ、出版事情を探り、文人大名の蔵書も拝見。まずはこれを評判記に刻んで御報告の仕儀。
  • NPOとは何か 災害ボランティア、地域の居場所から気候変動対策まで
    4.3
    政府・自治体や企業から独立した民間の非営利団体・組織=NPO。阪神・淡路大震災後のボランティア活動以降、広く知られる。近年、子どもの貧困や孤独、気候変動など新たな社会課題が顕在化すると、行動の中心となり、活動分野と範囲を拡大。かつての会社や地域社会のような人と人を結び付ける「中間集団」が細るなか、その受け皿としても注目される。本書は、歴史、制度、存在理由から特性まで、把握しづらい実態を描く。
  • 黄金郷(エルドラド)伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義
    4.0
    コロンブスの新世界到達を契機として、ヨーロッパ人は南米へと進出した。黄金郷という見果てぬ夢を追い、己の全財産、全人生をかけて、彼らは探険を決行。その黄金にかける情熱は、やがて南米北部におけるスペインとイギリスの覇権争いにつながっていく。緑の秘境として知られるギアナ高地。そこは黄金の争奪戦が繰り広げられ、探険を侵略の道具とする「探険帝国主義」の舞台だった。黄金と領土争奪の五百年のドラマを追う。
  • 大御所 徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか
    3.3
    関ヶ原の決戦を制した徳川家康は征夷大将軍となり、江戸幕府を開いた。その職をわずか二年で秀忠に譲るが、駿府城に移ったのちも実権を掌握。多彩なブレーンを活用して、御三家の創設、諸大名や朝廷の統制、対外関係の再構築など、政権基盤の強化に努めた。他方では最大の脅威である豊臣家を滅亡へと追い込んでいく。大坂の陣終結の翌年に没するまで十一年にわたった大御所政治を辿り、幕藩体制成立の過程を明らかにする。
  • 大伴家持 波乱にみちた万葉歌人の生涯
    3.5
    大伴家持(七一八頃~七八五)は、天平文化を代表する歌人であり、『万葉集』の編纂にも関わったとされる。橘奈良麻呂の変など、無数の政争が渦巻く時代を官人として生き、さまざまな美しい景色や多くの親しい人々との思い出を歌に込めた。その歩みを追うと、時代に翻弄されながら、名門一族を背負った素顔が浮かび上がる。本書は、残された資料と各所で詠んだ歌から、謎の多い彼の全生涯を描き出す。
  • 沖縄問題―リアリズムの視点から
    4.7
    米軍海兵隊の普天間飛行場の移設をめぐる国と沖縄県の対立は根深い。保守と革新の単純化した構図でとらえられることの多い沖縄問題をどう考えればよいのか。本書では琉球処分、沖縄戦から米国統治、そして日本復帰という近代以降の歴史を踏まえ、特に沖縄県の行政に注目し、経済振興と米軍基地問題という二大課題への取り組みを追う。理想と現実のはざまで苦闘しつつも、リアリズムに徹する沖縄の論理を示す。
  • 織田信忠―天下人の嫡男
    3.9
    織田信忠は、父信長から才覚を認められ、十九歳の若さで家督を継承した。大軍の指揮を任され、紀伊雑賀攻めに続き、謀叛した松永久秀の討伐に成功。さらには先鋒の大将として信濃・甲斐に攻め入り、宿敵武田氏を滅ぼして信長から称賛される。だが凱旋からほどなく、京都で本能寺の変に遭遇。明智光秀の軍勢に包囲され、衆寡敵せず自害した。実績を積み重ね、将来を嘱望されながらも、悲運に斃れた二十六年の生涯をたどる。
  • オットー大帝―辺境の戦士から「神聖ローマ帝国」樹立者へ
    3.5
    カール大帝の死後、フランク帝国は3分割される。そのひとつ、東フランク王国の貴族の子として912年に生まれたオットーは、父による東フランク王位獲得の後、936年、国王に即位する。東方異民族による度重なる侵攻、兄弟や息子たちの叛乱、3度のイタリア遠征と、その生涯は戦役の連続だった。カール大帝の伝統を引く皇帝戴冠を受け、のちに神聖ローマ帝国と称される大国の基盤を築いた王者の不屈の生涯を描く。
  • オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」
    4.2
    オペラ――この総合芸術は特定の時代、地域、社会階層、そしてそれらが醸し出す特有の雰囲気ときわめて密接に結びついている。オペラはどのように勃興し、隆盛をきわめ、そして衰退したのか。それを解く鍵は、貴族社会の残照と市民社会の熱気とが奇跡的に融合していた十九世紀の劇場という「場」にある。本書は、あまたの作品と、その上演・受容形態をとりあげながら「オペラ的な場」の興亡をたどる野心的な試みである。
  • 女たちの幕末京都
    3.0
    開国か攘夷かをめぐり、幕末の政治の中心は江戸から朝廷のひざもと、京都へ移った。歴史は男たちの活躍する格好の大舞台を提供し、のちに多くの書物に取り扱われた。本書は、ともすれば歴史の片隅で取り上げられてきた女性たち、たとえば安政の大獄で逮捕された老女村岡、皇女和宮と協力して徳川家を救った庭田嗣子と土御門藤子、岩倉具視に「手のつけられぬ女」といわれた若江薫子らに光を当て、歴史の面白さを掘りおこす。
  • 陰陽師(おんみょうじ) 安倍晴明と蘆屋道満
    4.0
    古くから説話や伝説に彩られてきた陰陽師。近年では小説や映画にも登場し、呪術により凄まじい力を発揮する。世界を滅ぼしかねない超人として描かれることも少なくない。では実在の陰陽師たちはいかなる活動に従事していたのか。安倍晴明らが絶大な名声を博したのはなぜか。藤原道長ら同時代の王朝貴族が残した日記を手がかりに、知られざる実像に迫る。さらには、陰陽師を必要とした平安時代の人々の心性をも明らかにする。
  • オールコックの江戸 初代英国公使が見た幕末日本
    4.3
    19世紀半ば、江戸―ロンドン間の文書のやりとりに蒸気船で半年近く要した時代、一人の外交官が担う責任は、今日とは比較にならないほど大きかった。 そんな時代、日英関係の仕事は、初代駐日公使ラザフォード・オールコックの手に完全に託されていたといってよい。 本書は、1859年から1862年まで、日本の外交にとって決定的に重要だった3年間の彼の思考と行動を、在外史料を駆使していきいきと描いた幕末物語である。
  • 華族 近代日本貴族の虚像と実像
    3.6
    明治維新後、旧公卿・大名、維新功労者などから選ばれた華族。「皇室の藩屏」として、貴族院議員選出など多くの特権を享受した彼らは、近代日本の政治、経済、生活様式をリードした「恵まれた」階級のはずだった。日清・日露戦争後、膨大な軍人や財界人を組み込み拡大を続けたが、多様な出自ゆえ基盤は脆く、敗戦とともに消滅する。本書は、七八年間に一〇一一家存在したその実像を明らかにする。巻末に詳細な「華族一覧」付き。
