エッセイ - 新潮社作品一覧

  • れもん、うむもん!――そして、ママになる――
    4.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 つわり、胎動、分娩、母乳……思うようにならない自分の体と、命を預かることへの緊張。ママとして最善のことをしたいのに、できない。贅沢な悩みだと分かっていても、のみこめない気持ちを抱えて、身も心もズタボロになった日々。シアワセだけじゃ、産めません……。「しんどい」気持ちにそっと寄り添う、ママたちの味方の一冊。
  • 食卓の情景
    4.2
    いちばん好きなものは? と問われたら、鮨と答える、にぎっている時の主の眼の輝きがすばらしい。少年時代、どんどん焼屋に弟子入りしようとして〔鳥の巣焼〕という珍品を発明する。松阪牛が丹精こめられた処女なら、伊賀牛はあぶらの乗りきった年増女、これをバター焼、ついですき焼と賞味する。おいしい食べ物に託して人生観を語る無類のエッセー。著者自筆のカット7点挿入。
  • もう一杯だけ飲んで帰ろう。(新潮文庫)
    3.7
    居心地最高な西荻窪の焼鳥屋、喧噪を忘れる新宿の蕎麦屋、朝まで開いている中野の鮨屋に、激辛好きも唸る吉祥寺のラオス・タイ料理店。神田で羊を食べ尽くし、永福町でチーズにとろけ、立石ではしご酒を愉しむ。今日もまた、うまい肴と好きな人との時間をアテに、つい頼んでしまうもう一杯。夫婦で綴る、めくるめく“外飲み”エッセイ! 文庫書き下ろし「乗り越えて釜山(プサン)タコ鍋旅」を収録。
  • 躁鬱大学―気分の波で悩んでいるのは、あなただけではありません―(新潮文庫)
    4.6
    今日も仕事で失敗してしまった。自分は何もできない……と悩んでいても自分が苦しくなるだけ。やりたくないことは一切やらず、苦手なことには手を出さず、できることがもっともっとできるようになって、むちゃくちゃ褒められるほうが心地良いじゃないか。人生ボチボチ、努力は敵、今のままで大丈夫。気分の浮き沈みの激しさに苦しんだ著者が発見した、愉快にラクに生きる技術を徹底講義。
  • モテの壁(新潮文庫)
    5.0
    「モテとか興味ない」と嘯(うそぶ) きつつ、モテるあいつは人生得してるようでなんだかシャクだ。何があるんだ、モテるやつには。何が違うんだ、俺たちとは。自称「モテに失敗したコラムニスト」が全力で嫌がりつつもモテを分析。小学生向け雑誌からインド映画、ジブリにAV男優まで。ただの「モテ」テク本とは一線を画す考察の先には 人生を変えるヒントがある!……かも? 「モテるかもしれない。」改題。
  • 月夜の散歩(新潮文庫)
    3.9
    どう工夫してもイマイチなポテトサラダに悩み、入手困難なご当地調味料にときめく。調理前のかたまり肉に高揚し、冷めゆく天ぷらに絶望する。弁当屋で顔を覚えられた恥ずかしさに悶え、飼い主に似てきた猫を愛で心を整える……。思い描いた立派な大人にはなれぬまま加齢していく人生の、ささやかな思考や出来事を、味わい深く見つめ出す。ふつうの生活がいとおしくなる、日常大満喫エッセイ。
  • 処女の道程(新潮文庫)
    4.0
    女は結婚するまで処女でいるべきか――なんて議論は過去のもの。だが処女の価値には、その時代の女性の地位やモラルの変遷が現れていた。性に開放的だった古代~平安、儒教の貞操観念が浸透した封建社会。純潔が尊ばれた大正から、出産を国に推奨された戦時下。未経験が恥だった80年代を経て、性交渉しない自由を得た令和へ。古今の文献から日本の性意識をあぶり出す画期的な性のクロニクル。(解説・花房観音)
  • 作家との遭遇(新潮文庫)
    4.1
    少年の頃に開いた書物の森で、あるいは「学校」のようだった酒場の片隅で、沢木耕太郎が心奪われるように出会ってきた作家たち。山本周五郎、向田邦子、山口瞳、色川武大、吉村昭、吉行淳之介、小林秀雄、瀬戸内寂聴など、書くことが即ち生きることだった19人の作家に正面から相対し、その本質を描き出す。誰も知らなかった顔に辿り着き、緊張感さえ孕むスリリングな刺激あふれる作家論!
  • 最後の読書(新潮文庫)
    3.7
    目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はわるいことばかりではないよ――。鶴見俊輔、幸田文、須賀敦子……。長い歳月をたずさえて読む本は、豊かで新鮮なよろこびに満ちている。親しい仲間や敬愛する先達との別れを経験しながら、それでも本と出会い続けよう。本を読み、つくり、書いてきた読書人が、その楽しみを軽やかに綴る現状報告。読売文学賞受賞作!(解説・鈴木敏夫)
  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)
    4.3
    人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。(解説・日野剛広)
  • 私的読食録(新潮文庫)
    4.1
    たとえば、物語の中で少女が食べる「甘パン」。あるいは、殺し屋が飲む一杯の「珈琲」。小説、エッセイ、日記……と、作品に登場する様々な「食」を、二人の作家はあらゆる角度から食べ、味わい、読み尽くす。その言葉が届くとき、あなたの読書体験は、眼前の本の味は、まったく新しいものに変わる。読むことで味を知る、味を知ることで読みたくなる。すべての本好きに贈る、極上の散文集。
  • お茶の味―京都寺町 一保堂茶舖―(新潮文庫)
    3.4
    ゆったりと流れる時間、その時々で変化する風味、茶葉が持つ本来の美味しさ――お湯を沸かし、急須で淹れてこそ感じられるお茶の味わいがあります。江戸時代半ばから京都に店を構える老舗茶舗「一保堂」に嫁いで知った、代々が受け継ぎ伝えてきた知恵と経験、家族のこと、お店のいまと未来、出会いと発見に満ちた京都生活。お茶とともにある豊かな暮らしを綴った、心あたたまるエッセイ。
  • 鞄に本だけつめこんで(新潮文庫)
    4.0
    私は子供のころから本を読むのが一番好きだった。梶井基次郎を読むたび湧き出す愛猫への思い。永井荷風が思い出させる幼き日の家出。坂口安吾に救われた思春期。幸田文とはだいぶ違った父娘関係。谷崎に性の厄介さを教えられ。小学生からの付き合いになる林芙美子……。本さえあれば、どんな日常も笑えて愛おしい。思い出をカラフルに彩る24冊の名作を紹介、読書の幸福に満ちた名エッセイ集。
  • 古都再見(新潮文庫)
    4.0
    幕が下りるその前に見るべきものは、やはり見ておきたい。歴史作家は故郷を離れ、古都・京都に仕事場を構えた――。先斗町のウオッカバーで津田三蔵の幻を追い、西本願寺の〈司馬さんのソファ〉に新撰組の気配を感じ、四条河原町のレトロな喫茶店で本能寺の変に思いを馳せる。現代人の失くした信念、一途、そして命の尊さを描き続けた著者が遺した、軽妙洒脱、千思万考、珠玉の随筆68篇。(解説・澤田瞳子)
  • ほのぼのお徒歩日記(新潮文庫)
    3.5
    わたくし宮部みゆきの初めての小説以外の本であります――。著者初の散文集は、江戸を、日本を「歩く」ことから始まった。赤穂浪士討ち入り後の道のり。市中引廻しのルート。そして、島流しの行き着く先。担当編集とともに歩き、食べ、語り尽くした珍道中。ひとたび読み始めれば、あなたもきっと、ミヤベと「町」を歩いてみたくなる。『平成お徒歩日記』に書き下ろし一編を加えた新装完全版。
  • 創作する遺伝子―僕が愛したMEMEたち―(新潮文庫)
    4.0
    「メタルギアソリッド」シリーズ、『DEATH STRANDING』等を生んだ天才ゲームクリエイターの創作力は、本、映画、音楽への深い尊敬と情熱によって焚きつけられていた――。散文集『僕が愛したMEME(ミーム)たち いま必要なのは、人にエネルギーを与える物語(ミーム)』を再構成し改題。会社独立後から現在にいたるまでの想い、新作への意欲を新たに書き下ろした熱烈なる偏愛エッセイ。特別対談:星野源。
  • 忌野旅日記 新装版(新潮文庫)
    3.7
    キミは忌野清志郎を知っているか。世の中のインチキを笑い嘲り歌にして、切ない愛の言葉をあふれるロックのビートに乗せて深く胸を打つ。近ごろ姿を見ない? それは何かの間違いだ。文庫を開けば、坂本龍一、山下洋輔、桑田佳祐等、イカしたヤツらとのセッションと交遊は今日も続いていると知る筈だ。RCの圧倒的ステージ写真も前半グラビアに収録。よォーこそ! 巻末解説まで興奮の新装版へ。(解説・尾崎世界観・角田光代)
  • やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記(新潮文庫)
    4.5
    『果しなき流れの果に』『復活の日』『日本沈没』――。日本SF史に輝く傑作の数々を遺した小松左京の原点は、戦中戦後の動乱期を過ごした旧制中学・高校時代にあった。また京大人文研とのつながりから、大阪万博にブレーンとして関わった顛末とは。幻の自伝的青春小説と手記によって、そのエネルギッシュな日々が甦る。若き日の漫画家デビューなど、新事実も踏まえたオリジナル編集版。(解説・小松実盛、加藤秀俊)
