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ビールを楽しんだプラハ、巡礼者が行き交うスペイン、高所恐怖症と闘った韓国……。それぞれの土地に広がる、見たことのなかった風景たちを写真に収め、心に刻みながら、作家は新しい小説の予感を探す──。稀有な感性で捉えた情景を描き出す旅エッセイは、もう一つの恩田陸ワールド。さらに、過去の小説作品のヒントを得た舞台を明かす「ゲニウス=ロキ覚書」を収録。
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Posted by ブクログ
「のんびり旅ができるというのは、なんてありがたいことなんだろう。確かな日常があって、明日も当たり前に世界があるからと思えるからこそ、旅に出ることができるのだ」(文庫版あとがきより) 旅に出ることが容易ではない今日、旅エッセイや写真集をめくりながら少しでも旅気分を味わおうとしている。恩田さんのエッセ...続きを読むイ、あまり読んだことなかったなあと思い、『隅の風景』を初読。 小説でも、実在する場所であれ、実在しない場所であれ、情景描写が素晴らしく、いつも惹きこまれてしまうが、そんな恩田さんが書く旅のつれづれは、旅の発見・ハプニングなどなど自分も追体験しているようで面白い。 情景と同じ位、お酒と料理の描写も。私もチェコに行って清冽なビールを飲みたい…!間々に挟まれるセピアがかった写真たちも素敵。 巻末にある「ゲニウス=ロキ覚書」、これまでの作品のインスピレーションを受けた場所についての言及は、ファンには嬉しい。
作家の筆で描き出される目の前の風景を味わうのが、紀行文を読む楽しみ。 人によって旅の目的はさまざまであり、興味の対象、目に留まるものもそれぞれ違うことが新鮮である。 旅という異界の中にちょっとずつ自分を置いてくるという。自分のかけらは今も異国の地にあるという夢見るような感覚は、行った人でないと分から...続きを読むないのだろう。羨ましいことだ。 付録として、恩田さんの愛読する「旅の本」の紹介、土地ならではの地霊を感じて書かれた恩田さんの作品の紹介も載っている。 これからの読書の案内にもなる。 『ロンドンで絵を買う』 同行者から「イギリス児童文学の挿絵を専門に扱っているギャラリーがあるのでそこに行きたい」と言われて。 みやげに絵を買うのはなかなかいい。 絵を見るたび、あとあとまで旅の記憶を楽しめる。 『チェコ万華鏡』 プラハと京都は姉妹都市である。なんとなくいけずなところが似ている。 チェコは職人の国であり、技術力が高い。美しいプラハの街に隠れた様々な意匠も細部が面白い。 『ほどよい距離、ほどよい広さ 郡上八幡(ぐじょうはちまん)』 二ヶ月も続く「郡上踊り」が有名。 風情ある古い街並みが続き、細い水路が縦横に走っている。「水」が名産。 朝晩散歩したくなる。 『不信心者の「お伊勢参り」』 江戸時代の人たちも盛んに通った「お伊勢参り」 内宮と外宮の他に、「荒祭宮(あらまつりのみや)」という別宮があって、天照大神の荒御魂(あらみたま)が祀られている。 「和御霊(にぎみたま)」に対して、ダークサイドが「荒御魂(あらみたま)」 何かを始めようと決心した時にここに参るらしい。 議員の秘書風の男性がお参りしていた。 『『冷血』と家光の墓 日光』 「大猷院(たいゆういん)」は東照宮に家康を祀った家光の霊廟で「大仕事を成し終えた」という意味。 明るい東照宮と比して、冷ややかな暗さを感じる。霊柩車を連想。 カポーティーの『冷血』が今回の旅のおとも。 『雨の街、風の城 ーー台湾ブックフェア報告ーー』 『ねじの回転』の翻訳本発売に合わせて、出版社がサイン会&書店でのトーク会を企画して、台湾のブックフェアに招いてくれた。 映画『悲情城市』で一躍観光スポットとなった九份(キュウフン)も訪れる。 かつて集落は「風の城」港は「雨の港」と呼ばれていたという。本のタイトルになりそう。 