  • カナダ―資源・ハイテク・移民が拓く未来の「準超大国」
    4.0
    留学・移住先として日本での人気は高いが、実情は知られていないカナダ。 食糧やエネルギー豊かな資源大国、ノーベル賞学者を育んだAIや量子技術の開発国、地球温暖化対策の先進国、そして移民立国など多様な側面を持つ国の光と影を紹介。 「アメリカの51番目の州」との揶揄もあるが、自由・民主主義・人権重視をわが国と共有する外交パートナーとして存在感を高めている。 未来の「準超大国」の可能性と課題とは? はじめに――知られざる未来の「準超大国」の実力 序 章 カナダ――50年余の歩み 第一章 資源大国の実力―食料からエネルギー︑鉱物まで 1自給率230%を誇る世界の食料庫  2エネルギー――国家存続の核心 3重要鉱物―温暖化と地政学の交差点 コラム① 恐竜と石炭と古生物と 第二章 知られざるハイテク先進国―AIから量子まで 1AI国家戦略 2量子を制する者が世界を制す 3最先端技術をビジネスへ コラム② シルク・ドゥ・ソレイユ 第三章 移民立国の理想と現実 1移民国家カナダの誕生と発展 2現在の移民制度の概要   3「過剰な移民」という世論をめぐって コラム③ 柔道とカナダ 第四章 地球温暖化対策への挑戦と苦悩 1トルドー政権の取り組み 2グリーン・エコノミー最前線 3地球温暖化対策をめぐる国内の難題 コラム④ ジョニ・ミッチェルの音楽的冒険と予言 第五章 ミドルパワー外交の地平 1カナダ外交を読み解く3つの視点 2南の巨象・アメリカ合衆国 3インド太平洋戦略 コラム⑤ メープル・シロップ 終章 日加関係の「新しい時代」へ
  • カラスはどれほど賢いか 都市鳥の適応能力
    3.5
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 都市の発展により多くの野生鳥が姿を消したが、一方では環境に適応することによって、積極的に都市に進出する鳥群が観察される。 その頂点に君臨するのがカラス軍団であり、いま都市にあってはカラスとヒトの知恵比べが、熾烈に進行中なのである。 本書は都市鳥研究会にあって長年、野鳥を観察研究してきた著者が、その成果を克明に報告するとともに、カラスに対する人間の愛憎半ばする感情をさまざまな文献に探る、カラス百科である。 ■□■目次■□■ 序章 野鳥にとって都市とは何か 第1章 銀座のカラスはカァーと鳴く 第2章 ヒートアイランドの夜 第3章 カラスを追跡する 第4章 都会派カラスの子育て法 第5章 街中のスカベンジャー 第6章 カラスの知恵袋 第7章 カラスの遊戯 第8章 カラスと人の交友 第9章 カラスと人の知恵比べ 第10章 カラスの博物学
  • カラー版 絵画で読む『失われた時を求めて』
    3.7
    二〇世紀を代表する作家・プルースト(一八七一~一九二二)。その生涯をかけて執筆した『失われた時を求めて』は著名だが、長大さや難解さから挫折する人も多い。本書は絵画を手がかりにそのエッセンスを紹介。彼が作品で描いた恋愛、同性愛、死、ユダヤ人、スノビズム、時間、芸術論などの主題をわかりやすく案内する。この大作の個人全訳を成し遂げた、プルースト研究の第一人者による最良の入門書。図版六九点収載。
  • カラー版 極限に生きる植物
    3.0
    富士山をはじめとする日本の高山には、厳しい自然のなかで可憐に花ひらく植物たちが生きている。また、アンデスやヒマラヤ、南米の砂漠、北極圏や南極大陸などの過酷な環境にも、個性的な植物が数多く存在する。百年も長生きする草、高さ百メートルを超える巨木、多機能な葉を持つ植物など、地球の長い歴史のなかで厳しい環境に適応して生きつづけてきた植物のふしぎな生態に迫る。
  • カラー版 東海道新幹線歴史散歩 車窓から愉しむ歴史の宝庫
    4.5
    新幹線の窓からなにが見えるだろうか。縄文時代の貝塚から昭和の歴史遺産まで、見どころ満載なのが東海道新幹線だ。田子ノ浦や老蘇の森に古代の貴族たちが詠んだ風景を想像し、清州城や関ヶ原の古戦場に戦国大名の栄枯盛衰をたどる。明治の先取の気質を豊田佐吉の生家や井上勝の墓に感じ、熱海城や八ツ山橋にゴジラの悲哀を思う。車窓に拡がる歴史的スポット百カ所以上を全線地図とカラー写真を付して詳述。乗り越し注意。
  • カラー版 日本画の歴史 現代篇 アヴァンギャルド、戦争画から21世紀の新潮流まで
    4.0
    昭和十年代、前衛美術集団の離合集散が続いた。だが、新しい絵画の胎動は戦時体制に飲み込まれ、富士山や軍人など国威昂揚を意図した絵画が制作されるようになる。戦後は国粋主義への批判から「日本画滅亡論」が唱えられ、新しい道の模索を余儀なくされた。本書は、前衛として戦前に注目された吉岡堅二らから、戦時中、そして復興に寄り添って人気を博した東山魁夷や平山郁夫の活躍、さらに、平成以降の新潮流までを描く。
  • 韓国愛憎 激変する隣国と私の30年
    4.0
    ここ30年間で韓国は大きく変わった。独裁から民主国家へ、発展途上国から先進国へと。20世紀に日本が「弟」と蔑んだ韓国は過去のものだ。他方、元慰安婦を始め歴史認識問題が顕在化、日韓の対立は熾烈さを増す。21世紀に入り、政治、経済から韓流、嫌韓まで常に意識する存在だ。本書は、1980年代末、途上国だった隣国に関心を抱き、韓国研究の第一人者となった著者が自らの体験から描く、日韓関係の変貌と軋轢の30年史である。
  • 韓国大統領列伝 権力者の栄華と転落
    3.7
    独立以来8人を数える韓国大統領のうち、1人は暗殺され、3人は任期途中で下野、2人は退任後、逮捕された。反日親米の国づくりを進めたものの、民衆の支持を失い亡命した李承晩、独裁統治で高度経済成長を達成したが、酒宴の最中、ナンバー2に暗殺された朴正煕……。クーデタ、逮捕、断罪、特赦、亡命など転変きわまりない浮沈を重ねた歴代大統領の生い立ちから、権力掌握のプロセス、その挫折までを活写する。
  • 肝臓のはなし 基礎知識から病への対処まで
    4.0
    現代の日本人は、四~五人に一人の割合で、肝機能に異常があるとされる。「沈黙の臓器」である肝臓の異変に気づかぬまま、慢性の病で死に至る場合も多い。本書では、健康診断以外で意識しづらい肝臓について、基礎知識をイチから解説。飲酒やダイエットとの関係、健診項目の見方、主な肝臓病と最新の治療などを、医学史の流れをふまえつつ紹介する。健康な毎日のために知っておきたい、人体最大の臓器をめぐる医学講義。
  • 官僚制批判の論理と心理 デモクラシーの友と敵
    3.9
    多くの人が福祉社会を志向しているにもかかわらず、それを支えるはずの行政への不信が蔓延している。本書では、目まぐるしく変わる政治状況を横目に見ながら、官僚制批判のさまざまな連関が辿られていく。トクヴィル、カフカ、ハーバーマス、シュミット、アーレントら幅広い論者が呼び出され、ウェーバーの官僚制論が現在との関連で検討される。官僚制と戦う強いリーダーが待望される現実と対峙する鋭利な政治思想史。