  • トットひとり(新潮文庫)
    4.0
    「ザ・ベストテン」時代の舞台裏。毎日共に過ごした向田邦子、母と慕った沢村貞子、頼りになる兄貴の渥美清、「一回どう?」と誘った森繁久彌など、大好きな人たちとの交流。トモエ学園やパンダの研究、テレビ草創期、ニューヨーク留学、結婚未遂、ヌード写真などの思い出。そして友人たちを見送った今なお、ひとり活躍を続けるエンタテイナーが綴る珠玉の回想録。永六輔への弔辞を全文収録。
  • 猟師の肉は腐らない(新潮文庫)
    4.0
    現代に、こんなに豊かな食生活があったとは! 福島の山奥、八溝山地。電気も水道もない小屋で自給自足の暮らしを送る猟師の義っしゃんは、賢い猟犬を従えて、燻した猪や兎の肉に舌鼓を打ち、渓流で釣ったばかりの岩魚や山女を焼いて頬張り、時には虫や蛙、蛇までも美味しくいただく。先人からの知恵と工夫を受け継ぎ、自然と生命の恵みを余すことなく享受する、逞しくて愛すべき猟師の姿。
  • 地震と独身
    3.0
    2011年3月11日以降、震災をめぐる家族の物語は様々な形で語られてきた。一方で、あまり聞こえてこない独身者の声。地震は彼らにどんな影響を与えたのか? 既婚者に代わり必死で働いた人、故郷の東北に戻った人、ボランティアに身を捧げた人、結婚を決めた人……。被災地を訪れ、独身者たちとの対話を重ねて見えてきた、「個」として生きる人々の多様な姿と、新たなつながりの可能性。
  • 人びとのかたち
    4.3
    虚実皮膜の間について。正義なるものの落し穴について。愛されたいと望むことの度胸について。官能という名の死について。品格とは何かについて。永遠に解決できない問題について。そして、地中海世界の圧倒的な魅力について。……数多の現実、事実と真実を、映画が教えてくれた。銀幕は人間万華鏡、人生の奥深さを多様に映し出す。だから私は語ろう、私の愛する映画たちのことを――。 ※新潮文庫版に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
  • 大人のための恋愛ドリル
    3.5
    妻子ある身で八人もの愛人を抱える性豪は一見地味な男だった。たった一回のキスで美容師に夢中になった45歳主婦の行く末。若い女性は男性に性格の良さを求めるのに、痛いアラフィフに限ってメンクイ率高し!? 恋愛の神様がアラサー、アラフォー、アラフィフから聞いたエピソードを鋭く分析。年を重ねても恋愛ベタなあなたへ贈る、27のケーススタディ集。※新潮文庫版に収録の対談は、電子版には収録しておりません。
  • 人生について
    -
    生きる苦しみと理不尽、そして死の恐怖……人生には解決のつかない難問がいくつも横たわる。稀代のモラリストが怒り・虚栄・孤独・退屈・羞恥・嘘・宿命・教養・苦悩・権力欲といった現代人の諸問題について冷徹な人間観察と鋭い心理洞察に基づく思索を重ね、自身の体験を交えつつ平易な文章で語る。著者が「最高の作品」と自任する本格的エッセイ集。『人生の深淵について』改題。
  • 古城の風景I―菅沼の城 奥平の城 松平の城―
    4.3
    戦国期の古城を巡る作家の眼は、そこに将兵たちの哀歓を見る。大軍相手でも容易に落ちぬ墨守の名将として驍名を馳せた菅沼氏。今川─武田─徳川と臣従し、その勇猛を賞賛された奥平氏。籠城せずに常に城外で決戦した剽悍無類の松平氏。三氏ゆかりの城々を経巡り、高潔達意の名文で、その豊穣な思念と鋭敏な歴史観を縦横に記した白眉の城塞紀行。単行本1、2巻を合本して文庫化。
  • ホメロスを楽しむために
    4.0
    ギリシャに生れた盲目の吟遊詩人ホメロスの世界が、阿刀田魔術で生き生きと目前に広がります。イリアス、オデュッセウス、ポセイドン、トロイア戦争──著者の名解説を聞きながらのギリシャ周遊パック旅行のような、至れり尽せりの入門書。今までは読みたくても手が出なかった西洋文学古典中の古典のエキスが、苦もなく手に入る大好評シリーズ第6弾。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
  • 出世を急がぬ男たち
    -
    焦らずに時を待って大事を成し遂げた男たち、出世を急ぐあまりに自ら敗北を招いた男たち――。山陽鉄道社長の椅子よりも、建築事務所主任を選んだ後の宰相・高橋是清をはじめ、さまざまな実例によって、男の身の処し方を問い、現代のビジネスマンに要求されている真の能力について語る。現代の混迷した状況を乗り切るために、何に学ぶべきかを示した読書論・人物論70編を収録。
  • おねえさんといっしょ
    5.0
    見よ! 日本出版史上に輝く驚愕の名著! 孤高の天才野田秀樹の埋もれたる業績を発掘、駄文集大成として、堂々の刊行。美空ひばり、松田聖子から長島茂雄まで徹底的にめった斬りする「おねえさんといっしょ」から、'82年から'91年までの全雑文を収録。
  • 本朝無双格闘家列伝
    3.0
    神代の昔より、日本には凄まじく強い格闘家たちがいた。建御雷神、当麻蹶速、海恒世、合沢弥五郎……。格闘技を熱烈に愛する著者が史書をひもとき、いにしえの激闘に思いを馳せる。時には壮絶な闘いに身震いし、時には試合を極めた必殺技を大胆推理する。現代の格闘家の話題をはじめとした愉快な脱線話も満載。ただひたすらパワーを追求した英雄たちの歴史絵巻、ここに開幕――。
  • 歴史への感情旅行
    -
    歴史は、資料の積み重ねではない、むしろ一個の感情である。――著者は、古老の「むかし噺」に耳を傾けるように古今の文学を逍遥する。酒を慈しみ、愛犬を偲び、信念を述べ、精一杯生きて逝った人々に思いを馳せる。どんな短い一章にも、半世紀にわたる作家人生の精髄が刻み込まれ、暮しの下敷きである「過去」への、敬愛の念が込められている。我に返る時間を与えてくれる一冊。
  • ラーメン煮えたもご存じない
    4.0
    インスタントラーメンだって工夫ひとつでおいしく食べられます――。柔らかい心で生きなければと思いつつも、今日び余りにも馬鹿げたことばかりで疲れます。自分中心の若者の無礼なること、権力志向する男の愚かしきこと、そして結婚だけが生きがいの女の鈍なること。しかしなぜか人生面白く人間商売やめられぬのだ。この恐ろしい世の中を、もっと柔らかい心で楽しく生きるために。
  • 「昔はよかった」病
    3.6
    「昔はよかったね」――日本人はそう言って今を嘆き、過去を懐かしむばかりだ。昔は安全だったのに、子どもは元気だったのに、地域の絆があったのに、みな勤勉だったのに……。しかしそれは間違いだ。捏造された追憶、あるいは新しいものを否定する年長者のボヤキにすぎない。資料を丹念に分析し、シニカルな視点で通説を次々ひっくり返す。「昔はよかった」病への特効薬となる大胆不敵の日本論。
  • 着想の技術
    -
    漸新なアイデアはいかにして得られるか。ある断片からいかに小説に発展させるか。精神分析学は小説創作に有効か。夢を素材にした小説は文学たりうるか。…そして現実世界から全く独立した超虚構文学の追求へ。『虚人たち』『虚航船団』『夢の木坂分岐点』と、たてつづけに日本の文学界を震感させた著書が、名作品の執筆と平行して、自らの頭脳の中身を解剖してみせた発想学の大系。
  • 人間の浅知恵
    3.0
    独裁者の私利私欲は時に人間くさく、庶民の振りかざす正義は時に傍迷惑なものとなる。歴史に深慮があったとしても、人間の浅知恵はそれを損なわずにはいられない。ベトナムの戦野を駆け、現代史を彩る指導者たちと渡り合ってきたジャーナリストにして希代の名文家が、透徹した視線で世界を見つめる。偽善の衣をまとっていても、著名な役者と名も無き衆生が織りなす歴史のタペストリーは鮮やかで美しい。
  • 酒呑みの自己弁護
    -
    “酒をやめたら、もしかしたら健康になるかもしれない。長生きするかもしれない。しかし、それは、もうひとつの健康を損ってしまうのだと思わないわけにはいかない”世界の美酒、銘酒をすべからく友として三十余年、喜びにつけ哀しみにつけ常に酒と共にあった著者が、今、愛惜の心で思い出の酒を語り、男らしい酒の飲み方を伝授する。深い深い読みごたえ、口あたり爽やかな辛口エセー。山藤章二のオリジナルイラストを完全収録。
  • 贋食物誌
    -
    鮨屋でトロをたくさん食べるのはなぜその店に気の毒であるのか、別府温泉の城下がれいがいかに美味であるか、落花生と南京豆とピーナッツは同じものか異なるものか、等々。たべものを話の枕に、男女の問題、少年期の回想、交友、お酒、セックス、ギャンブルその他、豊富な人生経験を自在に語る洒脱なエッセイ。
  • 過ぎゆく日暦
    -
    広大な“清張文学”を支えていたものは、倦むことのない取材と、こまめに記けられた「日記」であった。〈流れ作業〉で解剖が進むニューヨークの死体収容所。文豪・鴎外を始終悩ませた家族の不和。ゾロアスター教の拝火殿を眺望しながら、モーツァルトの「魔笛」を考える旅日記……。何気ないメモと、ふとした雑感が小説の土台に据えられてゆく。創作の臨場感あふれる“清張ノート”。