『仙人は飛び、観音菩薩は微笑(ほほえ)む 韓国 雪嶽山(ソラクサン)』 登山好きの韓国人にとって、憧れの名峰・雪嶽山に登る。 仏教徒たちにも聖地。 『スペイン奇想曲』 カミーノ・デ・サンティアゴへの巡礼に観光客として参加。 通過ポイントは、大聖堂、修道院、教会が多く、グレゴリオ聖歌が響き、薔薇窓が美しい。 途中の道道では観光客にもスタンプを押してくれたが、ゴールのサンティアゴでは正真正銘のカトリック教徒にしか印は与えられない。 景色をながめながら歩くと、景色以上に、自分の中にいろいろ見える。 『阿蘇酒池肉林』 飛行機が嫌いなので、東京から博多まで「のぞみ」で行く中、新幹線中のワインを三人で飲み尽くす。 最終目的地は熊本。 阿蘇の景色は雄大で食事は著しく重たい系。 鳥、牛、豚、鹿、と炭火で黙々と肉を焼いては食い、酒を飲んだ。 『熊本石橋の謎+馬刺し憧憬(しょうけい)』 熊本行きの目的は、熊本在住のS F作家・梶尾真治さんに会うことと、大好きな馬刺しを食べること、そして「橋」への興味。 「種山石工(たねやまいしく)」という技能集団が存在した熊本は石橋が多い。 国指定の重要文化財である「通潤橋(つうじゅんきょう)」は一大観光地となっている。 水路橋として今も現役で、5,000円払うと放水して見せてくれる。 『蘇我入鹿(そがのいるか)と玄昉(げんぼう)の首塚 奈良』 最近整備された「頭塔(ずとう)」という史跡は「藤原広嗣の乱」の原因にもなった奈良時代の僧・玄昉の首塚。 蘇我入鹿の首塚は何度も訪れている。 首を刎ね、それを埋めて、石で押さえ、祀る。 どうか出て来ないでください、祟らないでください、という必死さに、祟られる事に身に覚えありの恐怖が滲み出ている。 『銀の箸の国で 韓国 ソウル』 ソウルの国際ブックフェアに呼んでもらった。 韓国では日本の小説が非常にたくさん読まれていて、翻訳点数では去年ついにアメリカのそれを抜いた。 韓国映画やドラマの脚本が大変優れているので、遠からず自国の小説家が育っていくだろうと思う。 『真昼の太陽を見上げる 北京、上海』 北京は、何もかもが茫漠(ぼうばく)として巨大である。 モヤの向こうに太陽が透けているという印象。 北京はヨコ方向のベクトルの都市、上海は圧倒的にタテのベクトルの摩天楼都市。 ・恩田陸さんはダークサイドに惹かれるようだ ・チェコがとても魅力的だった ・旅は何かを「見に行く」のではなく「感じに行く」
飛行機恐怖症を克服した恩田さんの旅エッセイ。文章がユーモラスで出先でニヤニヤしながら読んでた。 グレーゴム・ザムザ「変身」の解釈からプラハのビール、伊勢神宮の話まで、恩田陸ファン必読!文庫版の書き下ろしが最高!「闇の絵本」読みたいー!(未刊)
恩田さんの旅エッセイです。少し前に「EPITAPH東京」を読みましたが、あれはこの本の東京版だったんだと思いました。読み味もほぼ同じ。一方この本の舞台は日本各地、そして世界。面白いと思ったのは「EPI東京」と同じ視点が登場したことです。『日本の街や道路は…人が歩くこと自体全く想定していない』という指...続きを読む摘です。点から点への車での移動前提で考えられているからという視点。確かにこんなにスリムな人っているのかなと思うくらいの細い歩道の線引きがあちこちにあるように思います。つまり実際には車道にはみ出さずには誰も歩けない。そういえば観光地でも途中の道を歩く人が少ない気がします。数を巡る事を優先する観光の仕方が主流だからかもしれませんね。 国内、国外色々な旅の記載がありますが世界旅ではチェコが気に入りました。私も行ったことがありますが、見る視点がこうも違うのかと驚きました。恩田さんの視点で一緒に旅をすると色々な発見ができそうです。また、これを読んでプラハでビールを飲み損ねたことをとても後悔しています。恩田さん食レポというか呑レポもとても上手いです。あと、「祝祭と予感」の〈鈴蘭と階段〉のチェコフィルはここ繋がりでしょうか。 また、読み物として一番面白かったのは九州の旅。リアルなグダグダの旅の風景が小説のグダグダな旅のシーンと区別がつかなくなるこの違和感のなさ。恩田さんの小説のリアルさは巣のまま書かれている部分が混じっているからなのかもしれません。 楽しく気軽に読め、また、恩田さんの気持ちの浮き沈みまでリアルに感じられて、ちょっと自分も旅をしたくなる、そんな作品でした。