  • カーストとは何か インド「不可触民」の実像
    4.5
    インドに根付く社会的な身分制=カースト。数千年の歴史のなかで形成され、結婚・食事・職業など生まれから規制し、今なお影響を与え続ける。カースト問題には、「不浄」とされ蔑視が続く最底辺の不可触民=ダリトへの差別がある。政府は2億人に及ぶダリトを支援する施策を打つが、その慣習は消えず、移民した世界各国でも問題化している。本書はインドに重くのしかかるカーストについて、歴史から現状まで、具体的な事例を通し描く。
  • 外交とは何か 不戦不敗の要諦
    4.3
    『日本経済新聞』(朝刊)2025年4月12日、『外交』2025年,vol.91、『公明新聞』2025年7月7日等に書評掲載 米中の覇権争い、あいつぐ戦争。 試練の時代に日本外交はどこへ、どう向かうべきか。 戦後に吉田茂が残した名言がある。 《戦争に負けて、外交で勝った歴史はある》 この言葉は、戦前、戦争に反対し、戦後は外交によって敗戦からの再建と国際社会への復帰に道筋をつけることになる外政家だからこそ口にできた言葉である。 本書が探るのは戦争をせず外交で平和的に問題を解決するための要諦である。 現実主義と理想主義、地政学と戦略論などの理論、E・H・カーやキッシンジャーらの分析に学ぶ。 また陸奥宗光、小村寿太郎、幣原喜重郎、吉田茂、そして安倍晋三らの歩みから教訓を導く。 元外交官の実践的な視点から、外交センスのある国に向けた指針を示す。 序 章 外交とは何か 外務省極秘調書『日本外交の過誤』/外交か軍事か?/外交の定義/外交の起源と外交慣行・外交思想の形成/外交官の使命 第1章 日本外交史の光と影 3つの時代区分 1「調和」の時代(1853~1912年) 開国外交/近代日本外交の始動/「坂の上の雲」をめざした明治日本の外交/四人の外政家/主権線と利益線/日清戦争と陸奥外交/日英同盟論と日露協商論/日露開戦とポーツマス講和会議/韓国保護国化と伊藤の統監就任/明治の戦争が残したもの 2「攻防」の時代(1912~31年) 明治モデルの限界/原敬を失った大正日本/ワシントン体制と軍の反撃/協調外交と強硬外交/統帥権干犯問題 3「崩壊」の時代(1931~45年) 満州事変/「昭和維新」/外務省革新派と三国同盟/日米交渉/振り子原理と幻の日米首脳会談/ジョージ・ケナンの批判 第2章 戦前の教訓と戦後の展開 1「崩壊」の原因 陸軍の独断専行/真のリーダーの不在/外交「崩壊」の原因 2「外交優先」の時代(1945年~) 第3章 法と力 1外交の現場たる国際社会の本質 「法の支配」の脆弱性/自然権と自然法/「力」の視点 2リアリズムとリベラリズム 台頭国家による国際秩序への挑戦/権力と国際秩序/現実主義か理想主義か?/アメリカ外交の理想と現実/理想主義的現実主義 第4章 内政と外交 カギを握る内政/世論と外交/政治体制と外交/外交一元化/錯綜する利益の国内調整/外交の透明性/外交文書の公開 第5章 国益とパワー 国益とパワーの関係 1国益論 死活的国益/力の論理と自由の価値/日本の国益 2外交とパワー パワーとは何か?/核兵器と「相互確証破壊」/「強制外交」と「力の行使」 3外交実務の要諦 (1)全体性/(2)両立性/(3)持続性/(4)直接性/(5)相互主義/(6)合理性/(7)正当性/(8)戦略性 第6章 戦略と地政学 戦略とパワー/大国関係と戦略/「封じ込め」/「デカップリング(切り離し)」と「デリスキング(リスク低減)」/「戦略的競争」と「競争的共存」/「戦略的安定」と「戦略的パートナーシップ」/戦略の背景にある地政学/米国の海洋覇権に対する中国の挑戦/中国の海洋戦略/自由で開かれたインド太平洋/米国の海洋安全保障戦略 第7章 外交力の要諦 「外交力」とは何か? 1情報力 外交における「情報」とは何か?/情報収集の要諦/機密情報の入手/陸奥宗光の情報分析/情報と政策の関係/偽情報と情報戦 2交渉力 米朝首脳会談の教訓/信頼と譲歩/「同意しないことに同意する」/力を欠いた「悪しき宥和」 3外交感覚 「外交感覚」とは何か?/ナショナリズムとバランス感覚/「空気」に沈黙した外交感覚 4外交官の「個の力」 外交官の職務と役割/外交官に必要な資質/知力/誠実さ/勇気 終 章 試練の日本外交 戦争の教訓からの出発/国際協調による国益確保/「国際協調」への批判/「積極的平和主義」/外交手段としてのODA/東アジア秩序の構想/アメリカ主導秩序の終焉/日中関係のマネージメント/グローバルサウスを味方に/米国の力と意思/国家安全保障戦略の転換/時代の空気感/日本有事と抑止力/「核なき世界」をめざして/外交センスのある国家
  • 学歴・階級・軍隊 高学歴兵士たちの憂鬱な日常
    3.7
    戦前の日本で、旧制高校から帝国大学へと進む学生たちは、将来を約束されたひと握りのエリートであった。彼らはある時期まで、軍隊経験をもつ時でさえ、低学歴者にはない優位を与えられた。それが、第二次大戦もたけなわとなる頃から、彼らも過酷な軍隊生活を送らざるを得ない情況となる。本書は、最も「貧乏クジ」を引いた学徒兵世代の恨みと諦めの声を蒐集し、世代と階級を巡る問題を照射するものである。
  • がんを病む人、癒す人 あたたかな医療へ
    3.0
    「あなたは癌です」と告知される時代になった。 診断や治療方法の進歩で、かつて恐れられた癌もはるかに治りやすくなった。 しかし、技術が進めば進むほど、最先端の機器に囲まれた患者は、医療者のあたたかさを求めている。 癌治療の最前線で、医学教育の現場で、いま何が必要なのだろう。真のクオリティー・オブ・ライフとは何だろう。 医療する側と受ける側へのきめこまかな聞き書きから、21世紀の医療を問う。
  • 教育と平等 大衆教育社会はいかに生成したか
    4.1
    戦後教育において「平等」はどのように考えられてきたのだろうか。本書が注目するのは、義務教育費の配分と日本的な平等主義のプロセスである。そのきわめて特異な背景には、戦前からの地方財政の逼迫と戦後の人口動態、アメリカから流入した「新教育」思想とが複雑に絡まり合っていた。セーフティネットとしての役割を維持してきたこの「戦後レジーム」がなぜ崩壊しつつあるのか、その原点を探る。
  • 恐竜大絶滅 陸・海・空で何が起きていたのか
    4.4
    1巻1,320円 (税込)
