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Posted by ブクログ
・一回通読。主体性を強いる命令というダブルバインドから、人生及び思想の形骸化空洞化を感じ、精神の危機に陥ったミル。自然・芸術・論敵・伴侶との出会いと交流を通じて、有徳な人々による非利己的な行為や、快楽の質的差異としての尊厳の感覚などを見出し、父やベンサムの理論を拡張。自由原理に基づき、民主主義に立ちはだかる3つの専制、多数、エリート、良心の専制への警鐘をならす
・知の巨人達の肩に乗っていることを自覚できていたとしても、自身の主義主張行為が形骸化空洞化していることには気付き辛いかもしれない。ミルによる思想討論の自由への言及、特にその自由が脅かされることによる弊害としての、無謬性の幻想、思想の空洞化を聞いた時、事勿れ主義で普段から討論を避けている自身の危うさに気づかされた
・表面的には、思想は主知主義権威主義的に感じ、人道的言説も東インド会社勤務との矛盾を感じるが、ジャマイカやアイルランド問題への態度から、理想と現実、理論と実践のバランスをとっていた人物であることが伺える。ただし、国家の構成員に、知性、政治的関心、公共精神を強く求める点については、それらを持たない人々の背景や感情への配慮や想像力が、やや限定的に感じた
Posted by ブクログ
J.S.ミルの新しい本が出てるなんて。と思ったら、没後150年なんですね。
著者のミルへの愛を感じました。
ミルってだいたいベンサムとセットで出てくるし、「功利主義を修正した人」「他者危害原則」、もしくはノージックのオマケ的な扱いが多いです。
まるで清水書院のセンチュリーブックスのような雰囲気の評伝でありながら、思想の内容は中公新書らしく詳しく説明してくれています。
短い婚姻期間ですが、ハリエットがミルへの思想に与えたであろう影響を感じることが出来ました。初めて知るミルの側面もちらほら。ジェイムズの主知主義教育も、保護者として興味深いものがありました。
晩年のミルには胸が熱くなるものがありました。
思想については、わたしの読解力不足で、一読しただけでは理解できない部分もあり、完全な素人向けではないかもしれませんが、再読して徐々に理解していければと思います。
関口さんはここ数年、岩波でミルの原著を訳されているので、信頼性の高い本だと思います。
この調子で、ベンサムなんかも新しい本が出たら嬉しいなぁ。
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