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二〇世紀を代表する作家・プルースト(一八七一~一九二二)。その生涯をかけて執筆した『失われた時を求めて』は著名だが、長大さや難解さから挫折する人も多い。本書は絵画を手がかりにそのエッセンスを紹介。彼が作品で描いた恋愛、同性愛、死、ユダヤ人、スノビズム、時間、芸術論などの主題をわかりやすく案内する。この大作の個人全訳を成し遂げた、プルースト研究の第一人者による最良の入門書。図版六九点収載。
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Posted by ブクログ
『失われた時を求めて』を、作中の絵画論や登場する絵画、 絵画を彷彿とさせる情景を手掛かりにして読み解く。 プロローグ 『失われた時を求めて』の構成 本書で言及される『失われた時を求めて』の人物と地名(五十音順) 第1章 人生と芸術ースワンと「私」の恋 第2章 死と永遠の生 第3章 肖像と「時間」 ...続きを読む第4章 情景の描写ー暗示された画/隠された絵 第5章 芸術の創造ーエルスチールの絵画 エピローグ 図版出典一覧有り。 大長編『失われた時を求めて』には、芸術の信奉者である 著者の感性が色濃く表れている。文学や音楽、そして美術。 特に絵画に注目し、手掛かりにして、作品を紐解いていく。 19世紀のパリ風俗、生活や文化、社交界や差別を加味し、 プルーストの蔵書の美術関係の資料、大画集、ラスキンの著書や 実際にプルーストが観た絵画等から、作品の中の場面や人物、 彼らの仕草やシチュエーション、情景を推測し、特定することで、 登場人物の姿の場面が立体的に浮かび上がってきます。 絵画が介在する視覚の知的感覚と、触覚や味覚からの無意識の 記憶の発動の混在。愛、死、様々な記憶が表現されてゆく。 情景を「暗示させる画」で読者に想起を促し、 描写で隠された画を暗示させる。睡蓮の描写からはモネの 睡蓮の連作が脳裏に浮かび上がるように援用される。 登場人物の画家エルスチールは、その観察眼や画に実際の絵画が 暗示されるが、確立された画風の描写はプルーストの創造する 文学への達成に昇華する。 絵画による『失われた時を求めて』の入門書という試みは、 なかなか面白く、楽しめる内容でした。収録した図版を参考に、 読んでみるのも良し。過去に何度となく挑戦して挫折したけど、 最初の第一篇を取り敢えず読んでみようかな。
前提知識は要らない、とあるが、やはり、『失われた時を求めて』を読んでから、または読みながら、というのが臨場感があって良いと思う。 カラー図版はきれい。マネの『アスパラガス』はいい絵だなぁ。
読んだことないけれども、それでもOkとのことで、こちらを覗いてみました。 率直な感想は、やっぱちょっと難しかったです。 カルツァ同心会員の紋章の刺繡、について、カルパッチョという人の「岸辺」という題の絵で説明がされているところ辺りまでは、少しわかった‥かな。 筆者が初めに説明されていましたが、...続きを読む 作中には、小説家と、作曲家と、画家、という3人の芸術家が出てくる、そうで、 スワンという人が、ユダヤ人貴族で、一流社交界の寵児として登場し、絵画や芸術についてとても物知りだという感じでした。なので、この本は、彼やその他の芸術家、ブルジョワ貴族たちと、読者の知識の差を埋めるのにも、とても役立ちそうでした。 小説は何巻もあるから、なかなか手に取る気にはまだなっていないのですが、言葉の量だけではなくてお話の中で引き合いに出されたり比喩的に出てくる絵画からも、こんなにたくさんの情報が詰まっていると知り、こんなふうに含蓄ある作品だということが分かっただけでも想像が広がりました。
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カラー版 絵画で読む『失われた時を求めて』
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