    6600万年前、生態系の頂点を極めた恐竜類が地球上から姿を消した。大量絶滅事件の原因は、隕石だとするのが現在の定説である。 ただ、その影響は一様ではなかった。突然のインパクトを前に、生存と滅亡の明暗は、いかに分かれたのか? 本書は、恐竜、翼竜、アンモノイド、サメ、鳥、哺乳類などの存亡を幅広く解説。大量絶滅事件の前後のドラマを豊富な図版とともに描き出し、個性豊かな古生物たちの歩みを伝える。 各章監修:後藤和久、小林快次、高桒祐司、相場大佑、冨田武照、田中公教、木村由莉 目 次 はじめに 第1部 大量絶滅事件、勃発 第1章 隕石落下というはじまり―謎多き大事件 第2部 滅びに至る物語 第2章 陸の王者――恐竜類の1億6000万年 第3章 空の主役――翼竜類の1億6000万年 第4章 世界の証人――アンモノイド類が歩んだ3億年 第3部 滅びを超えた物語 第5章 絶滅しなかった海の主――役者は交代するも舞台は続く 第6章 恐竜類の生き残り――絶滅と生存の分水嶺 第7章 私たちへの道―霊長類、現る おわりに もっと詳しく知りたい読者のための参考資料 索引(種目)
  • キリスト教と戦争 「愛と平和」を説きつつ戦う論理
    4.4
    世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか? 殺人や暴力は禁止されているのではなかったか? 本書では、聖書の記述や、アウグスティヌス、ルターなど著名な神学者たちの言葉を紹介しながら、キリスト教徒がどのように武力行使を正当化するのかについて見ていく。平和を祈る宗教と戦争との奇妙な関係は、人間が普遍的に抱える痛切な矛盾を私たちに突きつけるであろう。
  • キリストの身体 血と肉と愛の傷
    4.1
    キリスト教にとって大切なのは、身体ではなく精神、肉体ではなく霊魂ではなかったか。しかし、キリストの身体をめぐるイメージこそが、この宗教の根幹にあるのだ。それは、西洋の人々の、宗教観、アイデンティティの形成、共同体や社会の意識、さらに美意識や愛と性をめぐる考え方さえも、根底で規定してきた。図像の創造・享受をめぐる感受性と思考法を鮮烈に読み解く、「キリスト教図像学三部作」完結篇。図版資料満載。
  • 近現代日本を史料で読む 「大久保利通日記」から「富田メモ」まで
    3.7
    歴史は史料に基づき描かれる-。「昭和天皇独白録」や「富田メモ」をはじめ、新たな史料の発掘は、歴史的事実の変更や確定をもたらす。なかでも「原敬日記」「高松宮日記」「真崎甚三郎日記」「佐藤榮作日記」など政治家、皇族、軍人が残した日記は貴重な史料であり、ここから歴史が創られてきた。本書は、明治維新期から現代に至る第一級の史料四十数点を取り上げ、紹介・解説し、その意義を説く。日本近現代史の入門書。
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ
    4.4
    明治維新後、新政府の急務は近代国家を支える官僚の確保・育成だった。当初は旧幕臣、藩閥出身者が集められたが、高等教育の確立後、全国の有能な人材が集まり、官僚は「立身出世」の一つの到達点となる。本書は、官僚の誕生から学歴エリートたちが次官に上り詰める時代まで、官僚の人材・役割・実態を明らかにする。激動の近代日本のなか、官僚たちの活躍・苦悩と制度の変遷を追うことによって、日本の統治内部を描き出す。
  • 近代日本の対中国感情 なぜ民衆は嫌悪していったか
    4.0
    明治維新後、欧米をモデルに近代化した日本。他方で中国はその停滞から一転し蔑視の対象となった。  日清・日露戦争、満洲事変、日中戦争と経るなか、それは敵愾心から侮蔑、嘲笑へと変わっていく。  本書は、明治から昭和戦前まで民衆の対中感情を追う。  世論調査がない時代、民衆が愛読した少年雑誌に着目。赤裸々な図版から、古代中国への変わらぬ思慕とは対照的に、同時代中国への露骨な差別意識、感情を描く。図版百点収載。
  • ギリシア悲劇 人間の深奥を見る
    4.0
    1巻1,056円 (税込)
    後世に残されたギリシア悲劇は、三三篇のみで、しかも、そのすべてが紀元前五世紀に創作・上演されたものである。宗教性、文芸性、社会性、いずれの面からしても、当時のポリス・アテナイの独自性と不可分のものであったこれらの演劇が、時代と場所を異にする場でも、人間を考えるための普遍性を維持しているのはなぜだろうか。本書は、代表的な一一篇の豊かな内容に分け入りながら、その魅力と奥深さを探る。
  • クモの糸のミステリー ハイテク機能に学ぶ
    3.0
    クモは人間よりはるかに長い4億年の進化の過程で、糸を生み出した。 住居をつくるのも糸、餌を捕えるのも糸。 クモの糸は伸縮性、耐久性などで現代のハイテクをしのぐ高い機能性をもっている。 高分子化学を専攻していた著者はクモの糸にからめとられて20年余、試行錯誤をくり返しながら、「自然から学ぶサイエンス」を実践してきた。 安全性を考慮し、リサイクルに配慮した糸をつくるクモに、われわれが学ぶことは多い。
  • 〈鬼子〉たちの肖像 中国人が描いた日本人
    4.0
    古来、中国人は日本人をさまざまにイメージし、歴史書に記録し、絵画に描いてきた。そのなかには、荒唐無稽なものもあるが、驚くほど現実に近く詳細なものもある。本書では、かつて日本人が「倭」と呼ばれていた時代の歴史書や地理書から、明の時代に人々が使っていた日用の辞書、日清戦争前後に発行された絵入り新聞、現代の映画に至るまで、中国人による日本人=〈鬼子〉イメージの変遷をたどる。
  • 経済再生は「現場」から始まる 市民・企業・行政の新しい関係
    5.0
    長く不況にあえいでいた日本経済にも、ようやく回復の兆しが見られるようになったという。しかしそれは一部の業界、大企業にとどまり、経済再生のカギを握る中小企業はあいかわらず苦しんでいるのが実態である。本書では、金融機関の企業支援、産学協同、企業間ネットワークの構築、生活基盤を支える地域医療など「現場」のさまざまな取り組みを紹介し、中小企業の再生、地域経済の再生に向けて新たな「解」を提示する。
  • 血栓の話 出血から心筋梗塞まで
    3.0
    けがなどで出血した場合、血は固まらなくては困る。だが、血管のなかで固まってしまうと、重大な障害に結びつく。現在、日本人の死亡率の第一位は悪性腫瘍だが、血栓によって引き起こされる第二位の脳血管障害と第三位の心疾患を合わせると、悪性腫瘍による死亡率を越える。高齢化社会の到来とともに問題となってきた「ぼけ」も、血栓と関係が深い。本書は、最新の血液学をベースに、血栓症のしくみと治療法、予防法を丁寧に解説する。
  • ケネディ-「神話」と実像
    3.6
    一九六一年、四三歳で米大統領に就任し、三年後、凶弾に倒れたジョン・F.ケネディ。名家に生まれ、海軍士官、下・上院議員として活躍し、一気に頂点に登り詰めた彼は、理想を追い求めた政治家として「神話」化されている。だがその一方で、家族、宗教、女性、病魔といった問題に常に苛まれていた。本書は、虚弱だった成長期から繙き、米ソ冷戦下、政治家としてどのように時代と対峙し、生きようとしたか、その実像を描く。
