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明治維新後、旧公卿・大名、維新功労者などから選ばれた華族。「皇室の藩屏」として、貴族院議員選出など多くの特権を享受した彼らは、近代日本の政治、経済、生活様式をリードした「恵まれた」階級のはずだった。日清・日露戦争後、膨大な軍人や財界人を組み込み拡大を続けたが、多様な出自ゆえ基盤は脆く、敗戦とともに消滅する。本書は、七八年間に一〇一一家存在したその実像を明らかにする。巻末に詳細な「華族一覧」付き。
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Posted by ブクログ
華族に関する入門書として最適だと思います。 華族関連書籍は概ね気合が入りすぎているからか、やたらと資料や込み入った解説が多く 結局なんだったのか分からないといってことに陥りがちだったと思います。 しかしこの本は裏づけとなる数字や資料、またその解説の程度が 華族に対する特別な知識のない人間にとってま...続きを読むさに絶妙の配分、難易度なのです。 華族ってどんな人たちがなったの? 華族ってお金持ちだったの? 華族って何人いたの? 公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の違いってなに? ↑それぞれ何人くらいいたの? 華族のその後ってどうなったの? などなどの疑問に答えてくれるニュース解説の池上さんみたいに親切な一冊です。
世襲っていうのは、ほとんど身分制度みたいなもので、地盤や資産だけではなく、親の代から世話になった“シガラミ“まで引き継いでしまう。世襲ではない総理は、やはり良いのかも知れない。 士農工商という身分制度は、武士以外は横並びで江戸時代に規定されたものではなく、明治以降に広まった言葉。最近の教科書では、...続きを読むこう修正されたらしい。現代の身分制度はというと、政治家や経営者、高学歴採用の大企業、資格を有する士業は「武士」。圧倒的多数の中小企業が「農(商)」、農家は既に職人のような扱いで「工」みたいな感じだろうか。武士のみが特権の世襲でそれ以外は横並び、経済を日々耕すサラリーパーソンは農民だという点でも、見直された教科書にピタリとはまる「身分制度のリメイク版」だ。 で、これは“人間の本能による序列化“という生理的な欲求によるものだから、律令体制以前から、ずーっと変わらぬ価値観である。 少し脱線するが…生命は“捕食に対し身体を設計してきた“のだが、人間が選んだのは二足歩行と大脳新皮質。人間にとっての捕食対策は、大人数で群れて、先ずは“逃げること“。といっても、狩をする側は、食べるだけの人数を捕えれば満足。後は逃げ切れる、という算段だ。 重要なのは「ただ速くなればよい」という絶対的価値観ではなく「人より速くなる」という相対的価値だ。そうでなくては、食べられてしまう。この駆動力、競争・成長志向のアナロジーこそ、資本主義であった…というのは別の話。 グロい話をするが、群れの中から、自らの遺伝子に忠実に子供やパートナーを守ろうとしたのが「言葉による呼びかけという愛」、一方、コイツが餌になれば自分たちは助かるという“闇の感情“も同時に生まれ、仲間意識などの領域の誕生と共に「保険としての利他」が生まれた。つまり、保険として弱者を取っておく偽物の愛。これらを自然整列させ、やがて制度化したのが身分制度—— つまり、我々の苦しい人生レースに潜む嫉妬や妬み、マウントごっこ、ねっとりした承認欲求の正体だ。食われてたまるか、生贄用の保存食になってたまるかという競争。 その厚顔無恥で恥知らずの頂点とも言えるのが「華族」という制度化。いや、だからこそノブレス・オブリージュのような自己犠牲とセットで道徳を説くのだが、大多数はただの特権階級で、“先に食べられるのは、貴方たち下層からよ“という人たちを正当化していった。 維新後の明治新政府で実権を握った岩倉具視、大久保利通の嗣子や伊藤博文、徳川宗家、幕臣であった勝海舟、西郷隆盛の末裔も華族。東西本願寺の大谷家、伊勢神宮や出雲大社の神職も、日露戦争で名を馳せた軍人の乃木希典も東郷平八郎も華族。財閥の三井も岩崎も、足尾銅山で有名な古河市兵衛の子孫も、医学者の北里柴三郎も華族。当然、皇族の子弟が華族になることもあった。 —— 嫌な言い方をしてきた。もう少し分かりやすく自身の考えを述べたい。人間は身分制度を本能的につくる生き物だから、マウント上位の成り上がりや世襲は否定しない。だが、必ずノブレス・オブリージュとセットであるべきで、仲間内で既得権を保護し合う“我欲の亡者たち“を法秩序により制裁できるようにすべきだと思うのだ。
皇室の藩屏として、明治入り後に造られた特権階級。ただし、その出自は公家、大名、維新功労者、資産家、軍功者と多様で一体性を欠いていた。 例えば、資産においても大大名と公家では大きな格差があったというのは興味深かった。 昭和前期は、政党が力を失う中で軍部以外に華族も政治の中心におり、「貴族政治」とも...続きを読むいえたというのは自分にとって新しい視点だった。
明治から始まった華族制度。 そして、太平洋戦争終結後に廃止。 その全貌が網羅されている。 遅れてきた貴族たち・・・という感じがする。 しかし、考えてみれば、各地のお殿様や、公家たちが、明治維新と同時に平民になる・・・というのも抵抗があったのかなぁ。。。 そういうワンクッションを置かなければまた、近代...続きを読む化も進まなかったのかもしれませんね。 それにしても、経済難などで苦しんだ華族の歴史を見ると、なんともあわれですね。
日本にかつて存在した特権階級華族の解説書。 一言に華族と言っても、その出身は武家・公家・軍人・朝鮮王族と様々で、 また地位も最高位の公爵は10家あまりしかないが、 男爵や子爵はたくさんあった。 出身が様々なように、 解体にあたってもやはり様々な終わりが華族の数だけ存在する。
やっぱりこれは金子絡みで読んでおかないとね、と思って買った一冊。華族の成り立ちから政治、経済、家と体面の維持などなど参考になります。サブタイトルにも在るとおり、案外華族って大変。商人から成功して財閥とか作った人達の方がよほど良い生活してる感じです。
[ 内容 ] 明治維新後、旧公卿・大名、維新功労者などから選ばれた華族。 「皇族の藩屏」として、貴族院議員選出など多くの特権を享受した彼らは、近代日本の政治、経済、生活様式をリードした「恵まれた」階級のはずだった。 日清・日露戦争後、膨大な軍人や財界人を組み込み拡大を続けたが、多様な出自ゆえ基盤は脆...続きを読むく、敗戦とともに消滅する。 本書は、七八年間に一〇一一家存在したその実像を明らかにする。 巻末に詳細な「華族一覧」付。 [ 目次 ] 序章 イメージとしての華族―鹿鳴館を彩った人びと 第1章 華族の成立 第2章 「選ばれた階級」の基盤構築 第3章 肥大化する華族―明治から大正へ 第4章 崩壊への道程―大正から昭和へ 終章 日本的「貴族」の終焉―敗戦・戦後 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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華族 近代日本貴族の虚像と実像
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