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  • 徒然草inUSA―自滅するアメリカ 堕落する日本―
    4.0
    「私は経済学者でも政治学者でもなく、歴史を多少かじった文学者に過ぎないが、アメリカ帝国の落日を内部から見つめる機会を得たので、ここに徒然なるままに私が考えたことを綴った」――。二〇〇八年七月から〇九年三月まで、世界金融危機に揺れるニューヨークに滞在した、オバマ大統領と同い年の「冷戦の子」世代の作家が見た日米関係最前線。

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  • 野垂れ死に
    3.8
    天才棋士と騒がれる一方、ギャンブルで作った借金は億単位、正妻と子供のいる自宅には三年間も帰らず愛人の所に入り浸り、酒での乱行も数知れず。そんな秀行さんも齢八〇を超えた。とっくに博打場でくたばっているはずが、死神にも見放されたらしい。三度のガンを患うも、みな克服してしまう。「こんなに長く生かしやがって」憎まれ口をききながら、今日も競輪場に通う――。無頼派勝負師が語る痛快なるその半生。

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  • 剣と禅のこころ
    4.0
    人を殺す刀が人を活かす剣となる――。この「剣禅一如」の深い哲理は、現代人にとっても決して無縁ではない。むしろ、日々を生きるヒント、この日本を考えるヒントがそこには無数に隠されており、遺された数々の言葉は今も重く響く。剣は宮本武蔵や上泉伊勢守から山岡鉄舟まで、禅は道元から一休や良寛まで、それぞれの人と思想をたどりつつ、日本独自の死生観に迫る一冊。

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  • ふたりで泊まるほんものの宿
    3.5
    良い宿を選ぶときは、人に聞くか、ガイド本を見るのが普通である。しかし、人が絶賛した宿に失望することは多い。きれいな写真と受け売りの紹介文だけのガイド本はほとんど幻想の書といってよい。ほんものの宿とはなにか。その問いを常にもち続けてきた夫妻が奨める宿、8軒。その最高のサービスと心地よさを語るほか、現在の旅館の問題点や時刻表による旅館判別法などを収めた、本当の宿好きにとって福音の書。

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  • マイ仏教
    4.1
    人生は苦。世の中は諸行無常。でも、「そこがいいんじゃない!」と唱えれば、きっと明るい未来が見えてくる。住職を夢見ていた仏像少年時代、青春という名の「荒行」、大人になって再燃した仏像ブーム。辛いときや苦しいとき、いつもそこには仏教があった。グッとくる仏像、煩悩まみれの自分と付き合う方法、地獄ブームと後ろメタファー、ご機嫌な菩薩行……。その意外な魅力や面白さを伝える、M・J(みうらじゅん)流仏教入門。

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  • 口のきき方
    3.9
    少しは考えてから口をきけ! テレビ、ラジオに溢れるついつい突っ込みたくなる奇妙な言葉の数々。その背景には何があるのか。耳障りな若者言葉に隠された意外な効用と正しい使用法とは。会話の上手い下手の差はどこにあるのか。アナウンサー歴三十年、喋りのプロが怒って唸って考えた、日常会話から見た日本語論。笑いながら読むうちに、いつのまにか貴方の「口のきき方」が向上しているかもしれません。

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  • 大人の見識
    3.6
    かつてはこの国にも確かな見識があった。著者は東大を繰上げ卒業して海軍に入り、中国で終戦。戦後は志賀直哉に師事して、生きる意味を深く問いかける名作や人間味溢れる随筆を数多くしたためてきた。その実体験と読書体験と思索に裏打ちされた、人生の叡智が凝縮された読むほどに味わい深い1冊。

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  • 妻に捧げた1778話
    3.8
    余命は一年、そう宣告された妻のために、小説家である夫は、とても不可能と思われる約束をした。しかし、夫はその言葉通り、毎日一篇のお話を書き続けた。五年間頑張った妻が亡くなった日の最後の原稿、最後の行に夫は書いた──「また一緒に暮らしましょう」。妻のために書かれた1778篇から19篇を選び、妻の闘病生活と夫婦の長かった結婚生活を振り返るエッセイを合わせたちょっと変わった愛妻物語。

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  • 男はつらいらしい
    3.4
    「立たない」つらさに苦しむ47歳。結婚できず、切実な思いで「花婿学校」に通う33歳。職場の人間関係に悩み、相談窓口に駆け込む40歳……。しんどいのは女や若者だけじゃない。働き盛りの男たちこそ、仕事に家庭に恋愛に、そして性をはじめとした心身全般の不調に悩んでいるのだ――。そんな男たちのグチを、女性記者(40歳・独身)が時に共感し、時に自分を棚に上げ(?)ながら聞き出した一冊。意外と男も、いや、男の方が、あちこちグチだらけ! 女の「負け犬」は元気なのになあ……。

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  • 宮崎アニメの暗号
    3.5
    『もののけ姫』のあのシーンには「隠し絵」が埋め込まれている――ナウシカ、ラピュタ、トトロ、千と千尋……日本人なら誰もが観たであろう宮崎駿アニメ。その表層のエンターテインメント性に惑わされるな。全ての作品にはさまざまな「仕掛け」が巧みに隠されている!!  「カオナシ」が表すものは……「ナウシカ」は聖女じゃなくて……「湯婆婆」のあのタマネギ頭は……そして、多くの作品に共通する「母の不在」の意味するものとは――暗号を一つ一つ解読していくと宮崎アニメが真に訴えるものが見えてくる! 本書とともに、宮崎駿が仕掛けた暗号を解読せよ。

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  • 国家の品格
    4.2
    「品格」で流行語大賞も受賞した大ベストセラー。虫の音が美しいと思う心、説明無用「駄目なものは駄目」、「卑怯」はいけない――日本人は生まれながらにして善徳や品性を持っている。国際化という名のアメリカ化に踊らされてきた日本人は、この誇るべき「国柄」を長らく忘れてきてしまった。いま日本に必要なのは何か? それは論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである! すべての日本人に誇りと自信を与える画期的日本論。

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  • 日本人の足を速くする
    3.8
    たとえ筋力や体格で劣っていても、日本人に合ったトレーニング法と正しい身体の動かし方をマスターすれば、世界と戦える。足は「技術」で速くなる――。400mハードルでメダリストとなった“侍ハードラー”が、試行錯誤の末に到達した「走る極意」とは何か。また、大舞台で勝つための集中力の高め方、精緻に計算されたレース攻略法とは。陸上競技の見方が一変する、日本人のための知的陸上読本。

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  • とてつもない日本
    4.0
    自信を持て日本人! 日本の底力はまだまだ凄い!!――格差社会、少子化、教育崩壊……メディアでは暗い話ばかりが喧伝されるが、日本は本当にそんなに「駄目な国」なのだろうか。戦後、一度も戦争をせず、努力の末、経済的繁栄を実現した。トヨタ、ソニー、カラオケ、マンガ、ニンテンドー……世界からも大注目じゃないか。アキバの若者も、巣鴨の老人も、ニートだって、日本人はみなとてつもない底力をもっているのだ――マンガ大好き&秋葉原で大人気の麻生太郎が、全ての日本人に自信を与える快著。