  • 剣士 伊庭八郎の生涯
    4.0
    中公新書『ある幕臣の戊辰戦争』を改題し、電子書籍として配信するものです。 名門・伊庭道場の嫡男に生まれた八郎は、卓越した剣の腕を買われ、将軍家茂の親衛隊に加わる。だが戦乱は間近に迫っていた。 八郎は新設された遊撃隊に属し、鳥羽・伏見の戦いを皮切りに各地を転戦。東下する新政府軍を迎え撃った箱根の戦闘では左手首を失う不運に見舞われる。のち蝦夷地で旧幕府軍に合流し、死の間際まで抗戦を続けた。 天才剣士を戦いへ駆り立てた思いとは何だったのか。 二十六年の短くも鮮烈な生涯を描く。
  • 月経のはなし 歴史・行動・メカニズム
    3.9
    毎月一回、女性に訪れる月経。この生理現象が彼女たちの体・心・行動に与える影響は大きい。だが、男性は実際の様子をほとんど知らず、女性もその深い実態を理解しないまま、毎日を過ごしている。本書は、苦痛のやわらげ方や病気との関連といった基礎知識から、魔女狩りをはじめとするタブーの歴史、犯罪や自殺との関連といった文化面までを取り上げる。産婦人科学の第一人者がやさしく語る、この身近な“神秘”の世界。
  • 現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル
    4.0
    20世紀以降、芸術概念は溶解し、定義や可能性を拡張した新しい潮流が続々と生まれている。アーティストは、差別や貧困のような現実、震災などの破局的出来事とどう格闘しているのか。美術は現代をいかに映し、何を投げかけたか。本書は難解と思われがちな現代美術を、特に第二次世界大戦後の社会との関わりから解説、意義づける。世界中の多くの作家による立体、映像、パフォーマンスなど様々な作品で紡ぐ、現代アート入門。
  • 高坂正堯―戦後日本と現実主義
    3.9
    日本における国際政治学の最大の巨人・高坂正堯(1934~96)。中立志向の理想主義が世を覆う60年代初頭、28歳で論壇デビューした高坂は、日米安保体制を容認、勢力均衡という現実主義から日本のあり方を説く。その後の国際政治の動向は彼の主張を裏付け、確固たる地位を築いた。本書は、高坂の主著、歴代首相のブレーンとしての活動を中心に生涯を辿り、戦後日本の知的潮流、政治とアカデミズムとの関係を明らかにする。
  • 皇室典範―明治の起草の攻防から現代の皇位継承問題まで
    3.5
    伊藤博文の主導で制定された明治の皇室典範。 女帝・女系容認の可能性もあったが、皇位継承資格は「男系の男子」限定で、退位の規定もない。 その骨格は戦後の皇室典範でも維持された。 皇族男子の誕生は極めて稀で、皇族数の減少も続き、制度的矛盾が顕在化して久しい。 小泉内閣時代に改正の検討が始まるも、進展はいまだ見えない。 本格的議論の再開に向けて、皇室制度の専門家が論点を整理し、法改正への道筋を探る。 ■本書の目次 はじめに 第一章 明治皇室典範の起草をめぐる攻防 一、伊藤・シュタイン「邂逅」と柳原前光 二、伊藤の体制刷新と柳原の失速 三、高輪会議とは何だったのか 四、皇室典範の成立と保守派との攻防 第二章 戦後の皇室典範制定 一、皇室の命運と知日派の台頭 二、占領統治と「国体護持」をめぐる攻防 三、現行皇室典範が抱えた矛盾――皇位継承と退位 四、狙われた皇室財産と皇籍離脱 五、矛盾が生んだ制度上の不具合 第三章 顕在化した構造的矛盾 一、皇位継承問題とは何か 二、少子化と制度疲労 三、「生前退位」から典範改正へ 第四章 象徴天皇制の新たな危機 一、戦後政治と昭和天皇 二、「象徴天皇」の模索 三、象徴天皇制と典範改正 あとがき 参考文献 皇室典範(明治典範) 大日本帝国憲法(抄) 皇室典範(現行典範) 日本国憲法(抄) 天皇の退位等に関する皇室典範特例法 天皇系図
  • 皇族 天皇家の近現代史
    4.2
    古代より「天皇の血族」として存在した皇族。明治維新後、最も近親で天皇を支える階級として、軍人の義務と多くの特典を獲得し成立した。だが、自らの権威・特権を背景に、長老の皇族軍人や直宮は、天皇を脅かす存在でもあった。本書は、古代から現代の皇族を概観し、近代以降存在した十五宮家、皇族軍人たちの動向、新たな位置づけを求めた戦後の「皇室」を中心に、皇族の全貌を明らかにする。巻末に詳細な「近代皇族一覧」付。
  • 国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊
    4.4
    1949年に誕生した国鉄は、復旧途上の設備で旅客・貨物輸送を一手に担い、戦後の高度成長を支え、新幹線もつくった。「鉄道は国家なり」であった。だが交通手段の多様化でシェアは低下、自立的な経営もままならず、赤字が雪だるま式に増え、労使関係も悪化、ついに1987年に分割民営化された。今、人口減、IT化、コロナ禍を受け、鉄道は再び危機に瀕している。国鉄の歴史に何を学ぶか、JR九州初代社長が明かす。
  • 『古事記』神話の謎を解く かくされた裏面
    3.2
    『古事記』は明治神宮のようなものである。見た目は古いが、作られた時代は、実は新しい。『古事記』の神話も、古来のものをそのまま採録したのではなく、新しく誕生した国家=「日本」の要請が作り出した新たな神話である。イザナキ・イザナミ神話は男尊女卑か?イナバのシロウサギは白色なのか?浦島太郎が玉手箱を開けなかったらどうなったか?古くからの神話が解体・編成されて誕生した『古事記』神話を解読する。
  • 古代往還 文化の普遍に出会う
    3.7
    一篇の神話や伝説にはもちろんのこと、一首のうた、ひとつの言葉にも豊饒な物語があふれている。そこから伝わってくるものは、古今東西どこで生をうけていても不思議なほど似通った、ひとびとの喜びや悲しみ、想い、悩み。 万葉集からギリシャ神話、ケルト神話まで自在に題材をとり、日本と世界、古代と現代をひとしく眺めるエッセイ83篇。
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々
    4.3
    壬申の乱の勝者である天武天皇以降の日本は、律令に基づく専制君主国家とされる。だが貴族たち上級官僚とは異なり、下級官僚は職務に忠実とは言えず、勤勉でもなかった。朝廷の重要な儀式すら無断欠席し、日常の職務をしばしば放棄した。なぜ政府は寛大な措置に徹したのか。その背後にあった現実主義とは。飛鳥・奈良時代から平安時代にかけて、下級官僚たちの勤務実態を具体的に検証し、古代国家の知られざる実像に迫る。
  • 古代マヤ文明 栄華と衰亡の3000年
    4.2
    かつて中米に栄えた古代マヤ。前一〇〇〇年頃に興り、一六世紀にスペインに征服された。密林に眠る大神殿、高度に発達した天文学や暦など、かつては神秘的なイメージが強かったが、最新の研究で「謎」の多くは明かされている。解読が進んだマヤ文字は王たちの事績を語り、出土した人骨は人びとの移動や食生活、戦争の実態まで浮き彫りにする。現地での調査に長年携わった著者が、新知見をもとに、その実像を描く。