恩田陸さんの本は、以前よく読んでいたのだが、「夜のピクニック」以来読んでいなかった。久しぶりに手に取った本がこれ。気楽に読めて、それぞれの土地の雰囲気や人の気質が何となくだけど、分かるような感じ。ちょっと行ってみたいなと思わされるのは、著者の人柄の良さが文章に表れているからだろうと思う。時々挟まれる...続きを読む写真も、茫洋としていていい感じ。ロンドン、チェコ、郡上八幡、伊勢、日光、台湾、韓国雪嶽山・ソウル、阿蘇、熊本、奈良、北京、上海を旅する。それにしても、著者は酒ばかり飲んでる。
恩田陸の隅の風景を読みました。 恩田陸が雑誌の取材などのためにいろいろな場所を訪ねたときの旅行記でした。 恩田陸らしい視点での旅行記になっていて面白く読みました。 阿蘇でお酒をたらふく飲んで山ほど肉料理を楽しんだ「阿蘇酒池肉林」は大うけしてしまいました。
旅のエッセイ集。 で、むしろ某ピアニストが探偵のミステリーがおいおいな理由がよくわかった。 よーするに、エッセイと旅行本の違いなのだ。 某ミステリーは、るるぶ、かよって感じに音楽を書いてる。 ちがうだろう。まず震えるのは、心だ。感じるのは、空気なはずだ。 そのへんのストレスを一気に...続きを読む霧散していただきましたm(__)m うんうん。 こうあるべきだよな。 どこか別の地にいって、そこになにがあってどうのっていう説明なんてどうでもいい。そこで、筆者は何を感じたかが大事なのだ。でもって、その感じたことを通して、筆者自身を感じる。 なんで、恩田陸はまるでビー玉のようだと思った。 彼女を通してみる世界は、いつも透明だ。だが、ふいに歪が見える。別の色がすけて見える。 世界は、美しく好奇に満ちていると信じられる。 とはいえ、ちょっと呑みすぎなんじゃないかと、心配ですよww
恩田陸らしい旅のエッセイ。 巡礼の話なんかは読んでいてとってもわくわくしました。 熊本の回は、馬刺好きには垂涎。 夜の奈良を「夜の底にいるという感じ」と表現するのは、関東育ちの奈良人としてはそれこそ、心の底から共感できます。 巻末のブックリストがまた興味をひく内容で、読んでみたくなる本や写真集が...続きを読む目白押しです。
紀行文は、独特な興奮が好きではないんだけど、この人のはやっぱりあっさりしていて読みやすい。 私は別に旅が好きじゃないけど、ちょっと行ってみたいと思うような内容だった。首塚とか
恩田陸の旅エッセイ。刊行は平成23年、文庫化は平成25年。積読の結果令和5年に読むという。 どんなタイミングでも、自分が読んだ時がその本との出会いなので、気にはしてないのですが、エッセイとかは共感できる部分が変わってくるのかなあ、と思う。 あとあと読むことで、著者が感じたことが未来にどんな影響を与え...続きを読むたのか、と楽しめるというのはあるけど。連載もしくは、刊行当時の読者である自分の生の感情とたらし和すことができないかな、と思う一面もある。 なんにしろ、楽しめればいいのだけど。変なところで変な理屈こねてしまうのはやめたいですな。 郡上八幡の回は「愚かな薔薇」じゃないか、ということがすぐにわかったので、わくわくしました。まだ書き上げてない作品、いつか出るであろう作品のきっかけになった場所を巡ったエッセイ。「愚かな薔薇」のあの異様な熱気の原点はここだったのか、と楽しく読みました。 結果を知っているからこその喜びでしたね、この回は。 こんな楽しみもあるのだから、読むタイミングなんて人それぞれでいいんだよなあ、と再確認です。自分に都合よく。
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