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  • 超バカの壁
    3.6
    「今の日本社会には、明らかに問題がある。どんな問題があるか。私はものの考え方、見方だと思っている。そこがなんだか、変なのである」――フリーター、ニート、「自分探し」、テロとの戦い、少子化、靖国参拝、心の傷、男と女、生きがいの喪失等々、現代人の抱える様々な問題の根本が見えてくる。「バカの壁」を超える方法、考え方は自分の頭で生み出す。そのためのヒントが詰まった、『バカの壁』『死の壁』に続く、養老孟司の新潮新書第三弾。
  • 死の壁
    3.7
    過去に死ななかった人はいない。人間の死亡率は100%なのだから――。誰もが必ず通る道でありながら、目をそむけてしまう「死」の問題に『バカの壁』の養老先生がズバリ解答! Q.自殺はダメ? A.「どうせ死ぬんだから慌てるんじゃねえ」 Q.生きがいとは何か? A.「そんな問いは暇の産物。トイレに行きたいときに考える?」 Q.なぜ人を殺してはいけないのか? A.「死は回復不能だから」……など、死にまつわるさまざまなテーマを通じて、現代人が生きていくための知恵を考える。逃げず、怖れず、考えた最終解答!
  • 沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う(新潮文庫)
    4.3
    最新技術を武器に、謎を追え! なぜか竜骨が見つからないクロアチアの輸送船、水深60mのエーゲ海に沈む沈没船群、ドブ川で2000年間眠り続けた古代船に、正体不明のカリブの「海賊船」。そして、ミクロネシアの海にのこる戦争遺跡――。英語力ゼロで単身渡米、ハンバーガーさえ注文できずに心が折れた青年が、10年かけて憧れの水中考古学者になりました! 深くて魅力的な海底世界へようこそ。(解説・河江肖剰、対談・丸山ゴンザレス)
  • 世の中と足並みがそろわない(新潮文庫)
    3.7
    女性を下の名前で呼べない。「二子玉(にこたま)」と言いたくない。可愛げある「隙(すき)」が作れない。そして、この本のタイトルがやっぱり気に入らない――。世の中と折り合えない「不器用すぎる芸人」ふかわりょうが、日頃から抱く些細な違和感をタネに縦横無尽に持論を展開。ここで出会ったのも何かの縁。その独特なこだわりに呆れつつも、くすりと共感してしまう、歪(いびつ)で愉快なふかわワールドをご堪能あれ。(解説・綿矢りさ)
  • カラスは飼えるか(新潮文庫)
    4.6
    カラスはペットにできないの? カラスの肉って食べられるの? 頭の良さで知られながら嫌われもする身近な野鳥。彼らを愛してやまない研究者がその生態と魅力を熱く語る。フクロウや渡り鳥の秘密。伝説となったドードー。カラスじゃない鳥類についても考察しつつ、気が付けばまたアイツの話に――。カラス博士による愉快でためになるエッセイ集。あなたのカラスの見方がきっと変わる!
  • コラムニストになりたかった(新潮文庫)
    3.0
    私がほんとうにやりたいことって、なんだろう! 早稲田大学を卒業するも就職に失敗。父の勤める読売新聞社でのアルバイトを経て、主婦の友社でコピーライターに。退職してヨーロッパを放浪し、ついに気持ちは定まった。フリーランスで、雑誌業界で働きたい――。雑誌『アンアン』に衝撃を受け、仏映画『どん底』にシビれた女の子がコラムニストになるまでを綴る、流行と文化と思い出の年代記(クロニクル)。(解説・佐久間文子)
  • もし僕らのことばがウィスキーであったなら(新潮文庫)
    4.2
    シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。そこで授けられた「アイラ的哲学」とは? 『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか? 蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々――。芳醇かつ静謐なエッセイ。
  • この素晴らしき世界(新潮文庫)
    4.1
    ど天然な西川きよし師匠、嫉妬が原動力の山里亮太、客にマジギレするメッセンジャー黒田、スケールのでかいバカ・ピース綾部、還暦のバイト芸人リットン調査団、常にふざけてる女・ガンバレルーヤよしこ……。吉本歴30年超えの「日本一心のない司会者」が、底知れぬ芸人愛と悪い笑顔で、吉本芸人の奇行蛮行をいじり倒す! 【キングコング西野の東野幸治論、平成ノブシコブシ徳井の解説収録】
  • 悶絶スパイラル(新潮文庫)
    3.9
    作家の一日は忙しい。「シャツがイン」のあるべき姿を考察し、脳内政界ラブロマンスに思いを馳せ、ジョジョTを着て打ち合わせにむかう。タクシー運転手さんにはモテ女を演じ、野球場のゲイカップルをやっかみ、天丼を求め夜の町を彷徨う……。キャラの濃すぎる家族や友人たちに囲まれて、妄想アドレナリンは今日も絶賛分泌中! 愛と笑いで読者を包む、情熱的ミラクルエッセイ。(解説漫画・松苗あけみ)
  • 鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布(新潮文庫)
    3.9
    「土地の名まえ」の背景には、いつも物語がある。そこに暮らす、人々の息遣いがある。峠や湖川など、地形に結びついた名まえ。植物や動物に由来する地名。街道や国境など、人の営みをめぐる地名。音やまなざしから付けられた名まえ。消えた地名、新たに生まれた地名……。空を行き交う鳥や風のように伸びやかに、旅した土地の名まえから喚起される思いを綴る、二作の葉篇随筆を合本した文庫版。(解説・吉田篤弘)
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)
    3.9
    首都に巡らされた不思議な地下通路。昔の生活が残る小さな島の老婆たち。古いホテルの幽霊。海辺の葦原。カヌーで渡る運河の涼やかな風。そして密かに願ったコウノトリとの邂逅は叶うのか……。北ヨーロッパの小国エストニア。長い被支配の歴史を持つこの国を訪れた著者が出会い、感じたものは。祖国への熱情を静かに抱き続ける人々と、彼らが愛する自然をつぶさに見つめた九日間の旅。
  • 愛という名の支配(新潮文庫)
    4.6
    どうして私はこんなに生きづらいんだろう。母から、男から、世間から受けてきた抑圧。苦しみから解放されたくて、闘いつづけているうちに、人生の半分が終わっていた。自分がラクになるために、腹の底からしぼりだしたもの――それが“私のフェミニズム”。自らの体験を語り、この社会を覆い尽くしている“構造としての女性差別”を解き明かす。すべての女性に勇気と希望を与える先駆的名著。(解説・山内マリコ)
  • 根っこと翼―美智子さまという存在の輝き―(新潮文庫)
    -
    自分の中だけにしまっておくのはあまりにもったいないと思ってきた――。「私たち、同じ本を持っているのね」とおっしゃる純情さ。「私はやはりキリギリスね」と楽しそうに語るお声。「陛下が誘ってくださったの」とお喜びだったダンス。そして、悲しみに寄り添う「根っこ」と、希望へと飛翔する「翼」を世界中に届けた歴史的スピーチの背景。二十年来の親友が綴る美智子さまとの珠玉の時間。(解説・尾崎真理子)
  • センス・オブ・ワンダー(新潮文庫)
    4.3
    雨のそぼ降る森、嵐の去ったあとの海辺、晴れた夜の岬。そこは鳥や虫や植物が歓喜の声をあげ、生命なきものさえ生を祝福し、子どもたちへの大切な贈り物を用意して待っている場所……。未知なる神秘に目をみはる感性を取り戻し、発見の喜びに浸ろう。環境保護に先鞭をつけた女性生物学者が遺した世界的ベストセラー。川内倫子の美しい写真と新たに寄稿された豪華な解説エッセイとともに贈る。(解説・福岡伸一、若松英輔、大隅典子、角野栄子)