  • 言霊とは何か 古代日本人の信仰を読み解く
    3.3
    古代日本人は、ことばには不思議な霊威が宿ると信じ、それを「言霊」と呼んだ。この素朴な信仰の実像を求めて、『古事記』『日本書紀』『風土記』の神話や伝説、『万葉集』の歌など文献を丹念に渉猟。「言霊」が、どのような状況でいかなる威力を発揮するものだったのか、実例を挙げて具体的に検証していく。近世の国学者による理念的な言霊観が生み出した従来のイメージを覆し、古代日本人の信仰を描き出す。
  • 子ども観の近代 『赤い鳥』と「童心」の理想
    4.5
    子どもを無垢な存在と見なすロマン主義的な子ども観は、日本では明治末に興り、大正中期の「赤い鳥」を中心にした「童話・童謡」運動で確立した。このイメージは、基本的には現在までも引き継がれているといえる。本書は、巌谷小波にはじまり、鈴木三重吉を経て多くの文壇作家たちが筆を染めた児童文学を素材として、近代特有の子どもに関する新しい「知」が、どのように生まれ、どのように普及していったかを辿る試みである。
  • 子どもという価値 少子化時代の女性の心理
    3.8
    1990年代以降、少子化は社会的問題としてさまざまな議論を呼んできた。 しかしそこには、少子化が出産・結婚をめぐる女性の心理の問題であるという認識が欠けている。 日本では「親子は一心同体」とその絆を強調されるが、そうした考え方もいまや普遍的とは言えず、変化してきている。 現在「子どもをもつ」とはどういう意味があると考えられているのか。 少子化を心の問題として捉える人口心理学を提唱、その視点から考える。 ■□■目次■□■ 1章 「子どもの価値」展望―子どもの価値の古今東西 2章 人類初の人口革命―子どもの命と親の愛情の変質 3章 「なぜ子どもを産むか」―「つくる」時代の子どもの価値 4章 人口革命下の女性の生活と心の変化―子どもの価値・産む理由の変化の背景 5章 子どもを〈つくる〉時代の問題
  • コミュニティデザインの時代 自分たちで「まち」をつくる
    4.0
    孤立死や無縁社会という言葉が毎日口にされる現在の日本。今こそ人とのつながりを自らの手で築く必要が痛感されている。この時代の声に応え、全国で常時50以上のコミュニティづくりに携わる著者が初めて明かす、住民参加・思考型の手法と実際。「デザインしないデザイン」によって全員に参加してもらい結果を出すには? 話の聴き方から服装にいたるまで、独自の理論を開陳する。ビジネスの場でも役立つ、真に実践的な書。
  • コロナ危機の政治 安倍政権vs.知事
    4.0
    二〇二〇年一月十五日に日本で最初の罹患者が確認された新型コロナウイルス感染症。中国・武漢での発生から日本への到来、一斉休校、緊急事態宣言とその解除、そして安倍政権の退陣まで。この九か月に及ぶ経緯から見えてきたのは、強大な権力を手に入れて「一強」とまで言われた「首相支配」への制約だった。安倍政権と知事らの対応のプロセスを丹念にたどり、危機が明らかにした日本の政治体制とその問題点を描く。
  • 後醍醐天皇 南北朝動乱を彩った覇王
    3.0
    後醍醐天皇は、鎌倉幕府を倒し南北朝時代の幕を開けた動乱の立役者、天皇親政を復活させ全国支配の規範を示した専制君主、死後も怨霊として足利政権に影を落としつづけた存在と幾つもの貌を持つ。本書では、彼に討幕を決意させた両統迭立の中での立場や、その王権を特異ならしめる芸能や密教への深い関心、海外との交流を当時の社会的文脈に即して読み解き、後醍醐政権の歴史的役割を探るとともに、多面的な後醍醐像を提示する。
  • 西郷従道―維新革命を追求した最強の「弟」
    4.3
    幕末期、兄隆盛・大久保利通のもと尊攘派志士として活躍した従道。20代半ばで欧州視察後、台湾出兵では派遣軍トップとして制圧。西南戦争では、国家建設を優先し陸軍卿代理として、叛乱軍指導者の兄と敵対。隆盛自刃後、謹慎する。天皇に請われ復職後は海相を長期間務め、日清戦争時には陸海相兼務など軍事的指導者、さらに元老として政府中枢を担った。最晩年まで首相待望論があったが、「賊将の弟」と固辞し続けた志士の生涯。
  • 佐藤栄作 戦後日本の政治指導者
    4.0
    1960年代半ばから7年を超える長期政権を誇った佐藤栄作。岸信介の実弟で、吉田茂に寵愛された佐藤は、寡黙な官僚政治家との批判が強く、ノーベル平和賞受賞には違和感の声さえ上がった。だが憲法改正を回避し、日米安保体制の安定を確立させる中、沖縄返還、日韓基本条約締結、急激な経済成長に対する社会開発政策など事績は多い。本書は、佐藤の軌跡を追いつつ、核兵器を保有せず大国の地位を獲得した戦後日本を描く。
  • 三条実美 維新政権の「有徳の為政者」
    4.5
    三条実美(1837~91)は、過激な攘夷派公家、七卿落ちで知られる。維新後は右大臣・太政大臣として新政府の頂点に立つが、政治手腕に乏しく、無能という評価すらある。だがそのような人物が、なぜ維新後18年間も、大久保利通や伊藤博文ら政治家を従え、難局に対処できたのか。本書は、時代の寵児として脚光を浴びた青年期から、苦難の長州・太宰府時代、新政府内での役割など、その生涯を丹念に追い、実像に迫る。
  • 財務省と政治 「最強官庁」の虚像と実像
    4.1
    国家の財政を担い、「官庁の中の官庁」「最強官庁」と称される財務省(旧大蔵省)。55年体制下では自民党と蜜月関係を築いた。だが90年代以降、政治改革などの統治構造改革が、首相の指導力強化と大蔵省「解体」を推進。2001年には財務省へ衣替えした。小泉政権、民主党政権、第二次安倍政権と政治が変動するなか、経済停滞と少子高齢化により財政赤字の拡大は続く。20年以上の取材をもとに「最強官庁」の実態を追う。
  • シエナ-夢見るゴシック都市
    4.0
    シエナ、この世界にもまれな美しい都市はどのようにして誕生したのか。中世のシエナは、北ヨーロッパとローマを結ぶ街道の要衝を占め、経済的繁栄を謳歌する。蓄積された富は、白鳥のようなゴシック・カテドラルをはじめ、豪奢な建築や魅力あふれる広場・街路に姿を変えた。トスカーナの自然と人間の叡智が出あい、美しく結晶した「聖母マリアの街」を、時空を自在に横断しながら案内する。見どころやグルメのガイド付き。
  • 紫禁城史話 中国皇帝政治の檜舞台
    4.0
    北京の紫禁城は明朝第三代の成祖永楽帝の命で、一四〇七年に着工され二〇年に完成した。翌年、成祖は北京に遷都し、一九一二年二月に清朝最後の宣統帝が退位するまで、紫禁城は明清両王朝を通じて二四人の皇帝が居住し、五〇〇年にわたり政治の檜舞台であった。この一群の建物は皇帝の住居であると共に、その絶対的権威を内外に誇示するための政治的建造物でもある。紫禁城での皇帝たちの動静に注目しつつ明清両王朝の歴史を描く。
