眉村卓の作品一覧
「眉村卓」の「P+D BOOKS C席の客」「P+D BOOKS 幻影の構成」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「眉村卓」の「P+D BOOKS C席の客」「P+D BOOKS 幻影の構成」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
大阪大学経済学部卒。1961年『下級アイディアマン』でデビュー。『夕焼けの回転木馬』で第7回日本文芸大賞を受賞。『なぞの転校生』、『ねらわれた学園』など数多くの作品も手がける。
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著者の作品は時折読みたくなる。長編第2作という初期作品(1966年作品)だけあってもう若々しい熱量がすごい。大好きな司政管シリーズに通じる体制の内側から見た苦悩と変革だったり、市井の人々の生活感を取りこんでいたりと著者の特徴が全て盛り込まれています。それどころかその後の作品では消え去ったネットワークによる情報操作される世界も描かれています。傑作。P+D booksで再刊されたのは喜ばしい(紙質安っぽいけど)。
現在のスマートフォンが当たり前の生活を予言したようなイミジェックスという小さな箱によって子供の頃から感情、教育、思想を方向づけされた平和な世界。しかし、その裏側には思想統制や階級格差、経
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長年連れ添った伴侶を
見送った後の心境たる
や。
喩えるなら最終列車が
行ってしまったホーム
でしょうか。
静かで、すこし寒くて
だれもいないベンチに
ぽつんと座るような…。
立ち尽くす人もいれば
淋しく微笑む人もいる
でしょう。
笑い声の余韻、喧嘩の
後の湯呑みのぬくもり
…
時折、風が吹いて記憶
をそっと撫でていく。
愛した分だけ空っぽに
なると言うけれど、
それはね、満たされて
いた証なの。
ほら、夜空を見上げて
みれば星が瞬いている。
もう一度ただただ君の
名を呼びたいと、
だれしもいつかきっと
そう思う日がくるから
──
静かに涙が溢れてくる。
最終章に溢れる
Posted by ブクログ
日常を歩いていたはずの男がさまよいこんでしまったのは、ありえたかもしれない自分の別の人生だった。ということで本作は無数に分岐された世界の様相を描いたいわゆるパラレルワールドものの一作です。
SF作家の上村徳治がある日、A新聞社のビルのエレベーターを出ると、異変に気付く。十七年前に辞めた会社の前に来ているのだ。その会社はA新聞社のビルにはないはずなのに。上村が踏み入れてしまったのは会社を辞めずに、その会社で次長になっているもうひとつの自分がいる世界だった。
何より印象的だったのが、元の世界に戻りたい、という思いはありながらも、踏み入れる世界にも日常の営みがあることを感じて、淡々と静かに
Posted by ブクログ
〈いいのだ、いいのだ、それでいいのだ。
というより、何だっていいのだ。
どうせ近々この世からおさらばするのである。となれば、おさらばしない現実の存在を認めたっていいだろう〉
リアルタイムで読んできたひとならば、あるいはその当時を知るひとならば、まったく違った感慨を覚えるのかもしれませんが、私は詳しくないので、読んだ素直な気持ちを綴ることしかできません。
著者自身を思わせる作家、浦上映生がたゆたう現実と幻想、生と死の境。ただの回顧ではなく、小説への、フィクションへの強烈な愛と意志を感じました。SFのひとつの時代を支え、そして長い年月、書き続けた小説家が、小説家としての軌跡を、小説として