  • 文豪たちの友情(新潮文庫)
    3.6
    佐藤春夫と堀口大學は、仲良しすぎて恋人だと疑われた? 芥川龍之介は友達を思って己のパンツを貸した? 国木田独歩と田山花袋はケンカばかりなのに同居していた? 「ぼくのお父さんになって」と懇願される夏目漱石? 近現代史にその名をとどろかせる文豪たち。彼らの人間関係は一口に友情と呼ぶのもはばかられるほど濃厚な魅力に満ちていた。文庫化に際し、新章を加え大幅改稿した完全版。
  • 一発屋芸人列伝(新潮文庫)
    3.8
    やがてブームは終わり、世間は彼らを「一発屋」と呼んだ。大ブレイクを果たしたのちテレビから姿を消した彼らの人生はしかし、その後も続いている。自身も一発屋芸人と呼ばれた著者が、コウメ太夫、ジョイマン、波田陽区、キンタロー。、スギちゃんなど12組の芸人に取材。不器用ながら一歩ずつ前に進むそれぞれの今に迫った。編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞の、感涙ノンフィクション。(解説・尾崎世界観)
  • 枕詞はサッちゃん―照れやな詩人、父・阪田寛夫の人生―(新潮文庫)
    4.0
    ♪サッちゃんはね サチコって いうんだ ほんとはね――父が作詞した歌がテレビで流れると「今日はお肉が食べられる」と喜び合 った。庄野潤三、三浦朱門らと親交を深め、やがて小説家の道を歩むが、膨大な資料集めと取材で印税は泡と消えた。子煩悩とは程遠い人、けれど残した詩はユーモアと哀切に満ちていて……。娘が語る「サッちゃん」作詞家の生涯。日本エッセイスト・クラブ賞受賞。(対談・阿川佐和子)
  • 猫といっしょにいるだけで(新潮文庫)
    4.4
    五十代、独身、母と二人暮らし。仕事のスランプで切羽詰る日々だった。訪れた神社で「しあわせをください」とつぶやいた翌日、庭の白木蓮の切り株に、彼らは舞い降りた。「猫は嫌いだし、生き物は飼わない」と決めていたが、愛護協会や保健所も頼れない……。やがて始まるにぎやかで、穏やかな日常。『日日是好日』の著者が描く、笑って泣ける猫日和! 『いっしょにいるだけで』改題。(解説・酒井順子)
  • 日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―(新潮文庫)
    4.5
    お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。(解説・柳家小三治)
  • ピアニストだって冒険する(新潮文庫)
    3.5
    華やかで力強いピアノの魂とともに――。何も知らず母に連れられて行った三歳のレッスン。十五歳でソリストを務めたN響世界一周演奏旅行。十八歳でジュリアード音楽院に留学して味わった挫折感。自らの人生をユーモラスに描き、国際コンクールの舞台裏、かけがえのない友人や恩師、そして日本の未来への想いを綴った文章の数々……。亡くなるひと月前まで書き継がれた最後のエッセイ集。
  • 美しき日本の面影(新潮文庫)
    -
    この国には妖精が棲んでいる――。日本中をピンクに染める桜前線、久米島の水辺で瞬く蛍、寝台特急「さくら」号、そして故郷長崎の平和の祈り。自然と共存する人々の心根の優しさに目を見張り、鮮やかな季節の移り変わりに息を呑む。デビュー以来、三十余年にわたり旅を続けてきた著者が、数々の出会いと別れ、少年時代の思い出を慈しみながら綴る、大人のための旅のエッセイ集。
  • ポーカー・フェース(新潮文庫)
    3.8
    「初体験」から書き起こし、靴磨きの老人と鮨屋の主人の手がもたらす感懐へと導かれる「男派と女派」、銀座の酒場のエピソードがやがてカクテルの逸話へと姿を変える「マリーとメアリー」……波から波へと移るように、小路をふっと曲がるように、意外な場所へと運ばれるめくるめく語りの芳醇に酔う13篇。『バーボン・ストリート』『チェーン・スモーキング』に続く傑作エッセイ集。
  • 不明解日本語辞典(新潮文庫)
    3.5
    「普通」って何? 「ちょっと」って何? 「っていうか」って何?……。毎日何気なく使っている日本語の意味を深くマジメに掘り進むと、摩訶不思議な言葉の作用に行き当たる。あまたの辞典類の頁をめくり、日本語の持つあいまいさ、難解さに真正面から果敢に挑む著者――時に茫然と立ち尽くしながらも、自ら選んだ32語を手掛かりに、言葉の海へと漕ぎ出して行く。ユニークな辞典風エッセイ。
  • 笑犬樓の逆襲(新潮文庫)
    4.0
    断筆解除をしてみれば、世間は面妖なことばかり。狂牛病の牛を哀れみ、ヒトゲノム解読を解読し、税務調査官の態度にあきれ、自民党の変貌を嘆き、酒鬼薔薇聖斗の出現に耳を欹て、歩行者喫煙取締りを糾弾し、小中学生や男の化粧を断固支持し、ホース片手に隣家の火事を消し、柳美里裁判に物申す!  「ならず者の傑物」筒井康隆が狂気の時代を迎え撃つ、獅子奮迅、呵々大笑のエッセイ集。
  • 芭蕉紀行
    4.0
    『野ざらし紀行』『冬の日』『笈の小文』『奥の細道』はもちろん、従来の案内書にはない『かしま紀行』『更科紀行』ゆかりのスポットも完全網羅。中学三年で芭蕉の言霊にふれ、自らも「旅を栖」とする著者が、足と目と感性で俳聖の全足跡を辿る。研究者のあいだではタブー視されている、蕉翁の衆道にも踏み込んだ稀有な書。沿道の美味な食べ物も紹介。著者手描きの絵地図入り。『芭蕉の誘惑』改題。
  • 身体巡礼―ドイツ・オーストリア・チェコ編―
    3.5
    ハプスブルク家の心臓ばかりが埋葬された礼拝堂をウィーンに訪ね、ボヘミアでは骸骨装飾で名高い納骨堂に足を運ぶ。プラハのユダヤ人墓地やカタコンベ、フランクル、マーラー、エゴン・シーレなど歴史的著名人の墓参りで浮かび上がってきた文化と埋葬、生者と死者との関係とはなにか? 長年、人間の体を観察しつつ思考してきた解剖学者が明かす、ヨーロッパ独特の身体性と死生観。
  • ブータン、これでいいのだ
    4.0
    クリーニングに出したセーターの袖は千切れているし、給湯器は壊れてお湯が噴出するし、仕事はまったく思い通りに運ばない。「幸せの国」と言われるブータンだけど、現実には社会問題も山積みです。それでも彼らは、「これでいいのだ」と図太くかまえ、胸を張って笑っている――初代首相フェローとしてブータン政府に勤務した著者が、日本人にも伝えたい彼らの“幸せ力”とは。
  • 文車日記―私の古典散歩―
    4.2
    こんなにも身近なところに、古典の世界が息づいている。私たちの人生そのままに、かつて、生きて戦い愛した人々がいる。――「古事記」「萬葉集」から若山牧水まで、民族の遺産として私たちに残されたおびただしい古典の中から、著者が長年いつくしんできた作品の数々を、女性ならではのこまやかな眼と、平明な文章で紹介し、味わい深い古典の世界へと招待してくれる名エッセイ集。
  • 血の騒ぎを聴け
    3.8
    これだけは書いておきたかった、人の情、魂を照らす光景――。芥川賞受賞直後に患った結核。震災に遭った、生れ故郷神戸への思い。中国、東欧への旅。井上靖、中上健次ら同時代の作家たちのこと。そして芥川賞受賞作『螢川』から『地の星』までの創作秘話。デビュー間もない頃から二十年間書き継がれた、宮本文学の過去、現在、未来を一気に俯瞰する、ファン必読の傑作エッセー集。
  • 若き数学者のアメリカ
    4.2
    1972年の夏、ミシガン大学に研究員として招かれる。セミナーの発表は成功を収めるが、冬をむかえた厚い雲の下で孤独感に苛まれる。翌年春、フロリダの浜辺で金髪の娘と親しくなりアメリカにとけこむ頃、難関を乗り越えてコロラド大学助教授に推薦される。知識は乏しいが大らかな学生たちに週6時間の講義をする。自分のすべてをアメリカにぶつけた青年数学者の躍動する体験記。