  • 死刑囚の記録
    3.9
    一九五四年、松沢病院の医師として一人の殺人犯を診察したときが、著者の死刑囚とのはじめての出会いであった。翌年、東京拘置所の精神科医官となってから、数多くの死刑囚と面接し、彼らの悩みの相談相手になることになる。本書では著者がとくに親しくつきあった人たちをとりあげてその心理状況を記録する。極限状況におかれた人びとが一様に拘禁ノイローゼになっている苛酷な現実を描いて、死刑とは何かを問いかけ、また考える異色の記録。
  • 重光葵 上海事変から国連加盟まで
    3.5
    アメリカ戦艦ミズーリ号上で日本の降伏文書に調印した首席全権として有名な重光葵は、戦前・戦後を通じて、和平の調整役として東西を奔走しつづけた人であった。たとえば上海事変時の駐華公使、張鼓峰事件時の駐ソ大使、第二次世界大戦初期の駐英大使、太平洋戦争後期と戦後の日ソ交渉時、また国連加盟時の外相として外交の最前線にいて、国内外の懸案に常に真摯に対処した。その足跡を、残された膨大な手記、回想録を基に辿る。
  • 疾走する精神 「今、ここ」から始まる思想
    4.0
    IT技術一つとってみても、米国を震源とするグローバリズムは強大な力を持つ。66億以上に人間が暮らす広い地球といえども、やがてどこもかしこも同じようになってしまうのではないか懸念もされている。だが「米国もone of themにすぎない」と気付くならば、世界は今までとは違う、多様性の宝庫=深い森に見えてくる。いま何を大切なものとして生きるべきなのか。横断する知を生きる、脳科学者が見つめた現代と未来とは。
  • シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争
    4.3
    1917年11月に勃発したロシア革命。共産主義勢力の拡大に対して翌年8月、反革命軍救出を名目に、日本は極東ロシアへ派兵、シベリア中部のバイカル湖畔まで占領する。だがロシア人の傀儡政権は機能せず、パルチザンや赤軍に敗退を重ねる。日本人虐殺事件の代償を求め、北サハリンを占領するなど、単独で出兵を続行するが……。本書は、増派と撤兵に揺れる内政、酷寒の地での7年間にわたる戦争の全貌を描く。
  • 就職氷河期世代 データで読み解く所得・家族形成・格差
    3.7
    バブル崩壊後、未曾有の就職難が社会問題となった。本書は1993~2004年に高校、大学などを卒業した人々を「就職氷河期世代」と定義し、雇用形態や所得などをデータから明らかにする。不況がこの世代の人生に与えた衝撃は大きい。結婚・出産など家族形成への影響や、男女差、世代内の格差、地域間の移動、高齢化に伴う困窮について検討し、セーフティネットの拡充を提言する。統計から見えるこの世代の実態とは。 ■目 次■ まえがき 序 章 就職氷河期世代とは 「就職氷河期世代」とは/マクロ指標で見る就職氷河期/前期世代と後期世代の違い/ポスト氷河期世代・リーマン震災世代/就職氷河期世代観の変遷/指摘されてきた問題点 第1章 労働市場における立ち位置 初職――正規雇用か、非正規雇用か/就職先の規模・業種・離職率/就業状態の推移――世代間の差は徐々に縮まる/年収の推移――世代間の差は縮まらない/就職活動時の景気は影響するか/若年期の不況の瑕疵効果/就職氷河期を境に瑕疵効果は弱まった/第1章まとめ 第2章 氷河期世代の家族形成 未婚化・少子化の原因は若年雇用の悪化か?/1人の女性が産む子供の数は下げ止まっていた/既婚率と子供の数の複雑な関係/初職による格差/世代内格差を世代間に拡張する誤謬/景気と出生率の短期的な関係/若年期の景気の長期的影響はさらに複雑/少子化・高齢化対策の方向を見誤る危険性/第2章まとめ 第3章 女性の働き方はどう変わったか 就職氷河期のインパクトの男女差/就業率・正規雇用比率の世代差は数年で解消/フルタイム雇用者の男女間年収格差/就業率・正規雇用比率の男女間格差/晩婚化・晩産化の影響/出産退職の減少と就職氷河期世代/第3章まとめ 第4章 世代内格差や無業者は増加したのか 男性の年収分布の推移/男性フルタイム雇用者の年収格差/生活困窮者やその予備軍は増えたのか/ニート/生活不安定者/ひきこもり、孤立無業者/下側に広がる格差と将来への懸念/第4章まとめ 第5章 地域による影響の違いと地域間移動 対照的な近畿と東海/若年男性の就業・年収の地域間格差の変化/地域間移動の動向/大学進学に伴う地域間移動の傾向/高校卒業後の他都道府県での就職動向/第5章まとめ 終 章 セーフティネット拡充と雇用政策の必要性 親世代の高齢化による生活の困窮/低年金・低貯蓄からくる老後の困窮/既存の枠にとらわれないセーフティネットの拡充/介護サービスのさらなる拡大/雇用政策・就労支援で若年のうちに挽回を/データに基づく冷静な議論を 補 論  あとがき  参考文献
  • 集団はなぜ残酷にまた慈悲深くなるのか 理不尽な服従と自発的人助けの心理学
    3.8
    組織の不祥事が報道されると「自分なら絶対にやらない」と思う。だが、いざ当事者になると、個人ならしない悪事でも多くの人は不承不承、あるいは平気でしてしまう。 なぜ集団になると、簡単に同調・迎合し、服従してしまうのか。 著者は同調や服従に関する有名な実験の日本版を実施し、その心理を探る。 一方でタイタニック遭難など、緊急時に助け合い、力を発揮するのも集団の特性である。 集団の光と闇を解明する試み。 ■□■ 目 次 ■□■ はじめに――集団心理の光と影 序章 集団とは何か 第1章 わが国で行われた服従実験で明らかになったことは何か 1 責任を「人」に押し付ける 2 服従実験と悪の凡庸性 3 筆者が行った服従実験 4 日本での服従実験の結果は? 第2章 服従の理由は? 第三者の感想は? 実験の問題点は? 1 なぜ参加しようと思ったのか 2 服従を促進する要因は何か 3 なぜ離脱できないのか 4 服従実験の観察者は実験をどのように見るのか 5 服従実験の問題点①――生態学的妥当性の問題 6 服従実験の問題点②――方法論と倫理の問題 第3章 同調行動はなぜ起きるのか 1 同調とは何か 2 同調の分類 3 無意識に影響を受ける 4 緊急事態で大きくなる影響 5 集団規範による影響 第4章 現代日本人の同調の特色は何か 1 同調行動に影響する要因 2 筆者が実施した同調実験 第5章 同調行動はどのように拡散するのか 1 ロジスティック・モデル 2 同調の広がりに関する実験 3 大集団での同調は? 第6章 緊急事態では人は理性的に振る舞うのか 1 集団のネガティブな側面の研究 2 緊急事態では人は理性を失うのか? 3 実際の緊急事態の行動と意思決定の研究 4 9・11同時多発テロ時の世界貿易センタービルからの避難 第7章 航空機事故発生時の機内で人々はどのように行動したのか 1 ガルーダ・インドネシア航空機福岡空港離陸失敗事故 2 事故発生時の客室内 3 乗客の認識 4 脱出時の行動 5 調査のまとめ 終章 集団の光と影に何が影響するか 1 社会の価値観 2 加害者と被害者の視点の違い 3 内集団と外集団 4 行為者と観察者の認識の食い違い 5 光と影の非対称性(影が光より強いのか) あとがき
