森茂暁の一覧
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ユーザーレビュー
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鎌倉時代から室町時代に亘った約200年の歴史を持つ、南朝。
大覚寺統の始まりから建武の新政、そして消滅までを解き明かす。
第一章 鎌倉時代の大覚寺統 第二章 建武の新政
第三章 南朝の時代 第四章 南朝を読みとく
第五章 後南朝とその終焉
研究文献目録、南朝年表、索引有り。適宜、略系図や図表有り
...続きを読む。
始まりは兄と弟。
それぞれの子孫、大覚寺統と持明院統の両統迭立と、
鎌倉幕府の調停と斡旋が重要だったのだが、
子孫は増えるし、同じ系統だっていろいろあるしで、
天皇、上皇、法皇、東宮、親王が入り乱れての、皇位継承争奪戦。
そこに登場したのが「一代の王」後醍醐天皇。
「王権至上主義」と倒幕への執念で鎌倉幕府滅亡へ。
建武の新政の夥しい綸旨の発行と皇子派遣による全国制覇の夢。
だが、武家社会の支配、綸旨万能主義での混乱と失墜。
離反した足利尊氏+持明院統=室町幕府と北朝の成立に。
そして後醍醐天皇は三種の神器を抱えて吉野へ。
ついに南朝と北朝が併立する事態に。
後醍醐天皇が築いたその朝廷は、彼の遺言に縛られる。
表舞台の京へ・・・彼の執念と怨念の凄まじきこと。
観応の擾乱での幕府のごたごたで、正平の一統で北朝を廃し、
京都を制圧した南朝の、半年の束の間の夢へ。
その後、満を持しての足利義満による南北朝の合体だが、
皇位の両統迭立の不履行は、旧南朝側の皇位の
問題への不満となり、諜叛を引き起こすことになる。
幕府の将軍たち、義満、義持、義教と、代が替わるにつれての
後南朝へ対する厳しい状況・・・隔離と出家での忍従と服属。
対して、禁闕の変では三種の神器の一つ、神璽の奪取。
更に応仁の乱にまで関わり、徐々に南朝の者たちは消えていく。
「闇の歴史、後南朝 後醍醐流の抵抗と終焉」を読んで、
更に南朝に興味を持っての選書です。
後南朝だけでなく、南朝時の代を重ねる毎に乏しくなる史料。
それらを粘り強く読み解き、推察する過程が垣間見えます。
特に「新葉和歌集」から読み解ける南朝を構成した、
公家や僧侶たちの存在、朝儀や儀式。
綸旨等から分かる武者所や訴訟制度の聴断の存在。
政治や軍事、宗教、文化の実体を備えた朝廷であったこと。
九州の制西府と日明貿易や倭寇との関係、
地方との関係も推測されていきます。
南朝とは、思ってた以上に複雑で、一筋縄では語れない
存在だったのだなぁと、感じました。
Posted by ブクログ
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歴史研究の成果の片鱗から、テーマになっている<南朝>というモノに関して説く一冊だ。読み悪い資料が列記されるというのでもなく、誰でも興味を持って<南朝>というモノのあらましを知ることが叶う好い読物だ。
鎌倉幕府が滅ぼされ、建武新政を経て室町幕府が登場して行くという時期に「南北朝」という“問題”が生じて
...続きを読むいて、その解決を図るために長い時日を要したこと、その“問題”の故に「南北朝時代」と呼ばれる場合が在る時期が存在することは知られていると思う。他方、その“問題”の<南朝>というようなことになると、今一つ巧く説明し悪いような気がする。本書は、それが「もう少しうまく説明出来るように」という内容が紹介されている。
時代毎に差異は大きいのであろうが「皇位継承」の有資格者は限られる。それでもその有資格者が複数在ると、争いめいたことが起こってしまう場合も在る。所謂“中世”の後期、鎌倉時代後半辺りになれば皇位を譲った上皇が「治天の君」として実権を握る“院政”も常態化していた中で、「皇位継承」を巡る諸情勢も煩雑化している。そういう中で、「持明院統」と「大覚寺統」という2つの大きな「皇位継承有資格者」の流れが出て来るのだ。更に「大覚寺統」に関しては“主流”と“傍流”とでも呼ぶべき分裂状態まで生じてしまう。
建武新政を主導したという後醍醐天皇は、「大覚寺統」の“傍流”の出であるという。新政への反発から「持明院統」の<北朝>を擁した勢力が室町幕府を起こし、<南朝>が抵抗して「南北朝時代」という状況が生じている。この状況に関しては、室町幕府の勢威が頂点に達したような、3代将軍であった足利義満の時代に解決が図られたとされている。
実を言えば、足利義満による問題解決以降も<南朝>というモノが絡まる事象は見受けられ、それらは<後南朝>と称される。その<後南朝>は度外視したにしても、<南朝>は何十年も続いていたことになるのだが、「どのように続いた?」という疑問を禁じ得ない。本書は、そういう疑問への回答例を示してくれる。
後醍醐天皇は、鎌倉幕府への抵抗、更に新政の拡散と各地での定着を念頭に、「自信の分身」というような感の皇子達を「〇〇地方全権代表」というような形で方々に送り込んでいる。そういう「〇〇地方全権代表」というようなモノが<南朝>系勢力の「拠所」のようになっている。起こったばかりの明朝との外交関係樹立を目指すこととなった、九州の<征西府>というようなモノが本書でも紹介されているが、それが非常に興味深い。
<南朝>は、そういう「地方の動き」の他方で「吉野の朝廷」での独自な活動も続けていた。本書では、そういう吉野での活動に関する考察も詳しい。
こういうような「知っているようなつもりになっているが、実はそれ程知らないのではないか?」というような事柄に光を当てる一冊は、兎に角興味深い。
Posted by ブクログ
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後醍醐の吉野脱出によって南北朝の内乱が始まる。南北朝の内乱は長く続き、皇国史観(南朝史観)とは逆に朝廷の権威を下げる結果になった。後醍醐天皇は自分が唯一絶対で正しいと思っているが、南北朝の対立によって政争の対立側が南朝を担いで徹底的に対立するようになるため、戦乱は長引いた。
Posted by ブクログ
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1991年刊行されたものの文庫版。南北朝時代に活躍した人物について、太平記の記述をより確かな史料で検証することで、歴史資料としての太平記の世界を浮かび上がらせる内容。付論での成立過程検証も興味深い。
Posted by ブクログ
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将軍-重臣関係を軸に、義教の執政時期を主として嘉吉の乱による破綻までを描く内容。義教の還俗から元服にいたる過程や、各改元の詳細な検討など特に執政の前半期において興味深い内容が多かった。
Posted by ブクログ
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