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  • 新版 つげ義春とぼく
    4.1
    多忙な現代人が忘れてしまった根源的故郷への思慕を胸に、鄙びた温泉宿を訪ね歩く場末感覚に満ちた「颯爽旅日記」。日常生活の狭間に突如現れる異世界=夢の領域をシュールなイメージとともに採取した「夢日記」。自らの貧困生活を滑稽かつ痛切に綴った「断片的回想記」など、生と死の間で揺らめく人々の物哀しさを描き続けてきた孤高の漫画家、つげ義春の世界を一望する新版エッセイ集。
  • ポエムに万歳!
    3.8
    書き手の「何か」が過剰に溢れた言葉。意図的に「何か」を隠すため、論理を捨てて抒情に流れた文章。そこに「ポエム」は現われる。感情過多で演出過剰な、鳥肌モノの自分語りは、もはや私生活ストリップだ。Jポップの歌詞や広告のコピーならまだ許せる。だが、いまやこの国では、ニュースや政治の言葉までもが「ポエム化」している! 名物コラムニストが不透明な時代を考察する。
  • 津軽の野づら
    -
    登山家であった著者には山に取材したものに、純情、野性味、青春、友情などを盛った作品が多いが、ここに収録した諸編は青春の詩であり若人の歌である。北国の風土と民族を背景に清冽、溌剌たる筆致で描いた『あすなろう』ほか『チャシヌマ』『エェデル・ワイス』『志乃の手紙』など全10編。浪漫性の濃い健康さに満ちあふれ、津軽の風土色ゆたかな地方主義文学の傑作である。
  • 偏食的生き方のすすめ
    3.0
    卵は黄身と白身が分かれていると食べられず、完全にゴチャゴチャに撹乱しなければならない。それで作ったオムライスは楕円形でなければダメ――。理不尽でありながら明晰な「食わず嫌い」を語りつつ、騒音公害や過照明など日常生活の「イヤなこと」に敏感に反応する。社会と自分の感覚とのズレを最大限に愉しむための、マイノリティの処世哲学。
  • エゴイスト入門
    3.8
    倫理的に生きるとは、個人の信念と美学を貫くことである。大勢と違う行動の人を見るとヒステリックに「ジコチュー」とわめきたてる「日本型エゴイスト」は、日和見主義の事勿れ主義だ。生きにくさを抱えつつも、世の中にあふれる不快さとの戦いをやめられない哲学者の日常をユーモア交じりに語りながら、「倫理的エゴイスト」の道を説く。『哲学者というならず者がいる』改題。
  • 隅の風景
    3.5
    ビールを楽しんだプラハ、巡礼者が行き交うスペイン、高所恐怖症と闘った韓国……。それぞれの土地に広がる、見たことのなかった風景たちを写真に収め、心に刻みながら、作家は新しい小説の予感を探す──。稀有な感性で捉えた情景を描き出す旅エッセイは、もう一つの恩田陸ワールド。さらに、過去の小説作品のヒントを得た舞台を明かす「ゲニウス=ロキ覚書」を収録。
  • イソップを知っていますか
    3.8
    「イソップ物語」って、本当はこんな話だったの? 「アリとキリギリス」「狼と狐」をはじめ超有名な寓話から無名の寓話まで、安土桃山時代と江戸時代に日本語に翻訳されたイソップ物語をもとに、130余のストーリーを紹介。二千年以上の歴史をもつイソップ物語に秘められた、厳しい世間を生き抜くための智恵とその魅力を阿刀田流に読み解いた、大好評の「知っていますか」シリーズ。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
  • ボクは好奇心のかたまり
    -
    いかにもの好きと言われようと、いかに冷や水とけなされようと、生れつきの好奇心のムシはおさまらない――美人女優に面談を強要する、幽霊屋敷を探険に行く、上野の乞食氏と対談する、催眠術の道場を見物に行く、舞台熱が昂じて素人劇団を結成する、無謀にも運転免許に挑戦する、etc、etc。呆れるばかりのもの好き精神を発揮して狐狸庵先生東奔西走。珍妙無類のエッセー集。