  • シュテファン・ツヴァイク ヨーロッパ統一幻想を生きた伝記作家
    3.5
    十九世紀末ウィーンに生まれ、ユダヤ系資産家の両親を持ち、華やかな文学的交流の中心に位置していたツヴァイク。第一次大戦勃発に際し、ロマン・ロランを先達として平和主義運動に邁進したが挫折に終わり、戦後のナチス台頭により亡命を余儀なくされ、第二次大戦中に亡命先のブラジルで自殺を遂げた。しかし彼がもろくとも貫き通したヒューマニストの姿勢は、彼が作品に描いた悩める歴史的人物像とともに今なお人の心をうつ。
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    4.1
    シュルレアリスム(超現実主義)は、第一次世界大戦後のパリで生まれ、世界に広まった文化運動である。若い詩人、文筆家、画家が導いた。戦争、共産主義、ファシズム、無意識、エロス、死、狂気などアクチュアルなテーマに取り組んで、近代文明の刷新をもくろむ。個人の壁、国境の壁を超えて多様な生の共存をめざしたその革命精神は、情報と物に充足する利己的な現代人に、いまだ厳しい批判を突きつけて、生き続けている。
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う
    3.8
    人は嘘をつこうとしていないのに、体験していない出来事を見たり聞いたりしたと証言してしまうことがある。証言の聴き手が、それと気づかないうちに虚偽の証言や自白を生み出す手助けをしてしまうこともある。人間の記憶は脆く、他者の記憶とのネットワークによって成立している。これを法廷という非日常の「現場」に生かすことは果たしてできるのか。興味深い実例を交え、心理学研究の最前線をわかりやすく説明する。
  • 昭和陸軍の軌跡 永田鉄山の構想とその分岐
    4.3
    1巻1,034円 (税込)
    昭和十年八月十二日、一人の軍人が執務室で斬殺された。陸軍軍務局長永田鉄山。中堅幕僚時代、陸軍は組織として政治を動かすべきだとして「一夕会」を結成した人物である。彼の抱いた政策構想は、同志であった石原莞爾、武藤章、田中新一らにどう受け継がれ、分岐していったのか。満蒙の領有をめぐる中ソとの軋轢、南洋の資源をめぐる英米との対立、また緊張する欧州情勢を背景に、満州事変から敗戦まで昭和陸軍の興亡を描く。
  • 新動物生態学入門
    3.0
    生命もそれをめぐる環境も多様であるがゆえに活気を維持することができる。同一種の中でも個体差や集団差は著しく、群集や生態系についてもその差異は大きい。しかし従来の生態学はさまざまな多様性を充分にとり入れることができなかった。本書では、多種多様な動物を紹介しながら、種の多様性だけでなく、個体の生き方・性格・分布、個体群や群集の変化などを、空間的、時間的に考察し、その多様性の成立条件と守り方を考える。
  • 森林に何が起きているのか 気候変動が招く崩壊の連鎖
    5.0
    2019年、オーストラリアで史上最大級の森林火災が発生。5ヵ月間で17万平方キロメートルもの国土が焼失した。近年、温暖化の影響による森林の「異変」が世界中で観測されている。大規模火災が相次ぐのはなぜか。森林破壊がもたらす経済的影響は。豊かな自然を守るため、何をすべきなのか――。本書は、森林生態系のメカニズムから、日本の里山の持続可能な保全策まで、森林科学の知見を第一人者が解説。実効的な気候変動対策を論じる。
  • シーア派 台頭するイスラーム少数派
    3.6
    イスラーム教の二大宗派の一つだが、信者は全体の一割に過ぎないシーア派。しかし、イラン、イラク、レバノンなどでは多数を占め、挑発的な指導層や武装組織が力を誇示し、テロリズムの温床とさえ見られている。政教一致や民兵勢力といった特異な面が注目されるが、その実態とはいかなるものなのか。彼らの起源から、多数派のスンナ派と異なり、政治志向の強い宗教指導者が君臨するシステムを解明し、その実像を伝える。
  • J・S・ミル 自由を探究した思想家
    4.3
    19世紀に活躍した英国の思想家、ジョン・スチュアート・ミル(1806~73)。生涯を通じて道徳と政治のあり方を探究し、『自由論』『代議制統治論』『功利主義』をはじめとする膨大な著作で近代社会の立脚点となる理論を打ち立てた。その生涯――父ジェイムズとの確執、ベンサムへの傾倒、精神的危機、伴侶ハリエットとの出会いと別れ、晩年の議員活動――を丹念に追いながら、今なお鮮烈な思想の本質を描き出す。
  • 持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」
    3.7
    後の天智天皇の子として大化改新の年に誕生した少女は、五歳のときに祖父が自害し、心痛の余り母が没するという悲劇を体験する。十三歳で叔父の大海人皇子(後の天武天皇)と結婚。有間皇子の謀反や白村江の戦いの後、二十七歳のとき、古代最大の争乱である壬申の乱を夫と共に起こし、弟・大友皇子に勝利する。その後は中央集権化に邁進し、兄弟継承だった皇位を父子継承に転換させた。古代国家を形作った女帝の実像とは。
  • 精神鑑定の事件史 犯罪は何を語るか
    4.0
    異常な犯罪が起きるたびに話題になるのが精神鑑定。しかし、精神鑑定は期待されるように、出来事の真相を明らかにできるのだろうか。本書は、レーガン元米大統領暗殺未遂事件、多重人格者の連続殺人、哲学者の妻殺し等々、社会を揺るがせ、鑑定人を悩ませた有名な事件を取り上げる。貴重な資料や証言をもとに犯行と裁判の経過をふり返り、精神鑑定のむずかしさを浮き彫りにしながら、異常な事件を生んだ心の世界を探る試みである。
  • 戦艦武蔵 忘れられた巨艦の航跡
    4.4
    二〇一五年、戦艦武蔵がフィリピン沖海底で発見され、世界の注目を集めた。だが、太平洋戦争中の一九四二年に完成し、四四年のレイテ沖海戦で撃沈された武蔵は、敗戦後、長きにわたり半ば忘れられた存在だった。姉妹艦の大和が一貫して脚光を浴び、戦記や映画、アニメなどで繰り返し描かれたのとは対照的である。両者の差はどこから生まれたのか。建造から沈没までの軌跡を追い、さらには戦後日本の戦争観の変遷をたどる。

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