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  • 闇夜の国から二人で舟を出す
    3.5
    学園紛争に揉まれながらひたすらに読書を愛した十代から、今日まで。「私は未だに、あのころの自分をそっくりそのまま引きずりながら、やみくもに舟を漕ぎ続けているような気もする」小池真理子が明かす、運命の瞬間、創作の秘密、小説と男への愛、人生への情熱。瑞々しい言葉の連鎖に浮かび上がる「生」の航跡が、静謐な輝きを放つエッセイ集。文庫化に際し「時の水脈」を収録。
  • 縦糸横糸
    3.5
    酒鬼薔薇聖斗、和歌山カレー事件、オウム真理教、新潟少女監禁事件、自殺者の増加、引きこもり──日本人の生活は豊かに、快適になったが、〈心〉はその変化に対応できず、多くの問題が生じてしまった。効率を追い、結論のみを急ぐ現代社会は、育児や教育には不向きだ。欲望を満たしても幸せにはなれない。ではどうすればいいのか。〈心〉の専門家から、困難な時代を生きる私たちへの提言。
  • やつあたり文化論
    -
    客を馬鹿にすることで笑いを強制する落語家や漫才師を怒り、国民的ムードにばかり気をつかう政治家の続出を怒って大日本悪人党を待望する。教育ママの精神構造や悪宰相の必要性を説き、家元さわぎや私道さわぎから、現代SFの特質とは何かを論じる。筒井康隆一流のユニークな視点から、現代文明のさまざまな事象を痛快なユーモアと爽快なエスプリで論じたエッセイ集。
  • 寝ても覚めても本の虫
    3.9
    「もうぞくぞくとするような楽しみなのだ」――大好きな作家の新刊を開く、この喜び! 本のためなら女房の小言も我慢、我慢。眺めてうっとり、触ってにんまり。ヒーローの怒りは我が怒り、ヒロインの涙は我が溜め息。出会った傑作は数知れず。運命の作家S・ツヴァイク、目下の“最高”N・デミル、続編が待ち遠しいT・ハリスに、永遠の恋人M・H・クラーク……。ご存じ読書の達人、児玉清さんの「海外面白本探求」の日々を一気に公開。

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  • 小説に書けなかった自伝
    4.0
    安月給の生活苦。妻の本に触発された訳ではないが、小説に挑戦してみようと思った。しかし、何をどう書けばいいのかまるでわからない。なくされた原稿、冷たい編集者、山岳小説というレッテル、職場での皮肉。フルタイムで働きながら、書くことの艱難辛苦……。やがて、いくつもの傑作が生まれていく。事実を下敷きに豊かな物語を紡いで感動を生んできた新田文学の知られざる内面史。

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  • 古くてあたらしい仕事(新潮文庫)
    NEW
    4.3
    「本をつくり、とどける」ことに真摯に向き合い続けるひとり出版社、夏葉社(なつはしゃ)。従兄の死をきっかけに会社を立ち上げたぼくは、大量生産・大量消費ではないビジネスの在り方を知る。庄野潤三小説撰集を通して出会った家族たち、装丁デザインをお願いした和田誠さん、全国の書店で働く人々。一対一の関係をつないだ先で本は「だれか」の手に届く。その原点と未来を語った、心しみいるエッセイ。(解説・津村記久子)
  • 旅のつばくろ(新潮文庫) 電子オリジナル版
    3.7
    つばめのように自由に、気ままにこの日本を歩いてみたい――。世界を歩き尽くしてきた著者の、はじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。それから歳も経験も重ねた今、同じ土地を歩き、変わりゆくこの国のかたちを見て何を思ったか。本州「北の端」龍飛崎、太宰治の生家を訪ねた五所川原、宮沢賢治の足跡を追った花巻、美景広がる軽井沢や兼六園などを歩いて綴った、追憶の旅エッセイ。〈電子オリジナル版〉は沢木耕太郎撮影の写真が収録されています。
  • 道行きや(新潮文庫)
    -
    カリフォルニアで夫を看取り、二十数年ぶりに日本へ愛犬と帰国。“老婆の浦島”は、週の四日は熊本で犬と河原を歩き、植物を愛でる。残りは早稲田大学で、魚類の卵のように大勢の若者と対話する。移動の日々で財布を忘れ、メガネをなくし、鍵をなくし、犬もなくしかけた……思えば家族を、あらゆるものを失って、ここに辿り着いたのだった。過ぎ去りし日を噛みしめ、果てなき漂泊人生を綴る。(解説・ブレイディみかこ)
  • アガワ家の危ない食卓(新潮文庫)
    3.6
    亡き父、弘之の口癖は「一回たりとも不味いものは食いたくない」であった。朝食をとりながら夕食のメニューを訊ねて周囲をゲンナリさせ、気にくわない食事に出くわせば「一回損した!」と本気で憤怒する。そんなワガママで怒りん坊の父に振り回されても母は家族のために台所に立ち続け、娘サワコは冷蔵庫から干からびた食材を発掘しては、危ない料理をせっせと作る。爆笑必至の食エッセイ。
  • 未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために―(新潮文庫)
    4.1
    哲学、デザイン、アート、情報学と、自由に越境してきた気鋭の研究者が、娘の出産に立ち会った。そのとき自分の死が「予祝」された気がした。この感覚は一体何なのか。その瞬間、豊かな思索が広がっていく。わたしたちは生まれ落ちたあと、世界とどのように関係をむすぶのだろう――。東京発、フランスを経由してモンゴルへ、人工知能から糠床まで。未知なる土地を旅するように思考した軌跡。
  • 桃色トワイライト(新潮文庫)
    4.0
    生まれて初めての合コンで『新選組!』を語る、クリスマスイブに実家でイモの天ぷらを食す、非常にモテる男友だちの失恋話に相槌を打つ――思わず自分でツッコミを入れてしまう微妙さに懊悩しつつ、それでもなぜか追求してしまう残念な感じ。異様にキャラ立ちした家族や友人に囲まれ、若き作家は今日もいろいろ常軌を逸脱中。爆笑と共感がこみ上げる、大人気エッセイシリーズ!(解説・岸本佐知子)
  • 乙女なげやり(新潮文庫)
    3.8
    ひとはいつまで乙女を自称しても許されるものなのか。そんな疑問を胸に抱きつつも、「なげやり」にふさわしいのは、やっぱり乙女。熱愛する漫画の世界に耽溺し、ツボをはずさぬ映画を観ては、気の合う友と妄想世界を語り合う。気の合わない母との確執も弟とのバトルも、日常の愉楽。どんな悩みも爽快に忘れられる「人生相談」も収録して、威勢よく脱力できる、痛快ヘタレ日常エッセイ。

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